バトルスピリッツ 王者の鉄華   作:バナナ 

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第40ターン「穿つ、グシオンリベイクフルシティ」

オレ、獅堂レオンは、幼き日の記憶を全く覚えていない。

 

人はどうでも良い記憶は直ぐに忘れてしまうと聞く。幼き日の記憶など、所詮はその程度だったのだろう。

 

故にオレにとっての記憶は、師匠である「芽座葉月」と言う青年に拾われてからが始まりだ。彼はオレに生活を与え、バトルスピリッツを教えてくれた。

 

こんな年齢にもなって幼稚なのもわかるが、正直大好きだった。心の底から彼のバトルスピリッツに憧れていた。

 

しかし、オレが12の時、師匠は死んだ。妹である「芽座椎名」との決戦によって。

 

オレは芽座椎名を恨んだ。恨んで恨んで恨み続けた。だから否定し続けるんだ、あの女が言っていた「楽しいバトル」を……………

 

 

******

 

 

広大な早美邸内部にて、オーカミとレオンのバトルスピリッツが続く。

 

現在はオーカミのターン。レオンのバーストカード、選ばれし探索者アレックスによってアタックステップが終了してしまうものの、バルバトス第4形態の効果により、バルバトス第6形態の召喚に成功。

 

フィールドアドバンテージで、レオンに大きく差をつける。

 

 

「ターンエンド。オマエのライフ、残り2つだな」

手札:4

場:【仮面ライダーゼロワン】LV1

【ガンダム・バルバトス[第4形態]】LV1

【ガンダム・バルバトス[第6形態]】LV2

【クーデリア&アトラ】LV1(3)

バースト:【無】

 

 

「フン、知らないのか鉄華よ。バトルスピリッツとは、全てのライフを消し飛ばすまで、勝敗は決さない」

「別にまだオマエが負けたとか言ってないけど」

「余裕でいられるのも今の内だけだ。そろそろ見せてやろう、貴様を倒すために手に入れた、我が牙を」

「……」

 

 

[ターン06]獅堂レオン

 

 

レオンのターンを迎える。リフレッシュステップに入ると、フィールドにいるソードインパルスガンダムが疲労状態から回復状態になり、立ち上がる。

 

 

「メインステップ、アレックスの効果、自身を疲労させる事で、コアブースト」

 

 

次のターンまで、自身の行動を封じる代わりに、1コアをブースト、もしくは1枚手札を増やすかの二択を選ぶ事ができる、アレックスの効果。

 

レオンはその効果でコアを選択。より増えたコアを使い、手札を切る。

 

 

「続けてネクサス、要塞都市ナウマンシティーを配置」

 

 

ー【要塞都市ナウマンシティー】LV1

 

 

早美邸の中より轟く重機の轟音。レオンの背後に、要塞都市ナウマンシティーが配置される。

 

フィールドにいる限り、強い影響力を発揮するネクサスカードだが、このナウマンシティーが1番強い影響力を発揮するのは、その召喚直後だ。

 

 

「配置時効果、手札から白のスピリットカード1枚をノーコストで召喚する。無論、コストの制限はない、あらゆる白のスピリットをオレは呼ぶ事ができる」

「ッ……来るのか」

「あぁ、来るのさ」

 

 

レオンはナウマンシティーの効果により、再び1枚の手札をBパッドへと叩きつける。

 

それは、早美アオイを通して手にした、悪魔の魔道具、彼の新たな牙。

 

 

「司るは白。運命を噛み砕く、我が牙!!……ゼノンザードスピリット、百獣・ヴァイスレーベ!!……LV1で召喚」

 

 

ー【「百獣」ヴァイスレーベ】LV1(2)BP10000

 

 

突如襲い来る猛吹雪の中、レオンのフィールドへと降り立つ、機械仕掛けの白銀の獅子。

 

その名は白のゼノンザードスピリット「ヴァイスレーベ」………

 

それは現れるなり、気高くも猛々しい雄叫び一つで猛吹雪を掻き消す。

 

 

「どうだ鉄華、これがオレの得たゼノンザードスピリットだ。気高く、美しいだろう」

「いいから早く来いよ。ソイツごと、オマエを叩き潰す」

「フン……そうだ、貴様はそう言う奴だったな。だが叩き潰されるのは貴様の方だ、転醒ブレイヴ、輝きの聖剣シャイニング・ソードXを召喚、不足コストはアレックスを消滅させて確保」

 

 

ー【輝きの聖剣シャイニング・ソードX】LV1(1S)BP5000

 

 

天空から差し込んで来る一条の光。それに沿って地上へと突き刺さったのは、伝説の赤属性の聖剣、シャイニング・ソードX。

 

 

「召喚時効果だ、BP7000以下のスピリットである、バルバトス第4形態とゼロワンを破壊、さらに破壊時効果は発揮させず、無効となる」

「!」

 

 

シャイニング・ソードXの束から放たれる聖なる火炎放射。それがオーカミのフィールドに佇むゼロワンとバルバトス第4形態を焼き尽くしていく。

 

 

「ようやく目障りなライダースピリットが消えたな。鉄華よ、ここからが真のバトルだ!!……輝きの聖剣シャイニング・ソードXを、ヴァイスレーベに合体、極上の雄叫びを上げよ」

 

 

ー【「百獣」ヴァイスレーベ+輝きの聖剣シャイニング・ソードX】LV2(3S)BP17000

 

 

ヴァイスレーベが地に突き刺さっているシャイニング・ソードXを咥えて合体。白属性と赤属性の強力な合体スピリットとなる。

 

ゼノンザードスピリットを使って来た者達は、それらの性能を十二分に発揮して来たが、ブレイヴとの合体までやってのけたのはレオンが初。その力は未知数である。

 

 

「アタックステップだ。ヴァイスレーベよ、砕け!!」

 

 

レオンはアタックステップへと移行。ヴァイスレーベが力強く地を駆け抜けて行く。

 

 

「効果により、貴様は必ずオレのスピリットのアタックをブロックしなければならん」

「……バルバトス第6形態、頼む」

 

 

ヴァイスレーベの行手を、バルバトス第6形態が阻む。シャイニング・ソードXとレンチメイスが衝突し合い、火花を散らし合う。

 

だが、拮抗していたのもほんの一瞬。すぐさまヴァイスレーベが押し返し、背部に備わっているガトリング砲を掃射し、バルバトス第6形態の装甲を砕いて優位に立つ。

 

 

「バルバトス第6形態には【零転醒】がある。フィールドを離れる時、裏返って場に残る」

「甘いな。シャイニングソード・Xと合体したスピリットが破壊したスピリット効果は発揮されない」

「なに!?」

「故に転醒はできん。我が牙よ、ソイツを鉄屑にしてやれ!!」

 

 

装甲とレンチメイスが砕け散り、劣勢に立たされたバルバトス第6形態は、新たな武器として、背部にマウントした太刀を握ろうとするが、ヴァイスレーベはその隙さえ与えず、バルバトス第6形態の胸部を噛み砕き、爆散へと追い込んだ。

 

 

「さらにアタック時効果だ。ヴァイスレーベはバトルに勝った時、オマエのライフ1つを砕く」

「ッ……ぐぁっ!?」

 

 

〈ライフ3➡︎2〉鉄華オーカミ

 

 

猛吹雪をも吹き飛ばして見せるヴァイスレーベの雄叫び。その爆音波がオーカミのライフバリアを1つ砕き、激痛を与える。

 

 

「まだ終わらんぞ、ソードインパルス!!」

「……それもライフだ」

 

 

飛び立ち、全滅したオーカミのフィールドへと着地するソードインパルス。自慢の巨大なビームブレードを大きく振りかぶり、オーカミのライフバリア1つを一刀両断して見せる。

 

 

〈ライフ2➡︎1〉鉄華オーカミ

 

 

「ぐぅっ!!」

 

 

遂に残りライフは1つ。オーカミは絶体絶命の窮地に立たされる。

 

 

「ターンエンド。どうだ、見たか鉄華。これが我が牙、ヴァイスレーベの力だ!!」

手札:2

場:【「百獣」ヴァイスレーベ+輝きの聖剣シャイニング・ソードX】LV2

【ソードインパルスガンダム】LV2

【要塞都市ナウマンシティー】LV1

バースト:【無】

 

 

己が新たに得た力を見せつけた事に満足し、レオンは余裕綽々でそのターンを終える。

 

 

「……オレの、ターンだな」

「フン、どうした鉄華、足元がふらついてるぞ。これで思い知ったか、バトルは楽しめばいいモノじゃない、勝たなければならないモノなのだ。バトルを楽しむのは、勝者、即ち強き者の特権なのだ」

 

 

己が考え、理念を謳うレオン。会う度に何度も何度も聞かされたそれだが、昔と今とでは説得力に雲泥の差がある事を、オーカミは悟り………

 

 

「オレは残念だよ獅堂」

「なに?」

「出会った時からずっとムカつく奴だと思ってたけど、相手の搦手なんて一切考えない、真っ直ぐ自分のエースを信じて戦い抜く、そんなオマエのバトルだけは好きだった」

「………」

「だけど今のオマエからはもう何も感じない。ただの抜け殻だ」

 

 

界放リーグで戦った時まで、その抜け殻には身が、勝手な事を言うだけの実力が確かに詰まっていたのだ。

 

しかし今となっては、その身は取られ、ただの操り人形と化している。そんなカードバトラーが何を謳っても、説得力などあるわけがない。

 

 

「ならば貴様に勝って示そう。あの時の赤い目の力を出せ」

「!」

「アレを発現させた貴様に勝たねば意味はない。そのためにオレはこの力を得たのだから」

 

 

直後にレオンが要求して来たのは、おそらく「バトルの未来が見える」力。

 

 

「悪いけど、アレはオレもどうやって使っていいかわからないんだ。だけど多分、今のオマエには使うまでもない」

「ならば無理矢理引きずり出すまで。さぁ貴様のターンだ!!」

 

 

オーカミのターンが始まる。彼は劣勢を覆すべく、それを進めて行った。

 

 

[ターン07]鉄華オーカミ

 

 

「メインステップ、先ずはオルガ・イツカだ」

「……2種の創界神を揃えたか」

 

 

ー【オルガ・イツカ】LV1

 

 

「配置時の神託でコア2つをオルガに追加」

 

 

常にオーカミのバトルを支え続けて来た創界神ネクサス「オルガ・イツカ」………

 

このバトルの中で、2種目の創界神ネクサス「クーデリア&アトラ」と邂逅を果たす。

 

 

「ランドマン・ロディをLV2で召喚。対象スピリットの召喚により、2種の創界神にそれぞれ神託」

 

 

ー【ランドマン・ロディ】LV2(2)BP3000

 

 

オーカミの場に、濁った白と橙色を基調とした、丸っこい小型モビルスピリット、ランドマン・ロディが召喚され、それに合わせ、創界神ネクサス達にコアが1つずつ追加された。

 

 

「アタックステップの開始時、トラッシュにあるバルバトス第2形態の効果を発揮。これをトラッシュから召喚する」

 

 

ー【ガンダム・バルバトス[第2形態]】LV2(2)BP6000

 

 

「召喚により、2種の創界神に神託」

 

 

機関銃を装備したバルバトス、第2形態が新たに召喚される。

 

これでオーカミのフィールドのスピリットは2体。レオンの残りライフも2つだ。

 

 

「アタックステップ続行、バルバトス第2形態でアタック!!」

 

 

勝ちを取りに行くべく、オーカミはバルバトス第2形態でアタック宣言。

 

バルバトス第2形態は、その命令を受けるなり、背中のスラスターで上空へと飛び立つ。

 

 

「単調な攻撃でオレを倒せると思うな、フラッシュマジック、スクランブルブースター」

「!」

「ヴァイスレーベを指定。このバトル中、ヴァイスレーベは疲労状態でのブロックを可能にする。相手をしてやれ、我が牙よ」

 

 

白のマジックカードにより、疲労状態のままブロックを行うヴァイスレーベ。上空に佇むバルバトス第2形態に向けて、背中のガトリング砲を掃射する。

 

 

「フラッシュ、オルガの【神域】……デッキ上から3枚破棄して1枚ドロー。さらにこの瞬間、クーデリア&アトラの【神域】も発揮」

「!」

「鉄華団のカード効果でデッキが破棄された時、トラッシュにある紫1色のカード1枚をデッキ下に戻して、1枚ドロー。オレはビスケットのカードを戻して、1枚ドローする」

 

 

バトル中に行われるフラッシュタイミング。オーカミは2種の創界神ネクサスのコンボにより、トラッシュを肥やしつつ、手札を2枚増やす。

 

しかし、このコンボはスピリットと同士のバトルには一切関与しない。バルバトス第2形態は、連射されたガトリング砲になす術なく被弾し、撃墜。地に落ちる衝撃と共に爆散した。

 

 

「スクランブルブースターの追加効果。指定したスピリットがバトルに勝った時、デッキから2枚ドローする」

「ターンエンドだ」

手札:5

場:【ランドマン・ロディ】LV2

【オルガ・イツカ】LV2(4)

【クーデリア&アトラ】LV2(5)

バースト:【無】

 

 

残ったランドマン・ロディでまだライフを破壊しに行く事はできるものの、それだけでは打点が足りない。

 

オーカミは大人しくそのターンをエンドとした。

 

次はレオンのターン。残り1つしかないオーカミのライフを、容赦なく、全力で噛み砕きに向かう。

 

 

[ターン08]獅堂レオン

 

 

「メインステップ、全てのスピリットのLVを最大にアップ」

 

 

レオンのフィールドに存在するソードインパルスガンダムと、ゼノンザードスピリットのヴァイスレーベのLVが最大の3に上昇。

 

ソードインパルスのBPは9000、ヴァイスレーベに至ってはブレイヴとの合体を含め、23000。この数値は、現在の鉄華団のスピリットたちでは、到底及ばないステータスであり………

 

 

「このターンで、オレはもう貴様を倒せるぞ。折角なら貴様の新エース、バルバトスルプスを拝んでおきたかったが………まぁ、それ程までにオレと貴様とで実力の差が開いたのだろうな」

「ベラベラ喋ってないで、早く来いよ」

「フン……最後まで口の減らない奴だ。アタックステップ、奴の喉笛を噛み砕いてしまえ、我が牙よ!!」

 

 

ヴァイスレーベのアタック時効果のライフ貫通効果で決着をつけようと、それにアタックを命じるレオン。

 

だが、それが完全に成立する前に、オーカミの叫びが轟く。

 

 

「そのアタックの前に、アタックステップ開始時、オルガの【神技】を発揮!!……オルガのコアを4つボイドに送り、トラッシュから鉄華団を呼ぶ!!」

 

 

何度もオーカミの窮地を凌いで来た、オルガの【神技】の効果がここに来て発揮される。

 

これにより、ヴァイスレーベのアタックの前に、トラッシュから好きな鉄華団カードを呼び出す事ができる。

 

ただ………

 

 

「ヴァイスレーベを倒せる鉄華団スピリットなど、存在しない。何を呼んでも、オレの勝ちは揺るぎない!!」

 

 

そう。

 

現存する鉄華団スピリットの中では、ゼノンザードスピリットであるヴァイスレーベを超えるBPを持つスピリットは存在しない。

 

しかし、それは飽くまでもBPのみの話であり………

 

 

「いや、コイツなら、オマエの勝ちは揺らぐ。来い、ガンダム・フラウロス!!」

「!?」

 

 

ー【ガンダム・フラウロス[流星号]】LV3(5)BP12000

 

 

流星の如く、凄まじい速度で地上へと降り立ったのは、マゼンタのカラーをした、ガンダムの名を持つモビルスピリット、フラウロス。

 

 

「……新たなモビルスピリット、しかもガンダムの名を持っているだと?」

「コイツは知らないみたいだな。その召喚時効果発揮の前に、手札のパイロットブレイヴ、シノの効果を発揮」

 

 

レオンが知っている鉄華団の情報は、ルプスを初めて呼び出したイチマル戦のみ。それ以降に呼び出したカード達は知る由がなかった。

 

未知のカード達のオンパレードで多少は困惑するも、絶対にこの牙城は崩されないと自信があったのか、直ぐに余裕のある表情へと戻る。

 

 

「フン……ならばそのパイロットブレイヴの効果から先に解決しろ」

「あぁ、オレはシノを召喚し、直接フラウロスに合体だ」

 

 

ー【ガンダム・フラウロス[流星号]+ノルバ・シノ】LV3(5)BP16000

 

 

フラウロスが、鉄華団のパイロットブレイヴにより強化。

 

さらにその直後に、今度はフラウロスの効果が発揮される。

 

その効果は、ゼノンザードスピリットさえも穿つ凶弾。

 

 

「続けてフラウロスの召喚時効果、相手のコア5個以上のスピリット1体を破壊する」

「!」

「対象はもちろん、コアが6個も乗っているヴァイスレーベ。打ち砕け、フラウロス!!」

 

 

フラウロスが背部に備わっている2つのレールガンの砲身をヴァイスレーベに向け、それを放つ。

 

レールガンにより放たれた2つの鉛玉は、一直線にヴァイスレーベに直撃し、爆散。

 

 

「……よし」

 

 

爆発による爆煙の中、オーカミがそう呟く。

 

だが、その爆煙が晴れる時、破壊したはずのヴァイスレーベが気高い雄叫びを張り上げて…………

 

 

「あれ」

「残念だったな。あの瞬間、オレは手札から機巧獣ショウエンの【影武者】の効果を発揮させていた」

 

 

ー【機巧獣ショウエン】LV1(1)BP1000

 

 

ふとヴァイスレーベの横を見ると、そこには猿型の小さな機獣がいた。

 

おそらくそのスピリットが、フラウロスの弾丸からヴァイスレーベを守ったのだろう。

 

 

「【影武者】は、ソウルコアが置かれているスピリットが効果の対象となった時、手札から召喚する事でそれを肩代わりする。そして、ショウエンのコアは1つ。フラウロスのコア5個以上を破壊する効果では破壊できん」

「へぇ」

 

 

要するに、ヴァイスレーベは生き残った。

 

薄いリアクションを取っているが、オーカミにとっては非常に危険な状況だ。

 

 

「コレが貴様の奥の手か鉄華よ。興醒めだな、オレはこんな奴のために躍起になっていたのか………今度こそアタックだ、我が牙よ!!」

 

 

ヴァイスレーベが動き出す。

 

その口内から発せられる爆音のような雄叫びは、スピリット達の脚を怯ませ、逃げ道を塞ぐ。

 

 

「効果により貴様は必ずブロックしなくてはならない」

「……フラウロスでブロック。その効果で機巧獣ショウエンを破壊だ」

 

 

ヴァイスレーベを迎え撃つべく、フラウロスは両手に持つ二丁のマシンガンを連射。

 

だが、ヴァイスレーベには全く通用せず、直撃した弾は全て弾き返されてしまう。しかし、外れた流れ弾の1つがショウエンに被弾、ヴァイスレーベと比べて貧弱なショウエンは立ち所に爆散して行く。

 

 

「雑魚を消しても無駄だ。ヴァイスレーベのBPは23000、対して貴様のフラウロスは16000。オレと貴様の力関係と同様に、覆しようもない差がある」

「慌てるなよ、まだ終わってない。シノの【合体中】アタックブロック時効果、ターンに1回、手札1枚を破棄する事で、2枚ドローする」

 

 

フィールドではヴァイスレーベがフラウロスに迫る中、オーカミはもう1つの効果を発揮。

 

手札にある「オルガ・イツカ」のカード1枚をトラッシュへ破棄し、デッキから2枚のカードをドローする。

 

 

「ッ………ふ」

「何を笑っている」

 

 

勝敗を分けるであろう運命のデスティニードロー。

 

オーカミはそのドローカードの内1枚を見るなり、思わず小さな笑みが溢れた。

 

このタイミングで「笑える」と言う事はそう言う事。間違いなく引いたのだ、この状況を打開する、強烈な一手が

 

 

「フラッシュ【煌臨】を発揮、対象はバトル中のフラウロスだ」

「煌臨……ルプスか、だが今更奴を呼び出しても形成は変わらん。最後の足掻きか」

「いいや違う。進化したのがバルバトスだけだと思うなよ」

 

 

オーカミの背後から現れ、飛び立つ巨大なモビルスピリットの幻影。それがフィールドのフラウロスを依代として、この世に顕現する。

 

 

「轟音唸る、過去をも穿つ……ガンダム・グシオンリベイクフルシティ、LV3で煌臨!!」

 

 

ー【ガンダム・グシオンリベイクフルシティ+ノルバ・シノ】LV3(5)BP17000

 

 

「な、なに……バルバトスではなく、グシオンリベイクの進化系だと!?」

 

 

フラウロスに煌臨し、フィールドへと現れたのは、鉄華団の守護神、グシオンリベイクの未来の姿、グシオンリベイクフルシティ。

 

薄茶色の装甲や、見た目には大きな変化は見られないものの、腕部や背部の翼がより肥大化しており、ルプスと同様にいつも以上の頼もしさを感じさせる。

 

 

「だ……だが、所詮BPは17000。我が牙の敵ではない……!!」

 

 

未知のモビルスピリットの登場に怯む事なく襲い掛かる白きゼノンザードスピリット、ヴァイスレーベ。強靭な顎で咥えたシャイニング・ソードXによる一太刀が、グシオンリベイクフルシティを斬りつける。

 

 

「だから慌てるなって……グシオンリベイクフルシティの煌臨アタック時の効果。自分のデッキ上から2枚を破棄」

 

 

斬りつけられるも、重厚な装甲を持つグシオンリベイクフルシティには全く通じない。さらにここで煌臨時の効果が発揮。

 

オーカミのデッキ上から2枚のカードがトラッシュへと破棄される。

 

そのカードは「ネクロブライト」と「ガンダム・バルバトス[第1形態]」………

 

 

「こうして破棄した紫1色のカード1枚につき、相手フィールドのコア2つをリザーブに置く」

「!!?」

「破棄したカードはどっちも紫1色、ヴァイスレーベからコア4つを取り除き、LV1までダウンさせる」

「なんだと……!?」

 

 

ー【「百獣」ヴァイスレーベ+輝きの聖剣シャイニング・ソードX】(6➡︎2)LV3➡︎1

 

 

グシオンリベイクフルシティの背部の機翼より展開される、第三、第四の腕。

 

合計4本の腕でマシンガンを手に持ち、連射。至近距離で集中砲火を受けたヴァイスレーベはたちまち体内からコアが飛び出し、LV1まで弱体化させられてしまう。

 

 

「クーデリア&アトラの【神域】の効果、トラッシュのカード1枚をデッキ下へ、1枚ドロー」

「くっ……合体しているヴァイスレーベ、LV1のBPは15000」

「オレの勝ちだ、グシオンリベイクフルシティは、オマエの牙を穿つ……!!」

 

 

激しい弾幕でヴァイスレーベを大きく後退させたグシオンリベイクフルシティ。マシンガンを仕舞うと、背部にマウントした剣斧ハルバートを新たに手に取ると、トドメだと言わんばかりに縦一直線にそれを振るう。

 

抵抗する間もなく直撃したヴァイスレーベは、悲痛な雄叫びを張り上げると、遂に限界を迎え、大爆発を起こした。

 

 

「ば、馬鹿な……破壊されただと、ゼノンザードスピリットが、ヴァイスレーベが……我が牙が!?」

 

 

勝敗が決するであろうBPバトル。それを制したのは鉄華オーカミの鉄華団スピリット、グシオンリベイクフルシティ。

 

その結果に最も納得していないのは、当然獅堂レオン。

 

 

「なぜ、オマエはまだルプスも使っていない、赤い目の力も………」

「だから言ったろ、使うまでもないって」

「ッ………いや、まだだ、我が牙が折れようとも、オレの負けは認めん」

 

 

直後、レオンは声を荒げ、カード効果の発揮を宣言する。

 

 

「輝きの聖剣シャイニング・ソードXの【合体中】効果、【転醒】!!……合体スピリットがフィールドを離れた時、自身を裏返して場に残す。現れよ、転醒化身!!」

 

 

ー【輝きの聖剣シャイニング・ソードX-転醒化身-】LV1(1)BP5000

 

 

ヴァイスレーベと言う名の主人を失い、虚しく地に突き刺さっていた聖剣シャイニング・ソードX。

 

それを再び握り、構えるのは、雄々しい翼を持つ、赤いドラゴン。

 

 

「転醒時の効果により、相手のBP10000以下のスピリット全てを破壊し、破壊した数だけドロー。BP3000のランドマン・ロディを消し去り、オレは1枚ドローする」

「オレのランドマン・ロディには、疲労状態の相手スピリット1体を破壊して、1枚ドローする破壊時効果がある。転醒化身は道連れだ」

 

 

聖剣を握る赤いドラゴンと、ランドマン・ロディが互いにぶつかり合い、対消滅。

 

さらにそれぞれのプレイヤーが1枚ずつドローし、このバトルは痛み分けと言った結果に終わる。

 

 

「これで貴様の場には疲労しているグシオンリベイクフルシティのみ。対してオレにはまだアタックが可能なソードインパルスが残っている」

「……」

「故にオレの勝ちだ。これで師匠の教えこそが正しい事は証明される!!」

 

 

レオンの脳裏に浮かぶのは、オレンジの髪色に、触覚のような長い一本のアホ毛のある女性。

 

ソードインパルスが残り1つのオーカミのライフを砕くべく、走り出す。だが、疲労状態でブロックできないはずのグシオンリベイクフルシティがそれを阻み………

 

 

「なッ……何故グシオンリベイクフルシティが!?」

「証明したいなら勝手にやってろ。でもオレはその間に、もっと前に進む………創界神ネクサス、クーデリア&アトラの【神技】の効果、この創界神のコア5個をボイド、トラッシュにある鉄華団カード1枚をデッキ下に置き、鉄華団スピリット1体を回復させる。再び唸れ、グシオンリベイクフルシティ!!」

「まだそんな効果を……」

「ソードインパルスをブロックだ」

 

 

鉄華オーカミは、クーデリア&アトラの効果により、グシオンリベイクフルシティをもっと前へと進めさせる。

 

 

「フルシティの【合体中】アタックブロック時効果、コア4個以下の相手スピリット1体を破壊して、トラッシュにある紫1色のカード1枚を手札に加える」

「!」

「ソードインパルスを破壊、トラッシュにある『バルバトスルプス』を手札へ」

 

 

腰部にマウントした大きな盾。それを大きなハサミのような武器に変形させ、ソードインパルスを万力の如く挟み込む。

物理的な圧力に屈したソードインパルスは、呆気なく爆散。

 

フラッシュタイミングや効果の競り合いの中、勝ち残ったのは、鉄華オーカミのグシオンリベイクフルシティだ。

 

 

「ターン、エンド………なんだ、この惨劇は。今はオレのターンのはずだぞ」

手札:4

場:【要塞都市ナウマンシティー】LV1

バースト:【無】

 

 

圧倒的優先に立ち、攻め込んでいたはずのレオン。

 

僅か1ターンで見るも無惨な姿となった自分のフィールドにショックを受ける。

 

そんな彼に構う事なく、オーカミはよくやく巡って来た自分のターンを進めていく。

 

 

[ターン09]鉄華オーカミ

 

 

「メインステップ、ランドマン・ロディ2体を連続召喚」

 

 

ー【ランドマン・ロディ】LV1(1)BP1000

 

ー【ランドマン・ロディ】LV1(1)BP1000

 

 

このバトルでは2、3体目となるランドマン・ロディが呼び出される。

 

それの召喚に合わせ、再び2種の創界神にコアが追加されていく。前のターンの煌臨や召喚もあり、そのコア数は、共に4つ。

 

 

「アタックステップの開始時、トラッシュにあるバルバトス第2形態の効果、復活する」

 

 

ー【ガンダム・バルバトス[第2形態]】LV1(1)BP3000

 

 

機関銃を備えたバルバトス、第2形態が復活。これでオーカミのフィールドには計4体の鉄華団スピリットが揃う。

 

 

「フルシティでアタック、効果でデッキ上を2枚破棄、クーデリア&アトラの効果で1枚をデッキ下に置き、1枚ドロー。さらにシノの効果で手札1枚を破棄、2枚ドロー」

「……」

 

 

前のターンから一転して窮地に立たされるレオンだが、その4枚の手札には、まだチャンスを掴み取れるだけの可能性があり………

 

 

「フラッシュマジック、白晶防壁」

「!」

「相手のスピリット1体を手札に戻す」

「その効果は、バルバトス第2形態の効果で受けない」

「だが、ソウルコアを使った時の効果は防げない。このターン、オレのライフは1つしか減らんぞ」

 

 

レオンが使用したのは絶対防御を誇る白のマジック『白晶防壁』……

 

一度成立して仕舞えば、このターン、彼のライフはたったの1つしか削られない。

 

 

「フラッシュ、オルガの【神域】でデッキ上を3枚破棄し、1枚ドロー。それに合わせてクーデリア&アトラの【神域】でトラッシュのカード1枚をデッキ下へ、1枚ドロー」

「……そのアタックはライフで受ける」

 

 

〈ライフ2➡︎1〉獅堂レオン

 

 

グシオンリベイクフルシティが、4本の腕でマシンガンを持ち、連射。白のゼノンザードスピリットであるヴァイスレーベですら後退させた集中砲火だが、白晶防壁の効果により、破壊したライフバリアは1つで終わる。

 

 

「ターンエンド」

手札:9

場:【ガンダム・グシオンリベイクフルシティ+ノルバ・シノ】LV3

【ガンダム・バルバトス[第2形態]】LV1

【ランドマン・ロディ】LV1

【ランドマン・ロディ】LV1

【オルガ・イツカ】LV2(5)

【クーデリア&アトラ】LV2(5)

バースト:【無】

 

 

白晶防壁で凌がれたものの、4体のスピリット、9枚もの手札。これでもかと優位に立ったオーカミ。今はターンをエンドとし、白のゼノンザードスピリットと、我が牙と言う名の切り札を失ったレオンのターンを見届ける。

 

 

「………」

 

 

本当に滲み出ていたのは、己の強さではなく、敵の強さだった。

 

このどうしようもないくらい不利な状況、レオンがそれをひっくり返すためには、あのスピリットをドローするしかない。

 

己が最も信頼をおいていた、あの魂のスピリットを………

 

 

「デスティニーガンダム」

「!!」

「そんなの、未来が見えなくたってわかる。オマエの魂のエースカード、まだデッキにいるんだろ?……それが召喚されたら、オレは逆転されて、負ける」

 

 

そう。

 

数あるモビルスピリット達の中でも最高峰のパワーを持つデスティニーガンダムだ。今は手札にないが、アレさえ来てくれれば、勝つのはレオン。

 

 

「界放リーグの決勝戦、オマエは宣言してデスティニーガンダムをドローして見せた」

「……!」

「もう一度やって見ろよ。それだけでわかるはずだ、今のオマエが進んでいるのか、それとも止まっているのか」

 

 

身体の小さいオーカミによる、大きく重たいプレッシャー。

 

だがレオンとて、それに屈するわけにはいかない。このバトルは勝たないといけないのだ、亡き師匠である「芽座葉月」のため………

 

 

「そうだ、引けると決まっている。オレは獅堂レオン、あの芽座葉月の唯一無二の弟子だ。次のターン、このオレがドローするカードは当然、我が魂、デスティニーガンダム!!」

 

 

レオンは勝利するべく、己のターンを開始した。

 

 

[ターン10]獅堂レオン

 

 

「スタートステップ、コアステップ」

 

 

ターンシークエンスが進み、次は命運を分けるドローステップ。

 

 

「ドローステップ!!」

 

 

緊張感が迸って行く中、胸の高鳴りを沈ませ、レオンはBパッドに装填されたデッキの上から1枚のカードを全力でドローした………

 

そのカードは。

 

 

「ッ……!?」

 

 

引いたカードは『ザクウォーリア』……

 

残念だが、デスティニーガンダムでもなければ、この状況を打開できるようなカードでもない。

 

 

「ば、馬鹿な。デスティニーが、我が魂がこのオレを見放すだと……」

「……」

「負けるのか、このオレが。バトルは楽しむモノなどとほざく奴に。いや、そんな事あってはならん。バトルは、勝利してこそだ……勝利を貪欲に追い求める者が、そんな奴に負けるわけにはいかない。オレこそが、師匠こそが……」

 

 

このレオンのターンは結局何もせずにターンエンド。

 

すぐさまオーカミのターンへと移行する。

 

 

[ターン11]鉄華オーカミ

 

 

「メインステップ……フルシティのLVを1にダウン。オマエが見たがってた奴だ、天空斬り裂け、未来を照らせ!!……ガンダムバルバトスルプスをLV2で召喚」

 

 

ー【ガンダム・バルバトスルプス】LV2(2)BP8000

 

 

上空より、オーカミのフィールドへと降り立つ5体目の鉄華団スピリットは、バルバトスが進化した未来の姿、バルバトスルプス。

 

 

「さらに三日月・オーガスを召喚し、ルプスと合体」

 

 

ー【ガンダム・バルバトスルプス+三日月・オーガス】LV2(2)BP14000

 

 

「今日はコアがたくさんあるから、いっぱい並ぶな」

 

 

追い討ちをかけるオーカミ。ルプスに三日月を合体させ、より強力な合体スピリットへと強化させる。

 

 

「なぁ獅堂、勝たないといけないバトルって、確かにある。オレも最近、散々経験したよ………そう言うバトルは、全然楽しくなかった」

「………」

 

 

オーカミの脳裏に浮かんで来たのは、ゼノンザードスピリットを操っていた鈴木兄弟とのバトル。

 

苛烈で、尚且つ心苦しく、時に怒り任せになる事もあった。

 

 

「今日みたいに、これからもそう言うバトルはあるのかもしれないし、そのたびにオレ達は嫌な思いをするかもしれない。でも、それ以上にバトスピはたくさん大事な事を教えてくれるんだ。勝てないと楽しめないなんて、そんな寂しい事言うなよ。オレはもっと、オマエと楽しくバトスピしたいぞ」

「……!」

「アタックステップ、ルプスでアタック!!」

 

 

もう何も邪魔立てする物はない。ルプスがソードメイスを構え、ガラ空きとなったレオンのフィールドへと攻め込んでいく。

 

そして1つ目の効果でオーカミのデッキが2枚破棄、その内の1枚はクーデリア&アトラの効果でデッキの下へと戻った。

 

 

「三日月の効果、ナウマンシティーのLVコストを+1して消滅。そしてリザーブのコアを5個トラッシュへ」

 

 

ルプスは腕部から機関銃を展開し、それを掃射。唯一残っていた、ネクサスのナウマンシティーを一撃の元で粉砕する。

 

 

「オレが貴様と、楽しくバトルだと……できるものか、そんな事今更、オレは自分の勝利でしか、楽しさを見出せない」

「だったら勝てるようにもっと強くなれよ、そんな意味のわからないカードなんか、さっさと捨てろ」

「………オレは」

 

 

ルプスが遂にレオンの眼前に迫り、ソードメイスを天に掲げて振り下ろす構えを取る。

 

その間に、忘れかけていたレオンのある記憶、言葉が、フラッシュバックして蘇る。

 

 

ー『レオン、バトルは勝利してこそだ。貪欲に強さを追い求め、勝利する者に、初めてバトルを楽しむと言う権利が与えられる』

 

 

レオンの師匠である伝説のカードバトラー「芽座葉月」の言葉だ。

 

だがそんな葉月は、逆に「バトルは楽しむモノ」だと言い張っていた妹「芽座椎名」との激闘の末に死亡した。

 

当然、その裏には別の何かの陰謀も働いていたのだが、それ故に、彼は芽座椎名を逆恨みし、彼女のように、バトルを勝っても負けても楽しもうとする人間を嫌った。

 

しかし、今、この瞬間、同時にこのような事を口にしていた事を思い出して………

 

 

ー『だが、オマエはオレのようにはなるな』

ー『どうしてだよ、オレはアンタみたいに、もっと強くなりたいのに』

ー『強き者は、強さを追い求め過ぎると、やがて孤独になる。1人は虚しく、切ない……オレはもう後戻りはできない。だがオマエには、オマエなりの生き方があるはずだ。探し出せ、きっとオマエは強くなる』

ー『……難しい事はよくわからないけど、少なくとも師匠は孤独じゃないだろ、スイート、ティア、ルージュに、オレもいるじゃん』

 

 

子供の頃のレオンの、純粋無垢な言葉に、思い詰めていたであろう葉月の表情は和らぎ「そうだな」と、当時のレオンに優しく告げる。

 

 

「師匠の言う通りだった。オレは、デスティニーにさえ見放され、孤独になった………虚しく、切ない……か」

 

 

ルプスの振り下ろしたソードメイスが迫る中、レオンがそう告げる。

 

師匠である葉月に、いったい何があったのかはわからない。だが、少なくとも彼はレオンに、自分と同じような孤独を味わって欲しくなかったに違いない。

 

 

「……何やってんだ、オレ」

 

 

〈ライフ1➡︎0〉獅堂レオン

 

 

自分の考え方が如何に愚かだったのかを悟るレオン。ルプスの攻撃を受け入れ、遂に残りのライフバリアが全て砕け散った。

 

これにより、勝者は鉄華オーカミ。見事レオンからゼノンザードスピリットの、Dr.Aの呪いを浄化して見せた。その証拠に、バトル後、ヴァイスレーベのカードから黒い闇のようなモノが抜け落ち、消滅する。

 

 

「鉄華、貴様は何故ここまで強くなれた」

「……」

「いつの間にオレと貴様にここまでの差が生じたと言うのだ」

 

 

フィールドに残った鉄華団のスピリット達が消滅して行く中、レオンがオーカミに訊いた。

 

 

「オレが強くなれたって言うか、オマエが勝手に止まっただけだろ。それ以外の理由なんてないよ」

「………」

 

 

オーカミがそう返答すると、レオンの表情はこれまでだと信じられない程に柔和になる。

 

 

「あぁ、そうだな。そうだった、だがまたこれから動きだす。オレはもっと強くなるぞ鉄華オーカミ、与えられた牙ではなく、我が魂と共にな。今度はオレが貴様を追い越す番だ」

「そう、勝手にしろよ。でもバトルなら、いつでも受けて立つ、オレとオレのバルバトスが」

 

 

己の過ちを認め、再び前へと進む決意をしたレオン。

 

対してオーカミは、これから物理的に前へと進まなければならないのだが………

 

 

「じゃあな、時間が惜しい、オレはアニキの所に行くよ」

「待てオーカミ」

「なんか、オマエから名前呼びされるとウザイな」

「貴様、この広大な早美邸から九日ヨッカを1人で探し出せるのか?」

「………」

「無理だろう。貴様の仲間も先に向かったしな。そこでオレの出番だ、不本意ながら、この豪邸は隅々まで把握している、共に行くぞ」

「………」

 

 

オーカミはこれでもかと言わんばかりの嫌そうな顔をした。

 




次回、第41ターン「天才カードバトラー、春神ライ」


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