バトルスピリッツ 王者の鉄華   作:バナナ 

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第17ターン「クロスセイバー聖剣無双」

ここはバトスピが最も発展している大都市、界放市のジークフリード区にある最も有名なバトルスタジアム『ジークフリードスタジアム』………

 

今宵この場で年に一度行われる界放リーグ、そのジュニアの部、本戦が開催される。激戦区である予算を勝ち上がった猛者達の戦いを一眼観ようと、大勢の観客達が席を温めていた。

 

ぶかぶかのスカジャンを着用した中学生くらいの少女「春神ライ」とその友人「夏恋フウ」もその1人………

 

 

「…思ってたよりずっと広いね」

 

 

フウがお淑やかな声色でライに聞いた。

 

 

「まぁ、界放リーグって言ったら、世界的にも注目されるビッグイベントだからね。私も初めて来たけど」

「………ライちゃんも本当は出たかったんじゃない?」

「まぁね〜……でもオジさんとヨッカさんに公式戦は出るなって固く言われてるし、それに学校も行ってない私が界放リーグに出場は結局無理だったんじゃないかな?」

 

 

この少女「春神ライ」……

 

どういうわけかこの歳で学校にも通っていない様子。かなり深いわけがありそうだ。

 

 

「まぁ、出れたらもちろん私の優勝だけどね」

「流石天才カードバトラー!」

 

 

自信家のライに煽上手な親友のフウ。2人は性格こそ「元気系」「清楚系」と言った正反対の性質を持っているが、どうやらかなり良いコンビな様子。

 

そしてそんな春神ライ、ふと別の席に座っているある人物が目に入ってくる…………

 

 

「あ………お〜い、ヨッカさん!!」

「ッ……!!」

 

 

前の席に座っていた褐色肌で長身の男性の背筋がピクッと反射的に動く。その男性の正体はカードショップ「アポローン」の店長にして鉄華オーカミの兄貴分、九日ヨッカだ。

 

彼が恐る恐る後ろを振り向くと、そこには元気なライと、こちらに向かって頭を下げる友人のフウが見えた。

 

 

「ライ……と、フウちゃん。何でここに」

「ヨッカさんこそどうしたんすか、最近はオジさん共々家に帰ってなかったし」

 

 

ライがフウと共にヨッカの隣に座りながら聞いた。

 

 

「オマエも知ってるだろ?……行方不明になったオマエの父親を捜索してたんだよ。でもってオマエには悪いが、今日は一旦休止。大事な大事な弟分がこの界放リーグの本戦に出場するかもしれねぇんだよ」

「弟分?……ヨッカさんに弟分なんかいるんすか?」

「………さてはオマエ、バカにしてるな?」

 

 

九日ヨッカはどういうわけか、この春神ライの父親を捜索している。故に2人は仲が良く、宛ら『兄妹』と言った仲である。

 

そんな中、会場の明かりが僅かに消えると、何かが始まる予感がする。人一倍今回の界放リーグを楽しみにしてきたフウは「あ、やっと始まるね」と一言。

 

 

「ご来場の皆様!!…アナウンサーの『紫治ヤヨイ』です!…これより、今年度の界放リーグジュニアクラスを行って行きたいと思います!!」

 

 

会場の端にスポットライトが当てられる、そこにはマイクを手に持つ、紫色の長い髪が特徴的な女性が1人。彼女の名前は『紫治夜宵』…………

 

界放市を代表とする超人気の若手アナウンサーだ。

 

 

「さぁそれでは早速、本日の主役、本選出場者の皆様にご登場していただきましょう!!……ゲートオープン、界放!!」

 

 

アナウンサーの夜宵が空いている手で指を鳴らすと、広大なバトル場の入り口から、激戦区だった予選を勝ち上がって来た8人のカードバトラー達が入場する。それと同時に、会場の巨大なモニターに出場者の年齢や顔写真などが映された。

 

その中には今年三連覇が掛かっている「獅堂レオン」や剣帝の異名を持つ「赤羽カレン」はもちろんの事、「一木ヒバナ」「鈴木イチマル」………

 

そして「鉄華オーカミ」の姿もあって…………

 

 

「ッ……なんでアイツがいるのよ!?……しかも私より1つ歳上!?」

「おぉ、オーカの奴しっかりと残ってんじゃねぇか!…やはりオレの目に狂いはなかったな」

 

 

ライとヨッカはほぼ同時に、それぞれ別々の意味で声を荒げる。この言葉でヨッカがムカつくアイツと知り合いだとわかったライは、凄まじい速度で首を彼の方へと向ける…………

 

Mr.ケンドーに扮していた際に、オーカとライの関係性を知ってしまっていたヨッカはその姿を見て「あ、ヤバ」と言葉を落とし、汗を流す…………

 

 

「……なんでヨッカさんがアイツの事知ってんのよ、どういう関係?」

「あぁ………うん。アイツはオレの弟分で、オレが営んでいるカードショップ「アポローン」のバイトなんだ」

「アイツが、ヨッカさんの弟分!?」

 

 

致し方なしか、ここは正直に言う。よくよく考えてみたら、別に隠す事でもなかった。

 

 

「あぁ、ひょっとして、この間ライちゃんが気になるって言ってた人って…………」

「だからそんなんじゃないわよ!!」

 

 

ライのブレイドラパンの一件を全て聞いていたフウ。オーカこそがその人物である事を見抜く。次いでにライの本心さえも…………

 

そして一方舞台では…………

 

 

「お、やっぱ生き残ったか鉄華オーカミ!!…この本戦でオマエをぶっ倒してやるぜ!!……そしてヒバナちゃんと結ばれる!!」

「結ばれないわよ。て言うか静かにしてよ、恥ずかしいから」

「まぁ取り敢えず、みんな通過できてよかった」

 

 

舞台では二列四組でならんでいる本戦の通過者達、オーカ、ヒバナ、イチマルは、身内という事もあって、他の通過者よりも会話をしているのが目立っていた。

 

 

「コラコラ君達、一応正式な舞台なのだから、静かにしてなさい」

「あ、すみません剣帝さん」

 

 

そんな彼らを見兼ねて、剣帝こと赤羽カレンが注意を促す。それに一番反応を示したのはヒバナ。

 

 

「カレンでいいよ。元々「剣帝」はどこの誰が付けたかもわからないあだ名だからね。別に気に入ってもないし」

「あ、じゃあ私の事もヒバナって呼んでください!」

「あぁ、了解した」

 

 

1つ歳上という事もあり、余裕のある笑みを浮かべるカレン。ヒバナとのやり取りを見て、オーカも改めて彼女は相当強いのだろうなと確信する。

 

そんな折、またアナウンサー夜宵がマイクを片手に声を上げて………

 

 

「この総勢8名のカードバトラーの中から、今年度ジュニア最強が決定致します!!……彼らの熱きバトルスピリッツをどうぞご堪能ください!!……そして本日、私、紫治ヤヨイと共に実況をしてくれるビッグゲストをご紹介致します!!」

 

 

ー!!

 

 

アナウンサー夜宵がそう告げると、舞台中央から白い煙が音を立てながら噴き上がる。やがてその煙が流されていくと、皆の目線はそこにいた人物に釘付けとなる…………

 

その人物は…………

 

 

「若干16歳にしてプロとなり、さらにはあのMr.ケンドーをも下してモビル王にもまだ登り詰めた究極の才女………」

 

 

早美アオイさんです!!

 

 

そう。そこにいたのは早美アオイ。元々注目を浴びていた彼女だが、16歳でモビル王に輝いた事で、より一層人気が高まる事となった。そのため、今回こうして実況席に座ると言う大役を務める事になったのだろう。

 

青くすらりと伸びた髪が、彼女の美しさをより際立たせる。沸き上がる歓声に、素敵な笑顔を振り撒きながらも、その視線を偶に鉄華オーカミと獅堂レオンへと向けていた……

 

 

「早美アオイ………」

 

 

そんな彼女に対して難しい顔を見せたのは、観客席にいる九日ヨッカ。

 

彼女が何かを企んでいるのは、あの時のバトルで確信したため、何かを仕掛けてくるのではないかと言う警戒心からである。

 

 

「うわ〜〜……やっぱ綺麗な人だよねアオイさん」

「そう?……オレっちはヒバナちゃんの方が綺麗で可愛いと思います!」

「イチマルに言われても嬉しくないんだよね」

「オレはどっちも可愛いし綺麗だと思う」

「え?……ちょっとオーカもう一回同じ事言って見て?」

「ん?…だからどっちも……」

「だから私語は慎みなさい」

 

 

良くも悪くもアオイに会場中の視線が集まる中、無駄話をしてしまうオーカ、ヒバナ、イチマルの3人に、それを真面目なカレンが止めると言う流れがまた起きる。

 

 

「さぁさぁ只今絶賛話題沸騰中の早美アオイさん!!……今大会について、何かコメントをお願いします!!」

 

 

夜宵がアオイのいる舞台まで駆け出し、マイクの先を彼女に向ける。アオイはそのマイクを手に取り、変わらぬ笑顔のまま、口を開いた………

 

 

「皆さまごきげんよう、早美アオイです。今年も何事もなく、伝統ある界放リーグが開催できた事を、心から嬉しく思います。私は、界放市の学生ではなかったので、界放リーグはテレビでしか観る事が出来なかったのですが、今年は間近で堪能できると言う事で、本当に楽しみにしておりました。是非本選出場者の皆様、是非優勝を目指して頑張ってください!!」

「はい、モビル王の早美アオイさんでした!!」

 

 

妥当と言う言葉が似合うコメントでその場を繋ぐアオイ。会場はそれでも拍手喝采だ。

 

 

「それでは、選手達が待ちに待ったであろうトーナメントの発表を致します!!……一気に行きますよ、ドン!!」

 

 

夜宵がそう言うと、巨大モニターにトーナメント表が映し出される。最初に注目されるのは当然第一試合、そこには赤羽カレンの名前が記載されていて…………

 

 

「お、第一試合は私か」

「頑張ってくださいカレンさん!」

「あぁ、って言うか君は見かけに寄らず人懐っこいな。別にいいけど」

 

 

グイグイ距離を縮めて来るヒバナに少したじろぐカレン。

 

そして、この1回戦。気になる対戦カードがもう一枚あって…………

 

 

「……1回戦二試合目は、オレとイチマルか」

「ふふ、やはりオマエとオレっちは戦う運命らしい」

 

 

カレンのバトルが終わってすぐに始まるであろう二試合目は、なんと早くもオーカとイチマルの対決。オーカをライバル視するイチマルにとっては、凄く嬉しい対戦カードであったに違いない。

 

 

「……私は、2回戦で獅堂レオンと」

 

 

ヒバナは三試合目、レオンは四試合目だ。勝ち上がれば必然的にレオンと対戦する事になるのを悟る。あの時のようにはいかない。そう胸に刻む………

 

しかしレオンはそんなヒバナは眼中にないようで…………

 

 

「鉄華、オレとオマエが当たるのは決勝戦。必ず勝ち上がって来い」

「………オマエこそ、余裕ぶっこいてると、後ろから刺されるぞ」

 

 

ヒバナもまた妥当レオンな事を知っているオーカ。ここで言う刺してくる相手とは間違いなくヒバナの事だろう。

 

 

「バチバチやり合うのは良いが、先ずは私の試合だ。部外者は退いてもらおうか」

 

 

赤羽カレンがレオンの肩に手を置きながらそう皆に告げた。彼女のやる気に満ち満ちた表情を見て、レオンは鼻で笑うと、大人しく会場の舞台から去っていった。

 

 

「私達も控室に行こうか」

「うん」

「え、ちょっとヒバナちゃんそれってオレっちと控室デートしたいとかそんな感じ!?」

「何よ控室デートって」

 

 

オーカ、ヒバナ、イチマルの3人や他の参加者もカレンとその対戦相手を置いて舞台から立ち去って行く。

 

皆の姿がなくなったのを確認すると、カレンは共に残った、己の1回戦の対戦相手を改めて視認する。

 

 

「………で、君が私の初戦の相手と言う事だな。確か名は『白金フブキ』……だったか」

「おぉ、光栄ですね。まさかあの『剣帝』に名前を覚えて貰えてるだなんて。僕も今まで頑張って来た甲斐がありました」

「ここ最近の強者の名くらいなら一応熟知している」

 

 

赤羽カレンの初戦の相手は、その名の通り白髪で、抽象的な顔立ちの少年『白金フブキ』………黒い帽子がトレードマークだ。その顔つきや声色から、礼儀正しく、物静かで大人しい性格であるのが伺える。

 

2年生であり、ここ最近頭角を表して来た、生粋の実力者だ。

 

 

「さぁ、1回戦第一試合、赤羽カレンさんと白金フブキ君の対戦です!!……両者、激しく熱かりしバトルスピリッツを開始してください!!」

 

 

実況席でアナウンサー夜宵がバトルの開始を促す。その横では早美アオイが解説席でお茶を嗜んでいる。

 

 

「あら、お話しする時間もあんまり無さそうですね………」

「まぁ夜宵お姉義さんがそう言うなら仕方ない。観客達を待たせるのも失礼だしな………じゃあ早速始めようか、白金フブキ」

「はい、こちらこそよろしくお願いします、赤羽カレンさん………無課金でクリアして見せますよ」

 

 

互いに己のBパッドを左腕に装着し、デッキをセットする。そして、観客達の期待感が高まっていく中、それは遂に開始される…………

 

 

………ゲートオープン、界放!!

 

 

いつものコールと共に、赤羽カレンと白金フブキによる、界放リーグ本戦最初のバトルスピリッツが幕を開ける。

 

先攻は白金フブキだ。トレードマークの黒い帽子を被り直すと、それを開始して行く。

 

 

[ターン01]白金フブキ

 

 

「僕のメインステップ、白のネクサス、凍れる火山を配置」

「ッ……凍れる火山か」

 

 

ー【凍れる火山】LV1

 

 

早速フブキが背後へと配置したのは凍てつく山岳、凍れる火山。白属性の汎用的なカードの1つであり、その効果は余りにも有名。

 

 

「知ってると思いますけど、凍れる火山は相手ターンで相手が手札を増加させた時、その数1枚につき1枚手札を捨てさせます。僕はこれでターンエンドです」

手札:4

場:【凍れる火山】LV1

バースト:【無】

 

 

要は手札が増えないと言う事だ。これを加味したカレンのターンが始まる。

 

 

[ターン02]カレン

 

 

「メインステップ。中々厄介なカードを使って来てくれるな………ならばこちらもネクサスを投入しよう、赤のネクサス、聖剣連山!!」

 

 

ー【聖剣連山】LV1

 

 

数多の聖剣が突き刺さっている山々がカレンの背後に出現。

 

 

「聖剣連山………貴女がそんなカードを使ったと言う記録はない。デッキを改めたんですか?」

「まぁな。私は妥当獅堂レオンのデスティニーガンダム。これは奴を攻略するためのカードでもある………ターンエンドだ」

手札:4

場:【聖剣連山】LV1

バースト:【無】

 

 

カレンはそのままターンを終える。互いに最初のターンはネクサス1枚配置のみと言う静かな滑り出しとなった。

 

 

[ターン03]フブキ

 

 

「メインステップ……ここでライダースピリット、エグゼイド・アクションゲーマーレベル2をLV1で召喚!」

「!」

 

 

ー【仮面ライダーエグゼイドアクションゲーマーレベル2[2]】LV1(1)BP2000

 

 

フブキの前方に出現した緑色の土管の中より飛び出して来たのは、ピンクの身体と愛らしい目つきをした、なんとも愉快な姿のライダースピリット、その名は仮面ライダーエグゼイド。

 

フブキの相棒となるライダースピリットだ。

 

 

「………これがエグゼイドか。やはり少し見た目が独特だな」

「見た目に油断していると痛い目見ますよ。召喚時効果でコア1つをトラッシュに………さらにもう2体アクションゲーマーを召喚!」

「ッ……同じスピリットを3体」

 

 

ー【仮面ライダーエグゼイドアクションゲーマーレベル2[2]】LV1(1)BP2000

 

ー【仮面ライダーエグゼイドアクションゲーマーレベル2[2]】LV1(1)BP2000

 

 

「召喚時効果でコア2つをトラッシュに!」

 

 

土管から飛び出て来ると言う、先程と全く同じやり方で2、3体目のエグゼイドアクションゲーマーが召喚される。その効果でフブキのトラッシュに次々とコアが溜まっていく。

 

 

「さぁ、ゲームを楽しもうエグゼイド。アタックだ」

 

 

直後にアタックステップに入る。3体いるアクションゲーマーの内1体が小槌のような武器を手に地を駆け抜ける。

 

 

「ライフで受けよう」

 

 

〈ライフ5➡︎4〉カレン

 

 

カレンのライフバリアは小槌を打ちつけられ、1つ砕け散った。先制点はフブキに譲ることとなる。

 

 

「ターンエンドです」

手札:2

場:【仮面ライダーエグゼイドアクションゲーマーレベル2[2]】LV1

【仮面ライダーエグゼイドアクションゲーマーレベル2[2]】LV1

【仮面ライダーエグゼイドアクションゲーマーレベル2[2]】LV1

【凍れる火山】LV1

バースト:【無】

 

 

2体のアクションゲーマーをブロッカーとして残し、フブキはそのターンを終える。

 

 

[ターン04]カレン

 

 

「メインステップ……仮面ライダーセイバーブレイブドラゴン、仮面ライダーブレイズライオン戦記をそれぞれLV1で召喚」

 

 

ー【仮面ライダーセイバーブレイブドラゴン[2]】LV1(1)BP3000

 

ー【仮面ライダーブレイズライオン戦記[2]】LV1(1)BP2000

 

 

赤き龍を纏いし剣士、仮面ライダーセイバーブレイブドラゴン。青き獣を纏いし剣士、仮面ライダーブレイズライオン戦記がカレンの場より出現。それぞれが持つ召喚時効果も余す事なく使用して行く………

 

 

「ブレイブドラゴンの召喚時効果。3枚見て対象のカードを手札に加える」

「ですが、僕の配置している凍れる火山により、加えた枚数と同じ数だけ手札を破棄してもらいます」

「知っている。続けてライオン戦記の召喚時効果、ブレイブドラゴンと殆ど同じだな、3枚見て対象のカードを手札に加える」

「では僕もまた凍れる火山!!」

 

 

欲しいカードは手札に加えられるも、その数だけ手札の破棄を要求される。あれだけサーチ効果を使用したと言うのに、カレンの手札は僅か3枚止まりだ。

 

だが見え見えの手であるためか、特に臆する事なく、淡々とした様子でターンを続けていき…………

 

 

「バーストをセット、聖剣連山のLVを2に上げてアタックステップ。行って来いブレイブドラゴン、ライオン戦記!!」

「2つともライフでもらいます!!」

 

 

〈ライフ5➡︎4➡︎3〉フブキ

 

 

赤い剣士と青い剣士。2人の卓越されたコンビネーションがフブキのライフを容易く斬り裂いて行く。

 

 

「まぁ、初撃はこんなものか、ターンエンド」

手札:2

場:【仮面ライダーセイバーブレイブドラゴン[2]】LV1

【仮面ライダーブレイズライオン戦記[2]】LV1

【聖剣連山】LV2

バースト:【有】

 

 

2体のスピリットでアタックを行ったカレン、できる事を全てやり終え、そのターンをエンドとする。

 

 

「さぁ盛り上がって来ました界放リーグ1回戦第一試合!!……ここまでの展開、アオイさんはどう思いますか?」

 

 

実況席にいるアナウンサー、紫治ヤヨイが解説席にいる高校生プロバトラー早美アオイに聞いた。彼女は笑顔で対応する。

 

 

「そうですね。互いにフィールドが暖まって来た所ですので、おそらく次の白金さんのターンから激化していくと思われます。特に赤羽カレンさんは『芽座椎名』に並ぶ界放市の英雄『赤羽司』の実の妹だとお聞きしてます。期待が高まりますね」

 

 

間もなくフブキのターンだ。アオイの言う通り、このターンから2人のバトルは激しく激化して行く…………

 

 

[ターン05]フブキ

 

 

「メインステップ……ここからが僕の本気、クリアして見せますよこのバトル」

「ほぉ、それは楽しみだ」

「アクションゲーマー1体のLVを最大に!」

 

 

ー【仮面ライダーエグゼイドアクションゲーマーレベル2[2]】(1➡︎5)LV1➡︎3

 

 

「そしてアタックだ!」

 

 

再び攻撃を仕掛けるフブキ。

 

口振りからしておそらくこのターンで大きく試合を動かそうとしているに違いない。カレンがそう考えた直後に彼は手札から1枚のカードを引き抜いて……………

 

 

「フラッシュチェンジ!!……仮面ライダーエグゼイドマキシマムゲーマーレベル99!!」

「!」

「効果により、相手スピリット1体を手札に。この時、場にエグゼイドスピリットがいれば、手札ではなく代わりに相手スピリット1体をデッキの下に戻します。ライオン戦記をデッキ下に!」

 

 

フブキの手札から放たれた1枚のカード。その効力によって、カレンのブレイズライオン戦記が粒子化してこの場より消滅した。

 

そしてチェンジの本領はこの後に行われる入れ替えだ。

 

 

「この効果発揮後、アタック中のアクションゲーマーとこのマキシマムゲーマーを入れ替える!!」

 

 

ー【仮面ライダーエグゼイドマキシマムゲーマーレベル99】LV3(5)BP15000

 

 

場にエグゼイドの目が胸部に全身に映し出された巨大な強化アーマーが出現。アクションゲーマーはその中へと格納され、レベル99の姿、マキシマムゲーマーへと強化を遂げる。

 

 

「レベル99。他のライダースピリットとは逸脱した姿、それが君のエースか?」

「いいや、僕のエグゼイドはここからさらに限界を越える事ができる。煌臨発揮、対象はマキシマムゲーマー!!」

「!」

 

 

マキシマムゲーマーが金色に光輝き、その強化アーマーからアクションゲーマーが射出される。アクションゲーマーはその金色の輝きの中、更なる進化を遂げていく…………

 

 

「輝け、流星の如く!!……黄金の最強ゲーマー!!……ハイパー大変身、仮面ライダーエグゼイドムテキゲーマーッ!」

 

 

ー【仮面ライダーエグゼイドムテキゲーマー[2]】LV3(5)BP18000

 

 

着地し、その姿を見せたのはアクションゲーマーではなく無敵のエグゼイド。その名も「エグゼイドムテキゲーマー」…………

 

金色に輝く長い髪がこれまでのエグゼイドよりもさらに濃ゆい印象を与える。

 

 

「これがエースか!」

「そう、僕はこのスピリットでこのバトルをクリアして見せる!!……ムテキゲーマーは相手の効果を一切受けない、さらに煌臨アタック時効果、相手のバースト1つを破棄!」

「!」

 

 

登場するなり天空高く飛び上がるムテキゲーマー。そこから最高打点で跳び蹴りを放ち、カレンの場に伏せられていたバーストカード「仮面ライダーセイバードラゴニックナイト」を消し去って見せる。

 

 

「さらに煌臨スピリットは煌臨元となったスピリットから全ての状態を引き継ぐ、チェンジ後のマキシマムゲーマーから煌臨した今のムテキゲーマーは回復状態でのアタック、しかもダブルシンボル!!」

「そうか、ならばライフだ!」

 

 

〈ライフ4➡︎2〉カレン

 

 

堂々とライフで受ける宣言、エグゼイドデッキ最強のスピリット、ムテキゲーマーの拳による一撃をカレンは己のライフバリアで受け止める。

 

そしてそれらがガラス細工のように砕け散って行く中、手札にあるカウンターカードを切る。

 

 

「ライフが減った事により、手札から絶甲氷盾の効果発揮」

「!」

「このバトルで君のアタックステップを強制的に終了だ」

 

 

彼女が使用したのはデッキ採用率もかなり高い防御マジック『絶甲氷盾〈R〉』…………

 

これにより、アタックステップは強制的に終了。

 

いくら無敵のムテキゲーマーといえどもそれは止められない。フブキがこのターン中にゲームをクリアする事は不可能となる。

 

 

「……ターンエンド。まさかたった2枚の手札の内1枚が防御札だったとは、流石剣帝、引きの強さも一級品ですか………ですが、いくら貴女といえどもこの状況をたったの1ターンでひっくり返すのは不可能なはず」

手札:2

場:【仮面ライダーエグゼイドムテキゲーマー[2]】LV3

【仮面ライダーエグゼイドアクションゲーマーレベル2[2]】LV1

【仮面ライダーエグゼイドアクションゲーマーレベル2[2]】LV1

【凍れる火山】LV1

バースト:【無】

 

 

「……不可能……か」

 

 

倒せはしなかったものの、冷静さは失っていない。白金フブキは帽子を被り直し、バトルに対する意識をより研ぎ澄ませながらそのターンをエンドとする。

 

迎えるは獅堂レオンに次いで現界放市ジュニアNo.2の少女、剣帝こと赤羽カレン。

 

 

[ターン06]カレン

 

 

「メインステップ………君は『アスラ物語』と言う小説を読んだ事があるか?」

 

 

メインステップ開始直後、唐突にカレンがフブキに聞いた。

 

 

「読んだ事はありませんが、有名ですよね。確かソウルコアを生まれながらに使う事ができない少年「アスラ」がライバルや強敵、仲間達と共に切磋琢磨して最強カードバトラーの証「頂点王」を目指す話でしたっけ」

「あぁ、概ねそんな感じだな」

 

 

『アスラ物語』…………

 

だいぶ昔にかなり話題になった小説であり、映像化もされた程。

 

 

「主人公のアスラは兎に角諦めないんだ。例えソウルコアがなくとも、どんな状況下に立たされても、もがいてもがいて、最後は築き上げて来た仲間の絆の力で勝利を掴む………笑われるかもしれないが、私はそんなカードバトラーになりたいと昔から思っている」

「………」

「詰まる話、私はどんな状況下に置かれても諦めないと言う事だ。鉄華オーカミとの再戦に勝利し、その先に来るであろう獅堂レオンとの戦いにも勝つまで、不可能を可能にし続けて見せる」

「……不可能を、可能に………」

 

 

小説内の架空の人物である「アスラ」と言う少年に憧れを抱いているカレン。言葉通り不可能を可能にして行くため、己のメインステップを再開して行く…………

 

 

「私はソードブレイヴカード火炎剣烈火を召喚し、場のブレイブドラゴンに直接合体!…そのままLVも2へとアップだ」

 

 

ー【仮面ライダーセイバーブレイブドラゴン[2]+火炎剣烈火】LV2(5)BP9000

 

 

セイバーブレイブドラゴンは己のベルトに差し込まれている赤き剣を引き抜く。その剣の名は火炎剣烈火。赤々と燃え滾る赤のソードブレイヴ。

 

 

「召喚時効果、ネクサス1つを破壊。厄介が過ぎる凍れる火山にはさよならしてもらおうか」

「!」

 

 

火炎剣を振い、セイバーブレイブドラゴンが赤い斬撃を飛ばす。凍れる火山はそれを受けて真っ二つ。堪らずその場から粒子化して消滅する。

 

 

「これで心置きなくドローができる。アタックステップ、ここで聖剣連山の効果を発揮、ソードブレイヴと合体中のスピリットのBPをプラス3000」

 

 

ー【仮面ライダーセイバーブレイブドラゴン[2]+火炎剣烈火】BP9000➡︎12000

 

 

カレンの背後に聳え立つ聖剣連山。突き刺さった剣達が赤々と輝くと、ブレイブドラゴンの持つ火炎剣もまた同じように輝きを放つ。

 

 

「ブレイブドラゴンでアタック!!……火炎剣の合体アタック時効果により、アクションゲーマー1体を破壊し、1枚ドロー!」

 

 

アタックステップに突入。セイバーブレイブドラゴンは再び火炎剣を振い、今度はアクションゲーマーを斬り裂く。

 

 

「くっ……だけどこの程度のスピリット、僕のムテキゲーマーの敵じゃない」

「フッ………この私が無策で突撃して来ると思ったか?」

「!?」

「見せてやろう。これが最強のセイバーだ!!……煌臨発揮、対象はアタック中のブレイブドラゴン……!」

 

 

カレンも煌臨の発揮宣言。セイバーブレイブドラゴンは青く光り、まるで宇宙創造、ビッグバンのような衝撃波をその身から解き放つ。それまさしく進化の兆しであり…………

 

 

「銀河を交えしその衣、聖剣と共に世界を救う……仮面ライダークロスセイバー……可憐に煌臨!!」

 

 

ー【仮面ライダークロスセイバー+火炎剣烈火】LV3(5)BP23000

 

 

銀河を交えしその鎧を身に纏うのは仮面ライダーセイバーが進化した姿、仮面ライダークロスセイバー。その身体には、ソードブレイヴと言う概念の叡智そのものが詰まっている…………

 

 

「く、クロス!?……なんだこれは、見た事がない」

「それはそうだ。何せこのカードは今年こそ獅堂レオンのデスティニーガンダムを打ち破るために投入した秘策なのだから……煌臨時効果、手札又はトラッシュからコスト5以下のソードブレイヴカードを10枚までノーコストで召喚できる」

「10枚!?」

 

 

赤羽カレンの秘密兵器クロスセイバー。ソードブレイヴを多量に呼び寄せるその効果は豪快極まりない。

 

 

「フッ……慌てるな、そんなに召喚はしない。今回は1枚だ。トラッシュから刃王剣十聖刃をノーコストで召喚、クロスセイバーと直接合体する」

「馬鹿な!?…クロスセイバーは既にブレイブドラゴンから引き継いだ火炎剣と合体しているはず………」

「クロスセイバーは通常では不可能な、ブレイヴ2つと合体できるダブルブレイヴ効果を可能にする力を持っている……!」

「なッ!?!」

「握ろ、刃王の剣……これがダブルソードブレイヴスピリット!」

 

 

ー【仮面ライダークロスセイバー+火炎剣烈火+刃王剣十聖刃】LV3(5)BP31000

 

 

片手を天に翳すクロスセイバー。その先に現れたのはこれまた銀河を交えし剣、その名も刃王剣十聖刃。クロスセイバーは火炎剣と共にそれを強く握り締め、通常のスピリットには不可能とされる、強力無比なダブルブレイヴスピリットとなった。

 

 

「不可能が、可能に……」

「刃王剣の効果、召喚時、BP7000以下の相手スピリット1体を破壊、効果で召喚されていればカードを2枚引く」

「!!」

「2体目のアクションゲーマーを破壊する」

 

 

刃王剣を軽く振い、青い斬撃を放つクロスセイバー。軽く振るったにもかかわらずその威力は凄まじく、アクションゲーマーはそれに直撃して一撃でノックダウン、堪らず爆散する。

 

これにより、フブキの場のスピリットは自身の最強スピリット、ムテキゲーマーを残すところとなった。

 

 

「火炎剣はコスト6以上のスピリットとの合体中、赤のシンボルを1つ追加する。さらにフラッシュ、クロスセイバーの更なる効果、ターンに一度だけ回復する」

 

 

ー【仮面ライダークロスセイバー+火炎剣烈火+刃王剣十聖刃】(疲労➡︎回復)

 

 

「トリプルシンボルの2回攻撃………だけどそれくらいじゃ僕のムテキゲーマーは止められない、ブロックだ!」

「ッ……やけに余裕だな」

 

 

クロスセイバーはダブル合体につき現在のシンボル数はトリプル。一度に3つのライフを破壊できるため、残りライフが同じく3のフブキは嫌でもそれをムテキゲーマーでブロックしなければならない。

 

ムテキゲーマーのBPは18000。カレンのクロスセイバーのそれを大きく下回ってしまっている。だがそれでもムテキゲーマーにはフブキが信用するに足り得る力を隠し持っていて…………

 

 

「ムテキゲーマーの更なる効果、このスピリットがブロックされたかした時、そのバトルしている相手スピリット1体を強制的にデッキの一番下に戻す」

「!」

「そのクロスセイバーが如何に強力だろうと関係ない、僕のムテキゲーマーの方が1枚上手だ!!」

 

 

ムテキゲーマーに二本の聖剣で斬りかかるクロスセイバー。しかしムテキゲーマーは目にも止まらない速さでそれを回避し、その後も翻弄して行く。

 

そしてクロスセイバーの一瞬の隙を突き、黄金の光纏った拳の一撃を入れようと急接近…………

 

しかし………

 

 

「甘いな。バトスピは強力無比なスピリットだけで戦うモノじゃないぞ………この瞬間、聖剣連山LV2の効果を発揮!」

「!?」

「コスト13以上の合体スピリットが相手スピリット、マジックの効果の対象となる時、自分の手札1枚を破棄する事でその効果を受けなくする」

「な、なに!?」

「クロスセイバー!!」

 

 

ムテキゲーマーの動きを読んでいたクロスセイバー。二本の聖剣を振い、殴りかかって来たそれに強烈なカウンター攻撃をお見舞いする。

 

そしてその威力に大きなダメージを受け、怯むムテキゲーマーにトドメの一閃。ムテキゲーマーはその場で大爆発を起こし、クロスセイバーの勝利に終わる。

 

 

「……そんな、僕のムテキゲーマーが」

「………中々見ものだったぞ。トドメのアタックだ、クロスセイバー!!……火炎剣の効果で1枚ドローし、刃王剣の効果でその効果をもう一度発揮」

「!」

 

 

息つく間もなくクロスセイバーで再度攻撃を仕掛けるカレン。2つのソードブレイヴの効果を巧みに使いこなし、あれだけ消費させられた手札を回復させて行く。

 

このトリプルシンボルの攻撃、ムテキゲーマーを失ってしまった今、フブキはこれを受け切る手段はなくて…………

 

 

「………ゲームオーバーですか……ライフで受けます」

 

 

〈ライフ3➡︎0〉フブキ

 

 

火炎剣と刃王剣を振り下ろしたクロスセイバーの一撃が、フブキのライフバリアにクリーンヒット、残っていたそれを全て粉々に粉砕する。

 

これにより、勝者は赤羽カレンだ。会場のモニターに彼女の顔写真とwinnerのロゴが映ると、会場は爆音のような歓声を上げ、それを讃えた。

 

 

「うわ〜〜…私剣帝さんのバトル初めて生で観ちゃった、やっぱりカッコいいな〜」

「あのお姉さんはまぁまぁって感じかな。私の方が遥かに強いし」

「流石ライちゃん!」

 

 

観客席にいるフウとライがそう会話する中、ライは今大会のトーナメント表を確認し、次の試合があの時の赤い髪の少年、オーカである事を認識すると、席を立ち上がる。

 

 

「どうしたライ、トイレか?」

 

 

ヨッカがライに聞いた。

 

 

「な訳ないでしょ。次はあのバカの試合だからちょっと揶揄って来るだけよ」

「………やっぱり気になるんだ」

「気になってない!」

 

 

フウにそう言われて顔を赤くするが、言葉では全否定。正直側から見たらただの『ツンデレ』…………感情を全く隠しきれていない。

 

 

「取り敢えず私ちょっと席出るから、空けててよね」

「は〜い」

「あんまり目立つ行動は控えろよライ、後でお師匠に大目玉食らうのはオレなんだから」

「わかってるわよ」

 

 

春神ライが観客席を立つ。行き先は、ちょっと気になる男の子…………

 

 

「……太刀筋は悪くなかったぞ。特に最初の凍れる火山は厄介だった」

 

 

歓声が集まってくる中、舞台に立つカレンがフブキに告げた。今の自分ではどう足掻いても彼女に勝つ事はできない事を理解したフブキは悔しさを押し殺しながら笑顔を作り………

 

 

「………いつか、貴女のバトルも攻略して見せますよ」

「1回戦の一試合目に相応しい熱いバトルでした!!……ご来場の皆様、2人に盛大な拍手を!!」

 

 

フブキが言い返すと、アナウンサーの紫治夜宵がマイクを片手に拍手を促す。2人が舞台から降り、いなくなるまでその拍手喝采は続いた…………

 

そして…………

 

 

「さぁ、続きまして第二試合は、鉄華オーカミ君と鈴木イチマル君です!!」

 

 

夜宵がそうコールすると、会場の巨大なモニターにオーカとイチマルの顔写真が映し出される。

 

 

「………やっとこの時が来た。待っていろ鉄華オーカミ、あの時のようにはいかないぜ………この界放リーグ、絶対優勝して、絶対兄ィに認められるんだ」

 

 

控室にて、己の兄『鈴木レイジ』の顔を浮かべながらそう呟くイチマル。オーカの数少ない友人である彼は、密かにオーカへのリベンジに燃えていて…………

 

 

 




次回、第18ターン「リベンジマッチ、バルバトスVSゼロワン」
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