バトルスピリッツ 王者の鉄華   作:バナナ 

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第32ターン「超・激突、爆走番長」

残暑が残る9月1日。鳩のなんとも言えない呑気な鳴き声が響き渡る朝方。

 

制服を着用している鉄華オーカミは、眠そうに欠伸をしながら中学校の校門を潜る。今日から2学期が幕を開けるのだ。

 

そんな彼に声を掛けるのは、同じ歳の少女、一木ヒバナ。

 

 

「ヤッホーオーカ」

「うん、おはよう」

「今日から2学期だね」

「まぁ、これと言って何か変わるわけじゃないと思うけど」

「そんな事言わないの。夏休みの宿題はちゃんとやった?」

「…………ギリギリ」

 

 

この様子だと、昨日の夜は相当遅くまで机に齧り付いてたに違いない。下手をすれば朝方までやっていて、寝ていない、なんて事もあり得るだろう。

 

 

「もう、オーカはホント、いつも好きな事優先しちゃうんだから〜」

「………なんかヒバナ、姉ちゃんみたいになって来たな」

 

 

と言いつつ、オーカミがまた欠伸をする。

 

2人は校舎の中に入ると、それぞれの上履きを取るために靴箱の方へ歩み寄る。そして、土足を直して、上履きを履いた直後、オーカミはまた誰かに声を掛けられる。

 

 

「鉄華オーカミ君、ですよね?」

「………誰、あんたら」

 

 

合計で10人くらいの女子生徒らに囲まれる。

 

 

「界放リーグでの試合、全部観てました!!」

「獅堂レオン様との試合に、とても感激して!!」

「私達、あなたのファンになっちゃいました!!!」

「は?」

 

 

界放リーグ後、かなり知名度が上がってしまった鉄華オーカミと鉄華団。

 

特に決勝戦でのレオンとの試合が、彼に多くのファンを作ってしまっていた事を、まだ知らなくて…………

 

 

「テレビで観るよりずっと小さいんだね、可愛い〜〜」

「カドショでバイトしてるってホント??」

「…………うざい」

 

 

あまりこう言うのは好きではないオーカミ。彼女らに対してめんどくさそうな態度で一蹴するも…………

 

 

「鉄華団のカードって、どこで売ってるんですか??」

「オーカミ君とお揃いのデッキ組みたい!!」

「組みたい!!」

「…………」

 

 

代わる代わる質問攻めして来る女子生徒たち。昨日徹夜した事もあって、流石にちょっと疲れて来た。

 

 

「うわ〜〜人気だなオーカ………ちょっとなんか、妬けるかも」

 

 

校舎に入ってから、ファンの女子生徒たちの渦に巻き込まれてしまったオーカミを見ながら、そう呟くヒバナ。

 

彼の凄さを理解してくれる人が増えるのは嬉しい事なのだが、いかんせん嫉妬してしまう。

 

 

「そう嘆く事はないさヒバナちゃん………なんてったって、ヒバナちゃんにはこの鈴木イチマルがいるのだから!!」

「ゲッ……イチマル」

「『ゲッ』って何!?」

 

 

彼らよりも1学年上の鈴木イチマルが現れる。ゼノンザードスピリットと言うカードのせいで色々と揉めてしまっていた事は記憶にも新しい。

 

だが、今ではすっかりその関係に生じていた亀裂は元通りだ。

 

 

「オーカミは今年の界放リーグ準優勝者だからな〜〜しかもあの獅堂レオンを後少しのところまで追い詰めたし。そりゃ人気出るよね」

「私も一応ベスト4なんだけどな〜〜」

「オレっちもベスト8なんだけどな〜〜」

 

 

2人して人気に差が出ている事を嘆く。この街、引いてはこの世界はつくづくバトルスピリッツとその結果こそが全てなのだと痛感させられる。

 

まぁ、その程度のこと、本当は2人にとってどうでもいい事ではあるのだが。

 

 

「ところでさ。今日放課後、アポローンでオレっちと久しぶりにバトスピしない?」

「あら、ホントに久しぶりね。また勝ったらデート?」

 

 

イチマルがヒバナにそう告げる。因みに彼らの戦績はヒバナの全勝でイチマルの全敗である。

 

 

「はは、まぁそれもあるっちゃああるんだけどさ。シンプルに新しいデッキ組んだから試したいんだ」

「へぇ〜〜新しいデッキ」

「もちろん、ヤクーツォークは抜いたぜ!!……正々堂々勝負だぜ、ヒバナちゃん!!」

「うん、わかったわ。臨むところよ!!」

 

 

オーカミが多くの女子生徒たちに囲まれてしまっている中、ヒバナとイチマルは放課後、バトスピの約束を取り付けた。

 

 

「ねぇねぇいいでしょオーカミ君〜〜Bパッドのアドレス教えてよ〜〜」

「嫌だ」

「そう言うクールなところも素敵〜〜!!」

「なんかやばいな、コイツら」

 

 

女子生徒たちからなかなか逃げられないオーカミ。正直鬱陶しくて困り果てている。

 

そして、そんな彼に視線を送る人物がもう1人、物陰にいて…………

 

 

******

 

 

 

チャイムが鳴り響き、始まる放課後。

 

そう言っても、まだまだ昼間だ。今日は始業式であるため、まともな授業はまだ始まらない。同じクラスのオーカミとヒバナは、荷物を整え、教室を後にする所だ。

 

 

「ねぇオーカ。この後イチマルとアポローンでバトスピする約束してるんだけどさ、一緒に来る?……今日はバイト休みなんでしょ?」

「あぁ、ごめん。今日はちょっと寄るところがあって」

「そうなんだ。じゃあ気が向いたら来てね」

「うん」

 

 

ヒバナからの誘いをキッパリと断る。彼にとっても、ヒバナとイチマルのバトルは是非見て行きたいが、今日はそれ以上に行きたい場所があった。

 

 

「それじゃ、私イチマルのところに行って来るね、お疲れ様!」

「うん、お疲れ」

 

 

イチマルを呼びに、上級生のいる上階へと向かうヒバナ。オーカミも切り替えて「よし、行くか」と呟き、校舎を後にしようとしたものの…………

 

 

「オーカミ君〜〜!!!」

「ゲッ……さっきの人達」

 

 

また物好きな連中に声を掛けられる。朝の事もあって、オーカミは背中に寒気が走るのを感じた。

 

 

「放課後はどこに行くの?」

「決まってるでしょ、バイト先のカードショップだよね?」

「ねぇねぇ着いていきましょ!!」

「いいねそれ!!」

「そうしよそうしよ〜〜!!」

「………うざい」

 

 

またまた困った事になる。

 

まともに話を聞いてくれる連中じゃないのは重々承知してるし、バトスピで薙ぎ払ってもどうせまたついて来るのも目に見えている。「いい加減にしろ」と、殴り飛ばす事もできるが、姉であるヒメから「女の子を傷つけてはダメ」だと教えられているからそれも敵わない。

 

完全に八方塞がりだ。どう考えてもこの状況は詰み。

 

 

「あ、そう言えばオーカミ君のお家ってどこにあるの??」

「ね、それめっちゃ聞きたい!!」

「聞きたい聞きたい!!」

「………教えるわけないだろ」

 

 

めちゃくちゃ詰め寄られる。このままだと本当に根負けして色々と個人情報が露呈しそうだ。

 

しかし、そんな困り果てた彼にも助け舟が現れる。

 

 

「おい、鉄華!!」

「!」

「よお久し振りじゃねぇか、探したぜ」

 

 

中学生にしてはヤケに図太い声が脳に響く。

 

だがこれは結構聞き慣れている声の1つ。

 

 

「あぁ、モスジマ」

「違ぇよ、ブスジマだよ!!……ふざけんなよオマエ、いつになったらオレの名前覚える気だ。どんだけオレをモスに行かせたいんだよ!!」

「ごめんごめん…………コスジマ?」

「だからブスジマだっつってんだろ!!……何、何かのコスプレでもすんの!?」

 

 

この中学では札付きの3年、ブスジマだ。彼の兄など、なんやかんやで色々あってこんな感じの関係に落ち着いている。因みに彼の本名は「毒島トウヤ」………

 

そんな彼の登場により、オーカミを好いてここに来ていた周囲の女子生徒らに、ある変化が生じる。

 

 

「え………」

「オーカミ君って、ブスジマなんかと仲良いんだ」

「へ〜…………」

「帰ろっか」

「うん、そうだね。帰ろ帰ろ」

 

 

好感度と言うものは、意外とすぐに下がる。オーカミが素行的にも見た目的にも全く人気のないブスジマと仲が良いものと勘違いされたために、彼を取り巻こうとしていた女子生徒らは興が冷め、次々とこの場を後にしていく…………

 

 

「おぉ、なんだなんだ、あの女子生徒たち。オレ様のファンか何かか??……ガハハハ!!……有名になったもんだな、まぁ、あの毒島富雄の弟だから当然っちゃあ当然だが」

「………オマエってアレだな。なんか悲しいな」

 

 

とにかく、この場はそんな不人気極まりないブスジマのお陰様で助かった。

 

これで何も問題なくあそこに行ける。

 

そう思っていたが、ブスジマが突然思い出したように声を荒げ…………

 

 

「あっ……そうだそうだ、オマエを探してたんだよ。ちょっと来い!!」

「え……いや、悪いけどオレこれから寄るところが」

「んなもん後にしやがれ、さっさと行くぞ」

「は?……おい!」

 

 

一難去ってまた一難とはまさにこの事だ。

 

急ぎの用事なのか、ブスジマはオーカミの手を引っ張り、半ば強引に校舎外へと連れ出した。

 

 

ー…………

 

 

 

あれから数分が経過した。ブスジマがオーカミを連れて来た場所は、彼のような不良人間が蔓延るにはうってつけで、一切日の当たらない体育館裏。

 

 

「………で、オレをこんなところに呼び出して何のようなの?」

 

 

オーカミがブスジマに聞いた。

 

 

「オレ様だってオマエにようはねぇよ。でもあの人がな………」

「あの人?」

 

 

ブスジマがそう言って、オーカミではない誰かに指を差し向けた。その先には、彼を待ち受けているかの如く、背中を向け、仁王立ちで構えている男が1人いて…………

 

 

「番長!!……連れて来ましたぜ」

「……番長?」

 

 

聞き慣れないその単語に耳を疑う。まさかここまで科学が発達して時代に番長とは…………

 

その番長と呼ばれる男子生徒は、ブスジマの声に反応し、振り向く。その際にはだけた学ランと下駄、腰に備え付けられた木刀など、いかにもと言った身だしなみを見せる。身長は180はありそうで、中学生にしてはかなりデカい方だろう。

 

 

「よぉ待ってたぜ、鉄華オーカミ」

 

 

ブスジマよりもさらに低い声で、尚且つ豪快な声色をしている番長の少年が、そう告げる。顔は声の割には凄まじくイケメンであり、はだけだ学ランから覗かせる上半身はとても筋肉質である。

 

 

「………誰だあんた」

「おい馬鹿、なんだその口の聞き方は!?!」

「なに」

「なにじゃねぇ!!……うちの学校の番長ぞアホ!!……あんま舐めた口聞くとしばかれるぞ!?」

「ふーーん。そんな凄いのか、番長って」

 

 

ブスジマに言葉遣いを注意される。

 

オーカミは「番長」と言う呼び方にあまり大きな価値観を見出せないが、目の前のそう呼ばれている男は、どうやらそれ程の男らしい。いや「男」と言うよりかは「漢」と称するべきなのだろうか。

 

 

「そんな事気にすんじゃねぇよブスジマ。喋り方なんて人それぞれだ、好きに喋らせろ」

「ヘイ……すんません」

 

 

あの頑固なブスジマが深々と頭を下げながら謝罪する。

 

 

「悪りぃな。自己紹介がまだだったぜ、オレ様の名は「(とどろき)レッド」………この学校の3年で、番長を張らせてもらってる男だ」

「鉄華オーカミ………です」

「ダァァハッハッハ!!……舎弟の言葉通り、無理に敬語なんて使おうとすんなよ、好きに話せ」

 

 

番長である男の名前は「轟レッド」………

 

言われるまでもなく、この学校の番長であり、喧嘩もバトスピも一流の男。

 

因みにブスジマを1年くらい前にしばき倒して舎弟にした経緯がある。故に同じ中3だと言うにもかかわらず、ブスジマは彼に頭が上がらない。

 

 

「………で、その番長がオレになんのようだ」

 

 

早速タメ口で、オーカミがレッドに聞いた。彼はそんなオーカミにまた笑わされながらも答える。

 

 

「ダァァハッハッハ!!……言ったそばからホントにタメ口聞くのかよ、噂通り最高だなテメェ!!……いやなに、界放リーグで準優勝したとか言うテメェの実力を、是非ともこの身で味わいたくてな」

「はぁ」

「どうだ一戦、このオレと交えねぇか」

 

 

オーカミが界放リーグで準優勝したと言う事を耳にした番長のレッドは、その好戦的な性格から、興味が沸き上がり、今に至る。

 

自分から挑んで来るあたり、彼もおそらくかなりの実力者なのだろう…………

 

だが。

 

 

「嫌だ」

「そうかそうか、快く引き受けてくれるか……………って、えぇぇ!?!……なんでだァァァァァァ!!!」

「番長からのバトルの誘いをキッパリ断るとかどう言う神経してんだテメェェェェ!!!」

 

 

即答で断るオーカミに、2人して声を荒げるレッドとブスジマ。

 

そんな騒々しい2人に対して、オーカミは「うるさいな」と、辛辣な感想を口にする。

 

 

「おい待て、なんでだ!?……どう考えてもバトルする流れだったろ、今、ここで!!」

 

 

狼狽え、焦りを見せながら、レッドがオーカミに聞いた。

 

 

「いや、でもオレ、今日行く所あって………また今度じゃダメか?」

「ダメだ。オレ様は今日、今ここでテメェとバトルがやりテェんだよ」

「…………」

 

 

切羽詰まったレッドにそう言われ、オーカミは少しの間だけ、指先を顎に当てながら思考してみる…………

 

そして。

 

 

「そっか………じゃあ、また今度な」

「オレの話聞いてた!?」

 

 

諦め、レッドとブスジマに背を向けて帰ろうとする。

 

どうしても彼とバトスピがしたいレッドは、怒りに歯軋りしながら、最終手段を口にして………

 

 

「………逃げるのかよ」

「!」

 

 

それだけでオーカミの動きは制止した。

 

 

「界放リーグ準優勝者に輝けるような奴が、一介のカードバトラーに背を向けるなんざ、情けねぇ…………オレだったら、なりふり構わずバトルを受けるぜ。それが自分より強い奴なら尚更な」

「…………」

 

 

ヤケに逃げづらい状況が出来上がってしまった。カードバトラーと言うのは、なんとも不憫な生き物だ、この手の言葉を投げ掛けられてしまうと、バトルの誘いを断らずにはいられなくなってしまう……………

 

 

「………はぁ、仕方ないな」

「よぉし、そう来なくちゃな!!」

 

 

内心では「めんどくさいな」と思いながら、頭を掻きつつも、致し方なくそのバトルの誘いを受けるオーカミ。

 

ようやくその気になってくれた彼に、レッドは勢いよく懐からBパッドを取り出し、左腕にセット、最後に己のデッキをそこに装填し、準備を終える。

 

 

「………何回も言うけど、今日は寄るところがあるんだ。さっさと終わらせるよ」

 

 

オーカミがめんどくさそうにBパッドを取り出し、同様にバトルの準備を完了させながら、レッドに告げた。

 

 

「ダァァハッハッハ!!……このオレ様を相手に『さっさと終わらせる』と来たか。やっぱり面白い男だなテメェは。だがよ、さっさと終わるのはテメェの方になるかもしれねぇぜ」

「!」

 

 

学校の名を背負う「番長」と言う大きい器の存在なのもあってか、界放リーグ準優勝者のオーカミを相手にヤケに大きく出るレッド。

 

そんな彼から滲み出るように溢れ出る気迫は、オーカミに軽いプレッシャーを与えるには十分だった。

 

だがまぁ、その程度で狼狽えるようなオーカミではないが…………

 

 

「だったらそうしてみろよ。行くぞ、バトル開始だ」

「おうよ、来やがれ!!」

 

 

………ゲートオープン、界放!!

 

 

オーカミの通う中学校、その『体育館裏』と言う、不良やヤンキー、ガラの悪い生徒と絡むテンプレのような場所にて、鉄華オーカミと、この学校の番長轟レッドによるバトルスピリッツが幕を開ける。

 

先攻はオーカミだ。早く終わらせるために第1ターンを進めていく。

 

 

[ターン01]鉄華オーカミ

 

 

「メインステップ………ガンダム・バルバトス第1形態をLV1で召喚」

 

 

ー【ガンダム・バルバトス[第1形態]】LV1(1)BP2000

 

 

「召喚時効果でデッキから3枚オープン……モビルワーカーを手札に加えて、残りは破棄」

 

 

オーカミの場に呼び出される最初のスピリットは、相棒であるガンダム・バルバトス、その第1形態。

 

効果により、1コストの軽量スピリット「鉄華団モビルワーカー」のカードを1枚回収させた。

 

 

「それが噂のバルバトスか。カッコいいじゃねぇか」

「………ターンエンド」

手札:5

場:【ガンダム・バルバトス[第1形態]】LV1

バースト:【無】

 

 

オーカミによる先攻の第1ターンが終わり、次は番長レッドのターンへと移る。

 

 

[ターン02]轟レッド

 

 

「メインステップ!!」

「番長、あんな奴、コテンパンにのしちゃってくださいよ!!」

「おうよブスジマぁ、先ずはブレイドラXを召喚だ」

 

 

ー【ブレイドラX】LV1(1)BP1000

 

 

ブスジマからの声援に応えるように召喚した最初のスピリットは、オレンジの体色を持つ小型のドラゴン。

なのだが、ひよこに見える愛らしいスピリット、ブレイドラX。

 

 

「続けて、仮面ライダードライブ タイプスピードをLV2で召喚するぜ!!」

「!」

「不足コストはブレイドラXから確保だ」

 

 

ー【ブレイドラX】(1➡︎0)消滅

 

ー【仮面ライダードライブ タイプスピード】LV2(3)BP5000

 

 

レッドのフィールドに、爆音を立てながら、爆速で参上したのは、赤い装甲を持つライダースピリット「仮面ライダードライブ タイプスピード」………

 

胸部にタイヤが挟まっているのが、とても特徴的だ。そのスピリットの召喚の不足コストの確保により、ブレイドラXは僅か数秒で消滅してしまう。

 

 

「……ライダースピリット」

「おうよ。オマエの相棒がバルバトスなら、オレ様の相棒はドライブだぜ………召喚時効果、3枚オープンし、その中の対象カードを加える………オレはこの「ドライブ タイプワイルド」を手札に加えて、残りを破棄だ」

 

 

ドライブタイプスピードが発揮できる効果は、オーカミのバルバトス第1形態と全く同じ。轟レッドはその効果で手札を増やした。

 

 

「アタックステップ……タイプスピード、一発かまして来いや!!」

 

 

直後にアタックステップへと突入し、タイプスピードで攻撃を仕掛ける。

 

そのBPは5000。オーカミの場にいるバルバトス第1形態はBP2000であるため、ここはまだ5つもあるライフで受けるのが定石であるが…………

 

 

「タイプスピードのもう1つの効果【超・激突】を発揮!!」

「超激突?」

「なんだ知らねぇのか、なら説明してやる……【超・激突】を持つスピリットのアタックは、可能なら必ずスピリットでブロックしなければならない」

「!!」

「察したか!!……さぁ、バルバトス第1形態でブロックしな!!」

「………バルバトス第1形態でブロックだ」

 

 

相手にブロックを強制させる【超・激突】の効果を発揮するタイプスピード。

 

致し方なくブロックに駆り出されたバルバトス第1形態をスピード翻弄、最終的には胸部に強烈なライダーキックをヒットさせ、爆散させた。

 

 

「くっ………」

「どうだ、これがオレ様のドライブが持つ十八番【超・激突】よぉ!!……ターンエンド」

手札:4

場:【仮面ライダードライブ タイプスピード】LV2

バースト:【無】

 

 

ライフではなく、スピリットだけを破壊する【超・激突】の効果。

 

それを活かして早速出鼻を挫かれたオーカミだが、まだバトルは始まったばかり、負けじと巡って来たターンを進めていく。

 

 

[ターン03]鉄華オーカミ

 

 

「メインステップ………モビルワーカーを2体と、ランドマン・ロディを召喚」

 

 

ー【鉄華団モビルワーカー】LV1(1)BP1000

 

ー【鉄華団モビルワーカー】LV1(1)BP1000

 

ー【ランドマン・ロディ】LV2(2S)BP3000

 

 

車両型の支援機「モビルワーカー」が2体と、白と橙色を基調とした、全体的に丸みを帯びている小型のモビルスピリット「ランドマン・ロディ」が新たに召喚される。

 

 

「アタックステップ……必ずブロックしないといけなくなるなら、フルアタックしてブロックできない状況を作るだけだ。モビルワーカー!!」

 

 

そう告げると、モビルワーカー1体にアタックの指示を送るオーカミ。セリフからして、その狙いは、回復状態で残っていればブロックしないといけなくなる【超・激突】を回避するために、全てのスピリットでアタックし、疲労させるためと見ていいだろう。

 

 

「その攻撃、ライフで受け止めてやる!!」

 

 

〈ライフ5➡︎4〉轟レッド

 

 

突撃するモビルワーカーの体当たりが、レッドのライフバリアを1つ砕く。

 

幸先の良い1点。オーカミは更なるアタックを行うべく、次のスピリットへと手を伸ばすが…………

 

その前にレッドは口角を上げ、このタイミングで使用できるカードを、己のBパッドへと叩きつけた。

 

 

「オレのライフが減った事により、手札から絶甲氷盾の効果を発揮!!」

「!!」

「これでテメェのアタックステップは終了する!!」

 

 

使用したのは汎用性の高い白属性の防御マジック『絶甲氷盾〈R〉』………

 

その効果により、オーカミのアタックステップは強制的に終了して、エンドステップとなる。

 

さらに、ただアタックステップが終わっただけでなく、初撃で使用されたため、オーカミの場にはまだ回復状態の2体のスピリットが残っている事が厄介で…………

 

 

「ダァァハッハッハ!!……【超・激突】の弱点をオレ様が知らないとでも思ったか。この手の対策は万全だぜ」

「………ターンエンド」

手札:3

場:【ランドマン・ロディ】LV2

【鉄華団モビルワーカー】LV1

【鉄華団モビルワーカー】LV1

バースト:【無】

 

 

結果的に【超・激突】の当て馬にされるスピリットが2体も残り、オーカミはそのターンをエンドとせざるを得なくなった。

 

次は【超・激突】をする気満々のレッドのターン。勢いよくそのターンシークエンスを進めていく。

 

 

[ターン04]轟レッド

 

 

「メインステップ。先ずはブレイドラXを召喚」

 

 

ー【ブレイドラX】LV1(1)BP1000

 

 

レッドのフィールドに、合計で2体目となるブレイドラXが召喚される。

 

そしてその直後に、また手札からカードを引き抜く。

 

 

「そんでもって、次はコイツだ。仮面ライダードライブ タイプワイルド、LV2で召喚!!」

 

 

ー【仮面ライダードライブ タイプワイルド】LV2(3)BP5000

 

 

「不足コストはタイプスピードをLV1に下げて確保するぜ」

 

 

タイプスピードの横に並び立つ、新たな銀色のライダースピリット。その名もドライブ・タイプワイルド。

 

タイプスピードとは異なり、胸部ではなく右肩にタイヤがあるのが特徴的。そのせいか、ワイルドの名の通り、かなり厳つく見える。

 

 

「アタックステップ!!……タイプワイルドでアタック、その効果で1枚ドローし【超・激突】だ!!」

「ッ……そいつも【超・激突】持ってるのか」

「当然……【超・激突】はオレのドライブの伝統芸だからな」

 

 

フィールドを爆走するタイプワイルド。その【超・激突】の効果により、オーカミはモビルワーカーかランドマン・ロディでのブロックを強要される。

 

 

「ランドマン・ロディでブロック」

 

 

取っ組み合いを始めるタイプワイルドとランドマン・ロディ。モビルスピリットと言うこともあって、小型でもライダースピリットよりかは幾分か巨体なランドマン・ロディが僅かに押すが、タイプワイルドも負けてはいない。

 

 

「このブロックされたタイミング、手札から赤のブレイヴ「トライドロン」の効果を発揮するぜ!!」

「なに……このタイミングでブレイヴ効果!?」

「手札からこのカードをノーコストで召喚する。この効果で、バトル中のタイプワイルドに直接合体!!」

 

 

ー【仮面ライダードライブ タイプワイルド+トライドロン】LV2(3)BP11000

 

 

突如として現れ、戦闘に乱入する赤き車両トライドロン。

 

それはランドマン・ロディを撥ね上げると、隙を見てタイプワイルドがその中へと入り、運転する。そしてそのまま上空へと跳び上がり、宙に上がったランドマン・ロディを貫き、爆散させた。

 

 

「ダァァハッハッハ!!……まるで手応えがねぇな!!」

 

 

圧倒的すぎるタイプワイルドの勝利に高笑いするレッド。だが、オーカミもただでは転ばない。

 

 

「この瞬間、ランドマン・ロディの破壊時効果!!」

「!!」

「相手の疲労状態のスピリット1体を破壊し、デッキから1枚ドロー………オレは、タイプワイルドを破壊する」

「な、なんだと!?」

 

 

上手く着地したトライドロン。だが、その中には既にランドマン・ロディが仕掛けた爆弾があり…………

 

気づいた頃には遅かった。爆弾は起爆し、トライドロンは中のタイプワイルドごと吹き飛ばされ、爆散していった。

 

 

「ふぅ……なんとか1体は潰せたか」

 

 

最近新しくデッキに投入した「ランドマン・ロディ」を大いに活かし、強烈なカウンターを炸裂させたオーカミ。

 

対するレッドは攻め手を失い、このターンは大人しくエンドと宣言…………

 

するわけがなく。

 

 

「ダァァハッハッハ!!」

「!?」

 

 

突然劣勢になったと言うにもかかわらず、まるでこの状況が面白いと言わんばかりに、口を大きく開けて笑い出した。

 

 

「鉄華オーカミ。テメェはやっぱオレ様の見込んだ通り、面白い奴だ………信じてたぜ、テメェがドライブの【超・激突】に合わせて、手痛いカウンターを仕掛けて来るのをな」

「………どう言う意味」

「それを今から教えてやる!!」

 

 

そう告げると、レッドは再び手札から1枚のカードを引き抜き、Bパッドへと叩きつけた。

 

 

「手札にある仮面ライダードライブ タイプトライドロンの効果を発揮、自身をノーコスト召喚する!!」

「!?」

「爆走、爆速、爆裂!!………オレ様の赤き最強ライダースピリット、仮面ライダードライブ タイプトライドロン、LV2で召喚!!」

 

 

ー【仮面ライダードライブ タイプトライドロン】LV2(3)BP12000

 

 

トライドロンの爆発による爆炎と爆煙のエネルギーを体内へと吸収していく、何かがいた。

 

その何かは完全にそれらを吸い尽くすと、偉大なる赤き姿を見せる。名はタイプトライドロン。仮面ライダードライブの最強の姿だ。

 

 

「破壊をトリガーに、別のライダースピリットを召喚した……!?」

「おうよ。これこそがタイプトライドロンの効果、トライドロンと合体したスピリットがフィールドを離れる時、手札からノーコスト召喚できる」

 

 

レッドはオーカミが【超・激突】にカウンターを仕込める程のカードバトラーだと見込んでいたので、それを逆手に取った。

 

そして、その逆手に取って召喚したタイプトライドロンが、オーカミへと牙を剥く。

 

 

「そして、オレのアタックステップはまだ終了していないぜ。アタックだ、タイプトライドロン!!……コイツも当然【超・激突】だ!!」

「ッ………モビルワーカーでブロック」

 

 

タイプトライドロンのアタック、ライフでは受けれないため、オーカミはこれを残ったモビルワーカーでブロックする。

 

フィールドでは、特攻を仕掛けるモビルワーカーを、タイプトライドロンが受け止めて、そのまま軽々と持ち上げる。

 

 

「タイプトライドロンの更なる効果、ブロックされた時に回復する」

「!!」

「つまりもう一度アタックできるようになる。流石は番長のエースカードだぜ!!」

 

 

ブスジマがそう反応すると、フィールドにいるタイプトライドロンは回復状態となり、このターン中は更なる追撃が可能となった。

 

さらに、軽々と持ち上げたモビルワーカーを勢いよく地面へと叩き落とし、爆散させる。

 

 

「まだまだあるぜ、タイプトライドロンをブロックしたスピリットが破壊された時、相手ライフを2つ破壊する!!」

「ぐっ………」

 

 

〈ライフ5➡︎3〉鉄華オーカミ

 

 

取り出した青い砲手を構え、タイプトライドロンはそこから真っ赤に光るエネルギー砲を放つ。

 

オーカミのライフバリアは、それに被弾し、あっという間に2つも砕け散った。

 

 

「………モビルワーカーの破壊時効果、デッキの上から1枚を破棄して1枚ドロー………」

「続け、ブレイドラX!!」

「………それもライフだ」

 

 

〈ライフ3➡︎2〉鉄華オーカミ

 

 

ブレイドラXが小さい口から放つ小さい炎、それがオーカミのライフバリア1つを焼き払う。

 

これで残り2つ。僅か4ターン目だと言うにもかかわらず、そのライフはもうこのターンだけで尽きようとしていた。

 

 

「『さっさと終わる』のはやっぱテメェの方だったな!!……最後のアタックだ、ダブルシンボルを持つ、タイプトライドロンでアタック!!」

「………」

 

 

トドメだと言わんばかりのアタック宣言。タイプトライドロンは、再び青い砲手を構える。

 

これを受けて仕舞えば、ライフが尽き、オーカミの敗北が確定する。

 

だが、寧ろここからが彼の逆襲の始まりであった。

 

 

「フラッシュマジック、ネクロブライト!!」

「!」

「効果により、トラッシュからコスト3以下の紫のスピリットを復活させる………戻って来い、バルバトス第1形態!!」

 

 

ー【ガンダム・バルバトス[第1形態]】LV1(2)BP2000

 

 

放ったマジックカードは、地の底よりバルバトス第1形態を蘇らせる。

 

 

「バカが、今更そんなスピリットを出したところで結果は変えられねぇ、【超・激突】の餌食になるだけだぞ!!」

「………」

 

 

レッドの言う通り、バルバトス第1形態では、タイプトライドロンの前だと壁にさえならない。

 

だが、オーカミの狙いは単なる壁要因ではなくて………

 

 

「召喚時効果、デッキを上から3枚オープン」

 

 

バルバトス第1形態の効果でオープンされていく3枚のカードたち。その中にはついこの間手に入れた新たなるエース「ガンダム・バルバトスルプス」も確認できて…………

 

 

「よし……オレは「バルバトスルプス」を手札に加えて、残りは破棄。そしてこれは【煌臨】を持つカード」

「ッ………まさかテメェ」

「そのまさかだ……【煌臨】発揮、対象はバルバトス第1形態!!」

 

 

オーカミは口角を上げ、ルプスのカードをBパッドへと叩きつける。

 

フィールドではバルバトス第1形態が背中のブースターで一直線に飛翔し、上空にある雲へと勢いよく衝突する。

 

 

「天空斬り裂け、未来を照らせ!!……ガンダム・バルバトスルプス、LV2で煌臨!!」

 

 

ー【ガンダム・バルバトスルプス】LV2(2)BP8000

 

 

鉄華団の華のマークが刻まれた赤い肩の装甲、肥大化した黄色い角に、バスターソード状のメイス、ソードメイスを持つ新たなバルバトス、バルバトスルプスが、雲を斬り裂き、フィールドへ降り立つ。

 

 

「………成る程、それがテメェのエースか。だけどよ、そいつのBPじゃオレのタイプトライドロンは斬り裂けねぇぜ」

「斬り裂けるさ、オレのバルバトスルプスなら………煌臨アタック時効果発揮、自分のデッキを上から2枚破棄」

 

 

バルバトスルプスの緑色の眼光が輝くと共に、オーカミのデッキが上から2枚破棄される。そのカードは「オルガ・イツカ」と「ビスケット・グリフォン」…………

 

いずれも鉄華団のカードだ。

 

 

「こうして破棄された鉄華団1枚につき、相手のコア3個以下のスピリット1体を破壊する」

「なに!?」

「破棄された鉄華団カードは2枚、よってコア3個以下のタイプトライドロンとタイプスピードを破壊!!」

 

 

バルバトスルプスは、左腕から滑空砲を展開し、それを発砲。タイプスピードを撃ち抜き爆散させる。

 

さらにその爆発の瞬間にソードメイスを構え、タイプトライドロンに向かって飛び込んでいく。弧を描くような横一閃の一太刀は、瞬く間にタイプトライドロンに大きなダメージを与え、これも爆散させる。

 

 

「ま、マジか………番長のエースカードが一瞬で」

「…………」

 

 

この光景を見るなり、そう呟いたのは舎弟のブスジマだった。

 

当のレッドもこれには驚きが隠せないでいるが、それと同時に鉄華オーカミと言う強いカードバトラーと出会えた事に感動もしていた。

 

 

「………へっ、やるじゃねぇか。だがよ、オレ様は番長だ。相手が強ければ強い程、俄然燃えて来るんだよな……」

「あぁ、それはオレも同じだよ」

「ターンエンド。勝ち確とか思ってんじゃねぇぞ。最後まで全力で来やがれ!!」

手札:1

場:【ブレイドラX】LV1

バースト:【無】

 

 

カウンターに次ぐカウンター、それさえをもさらにカウンターして見せたオーカミと鉄華団のカード達。

 

レッドをエンドステップへと追い込み、巡って来たラストターンを全力で進めていく。

 

 

[ターン05]鉄華オーカミ

 

 

「メインステップ………モビルワーカーをもう1体召喚」

 

 

ー【鉄華団モビルワーカー】LV1(1)BP1000

 

 

本日3体目となるモビルワーカーが出現。フィールドには生き残った1体と合わせて2体となる。

 

 

「さらに、パイロットブレイヴ三日月・オーガスを召喚し、バルバトスルプスに直接合体!!……LV3にアップさせる」

 

 

ー【ガンダム・バルバトスルプス+三日月・オーガス】LV3(5)BP19000

 

 

鉄華団のパイロットブレイヴ「三日月・オーガス」がバルバトスルプスと合体する。見た目に変化はないが、その力量は先ほどまでとは比べ物にならない。

 

 

「アタックステップ、モビルワーカー2体で連続アタック!!」

 

 

メインステップが終わり、アタックステップへと突入。2体のモビルワーカーが大地を駆け抜け、レッドのライフを目指す。

 

前のターンの超速攻に全てを注ぎ込んだ彼に、もうそれを跳ね除ける手段は残っていなくて…………

 

 

「2体ともライフで受け止めてやる!!」

 

 

〈ライフ4➡︎3➡︎2〉轟レッド

 

 

2体のモビルワーカーによる体当たりが、レッドのライフバリアを一気に砕いていく。

 

そしてこのバトルの締めはもちろん、進化したバルバトス、バルバトスルプス。

 

 

「バルバトスルプスでアタック!!……合体した三日月の効果でブレイドラXのLVコストを1つ上げて消滅、リザーブのコア3個をトラッシュに」

「………」

 

 

ー【ブレイドラX】(1)消滅

 

 

ゆっくりとレッドの元へと迫るバルバトスルプス。主人を守らんとブレイドラXは立ち向かうが、ソードメイスを突き立てられただけで消滅してしまう。

 

 

「今のバルバトスルプスは合体によりダブルシンボル、ライフを2つ破壊する」

「………はっ、まさか本当にさっさと終わらせちまうとはな。ライフで受け止めてやるぜ、全力で来い!!」

 

 

〈ライフ2➡︎0〉轟レッド

 

 

負けを認め、ライフで受ける宣言をしたレッドに、無慈悲の一撃。バルバトスルプスはソードメイスを振り下ろし、一撃で2つのライフバリアを破壊する。

 

これにより、彼のライフは0。Bパッドからは「ピー……」と言う敗北を告げるような無機質な機械音が流れる。

 

鉄華オーカミは見事、バルバトスルプスと共に、速攻でこのバトルを終わらせて見せた。

 

 

「ば、番長………」

 

 

敗北したレッドに、ブスジマが声を掛ける。一見すると下を見ていて、落ち込んでいるようにも見えたが…………

 

 

「ダァァハッハッハ!!!……案外、噂も宛になるもんだな、オレが思っている以上だったぜ、鉄華オーカミ!!」

「ば、番長!!」

 

 

全然そんな事はなかった。寧ろより熱苦しくなっている。これにはブスジマも一安心。

 

 

「バトルを承諾してくれてあんがとよ、またやろうぜ」

「うん、アンタとのバトル、結構楽しかったよ。凄いんだな、番長って」

「おうよ。だが、オレはもう番長じゃねぇ」

「?」

 

 

レッドの言葉に、オーカミは首を傾ける。

 

 

「これからはオレを倒したテメェが、この学校を張る新しい番長だ」

「いや、やらないけど」

 

 

自分にバトルで勝ったからと言う理由だけで、レッドに新しい番長に任命されるが、オーカミはそれを即答で拒否する。

 

そしてその直後に、オーカミは思い出したかのように「あっ……」と呟くと…………

 

 

「そう言えば、今日行く所あるんだった」

「オマエ、あの短期間で忘れたのかよ………」

 

 

オーカミの物忘れの速さにリアクションしたのはブスジマの方だった。

 

 

「………そういやよ、行く所ってどこだ?」

 

 

レッドがオーカミに聞いた。特に教えない理由はないので、返答する。

 

 

「病院」

 

 

今日の放課後、オーカミは病院にいる、ある友達に会いに行く予定があった。

 

 

******

 

 

場所は変わり、ジークフリード区に構えるカードショップの1つ「アポローン」…………

 

そのバトル場にて、1人の少年と少女がBパッドを構え合い、対峙していた。

 

 

「………なんか今日はヤケに人が少ないね」

「まぁ一応平日の昼間だしね」

 

 

その少年少女は、鈴木イチマルと一木ヒバナ。2人がバトルを行うのは実に数ヶ月ぶりであり、オーカミが来てから一度もしていなかった。

 

 

「そんじゃま、やりますかヒバナちゃん。今日こそはオレっちが勝ってやるぜ!!」

「ふふ、連敗記録を伸ばしてやるわよ」

 

 

………ゲートオープン、界放!!

 

 

やる気に満ち溢れる2人のコールが響き渡り、バトルが開始される。

 

何の変哲もない、平凡で平和なバトルスピリッツ。このバトルがある悲劇に繋がってしまう事など、誰が予想できただろうか…………

 

 

 







次回、第33ターン「悲劇のアロンダイ」………



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