バトルスピリッツ 王者の鉄華   作:バナナ 

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第54ターン「原初のエヴァンゲリオン」

赤髪の少年の目の前にいる、長い黒髪の少女は笑う。

 

「不気味」と言う言葉がピッタリと当てハマるように。

 

赤髪の少年は悟る。「コイツの闇は深い」と。

 

 

******

 

 

「鉄華オーカミ、よくここがわかったな」

「ニィッヒッヒッ……どうしたんですかオーカミさん、こんな所まで来て」

「質問の答えになってない、ライをどこに連れて行くつもりだ」

 

 

遂に本性を表した、伝説の悪魔の科学者「Dr.A」と血を継いだ孫、徳川フウ。それに従うDr.Aの元部下の男性、嵐マコト。彼の肩には、催眠薬を投与され、脱力し、意識がどんどん遠のいて行く春神ライが担がれている。

 

どこからどう見ても誘拐拉致しようとしているこの状況、オーカミが許さない訳がない。

 

 

「話、聞いちゃってましたか。トンネルの中って結構音響きますもんね」

「オマエ、アイツの親友じゃなかったのかよ……!!」

 

 

静かな怒りと、鋭い剣幕を向けながら、オーカミがフウに訊いた。

 

ライの親友として、僅かながら彼女との接点があったオーカミ。ライを裏切り、拉致しようとしているのが許せないのだろう。

 

 

「親友?……な訳ないでしょ」

「!!」

「いいですかオーカミさん、アレはかつてDr.Aに対抗するために造られた人造人間、エニーズ02。育成方法によっては恐ろしい兵器にもなる、怪物なのよ」

 

 

フウから帰って来た返答は、まるで良心をドブに捨てたような、驚くべきモノだった。それを訊いたライは、また深く心を傷つけられる。

 

オーカミは思う。真の怪物は、目の前で喋るコイツだと。

 

 

「オーカミさん、貴方ひょっとしてこの怪物を助ける気なの?……ならサッサと諦めて、お仲間さん達とお遊戯のバトルスピリッツを楽しむといいわ。だって、コイツに道具以外の価値はないんですもの」

「オマエ……!!」

「あ、そうそう。ごめんライちゃん、この間プレゼントしたカード、やっぱり回収させてもらうね。私との友情ごっこを楽しんだから、もう必要ないでしょ♡」

 

 

そう告げると、抵抗できないライの懐を探り、赤のモビルスピリットカード「サザビー」を抜き取り回収する。

 

これは、ライがガードマンとの戦いの中、中途半端なタイミングで負けないためにあげたフウのカード。友達へのプレゼントと評して手渡していた、悪意の詰まったカードだ。

 

 

「訂正しろ、ライは怪物じゃない」

「?」

「一緒に泣いて、怒って、苦しんで、笑ってくれる奴が怪物な訳ない。本当の怪物はオマエだ」

「へぇ」

 

 

オーカミの言葉を軽く聞き流すフウだが、ライにはその言葉が響いたのか、嵐マコトに担がれ、催眠薬の影響で脱力し、意識が遠のきながらも、涙を流していた。

 

 

「何足を止めてるのマコト先生。早くライちゃんをあの場所へ運んでちょうだい」

「ッ……これは失礼しました。ただちに運びます」

「おい、待て……!!」

 

 

嵐マコトは、Bパッドを操作し、黒々としたワームホールを出現させると、担いでいるライ事、そこを潜り抜けようとする。

 

それを良しとしないオーカミは、当然阻止しようとするが、その眼前に立ちはだかるのは、他でもない徳川フウであった。

 

 

「召喚……!!」

「!?」

 

 

フウが己の左腕に装備したBパッドにカードを1枚叩きつけると、オーカミの眼前に、紫色で緑色の筋が入ったスピリットが召喚される。

 

大きさはおよそモビルスピリットと同等程度。見た目の邪悪さもそうだが、オーカミはもっと感じる違和感があって………

 

 

「なんだコイツ、まるで本当にいるみたいだ」

 

 

Bパッドで召喚したスピリットはあくまで精巧に映し出された映像。現実に呼び出している訳ではない。

 

だが、今フウが呼び出したこのスピリットは違う。存在感と質量が、余りにも現実的過ぎる。どこからどう見ても、本物のスピリットだ。

 

 

「残念ですけれど、貴方のお相手は、この私がお勤めさせていただきます」

「ッ……オマエ、確かバトル弱かったろ」

「そんなの嘘に決まってるじゃないですか。私はあのDr.Aの孫ですからね」

 

 

Bパッドからカードを離し、呼び出したスピリットをこの場から消滅させると、既にそこには嵐マコトとライは存在せず、オーカミとフウのみとなってしまっていた。

 

 

「わかった、オレが勝ったら、ライを解放しろ」

「ニッヒヒ……勝てたらね」

 

 

オーカミは左腕に装着しているBパッドを構え、いつものように、三角巾で固定している、神経のない右腕の感覚を取り戻す。

 

 

「面白いですよねその身体。バトルする時だけ、右腕が動くようになるなんて。いったい何の力が働いているんですかね」

「どうでもいいから、早くやるぞ」

「はいはい。本当にせっかちなお人ですこと」

 

 

互いにBパッドに己のデッキを装填し、バトルの準備を終える2人。

 

そして………

 

 

「バトル開始だ!!」

 

 

……ゲートオープン、界放!!

 

 

コールと共に、水路で夏の暑さを凌ぐために造られた湧水トンネルにて、鉄華オーカミと、徳川フウによるバトルスピリッツが幕を開ける。

 

先攻は鉄華オーカミ。ライを救出すべく、Bパッドからデッキのカードをドローする。

 

 

[ターン01]鉄華オーカミ

 

 

「メインステップ、ネクサス、ビスケット・グリフォンを配置」

 

 

ー【ビスケット・グリフォン】LV1

 

 

フィールドには何も出現しないが、オーカミのBパッド上に、鉄華団専用のネクサスカードである『ビスケット・グリフォン』が配置される。

 

 

「効果発揮、このネクサスを疲労させ、デッキ上1枚をオープン、それが鉄華団カードなら手札に加える」

 

 

効果でオープンされたのは、これまた鉄華団専用のネクサスカード『オルガ・イツカ』………

 

よってオーカミはそれを手札に加える。

 

 

「よし」

「オルガ・イツカ。トラッシュを利用するのに長けた鉄華団の戦術を支える創界神ネクサスですね。それを早速手札に引き込むなんて、相変わらず引きがお強い」

「ターンエンド」

手札:5

場:【ビスケット・グリフォン】LV1

バースト:【無】

 

 

オーカミの最初のターンは、ビスケットによるオープン回収効果のみで終了。

 

次はデッキが未知数なフウのターン。Dr.Aの孫とは、いったいどのようなバトルを繰り広げるのか………

 

 

[ターン02]徳川フウ

 

 

「メインステップ、バーストをセットして、ターンエンド」

手札:4

バースト:【有】

 

 

まさかのスピリットの召喚もネクサスの配置も無し。罠のカードであるバーストのセットのみでのターンエンド。

 

手札が事故り気味なのか、はたまたそう言った作戦なのかは未知ではあるが、彼女の余裕な表情からして、どちらかと言えば後者なように思える。

 

 

「それだけかよ」

「それだけですよ。急がば回れ、と言うことわざがあります。何でもかんでも速ければいいと言うモノじゃありませんよ。歳上のクセに、そんな事も知らないんですか?」

 

 

しかしながら、早々にターンが帰って来たのは決して悪いことではない。オーカミは、あのバーストから何が来ても、自分の戦術と鉄華団のカード達があれば、必ず勝てる事を信じ、己のターンを進めて行く。

 

 

[ターン03]鉄華オーカミ

 

 

「メインステップ、ビスケットの効果をもう一度発揮……今度はバルバトス第1形態のカードを手札に加える」

 

 

ターン開始早々。オーカミは回復したビスケットの効果を再び発揮。その効果でモビルスピリット『バルバトス第1形態』のカードを手札へと加えた。

 

 

「さらにオルガ・イツカを配置」

 

 

ー【オルガ・イツカ】LV1

 

 

「配置時の神託。オルガにコアを2つ追加」

 

 

前のターンに手札に加えていたオルガのカードをここで配置。神託の効果により、オーカミのデッキから3枚のカードがトラッシュへと落ち、その上にコアが2つ追加された。

 

 

「そしてバルバトス第1形態を召喚」

 

 

ー【ガンダム・バルバトス[第1形態]】LV1(1)BP2000

 

 

「召喚時効果、デッキ上3枚をオープン、その中の鉄華団1枚を手札に……オレは『クーデリア&アトラ』のカードを手札に加えて、残ったカードはトラッシュへ破棄」

 

 

地中から飛び出して来たのは、オーカミの相棒、モビルスピリットバルバトス。その第1形態。

 

召喚時効果により、オーカミは2種目の創界神ネクサス『クーデリア&アトラ』のカードを手札へ加えた。

 

鉄華団と言うデッキにおいて、ここまでの動きは、限りなく100点満点に近い。が、その最高の動きに合わせて、フウの伏せていたバーストカードが赤い輝きを放ち………

 

 

「!」

「このフィールドでバーストを警戒しないなんて愚かですね。相手のスピリット召喚時発揮後のバースト、サザビー・ロング・ライフル」

 

 

ー【サザビー[ロング・ライフル]】LV1(1)BP8000

 

 

フウのフィールドへと飛来して来たのは、ライから回収したカード。深紅の装甲を持つ機械兵、モビルスピリット、サザビー。

 

それが着陸した衝撃で、湧水トンネルのコンクリートでできた外壁に亀裂が生じる。Bパッドで召喚したスピリットはあくまで映像。例えそれが大地を砕こうとも、実際の代物が破損、破壊される事はない。

 

だがこれは違う。明らかに本物の亀裂が生じている。

 

 

「やっぱり、スピリットが実体化してる?」

「ニッヒヒ、そうです。私のBパッドはマコト先生お手製のモノでね、羨ましいでしょ、これさえアレばいつでもスピリットに触れる事ができるんだから」

 

 

どう言う原理なのか、フウのBパッドから繰り出されるスピリットは実体化し、現実にこの世に召喚されている。

 

普通の人からすれば驚愕極まりない事だが、流石はオーカミか、全く動じていない。

 

 

「気を取り直して、サザビーの召喚時効果、ネクサスのビスケット・グリフォンを破壊して、トラッシュのコア3つをサザビーの上に」

「!」

 

 

サザビーの1つ目の眼光が緑に輝くと、オーカミのBパッド上にあるビスケットのカードが浮遊し、トラッシュへと誘われる。

 

 

「これで貴方は毎ターン手札を増やす事はできなくなった」

「……クーデリア&アトラを配置、神託でコア3つを追加し、ターンエンド」

手札:5

場:【ガンダム・バルバトス[第1形態]】LV1

【オルガ・イツカ】LV2(3)

【クーデリア&アトラ】LV2(3)

バースト:【無】

 

 

スピリットの召喚時効果の発揮により、フウの大型スピリットの召喚を許してしまったオーカミ。しかし、同時に強力な2種の創界神を並べる事には成功、次のターンから強力な鉄華団スピリットを展開し、攻撃に本腰を入れる準備は整えた。

 

次はそれを何となく察しているフウのターン。バトルが下手くそだと偽って来た彼女は、このターンでその本領を発揮する。

 

 

[ターン04]徳川フウ

 

 

「メインステップ、ここからが私のデッキの真骨頂ですよ」

 

 

そう告げると、彼女は手札にある1枚のカードをBパッドへと置く。

 

 

「ネクサス、鈴原トウジを配置」

 

 

ー【鈴原トウジ】LV1

 

 

「配置時効果により、手札から相田ケンスケをノーコスト配置する事で1枚ドロー」

 

 

ー【相田ケンスケ】LV1

 

 

「相田ケンスケの配置時効果により、手札にある紫のパイロットブレイヴ、碇シンジ・シンクロ率∞をノーコスト召喚する事で1枚ドロー」

 

 

ー【碇シンジ-シンクロ率∞-】LV1(0)BP1000

 

 

「碇シンジ・シンクロ率∞の召喚時効果、デッキから2枚ドローし、相手の創界神ネクサスのコアを6個ボイドへ」

「!?」

 

 

フィールドには何も出現しないが、1枚のネクサスの配置を起点に、ネクサス2枚、ブレイヴ1体を呼び出すフウ。

 

さらには召喚したパイロットブレイヴの効果により、オーカミの2種の創界神ネクサスのコアが粒子化し、消滅。合計4枚の大量ドローと合わせて大きなアドバンテージを得る。

 

 

「その創界神ネクサス達はコアがないと本領を発揮できませんからね」

「くっ……」

「続けて、サザビーにシンジ・シンクロ率∞を合体」

 

 

ー【サザビー[ロング・ライフル]+碇シンジ-シンクロ率∞-】LV2(2)BP18000

 

 

合体による見た目の変化はないが、パイロットブレイヴを得た事で、サザビーは、赤と紫のより強力な合体スピリットとなる。

 

 

「再びバーストをセットして、アタックステップ。合体したサザビーでアタック」

 

 

今一度バーストを伏せ、このバトルでは初めてのアタックステップに突入するフウ。オーカミのフラッシュがない事を確認すると、即座に己のフラッシュタイミングを宣言する。

 

 

「フラッシュ、サザビーの【ファンネル12000】」

「!」

「効果によりBP12000まで好きなだけスピリットを破壊します。対象はバルバトス第1形態」

 

 

遠隔兵器ファンネルをオーカミのフィールドへと飛ばすサザビー。ファンネルはレーザー光線を照射し、バルバトス第1形態を貫き、爆散させる。

 

 

「……アタックはライフで受ける」

 

 

ファンネルを戻し、今度はサザビー自身が、オーカミのライフを討つべく発進する。

 

ブロッカーを潰されたオーカミは、ライフで受ける以外の宣言はできなかったのだが………

 

 

「本当にそれでいいんですか?」

「なに?」

 

 

〈ライフ5➡︎3〉鉄華オーカミ

 

 

「ぐはっ……!?!」

 

 

サザビーのロング・ライフルによる一撃。実体を帯びたその重厚な一撃は、オーカミのライフバリアを粉々に粉砕する衝撃と共に、彼の小さな身体がごと、コンクリートの外壁まで吹き飛ばし、叩きつける。

 

これまでのバトルダメージとは比較しようのない純粋な暴力に、オーカミは立ち上がれず、倒れ込んでしまう。

 

 

「ぐっ……!?」

 

 

何をされたのかも理解できない。ただ痛みだけが、オーカミの表情を苦痛で歪ませる。

 

そんな彼の額から流れる血が、このバトルの異常さを物語り、これは最早バトルスピリッツではなく、ただの戦い。悪意と暴力の嵐であると気づかせる。

 

 

「ニッヒヒ、人はね、本当はもうとっくの昔にBパッドを通してスピリットを実体化させる技術を獲得しているの。でも何でそれを一般的に流通させないと思う?」

「……」

「人を簡単に殺せるからだよ。流通すれば、必ず争いと言う名の暴力の嵐が始まってしまう。だからまだ厳重に管理された、ごく一部の地域でしか使用を認められていないの。愚かですよね、じゃあはじめから造らなければいいのに。まるで、エニーズ02みたい」

「……!!」

 

 

ライの事だ。オーカミの内側から底知れない怒りが込み上げて来る。

 

 

「さて、このままやったら貴方の命が危険になるわけだけど、どうでしょう、ここ辺りでサレンダーしたら?」

 

 

猟奇的な笑みを浮かべるフウが提案して来たのは、このバトルのサレンダー。

 

自分と言う名の敵の格の違いを見せつけ、完全に勝ち誇っている。

 

 

「な訳、ないだろ」

「……」

 

 

当然、あの鉄華オーカミがこの程度の事で折れる訳がない。ヨロヨロになりながらも立ち上がり、手札を強く握り、Bパッドを構え直す。

 

 

「……何でそんな直ぐに立ち上がるの。そこまであの憐れな怪物が欲しい訳?」

「さっきからずっと……ライの事かよ、アイツを道具みたいに言うな……!」

 

 

怒りにより鋭い剣幕を見せるオーカミ。彼のその必死さに、フウも次第に内に秘めていた怒りが、言葉と表情にも表れて来て………

 

 

「腹立たしい、何であんなバケモノが他の誰かから寵愛を受けないといけない。私は、Dr.Aの孫とか言う理由だけで、常に周りから迫害を受けて来たと言うのに……!!」

 

 

彼女の怒りは、オーカミのように、他の誰かのために見せる怒りではなく、己の過去から来る、嫉妬、眺望によるモノ。

 

はらわたが煮えくり返ってしょうがないのだろう。Dr.Aを倒すためだけに造られた人造人間のライ、エニーズ02如きが、他の誰かから愛され、大事にされている事が………

 

 

「ターンエンド」

手札:5

場:【サザビー[ロング・ライフル]+碇シンジ-シンクロ率∞-】LV2

【鈴原トウジ】LV1

【相田ケンスケ】LV1

バースト:【有】

 

 

どのような理由があれど、フウの中にある怒りや妬みは、オーカミにとって知った事ではない。

 

彼女のバトルスピリッツを打ち破るべく、痛みに怯む身体を奮い立たせ、巡って来た己のターンを進めて行く。

 

 

[ターン05]鉄華オーカミ

 

 

「メインステップ、ここからが勝負だ、大地を揺らせ、未来へ導け!!……ガンダム・バルバトス第4形態、LV3で召喚!!」

 

 

ー【ガンダム・バルバトス[第4形態]】LV3(4S)BP12000

 

 

「来ましたか、エースカードの1枚」

 

 

反撃を開始するオーカミのフィールドへ着陸したのは、黒々とした戦棍メイスを持つモビルスピリット、バルバトス第4形態。

 

さらにオーカミは、それに強化を施すべく、手札をもう1枚Bパッドへと叩きつける。

 

 

「パイロットブレイヴ、昭弘・アルトランドを召喚し、バルバトス第4形態に直接合体」

 

 

ー【ガンダム・バルバトス[第4形態]+昭弘・アルトランド】LV3(4S)BP15000

 

 

オーカミも負けじと鉄華団のパイロットブレイヴ。バルバトス第4形態は紫シンボル2つの強力な合体スピリットへと昇格する。

 

 

「アタックステップだ、行くぞ、バルバトス第4形態でアタック!!……その効果でブレイヴ1つを破壊、その発揮後、サザビーのコア2つをリザーブへ置き、消滅させる」

「ブレイヴキラー効果。厄介ですね」

 

 

突撃するバルバトス第4形態。サザビーは、それを討たんと再びファンネルを飛ばす。だが、バルバトス第4形態は、走りながらメイスを振るい、それら全てを容易く撃墜。

 

最後にはサザビーの懐に飛び込み、その巨大を蹴り飛ばして爆散へと追い込む。

 

 

「昭弘の効果でBP+3000。さらにバルバトス第4形態のLV3効果により、紫シンボルを1つ追加」

 

 

つまりはトリプルシンボルだ。今のバルバトス第4形態は、フウのライフを一度に3つ破壊できる。サザビーを失った今、フウはそのアタックをライフで受けるしかない。

 

 

「ライフで受けます」

 

 

〈ライフ5➡︎2〉夏恋フウ

 

 

バルバトス第4形態は、もう一度メイスを振るい、今度はフウのライフバリアを粉砕。一気に3つ破壊する。

 

バトルの風向きを変える程の大きなダメージを与える事に成功したが、そのライフの減少により、またフウの伏せていたバーストカードが光を放ち………

 

 

「ライフ減少により、バーストを発動。絶甲氷盾」

「ッ……今度は減少時か」

「効果で私のライフ1つを回復、その後コストを支払い、このバトルの終了後に、アタックステップが終了します」

 

 

〈ライフ2➡︎3〉徳川フウ

 

 

反撃が始まったのも束の間、最も汎用性の高い白のマジックカード『絶甲氷盾〈R〉』により、早々にそれは終了。

 

このターンのオーカミのアタックステップ強制終了が約束されるが……

 

 

「バルバトス第4形態の効果、各バトルの終了時、トラッシュから1コストで鉄華団スピリットを召喚する。来い、漏影」

 

 

ー【漏影】LV1(1)BP3000

 

 

攻撃を終えたバルバトス第4形態の機械の眼が緑色に輝く。すると地底より、バスターソードを携えた一つ目の鉄華団スピリット、漏影が飛び出して来る。

 

 

「召喚時効果、デッキ上から3枚を破棄、その後トラッシュから鉄華団カードを1枚手札に戻す………オレはトラッシュにある『バルバトスルプスレクス』を手札に加える。さらにクーデリア&アトラの【神域】の効果で、トラッシュの紫1色のカード1枚をデッキ下に戻して1枚ドロー」

 

 

漏影の効果により、トラッシュから最強の鉄華団スピリット『バルバトスルプスレクス』のカードを回収するオーカミ。クーデリア&アトラの効果と合わせ、その手札は潤沢に増えた。

 

 

「ニッヒヒ、そんな事をしても、結局アタックステップが終わる事には変わりありませんよ」

「……ターンエンド」

手札:6

場:【ガンダム・バルバトス[第4形態]+昭弘・アルトランド】LV2

【漏影】LV1

【オルガ・イツカ】LV2(3)

【クーデリア&アトラ】LV2(3)

バースト:【無】

 

 

完全にアタックステップが終了する前に、これからの試合展開を優位に進めるべく、できるだけ多くの手札を抱え込みに行ったオーカミ。

 

結果的に大エースを含めた6枚の手札を持ちながらのターンエンド。敵の唯一のスピリットであったサザビーを倒した事からも、彼がこのバトルの主導権を握って来ていると言っても過言ではない状況となった。

 

だが………

 

 

「まさか、サザビーを倒しただけで勝ったと思ってます?」

「……」

「ニッヒヒ、それが本当ならとんだお調子者ですね。なら今からお見せいたしますよ、決して凡人には埋められない実力の差、私の……本気♡」

「ッ……!?」

 

 

その猟奇的な眼光は赤みを帯び、目尻から口元まで、それと同じ色に光り輝く。

 

この何の脈絡もなく、突然バトルの流れが変わる感覚を、オーカミは知っている。

 

王者(レクス)だ。間違いない。徳川フウもその使い手なのだ。しかも早美ソラと同じ、オーカミのモノと違って、自発的に発動できるタイプの。

 

 

[ターン06]徳川フウ・王者

 

 

「メインステップ。先ずは他のカードを展開、2枚目の鈴原トウジを配置し、その効果で2枚目の相田ケンスケを配置して1枚ドロー、さらにその効果で2枚目の碇シンジ・シンクロ率∞を召喚して1枚ドロー、そして碇シンジ・シンクロ率∞の召喚時効果で2枚ドローし、オーカミさんの創界神のコアを6つボイドへ」

「くっ……」

 

 

ー【鈴原トウジ】LV1

 

ー【相田ケンスケ】LV2(2)

 

ー【碇シンジ-シンクロ率∞-】LV1

 

 

前のターンと全く同じ展開を見せる。これによりフウはシンボルを並べつつ、合計4枚のドローをし、オーカミの創界神達のコアを0にした。

 

さらにこのターンは当然それだけでは終わらない。

 

悪魔をも滅ぼす、災厄がやって来る。

 

 

「さぁお見せしましょう、紹介しましょう………これが私の最高のエースカード」

 

 

そう告げ、満面の笑みを浮かべながら、フウは手札から引き抜いた1枚のカードを己のBパッドへ置く。

 

 

「私は今、神話になる。エヴァンゲリオン初号機!!……LV2で召喚」

 

 

ー【エヴァンゲリオン試験初号機-決意の出撃-】LV2(3)BP9000

 

 

黒々としたワームホールのような渦が開くと、それを咆哮を張り上げながら荒々しくこじ開け、フィールドへ飛び出して来る何か。

 

それは、紫色の体色と一角を持つエヴァンゲリオンスピリット、初号機。フウのエースカードにして、災厄そのモノ。

 

 

「エヴァンゲリオンスピリット、しかも紫?」

「そうです、名は初号機。原点にして頂点に立つ、最凶のエヴァンゲリオンスピリット!!……碇シンジ・シンクロ率∞と合体」

 

 

ー【エヴァンゲリオン試験初号機-決意の出撃-+碇シンジ-シンクロ率∞-】LV2(3)BP15000

 

 

登場して早々、その身にパイロットブレイヴの力を宿す初号機。より強力な合体スピリットへと変化を遂げる。

 

 

「アタックステップ、初号機でアタックします。その効果で漏影に指定アタック」

「ッ……漏影でブロック」

 

 

初号機の持っていた効果は、紫属性にしては極めて稀有な指定アタック効果。

 

その効果により、漏影と強制バトル。漏影が果敢に初号機へ立ち向かうも、初号機は上背を利用し、迫って来たそれを鉄拳で下す。

 

そして、地面に叩きつけられた漏影を他所に、ここで初号機の更なる効果が発揮されて……

 

 

「初号機のもう1つの効果【転醒】を発揮、ブロックされた時、そのバトルをただちに終了。そうする事で、初号機にコア1つを追加し、転醒します」

「!」

 

 

初号機のもう1つの効果は、バルバトス第6形態と同じ【転醒】の効果。

 

倒れた漏影を踏みつけ、地獄の咆哮とも呼べる雄叫びを上げながら、更なる進化を遂げて行く。

 

 

「転醒せよ、シン化第1覚醒形態!!」

 

 

ー【エヴァンゲリオン試験初号機 擬似シン化第1覚醒形態+碇シンジ-シンクロ率∞-】LV2(4)BP19000

 

 

緑だった装飾は赤く発光し、より残忍性が増した事を告げるように、口が大きく開口する。

 

これがシン化第1覚醒形態。エヴァンゲリオン初号機が更なる力を得た姿だ。

 

 

「転醒によりカウント+1。さらに転醒アタック時効果で回復」

「……転醒した事で別のスピリットになったのか」

「ニッヒヒ、そして再度アタック。その効果により相手スピリットのコア2つをリザーブへ、消え失せてください、バルバトス第4形態」

「くっ……第4形態」

 

 

転醒した初号機・シン化第1覚醒形態は、踏みつけた漏影をオーカミのフィールドへ蹴り飛ばすと、バルバトス第4形態の元へ急接近。目にも止まらぬ速さでその装甲を素手で切り裂き、爆散させる。

 

さらに効果はこれだけでは終わらない。

 

 

「この効果で消滅させた時、相手ライフ1つを破壊します」

「ッ……ぐっ、ぐぁぁあ!?!」

 

 

〈ライフ3➡︎2〉鉄華オーカミ

 

 

次にオーカミに目を付けた初号機・擬似シン化第1覚醒形態は、左手から念力のようなモノを放出し、彼のライフバリアを1つ砕く。

 

現実に存在しているスピリットから受けるダメージは尋常ではない。あの打たれ強い鉄華オーカミでさえも、その痛みの余り、唸り声を上げた。

 

 

「初号機・シン化第1覚醒形態は、合体によりダブルブレイヴ。ライフを2つ破壊しますよ」

「まだだ、オレは手札から」

「グレイズ改弍の効果を発揮、ですよね?」

「!」

 

 

初号機・シン化第1覚醒形態が、オーカミの残り2つのライフバリアを砕こうとした直後、それを阻止しようと、オーカミが手札のカードを構えた瞬間、フウが使用しようとしたカードの名前をズバリ言い当てる。

 

普通ならば考えられないが、王者を使用しているのならば話は別だ。

 

 

「王者を使ってるんですから、もちろん知ってますよ。貴方はそれを使い、初号機・シン化第1覚醒形態のアタックをブロックする」

「………鉄華団スピリットがフィールド離れた時、これをノーコスト召喚」

 

 

ー【流星号[グレイズ改弍]】LV1(1)BP2000

 

 

「召喚時効果でデッキ上から1枚ドロー、ブロックだ」

 

 

不本意ながら、今はそれが最善の選択だ。初号機・シン化第1覚醒形態の進行路に割って入るように、マゼンタのカラーをした1つ目の鉄華団モビルスピリット、グレイズ改弍が現れる。

 

しかしアタックは防いだものの、その力の差は歴然。グレイズ改弍は、初号機・シン化第1覚醒形態に胸部の装甲を噛み砕かれ、呆気なく爆散してしまう。

 

 

「そしてこのタイミングで、今度はフラウロスを効果で召喚」

「ッ……クソ、鉄華団スピリットがフィールドを離れた事で、手札からフラウロスをノーコスト召喚」

 

 

ー【ガンダム・フラウロス】LV1(1)BP5000

 

 

またもや先読みされ、使うカードを言い当てられる。

 

だがこれを発揮しておかないと、次に繋がらない。オーカミは仕方なく、手札にあるガンダムの名を持つマゼンタカラーの鉄華団スピリット、フラウロスを召喚する。

 

 

「エンドステップ、相田ケンスケのLV2の効果、自身のコア1つをトラッシュに置き、トラッシュにある碇シンジ・シンクロ率∞を手札に戻します。ターンエンド。フラウロスを生き残らせるような受け方をしたのは、次のターン、トラッシュから手札に戻したルプスレクスを煌臨で呼ぶため、そうですよね?」

手札:7

場:【エヴァンゲリオン試験初号機 擬似シン化第1覚醒形態+碇シンジ-シンクロ率∞-】LV2

【鈴原トウジ】LV1

【鈴原トウジ】LV1

【相田ケンスケ】LV1

【相田ケンスケ】LV1

バースト:【無】

カウント:【1】

 

 

「………」

「図星ですよね、黙ってても無駄ですよ。どっちらにせよ、初号機に対抗するため、貴方はルプスレクスを呼ぶしかない」

 

 

バトルの未来が見え、使用者に必然の勝利を齎すと言われている天下無双の力『王者』………

 

それをフルに発揮し、バトルの主導権を再び握り返す徳川フウ。オーカミは彼女の予言を覆し、勝利を手にすべく、巡って来た己のターンを開始する。

 

 

[ターン07]鉄華オーカミ

 

 

「メインステップ……フラウロスのLVを3にアップ」

 

 

オーカミの王者は未だ起動しない。このまま行けば逆に起動させたフウに押し切られ、敗北する事は明白。

 

しかし、当然諦める事はできない。オーカミは1枚の手札に望みを託し、決戦に臨む。

 

 

「【煌臨】発揮、対象はフラウロス」

 

 

ソウルコアをコストに、煌臨の効果を発揮するオーカミ。フィールドでは、彼の背後から突然現れた、巨腕を持つ白いモビルスピリットの影が、フラウロスと重なり合い、1つの存在となって行く。

 

 

「天地を揺るがせ、未来へ響け……ガンダム・バルバトスルプスレクス、LV3で煌臨」

 

 

ー【ガンダム・バルバトスルプスレクス】LV3(5)BP16000

 

 

こうして誕生したのは、身の丈程はある超大型メイスを握る、最強の鉄華団スピリットにして、バルバトスの最終形態、バルバトスルプスレクス。

 

登場するなり、無音の咆哮を張り上げ、フウのフィールドにいる初号機・シン化第1覚醒形態と睨み合いを繰り広げる。

 

 

「さらにパイロットブレイヴ、三日月・オーガス。召喚して、ルプスレクスに直接合体」

 

 

ー【ガンダム・バルバトスルプスレクス+三日月・オーガス】LV3(5)BP22000

 

 

最も長く使用して来た、鉄華団のパイロットブレイヴ、三日月・オーガスをここで召喚。バルバトスルプスレクスと合体し、それに強大な力を与える。

 

 

「残った漏影に、昭弘・アルトランドを合体」

 

 

ー【漏影+昭弘・アルトランド】LV1(1)BP6000

 

 

さらにフィールドに残った者同士で合体し、攻撃の準備を万全に整えたオーカミ。

 

これより、反撃の狼煙が上がる。

 

 

「オマエの見た未来は、オレとルプスレクスが打ち破る。アタックステップ、ルプスレクスでアタック!!……効果でデッキ上から2枚を破棄、鉄華団カードがあるから、ルプスレクスに紫シンボルを1つ追加する。ここでクーデリア&アトラの【神域】が誘発、トラッシュのカードをデッキ下に戻して、1枚ドロー」

 

 

これにより、ルプスレクスはトリプルシンボル。フウの残りライフ全てを破壊できる力を手に入れた。

 

さらに効果はこれだけでは終わらず………

 

 

「そして、ルプスレクスには、合体中で、尚且つオレのトラッシュが10枚以上ある時にしか使えない効果がある。行くぞルプスレクス、このターンの間、相手のスピリット、ネクサス全てのLVコストを+1に!!」

 

 

ルプスレクスが機械の眼を緑色に輝かせると、フウのBパッド上にあるネクサスがLVコスト不足により次々と消滅していく。

 

唯一、相田ケンスケ1枚が、コアが1つ乗っていたために難を逃れたが………

 

 

「今度は三日月の効果、残った相田ケンスケのLVコストをさらに+1にし、消滅。リザーブのコアをトラッシュへ」

「流石は最強の鉄華団スピリット、バルバトスルプスレクス。これで私のネクサスは全滅ですね」

 

 

合体しているパイロットブレイヴ、三日月の効果によりそれも消滅。リザーブに残ったコアもトラッシュへ送り、フウを追い詰める。

 

しかし、これを受けても尚、フウは余裕綽々な態度を取っており………

 

 

「ですがそれも、私には届きませんよ。フラッシュマジック、サイレントウォールLT」

「!」

「不足コストは初号機・シン化第1覚醒形態から確保、ルプスレクスによりLVコストが変化しているため消滅。最後のコアを、合体していた碇シンジ・シンクロ率∞の上に置き、フィールドに残します」

 

 

フウは、エースカードである初号機・シン化第1覚醒形態のコアさえも容易く切り捨て、手札にある白のマジックカード『サイレントウォールLT』を使用。

 

その効果は、ルプスレクスの攻撃であっても容易に凌ぐ事ができる効果であって………

 

 

「その効果により、このバトルの間、私のライフは減らなくなります。例えそれがルプスレクスのアタックでも、ね」

「ッ……ならオレのフラッシュ、オルガ・イツカの【神域】により、デッキ上3枚を破棄してドロー、これによりクーデリア&アトラの【神域】が誘発、トラッシュのカードをデッキ下に戻してドロー」

 

 

オルガとクーデリア&アトラの【神域】コンボにより、手札とトラッシュを増やしていくが、所詮は無駄な足掻き、このバトル中、ライフが減少しない事実は変わらない。

 

 

「ライフで受けます」

 

 

〈ライフ3➡︎3〉徳川フウ・王者

 

 

ルプスレクスが、超大型メイスを縦一線に振い、フウのライフバリアを破壊しようと試みるも、サイレントウォールLTにより出現した真空のバリアがそれを弾き返す。

 

 

「……ターンエンドだ」

手札:7

場:【ガンダム・バルバトスルプスレクス+三日月・オーガス】LV3

【漏影+昭弘・アルトランド】LV1

【オルガ・イツカ】LV2(4)

【クーデリア&アトラ】LV2(4)

バースト:【無】

 

 

漏影だけでは全てのライフは砕けない。

 

そのためオーカミはここで苦渋のターンエンドの宣言。結果的に、フウの予言通りの展開となってしまった。

 

 

「ニッヒヒ、お終いですね。結構楽しかったですよ」

「……まだ終わってないだろ」

 

 

高笑いするフウを他所に、オーカミは己の手札にある『絶甲氷盾〈R〉』のカードを視界に入れる。

 

次のフウのターンをこのカードで凌ぎ、帰って来た己のターンで必ず勝利し、ライを救け出して見せると心に誓う。

 

 

[ターン08]徳川フウ・王者

 

 

「メインステップ、ソウルコアをコストに、マジック、リターンスモークを使用。このカードは、ソウルコアをコストにして使用した時、トラッシュからコスト6以下のスピリットをノーコストで召喚できます」

「!」

「もうわかりますよね、この効果で前のターンにトラッシュへ送られたエヴァンゲリオン初号機を復活」

 

 

ー【エヴァンゲリオン試験初号機-決意の出撃-】LV2(3)BP9000

 

 

ターン開始早々、フウは紫のマジックカードを使用し、トラッシュから初号機を蘇生。

 

蘇った初号機の咆哮は、前のターンで発したモノよりも強く、この湧水トンネルのコンクリートの外壁全体に大きな亀裂を生じさせる。

 

 

「続けてマジック『行きなさい!シンジ君』を使用、効果により初号機を裏返す」

「なに、マジック効果で転醒後にできるのか」

「再び現れなさい、シン化第1覚醒形態」

 

 

ー【エヴァンゲリオン試験初号機 擬似シン化第1覚醒形態】LV2(3)BP13000

 

 

アタックを経由せず、マジックカードの効果により、初号機をシン化第1覚醒形態へと転醒させるフウ。

 

転醒したそれは、変化したその赤い眼光で、オーカミとルプスレクスを視界に捉える。

 

 

「碇シンジ・シンクロ率∞を合体」

 

 

ー【エヴァンゲリオン試験初号機 擬似シン化第1覚醒形態+碇シンジ-シンクロ率∞-】LV2(4)BP19000

 

 

前のターンと全く同じ布陣を整えるフウ。ここでバトルの決着をつけるべく、アタックステップに突入しようとするが………

 

 

「アタックステップ」

「待て、オマエのアタックステップ開始時、オルガの【神技】を発揮」

「ニッヒヒ、トラッシュからグシオンリベイクを召喚、でしょ?」

 

 

鉄華団の創界神ネクサス、オルガの【神技】の効果がここに来て発揮。

 

王者を使っているフウには見抜かれているようだが、ここで止まるわけには行かない。オーカミはトラッシュにある守護神を呼び覚ます。

 

 

「トラッシュから来い、ガンダム・グシオンリベイク。リザーブ、ルプスレクス、漏影から1つずつコアを確保し、LV2で召喚。漏影は消滅する」

 

 

ー【ガンダム・グシオンリベイク】LV2(3)BP9000

 

 

LVコスト不足により、漏影は消滅してしまうものの、大地を穿ち、淡い麦色の装甲を持つ、鉄華団の守護神、グシオンリベイクがフィールドへ飛び出して来る。

 

このターンを凌ぐべく、オーカミは容赦なくその召喚時効果を発揮させる。

 

 

「グシオンリベイクの召喚時効果、相手フィールドのコア2つをリザーブへ、これで初号機・シン化第1覚醒形態のLVを下げる」

 

 

グシオンリベイクが武器である剣斧ハルバートを手に、初号機・シン化第1覚醒形態へ斬りかかる。

 

それによりLVが下がれば、少しでも勝つ可能性が浮上して来るのだが………

 

 

「初号機・シン化第1覚醒形態の【A.T.フィールド】の効果、自分のターン中、ソウルコアが置かれているスピリットの効果しか受けない。よってその効果は無効です」

「!」

 

 

手を翳し、前方にA.T.フィールドと呼ばれる半透明のバリアを展開する初号機・シン化第1覚醒形態。

 

それでグシオンリベイクの攻撃を受け止め、弾き返す。

 

 

「残念でしたね」

「くっ……」

「アタックステップは継続、初号機・シン化第1覚醒形態でアタックします。転醒アタック時効果により回復」

 

 

グシオンリベイクの攻撃をいなした後、初号機・シン化第1覚醒形態はすぐさまオーカミに対して攻撃を仕掛ける。

 

効果により回復して、このターン、二度目のアタックを可能にする。

 

 

「もう1つのアタック時効果により、ルプスレクスからコア2つをリザーブに置きます」

 

 

フィールドを縦横無尽に駆け回る初号機・第1覚醒形態。その間にルプスレクスの胸部の装甲を殴り、中に眠るコア2つを弾き飛ばし、LVを1にダウンさせる。

 

 

「グシオンリベイクでブロックだ」

 

 

オーカミのライフバリアを狙いに来た初号機・シン化第1覚醒形態の前に、グシオンリベイクが立ちはだかる。

 

グシオンリベイクはハルバートで斬りかかるが、初号機・シン化第1覚醒形態にとっては相手にもならないのか、微動だにせず片手で受け止められる。

 

 

「グシオンリベイクのアタックブロック時効果、疲労状態のスピリット1体を破壊する」

「それも【A.T.フィールド】で無効ですよ」

 

 

最凶のエヴァンゲリオンスピリットである初号機の前では、守護神たるグシオンリベイクと言えども何も成す事はできない。

 

「ならこれならどうだ」と言わんばかりに、オーカミは手札にあるカードをBパッドに叩きつける。

 

 

「フラッシュマジック、絶甲氷盾」

「……」

「効果により、このバトルの終わりが、アタックステップの終了になる」

 

 

大量のドローで得ていた白の防御マジックをここで消費するオーカミ。初号機・シン化第1覚醒形態とグシオンリベイクのバトルで、フウのアタックステップを終了させ、そのターンをエンドにしようとする。

 

だが………

 

 

「だから勝てないって言ってるじゃないですか。碇シンジ・シンクロ率∞の効果。手札にある「エヴァンゲリオン」のカードを除外する事で、発揮中の絶甲氷盾の効果を無効にします」

「なに!?」

 

 

初号機ではなく、パイロットブレイヴの持っていた効果により、マジックカードの効果を打ち消される。

 

頼みの綱を失った、最早オーカミに打てる手は残っていない。敗北だ。

 

フィールドでは、初号機・シン化第1覚醒形態は、グシオンリベイクのハルバートを受け止めている手とは逆の手で、A.T.フィールドの刃を形成。それをグシオンリベイクの首と胸部の装甲の隙間に突き刺し、致命傷を与えて爆散へと追い込む。

 

 

「ニッヒヒ、鉄華団、思ったより大した事なかったですね。回復した初号機・シン化第1覚醒形態でアタック。その効果でルプスレクスのコア2つをリザーブに置き、消滅、ライフを1つリザーブに」

 

 

〈ライフ2➡︎1〉鉄華オーカミ

 

 

「ぐぁっ!?……ッ、ルプスレクス」

 

 

初号機・シン化第1覚醒形態は、ルプスレクスの頭部を持ち上げ、余った手で胸部の装甲を貫き、爆散させる。

 

その爆散の余波は、オーカミのライフバリア1つを砕き、遂に残り1つにまで追い詰められた。

 

 

「クソ……クソ、オレはまだ終われない……!!」

「終わるんですよ。あの世で怪物と仲良くなった事を後悔しなさい」

「……ライフで、受ける……」

 

 

〈ライフ1➡︎0〉鉄華オーカミ

 

 

「ッッ……ッァァァァア!?!」

 

 

初号機・シン化第1覚醒形態のトドメの正拳突きが、オーカミの最後のライフバリアを砕く。

 

これにより、勝者は裏切り者の徳川フウだ。常人では昇天してしまう程の一撃に、オーカミは、遂にその場で倒れ込んでしまう。

 

 

「割と粘った事は評価してあげましょう。さて、本拠地に戻って……」

「おい、ま、待てよ」

「!!」

 

 

バトルは終わり、フウが王者の力を解き、帰路に着こうとした直後、即座に立ち上がったオーカミがそれを声で制止させる。

 

普通ならば死ぬ衝撃を受けていながら、立ち上がって来る彼に、流石のフウも驚愕する表情を隠せない。

 

 

「信じられない、アレを受けて尚立ち上がって来るなんて」

「もう一度、オレと、バトルしろ、次は負けない……!!」

「……虫の息って感じですね。立っているのもやっとでしょう?」

「………」

「ふふ、仕方ありませんね」

 

 

そう告げると、フウは立ち上がって来たオーカミと再びバトルを……

 

するかと思われたが。

 

 

「敗者に口無しです。初号機!!」

「!?」

 

 

フウが始めたのは、バトルではなく、破壊行動。前のバトルで残った初号機に、湧水トンネルの破壊を指示。

 

初号機は咆哮を張り上げ、己が消滅するまで、その外壁たるコンクリートを破壊し続けた。散々暴れ回った事で、地盤が揺らぎ、湧水トンネルの崩壊が始まる。

 

このまま行けば、間違いなく潰されて死亡するレベルだ。今すぐ逃げなくてはならないが、オーカミはさっきのバトルによるダメージが深過ぎて、それができない。

 

 

「おい、何やってんだ、もう一度バトルしろよ」

「今言いましたよね、敗者に口無しって。いいから、早く死んでくださいよ」

 

 

己の死の場面に直面しても、オーカミのモチベーションは変わらない。フウにバトルを要求する。

 

が、もうフウはその気にはならない。ただ嘲笑と言う名の笑みを浮かべ続けるだけ………

 

 

「ニッヒヒ、さよならオーカミさん」

「待てよふざけるな、ライを返せ!!」

「貴方が死んだ事をライちゃんに教えるのが今から楽しみで仕方ないです♡」

 

 

フウは己のBパッドを操作し、ワームホールを生成。それを使い、生き埋めになる直前で、この場から逃走する。

 

 

「逃げるな、逃げるなァァァァァァァァ!!!!」

 

 

残されたオーカミは、頭上から降って来たコンクリートの塊の雨に晒され、下敷きとなった。

 

その怒りと果てなき闘争心から来る咆哮を受け止める者は、もう誰もいなくて…………

 

 

 

 

 

 

 

 




次回、第55ターン「クローズエボル、全ての進化の頂点に立つ者」

******

UA3万、PV10万を突破致しました!!
沢山のご愛読、誠にありがとうございます!!
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