バトルスピリッツ 王者の鉄華   作:バナナ 

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第47ターン「王者、バルバトスルプスレクス」

黒い翼を羽ばたかせるカラスの群れが、まるで間もなく訪れる夜を知らせるかのように鳴き続ける。

 

界放市の警視、アルファベットと、カードショップアポローンの店長、九日ヨッカは、そんな音が絶え間なく聞こえ続ける、夕暮れのヴルムヶ丘公園のベンチに腰を据えていた。

 

 

「あれから1週間、鉄華の容態はどうなった」

 

 

どんよりとした空気が続く中、アルファベットがヨッカに訊いた。

 

ヨッカの反応は、あまり良いモノではなく……

 

 

「変わらずだ。右目は失明、右腕も神経麻痺で動かせないまま」

「そうか。周囲にはなんと話している」

「右目の事は何も、右腕は骨折したと説明してます」

 

 

鉄華オーカミ。

 

友である早美ソラの暴走を止めるため、彼と同じ王者の力を使ったが、その代償に右目と右腕を失ってしまった。

 

弟分に課せられた、無慈悲且つ重すぎる天罰に、ヨッカはただ拳を握る事しかできなくて………

 

 

「……」

「オマエのせいではない。王者を使った者を倒せるのは、同じく王者を使える者しかいない。遅かれ早かれ、奴は早美ソラとバトルしていただろう」

「そう言う問題じゃねぇ……!!」

「!」

「アイツをバトスピに誘ったのはオレだ。オレが、アイツを……あんなにしちまったんだ、このオレが」

 

 

拳を握るだけでは足らず、行き場のない怒りは、口元にまで伝播し、強く歯を噛み締める。

 

鉄華オーカミをバトルスピリッツの道に誘った張本人である九日ヨッカ。あの場にいた誰よりも大きな責任を感じているに違いなかった。

 

 

「……九日、気に病む必要はない。何せ、オマエが鉄華をバトスピに誘わなくとも、鉄華はバトスピをしていたからだ」

「……え?」

「明日、オレは最後のバルバトスを、奴に託す。オマエも来い、九日」

「アルファベットさん、アンタ」

 

 

意味深な言葉を言い放つアルファベット。そんな彼の手には「ガンダム・バルバトスルプスレクス」と言う名前のカードが握られており………

 

 

******

 

 

 

「そんじゃ、ヒバナちゃんの大復活を祝しまして……乾杯!!」

「なんか、恥ずかしいな」

 

 

鈴木イチマルが、ジュースの入った紙コップを、骨折していない左手で掲げながら乾杯の音頭を取る。

 

場所はいつも通りカードショップアポローン。鉄華オーカミ、一木ヒバナ、雷雷ミツバも、それに合わせて紙コップを手に取り、乾杯する。

 

 

「つーかオーカミ、折角ヒバナちゃんが復活してくれたのに、オマエも右腕骨折って、まさか過ぎるだろ、縁起悪いよな」

「あぁ、まぁ別に片手使えれば今までと対して変わらないから」

「いや、変わりはするだろ」

 

 

早美邸での決戦から1週間が経過した。その翌日に起こったアビス海岸での闘いは、あの場に居合わせた者達以外には話していない。

 

故に、今この場にいる誰もが、オーカミが右腕を三角巾で固定している、本当の理由を知らない。

 

 

「ねぇオーカ、さっきからずっと気になってたんだけど、何で今日ずっとBパッド付けてるの?」

「気分」

「気分って……」

 

 

ヒバナがそうオーカミに質問する。この世界では老若男女、貧富の差に関わらず、誰もが所持できるアイテムであるBパッドだが、確かに常時左腕に装着しているのは明らかに変である。

 

 

「オレの骨折とかは別に気にしなくていいよ、今日はヒバナのために集まったんだし」

「それもそっか、オレっちも骨折したし……よぉし、めっちゃお菓子食うぞ〜!!」

 

 

張り切るイチマル。アポローンの経費で大量に購入したお菓子をバリバリ貪り始める。

 

その様子は、どこか痩せ我慢しているようにも見えて……

 

 

「ねぇ、オーカ……イチマル、やっぱりお兄さんの事気にしてるんじゃ」

「うん、多分」

 

 

ヒバナがオーカミに小声で伝える。

 

イチマルの実の兄である、鈴木レイジ。オーカミとバトルして以降、彼は行方不明になってしまっていた。故に今のイチマルは、その心配の気持ちを押し殺しているに違いない。

 

だからと言って、こちらから何かをしてあげれるわけではない。今は見つかる事を信じて、ただ待つのみである。

 

 

「オーカ、ヒバナちゃん、何こそこそイチャイチャしてんだい?……イチマルがお菓子全部食べちゃうよ〜」

「い、イチャイチャはしてないですよミツバさん、今から食べます。太らない程度に」

「あっはは、今まで寝たきりだったんだから、たくさん食べても罰当たんないって」

 

 

ミツバがヒバナを揶揄って来ると、ヒバナもお菓子を食べにそこへ向かおうと、一歩前に出る。

 

 

「どうしたのオーカ、行こ」

「……うん」

「あ、そう言えば今日、ライちゃん達もくるんだって」

「ライ?」

「うん、ライちゃんと、お友達のフウちゃん」

 

 

今日は、どこか上の空寄りと言ったオーカミだったが、ヒバナの口からライの名前を聞くなり、彼女との出会いや思い出が想起し……

 

 

「……あぁ、そっか。オレ嬉しいんだ」

「え」

「なんか今日、胸の辺りがぐしゃってなってて、ずっと変な感じがしたんだ。でもやっとわかった。みんながこの店に戻って来てくれて、また一緒にいられて、オレは嬉しいんだ」

「……」

「うん、やっぱりそう。オレは嬉しい、行こうヒバナ。オレも食べたい、お菓子」

 

 

オーカミはそう告げると、イチマルとミツバがいる所へ向かって歩いて行く。

 

 

「それは、いいんだけど、私も嬉しいんだけど、何で」

 

 

……『何でライちゃんの名前でそれがわかったの?』

 

直後、自分の横を通過するオーカミに、ヒバナの頭の中は、その疑問でいっぱいになった。

 

 

 

******

 

 

翌日。ここは日本で最もバトルスピリッツが盛んな界放市、そこと他県や他国を繋ぐ有数の空港、界放空港。

 

鉄華オーカミと春神ライは、ある人物達を見送るべく、そこへ足を運んでいた。

 

 

「鉄華オーカミ、春神ライちゃん。今回の件、本当にありがとう。お陰で、オレ達はまた絆を取り戻す事ができた」

「いやいや、そんな固い挨拶はいいですって、ハリセンボンさん」

「だからフグタだって」

「本当になんと、お礼を申し上げればいいのか」

「別に気にしなくていいと思うけど。結果的にソラは助かって戻って来たんだし、それにヒバナとイチマルにはもう誤ったんだろ?」

「えぇ、レオン君にも」

 

 

早美ソラ、アオイ、フグタの3人は、間もなくソラの病気完治のため、アメリカへと旅立つのだ。

 

長年苦しめられて来たソラの病気。オーカミも、それが具体的にどんな病気なのかは詳しく聞かされてはいないが、早美姉弟が嵐マコトによって縛られて来たおよそ3年の間に、その病を治せる方法が、アメリカにできた事を知り、一先ず安心している。

 

 

「オーカミ、君のその右目と右腕は、僕が……」

「ソラ」

 

 

苦しい表情を見せながら、相応の重たい言葉を発するソラ。

 

自分を助けようと命懸けで闘ってくれたオーカミに、殺意を向けていた事への罪悪感が、今の彼を苦しませていた。

 

 

「競争だな」

「へ?」

「オマエの病気と、オレのコレ。どっちが早く治せるか競争しよう。勝った方が、ジュースを奢る」

「オーカミ……」

「それでその後は、バトルだ。今度こそ、普通にバトスピしよう」

 

 

無表情で、言葉も淡々としていて、非常にわかりづらいが、これはオーカミなりの気遣い、優しさである事を、ソラは知っていて……

 

彼はその目に涙を浮かべながら、オーカミの左手を取る。

 

 

「うん、うん……絶対しよう、バトスピ、約束だ」

「あぁ、絶対だ」

 

 

その手を離すと、アメリカ行きへのアナウンスが流れる。一時の別れがやって来た。オーカミとライは、軽く手を振り、ソラ達を見送る。

 

 

「じゃあ、九日ヨッカと、アルファベットさんにもよろしく伝えておいてくれ」

「うん」

 

 

フグタの言葉を最後に聞き取ると、オーカミとライは空港の屋上へと移り、数分後に、そのアメリカ行きの飛行機が飛び立つのを見届けた。

 

 

「行っちゃったね」

「うん」

「ヨッカさんとアルファベットさん。誘ったのに結局来なかったな〜あの2人、最近付き合い悪いんだよね」

「うん」

「そうそう、この後ヒバナちゃんとフウちゃんとお出掛けデートするんだぜ、いいだろ〜」

「うん」

「さっきから「うんうん」ばっかり。何黄昏てんだか」

「うん」

 

 

オーカミはまたどこか上の空だった。ソラがアメリカへと旅立ち、物寂しい気持ちもあるのだろう。

 

交友経験が少ない彼にとって、友達がどこか違う所へ行くと言うのは、初めてなのだ。

 

 

「アンタ、その目と腕、大丈夫なの」

 

 

ライがそうオーカミに訊いた。側から見ればただの五体不満足の少年だが、その過程を見てしまったライは、よりそれが痛々しく感じて仕方なかった。

 

 

「うん、まぁ別に前と対して変わらないし、いいんじゃない」

「いいんじゃないって、アンタねぇ、なんでそんな楽観的なの、対して変わるだろ」

「動くモノは動く。動かないモノは動かない。それだけわかればいいよ」

「極端な奴……その腕じゃ、しばらくバトルも……」

 

 

どこまでもクールで淡々と答えるオーカミ。ライは、何で不幸な不自由を手にしてしまった彼が、ここまで平然としていられるのかが不思議でならなかった。

 

普通ならば、戸惑い、苦しみ、悩んでもおかしくはないと言うのに。

 

 

「早美姉弟は経ったか、鉄華、春神」

「あ、アルファベット」

「と、ヨッカさん。今更登場なんて遅過ぎますよ、どこ行ってたんですか」

「あぁ悪りぃ、ちょっと色々な」

 

 

飛行機が飛んだ影響で、ちょうど人影が減って行く中、タイミング良く、アルファベットとヨッカが姿を見せる。

 

さらにアルファベットは、オーカミへと己のデッキを突きつける。

 

 

「鉄華」

「なに」

「オレとバトルしろ」

 

 

バトルを申し込むアルファベット。その申し出に一番驚いたのは、オーカミではなく、ライだった。

 

 

「え、ちょいちょいちょいちょい、アルファベットさん、今オーカミは右腕が動かないんですよ、そんな状態でバトルなんてできるわけ」

「あぁ、それなら心配しなくてもいいよ、できるから」

「……は?」

 

 

そう告げながら、オーカミは左腕に装着している左腕を、アルファベットへ向けて構える。

 

 

「バトルは受けてくれるようだな。だが、オレはこのバトルで、オマエの鉄華団のカードを賭けるぞ」

「!」

「は、なんでアンティルール!?……アルファベットさん警察でしょ!?」

 

 

声を荒げたのはライの方だった。

 

法でも禁止されているバトルのアンティルール。アルファベットは警察であるにもかかわらず、オーカミにそれを振り掛けて来た。にわかには信じられない事である。

 

 

「それと先に、コイツを渡して置く、デッキに入れておけ」

「コレは……」

「『ガンダム・バルバトスルプスレクス』……モビルスピリット、バルバトスの最終進化形態だ」

「!?」

 

 

アルファベットがオーカミに投げ渡した1枚は、新たなる鉄華団のカードであった。

 

その名も「ガンダム・バルバトスルプスレクス』………

 

名前やイラストからして、おそらくバルバトスルプスから更なる進化を遂げたバルバトスであると思われる。

 

その存在自体も驚愕に値するモノだが、それ以上の驚きは、何故かアルファベットがそれを所持していたと言う点であり………

 

 

「何でアルファベットがコレを?」

「簡単な話だ。今まで鉄華団のカードをオマエに与えていたのは、このオレだからな」

「!!」

 

 

サラリと衝撃的な事実を告白するアルファベット。

 

今まで封筒に入れて、様々な方法で鉄華団カードを届けていた張本人は、このアルファベットだったのだ。

 

 

「アルファベットが、オレに鉄華団を……?」

「あぁ」

「何でオレなんかに」

「気になるなら、オレにバトルで勝ってから聞く事だ」

「……」

 

 

アルファベットは己のBパッドを展開し、そこへデッキを装填する。

 

 

「……ライ、このカード、オレのBパッドに入ってるデッキに差してくれ」

「え、あぁうん」

 

 

右腕が動かせないオーカミは、ライに『バルバトスルプスレクス』のカードをBパッドに装填しているデッキに入れてもらう。

 

カードがデッキに入ると、オートシャッフル機能が誘発し、ランダムにシャッフルされる。

 

 

「よし、ありがとう」

「いえいえ〜〜どういたしまして〜〜……じゃない、ちょいちょい、アンタどうやってバトルする気なわけ!?」

「いや、普通に」

「その腕でどうやってドローするのよ」

「始めよう、アルファベット」

「人の話を聞けぇ!!」

 

 

Bパッドをバトルモードに切り替え、互いに構え合わせたオーカミとアルファベット。

 

その間に、オーカミの右腕は血が通い出したかのように、息を吹き返したかのように、動き出して………

 

 

「うん、動く」

 

 

オーカミは動くようになった右手を硬く握り締めながら、そう呟く。その様子に、ライは唖然とする。

 

 

「ウソ、右腕が……右目も見えるの?」

「今のオーカは、バトルする時だけ、不自由になった右目と右腕の神経が戻るんだ」

「何それ、そんなのおかしいじゃん。普通じゃないよ」

「そうだ、普通じゃない」

 

 

初めてその光景を見たライに、ヨッカがそう説明した。

 

バトルをする時だけ、右目が見え、右腕が動かせるようになるオーカミ。確かにコレならバトルだけならできるが、真っ当な人間の考え方だと、それは尋常ではなく、異常だ。

 

 

「鉄華団なのか、鉄華団のカード達が、オーカに闘う力を与えているのか?」

 

 

オーカミのBパッドに装填された鉄華団のカード達に対して、そう考えを呟くヨッカ。

 

バトルをする時のみ、身体が自由になる仕組みを考える際、外的要因が、それ以外存在しないからであろう。

 

 

「何度も言うが、オレが勝てば、鉄華団のカードは返してもらうぞ」

「いいよ。逆にオレが勝ったら、コイツらの事教えてくれるんでしょ」

「もちろんだ」

「それに、アンタにはあの時からずっとリベンジしたかったんだ、一石二鳥でちょうどいい」

「フ……始めるぞ、鉄華」

「あぁ、バトル開始だ!!」

 

 

……ゲートオープン、界放!!

 

 

鉄華団のカードと、それの秘密を賭け、オーカミとアルファベット、2人によるバトルスピリッツが幕を開けた。

 

先攻はオーカミ。ライとヨッカが見守る中、ターンを進めて行く。

 

 

[ターン01]鉄華オーカミ

 

 

「メインステップ、創界神ネクサス、オルガ・イツカ」

 

 

ー【オルガ・イツカ】LV1

 

 

流石の引きの強さと言った所か、オーカミは初手に鉄華団デッキの展開の起点となる創界神ネクサス、オルガ・イツカを配置。

 

その神託の効果により、3枚のカードがデッキ上からトラッシュへと落ち、3つのコアがそこへ追加される。

 

 

「ターンエンド」

手札:4

場:【オルガ・イツカ】LV2(3)

バースト:【無】

 

 

幸先の良いスタートを切り、オーカミはそのターンをエンドとする。動くようになった右腕も好調のようだ。

 

そして次は、彼の鉄華団のカードを取り上げんとする、アルファベットのターン。

 

 

[ターン02]アルファベット

 

 

「まさかここで、またバトルをする事になるとはな」

 

 

自分のターンを迎えた直後、アルファベットがそう呟いた。何年も前、同じ場所で妹とバトルした事を想起したのだ。

 

 

「メインステップ、残念だが鉄華」

「?」

「オレもオレのデッキも、オマエに容赦できないみたいだ。白のネクサス、凍れる火山、コレを2枚配置する」

 

 

ー【凍れる火山】LV1

 

ー【凍れる火山】LV1

 

 

アルファベットの最初の一手。彼の背後に、凍りついた山々が出現。

 

それを見た瞬間、バトルを観戦している春神ライは「エグ」と、感想を一言。彼女がそういった事を吐いてしまつのにも、理由があり………

 

 

「凍れる火山、コレがある限り、相手は自分のターン中、効果で手札を増やした時、その増やした数分手札を破棄しなければならない」

「それが2枚か」

「あぁ、これでオマエは効果で手札を増やす度、倍のカードを捨てる事になった。手札を増やす事に長けているオマエのデッキには、厄介極まりないだろう……ターンエンドだ」

手札:3

場:【凍れる火山】LV1

【凍れる火山】LV1

バースト:【無】

 

 

簡潔に説明すると、オーカミは自分のターン中、効果で手札を増やしても、その倍の数を即座に捨てなければならないと言う事だ。

 

最早手札を増やす効果を使用できなくなったと言っても過言ではない状況で、ターンが巡って来る。

 

 

[ターン03]鉄華オーカミ

 

 

「メインステップ、2枚目の創界神ネクサス、クーデリア&アトラを配置する」

 

 

ー【クーデリア&アトラ】LV1

 

 

オーカミはここで鉄華団をサポートする2種類目の創界神ネクサス「クーデリア&アトラ」を配置。その神託により、デッキ上から、対象のカードが3枚トラッシュ、3つのコアが追加された。

 

 

「続けてランドマン・ロディをLV2で召喚」

 

 

ー【ランドマン・ロディ】LV2(2)BP3000

 

 

丸みを帯びた、小型の鉄華団モビルスピリット、ランドマン・ロディがオーカミのフィールドへ姿を見せる。

 

対象となるスピリットの召喚により、2種の創界神にそれぞれ1つずつコアが追加された。

 

 

「アタックステップ、ランドマン・ロディでアタックだ」

「来い、ライフで受けてやろう」

 

 

〈ライフ5➡︎4〉アルファベット

 

 

ランドマン・ロディはマシンガンを掃射し、アルファベットのライフバリア1つを撃ち抜く。

 

この間、オーカミはランドマン・ロディとオルガ、クーデリア&アトラの効果を合わせ、3枚ものカードをドローする事ができたのだが、そうして仕舞えば、2枚の凍れる火山により、手札が全てなくなると言う本末転倒な状況に陥ってしまうため、使用を見送っていた。

 

 

「ターンエンド」

手札:3

場:【ランドマン・ロディ】LV2

【オルガ・イツカ】LV2(4)

【クーデリア&アトラ】LV2(4)

バースト:【無】

 

 

オーカミはエンドの宣言をし、ターンをアルファベットへと譲渡する。

 

アタックこそ行ったものの、速攻を得意とする鉄華団のデッキにおいては、かなり消極的と言える1ターンであったに違いない。

 

 

[ターン04]アルファベット

 

 

「動きづらそうだな、だが容赦はしないと言った。メインステップ、英雄皇の神剣を配置、バーストをセットし、効果で1枚ドロー」

 

 

ー【英雄皇の神剣〈R〉】LV1

 

 

問答無用で更なるネクサスカードを展開するアルファベット。その背後に巨大な神剣が配置される。

 

英雄皇の神剣。バーストを多く扱うデッキならば、どのデッキでも採用圏内に入る強力なネクサスだ。彼はその効果で1枚のカードをドローする。

 

 

「さらに犀ボーグ、さまよう甲冑」

 

 

ー【犀ボーグ〈R〉】LV2(2)BP5000

 

ー【さまよう甲冑】LV1(1)BP2000

 

 

「犀ボーグの効果で1つコアブースト、さまよう甲冑の効果で1枚ドローする」

 

 

アルファベットのフィールドに初めて呼び出されるスピリットは、犀ボーグとさまよう甲冑。

 

ロイヤルナイツのカード達を除くと、よく愛用されているこのスピリット達の効果により、アルファベットは更なるドローを重ね、コアも増やす。

 

 

「コアと手札、両方増やして行くのか」

「本来オレは、欲張りな性格だからな……アタックステップ」

 

 

スピリットを並べ、ガラ空きとなっているオーカミのフィールドへ攻撃を仕掛けようとするアルファベット。

 

だが、その開始直後、オーカミの声が響く。

 

 

「アンタのアタックステップ開始時、オルガの【神技】の効果を発揮」

「!」

「オルガのコア4つをボイドへ支払い、トラッシュに眠る鉄華団を呼び起こす……来い、漏影」

 

 

ー【漏影】LV1(1)BP3000

 

 

トラッシュの鉄華団をノーコストで召喚する事ができる、創界神ネクサス、オルガ・イツカの【神技】の効果。

 

それにより、アルファベットのアタックステップだと言うにもかかわらず、オーカミのフィールドに、バスターソードを片手に持つ鉄華団モビルスピリット、漏影が出現する。

 

 

「漏影には、デッキ上から3枚破棄して、トラッシュの鉄華団カードを手札に戻す召喚時効果がある。さらにこの時、鉄華団の効果でオレのデッキが破棄されるから、クーデリア&アトラの【神域】の効果で1枚ドローできる」

「考えたなオーカ、アルファベットさんのターンなら、凍れる火山の効果は発揮されねぇ」

 

 

ヨッカが頷く。これは、オーカミの手札を増やすための秘策。

 

漏影とクーデリア&アトラのコンボにより、手札を一気に2枚増やす事が可能な上に、アルファベットのターンなら、凍れる火山の効果は発揮されない。

 

増えた手札を使い、次のターンで一気に形成を逆転させる。それがオーカミの作戦であったが………

 

 

「オマエがスピリットをノーコスト召喚した事により、オレは手札からマジックカード、零ノ障壁の【ゼロカウンター】の効果をただちに発揮させる」

「!?」

 

 

アルファベットの壁は余りにも分厚い。

 

生半可な戦術はすぐさま淘汰される。

 

 

「【ゼロカウンター】は、相手がバースト効果以外でスピリットかブレイヴをノーコスト召喚した時に発揮できる効果。その中でも、零ノ障壁は【ゼロカウンター】時に相手スピリット1体を破壊できる。それにより、漏影を破壊」

「なに」

 

 

その召喚時効果が発揮される直前、漏影の頭上から渦状のエネルギー波が襲い掛かり、爆散に追い込む。

 

 

「召喚時効果が発揮されなければ、クーデリア&アトラの【神域】も発揮されないだろう」

「くっ……」

「この効果発揮後、零ノ障壁は1コスト支払う事で手札に戻る」

「ッ……今の効果をまた使えるって事か」

 

 

僅か1コストでも支払う事ができれば、何度でも使用する事ができる【ゼロカウンター】の効果を持つ零ノ障壁。

 

オルガをはじめ、多くのノーコスト召喚効果を有する鉄華団にとっては、文字通り『零』の名を持つ『障壁』………

 

 

「この状況でまだ手札増加を狙って来るとは、油断のならない奴だ。このターンのアタックは無し、ターンエンドだ」

手札:2

場:【さまよう甲冑】LV1

【犀ボーグ】LV2

【凍れる火山】LV1

【凍れる火山】LV1

【英雄皇の神剣】LV1

バースト:【無】

 

 

ライフを減らさずとも、圧倒的と言える実力差を見せつけて行くアルファベット。ターンはオーカミへと移るが、凍れる火山と零ノ障壁を構えられているこの状況では……

 

 

[ターン05]鉄華オーカミ

 

 

「メインステップ、ランドマン・ロディをもう1体召喚。バーストをセットして、ターンエンド」

手札:2

場:【ランドマン・ロディ】LV2

【ランドマン・ロディ】LV2

【オルガ・イツカ】LV1(1)

【クーデリア&アトラ】LV2(5)

バースト:【有】

 

 

この程度の事しかできない。

 

オーカミは精一杯守りを固め、巡って来たターンを早々にエンドとした。

 

 

「次のターン、来る、アルファベットさんのロイヤルナイツスピリットが」

 

 

ライがそう呟く。バトルの流れを読んでの発言だろう。

 

 

[ターン06]アルファベット

 

 

「メインステップ、白の成長期デジタルスピリット、ハックモンをLV2で召喚」

 

 

ー【ハックモン】LV2(2)BP4000

 

 

「召喚時効果により5枚オープン、その中のロイヤルナイツスピリット、ジエスモンを手札に加える」

 

 

白き小型のドラゴン、ハックモンがアルファベットのフィールドに呼び出される。その効果により、いつも通り伝説のロイヤルナイツの1体であるジエスモンのカードが、彼の手札へと加えられた。

 

 

「そして、そのまま【煌臨】を発揮。ハックモンを剣纏いしロイヤルナイツ、ジエスモンへ究極進化」

 

 

ー【ジエスモン】LV3(5)BP14000

 

 

白き光に包み込まれ、進化を遂げるハックモン。新たに出現したのは、全身が剣で構成された、白き竜型のロイヤルナイツ、ジエスモン。

 

ハックモンの効果により、その上に置かれているコアは3つも増加している。

 

 

「煌臨時効果により、2体のランドマン・ロディを手札へ戻す」

「!」

 

 

ジエスモンの周囲を漂う、橙色の3つのオーラ。それらは宙を飛び交い、オーカミのフィールドのランドマン・ロディを薙ぎ払い、粒子化、手札へと強制送還させる。

 

スピリットを全て失うオーカミだが、このタイミングで使えるカードが、彼の手札の中に有り………

 

 

「鉄華団スピリットがフィールドを離れた時、手札からグレイズ改弍の効果を発揮」

「……」

「コイツをノーコスト召喚する」

 

 

ー【流星号[グレイズ改弍]】LV2(3)BP3000

 

 

「召喚時効果で1枚ドローする」

 

 

ガラ空きとなったオーカミの場に、流星の如く現れたのは、マゼンタのカラーを持つ一つ目の鉄華団モビルスピリット、グレイズ改弍。

 

その召喚時効果により、オーカミはデッキから1枚ドローできるが………

 

 

「無駄だ、ドローはさせん。零ノ障壁の【ゼロカウンター】を発揮、グレイズ改弍を破壊」

 

 

前のターンの漏影と同様に、グレイズ改弍の頭上へ、渦状のエネルギー波が降り注ぎ、それを爆散へと追い込む。

 

 

「この効果発揮後、1コスト支払い、零ノ障壁は手札に戻る」

 

 

何度やっても、零ノ障壁がアルファベットの手札にある限り、ノーコスト召喚はできない。

 

だが、不思議とオーカミはこの状況で小さな笑みを浮かべていて………

 

 

「ふ……それを待ってた」

「?」

「オレのスピリットの破壊後により、バースト発動、ガンダム・グシオンリベイク!!」

 

 

グレイズ改弍の破壊に反応し、オーカミはここで伏せていたバーストカードを勢いよく反転させる。

 

それは、この状況を打開させる、数少ない一手であり………

 

 

「効果により、先ずはコレを召喚、轟音打ち鳴らせ、過去をも焼き切れ!!……ガンダム・グシオンリベイク!!……LV3で召喚!」

 

 

ー【ガンダム・グシオンリベイク】LV3(5S)BP12000

 

 

上空から降り立ったのは、薄茶色の分厚い装甲を持つ鉄華団のモビルスピリット、グシオンリベイク。

 

これまで何度もオーカミを守って来た、鉄華団デッキの守護神である。

 

 

「バースト効果は続くぞ、トラッシュにブレイヴカードがある事により、ジエスモンのコアを1個になるようにリザーブへ送る」

「!」

 

 

オーカミのトラッシュにはブレイヴカードである「ノルバ・シノ」が存在する事により、ジエスモンのカードに乗っている5個のコアは、一瞬にして1個まで減少し、LVは1へとダウンする。

 

 

「さらに召喚時効果だ、フィールドのコア2つ、ジエスモンとさまよう甲冑から取り除き、消滅させる」

「成る程、オレの零ノ障壁を逆手に取るか」

 

 

グシオンリベイクは現れるなり、手に持つハルバードをブーメランのように投げ、さまよう甲冑とジエスモンへ命中させて行く。

 

その攻撃で全てのコアを失ってしまった2体はこの場から消滅。

 

 

「確か【ゼロカウンター】は、バースト効果による召喚は使えないんだよな」

「すげぇぜオーカ、アルファベットさん相手にこんなカウンターを仕掛けるなんて、ホント、強くなったな……」

「ヨッカさん?」

 

 

オーカミが強くなった事に対する喜びと、王者の反動により、彼がどんな危険な目に遭ってしまうかわからない恐怖が、ヨッカの心を複雑に交差していく。

 

 

「やるな、だがまだオレのターンである事を忘れるな。2体目の犀ボーグを召喚」

 

 

ー【犀ボーグ〈R〉】LV2(2)BP5000

 

 

「効果によりコアブースト」

 

 

カウンターから立て直すべく、アルファベットのフィールドへ2体目の犀ボーグが投下される。

 

フィールドに揃った2体の犀ボーグは、今すぐ走り出さんと、片方の前足で地面を蹴り始める。

 

 

「アタックステップ、犀ボーグでアタックする」

 

 

何故かBPで劣る犀ボーグでアタックを仕掛けるアルファベット。オーカミとしては、ブロックしない手はない。

 

 

「グシオンリベイクでブロック。その効果でアタックした犀ボーグを、そのまま破壊」

 

 

グシオンリベイクは、犀ボーグの突進を盾で防ぎ、そのまま踏み潰して爆散させる。

 

 

「続け、犀ボーグ」

「またアタック?」

 

 

アルファベットの二度目のアタックに疑問符を浮かべたのは、春神ライだった。おそらく、いつも冷静沈着である、彼らしくない選択をしたからであろう。

 

 

「クーデリア&アトラの【神技】……コア5個をボイドに支払い、グシオンリベイクを回復、ブロックして破壊だ」

 

 

2体目の犀ボーグも、強固な盾で受け止めるグシオンリベイク。今度は逆手で待ったハルバードを振い、それを斬り裂いて破壊した。

 

 

「創界神のコアを消費し、無理矢理ライフを守護したか、ターンエンド」

手札:2

場:【凍れる火山】LV1

【凍れる火山】LV1

【英雄皇の神剣〈R〉】LV1

バースト:【有】

 

 

「このタイミングでらしくないフルアタック……アルファベットさん、まさかオーカの攻撃を誘っているのか」

「そうだとしたら、あのバーストは……」

 

 

一見無駄に見えた、このターンのアルファベットのアタック。だが、創界神のコアを消費させつつ、オーカミに敢えてアタックするチャンスを作らせたと捉える事もできる。

 

そう、これは明らかな罠。

 

オーカミがそれを理解しているのかは定かではないが、彼にとっては、どちらにせよアルファベットのライフを奪うチャンスに違いなくて。

 

 

[ターン07]鉄華オーカミ

 

 

「メインステップ、グシオンリベイクのLVを2に下げて、ランドマン・ロディ2体をLV2で連続召喚」

 

 

ー【ランドマン・ロディ】LV2(2)BP3000

 

ー【ランドマン・ロディ】LV2(2)BP3000

 

 

前のターンで手札に戻ったランドマン・ロディ2体が復活、グシオンリベイクと肩を並べる。

 

 

「アタックステップ、グシオンリベイクでアタック」

 

 

オーカミの指示を受けると、グシオンリベイクが背部のスラスターで低空を飛行。手に持つハルバードの矛先をアルファベットへ向ける。

 

 

「ライフで受けよう」

 

 

〈ライフ4➡︎3〉アルファベット

 

 

グシオンリベイクの重たい一撃が、アルファベットのライフバリア1つを木っ端微塵に粉砕。

 

オーカミはここに来て、フィールド的にもライフ的にも優勢に立つが………

 

アルファベットの伏せていたバーストカードが、それを良しとしない。

 

 

「ライフ減少により、バースト発動」

「!」

「効果により、グシオンリベイクをデッキ下に戻し、デッキから手札が4枚になるまでドロー」

 

 

アルファベットのライフバリアを粉砕したのも束の間、グシオンリベイクは、突如足元に開いた巨大なデジタルゲートに吸い込まれ、この場から消滅してしまう。

 

しかも、それだけでは終わらず、アルファベットは2枚ある手札を、4枚になるようにデッキからドロー。

 

 

「この効果発揮後、コイツをノーコストで召喚する……現れよ、黒きロイヤルナイツ、アルファモン!!」

 

 

ー【アルファモン】LV3(6)BP20000

 

 

上空にも出現する巨大なデジタルゲート。その中より出現し、地上へ降り立つのは、黒に輝く鎧を持つ、伝説のデジタルスピリット、ロイヤルナイツの一柱にして、アルファベットのデッキのエースカード、アルファモン。

 

 

「ふ、出やがったな。やっぱソイツを出してくれないと、リベンジのしようがないよな、ターンエンド」

手札:2

場:【ランドマン・ロディ】LV2

【ランドマン・ロディ】LV2

【オルガ・イツカ】LV2(3)

【クーデリア&アトラ】LV2(3)

バースト:【無】

 

 

アルファモンのいるフィールドに、ランドマン・ロディだけでは太刀打ちできない。オーカミはそれらをブロッカーとして残し、ターンをエンドとする。

 

その時の表情は、バトルを楽しんでいる少年そのものであった。

 

 

[ターン08]アルファベット

 

 

「メインステップ、異魔神ブレイヴ、鳳凰竜フェニック・キャノンを召喚」

 

 

ー【鳳凰竜フェニック・キャノン〈R〉】LV1(0)BP3000

 

 

アルファモンの登場により、再びバトルの主導権を握ったアルファベット。このターン最初に呼び出したのは、2体のスピリットと合体できる特殊なブレイヴ、異魔神ブレイヴ。

 

赤き翼を持つ機竜、フェニック・キャノンが飛翔する。

 

 

「召喚時効果、ランドマン・ロディ1体を破壊する」

 

 

フェニック・キャノンは登場するなり、装備している砲台から砲弾を放ち、オーカミのフィールドにいるランドマン・ロディ1体を撃ち砕く。

 

ランドマン・ロディ1体は堪らず爆散してしまうが、ただでやられるわけではなくて。

 

 

「ランドマン・ロディの破壊時効果、デッキから1枚ドロー」

「フ……今更ドローの1枚や2枚、くれてやるさ」

 

 

ランドマン・ロディの効果により、ここに来てようやく効果による手札増強を行ったオーカミ。その手札は2枚から3枚となる。

 

 

「さらに、2体のさまよう甲冑を召喚。効果により2枚ドロー」

 

 

ー【さまよう甲冑】LV1(1)BP2000

 

ー【さまよう甲冑】LV1(1)BP2000

 

 

このバトルで2、3体目となるさまよう甲冑。2体分の召喚時効果により、アルファベットはデッキから2枚のカードをドローする。

 

 

「そして、フェニック・キャノンを、さまよう甲冑とアルファモンの2体に合体」

 

 

ー【さまよう甲冑+鳳凰竜フェニック・キャノン〈R〉】LV1(1)BP5000

 

ー【アルファモン+鳳凰竜フェニック・キャノン〈R〉】LV3(6)BP23000

 

 

吠えるフェニック・キャノン。その機械の身体を赤く発光させると、その光はさまよう甲冑とアルファモンの2体へと伸び、繋がり、リンク。己の力を2体に力を与えた。

 

これにより2体のBPは3000ずつ上昇し、赤のシンボルが1つずつ追加された合体スピリットとなる。

 

 

「アタックステップ、アルファモンでアタック」

 

 

メインステップを終え、アルファベットはアタックステップへ。伝説のロイヤルナイツであるアルファモンが動き出す。

 

この時、内に秘めた強力なアタック時効果が発揮される。

 

 

「アタック時効果、2コストを支払い回復。さらに残ったランドマン・ロディのコア2つをリザーブへ置き、消滅」

「!」

 

 

オーカミのフィールドへ手を翳すアルファモン。すると、その周囲に無数のデジタルゲートが開き、そこから幾千もの波動弾が放出、全弾ランドマン・ロディに命中し、それを爆散へと追い込んだ。

 

 

「これでオマエのフィールドは0。アルファモンはコア2つを支払い続ける限り、何度もアタックができる。終わりか?」

「……アタックはライフで受ける」

 

 

〈ライフ5➡︎3〉鉄華オーカミ

 

 

アルファモンの黒き鋼鉄の拳が、オーカミのライフバリアを一気に2つ砕く。

 

終盤に来て初めて変動するオーカミのライフバリアだが、アタックを繰り返す事が可能なアルファモンの存在により、それは最早あってないモノに等しい。

 

 

「合体しているさまよう甲冑でアタック」

「それもライフだ」

 

 

〈ライフ3➡︎1〉鉄華オーカミ

 

 

異魔神ブレイヴ、フェニック・キャノンとの合体により、低コストスピリットであるにもかかわらず、ダブルシンボルとなっているさまよう甲冑。錆びた刀を振い、オーカミのライフバリア2つを切捨御免。

 

 

「残りライフ1つ。だけどオレはここで、絶甲氷盾の効果を発揮」

「今か」

「効果により、アルファベット、アンタのアタックステップは終了する」

 

 

オーカミがこのタイミングで放ったのは、最も汎用性の高い白の防御マジックカード「絶甲氷盾〈R〉」………

 

ロイヤルナイツのアルファモンと言う強力なスピリットを従えていようと、その効果には抗えない。アルファベットのアタックステップは強制終了となる。

 

 

「ターンエンド。コアを増やすために、敢えて絶甲氷盾を二度目のアタックで使ったのか」

手札:4

場:【アルファモン+鳳凰竜フェニック・キャノン】LV3

【さまよう甲冑+鳳凰竜フェニック・キャノン】LV1

【さまよう甲冑】LV1

【凍れる火山】LV1

【凍れる火山】LV1

【英雄皇の神剣〈R〉】LV1

バースト:【無】

 

 

致し方なく、そのターンをエンドとするアルファベット。

 

バトルは終盤を迎え、圧倒的劣勢に立たされたオーカミのターンへと移行して行く。

 

 

「面白い、やっぱバトスピはそう来ないとな」

「……何を笑っている鉄華。忘れたか、このバトルで負ければ、オマエは鉄華団を失うんだぞ」

 

 

絶体絶命の盤面、負ければデッキを失うってしまうと言う状況下であると言うのにもかかわらず、小さく笑みを浮かべるオーカミに、アルファベットがそう告げる。

 

だが決して、オーカミがおかしくなった訳ではない。

 

 

「忘れてないよ。でもそんな事より、オレは楽しくてしょうがない、次のターン、このオレに何ができるのかを考えたら、凄くワクワクするんだ」

「……」

「行くぞアルファベット、行こう鉄華団のスピリット達、オレは絶対に、オマエ達に応えて見せる……!!」

 

 

およそ半年前、アルファベットの仕込みにより、鉄華団のカード達と出会ったオーカミ。

 

きっと、あの出会いは運命だった。そう内に想いを秘め、絶え間なく燃え盛り続ける闘志を胸に、巡って来た己のターンを開始して行く。

 

 

[ターン09]鉄華オーカミ

 

 

「ドローステップ……!!」

 

 

このターンのドローステップ。右手で勢い良くドローしたそのカードを視認するや否や、オーカミは目の色を変える。

 

そして思う「やっぱりバトスピは面白い」と。

 

 

「メインステップ、先ずはオマエだ、天空斬り裂け、未来を照らせ、ガンダム・バルバトスルプス、LV3で召喚」

 

 

ー【ガンダム・バルバトスルプス】LV3(6)BP13000

 

 

天空から凄まじい勢いでフィールドに降り立つのは、モビルスピリット、バルバドスの強化形態、ガンダム・バルバトスルプス。

 

入手以降、数々の勝利をオーカミに齎して見せた、紛う事なき最高のエースカードである。

 

ただ……

 

 

「今更ルプスか。だがその程度では、オレのアルファモンは突破できんぞ」

「……」

 

 

そうだ。このバルバトスルプスを持ってしても、ロイヤルナイツであるアルファモンを淘汰する事は叶わない。

 

それ程の力の差が、2体には存在するのだ。

 

 

「確かに、ルプスじゃアルファモンは倒せない。けど、ルプスをも超えるコイツなら、可能性はある」

「ッ……あのカードを引いたか」

「あぁ、アンタがくれた。見せてやる、これがオレの鉄華団デッキの集大成だ」

 

 

しかし、オーカミはその差を覆す可能性があるカードを、このターンのドローステップで既に引いていた。

 

彼は一筋の希望をそのカードに託し、効果の発揮を、高らかに宣言する。

 

 

「煌臨発揮、対象はバルバトスルプス」

 

 

メインステップに使用できるタイプの【煌臨】を発揮させるオーカミ。対象に取ったルプスを、更に上の存在へと進化させるつもりなのだ。

 

それこそ、そのカードこそ。

 

最強の鉄華団スピリットにして、数々の変化と進化を繰り返して来た、バルバトスの最終形態。

 

 

天地を揺るがせ、未来へ響け!!

 

ガンダム・バルバトスルプスレクス!!

 

LV3で煌臨!!

 

 

ルプスの上に様々な装甲やパーツが装備装着されて行く。

 

その過程の中、腕部はより巨大化し、頭部の黄色い角は4つに分かれ、王者の王冠を彷彿とさせるモノに変貌する。

 

こうして新たに現れたのは「ガンダム・バルバトスルプスレクス」………

 

 

ー【ガンダム・バルバトスルプスレクス】LV3(6)BP16000

 

 

ルプスレクスは、身の丈程はある戦棍、超大型メイスを地に叩きつけ、己の存在をこのフィールド全体に知らしめる。

 

その風貌、風格はまさしく、鉄華団の王。バルバトスの最終形態。

 

それが今、伝説のロイヤルナイツ、アルファモンと合間みえる。

 




次回、早美邸編最終回、第48ターン「ルプスレクスVSアルファモン」


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