バトルスピリッツ 王者の鉄華   作:バナナ 

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第41ターン「天才カードバトラー、春神ライ」

鉄華オーカミと獅堂レオン。2人の好敵手同士が激しくバトルを繰り広げていた頃。

 

春神ライ、アルファベット、フグタの一行が向かう先は、囚われた九日ヨッカがいるであろう、中央ルームだ。監視の目を欺くため、フグタを先頭に、慎重に進んで行く。

 

 

「ねぇアルファベットさん」

「なんだ、春神」

「オヤツ食べてもいい?」

「……」

「あれ、聞こえなかった?……オーヤーツ、食べてもいい?」

「……」

 

 

懐からチョコのお菓子が入った小箱を取り出したライが、アルファベットに向けて目を輝かせながら訊いた。

 

その緊張感の無さに、アルファベットは呆れて声も出ない様子。

 

 

「……あのね、お嬢さん。オレ達今、九日ヨッカを助けるためにここにいるんだけど、そこんとこ、ちゃんと理解してるのかな?」

 

 

フグタがライに告げる。

 

彼女は箱からキノコの形をしたチョコを頬張ると、返答する。

 

 

「わかってますわかってます。でもほら、腹が減っては、良いバトルもできないでしょ?」

「そりゃまぁそうだけど。もうちょっとこう、緊張感をだね」

「正直ヨッカさんってタフって言うか、打たれ強いって言うか、悪運強いって言うか、兎に角生命力溢れてるイメージあるから、意外と危機感ってないんですよね」

 

 

ライの言葉を聞くなり、アルファベットは九日ヨッカの人当たりの良さ、コミニケーション能力の高さを感じた。

 

彼女が彼と共に暮らし始めたのは、今からちょうど1年くらい前の事。その短い期間の中で、これだけ強い関係性を結ぶ事ができたのは、九日ヨッカだったからだろう。

 

鉄華オーカミに関しても同様だ。彼に至ってはまだ九日ヨッカと親しくなってから半年程度しか経っていない。

 

 

「そう言えばさ、なんで獅堂は私達がここに来るってわかったんだろ。メールが来たとか言ってたけどさ」

「確かに」

「まさかハリセンボンさん、こっち側に来る時、誰かにバレたんじゃ」

「な訳ないだろう。オレの計画は完璧だったし、実際今日の監視の数は薄い。後、ハリセンボンじゃなくてフグタね」

 

 

ライが疑問を口にする。

 

 

「アルファベットさんは、どう思います?」

「………」

「アルファベットさん?」

「………」

「あ、絶対コレなんか知ってるヤツだ。なんかミスったんでしょアルファベットさん。ねぇねぇ絶対そうでしょ!!」

「黙れ、早く行くぞ」

 

 

アルファベットは覚えている。昨日、Dr.Aに早美邸へ行く旨を伝えてしまった事を。

 

おそらくそれのせいで、少なくともレオンや早美アオイ。Dr.Aに関連した人物は、この計画の事を知っているに違いない。

 

彼は正直、内心で「やってしまった」と思っている。顔の表情は飄々としていて、冷静そのものだが、手や額からは冷や汗がドバドバ出ていた。

 

 

「全く、自分が不利になると直ぐ逃げるんだから………ん?」

 

 

歩いている中、ライは進行路とは別の道に、ある物が置いてある事に気づく。

 

 

「あ、アレって……ウソ、ムエ太郎カート32じゃん!?……まだ発売日未定なのに、なんで!?」

 

 

ライの視界に飛び込んで来たのは『全天堂シュワッチ』と言う会社が開発したゲームソフト『ムエ太郎カート32』………

 

オレンジ色の犬みたいな愛らしい生物、ムエなど、様々な奇怪な生き物達が車やバイクに乗って速さを競い合う、ムエ太郎カートシリーズの新作である。

 

ライはそのムエ太郎シリーズの大ファンであり、その新作であるムエ太郎カート32の発売を楽しみにしていたのだ。

 

 

「流石大金持ち、まさか全天堂シュワッチの本社ってここだったりする?」

「違うぞ」

 

 

喉から手が出る程に欲しいゲームソフトに飛びつくライ。

 

だが、その不自然さに、フグタが気づいて………

 

 

「お嬢さん待て、オレらが廊下にそんなもん置くわけ……」

「え?……うわっ!?」

「ッ……春神」

 

 

時既に遅し。ライの足元にある床が横に開き、そのまま彼女は奈落へと堕ちていった。

 

 

「お嬢さん!!……クソ、迂闊だった、オレ達もこの下に……」

「いや、構うな。先に行くぞ」

「え!?」

 

 

下に落ちたライを助けようと、自らもそこに落ちようとするフグタだが、アルファベットがそれを言葉で制止させる。

 

 

「なんで!?……女の子1人が下に落ちたんだぞ!?」

「奴をただの少女だと侮るな。奴はオレの妹よりも天才性のあるカードバトラーだ、いざとなれば自力でどうにかする。そもそもその程度でくたばるようなカードバトラーを呼んではいない」

「いや、アンタの妹さんは知らんけども」

 

 

アルファベットはこの計画に、自らが信頼できるカードバトラーしか呼んでいない。春神ライも、当然それに値する存在。

 

 

「おい春神。オレ達は先に向かう。オマエは自力でさっさと追いついて来い」

 

 

アルファベットが床に開いた穴の先にいるであろうライに向かって、そう告げると、フグタと共に先へ進んだ。

 

常人では計り知れない価値観だが、それが彼なりの信頼なのだろう。

 

 

******

 

 

「あぁはいはい、わかりましたよ、相変わらず人の扱いが適当なんだから。つーかいったた……お尻から落ちちゃったし、ゲームソフトもよく見たら単なるパチモンだし、最悪」

 

 

アルファベットの言葉を受け取ったライ。痛いお尻を持ち上げて立ち上がると、そこは………

 

 

「おぉこれって……全部カードパック??……色んなのあるな。うわコレなっつ」

 

 

様々なカードパックが陳列し、所狭しと並んでいた。その種類、約100種以上。そんじょそこらのカードショップよりもはるかに品揃えが良い。

 

ヨッカの経営するカードショップ「アポローン」など、足元にも及ばないだろう。

 

 

「驚いた?……ここに昔住んでいた方の趣味なんですって」

「ッ……誰」

 

 

自分以外の存在に気づくライ。反射的に声のする方へと体を向ける。

 

 

「「誰」は失礼極まりないわね。まさかこの私、界放市のトップバトドル「青葉アカリ」を知らないなんて言わせないわよ」

「青葉アカリ……あぁ、あのヒバナちゃんの好きな奴。1回ライブ観に行ったっけ」

「ふふ……ありがとう」

 

 

そこにいたのは、バトスピアイドル、通称「バトドル」

 

その中でも界放市でトップに君臨する少女、青葉アカリだった。アイドルで活動している時では見せない、軽視するような冷ややかな目線をライへ向ける。

 

 

「まさかあんな単純な罠に引っ掛かる人がいるなんてね。余程ゲームが好きみたいね」

「あの罠作ったのアンタかい。なんて巧妙な」

「アハ、貴女可愛い顔してるわね、私には劣るけど。そんなにゲームが好きなら、私と一緒にバトスピしましょ。もうね、私の黄なるゼノンザードスピリット様が早く戦いたいって言って聞かないの」

 

 

アカリは懐からゼノンザードスピリットの一種『「双龍頭領」アオバ』のカードを見せつけながらそう告げる。

 

カードに対して「様」とつけるあたり、相当それに心酔しているのが見て取れる。

 

 

「そりゃそっち側にいるなら持ってるよね。いいよ、正直ちょっと期待してたんだよね、ゼノンザードスピリット使い」

「アハハ、さぁ私に貴女を傷つけさせて」

 

 

Bパッドをセットし、展開。さらにデッキをそこへ装填し、バトルの準備を完了させた。

 

青葉アカリのみ。

 

 

「あ、アレ……デッキ、どこ?」

 

 

羽織ってるスカジャンから下に履いてるショートパンツまで、あらゆる服にあるポケットを探るが、ライは自分のデッキが見つけられなかった。

 

どこにもいつも使っているデッキがない事に気づいた彼女は、頭の血の気が引いていくのを感じて。

 

 

「……デッキ、忘れた」

「は?」

「デッキ、忘れちゃった………」

 

 

バトルをやる上で最も大事な存在、と言うかあって当たり前のモノであるデッキを忘れてしまったライ。

 

余りのショックに意気消沈する。対戦相手であるアカリも、彼女の天然さに目が点になり、ついていけない様子。

 

 

「な、なんでデッキを忘れたのよ私………ッ」

 

 

瞬間、ライは昨夜の事を思い出す。

 

その時ライは、自分の家(ヨッカの家)に、親友である黒髪ロングの清楚系美少女、夏恋フウを招き、一緒に決戦用のデッキを組んでいた。

 

 

ー『珍しいね、ライちゃんが自分のデッキを調整なんて』

ー『まぁね。明日はちょいと野暮用でさ、流石に手抜きはできないんだよね』

ー『……まさか、また鉄華オーカミさん?』

ー『な、なんでそこであのバカの名前が出て来るかな』

 

 

デッキを真剣に組んでいる途中、フウにそう言われ、少なからずオーカミの事を意識しているライは、仄かに顔を赤くする。

 

 

ー『だって、ライちゃんが真剣な時って、だいたいあの子の事かなって思ったからさ』

ー『んぅ、まぁ全く関係なくはないけど』

ー『あ、やっぱり愛?……愛故の、的な理由なの!?』

ー『違う違う!!……フウちゃん期待しすぎでしょ、誰があんな赤チビ』

 

 

フウに『明日ヨッカさんを助けるために危険な場所へ向かう』など、口が裂けても言えない。

 

ライは親友を危険な目に遭わせたくないのだ。

 

 

ー『もう、ライちゃんってば照れ屋さんだなぁ』

ー『照れてないって』

ー『でも、そんな一途なライちゃんに朗報です』

ー『朗報?』

ー『じゃ〜ん!!……ライちゃんへのプレゼントです!!』

ー『おぉありがとう!!……カード?』

 

 

ライはフウから1枚のカードを受け取る。

 

それは『サザビー[ロング・ライフル]』と言う、強力な赤属性のモビルスピリットのカードであって………

 

 

ー『おぉレアカード!!……マジ、マジで貰っていいの!?』

ー『うんもちろん。私じゃ宝の持ち腐れだしね』

ー『うわぁ、ありがとうフウちゃん!!……持つべき物はやっぱり友達だね』

ー『あっはは、もう苦しいよ〜〜』

 

 

嬉しさの余りフウを抱きしめるライ。

 

その後は譲り受けた『サザビー[ロング・ライフル』をデッキに組み込み、彼女史上最強のデッキが完成した。完成したのだが。

 

今日、家を出る際、ライはそのデッキを自身の懐ではなく、テーブルの上に置き去りにしていて…………

 

どんなに強いデッキを作っても、どんなにプレイが上手くても、デッキが手元になければ、そのカードバトラーは無価値。

 

 

「わ、私最低過ぎる。フウちゃんごめん」

「呆れたわ。カードバトラーの命とも呼べるデッキを忘れるなんて、貴女それでもカードバトラーなの?」

「カードバトラーだよ。いや、朝早すぎて眠かったんだよね」

 

 

そんな言い訳をしている場合ではない。

 

一刻も早くデッキ、カードをどうにかしなければ。

 

 

「う、う〜ん。どうしよ、どうすれば…………あ」

 

 

ふと、何かに気がつき、周囲を見渡すライ。するとそこには無限の可能性が広がっていて…………

 

 

「あるじゃん、カード」

「は?」

「この部屋にあるカードパックだよ、1パック6枚入りだから7パックでデッキが組める」

「!?」

 

 

そう。この部屋は、早美アオイの亡き父がカードパックのコレクションを貯蔵していた場所。

 

それらのカードパックに封入されているカードを束ねれば、バトルを行う事ができる。

 

 

「ラッキー。じゃあどのパックにしようかな〜っと」

「あ、貴女バカなんじゃないの!?」

「お金なら後でちゃんと払うよ、ヨッカさんが」

「そう言う問題じゃない、カードパックに入っているカードは完全にランダム。適当に選んだパックだけじゃまともなデッキなんて組めるわけない!!」

「んぅ、まぁちょうど良いハンデだろ」

「!!」

「おぉ早速Xレアげっちゅ〜〜!!」

 

 

ライがパック開封を楽しむ中、アカリは密かに怒りの炎を燃やす。

 

 

「……ちょうど良いハンデ??……舐められたモノね、この薄汚い鼠娘が」

「竈門禰豆子って呼んでもいいよ。おぉコレ、このパックに入ってたのか」

 

 

最後のパックを剥き終わり、ライは当てたカード達を束ね、それを左腕に装着しているBパッドに装填。ようやくバトルの準備を完全に完了させる。

 

 

「ごめんごめん、待たせたね。じゃあ始めようか」

「ッ……コイツ本当にパックのカードだけでデッキを………この界放市バトドルの頂点、青葉アカリを怒らせた罪は重いわよ!!」

「おうよ、かかってきんしゃい」

 

 

……ゲートオープン、界放!!

 

 

周囲に様々な種類のカードパックが所狭しと並ぶ広大な部屋にて、適当なカード達でデッキを構成した春神ライと、ゼノンザードスピリット使いである青葉アカリによるバトルスピリッツが、コールと共に幕を開ける。

 

先攻は春神ライ。

 

 

[ターン01]春神ライ

 

 

「メインステップ、先ずは紫の成長期デジタルスピリット、ガジモンを召喚」

 

 

ー【ガジモン】LV1(1)BP1000

 

 

ライのフィールドに、薄い紫の体毛、長い耳を持つ小型のスピリット、ガジモンが召喚される。

 

 

「召喚時効果でデッキ上から2枚オープン、その中にある系統「道化」「夜族」を持つスピリットカード1枚を手札に加える」

 

 

ライのデッキの上から2枚のカードがオープンされるが、対象のカードは無し。

 

彼女のデッキは無作為に手に取ったパックのカードのみで構成されているのだから、至極当然である。

 

 

「対象カードはナッシング。よって2枚ともトラッシュに破棄、ターンエンド」

手札:4

場:【ガジモン】LV1

バースト:【無】

 

 

第1ターンが終了し、黄のゼノンザードスピリットを持つ青葉アカリの第2ターンへと移行する。

 

 

[ターン02]青葉アカリ

 

 

「メインステップ、黄色の異魔神ブレイヴ、黄魔神を召喚」

「おぉ異魔神、珍しいの持ってんね」

 

 

ー【黄魔神】LV1

 

 

歪み、ひび割れる空間の中より、丸みを帯びた体格に加え、黄金の輝きを持つ、異魔神ブレイヴ、黄魔神が出現する。

 

 

「バーストをセットして、ターンエンド。寄せ集めのカードだけでどこまで戦えるか、見届けてあげるわ」

手札:3

場:【黄魔神】LV1

バースト:【有】

 

 

バーストカードを仕込み、アカリはそのターンをエンド。

 

ターンは一周し、再びライのターンが巡って来る。

 

 

[ターン03]春神ライ

 

 

「メインステップ、緑のモビルスピリット、グスタフ・カール00型を召喚」

 

 

ー【グスタフ・カール00型】LV1(1)BP2000

 

 

ライの場に呼び出される2体目のスピリットは、モビルスピリット。群青色に身を包んだ量産機、グスタフ・カール。

 

 

「召喚時効果でコア1つを自身に追加」

「ふふ、緑のスピリット。やっぱり色の統一は皆無のようね」

「そりゃね。バーストをセット」

 

 

アカリとは違い、パックを最低限開封して作っただけのデッキを使用しているライは、当然ながら、デッキの色は統一できない。

 

それにより、僅か3ターン目にして、やや窮屈な展開が始まる。

 

 

「アタックステップ。さぁそのバースト、最初のターンにブレイヴを出したって事は、差し詰め、合体する用のスピリット、若しくはそれを召喚するためのカードって所かな」

「!!」

「ふっ……顔に出過ぎですな。バトル中はポーカーフェイス、大事にね」

「だ、黙れ」

 

 

ライの予測に、アカリは思わず図星だと言わんばかりの表情を見せてしまう。

 

 

「まぁでも、今日は敢えて乗ってやるよ、グスタフ・カールでアタック」

「ライフで受ける」

 

 

〈ライフ5➡︎4〉青葉アカリ

 

 

グスタフ・カールは、手に持つマシンガンを連射し、アカリのライフバリア1つを粉砕する。

 

そしてその攻撃は、アカリの仕込んだバーストカードの発動条件だ。

 

 

「ライフ減少によりバースト発動、イマジナリーゲート」

 

 

勢い良く反転したバーストカードは、黄色のマジックカード。

 

ライの予測通り、強力なスピリットを手札から呼び出せる代物である。

 

 

「この効果により、私は手札からあのお方をお呼びする」

「お、早くも登場かな」

 

 

イマジナリーゲートの効果により、スピリットカード1枚をBパッドへと叩きつける。そのカードは予想するまでもなく、当然黄なるゼノンザードスピリット。

 

 

「司るは黄。偉大なる翼広げ顕現せよ、双龍頭領・アオバ!!」

 

 

ー【「双龍頭領」アオバ】LV1(1)BP9000

 

 

天空より迸る稲光と共に光来したのは、白銀の鱗を持つ、ニ首の龍。橙の翼を広げ、空間全域が振動するほどの咆哮を張り上げる。

 

これが黄なるゼノンザードスピリット、双龍頭領・アオバ。

 

 

「あぁ、黄なるゼノンザードスピリット、アオバ様。今日もご機嫌麗しゅうございます」

 

 

アオバに心酔しているアカリ。それが出てくるなり、やや頬を赤らめ、うっとりとした表情を見せる。

 

 

「へへ、良いね。ターンエンド」

手札:3

場:【グスタフ・カール00型】LV1

【ガジモン】LV1

バースト:【有】

 

 

黄なるゼノンザードスピリットの召喚を待ち望んでいたライ。彼女のモチベーションも上がった所で、ターンはそれを召喚して見せたアカリへと移る。

 

 

[ターン04]青葉アカリ

 

 

「メインステップ、先ずはバーストを再びセットして、黄魔神をアオバ様に合体、さらにLV3へ」

 

 

ー【「双龍頭領」アオバ+黄魔神】LV3(3)BP20000

 

 

黄魔神が右手の先から光線を放ち、それでアオバと自身を繋げ、BP20000にも及ぶ強大な合体スピリットへと変貌する。

 

 

「アタックステップ、さぁアオバ様、小生意気な鼠娘に天罰を!!」

 

 

アカリの指示を受け、アオバはライのライフバリア目掛け、飛行する。

 

さらに、その際に発揮できる効果があり……

 

 

「黄魔神の効果、トラッシュにある黄色のマジック、イマジナリーゲートを回収」

「へぇ、マジック回収効果か」

 

 

前のターンに使用したバーストマジック、イマジナリーゲートが、アカリの手札へと舞い戻る。これで次のターンにセットすれば、再びその効果が発揮できる状態となった。

 

 

「さらにフラッシュ、アオバ様の効果、手札にある黄1色のスピリットカードを召喚する事で回復する」

「おぉ、強」

「私はガトーブレパスを召喚、アオバ様は回復」

 

 

ー【ガトーブレパス】LV1(1)BP1000

 

 

二つの首を持つアオバが猛々しく咆哮を張り上げると、フィールドに突如唸る落雷。その先にいたのは、黒い牛のような姿に、小さな羽が生えた珍獣、ガトーブレパス。

 

低コストの弱小スピリットだが、アタックでライフを減らした際に自分のライフを回復する強力な効果【聖命】の持ち主。

 

それの登場により、アオバは回復し、このターン二度目のアタックを可能とする。

 

 

「合体により、アオバ様はトリプルシンボル!!」

「トリプルシンボルが回復するのか、ガジモンでブロック」

 

 

ライの身を守らんと、小さい身体ながら勇猛果敢にゼノンザードスピリットであるアオバに立ち向かうガジモンだったが、常に身体に稲妻を迸らせるアオバの鱗に触れた瞬間に蒸発し、爆散していった。

 

 

「だけどこの破壊は、私のバースト発動条件だ」

「!」

「バースト発動、アトロスバースト」

 

 

ガジモンの破壊をトリガーに、今度はライの伏せたバーストカードが火を吹く。

 

 

「効果により、トラッシュにある「怪獣」の名を持つスピリットカード1枚をノーコスト召喚する。墓地より顕現せよ、磁力怪獣アントラー!!」

 

 

ー【磁力怪獣アントラー[初代ウルトラ怪獣]】LV1(1)BP5000

 

 

地中より飛び出して来たのは、クワガタ虫のような大きな二角の顎を持つ怪獣シリーズのスピリット、アントラー。

 

 

「召喚時効果でボイドからコア2つを自身に追加、LV2にアップ」

「ちょ、ちょっと待って、そんなカードいつトラッシュに!?」

「いつって、ガジモンの召喚時効果の時だよ。トラッシュに行くって言ったじゃん」

「偶然トラッシュに落ちてたのか、運の良い子。だけどその程度のスピリットで私のアオバ様は止められないわ、アオバ様、もう一度お願いします!!」

 

 

アントラーが登場してもお構い無しにアタックステップを継続するアカリ。アオバが再びライのライフバリアを狙って飛翔する。

 

 

「フラッシュ、もう一度アオバ様の効果を使うわ。手札にある2枚目のガトーブレパスを召喚して、アオバ様は回復」

 

 

ー【ガトーブレパス】LV1(1)BP1000

 

 

「おお、まだ回復すんの」

 

 

落雷と共に出現する2体目のガトーブレパス。合体によりトリプルシンボルとなっているアオバが二度目の回復を果たす。

 

一度に3つものライフを砕くトリプルシンボルの連続アタックの重圧は計り知れないが、それを軽くいなすかのように、ライは手札のカード1枚を切る。

 

 

「フラッシュマジック、シャットアウト」

「!」

「黄のゼノンザードスピリットのアタックは、ライフで受ける」

 

 

〈ライフ5➡︎2〉春神ライ

 

 

「あ、あぁっ……!!」

 

 

アオバの2つの口内から放たれる、深紅と蒼白の雷撃が、ライのライフバリアを一気に3つ砕く。

 

直後にゼノンザードスピリット使いが与える痛みが、ライの身体へ襲い掛かった。

 

 

「へぇなるほど、これが噂のヤツか、思ったより効くね」

 

 

ライは激痛に耐えつつ、余裕のある笑みを浮かべる。痛みが伴うバトルは初めてのようだが、恐怖以上に、強いスピリットと戦える楽しさが勝っている様子。

 

 

「シャットアウトの効果で、アンタのターンは終わる」

 

 

ここでライの発揮していた白のマジックカード、シャットアウトの効果が適応。否応を問われず、アカリのターンは強制的にエンドとなる。

 

 

「ターンエンド。どう、これが黄なるゼノンザードスピリット、アオバ様と私の真の実力!!」

手札:2

場:【「双龍頭領」アオバ+黄魔神】LV3

【ガトーブレパス】LV1

【ガトーブレパス】LV1

バースト:【有】

 

 

「そう言えばアイカツスピリットは使わないの?……バトスピアイドルと言ったらやっぱりアレでしょ」

「ふふ、アオバ様のデッキは神聖でなければならない。あんなキャピキャピしただけのカード達じゃアオバ様の美しさを穢してしまうわ」

「え、そうなの?」

 

 

ライはよくわかっていないが、きっとアカリなりのポリシーがあって、アイカツスピリットは今のデッキに入れていないのだろう。

 

 

「へへ、まぁバトルが面白ければ何でもいいや」

 

 

何はどうあれ、シャットアウトの効果でターンはライへと回って来る。

 

彼女は震えていた指先を粉砕するかの如く、拳を握り締め、己のターンを進めていく。

 

 

[ターン05]春神ライ

 

 

「ドローステップ………ッ」

 

 

ドローステップのドローの瞬間、その刹那。ライの脳内に直接流れ出てくるのは、彼女が勝つまでの道のり。

 

要するにこのターン、確実にライはアカリに勝利する事ができると言う事だ。

 

 

「ふ……ちょっぴり早すぎる気がするけど、別いいや。さぁ、ラストターンの………」

 

 

ー『なんかアレ好きになれないんだよ、インチキっぽくて』

 

ー『勝利は自分の手で掴みたい』

 

 

「ッ……」

 

 

自分の勝利の未来が見えた直後にやる、いつもの決めゼリフ。それを言い切る前に脳裏を横切るのは、早美邸へ乗り込む前に言われた、鉄華オーカミの言葉。

 

 

「インチキねぇ、オッケーいいじゃない、偶には探してみますか、別ルート」

「は?……さっきから何言ってんのよ鼠娘。さっさとターンを進めなさい」

 

 

通称「王者」と呼ばれる、バトルの未来が見える力。ライは生まれて初めてそれを無視し、バトルを進行する。

 

未知なる勝利を追い求めて………

 

 

「言われなくてもそのつもりだ。さぁ、楽しい楽しいバトスピタイムの始まりだよ!!」

「ッ……なんなのコイツ。寄せ集めのデッキのくせに」

 

 

荒々しくなるライの言動。その勢いに、アカリは気圧され始める。

 

 

「メインステップ、先ずは赤のマジック、フェイタルドロー。私のライフが3以下だから、デッキから3枚のカードを引く」

 

 

真っ先に使用したのは赤属性の汎用マジック。ライはこの効果でカードを引き、手札を5枚まで増やす。

 

 

「白の成熟期デジタルスピリット、サンダーボールモンを召喚。不足コストはアントラーのLVを1に下げて確保」

 

 

ー【サンダーボールモン】LV1(1)BP4000

 

 

ライがフィールドに呼び出したのは、ボール体型の可愛らしいスピリット。

 

しかし、その見た目に反して効果は強力であり………

 

 

「召喚時効果、相手のスピリット1体を手札に戻して、コア1つを自身に置く。対象はもちろんアオバだ」

「ッ……私のアオバ様を、生意気な」

 

 

サンダーボールモンが高く跳躍し、自身の何倍も体格差があるアオバを殴りつける。

 

アオバはピクリとも動かないが、直後に身体が粒子化。アカリの手札へと戻っていく。

 

 

「よし、そんじゃ最後にバーストをセットして、アタックステップだ。アントラー、いってらっしゃい」

 

 

前のターンにバースト効果でトラッシュから召喚された大顎を持つ怪獣、アントラーが、ライの命令を受けて動き出す。

 

今のアカリのフィールドには合体先をなくしてバトルができない黄魔神と、2体のガトーブレパス。到底太刀打ちする事はできない。

 

 

「ライフよ、貰いなさい」

 

 

〈ライフ4➡︎3〉青葉アカリ

 

 

よってこの攻撃は、まだ余裕のある自分のライフへと寄越す。アントラー自慢の大顎が彼女のライフバリア1つを挟み込み、破壊。

 

そして、それが引き金となる。

 

 

「ライフの減少により、バースト発動!!」

「!」

「砲天使カノン!!」

 

 

このターンのバーストも、ライフ減少がトリガー。アカリは勢いよく反転させたそれの効果を存分に発揮させる。

 

 

「その効果で、貴女のスピリット全てのBPをマイナス10000、0になれば破壊するわ」

「マイナス10000、しかも対象は全て」

「鼠娘の割には察しがいいわね、そう、今いる3体のスピリットは全て木っ端微塵よ!!」

 

 

天罰の如く、天空より降り注ぐ無数の光弾。それらはライのフィールドに存在するサンダーボールモン、アントラー、グスタフ3体のスピリット全てに直撃し、爆散へと追い込む。

 

 

「さらにこの効果発揮後に、自身をノーコスト召喚。現れなさい、砲天使カノン!!」

 

 

ー【砲天使カノン】LV1(1)BP6000

 

 

ライのフィールドがまっさらとなった直後に天空から降り立ったのは、巨大な2つの砲手を備えた勇ましき天使、カノン。

 

 

「アーッハッハッハ!!…これでスピリットは全滅、このターンはもう動けないでしょ」

「ま、そうなるよね。ターンエンド」

手札:3

バースト:【有】

 

 

砲天使カノンによる手痛いカウンターを食らい、全滅となってしまったライのスピリット達。

 

アカリのスピリットの数も相まって絶体絶命の状況に陥るライだが、その余裕は未だ絶えない。

 

 

[ターン06]青葉アカリ

 

 

「メインステップ、手札に戻ったアオバ様をLV2で再召喚よ!!」

 

 

ー【「双龍頭領」アオバ】LV2(2)BP10000

 

 

前のターンにサンダーボールモンの効果で手札に戻った黄なるゼノンザードスピリットのアオバ。

 

雪辱を晴らさんと言わんばかりに、再びフィールドへと君臨。

 

 

「アオバ様の召喚時効果、デッキ上から4枚オープンし、その中にある黄1色のスピリットカード2枚を手札に加えるわ」

「!」

「オープンされた4枚の中から「ガトーブレパス」と「砲天使カノン」を手札に」

 

 

召喚時効果を発揮させない代わりに、ノーコストでスピリットを召喚する黄のマジック「イマジナリーゲート」で召喚された一度目の召喚とは違い、二度目はしっかりと召喚時効果を発揮。

 

その効果でアカリは新たなカードを2枚手札へと加える。その中には厄介なバースト効果を持つ「砲天使カノン」も確認できて………

 

 

「ふふ、もう一度バーストをセットして、黄魔神を砲天使カノンとアオバ様に合体」

 

 

ー【砲天使カノン+黄魔神】LV1(1)BP12000

 

ー【「双龍頭領」アオバ+黄魔神】LV2(2)BP16000

 

 

黄魔神は手の先から光線を放ち、砲天使カノン、アオバと自身を繋げ、2体をトリプルシンボルを持つ強力な合体スピリットへと変貌させる。

 

 

「これで私の合計スピリットは4体、内2体はトリプルシンボル。対する貴女のスピリットは0、勝負あったようね」

「ふ、この程度で勝ち確って、バトスピ初心者かよ」

「なんですって!?」

「いいから来なさいな。今から格の違いってヤツを見せてやるからさ」

 

 

手招きし、軽くアカリを挑発するライ。

 

アカリはそんなライを粉砕すべく、並べたスピリット達と共にアタックステップへと突入する。

 

 

「ほんっとにムカつく鼠娘。一般人とトップバトドルの差を思い知るがいい!!……アタックステップ、アオバ様!!」

 

 

アカリの逆鱗に触れたライ。今一度トリプルシンボルとなったアオバが、残り2つのライフを砕くべく飛翔する。

 

誰がどう見ても勝てるわけがないこの状況だが、まるでそれを待ち望んでいたかのように、ライは白く綺麗な歯並びが見える程、笑みを浮かべて………

 

 

「フラッシュ、私は海賊宇宙人バロッサ星人の効果を発揮」

「ッ……フラッシュで手札からスピリット効果!?」

「相手にブレイヴがある時、コレを召喚できる。おいでませ、バロッサ星人!!」

 

 

ー【海賊宇宙人バロッサ星人(二代目)[ウルトラ怪獣2020]】LV1(1)BP3000

 

 

どこからともなくライのフィールドへと見参するのは、渦巻き状の線が入った顔を持つ宇宙人、バロッサ星人。

 

 

「バロッサ星人の召喚時効果、相手のブレイヴを破壊する」

「な、なんですって!?」

「ダブルシンボルを持つブレイヴ、黄魔神には、ここで退場してもらう」

 

 

バロッサ星人は登場するなり、その特徴的な頭部から念力のようなモノを放出。それで黄魔神の身体を捻じ曲げ、爆散。

 

これにより、アオバと砲天使カノンは合体スピリットではなくなる。

 

 

「これぞ起死回生ってね。さらに効果で召喚していた場合、デッキから1枚ドローする」

「くっ……だけどまだよ、シンボルが1つになっても、スピリットが4体いる事に変わりはない。お願いします、アオバ様、あの鼠娘に激しい痛みを、痛がる姿を私に見させて!!」

 

 

黄魔神との合体がなくなったとは言え、バロッサ星人自身のBPは低い。ゼノンザードスピリットであるアオバの足元にも及ばない。

 

 

「アオバのアタックはライフで受ける」

 

 

〈ライフ2➡︎1〉春神ライ

 

 

「ぐっ……うあっ!?」

 

 

アオバの2つの口から放たれる深紅と蒼白の電撃が、ライのライフバリアを1つ砕く。

 

黄魔神の損失により致命傷は避けられたが、その残りライフは僅か1となってしまう。

 

 

「アーッハッハッハ!!……そうだよそういう顔よ、もっともっと私に見せて!!」

「見せるかっての、ライフ減少によりバースト発動、紫の完全体デジタルスピリット、パンプモン」

「え」

 

 

前のターンに唯一残った、ライのバースト。その発動条件は、ライフの減少。

 

更なる起死回生の一手を、ここで繰り出す。

 

 

「パンプモンの効果、相手のスピリット全てのコアを、それぞれ1個になるようにリザーブへ送る」

「ッ……アオバ様のLVが1に!?」

 

 

発動されたバーストカードの効果により、アオバのコアが移動。LVは2から1へと降格。

 

スピリットの数には影響しないが、先程のバロッサ星人と言い、確実にアカリはライのカード達に戦力を削がれている。

 

 

「んでもってぇ、このターンの間、コア1個の相手のスピリットのアタックじゃ私のライフは減らせない」

「な……!?」

「効果発揮後、パンプモンをノーコスト召喚する」

 

 

ー【パンプモン】LV1(1)BP4000

 

 

バロッサ星人に続いて現れたのは、頭部がパンプキンとなっている紫の完全体デジタルスピリット、パンプモン。

 

 

「私の全てのスピリットのコアはたったの1個ずつ。これじゃあこのターンでライフを破壊し切れない……!?」

「その通り。アンタはもう、ターンを終えるしかない」

「ッ……」

 

 

人差し指を向けるライに、アカリは言葉を失い、苛立ちの余り歯軋りする。

 

絶対的な力を持つ悪魔の魔道具、ゼノンザードスピリットを持ちながら、その辺のパックから適当に作ったデッキ如きに何度も攻撃を凌がれる事が、どうしようもなく腹が立つのだろう。

 

 

「だけど、私のバーストは砲天使カノン。次のターンで負けはない、ターンエンド」

手札:4

場:【「双龍頭領」アオバ】LV1

【砲天使カノン】LV1

【ガトーブレパス】LV1

【ガトーブレパス】LV1

バースト:【有】

 

 

「あーあ、バースト教えちゃったよ。まぁ関係ないけど」

 

 

結果的に、4体ものスピリットを並べ、強力なバーストカードまでもを備えてのエンドとなったアカリ。

 

十分すぎる堅牢な防御だが………

 

 

「さぁ今度こそ、ラストターンの時間だ」

 

 

それは春神ライの敵ではない。

 

 

[ターン07]春神ライ

 

 

「メインステップ、全てのスピリットのLVを最大に上げる」

 

 

ターンの開始早々に、ライは今いる2体のスピリット「パンプモン」と「バロッサ星人」に、コアを5個ずつ追加。そのLVを最大に上昇させる。

 

 

「そんなスピリット達のLVを上げて何になるって言うの。私のアオバ様の敵じゃないわ」

「それだけな訳ないでしょ。【煌臨】を発揮、対象はパンプモン」

「ッ……メインステップ中に煌臨!?」

 

 

ここで発揮したのは、スピリットを進化させる力【煌臨】………

 

ライの背後から現れた、強靭な肉体を持つ、赤い戦士の影が、眩い光と共に、フィールドのパンプモンの身体へ重なって行く。

 

 

「現れよ、仮面ライダーファイズ ブラスターフォーム!!」

 

 

ー【仮面ライダーファイズ ブラスターフォーム】LV3(6)BP16000

 

 

パンプモンを依代として、新たにライのフィールドへと顕現したのは、黄色い眼光を輝かせる、赤きライダースピリット、ファイズ ブラスターフォーム。

 

強力な効果を備えた、Xレアカードだ。ゼノンザードスピリットにも負けず劣らずの強きオーラを放つ。

 

 

「こ、ここに来てライダースピリットのXレアカード。でも、どんなに強いスピリットだろうと、この状況はひっくり返せないでしょう」

「ふ、一発逆転があるから、バトスピは面白いんだよなぁ、アタックステップ……ブラスターフォームでアタック」

 

 

呼び出したブラスターフォームでアタックを仕掛けるライ。

 

この時、ブラスターフォームのアタック時効果が起動する。

 

 

「LV2からのアタック時効果、赤シンボル1つを追加。さらに他に紫のスピリットが1体でもいれば、紫シンボルも1つ追加。紫属性のバロッサ星人がいるから、この条件は達成している」

「単体トリプルシンボル!?」

「もう1つのアタック時効果で、相手は可能なら必ずブロックしなければならない」

 

 

ブラスターフォームのアタック時効果が発揮。ブレイヴとの合体抜きで、単体トリプルシンボルを達成する。

 

しかし、折角のトリプルシンボルだが、もう1つの効果はそれが無駄に終わってしまうブロック強制効果であり………

 

 

「そんなアタック、言われなくてもブロックしてあげるわ。守りなさい、ガトーブレパス」

 

 

アカリの指示を受け、犠牲になるべく2体いるガトーブレパスの内1体が地を駆ける。

 

そしてこの瞬間、狙い通りだと言わんばかりに、ライの口角が上がり………

 

 

「この瞬間、ブラスターフォームの最後の効果を発揮」

「!」

「ブロックされた時、このスピリットのシンボル分、相手ライフをリザーブに送る」

「な、なんですってぇぇ!?」

 

 

ガトーブレパスを無視して天高く跳躍するブラスターフォーム。そのまま飛び蹴りの構え。向けられた右脚を軸に赤いエネルギーが集い、槍の形を形成すると、アカリのライフバリアへと向かっていく。

 

 

「ブラスターフォームのシンボルは3。アンタの残りライフも3。チェックメイトだ」

「なんなの、何者なのよ貴女。カードパックから開封したカードだけでこんなコンボを完成させるなんて………」

「私の名前は春神ライ。以後、お見知り置きを」

 

 

ライがそう告げると、赤い槍を形成したブラスターフォームが遂にアカリのライフバリアへと到達。

 

 

〈ライフ3➡︎0〉青葉アカリ

 

 

「あ、ぁぁぁぁぁあ!!!」

 

 

勢い乗り、容易く残りのライフバリア全てを砕き切った。

 

これにより、アカリのBパッドから「ピー……」と無機質な機械音が流れ、ライの勝利を告げる。自分のデッキを忘れてしまった時は一体どうなってしまうと思われたが、見事適当なカードパックのカードのみで勝利して見せた。

 

 

「そ、そんな……私のアオバ様に全てを捧げる愛のデッキが負ける……なんて」

「わ。ちょいちょい、大丈夫!?」

 

 

敗北のショック、そしてゼノンザードスピリットを使用し続けた代償なのか、アカリはバトルの敗北直後に気を失い、横に倒れる。

 

 

「……んぅ、まぁ大丈夫そうかな。息はしてるし」

 

 

慌ててアカリの元へと駆け寄るライ。彼女の無事を確認すると、取り敢えず一安心。

 

 

「生まれて初めて未来が見える力に頼らずバトルしたな。結構やれるじゃん私」

 

 

いつもは確実に勝つために無意識の内に「王者」を使用して来たライ。だが今回初めてそれを無視してバトルをした事で、己の実力は本物であると理解する。

 

 

「さて。さっさとこんなとこ出て、アルファベットさん達に追いつきますかね。悪いけど、このカードはヤバいから私が持っていくよ」

 

 

ライはその後、アカリのBパッドから黄なるゼノンザードスピリット「アオバ」のカードを取り上げると、カードパックのコレクション部屋を後にする。

 

バトルスピリッツの各6属性に存在するゼノンザードスピリット、その内5体がオーカミ達によって敗れた。遅かれ早かれ、早美邸を舞台にした決戦は、間もなく終止符を迎える。

 

 

「今行くよ、ヨッカさん」

 




次回、第42ターン「呼び起こせ、アルファモン激闘」



******


今回はオマケとして主人公、鉄華オーカミのデッキレシピを公開致します。第39、第40ターンでのバトルでは、ここに「仮面ライダーゼロワン」が1枚追加されてました。


「鉄華オーカミ」使用デッキ(40ターン時点)


ランドマン・ロディ×3
ガンダム・バルバトス[第1形態]×3
ガンダム・バルバトス[第2形態]×1
流星号[グレイズ改弍]×3
辟邪×2
ガンダム・バルバトス[第4形態]×3
ガンダム・バルバトスルプス×1
ガンダム・グシオンリベイク×1
ガンダム・グシオンリベイクフルシティ×1
ガンダム・フラウロス[流星号]×1
ガンダム・バルバトス[第6形態]/ガンダム・バルバトス[第6形態 太刀装備]×1
魔界霧竜ミストヴルム×1

昭弘・アルトランド×1
三日月・オーガス×2
ノルバ・シノ×3

ビスケット・グリフォン×3
オルガ・イツカ×3
クーデリア&アトラ×3

ネクロブライト×1
スネークビジョン×1
絶甲氷盾〈R〉×2


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