バトルスピリッツ 王者の鉄華   作:バナナ 

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第45ターン「最凶のゼノンザードスピリット」

曇天蔓延り、波が打ち寄せ合う、ジークフリード区、アビス海岸。

 

Dr.Aに扮していた嵐マコト、早美アオイにフグタ、さらには九日ヨッカ、アルファベットが見守る中、獅堂レオンと早美ソラのバトルスピリッツが続く。

 

 

******

 

 

「貴様のライフは残り2つ。それに対し、我が魂のシンボルもブレイヴとの合体により2つ……コレで決める!!」

「……」

 

 

ダブルシンボルとなったデスティニーガンダムの手に持つビームランチャーから、再び極太のビーム攻撃が照射される。

 

ソラのフィールドのスピリットは0。この一撃が通れば、レオンの勝利となるが………

 

 

「フラッシュアクセル、己械人シェパードール」

「ッ……2枚目!?」

「このターンの間、コスト4以上のスピリットのアタックではライフは減らない。デスティニーのアタックはライフで受ける」

 

 

〈ライフ2➡︎2〉早美ソラ

 

 

ソラのライフバリアの前方に展開される半透明のシールドが、デスティニーのビーム攻撃を弾き返す。

 

 

「アイツ、まだ手札に防御札を……!?」

「だが、レオンのフィールドは盤石だ。返しのターンで敗北する事は先ずないだろう」

 

 

ヨッカとアルファベットがそう言葉を溢す。

 

アルファベットの言う通り、レオンのフィールドはパイロットブレイヴとの合体で最大限のパフォーマンスを見せるデスティニーガンダムに加えて、それの回復の元になるネクサスが2枚、オマケにライフは残り4もある。これを盤石を期していると言わずして、何と呼ぶか。

 

 

「アタックステップの終了時、ギルバートの【神技】……ギルバートのコア3つを消費し、オレはドローステップを行い、カードをドロー。ターンエンドだ」

手札:4

場:【デスティニーガンダム+シン・アスカ】LV3

【ギルバート・デュランダル】LV1(0)

【ミネルバ】LV2

バースト:【無】

 

 

このバトルでは2枚目となるシェパードールのシールドに阻まれ、レオンは無念のターンエンド。

 

だが、誰が見ても自分が優勢なのは明らか。その眼差しは勝利への眺望に満ちている。

 

 

「ソラ?」

「ちょいちょい、コレどう言う状況なわけ?」

「ッ……ライ!?……それにオーカ、なんで!?」

 

 

ターンが切り替わる直前、鉄華オーカミと春神ライもようやくこのアビス海岸に到着した。

 

彼らの登場に、一番驚いたのは他でもない、2人を危険な目に遭わせたくないヨッカ。

 

 

「なんでオマエ達がここにいる」

 

 

アルファベットがオーカミとライに訊いた。

 

 

「え、アルファベットさんがメールでここに来いって言ったんじゃん」

「なに?」

「テメェ、もう2人を巻き込むなって言ったそばから」

「……」

 

 

情報の食い違いが発生する。オーカミとライは、アルファベットのメールのメッセージによりこのアビス海岸へと赴いたのだが、当の本人はそんなメールは心当たりがなさそうだ。

 

 

「あぁ、そのメール。私が偽装した物ですよ。よくできてるでしょ?」

「え……病院の先生?」

「やぁ春神ライちゃん。この間のバトルは楽しかったね」

「はぁ!?……ライオマエ、アイツとバトルしたのか!?」

「えと、うん、ちょこっと」

「大丈夫だったのか、何もされてないか!?」

「何もないって、バトルしただけなんだから」

 

 

界放リーグの直後に嵐マコトと言う医者と、病院の屋上でバトルした事を思い出すライ。彼の口振りや、ヨッカの慌て様から直感的に、この状況で最も危険な人物である事を理解した。

 

そしてそれは、オーカミも同じであり………

 

 

「獅堂とソラ……」

「早美ソラ、奴は今、そこにいるDr.A、嵐マコトによって全てのゼノンザードスピリットを操る肉体に改造されてしまった、怪物だ」

「!」

「だがオレが勝ち、本物の奴を取り戻す。そしてもっとオマエに追いついて見せるぞ」

 

 

オーカミとレオンがそう会話する。

 

要所要所でわからない事があるものの、オーカミは、ソラが目の前の医者のせいで何かに巻き込まれている事だけは完全に理解して………

 

 

「一度のバトルで防御札を3枚も引き込むとは、運の強い奴だ。だが次はない、圧倒的王者の轟音を、貴様の耳に響かせてやる」

「なに、まさかもう勝った気でいるの?」

「ソラ君、そろそろ君の本気、彼に見せてあげたらどうかな?」

 

 

嵐マコトがソラにそう告げると、彼はそれに頷き、一度瞼を閉じる。

 

 

「はい、先生」

「!?」

 

 

次に開眼させると、その瞳孔は赤く輝き、血の涙が頬を伝うかのように、赤い線が浮かび上がる。

 

 

「こ、コレは……」

「うむ、実にエクセレント」

 

 

目の前で雰囲気が変わるソラに、レオンは驚愕するが、その赤い輝きは誰よりも知っている。

 

それはバトルスピリッツの未来を見透す、神秘の力だ。

 

 

「王者……奴は自らの意思でその領域に踏み込む事ができるのか?」

「レクス?」

 

 

アルファベットの口から出た「王者」と言う聞き慣れない単語に、ヨッカが疑問符を浮かべる。

 

そう、これは「王者」………

 

鉄華オーカミや春神ライが偶発的に使用できる、使用者を必ずバトルに勝利させる天下無敵の能力。肉体を嵐マコトに改造されたからか、今のソラは、この力を偶発的ではなく、意図的に使用できるようだ。

 

 

「君の敗北の未来は見えた。懺悔の用意をするなら、今のうちだよ」

「決めゼリフはそれだけか?」

「……」

「貴様がオレの敗北を見たと言うなら、オレはその未来ごと、撃ち砕くまでだ」

「砕けるかよ、クズが」

 

 

今まで二度、その力に完敗を続けて来たレオン。

 

だが、己の弱さを知った今の自分なら、必ず乗り越えられる。そう信じ、彼はソラのターンに構え、手札を強く握る。

 

 

[ターン08]早美ソラ・王者

 

 

「メインステップ、アイリエッタとアッシュ、2枚の創界神ネクサスを疲労させ、次に召喚するゼノンザードスピリットのコストを4軽減。僕はコレを召喚する」

 

 

ソラが2枚になった手札の中から1枚を引き抜き、Bパッドへと叩きつける。

 

そのカードこそ、ソラの真の切り札。全てのゼノンザードスピリットをも凌駕する、王者。

 

 

「司るは闘。この世の全ての争いを統べる、闘いの荒神!!……九神龍アラバスター!!……LV3で召喚」

 

 

ー【九神龍「闘」アラバスター】LV3(6)BP30000

 

 

眼前の大海を蒸発せんとする程のマグマの一柱が立ち上がると、その中より1体の巨龍が爆音の咆哮を張り上げ、飛び出す。

 

その名は九神龍アラバスター。全てのゼノンザードスピリットの頂点に君臨する、絶対王者。それが今、ソラのフィールドへと羽を休め、4本の脚で大地を踏みしめる。

 

 

「コイツは、なんだ!?……BP30000、合体したデスティニーをも凌駕するだと」

「これが僕のゼノンザードスピリット、最凶のアラバスターさ。アタックステップ、アラバスターでアタックする!!……この時、アラバスターは一度だけ疲労しない」

「!!」

 

 

召喚した最凶のゼノンザードスピリット、アラバスターで攻撃を仕掛けるソラ。アラバスターはその効果で一度だけ疲労せずにアタックを行える。つまりこのターンだけで二度のアタックが可能なのだ。

 

 

「さぁソラ君、やってしまいなさい。君の全力を、あの歯向かう愚か者に知らしめるのです!!」

 

 

アラバスターの登場に興奮し、声を荒げる嵐マコト。ソラはその声に応えるように、アラバスターの効果をさらに宣言する。

 

 

「アラバスターはアタックしたバトル終了時、相手ライフ3つを破壊する」

「なに!?」

「ライフ3点バーン!?……なんてデタラメな効果」

 

 

アラバスターの脅威的な効果に、皆どころか流石の春神ライも驚愕する。

 

バトルスピリッツとは、5つのライフを破壊するゲーム。その内半数以上を一撃で粉砕する効果を持つアラバスターは、まさに闘いの荒神であると言える。

 

 

「そう、アラバスターは全てがデタラメ。全てが規格外!!」

「くっ……デスティニーの効果、ミネルバを疲労させる事で自身を回復。そしてアラバスターをブロックだ」

 

 

レオンはスピリット効果を発揮させ、デスティニーを回復。アラバスター迎撃へと向かわせるが………

 

 

「そんな事しても無駄だァァァァ!!!……君の敗北の未来は見えたと言っただろう!!……喰らい尽くせ、アラバスター!!」

 

 

ビーム砲やビームブレードで攻撃するデスティニーだが、その内1つ足りたとも、アラバスターの鋼鉄の鱗に傷をつける事は叶わない。

 

そして、迫り来るアラバスターは、それの首を噛みちぎり、難なく爆散へと追い込んだ。

 

 

「デスティニー……だが、パイロットブレイヴ、シンのアタック破壊時効果。デッキ上1枚をオープン、それが系統「ザフト」「FAITH」なら使える」

「オープンカードはリミテッドバリア」

「!」

「君に勝ちの目なんてないんだよ。ザフトもFAITHも持たないそのカードは、デッキの下へ」

 

 

発揮されるパイロットブレイヴ、シン・アスカの効果。しかし、レオンはデッキ上から1枚をドローするが、そのカードを視認する前に、ソラがそのカードを言い当てる。

 

王者により、バトルの未来の見える彼に、死角はない。レオンは大人しくカードをデッキの下に戻した。

 

 

「アラバスターの効果、君のライフ3つを破壊する!!」

「ッ……」

 

 

〈ライフ4➡︎1〉獅堂レオン

 

 

「ぐっ……ぐぉぉぉぉぉぉッッッ!?!」

「レオン!?」

 

 

アラバスターの口内から放たれる爆炎のブレスが、レオンのライフバリアを焼き尽くし、激痛による苦しみが、彼を襲う。

 

レオンの事を昔から知っているアルファベットは、思わず彼の名を叫ぶ。

 

 

「ぐっ……ッ」

「その目、まさかまだ諦めてないの?……これだけ力の差を見せつけられながら、また立ち上がるつもり?」

 

 

片膝をつくレオンに、冷たい目線を向けながら、ソラが訊いた。

 

 

「とう、ぜんだ。オレはもう、己の弱さのせいで止まる事はできない。止まれば今度こそ鉄華オーカミに追いつけなくなるからな」

「そ、アラバスターでアタック」

「ッ……獅堂」

 

 

〈ライフ1➡︎0〉獅堂レオン

 

 

自分で訊いておきながら、レオンの言葉をあっさり切り捨てると、アラバスターで最後の攻撃宣言をするソラ。

 

命令を受けたアラバスターは、その激爪で、レオンの最後のライフバリアを無慈悲に切り裂く。

 

これにより、勝者は早美ソラ。最凶のゼノンザードスピリットであるアラバスターを、天下無双の王者の力で操り、圧倒的勝利を納めて見せた。

 

 

「おい、獅堂!」

 

 

倒れるレオンを抱き抱えるのは、彼が勝手に好敵手認定をした、鉄華オーカミ。

 

 

「お、オーカミ。オレは、貴様に、少しでも、追いつけた……か?」

「………」

 

 

オーカミが意識朦朧とするレオンの言葉の返答を考える中、ソラが口を開く。

 

 

「その程度で楽になれると思うなよ獅堂レオン。僕は言ったよね、死をもって償ってもらうって」

「ッ……これ以上何をする気だ、ソラ」

「大丈夫だよオーカミ、消えるのは、ソイツだけだから」

 

 

ソラがアラバスターのカードをレオンへと翳す。すると、レオンの身体は粒子化し、その中へと吸収されて行った。

 

 

「!?」

「レオン、レオン!!?」

「ソ、ラ?」

 

 

突如自分の腕の中から、獅堂レオンと言う名の重みが消え、驚愕するオーカミ。

 

彼の名を悲痛に叫ぶアルファベット。「どうなってんだ」と困惑するヨッカ。弟であるソラが、人を消した事に対してまた大きなショックを受ける早美アオイ、そして執事のフグタ。

 

 

「獅堂が消えた、なんで!?」

「人をデータ化する力だよ、鉄華オーカミ君。たった今、彼の肉体と精神はデータとなり、ソラ君の持つアラバスターのカードに吸収されたんだ。ようやく僕の長年の研究が実った、コレがあれば」

 

 

……『コレがあれば、あのお方の目的も達成できる』

 

春神ライもこの意味不明な現象に困惑してしまう中、嵐マコトが内心でそう密かに呟いた。

 

 

「データ化……ソラ、何でこんな事」

「何でって……気に入らないから」

「ッ……そんな理由で」

「アイツは僕の姉さんを虐めたんだ。このくらいの罰は当然なんだよ、オーカミ」

「……」

 

 

頭の血の気が下がり、開いた方が震えて塞がらないオーカミ。今のソラは、無邪気な怪物になってしまっているのだと、ようやく自覚する。

 

 

「アッアッア!!……いいよ、いいよソラ君。その考え方、実にエクセレント。これからもその力は、アオイ君を守るために役立ててくれたまえ」

「うん、本当にありがとう先生。僕に素晴らしい力を授けてくれて」

「ソラ………」

 

 

Dr.Aに扮して来た嵐マコトに、感謝の意を伝えるソラ。その純真無垢な笑顔が、この場の誰もに、彼の異質さ、異常さを教える。

 

弟が完全な怪物に仕上がってしまったと知ったアオイは、また砂浜に向かって項垂れる。その表情は、絶望感に溢れていた。

 

 

「下がれ鉄華、奴は、奴らはオレが始末する……!!」

「!?」

 

 

オーカミにそう告げたのは、他でもない界放警察の警視アルファベット。

 

普段はあまり感情を出さない彼だが、レオンの消滅が影響なのか、サングラス越しでもわかる程の怒りを露わにしていた。

 

 

「アルファベットさんがあんなに怒るの、初めて見た」

「……アルファベットさん」

 

 

その感じたこともない強烈な圧に、オーカミをはじめ、彼を知っているヨッカとライも驚愕する。

 

だが、そんな息が詰まる重圧の中でも、オーカミは立ち上がり、アルファベットへと顔を向けて。

 

 

「いや、下がるのはアルファベットの方だ。次はオレがやる」

「なに」

「ッ……何言ってんだオーカ!?」

 

 

オーカミのその発言に、一番強い反応を示したのは、彼の兄貴分であるヨッカだ。

 

 

「ソラは友達だ、オレが助ける。始末なら、オレが負けた後でいつでもやれよ。まぁ負けないけど」

「……」

 

 

バトスピのお陰で繋がった友達の1人であるソラ。オーカミは彼を助けたいのだ。元のお気楽で優しい彼に、戻してあげたいのだ。

 

その想いが伝わったアルファベットは、今一度冷静さを取り戻し………

 

 

「……わかった」

「おい、アルファベットさん!?」

「この状況をどうにかできると言うのなら、やってみろ」

「うん、ありがとう」

 

 

早美ソラとのバトルを容認する。オーカミがソラと対面し、己のBパッドを左腕にセットする中、彼の兄貴分である九日ヨッカが、荒げた声で声を掛ける。

 

 

「おいオーカ!!……やめろって、オマエがそんな危険なバトルをする必要はねぇ、見ただろ、負けたら獅堂レオンみたいに消えるんだぞ!?」

「そうかもね」

「そうなんだよ!!……なんでオマエはいつも、ずっとそんな涼しい顔してられるんだ」

「そう言われてもな」

「オレがオマエに教えたかったバトルは、こんな殺し合いみたいな戦いじゃない、みんなで笑い合って、心の底から楽しむための」

「うん、知ってる」

「!」

「だから行くんだよアニキ。またみんなで楽しめるように、笑い合えるように、奪われたモノを取り返す」

 

 

時々、オーカの事が怖くなる。

 

なんで少しでも「恐い」とか「逃げたい」とか言わないんだ。これは勇敢ってレベルじゃない、異常だ。まるでそう言った感情が死んでいるような………

 

 

「お嬢、次は鉄華オーカミが……」

「もう無理よ、誰が何をやっても、ソラは私の元に帰っては来ない。あぁ、ごめんなさい、ごめんなさいソラ。私があんな事しなければ、あんな事さえしなければ………」

「お嬢……」

 

 

絶望に暮れるアオイ。

 

そんな彼女に接近し、胸倉を勢い良く掴み上げたのは、春神ライだった。

 

 

「アンタ、何勝手に泣きじゃくってんだよ」

「……」

「アンタの弟のために、戦おうとしてくれる奴がまだいる。アンタはアイツを応援しないといけないんじゃないの!?」

「……」

「狡いんだよアンタ。せめて、自分の願いを叶えようとしてる奴の背中くらい、押してあげろ」

「……!」

 

 

ライにそう言われ、何かに気づかされたか、目の色を変えるアオイ。

 

さらにその目線を、すぐさまオーカミへの向けて………

 

 

「オーカミ君」

「ん?」

「ごめんなさい、今までの事、本当にごめんなさい。私に、こんな事を言う権利なんてないかもしれない……でも、でももし、赦してくれるのなら………お願い、ソラを救けて」

「うん、そのつもり」

 

 

涙ながらに鉄華オーカミに願いを告げるアオイ。オーカミはあんまり深い事はわかっていないようだが、それでも頷き、彼女の想いを引き継ぐ。

 

 

「ソラ、今度はオレとバトルしよう」

「姉さん、また泣いてる。なんで?」

「Bパッドを使って、外でバトルしようって約束したのに、まさかこんな形で果たすなんてな、残念だ」

「誰が泣かした?……まさかオーカミ?」

 

 

話が噛み合わないまま、2人はBパッドを互いに向かい合わせ、バトルの準備を完全に完了させる。

 

 

「でも、オレは絶対に……」

「なら、僕は絶対に……」

 

 

オマエを救ける。

 

君を赦さない。

 

 

……ゲートオープン、界放!!

 

 

互いに強い感情を胸に、鉄華オーカミと早美ソラによるバトルスピリッツが幕を開ける。

 

先攻は早美ソラ。

 

 

[ターン01]早美ソラ

 

 

「メインステップ、2種の創界神ネクサス、アイリエッタ・ラッシュとアッシュ・クロードを配置」

 

 

ー【アイリエッタ・ラッシュ】LV1

 

ー【アッシュ・クロード】LV1

 

 

前のバトルと全く同じ展開を行うソラ。フィールドには何も出現しないが、ゼノンザードスピリットをサポートする2種類の創界神ネクサスが、確かに配置された。

 

 

「2枚の神託を発揮、コアを1つずつ追加、さらにバーストをセットして、ターンエンド」

手札:2

場:【アイリエッタ・ラッシュ】LV2(1)

【アッシュ・クロード】LV2(1)

バースト:【有】

 

 

バーストのセットと共に、ソラのターンはエンド。周囲の皆が見守る中、鉄華オーカミのターンが始まる。

 

 

[ターン02]鉄華オーカミ

 

 

「メインステップ、ネクサス、ビスケット・グリフォンを配置」

 

 

ー【ビスケット・グリフォン】LV1

 

 

オーカミの初動は、鉄華団専用のネクサスカードであるビスケット。

 

その効果は手札を増加する事に長けている紫ならでは。

 

 

「効果発揮、疲労させる事でデッキ上1枚をオープン、それが鉄華団なら手札に加える。オレはオープンされた『オルガ・イツカ』のカードを手札へ」

 

 

オープンされたカードは運が良く、鉄華団のデッキにおいて、動きの根幹を支える最重要カード『オルガ・イツカ』………

 

ビスケットのシンボルで軽減すれば、最速このターンで配置できるが。

 

 

「オルガか。良い物を引いたね、でもこのターンでの配置はさせないよ、手札増加時のバースト、キメラモン」

「!」

「効果によりネクサスのビスケットを破壊し、コア1つをリザーブへ」

「シンボルが……」

 

 

オーカミの手札増加時に反応し、勢い良く反転するソラのバーストカード。その効果により、オーカミのネクサスは破壊、トラッシュに落とされる。

 

 

「効果発揮後、ノーコスト召喚する。完全体のデジタルスピリット、キメラモンをLV1で召喚」

 

 

ー【キメラモン】LV1(1)BP7000

 

 

強固な甲殻、鋭い頭角、気高き毛皮。様々な生物の長所を併せ持つ、異形のデジタルスピリット。

 

その名はキメラモン。4本の腕、4枚の翼を広げ、強い存在感を示す。

 

 

「どう?……君のリザーブのコアは2つ、これじゃ軽減無しでオルガは配置できないでしょ」

「……ターンエンド」

手札:5

バースト:【無】

 

 

オルガのコストは3。オーカミのリザーブのコアは2つ。ビスケットの紫シンボルで軽減しなければ、このターンでの配置は不可能。

 

オーカミのバトルはコレにより、ワンテンポ遅れる事となる。

 

 

[ターン03]早美ソラ

 

 

「メインステップ、ソウルコアをコストに含み、エイプウィップを召喚」

 

 

ー【エイプウィップ〈R〉】LV1(1)BP1000

 

 

「効果によりコア1つをリザーブに。ソウルコアを使って召喚していた場合、追加でコア2つをトラッシュに」

 

 

ソラは、その身に木々の力を宿す4本腕の猿型のスピリット、エイプウィップを召喚。効果により累計3つのコアを増やした。

 

 

「僕のこのターン、エンドだ」

手札:2

場:【キメラモン】LV1

【エイプウィップ〈R〉】LV1

【アイリエッタ・ラッシュ】LV2(3)

【アッシュ・クロード】LV2(3)

バースト:【無】

 

 

ソラのターンが終わり、再びオーカミのターンとなるが、今の彼のフィールドのカードは0枚、対してソラは4枚。序盤にどれだけのカードを並べられるかが肝となるバトルスピリッツにおいて、この差は痛恨で。

 

 

[ターン04]鉄華オーカミ

 

 

「メインステップ、オレも創界神ネクサス2枚、オルガ・イツカとクーデリア&アトラ」

 

 

ー【オルガ・イツカ】LV1

 

ー【クーデリア&アトラ】LV1

 

 

「配置時の神託を発揮。オルガに2つ、クーデリア&アトラに3つのコアを追加」

 

 

いつも通り、フィールドには何も出現しないが、オーカミは鉄華団に大きな恩恵を与える2種の創界神を配置する。

 

 

「バーストをセットして、ターンエンドだ」

手札:3

場:【オルガ・イツカ】LV1(2)

【クーデリア&アトラ】LV2(3)

バースト:【有】

 

 

「フ……前のターンに1枚でも配置できたら、もうちょっとは動けたのかもしれないのに、残念だったね」

「鉄華団を嘗めるなよソラ。オレ達はここからいくらでも巻き返せる」

 

 

このターン、オーカミが場に残せたカードはたったの2枚。今のソラの半分しか満たない。

 

オーカミが埋められない差をさらに広げるべく、今度はソラのターンが始まる。

 

 

「へぇ、じゃあ巻き返しようがない程、さらに追い詰めてやろうかな!!」

 

 

圧倒的なフィールドアドバンテージを得た今、ソラが次に狙うアドバンテージは、当然勝利に直結するライフなのは明白であり………

 

 

[ターン05]早美ソラ

 

 

「メインステップ、もう一度ソウルコアをコストに、2体目のエイプウィップを召喚」

 

 

ー【エイプウィップ〈R〉】LV1(1)BP1000

 

 

「効果でまた3つのコアをブーストだ」

 

 

ソラのフィールドには2体目のエイプウィップ。召喚時効果により、オーカミとの総合コア数をまた大きく引き離す。

 

 

「バーストをセット、キメラモンのLVを3に上げてアタックステップだ。僕にオーカミの敗北を聞かせてくれ、キメラモン、アタック時効果で1枚ドロー」

 

 

咆哮を張り上げ、敵のライフバリア目掛けて走り出すキメラモン。前のターンにネクサスしか残せなかったオーカミは、これをライフで受ける以外の選択肢がなくて………

 

 

「ライフで受ける」

 

 

〈ライフ5➡︎4〉鉄華オーカミ

 

 

「ぐっ……うぁぁっ!?」

「オーカ!?!」

 

 

色も形も違う4本の腕で押さえ付け、オーカミのライフバリア1つを圧壊するキメラモン。ゼノンザードスピリット使いが齎す痛みが、破壊されたライフバリアを伝い、彼を襲う。

 

心配で声を荒げるヨッカに対し、オーカミは痛みに歪ませた表情を瞬時に戻し「大丈夫」と呟くと、伏せていたバースト反転させる。

 

 

「ライフ減少後のバースト、絶甲氷盾」

「!」

「効果でライフ1つを回復」

 

 

〈ライフ4➡︎5〉鉄華オーカミ

 

 

勢い良く反転されたオーカミのバーストカードは、最も汎用性が高いとされる、白属性の防御マジック『絶甲氷盾〈R〉』……

 

その効果により、オーカミは破壊されたライフバリアを瞬時に元に戻した。

 

 

「今の攻撃、差し引き0になったな。ゼノンザードスピリットを全て得たって言うオマエのバトルスピリッツは、こんなもんかよ」

「………は?」

 

 

突然の煽りに苛立ちを覚えるソラ。フィールド状況的にこれだけ劣勢を強いられていると言うのに、途方もないオーカミの自信が、彼の鼻についた。

 

 

「こんなもんなわけないだろ!!……今の僕は、先生のお陰で誰よりも強いカードバトラーになったんだ!!……コア不足で絶甲のアタステ終了効果は発揮されない。やれ、エイプウィップ」

「よし、そのまま来い」

 

 

〈ライフ5➡︎4➡︎3〉鉄華オーカミ

 

 

「ぐっ……!?」

 

 

相手のアタックステップを強制終了させる事でお馴染みの「絶甲氷盾〈R〉」だが、今回に限ってはオーカミのコア不足で発揮できず。

 

その隙を突き、ソラは2体のエイプウィップで追撃。そのライフを追加で2つ奪って見せる。

 

ライフの破壊と共に激痛がまたオーカミを襲うが、その表情は僅かばかり口角が上がっていて………

 

 

「ターンエンド。どうだ、これが今の君と僕との実力差。さっさと諦めて、姉さんに懺悔しろ」

手札:2

場:【キメラモン】LV3

【エイプウィップ〈R〉】LV1

【エイプウィップ〈R〉】LV1

【アイリエッタ・ラッシュ】LV2(4)

【アッシュ・クロード】LV2(4)

バースト:【有】

 

 

「マズイ、このターンでさらに坊ちゃんが有利になっちまった。勝てるのかよ、鉄華オーカミ」

 

 

ソラがライフ差でもオーカミに優勢を取り、ターンをエンドとする中、劣勢となるオーカミに、フグタがぼやく。

 

だが、他の人物の反応は違っていて………

 

 

「コレは……」

「ハリセンボンさん、バトルスピリッツって言うのはね、コアと手札と戦術さえ有れば、いくらでも巻き返せるゲームなんだよ」

「……フグタだよ、いい加減覚えて」

 

 

アオイも遅くで気がつき、ライがフグタにそう告げた。

 

フグタ以外の誰もが気づいていた。オーカミはこのソラのターン、わざと彼を煽り、アタックを仕掛けさせた事を。そして、ライフを減らし、自分のコアを増やした事を。

 

 

[ターン06]鉄華オーカミ

 

 

「メインステップ、先ずはランドマン・ロディ2体を連続召喚」

 

 

ー【ランドマン・ロディ】LV1(1)BP1000

 

ー【ランドマン・ロディ】LV1(1)BP1000

 

 

オーカミの場に、濁った白と橙色を基調とした、丸っこい小型モビルスピリット、ランドマン・ロディが2体現れる。

 

その召喚に反応し、2種の創界神がそれぞれ2個ずつコアを増やす中、オーカミは、さらに1枚のカードをフィールドへと放った。

 

 

「轟音唸る、過去をも穿つ!!……ガンダム・グシオンリベイクフルシティ、LV3で召喚!!」

 

 

ー【ガンダム・グシオンリベイクフルシティ】LV3(5S)BP13000

 

 

「なに、グシオンリベイクフルシティ!?」

 

 

召喚されたのは、鉄華オーカミのデッキにおいて、バルバトスと並び双璧を成す、鉄華団デッキの重鎮、ガンダム・グシオンリベイクフルシティ。自慢の武器であるハルバートを片手で握り、豪快に構える。

 

コレだけ大型のスピリットを普通に召喚できたのは、前のターン、ライフ減少によってコアが増加したからである。

 

 

「しまった、このためにオーカミは敢えて前のターン、アタックを誘っていたのか」

「そう言う事」

 

 

ようやくソラも気がつくが、時は既に遅い。オーカミは残った最後の手札も、フィールドへと召喚する。

 

 

「パイロットブレイヴ、昭弘・アルトランド。召喚して、フルシティと合体」

 

 

ー【ガンダム・グシオンリベイクフルシティ+昭弘・アルトランド】LV3(5S)BP16000

 

 

結果的に持ちうる全ての手札を投げ、3体のスピリットを展開するオーカミ。

 

彼と鉄華団スピリット達による逆襲が幕を開ける。

 

 

「アタックステップ、フルシティでアタックだ!!」

 

 

オーカミの反撃。フルシティは、このタイミングで強力なアタック時効果を発揮させて行く。

 

 

「フルシティの煌臨アタック時効果、デッキ上から2枚を破棄。その中にある紫1色のカード1枚につき、相手フィールドのコア2個をリザーブに置く」

 

 

この効果でオーカミのデッキ上から2枚が破棄。そのカードは「ガンダム・バルバトスルプス」と「ガンダム・バルバトス[第2形態]」………

 

いずれも紫1色のカードである。

 

 

「どっちも紫1色、合計コア4つをリザーブへ!!……エイプウィップ2体から1個ずつ、キメラモンから2個だ」

「!」

 

 

紫のオーラをハルバートに込めた、フルシティの横一線の一撃。それは飛ぶ斬撃となり、ソラの全てのスピリットを斬り裂いて行く。

 

2体のエイプウィップは耐えられず消滅してしまうが、キメラモンは残りコア4つとなり、LV2のダウンで踏み止まる。

 

 

「ここで、クーデリア&アトラの【神域】……鉄華団の効果で自分のデッキが破棄された時、オレのトラッシュから紫1色のカード1枚をデッキの下に置き、1枚ドロー」

 

 

オルガではない、2種類目の創界神、クーデリア&アトラの効果が発揮され、オーカミは0となった手札を1枚だけ取り戻す。

 

 

「さらにもう1つ、フルシティの【合体中】アタックブロック時効果、相手のコア4個以下のスピリット1体を破壊できる」

「なに!?」

「キメラモンを破壊だ」

 

 

腰部にマウントした大きな盾。それを大きなハサミのような武器に変形させ、キメラモンを万力の如く挟み込む。物理的な圧力に屈したキメラモンは、堪らず爆散して行く。

 

 

「この効果で破壊した時、トラッシュからカードを手札に戻す。来い、バルバトスルプス!!」

 

 

トラッシュにあるカードまで回収できるフルシティ。オーカミはこの効果でエースである「ガンダム・バルバトスルプス」のカードを手札へ加えた。

 

 

「うっしし、やるじゃん、赤チビ」

「あんな劣勢から……オーカの奴、いつの間にこんなに強く」

「知らなかったか九日。奴はこの数日で大きくレベルアップしたぞ、オマエに護られる必要がない程にな」

「………!」

 

 

一気に劣勢をひっくり返したオーカミに、ライとヨッカとアルファベットがそう言葉を交わした。

 

特に彼の兄貴分であるヨッカは、この状況と言う事もあり、やや複雑な気持ちのよう。

 

 

「フラッシュ、オルガの【神域】……自分のデッキを3枚破棄して1枚ドロー、クーデリア&アトラの効果でさらにドロー」

「ッ……手札まで増やすのか」

「フルシティのアタックは続いてるぞ、合体によりダブルシンボルだ!!」

「……ライフで受けるよ」

 

 

〈ライフ5➡︎3〉早美ソラ

 

 

アタック時効果の解決とフラッシュタイミングが全て完了し、フルシティの本命のアタック。一度大きな盾を腰部にマウントし直し、ハルバートで豪快に振るってソラのライフバリアを一気に2つ玉砕。

 

わざとライフを砕かせ、コアを増やしたオーカミの戦略は、ここまでハマりにハマったが、ソラの手札にある1枚のカードが、その勢いを堰き止める。

 

 

「ライフが減少し、3以下になった時、この赤マジック「シックスブレイズ」はノーコストで使用できる」

「!」

「BP12000まで好きなだけスピリットを破壊し、その効果を発揮させない。2体のランドマン・ロディを除去させて貰う」

 

 

ソラのはなった1枚のマジック。彼の背後から6つの火の玉が飛び出し、オーカミのフィールドで待機していた2体のランドマン・ロディに直撃。それらを焼き尽くして行く。

 

 

「さらにライフ減少のバースト、選ばれし探索者アレックス。ノーコスト召喚だ」

 

 

ー【選ばれし探索者アレックス〈R〉】LV1(1)BP4000

 

 

誰も居なくなったソラのフィールドに、紫のフードを深く被った、秘めたる力を持つ杖を携えた人型のスピリット、アレックスが出現。

 

 

「アレックスのアタックステップ強制終了効果は、オルガの【神域】で無効化されてるけど、アタックできるスピリットがいないから、どちらにしろだよね」

「……ターンエンドだ」

手札:4

場:【ガンダム・グシオンリベイクフルシティ+昭弘・アルトランド】LV3

【オルガ・イツカ】LV2(6)

【クーデリア&アトラ】LV2(7)

バースト:【無】

 

 

アタックできるスピリットが消えてしまった事で、オーカミはそのターンをエンド。だが、その0枚だった手札は知らぬ間に4枚へ。

 

フィールドの状況も鑑みると、このターンのみでかなり巻き返したと言える。

 

しかし、今のソラは、全てのゼノンザードスピリットを操らせるために、嵐マコトに改造されている。次の彼のターンで呼び出されるのは当然………

 

 

[ターン07]早美ソラ

 

 

「メインステップ、アレックスの効果、疲労させる事でコアブースト。さらにマジック、ネオ・ハンドリバース。残った1枚の手札を破棄して、デッキから3枚ドロー」

 

 

連続して効果を発揮するソラ、またコアを増やし、手札も3枚まで回復。

 

さらにその3枚の手札を視認するなり、口角が僅かに上がって………

 

 

「ここからだよオーカミ。僕は姉さんの幸せのため、君を倒す。この王者の力で」

「!」

「君の敗北の未来は見えた。懺悔の用意をするなら、今のうちだよ」

 

 

先のレオン戦と同様、ソラは瞳孔を赤く輝かせ、その頬には同じ輝きを持つ赤い線が伝う。

 

 

「ッ……ここで早美ソラの王者か」

「なぁアルファベットさん、さっきから言ってる、その王者ってなんなんだ」

 

 

早美ソラが自身の王者を自発的に発動させ、不穏な空気がどよめく中、そもそも「王者」についての知識がないヨッカが、アルファベットに訊いた。

 

 

「王者とは、使用者に勝つための未来を見せ、必ず勝利に導かせる、カードバトラーにとっての天下無双の力だ」

「え、ちょいちょい、それってまさか私が良く見るヤツ!?」

「あぁ、同じだ」

「ワオ初めて知った、そんな名前だったんだ。もうちょいカッコいい名前つけてあげろよ、最初に発見した人」

「バトルの未来……待て、そう言やオーカも」

「そうだ。鉄華にも、その才能がある」

 

 

元々、王者が使えると言う理由だけで2人を早美邸に連れて行った事を話し掛けるアルファベットだが、これを言ったらまたヨッカに殴られそうだと思い、口を慎む。

 

 

「行くよオーカミ、僕は2種の創界神ネクサスの【神域】の効果を発揮、疲労させ、召喚するゼノンザードスピリットのコストを4支払った物として扱う

「!」

「司るは青。深海の主・アレシャンドをLV2で召喚!!」

 

 

ー【「深海の主」アレシャンド】LV2(3)BP13000

 

 

フィールド全体を青く染め上げる津波。それら全てをその身に纏ってこの場に立つのは、青き逆鱗を持つ深海の龍。青のゼノンザードスピリットにして、深海の主・アレシャンド。

 

 

「召喚時効果、コア2つをボイドに置き、手札から2枚のスピリットをノーコスト召喚する!!……現れよ、道化竜メルトドラゴン」

 

 

ー【道化竜メルトドラゴン】LV3(4)BP5000

 

 

アレシャンドの効果を活用するソラ。追加でフィールドに、仮面を付けた小型で人型のドラゴン、メルトドラゴンを呼ぶ。

 

さらに最後の手札にも手を掛けて………

 

 

「さらに、司るは紫。憂鬱の魔王・ベールフェゴルをLV1で召喚!!」

 

 

ー【「憂鬱の魔王」ベールフェゴル】LV1(1)BP8000

 

 

地底深くより、噴き出てくる闇の息吹。それらは空間を震撼させながら、密集していき、やがて悍ましい悪魔の姿を形成する。

 

そのスピリットの名は憂鬱の魔王・ベールフェゴル。紫のゼノンザードスピリットだ。

 

 

「2体のゼノンザードスピリットを僅か1ターンで呼び出すとは、流石このエクセレントな私が見込んだ男だよ、ソラ君」

 

 

フィールドに君臨した青と紫のゼノンザードスピリットを見るなり、嵐マコトはまた嘲笑する。

 

 

「アタックステップだ、アレシャンドでアタック、そのLV2アタック時効果により、グシオンリベイクフルシティをオーカミ、君の手元へ」

「ッ……手元?」

 

 

咆哮を張り上げるアレシャンド、その瞬間に巨大な水玉がフルシティを包み込み、それを消滅、そのカードをオーカミの手元へと送った。

 

 

「さらにフラッシュタイミング、アッシュ・クロードの【神技】を発揮、残った昭弘・アルトランドをデッキ下へ」

「……!」

「まだ行くよ、今度はアイリエッタ・ラッシュの【神技】を発揮、トラッシュのコア1つを僕のライフへ」

 

 

〈ライフ3➡︎4〉早美ソラ

 

 

ゼノンザードスピリットの召喚をサポートするだけが、ソラの創界神ではない。オーカミの場に残ったパイロットブレイヴをデッキ下に送るだけではなく、ライフの回復までもを行って見せた。

 

 

「アレシャンドのアタックは継続している!!」

「……ライフで受ける」

 

 

〈ライフ3➡︎2〉鉄華オーカミ

 

 

「ぐっ……うぅっ!!」

 

 

アレシャンドは口内から激流の如く水流を放出。それによって、オーカミのライフバリア1つを貫き砕いた。

 

再び状況を一変され、オーカミのフィールドのスピリットは0。フルアタックを受けて仕舞えば、敗北は免れない状況にまで追い詰められてしまうが、それでも諦めまいと、歯を食い縛り、手札にある1枚のカードをBパッドへと叩きつけた。

 

 

「手札の絶甲氷盾の効果を発揮。アタックステップを強制終了させる」

 

 

オーカミが放ったマジックカードは、このバトルでは2枚目となる「絶甲氷盾〈R〉」………

 

その効果により、ゼノンザードスピリット2体を従えているとは言え、ソラのアタックステップは強制的に終了となる。

 

 

「エンドステップ時、メルトドラゴンの効果、デッキから手札が4枚になるまでドローする」

 

 

アタックステップが終了しても、ソラのターンが完全に終わったわけではない。アレシャンドの効果でベールフェゴルと共に呼び出されたメルトドラゴンの効果が発揮され、ソラは0枚だった手札を4枚まで増加させる。

 

 

「ターンエンド、それは知ってたよ。でも次の僕のターン、君はどう足掻いても生き残る事はできない」

手札:4

場:【「深海の主」アレシャンド】LV2

【「憂鬱の魔王」ベールフェゴル】LV1

【道化竜メルトドラゴン】LV3

【選ばれし探索者アレックス〈R〉】LV1

【アイリエッタ・ラッシュ】LV1(2)

【アッシュ・クロード】LV1

バースト:【無】

 

 

王者の放つ輝きはそのままに、余裕綽々でそのターンをエンドとするソラ。『もうすぐ大好きな姉さんを虐めた者を殺害できると思うと、楽しくてしょうがない』そう言った表情を見せる。

 

嵐マコトによって、必ずそう言う考え方に至るよう、改造されてしまっているのだ。

 

 

「プロになりたいって言ったよな、ソラ」

「?」

「そんなになってもまだ、プロになりたいって思ってるのか?」

 

 

ダメージを受けた身体を奮い立たせ、オーカミがソラに訊いた。

 

 

「バトスピのプロになってお金稼いで、姉さんを楽させたいんじゃなかったのか」

「何だよ急に、説教のつもりかオーカミ。負けそうになったからって、遅延はやめてくれよ」

「オマエだって本当はわかってるはずだ。このままじゃいけない事、本当の意味では姉ちゃんのためにならないって事」

「な訳ない、やめてくれよホント、鬱陶しい!!」

 

 

オーカミの言葉に徐々にペースを乱されて行くソラ。

 

その間に、オーカミのBパッドにあるデッキのカード達が、彼の血潮に染まって行くかの如く、淡い赤色に輝き出す。

 

 

「君は僕の何だ、大好きな姉さんを虐めるクズの分際で……何を偉そうにしてんだ!!」

 

 

ソラは震えた右手の拳を握り締め、声を荒げる。

 

そしてその直後、オーカミの右目の瞳孔が、デッキのカード達と同様の赤色に輝きを放ち………

 

 

「何って、友達だよ。だから救けたくて、一緒にいたくて、抗ってんだ」

 

 

ソラを救けたいと言う強い想いが募った影響か、意図せずして、オーカミもソラと同様に、天下無双の「王者」が発動。

 

バトルは間もなく終盤。2人の王者を持つ者の衝突が、よりそれを激化させて行く事は、目に見えていて………

 

 






次回、第46ターン「天空斬り裂け、未来を照らせ」
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