バトルスピリッツ 王者の鉄華   作:バナナ 

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第68ターン「閃光のモビルスピリット」

界放市と共に日本が誇るバトスピ都市の1つ、ゲートシティ。

日本の誇りに恥じぬ、多くの高層ビルや交通機関を有する、大都市である。

 

さらにそこの中心に位置し、街のシンボル、もしくは象徴とも呼べる巨大な建物があった。

 

その名は『ノヴァ学園』……

 

名前の由来となっている『超新星龍ジークヴルム・ノヴァ』の石像が正門に聳え立つ、最も難関なバトスピ校であり、最も大きなマンモス校だ。

 

 

「ここが、ノヴァ学園」

 

 

そんなゲートシティに、ノヴァ学園に、少年、鉄華オーカミが今、足を踏み入れる。その服装は、白を基準としたノヴァ学園の制服へと変わっていて。

 

彼の新たなバトルスピリッツが、戦いが、ここから始まる。

 

 

******

 

 

「それで、ここが寮で、オレの部屋か。結構広いな」

 

 

今日はノヴァ学園の入学式。オーカミは一度、自分がこれから暫く住む事になる寮を訪れていた。

 

ノヴァ学園は全寮制。700人以上の学生を住まわせるために、最早団地とも言える程の寮を敷地内に用意してあるのだ。

 

 

「教えてやる。ここの部屋が広いのは、2人部屋だからだ。そこにベッドが2つあるだろ?」

「ん?」

 

 

オーカミが後ろを振り向くと、そこには同じ制服を着た、金髪の少年がいた。

 

少年は見るからに尊大な態度でオーカミを2つの意味で見下ろす。

 

 

「んでもって、ここからが大事な所だ。この部屋でテメェと過ごす事になるのはオレ、光裏(ひかりうら)コント様だ」

「……」

「光栄に思え、大事な事だからもう一度言ってやる、オレは光裏コント様だ」

「……」

 

 

オーカミは目の前の少年に対して、なんとも微妙な表情を浮かべる。

 

また面倒なのが出て来た。そう内心で思ったのだ。

 

 

「予め教えておこう。オレ様は基本、大事な事は2度言うタイプだ。優しいからな」

「……」

「おい、無視すんな」

 

 

オーカミにとって、面倒な奴と対面した時は、適当にやり過ごすのに限る。だがコントに関しては、これから同じ部屋で共に過ごす事になるので、結局は何度も対面しなければならないだろう。

 

 

「これから入学式だろ。一緒行こうぜ」

「嫌だ」

「コミ症かよ。安心しろ、オレ様は優しいからな。オマエがオレに懐くまで、オレはオマエのそばにいてやるよ。ナーハッハッハ!!」

「うざい」

 

 

喧しい同僚が1人加わり、オーカミは寮から、入学式を行う第二バトルスタジアムへと移動する。

 

 

******

 

 

ここはノヴァ学園が有する広大なバトル場の1つ、第二バトルスタジアム。

 

本来神聖なるバトルを行う場であるが、本日は今日からこの学舎に入学する、約300名の新入生を歓迎する、入学式が行われていて。

 

 

「続きまして、新2年生、そして学園の最強カードバトラー、序列1位の称号を持ちます、キング王さん。壇上にお上りください」

 

 

アナウンスでそう告げられると、この場の全ての者達から最も注目を集める壇上に上がるのは、ノヴァ学園の2年生にして、最強のカードバトラー、キング王だ。

 

 

「おい見ろよ、キング王だぜ。この学園の現序列1位だ」

「うん」

「いいよなアイツ、あんだけイケメンでバトル強ければ、女の子にもモテモテなんだろうな」

 

 

1年の中には、鉄華オーカミと光裏コントも当然参列している。キング王は、壇上に上がるなり、そこにいる鉄華オーカミを視認。気にする事なく、新入生への挨拶を始める。

 

 

「新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。努力の末、ノヴァ学園の狭き門を潜り抜けた君たち新入生ですが、本当のバトルスピリッツはここから始まります。仲間と切磋琢磨し合い、序列のトップを目指してください。私と肩を並べる程のカードバトラーが出てくる事を、楽しみにお待ちしております」

 

 

キング王は挨拶を終えると、スタジアムは新入生や教員達の拍手喝采に包まれる。それを聞き届けると、彼は壇上を下り、退場した。

 

 

「続きまして、新入生代表、鉄華オーカミ君」

「あれ、オレ?」

 

 

直後のアナウンスに、新入生の誰もが驚いた。

 

無理もない、あの界放市で名を連ねた鉄華オーカミ。まさか彼が界放市のバトスピ学園を差し置いて、このゲートシティのノヴァ学園に来ていると言う情報は何もなかったのだから。

 

 

「は、はぁ!?……オマエ、あの鉄華オーカミだったのかよ」

「ん?…そうだけど」

 

 

一番驚いていたのは、寮で同じ部屋になり、真っ先に彼に声を掛けていた光裏コントだった。オーカミはそんな彼のリアクションなど気にする事なく、取り敢えず席を立ち、壇上へと向かう。

 

 

「おい」

「ッ……アンタ、ブイ」

 

 

壇上へ向かう途中、彼に声を掛けたのは、教員としてスタジアムの端に参列している若い女性教師、ブイだった。相変わらず短目のオレンジ色の髪と触覚のようなアホ毛が目立つ。

 

 

「呼び捨て禁止。ここではブイ先生、もしくはブイ姉だ」

「呼び方は何でもいいだろ。つかアンタか、オレを新入生代表にしたの」

「いや〜ごめんごめん、言うの忘れてた。適当に自分の目標とか言えば多分大丈夫だから、頑張れ」

「……」

 

 

少しズレたサングラスを定位置に戻しながら、無責任極まりない事を言い放つブイ。オーカミはそれに呆れながらも、再び壇上へ向かい、そこへ上がる。

 

 

「えぇっと、目標か、そうだな……」

 

 

他の新入生らが注目する中、オーカミが言い放った言葉は……

 

 

「さっき喋ってたアイツ、キング王に勝てるくらいにはなろうかなって思ってます」

 

 

 

…………は?

 

 

静まり返る空気の中、殆どの新入生達がそう思った。

 

学園のカリスマ的存在であるキング王を「アイツ」呼ばわりした挙句、勝利宣言。さらにそれ以外は眼中にないような発言。ヘイトを買って当然である。

 

 

「ふざけんなァァァ!!」

「ひっこめチビ野郎!!」

「オマエがキング様に勝てるわけないだろ!!」

 

 

鳴り止まぬブーイング。しかし、当のオーカミはそれを全く意に介さず、欠伸をしながら壇上を下りる。その余裕ぶりが、また新入生らを煽り立てた。

 

 

「ハッハッハ!!…やっぱ面白いな、あの子」

 

 

その様子に、ブイはただ1人声を上げて笑っていた。

 

 

******

 

 

「おいオマエ」

「今度は何」

 

 

時刻は昼過ぎ。ノヴァ学園の敷地内。丁度校舎、グラウンド、バトルスタジアムを一目できるような場所にて。

 

入学式と、それに続いて行った、学園の案内を含めたレクリエーションも終了し、一度寮に戻ろうとしていたオーカミを呼び止めたのは、またしても光裏コント。

 

 

「入学式で言ったアレ、キング王に勝つってホントかよ」

「そうだけど」

「バカタレだな。キング王がどんだけ強いのか知ってんのか」

「……」

 

 

正直知ってるし、知らないとも言える。

 

彼の強さに触れ、敗北した事は事実であるが、まだ彼が本気を出しているとも思えないからだ。

 

 

「界放市で頂点になれたなら、別に離れる必要なかっただろ。あそこだって田舎って訳じゃないし、綺麗で可愛い女の子なんていくらでも」

「女の子は関係ないだろ」

「あるわ!!……やっぱな、この世の中バトルが強い奴がモテんだよ。キング王だってそうだしな。因みにオレはモテるためだけにバトル頑張ってノヴァ学園に入学したんだ」

 

 

とてつもない程に不純な動機を、とてつもない程に清々しく語るコント。ある意味年頃の少年らしいとも言える。

 

 

「そっか」

「そう言う事で鉄華オーカミ。界放市でめちゃんこ強いオマエを倒して、オレはこれからかわい子ちゃん達との会話に花を添えてやるぜ」

 

 

そう告げながら、コントはオーカミに己のデッキを突きつける。

 

その目的は、界放リーグで優勝したオーカミを倒す事で、自分の名を轟かせて、女の子にモテるためだ。

 

 

「バトルか、なら受けて立つよ」

 

 

バトルと聞けば、オーカミも断る理由はない。彼からの了承を得ると、コントは笑みを浮かべる。

 

 

「フフ、そう来ないとな。大事な事だからもう一度言ってやる、オレはオマエを倒す」

 

 

直後、2人は距離を取り、己のBパッドを左腕にセット、展開。そこにデッキを装填し、バトルの準備を整える。

 

 

「よし、来いよ」

「行くぞ、バトル開始だ」

 

 

……ゲートオープン、界放!!

 

 

ノヴァ学園の敷地内にて、鉄華オーカミと光裏コントによるバトルスピリッツが幕を開ける。

 

先攻はコントだ。モテるために、それを進めていく。

 

 

[ターン01]光裏コント

 

 

「メインステップ、緑ネクサス、ハイジャック犯をLV1で配置するぜ」

 

 

ー【ハイジャック犯】LV1

 

 

「配置時効果で2枚オープン。オープンされた閃光カードを1枚手札に加えるんだが、ハズレか」

 

 

コントが初手で呼び出したのは、緑のネクサスカード、ハイジャック犯。

 

フィールドには何も出現しないが、その効果はいわゆるハロ効果。デッキ上かは2枚のカードをオープンし、その中の対象カード1枚を手札に加えるのだが、今回はどちらともハズレ。手札は増える事なく、オープンカードはトラッシュへと破棄された。

 

 

「ターンエンド」

手札:4

場:【ハイジャック犯】LV1

バースト:【無】

 

 

『さっさとオレ様を呼べ、そして暴れさせろ、コント!!』

「うるせぇ、コスト低くなって来てから出直せバカタレ」

 

 

コントの第1ターン終了直後、彼の脳内に直接聞こえて来る、豪快な声。

 

この声の主は、既に彼の手札の中にあり………

 

 

「オレのターンだな」

「おうよ、とっとと初めて恥を晒しな、バカタレ」

 

 

ノヴァ学園に来てから初めてのバトル、初めてのターン。オーカミは目の前の相手に己と己のデッキの強さを見せつけるべく、それを進めて行く。

 

 

[ターン02]鉄華オーカミ

 

 

「メインステップ、鉄華団の創界神ネクサス2枚、オルガ・イツカ、クーデリア&アトラ」

 

 

ー【オルガ・イツカ】LV1

 

ー【クーデリア&アトラ】LV1

 

 

「へぇ、噂通り鉄華団。紫デッキか」

「神託発揮。オルガに2つ。クーデリア&アトラに3つのコアをそれぞれ追加」

 

 

オーカミもネクサスカード。だが普通のネクサスカードではなく、強力な創界神ネクサスカード。

 

配置時の神託により、合計6枚のカードがデッキ上からトラッシュに送られると同時に、コアが追加された。

 

 

「ターンエンド」

手札:3

場:【オルガ・イツカ】LV1(2)

【クーデリア&アトラ】LV2(3)

バースト:【無】

 

 

ノヴァ学園に来てから初めてのターンは、オーカミにとって幸先の良いスタートで幕を下ろしてくれた。

 

彼が自分のフィールドに2種の創界神ネクサスを1枚ずつ構えた所で、次は一周回って再びコントのターン。

 

 

[ターン03]光裏コント

 

 

「メインステップ。オマエの鉄華団は確かに特別なのかもしれねぇ、だけどオレのカードの方が特別だ。今からそれを教えてやるよ」

「……」

「大事な事だからもう一度言ってやる」

「いや、いいから。早く進めろよ」

 

 

メインステップの開始直後、コントは己の手札の内1枚を己のBパッドへと叩きつける。

 

そのカードの名は………

 

 

「来い、オレの契約スピリット、Ξガンダム!!」

「ッ……契約スピリット」

 

 

ー【Ξガンダム】LV1(1S)BP5000

 

 

コントのフィールドに出現する、一際大きな体躯を有する白いモビルスピリット。

 

その名もΞガンダム。背部に大型のフライトユニットを内蔵した、緑属性のモビルスピリットにして、各々が人格を持つ特殊なカード、契約スピリットの内の1枚。

 

 

『アタックステップだ。さっさとアタックさせろ、コント』

「わぁってるよ、相変わらず喧しいバカタレだ。アタックステップ、Ξガンダムでアタック」

『よっしゃあ!!…行くぜ行くぜ行くぜぇ!!』

 

 

コントの脳内に響き渡る、Ξガンダムの声、アタックの要求。柔和なエアリアルとは違い、どうやら豪快な性格の様子。

 

 

「アタック時効果、カウント+2。そしてボイドから1個ずつを、Ξガンダムとハイジャック犯に追加」

 

 

つまりカウントを貯めつつ、2コアブーストだ。実に緑属性の契約スピリットらしい。

 

 

「アタックはライフで受ける」

 

 

〈ライフ5➡︎4〉鉄華オーカミ

 

 

背部のフライトエンジンで飛翔したΞガンダムによる拳の一撃。それは、オーカミの五重に重なったライフバリア1枚を粉砕して見せた。

 

 

「ターンエンド」

手札:4

場:【Ξガンダム】LV1

【ハイジャック犯】LV1

バースト:【無】

カウント:【2】

 

 

コントはこのターン、己の持つ特別なカード、Ξガンダムを披露。

 

彼も実はなかなか侮れないカードバトラーだと言う事を自覚し、オーカミは迎えた自分のターンに臨む。

 

 

[ターン04]鉄華オーカミ

 

 

「メインステップ、ランドマン・ロディをLV2で召喚」

 

 

ー【ランドマン・ロディ】LV2(2S)BP3000

 

 

オーカミが最初に召喚したスピリットはランドマン・ロディ。丸っこいボディを持つ、小型の鉄華団モビルスピリットだ。

 

 

「そして、天空斬り裂け、未来を照らせ。ガンダム・バルバトスルプス、LV2で召喚……!!」

 

 

ー【ガンダム・バルバトスルプス】LV2(2)BP8000

 

 

天空より降り立つ、オーカミのモビルスピリット、バルバトス。

 

その中でも今回は、バスターソード状のメイス、ソードメイスを持つ、強化形態の1つ、バルバトスルプスだ。

 

 

「パイロットブレイヴ、昭弘・アルトランドを召喚。バルバトスルプスと合体」

 

 

ー【ガンダム・バルバトスルプス+昭弘・アルトランド】LV2(2)BP11000

 

 

オーカミは追加でパイロットブレイヴを召喚。ルプスと合体させ、早くも合体スピリットをフィールドに揃える。

 

 

「アタックステップ。ルプスでアタック、その効果でデッキ上2枚を破棄し、Ξガンダムを破壊だ」

「くっ、だけどΞは契約スピリット。フィールドを離れても魂状態として、オレの傍らに残る」

 

 

アタックステップに突入。先陣を切るルプスが、ソードメイスを縦一線に振い、Ξガンダムの巨大な鋼鉄の身体を一刀両断。爆散へと追い込む。

 

砕け散ったかと思われたΞガンダムは、半透明の状態で場に残った。

 

 

「クーデリア&アトラの【神域】の効果で、トラッシュのカードをデッキ下に戻してドロー。さらにフラッシュ、オルガの【神域】を発揮、デッキ上3枚を破棄して1枚ドロー。これにより、もう一度クーデリア&アトラの【神域】が誘発、さらにドロー」

「何、一気にドローしやがった」

 

 

ドローに長けた鉄華団の創界神達。これにより、1枚しかなかったオーカミの手札は、合計4枚となる。

 

 

「まだあるぞ。フラッシュ、クーデリア&アトラの【神技】……クーデリア&アトラのコア5個をボイド、トラッシュにある鉄華団カード1枚をデッキ下に置き、ルプスを回復」

「合体スピリットを回復!?」

 

 

怒涛のフラッシュ効果の発揮。これでオーカミのルプスは、このターン2度目のアタック権利を獲得。

 

合体したダブルシンボルのルプスのアタックが2回。シンボル1つのランドマン・ロディのアタックが1回、合計5点のダメージ。

 

つまりこの時点で1ターンキルが成立したのだ。

 

 

「バカタレが。フラッシュマジック、白晶防壁」

「!」

「カウント1以上の時、このターン、オレのライフは1しか減らない。そのアタックはライフで受ける」

 

 

〈ライフ5➡︎4〉光裏コント

 

 

今度はソードメイスを横一線に振い、コントのライフバリアを一気に2枚破壊しようと試みたルプスであったが、直前に出現した半透明のバリアが緩衝材となり、その枚数を1に抑えられる。

 

 

「ターンエンド」

手札:4

場:【ガンダム・バルバトスルプス+昭弘・アルトランド】LV2

【ランドマン・ロディ】LV2

【オルガ・イツカ】LV2(5)

【クーデリア&アトラ】LV2(1)

バースト:【無】

 

 

『白晶防壁〈R〉』により出現した半透明のバリアは、オーカミのターンが終了するまで残り続ける上に、この後の攻撃を全て妨げて来る。

 

それを解除するため、オーカミは一度ターンエンドの宣言。コントへとターンを譲った。

 

 

「危ねぇ。白晶がなかったら詰んでたぜ。なんつー足の速いデッキだよバカタレ」

「……」

「だがよ、そう言うデッキを使う奴程、オレに負ける」

 

 

そう呟くと、コントは迎えた己のターンを進めて行く。

 

 

[ターン05]光裏コント

 

 

「メインステップ、見せてやるぜ、契約スピリットの真の力をな。【契約煌臨】発揮、対象は魂状態のΞガンダム」

「!」

「混沌を光に変える使者。現れよ、Ξガンダム初陣!!」

 

 

ー【Ξガンダム[初陣]】LV1(2)BP8000

 

 

半透明の状態から色を取り戻し、復活を果たすΞガンダム。新たにビームライフルとシールドを携えたその姿は、正に機動戦士。

 

 

「さらにマジック、ネオ・ハンドリバース。残った2枚の手札全てを破棄し、新たに3枚のカードをドロー」

 

 

緑属性特有のマリガン効果を持つマジックカードにより、コントは今ある全ての手札を捨て去り、新たに3枚のカードをドロー。

 

それらを視認するなり軽く口角が上がり……

 

 

「フ……この勝負、貰ったぜ。パイロットブレイヴ、ハサウェイ・ノアを召喚し、Ξガンダム初陣と合体」

 

 

ー【Ξガンダム[初陣]+ハサウェイ・ノア[U.C.0105]】LV1(2)BP13000

 

 

コントもオーカミ同様パイロットブレイヴを召喚し、エースカードに合体させる。Ξガンダム初陣の見た目に変化はないものの、ルプス同様、強さは強力な合体スピリットへと変貌を遂げる。

 

 

「アタックステップ。行くぞΞ、アタックだ。効果で先ずはカウントとコアを増やす」

 

 

コントは勝負を決めるべく、アタックステップへ突入。

 

契約スピリットの一部効果は、契約煌臨スピリットの煌臨元となっている時にも発揮できる。それにより、契約のΞガンダムの効果がここでも発揮。カウントとコアを増やした。

 

 

「今度はハサウェイの【合体中】効果。オマエはコアが2個以上置かれているスピリットと創界神ネクサスのソウルコア以外のコアを移動できない。さらにΞガンダムとの合体中、一度だけ回復する」

「……」

 

 

ルプスもランドマン・ロディも2個以上のコアが置かれているため、オーカミはΞガンダム初陣のアタック中、ソウルコア以外のコアを使用できなくなってしまう。

 

だが、所詮ここまでブレイヴの効果。Ξガンダム初陣の本領発揮はここからであり………

 

 

「最後にΞガンダム初陣のアタック時効果。相手スピリットかネクサスを2つ重疲労させ、相手スピリットかネクサス2つを疲労させる」

「疲労効果か」

「緑だからな。ルプスとランドマン・ロディを重疲労」

 

 

Ξガンダム初陣の肩部から放たれる粒子砲。それはオーカミのフィールドにいる2体のスピリットへ直撃。

 

破壊、爆散こそされなかったものの、2体共片膝をつき、ダウンしてしまう。

 

 

「さらにその後、オマエのフィールドにある回復状態のカード1つにつき、オマエは手札のカード1枚を捨てなければならない。創界神ネクサス2枚は効果を受けず回復状態のまま、よってオマエには2枚の手札を破棄してもらう」

「……」

 

 

合計で4枚のカードを重疲労か疲労させ、回復状態で残ったカードの数だけ相手の手札を破棄する効果を持つ、Ξガンダム初陣。

 

普通のネクサスを対象とした効果を受けない創界神ネクサスの耐性が仇となった。オーカミは手札から「ガンダム・バルバトスルプスレクス」と「ガンダム・バルバトス[第4形態]」のカードを手札から選んで破棄。残り枚数は、僅か2枚となる。

 

 

「どうだ、オレの閃光デッキの強さは!!……これでオマエはほとんど何もできない。初陣の連続アタックでお終いだ!!」

「……」

「負けるのが恥ずかしくて言葉も出ないか」

 

 

違う。

 

確かに、ほとんどのスピリットとコアの身動きができず、手札まで破棄させられると言う絶望的な状況であるが、オーカミは断じて諦めたりなどしない。

 

 

「ふ……いや、ただこれは勝ったなって思ってただけだ」

「なッ……ふざけんなバカタレ。ここからどうやって」

 

 

断崖絶壁の、圧倒的劣性な状況での勝利宣言。この瞬間、オーカミの雰囲気はやや刺々しくなり、本気モードとなる。

 

 

「行くぞ、ここからだ」

 

 

そう告げると、オーカミは僅か2枚の手札の内1枚を引き抜く。

 

 

「スピリットとコアを封じつつ、残り4つのライフ全てを砕く。確かに凄い手だ。だけど、ソウルコア1つ動くなら、それで十分対処できる」

「なに……!?」

「フラッシュ【煌臨】発揮、対象はバルバトスルプス」

 

 

【契約煌臨】を発揮させたコントに対し、オーカミが手札から使用したのは、一般的な普通の【煌臨】……

 

だが、決してその力は馬鹿にはならない。鉄華団の反撃の狼煙が上がる。

 

 

「轟音唸る、過去をも穿つ。ガンダム・グシオンリベイクフルシティ、LV1で煌臨!!」

 

 

ー【ガンダム・グシオンリベイクフルシティ+昭弘・アルトランド】LV1(2)BP8000

 

 

オーカミの背後から飛び立つ、新たなモビルスピリットの影。それは重疲労状態となり、フィールドで片膝をつくバルバトスルプスと重なり合い、彼に代わる形で顕現する。

 

その名はガンダム・グシオンリベイクフルシティ。鉄華団デッキにおいて、バルバトスと双璧を成すモビルスピリットである。

 

 

「フルシティの煌臨時効果。オレのデッキ上2枚を破棄し、その中の紫1色のカード1枚につき、相手フィールドのコア2つをリザーブに置く」

「!!」

 

 

オーカミのデッキ上から破棄される2枚のカードは、当然どれも紫1色。これにより、効果はフルパワーで発揮される。

 

 

「紫1色のカードは2枚中2枚。よって、オマエのフィールドから4つのコアをリザーブに置く。Ξガンダム初陣は消滅だ」

「なんだと!?」

 

 

グシオンリベイクフルシティは、背部にあるもう2つの腕を展開し、合わせて4本の腕でマシンガンを持ち、連射。

 

それらの弾丸は、Ξガンダム初陣が咄嗟に展開した電磁バリアを突き破り、ほとんどが被弾。装甲に多くの穴を開けられたΞガンダム初陣は力尽き、爆散した。

 

 

「クーデリア&アトラの【神域】でドロー」

「ターンエンド。手札にカウンター用のカード残してたのかよ、クソ……!!」

手札:2

場:【ハサウェイ・ノア[U.C.0105]】LV1

【ハイジャック犯】LV1

バースト:【無】

カウント:【4】

魂状態:【Ξガンダム】

 

 

ソウルコア1つのみで手痛い反撃を受けてしまったコント。その表情は悔しさで歪む。

 

 

「だけど、オマエの2体のスピリットは重疲労状態。次のターンを迎えても疲労状態、アタックはできねぇ。もっと言えば、その手札で逆転は不可能だ!!」

 

 

コントがオーカミの2枚しかない手札を指差しながら、声を荒げる。

 

そんな彼を、オーカミは鼻で笑い。

 

 

「ふ……言っただろ。このバトル、もうオレの勝ちだ。このバトルに、もう手札は必要ない」

「なに!?」

「オレのターンだ」

 

 

僅か一手でバトルの流れを大きく変えて見せたオーカミ。次は勝利するべく、迎えた己のターンを進めて行く。

 

 

[ターン06]鉄華オーカミ

 

 

「メインステップは飛ばして、アタックステップ。大事な事だからもう一度言ってやる。このバトルに、もう手札は必要ない」

「それオレの口癖!!」

「ステップの開始時、オルガの【神技】を発揮、オルガのコア4つをボイドに置き、トラッシュから鉄華団1体をノーコスト召喚する」

「トラッシュからだと!?」

 

 

手札からスピリットを展開できるはずのメインステップをスキップし、オーカミは颯爽とアタックステップへ突入。

 

オルガの【神技】の効果で、トラッシュから選んだスピリットは………

 

 

「大地を揺るがせ、未来へ導け。ガンダム・バルバトス第4形態、LV3で召喚……!!」

 

 

ー【ガンダム・バルバトス[第4形態]】LV3(8S)BP12000

 

 

「この時、オレのフィールドにいる全てのスピリットのコアを、第4形態に移動。よってそれ以外は消滅する」

 

 

大地を突き破り、現れたのは、黒き戦棍メイスを携えた、バルバトスの基本形態である第4形態。

 

疲労状態で行動できないフルシティとランドマン・ロディは全てのコアを取り除かれ消滅するものの、その源であるコアは、バルバトス第4形態の新たな力となる。

 

 

「バルバトス第4形態でアタック。その効果で残ったハサウェイを破壊」

 

 

メイスを構え、バルバトス第4形態が動き出す。それと同時に、コントのフィールドに残っていたパイロットブレイヴ、ハサウェイのカードがトラッシュへ送られる。

 

 

「LV3効果でダブルシンボル。ライフを2つ破壊する」

「……ライフで受ける」

 

 

〈ライフ4➡︎2〉光裏コント

 

 

コントの眼前に立ったバルバトス第4形態は、メイスを縦一線に振い、四重に重なったライフバリアの内2つを粉砕。

 

そして、残ったライフバリアも、これから別の鉄華団スピリットが粉砕して見せる事になる。

 

 

「バルバトス第4形態の更なる効果。自分のアタックステップ中、各バトルの終了時、トラッシュから1コストで鉄華団スピリットを召喚できる」

「また、トラッシュから……」

「天地を揺るがせ、未来へ響け。ガンダム・バルバトスルプスレクス、トラッシュからLV3で召喚」

 

 

ー【ガンダム・バルバトスルプスレクス】LV3(5)BP16000

 

 

アタックを終えたバルバトス第4形態は、メイスを下向きで地面に打ち付け、地響きを鳴らすと、大地を砕きながら、鉄華団の頂点にしてバルバトスの最終形態、バルバトスルプスレクスが出現。

 

 

「このルプスレクスも、自身を単体でダブルシンボル化できる効果を持っている」

「ウソをつくな!!」

「ラストアタックだ、ルプスレクス!!」

 

 

バルバトス第4形態に続き、ルプスレクスが走り出す。その効果によりオーカミのデッキが破棄され、それのシンボルが1つ追加。さらにクーデリア&アトラの【神域】でさり気なくドローを行う。

 

 

「バカタレ。このオレが、界放市の自惚れ野郎なんかに……」

 

 

コントがそう呟いた直後、彼の眼前に到着するルプスレクス。そして、その手に持つ、超大型メイスを、彼の残った二重のライフバリアへと縦一線に振るって………

 

 

〈ライフ2➡︎0〉光裏コント

 

 

「う、うぁぁぁぉあ!!!」

 

 

全てのライフバリアを粉砕。コントのBパッドから「ピー……」と言う虚しくも甲高い機械音が流れ出す。

 

これにより、勝者は鉄華オーカミだ。若干手こずりはしたが、無事にノヴァ学園での初バトルを勝利で収めて見せた。

 

 

「良いバトルだったな」

「……」

 

 

バトル後、無言で地面に仰向きで横たわるコントに対し、オーカミはそう告げながら手を差し伸べる。

 

 

「ふざけんな。これで勝った気でいるんじゃねぇぞバカタレが。さっきのはアレだ。偶々だ。運がなかっただけだ」

「そっか」

 

 

そんなオーカミが気に食わなかったのか、立ち上がりながらその手を弾き、反発するコント。自分の負けを認めたくないと言うのがひしひしと伝わって来る。

 

 

「オマエとはアレだ。因縁のライバルって奴だ。また喧嘩買ってやるから、かかって来いよ」

「喧嘩売って来たのオマエだろ」

「んな細けぇ事あどうでもいいだろ。オレはな、バトルが強くてモテる、もしくはモテそうな奴が嫌いなんだよ」

「オレ、そんなモテた記憶ないけど」

 

 

とにかく負け惜しみの多いコント。オーカミがいい加減、彼に飽き飽きしていたその時だ。

 

 

「あ、いた。オーカ!!」

 

 

後方から女の子の声がしたのは。しかもその声は、オーカミがよく知るモノであり………

 

 

「ッ……ライ!?」

「え、ちょっと待って何この超絶眩い子。超超好みなんですけど!!」

 

 

その声の主は、なんと春神ライ。しかも、ノヴァ学園の女子生徒の制服を身に纏っている事から、彼女もまたノヴァ学園に入学した事を瞬時に理解できる。

 

 

「オレ、光裏コント。大事な事なのでもう一度言います。光裏コントです。君1年生?…実はオレもなんだ、これも何かの縁。是非今からオレとこの大都会ゲートシティを見て回って………」

「いや〜〜探したよオーカ。この学園めちゃくちゃ広いからさ」

 

 

ライをナンパしようとするコントだが、ライはそれをガン無視。

 

と言うよりかは、ようやく発見したオーカミに夢中過ぎて、完全にコントの存在が意識外だったと言うべきか。

 

 

「オマエ、なんで。つか歳1つ下だろ」

「飛び級して来たんだよ。ね、ブイ姉」

 

 

ライがそう告げると、さらに後方から『ブイ姉』ことブイが姿を見せる。

 

 

「そうそう。私のBパッドに直接電話して来た時は驚いたけど、まぁライちゃん可愛いしいいかなって」

「ブイ。アンタ、ホントに適当な奴だな」

「いいじゃんいいじゃん、細かい事気にすんなよ。可愛いガールフレンドが同じ学校に登校できるようにしてあげたんだ、寧ろ感謝して欲しいくらいだよ」

 

 

本来、オーカミらと歳が1つ下のライが入学できたのは、ブイによるモノだった。

 

オーカミと片時だって離れたくないライは、高いハッキング能力を活かし、ブイの電話番号を調べ、連絡。ノヴァ学園に通いたいとお願いしたのだ。

 

 

「と言う訳で、これからもアンタと私は一緒って事で」

「おい、くっつくなよ」

 

 

ライがオーカミの腕に手を回しながら、そう告げる。

 

 

「いいじゃん、これからゲートシティ見て回ろ」

「お、じゃあ私も一緒に行かせてもらおうかな。今日の仕事終わったし、多分。もちろん、2人の邪魔にならない程度に」

「ブイ姉も来てくれるの!!…じゃあオススメのお店教えてよ!!」

「ふふ、なら行きつけの喫茶店を教えてせんぜよう」

「なんか知らないうちに溶け込んでるし」

「ほら、行くぞオーカ」

 

 

最終的にはライに引っ張られ、オーカミは渋々2人と共にノヴァ学園を後にする。

 

その場に取り残されたのは、さっきまでオーカミとバトルをしていたコントのみ。彼は、側から見れば両手に花なオーカミの背中を、1人寂しく見届けていて………

 

 

「……な、何が『モテた記憶がない』だ。モテモテじゃねぇかバカタレぇぇぇぇえ!!!」

 

 

寂しさは次第に怒りに変わる。彼の怒号はノヴァ学園の校舎全体に響き渡るのであった。

 

個性豊か、且つ強敵揃いのノヴァ学園。鉄華オーカミの学園生活は、まだ始まったばかり。

 

 





次回、第69ターン「集結、バエルの名の下に」


******


2月11日。王者の鉄華は3周年を迎えました。
読者の皆様、いつも応援ありがとうございます。
これからも頑張りますよ!!
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