バトルスピリッツ 王者の鉄華   作:バナナ 

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第71ターン「デスティニーガンダム・メサイア」

春神ライを賭けて行われた、新城サンドラと甲子園ダホウによるバトルスピリッツ。

 

序列2位と3位の肩書は伊達ではなく、互いに高度な戦術を駆使し、読み合いを続けながら一進一退の攻防を繰り広げた。

 

しかし、その最中、それを妨げるかの如く、機翼羽ばたかせるモビルスピリット、デスティニーガンダムと、使い手たる獅堂レオンが現れて………

 

 

******

 

 

「こんな所で何を遊んでいるんだ貴様ら。キング王の呼び出しだ、さっさとパワーフォースルームに集え」

 

 

左腕に装着したBパッドでデスティニーガンダムを召喚し、サンドラとダホウのバトルを妨げたレオン。それを見るなり、バトルを観戦したオーカミの表情は嫌そうな顔に歪む。

 

 

「ゲッ……獅堂」

 

 

界放市にいた頃からそうだが、オーカミはレオンが苦手。

 

理由は単純で、絡みがウザいからである。

 

 

「ボォォォル!!…おいレオン、どう言うつもりだ。このオレ様の逆転満塁ホームランを邪魔しやがって!!……もうちょっとでライちゃんはオレ様のモノだったんだぞ」

 

 

デスティニーガンダムの乱入により、バトルは強制終了。ライダースピリットのガッチャードをはじめ、召喚されていた全てのスピリット達が粒子化して消滅。

 

その直後に怒りの声を上げたのは、序列3位の甲子園ダホウ。

 

 

「ハッ……貴様ら、女のためにバトルしてたのか、誇り高きパワーフォースが訊いて呆れるぜ」

「ふざけんなボォォォル!!…序列4位のクセに生意気だぞ!!」

「何勘違いしてんだダホウ。オレは甘んじて4位に収まってやってるだけだ。貴様程度ならいつでも蹴落とせる」

「ボォォォル!!……なら今ここで決着をつけるか!!!」

「いいだろう、我が魂を見せてやる!!」

 

 

会話しながらヒートアップして行く2人。レオンは自分が何をしに来たのかも忘れ、ダホウへ向けてBパッドを構えるが………

 

 

「やめないか2人とも。レオン、オマエはオレ達をキングの元へ連れて行くために来たんじゃなかったのか?」

「おっと、そうだった。すまんなサンドラ」

 

 

一触即発だった2人をサンドラが制止させる。

 

それらの会話を聞き、バトルを観戦していたオーカミのクラスメイトの金髪の少年、光裏コントは、レオンの正体に気づく。

 

 

「アイツ、序列4位の獅堂レオン。なんて日だよ、パワーフォースの内3人が集まるなて」

「へぇ、レオンが序列4位だったんだ」

「え、ライちゃんアイツと知り合いなの?」

「そりゃ私とオーカミはね。界放市出身だから」

「あ、そっか。じゃあオーカミはアイツと何度もバトルした仲って事か」

 

 

パワーフォースで序列4位の獅堂レオンが、界放市出身である事実は薄れつつあるのか、コントはライとの会話で、オーカミとレオンの関係性をある程度察する。

 

 

「キングの呼び出しとあれば、このバトルは中止だな。行くぞダホウ」

「ボォォォル!!…オレに指図するなサンドラ。鉄華オーカミ、次はテメェを直接潰す、首を洗って待ってろよ」

「ん、わかった」

「ガッチャじゃないからそう言うのやめろダホウ。すまない鉄華オーカミ、また会おう」

「あぁ。オマエ達とバトルできるの楽しみだ」

「ライちゃァァァん!!……また迎えに来るからねぇぇぇぇえ!!!」

 

 

オーカミにそう言い残し、サンドラとダホウはこの場から去って行く。

 

執拗にライを狙うダホウにイラついていたオーカミだったが、2人のバトルを見て、バトルをするのが楽しみになったか、その表情は比較的晴れやかだった。

 

しかし、その表情は、レオンのせいでまた歪むことになり………

 

 

「フフ……フハハハハ!!!……やはり来たかオーカミよ!!」

「悪いけど、もうすぐ昼休み終わるから帰っていい?」

「よくない。少しオレと話していけ」

 

 

オーカミの眼前まで勢いよく走って来たレオン。オーカミは嫌そうな顔を見せ、すぐさま逃げようとするが、レオンに首根っこを掴まれ、捕えられる。

 

 

「と言うか春神ライ。貴様何故この学園にいる、歳はオーカミよりさらに1つ下だろう」

「んなもん飛び級したに決まってるっしょ。わ、私とオーカミはずっと一緒なんだから」

 

 

オーカミを捕まえたレオンが、ライに訊いた。当然の疑問である。

 

それに対してライは指先をもじもじしながら、凄まじく嬉しそうにそう返答した。オーカミと一緒に居られる喜びを噛み締めているのだろう。

 

 

「フン、成る程な。オレと貴様もずっと一緒だぞ、オーカミ」

「いや、オマエはいいかな」

「フハハハハ!!……いい顔だな、そうやって互いに皺を作りながら戦いのロードを築いていくのだ」

「わかったから離せよ」

「オレはこの学園でキングと出会い、その強さに触れる事で、さらなる力を手に入れた」

「だから離せって」

「今日、オレは挑戦者と一戦交える予定がある。場所はこの第二バトルスタジアムだ。強くなったオレと我が魂を見せてやる、必ず観に来い」

 

 

マシンガントークを終え、言いたい事だけ言い終えると、レオンはオーカミを解放。高笑いしながらこの場から去って行った。

 

 

「2年くらい経ったのに、相変わらずだなアイツ」

「オーカミ、オマエって、やっぱ結構すごい奴だったんだな、あの獅堂レオンと対等に話すなんてよ」

「今のどの辺が対等だったの」

 

 

昔と全く変わっていないレオンに呆れるオーカミ。コントは、そんなオーカミがレオンと対等に話していた様子に感服する。

 

 

「でさオーカ、レオンのバトル、観に行くの?」

 

 

ライがオーカミに訊いた。

 

 

「行かない」

 

 

オーカミはそれを即答。レオンの誘いを断固拒否する。

 

 

「いやいや、流石にそれはバカタレだろ。パワーフォースのバトルは滅多にお目にかかれないんだぞ」

「オレはアイツのバトル死ぬ程見たからいいよ」

「獅堂レオンも強くなったって言ってたろ。絶対連れて行ってやるからな!!」

「えぇ……」

 

 

断固拒否はしたものの、結局コントの強引な誘いにより、放課後に行われるレオンのバトルを見学する羽目になった。

 

 

 

******

 

 

パワーフォース。

 

それは、ノヴァ学園の序列1位から4位のトップ4で構成されたカードバトラー集団。1人1人が教師よりも強い権限を有しており、この学園を支配、管理している。

 

リーダーに君臨するのは、学園最強のカードバトラー、その名の通り王の中の王、キング王。

 

彼は今、学園内にあるとある一室で『玉座』とも称する事ができる、豪華絢爛な座椅子に腰を下ろしている。そのすぐそばには、それに支えるかのように、序列2位の新城サンドラと、序列3位の甲子園ダホウが立ち尽くしている。

 

そして、最後の1人である序列4位、獅堂レオンが、部屋のドアを豪快に開け、入室。ここに、パワーフォースの4人が集結した。

 

 

「フ……待たせたなキング」

「ボォォォル!!…何が待たせたなだ、バトルを止めた挙句遅刻しやがって」

「貴様には言ってないぞアホウ」

「オレはダホウだボォォォル!!」

「よさないか2人とも、キングの前だぞ」

 

 

言い争うレオンとダホウ。それを止めるサンドラ。無言でそれを見守るキング。

 

これがパワーフォースの4人のいつもの日常。その強さと権限の高さ故に、周囲の生徒らから尊敬されつつも、恐怖も抱かれている彼らであるが、こうした年相応の少年らしい面も持ち合わせている。

 

 

「ようやく、4人揃ったな。早速始めよう」

 

 

しかし、その和んだ雰囲気はキングの一言で一蹴。

 

皆真剣な眼差しを彼へと向ける。

 

 

「今日、オマエ達を呼び出したのは他でもない、この学園のコントラクターを探し、その力を確認して欲しい」

「コントラクター、貴様やサンドラのような、契約スピリットに選ばれたカードバトラーの事だったか」

「あぁ、その通りだ」

 

 

キングが他のパワーフォースに頼んだのは、コントラクターの捜索と、その実力の確認。

 

コントラクターとは、契約スピリットと契約したカードバトラーの総称である。

 

 

「確かに、契約スピリットに選ばれるカードバトラーは強者が多い。それ故にこの学園はコントラクターが集いやすいが、その力を確認して何になる」

 

 

サンドラがキングに訊いた。彼の言う通り、実力を確認するだけでは全く意味のない行いに思える。

 

 

「この学園に潜む脅威を見つけるためだ」

「脅威?……ボールボルボルボル、オレらパワーフォースがいるこの学園に脅威だと?…キングも冗談とか言うんだな」

 

 

キングのその返答に、ダホウが高笑いする。

 

去年、キングを始め、他のパワーフォースらの実力を嫌と言う程思い知った彼は、自分らを脅かす存在などいないと言う確固たる自信を持っているのだ。

 

 

「侮るなダホウ。奴は王者(レクス)、しかもその最上位たる力を持っている可能性が高い」

「最上位の王者?」

「あぁ、私が予想した通りの力を持っていれば、この学園で奴に対抗できるのは私だけだ」

 

 

王者(レクス)

 

バトルの未来が見え、使用者を必ず勝利へと導く天下無双の力。鉄華オーカミとDr.Aの孫娘、徳川フウがその力を使いぶつかり合った事件はまだ記憶にも比較的新しい事だろう。

 

 

「対抗できるのは君だけ。成る程、それはなかなかガッチャな話だな。少しオレも楽しみになって来たぞ」

 

 

キングの言葉を聞き、彼に次ぐ実力を持つ序列2位、サンドラが、涼しい表情を見せながらも、密かに対抗心を燃やす。

 

 

「コントラクターで王者の力を持つカードバトラー……」

 

 

レオンはそう呟くと、たった1人、該当者たる人物が思い浮かぶ。

 

その名は春神ライ。契約モビルスピリット、エアリアルを所有し、王者の力を使いこなせる少女だ。

 

 

「どうしたレオン」

「いや、何でもない。ちょうどいい、今日オレにバトルを挑んで来る奴も、コントラクターだ。軽く捻って来るついでに、王者を持っているか確認して来てやる」

「気をつけろよ」

「誰にモノを言っている」

 

 

そう告げると、レオンは1人、パワーフォースルームを出て行く。

 

ライの事は話さなかったが、それでいい。何せ彼女がこの学園の脅威なわけがないのだから。

 

 

 

必ずこの学園のコントラクターの中にいる。

 

炙り出してやるぞ、月王者(ルナレクス)を持つ者よ。

 

 

 

レオンがパワーフォースルームから去った直後、キングが内心でそう呟いた。彼もまた、何かを隠している様子。

 

 

 

******

 

 

 

あれからまた少しだけ時間が経ち、放課後となったノヴァ学園。

 

ここ、第二バトルスタジアムは多くの生徒らで大いに賑わっていた。

 

理由は明確。パワーフォースの1人、序列4位の獅堂レオンと挑戦者によるバトルスピリッツが幕を開けるからだ。

 

 

「オーカ、もうすぐレオンのバトル始まるよ」

「別にどうでもいいよ。そんな事より何か食べるのない?」

「おにぎりでいい?」

「いる」

「どこでもイチャつくよなオマエら」

 

 

レオンのバトルを観に来たオーカミ、ライ、コントの3人。食べ盛りのオーカミに、ライがラッピングされたおにぎりを2つ手渡す。

 

その光景を、レオンはバトル場から確認して………

 

 

「フ……やはり来たかオーカミよ。しかと見届けるがいい、進化を果たした、オレのバトルスピリッツを」

「挑戦者を前によそ見とは随分余裕ですね、流石パワーフォース」

「む」

 

 

そんなレオンに挑発的な態度を取るのは、対面側にいる、黒いポニーテールが特徴的な少女。

 

どうやら彼女が、今回の挑戦者であるようだ。

 

 

「貴様がオレの挑戦者か。名を名乗れ」

「え、ボクの事知らないんですか?……まぁいいや、ボクは1年の『桜田メイ』……今日から貴方に変わってパワーフォースを名乗る者です」

 

 

少女、桜田メイの名前と発言にどよめく会場。

 

それに対して、レオンは鼻で笑い………

 

 

「フ……面白い。挑戦者なら、それくらいの事を軽々と言える度胸がある奴じゃないとな」

「お褒めに預かり光栄でございます。因みに、このバトルはボクのBチューブチャンネルに投稿する予定ですので、予めご了承ください」

 

 

そう告げると、メイは己の腕に装着したBパッドの画面をタッチ。動画の撮影を開始した。

 

『Bチューブ』とは、世界的な動画配信サイトの事であり、そこで活動する人々は主に『Bチューバー』と呼ばれ、一部の人物はインフルエンサー級の人気を誇っている。

 

実は桜田メイもその1人であり………

 

 

「あ、やっぱそうじゃん。あの子超人気Bチューバーのメイちゃんだよ。後でサインもらお」

「誰、ビーチャーバーって」

「Bチューバー。オーカそんな事も知らないの?」

 

 

メイの正体に気づくライ。対してオーカミはそもそも『Bチューバー』と言う言葉さえ知らなかった様子。

 

 

「『メイちゃんねる』の桜田メイちゃん!!!……登録者数は軽く1000万人は超える超人気インフルエンサー!!…常識だぞオーカミ」

「インフルエンサーって……病気なの?」

「それはインフルエンザだバカタレ!!……超人気者って事」

 

 

コントは如何に桜田メイが凄いのかを、鼻息を荒くしながらオーカミに熱弁する。

 

 

「つーか初めて生でメイちゃん見たけど、やっぱマジ可愛い!!……お近づきになりたァァァァい!!」

「コント、メイちゃんを見たいがためにオーカを無理矢理連れて来たな」

「鋭いな、流石ライちゃん」

「じゃあ1人で行けよ」

「みんなで見たいじゃんかよ。オマエが来ればライちゃんも来るし」

 

 

よく見るとファンらしき生徒らがBパッドを使って撮影してるし、下手すればレオンよりも多くの声援を受けている気がしないでもない。

 

その点からオーカミはなんとなくだが、彼女の人気の凄さを理解する。

 

 

「ファンのみんなも期待してるみたいだし、そろそろ始めましょう、獅堂先輩」

「よかろう。我が魂のロードを刻んでやる」

「イミフすぎでしょ」

 

 

直後、2人は装着したBパッドを展開し、己のデッキをそこへ装填。バトルの準備を終える。

 

そして………

 

 

……ゲートオープン、界放!!

 

 

コールと共に始まる2人のバトルスピリッツ。

 

メイに対する黄色い声援が多く聞こえてくる中、先攻は獅堂レオンだ。眼前の挑戦者を穿つべく、好敵手に今の己の実力を見せつけるべく、そのターンを進めて行く。

 

 

[ターン01]獅堂レオン

 

 

「メインステップ、ネクサス、ミーア・キャンベルを配置」

 

 

ー【ミーア・キャンベル】LV1

 

 

レオンの初動はネクサスカード。フィールドや背後には何も出現しないが、彼に白シンボル1つを植え込む。

 

 

「ターンエンド」

手札:4

場:【ミーア・キャンベル】LV1

バースト:【無】

 

 

パワーフォースの一員、序列4位のレオンと言っても、先攻の第1ターン目でやれる事は限られる。ネクサスの配置のみでそのターンをエンドとした。

 

次は大注目を浴びているメイのターン。スタジアムにいるファンのため、動画の撮り高のため、己のターンを進めて行く。

 

 

[ターン02]桜田メイ

 

 

「メイのメインステップ。相手はパワーフォースだからね、出し惜しみは無しだ。早速華麗なるボクの相棒を見てもらうとしよう」

 

 

そう言いながら可愛げにウィンクすると、手札にある1枚のカードをBパッドへと叩きつける。

 

 

「契約ライダースピリット、仮面ライダーギーツ マグナムブーストフォームをLV2で召喚」

 

 

ー【仮面ライダーギーツ マグナムブーストフォーム[2]】LV2(2S)BP4000

 

 

メイのフィールドへと降り立ったのは、白い装甲に狐を思わせる仮面を装着した白属性のライダースピリット、ギーツ。

 

サンドラのガッチャードと同様、契約ライダースピリットだ。

 

 

「成る程白か。より負けられなくなったな」

「ギーツをただの白属性だと思ったら痛み目見ますよ。バーストをセットしてアタックステップ、ギーツでアタック」

 

 

契約スピリットデッキらしく、開幕から契約スピリットでアタックを仕掛けるメイ。その時、ギーツの効果が発揮される。

 

 

「アタック時効果。カウント+2。ボクのフィールドに『DGP(デザイアグランプリ)』がない時、デッキ上8枚オープンして『DGP』をノーコスト配置する」

 

 

一気に8枚ものカードがデッキ上からオープン。その中には、狙いの『DGP』のカードが確認できて………

 

 

「『DGP』発見。よってコレを開幕。さらにオープンされたマジックカード『仮面の魂』を手札に加え、残りはデッキ下に置く」

 

 

ー【DGP】LV1

 

 

メイの背後に出現したのは、名前の通りDGPと書かれた黄金のロゴ。その上には、先端が7つある黄金の冠が浮かび上がる。

 

 

「8枚もオープンしておいて、やった事がネクサスの配置のみだと」

「まぁ一見弱く見えるよね。でも、ボクのチャンネルを登録している人ならこう思ってるよ。ボク、桜田メイの勝ちだってね」

「なに」

 

 

アタックは続く。ギーツは手持ちのマグナムから華麗に弾丸を放つ。

 

それは瞬く間にレオンのライフバリアへ直撃し、粉砕する。

 

かに見えた。

 

 

「?」

 

 

不思議な事に弾丸は、レオンのライフバリアを目前にして珍妙な軌道を描き、逸れる。

 

だが決して外したわけではない。弾丸はメイの背後にあるDGPに命中。その上にある黄金の冠の7つの先端の内1つが点灯した。

 

 

「契約ギーツの効果。仮面と遊精を持つスピリットが相手のライフを減らす時、代わりにボイドからコア1つをDGPに置く」

「オレのライフを減らさないコンボに、何の意味がある」

「大有りさ。DGPは相手の効果を受けず、契約ギーツ以外の効果でコアを置けない。コアが1、2、3、4になった時、1枚ドロー」

 

 

メイは『DGP』の効果を発揮させて1ドローを行いつつ、その効果の説明を続ける。

 

 

「コアが3、4、5になった時、相手スピリット1体を破壊。コアが4、6になった時、スピリットに2個コアブースト。最後にコアが7個になった時、ボクはこのゲームに勝利する」

「なに、エクストラウィン効果だと!?」

 

 

これまでパワーフォースとして、多くのバトルをノヴァ学園で経験して来たレオンだが、そのあまりにも奇想天外な効果に驚きを隠せなかった。

 

しかし、そうなるのも無理はない。バトルスピリッツとは、基本的にライフ5つを破壊するゲーム。その勝利条件を塗り替える特殊勝利、通称エクストラウィン戦法は、本当に稀有な存在なのだ。

 

 

「そう、ボクのデッキの主な戦術はエクストラウィン。しかも見ての通り、この勝ち方はライフを減らさないから、相手に無駄なコアを一切与えない」

「……」

「ボクはこれでターンエンド。さぁ先輩のターンです、攻略できるモノなら、してみてくださいよ」

手札:4

場:【仮面ライダーギーツ マグナムブーストフォーム[2]】LV2

【DGP】LV1(1)

バースト:【有】

カウント:【2】

 

 

己のデッキの特徴を見せつけ、そのターンをエンドとするメイ。

 

バトルは1周回ってレオンのターン。彼はDGPによるエクストラウィンをどう攻略して行くのか………

 

 

[ターン03]獅堂レオン

 

 

「メインステップ。攻略だと?……そんな事する必要はない、貴様のライフを先に0にすればいいだけの話だからな」

 

 

そう告げると、レオンは1枚のカードを己のBパッドへと叩きつける。

 

 

「ネクサス、要塞都市ナウマンシティーを配置」

 

 

ー【要塞都市ナウマンシティー】LV1

 

 

轟く重機の轟音。レオンの背後に、要塞都市ナウマンシティーが配置される。

 

コスト5と比較的重たいネクサスカードだが、その分効果は強力であり………

 

 

「コイツの配置時効果で、手札にある白スピリット1体をノーコスト召喚する」

「白スピリット……まさか!?」

「フ……勘が鋭いな。そう、オレが呼び出すのは、運命をも覆す、我が魂!!……デスティニーガンダム!!」

 

 

ー【デスティニーガンダム】LV1(1)BP10000

 

 

「ウソ。たったの3ターンで、9コストのデスティニーガンダムを召喚!?」

 

 

光の翼を持つ、超大型のモビルスピリットにして、レオンの魂、デスティニーガンダムが、僅か3ターン目にして腕を組み、彼のフィールドへと降り立つ。

 

 

「とくと味わうがいい、我が魂をな。アタックステップ、出撃せよ、デスティニー。その効果で契約ギーツを破壊し、そのシンボル分貴様のライフをボイドに置く」

「くっ……」

 

 

〈ライフ5➡︎4〉桜田メイ

 

 

背部にマウントした大型のビームランチャーを取り出し、そここら極太のレーザー光線を照射するデスティニーガンダム。

 

その直線上にあった契約ギーツとメイのライフバリア1つは、呑み込まれて共に爆散。契約ギーツは魂状態と言う半透明な状態で生き残る。

 

 

「ライフのコアをボイドに置かれるのはキツイな」

「小言をほざく余裕があるなら、この一撃をどうにかしてみるんだな」

 

 

アタック時効果の処理後、デスティニーガンダムが腰部から取り出した短剣を、メイのライフバリアへと向けて投げつける。

 

 

「どうにもしませんよ。そのアタックはライフで受けます」

 

 

〈ライフ4➡︎3〉桜田メイ

 

 

その攻撃を甘んじて受けるメイ。短剣が彼女のライフバリアへと突き刺さり、また1つ破壊した。

 

だがその攻撃は、彼女の伏せたバーストカードを光らせる。

 

 

「ライフ減少によりバースト発動、クリアウォール。ライフ1つを回復して、カウントを+2」

 

 

〈ライフ3➡︎4〉桜田メイ

 

 

勢いよく反転させたバーストカードは、白マジック『クリアウォール』……

 

その効果により失ったライフ1つを回復させ、カウントを4まで増加させた。

 

 

「ターンエンド」

手札:3

場:【デスティニーガンダム】LV1

【ミーア・キャンベル】LV1

【要塞都市ナウマンシティー】LV1

バースト:【無】

 

 

デスティニーガンダムの早期召喚により奇襲を仕掛けたレオン。圧倒的なパワー、力強さを見せつけてそのターンをエンドとする。

 

 

「戦術から思考まで、思ってた100倍脳筋だなこの人。でもまぁ、その方が動画映えはするか」

 

 

次は、レオンの脳筋さに気づいたメイの二度目のターン。

 

 

[ターン04]桜田メイ

 

 

「メイのメインステップ。手札のギーツ コマンドフォームの【契約煌臨】を発揮。魂状態のギーツを煌臨元にし、フィールドに煌臨!!」

 

 

ー【仮面ライダーギーツ コマンドフォーム ジェットモード】LV1(1)BP6000

 

 

魂状態となった契約ギーツは、光を纏い、新たな姿、肩部から伸びた機翼を持つコマンドフォームとなってフィールドに再度降臨。

 

 

「召喚煌臨時効果。デッキ上から3枚オープン、その中の対象カードを1枚手札に加えて、残りを破棄する。私はタイクーン ニンジャフォームを手札に加えて、コレを即召喚する」

 

 

ー【仮面ライダータイクーン ニンジャフォーム】LV1(1)BP2000

 

 

「召喚時効果によりカウント+1、1つコアブースト。さらにDGPがあれば、追加でもう1つブースト」

 

 

ギーツ コマンドフォームに次いで呼び出されたのは、緑色の装甲と、忍者を思わせる2本のクナイを装備したライダースピリット、タイクーン。

 

その効果でカウントを1つ、コアを2つブーストする。

 

 

「増えたコアを使い、今度はナーゴ ビートフォームを召喚。にゃん☆」

 

 

ー【仮面ライダーナーゴ ビートフォーム】LV1(1)BP3000

 

 

「召喚時効果でカウント+1、デッキ上から3枚オープン、対象カード『ギーツⅨ』のカードを手札に加えて、残りは破棄」

 

 

3体目となるライダースピリットはナーゴ。猫を思わせる仮面に、ギターを持つミュージシャン。

 

 

「さぁお待ちかねのアタックステップだ。ギーツ コマンドフォームでアタック。そのアタック時効果でカウント+1、1つコアブースト」

 

 

合計3体のスピリットを並べ、アタックステップへと突入するメイ。手始めにギーツ コマンドフォームにアタックの指示を送る。

 

 

「さらに契約煌臨元となっている契約ギーツの効果を発揮。カウント+2、デスティニーガンダムを手札へ戻す」

「愚かだな。【VPS装甲:コスト7以下】により、その効果はデスティニーには効かん」

 

 

肩の機翼で飛翔するギーツ コマンドフォーム。青いエネルギーを纏った剣をデスティニーガンダムの胸部へと突き刺そうとするが、デスティニーガンダムの頑強な装甲は、それを通さない。

 

 

「それくらい知ってますよ。でも効果は効かないけど、今のデスティニーガンダムは疲労状態でバトルに参加できない上に、LVも1だから、ネクサスを疲労させて回復する効果も使えない」

「……」

「つまり今は、絶好の攻め時って事ですよね」

 

 

ギーツ コマンドフォームは、標的をデスティニーガンダムからレオンのライフバリアへと変更。マグナムの銃口を向け、弾丸を放つ。

 

 

「アタックはライフで受ける」

「この瞬間、ライフを減らす代わりに、DGPにコア1つを置く」

 

 

またしても弾丸は軌道を曲げ、メイの背後にあるDGPの冠に直撃。その7つの先端の2つ目が点灯する。

 

 

「2個目、カードをドロー。続け、タイクーン」

「それもライフだ」

「また減らす代わりにDGPにコアを追加」

 

 

タイクーンはクナイで直接DGPの冠を叩く。それにより、3つ目の先端が点灯。

 

 

「3個目、カードをドローして、相手スピリット1体を破壊」

「喧しい。デスティニーには効かぬわ」

 

 

DGPに3個目のコアが乗った事で、破壊の願いが受理。レオンのフィールドで片膝をつくデスティニーガンダムは、白い光に包み込まれながら爆発するが、頑強なる装甲により、破壊の運命を乗り越える。

 

 

「最後、ナーゴでアタック」

「ライフで受ける」

「減らす代わりに、DGPに4個目のコアを追加」

 

 

ナーゴはギターを奏で、その音波でDGPの7つの先端の4つ目を点灯させる。

 

 

「カードをドロー、デスティニーガンダムを破壊、コア2つをナーゴにブースト。LV2にアップ」

 

 

4個目は最も効果が重複するタイミングだ。デスティニーガンダムはまた破壊を乗り越えて生き残るが、レオンはメイにドローやコアブーストなど、多くのアドバンテージの確保を許してしまう。

 

 

「ふふ、これで後3回アタックが通れば、DGPの効果で私のエクストラウィンですね。ターンエンド」

手札:8

場:【仮面ライダーギーツ コマンドフォーム ジェットモード】LV1

【仮面ライダータイクーン】LV1

【仮面ライダーナーゴ】LV2

【DGP】LV1(4)

バースト:【無】

カウント:【9】

 

 

ライフを減らさない事で、相手にコアを与えず、さらにドローとコアブーストを大量に行いつつ、エクストラウィンに近づくメイ。

 

デスティニーガンダムを従えているとは言え、レオンにとって、この状況は厳しいと言わざるを得ないモノである。

 

しかし、自信家且つ脳筋な彼は、ただ己の魂を信じて前に突き進んで行くのみ………

 

 

[ターン05]獅堂レオン

 

 

「メインステップ、母艦ネクサス、ミネルバを配置」

 

 

ー【ミネルバ】LV1

 

 

レオンの背後に出現するのは、白銀の母艦ネクサス、ミネルバ。その最も有力な効果は、配置時効果である。

 

 

「配置時効果。デッキ上を3枚オープンし、対象カードを手札に加える。この時、ミーアの効果でオープン枚数を1枚増やす」

 

 

つまりは4枚だ。レオンは4枚のカードをオープンし、その中の対象カード1枚を手札に加える事ができる。

 

 

「コアスプレンダーを手札へ。さらにミーアの効果、オープンされたギルバート・デュランダルも手札へ、シン・アスカは自身の効果で手札へ」

「ッ……一気に3枚も手札に」

「今手札に加えた、創界神ギルバートを配置」

 

 

ー【ギルバート・デュランダル】LV1

 

 

「配置時の神託により、コア+1」

 

 

それぞれ別々の効果で合計3枚の手札を増やしたレオン。創界神ネクサスも配置し、反撃に転ずる。

 

 

「デスティニーとミーアのLVを2に上げ、アタックステップ。ミーアのLV2の効果が発揮、互いのアタックステップ中、全ザフトスピリットのBPを3000アップし、疲労状態でのブロックを可能にする」

「疲労ブロック効果!?……デスティニーで何度もブロックして、DGPにコアを置かせない作戦か」

 

 

ミーアのLV2効果により、デスティニーガンダムのBPは18000まで上昇。しかも生き残っている限り、無限回ブロックできる疲労ブロック効果も獲得。

 

メイのライダースピリットは効果こそ優秀だが、BPが低め。このままの状況だと、デスティニーガンダムに守られ続け、DGPにはもうコアは置けなくなるだろう。

 

 

「作戦もクソもない。デスティニーで押し切るのが、オレのデッキだ。アタック時効果でナーゴを破壊し、貴様のライフ1つをボイドへ」

 

 

〈ライフ4➡︎3〉桜田メイ

 

 

デスティニーガンダムのビームランチャーから放たれる極太のレーザー光線により、今度はナーゴと共にメイのライフバリア1つを粉砕する。

 

 

「ナーゴは、相手によってフィールドを離れる時にも召喚時効果を使える。カウント+1、3枚オープンし、2枚目のタイクーン ニンジャフォームを手札に」

「だが、デスティニーのアタックは止まらんぞ」

「いや、止める。フラッシュマジック、仮面の魂」

「!」

「効果により、このターン、ボクのライフは1つしか減らされない。デスティニーのアタックはライフで受ける」

 

 

〈ライフ3➡︎2〉桜田メイ

 

 

デスティニーガンダムが大剣でメイのライフバリアを一刀両断して行くが、発揮されたライダースピリット専用のマジックカード『仮面の魂』によって、このターンはそれ以上破壊できない状況となる。

 

 

「フ……小癪だな。ターンエンド」

手札:3

場:【デスティニーガンダム】LV2

【ギルバート・デュランダル】LV1(1)

【ミーア・キャンベル】LV2

【ミネルバ】LV1

【要塞都市ナウマンシティー】LV1

バースト:【無】

 

 

デスティニーを回復させ、メイのスピリットだけを殲滅する事が可能であったものの、敢えてそれをせず、そのターンをエンドとするレオン。

 

次は再びメイのターンだ。

 

 

[ターン06]桜田メイ

 

 

「メイのメインステップ。2枚目のタイクーンを召喚」

 

 

ー【仮面ライダータイクーン ニンジャフォーム】LV1(1)BP2000

 

 

「召喚時効果でカウント+1、コア1つブースト、DGPがあるので、もう1つ」

 

 

2体目となるタイクーン。その召喚時効果で、メイはカウントとコアを増加させる。

 

 

「さ、決めますよ」

「……」

 

 

空気感が鋭く重くなるのを感じるレオン。こう言う時にだいたい出て来るのは、敵のエーススピリットである事を、彼は知っている。

 

 

「【契約煌臨】を発揮。ギーツ コマンドフォームを、世界を創り変える、創成の力、ギーツⅨに煌臨!!」

 

 

ー【仮面ライダーギーツⅨ】LV1(2)BP18000

 

 

ギーツは青白い炎をその身に纏い、再び新たな姿へと昇華。

 

その炎を振り払って現れたのは、純白の装甲に、九尾の尾を思わせる九つに別れたマントを翻す、ギーツ最強のライダースピリット、ギーツⅨ。

 

 

「そいつが貴様のエースか」

「ふふ、カッコいいでしょ」

「オレのデスティニー程ではないな」

「そのデスティニーはもうすぐ消えますけどね。アタックステップ、ギーツⅨでアタック。その効果でデスティニーをデッキ下へ」

 

 

ギーツⅨを従え、アタックステップへと突入するメイ。ギーツⅨは手に持つ剣の刀身に、神秘的な青白いエネルギーを溜め、一線。VPS装甲を持つデスティニーガンダムを斬り裂き、粒子化させ、この場から消滅させる。

 

 

「これでデスティニーガンダムは消えた。もう貴方にブロックできるスピリットはいません」

 

 

ようやくデスティニーガンダムを倒し、勝利を確信するメイ。だがレオンは、手札から1枚のカードを引き抜き………

 

 

「オレも白デッキだと言う事を忘れてもらっては困るな。フラッシュマジック、サイレントウォールLT」

「!」

「効果により、このバトルの終了が、貴様のアタックステップの終了となる。そのアタックはライフで受けるぞ」

 

 

レオンが使用したのはアタックステップを終了させるマジックカード『サイレントウォールLT』………

 

それにより、メイは今行っているギーツⅨのアタックのみでアタックステップを終了しなくては行けなくなってしまう。

 

フィールドでは、ギーツⅨは剣を銃に変形させ、そこから放った弾丸をDGPへと命中。その先端の5つ目が点灯。

 

 

「……ギーツⅨのアタック時効果。ターンに1回、バトル終了時、相手ライフ1つを破壊し、ボクのデッキを上から9枚破棄して回復する」

「成る程、それでまた1つDGPにコアが増えるか」

 

 

二発目のギーツⅨの弾丸。それもDGPへと名中し、6つ目の先端が点灯。エクストラウィンへのリーチとなる。

 

 

「6つ目が置かれたことにより、コア2個をブースト。ターンエンド」

手札:7

場:【仮面ライダーギーツⅨ】LV1

【仮面ライダータイクーン ニンジャフォーム】LV2

【仮面ライダータイクーン ニンジャフォーム】LV1

【DGP】LV1(6)

バースト:【無】

カウント:【13】

 

 

ギーツⅨにより、王手を掛けるも、サイレントウォールLTにより今一歩届かず、そのターンをエンドとするメイ。

 

しかし、その目はまだ諦めてはいない。

 

 

 

落ち着け。この展開は予想していなかったわけじゃない。ボクの手札にはサイレントウォールLTのように、アタックステップを終了させるアルテミックシールドがある。

 

2体目のデスティニーガンダムを出されても、これで凌いで、返しのターン、2枚目のギーツⅨで、今度こそ終わりだ。

 

 

 

メイの手札の中にあるのは『アルテミックシールド』と、2枚目となる『仮面ライダーギーツⅨ』………

 

確かにコレだけあれば、次の相手ターンを凌ぎつつ、返しのターンで必ずエクストラウィンできる。

 

ただし、それは普通の相手に限るが………

 

 

[ターン07]獅堂レオン

 

 

「メインステップ。ミーアのLVを1に下げ、パイロットブレイヴ、シン・アスカを召喚する」

 

 

ー【シン・アスカ[C.E.73]】LV1(0)BP1000

 

 

レオンはメインステップ開始早々にパイロットブレイヴを召喚。

 

合体先となるモビルスピリットがいないため、今はフィールドに置かれているだけのただのカードだ。

 

 

「感謝するぞ、桜田メイ」

「!」

「貴様が取るに足らん弱者であったら、このカードをアイツに見せる事ができなかったからな」

 

 

レオンの言う「アイツ」とは、おそらく鉄華オーカミの事だろう。

 

メイはその言葉の意味を完全には理解していなかったが、彼が今からこの戦況を覆す何かを召喚しようとしている事だけは、察しがついて……

 

 

「行くぞ」

「来るか」

 

 

メイが身構え、レオンが新たなカードをBパッドへと叩きつける。

 

そのカードは、レオンと共に運命を共にする我が魂、それの未来。

 

 

「絶望の運命をも救済する、我が魂!!……デスティニーガンダム・メサイア!!……LV2で召喚!!」

 

 

ー【デスティニーガンダム[メサイア攻防戦]】LV2(2)BP15000

 

 

「新たなデスティニーガンダムだって!?」

 

 

天空に蔓延る曇天。雷鳴唸るそこより現れたのは、新たなるデスティニーガンダム。名をデスティニーガンダム・メサイア。

 

その外見は通常のデスティニーガンダムと比べて対した変化はないものの、それとはまた違った強者のオーラを醸し出している。

 

 

「これが、これこそ、我が魂の新たなる境地!!……シン・アスカと合体し、アタックステップ。出撃せよ、我が魂!!」

 

 

ー【デスティニーガンダム[メサイア攻防戦]】+シン・アスカ[C.E.73]】LV2(2)BP20000

 

 

「シンの【合体中】効果により、デッキ上1枚、ミーアの効果で+1枚、計2枚をオープン。その中のコアスプレンダーを手札へ加え、残りはデッキ下に戻す」

 

 

レオンはギリギリのコア配分でLV2を維持したまま、デスティニーガンダム・メサイアでアタックを仕掛ける。

 

当然ながら、それにはこのタイミングで発揮できる、強力な効果があり………

 

 

「デスティニーガンダム・メサイアのアタック時効果。最もコストの高い相手スピリット1体を破壊」

「!」

「貴様のギーツⅨを粉砕!!」

 

 

機翼で飛翔し、ギーツⅨの眼前まで接近したデスティニーガンダムが、それの頭部を鷲掴み。密着させた掌から零距離で電撃を放ち、爆散へと追い込む。

 

 

「この時、白シンボル1つを追加する」

「シンボル追加効果まで……なんて破壊力。でもそんなの、ブロックして……」

 

 

 

このアルテミックシールドを発揮させれば………

 

 

 

そう内心で思い、メイはフラッシュタイミングで手札から「アルテミックシールド」のカードを、己のBパッドへ叩きつけようとした。

 

 

「温いぞ!!……デスティニーガンダム・メサイアのアタック時効果はまだ続く」

「!」

 

 

しかしその直後、それを妨げるように、レオンの声が轟く。

 

 

「この効果発揮後、ザフトスピリット、ネクサス、創界神ネクサスを疲労させる事で、もう一度同じ効果を発揮する」

「なんだって!?」

「ミーアを疲労させ、もう一度アタック時効果を発揮。タイクーンを1体破壊し、白シンボルを追加!!」

 

 

ザフトのカードの数だけ脅威的なアタック時効果を発揮できるデスティニーガンダム・メサイア。

 

次はタイクーンへと狙いを定め、掌からビーム光線を発射。それを撃ち抜き、爆散させる。

 

そして、最後の1体も……

 

 

「ギルバートを疲労させ、三度目のアタック時効果を発揮。残ったタイクーンを破壊し、我が魂はクインテットシンボルとなる!!」

 

 

最後に残ったタイクーンも、頭部を鷲掴みにし、大地へと叩きつけて爆散へと追い込む。その後、デスティニーガンダム・メサイアは合計で3体のスピリットを破壊した事により、3つのシンボルが追加。

 

一撃で5点ものライフバリアを葬り去る、クインテットシンボルと化す。

 

 

「ボクの全てのスピリットを破壊しつつ、その数だけシンボルを追加だなんて、馬鹿げてる」

「そうだ馬鹿げている。だが、それこそがデスティニーガンダム、それこそが我が魂!!……最後のライフを破壊せよ!!」

 

 

デスティニーガンダム・メサイアは、レオンの叫びに応えるように、メイの眼前へと迫り、そのライフバリアを片手で抑え込むと、今一度、零距離で掌から電撃を放つ。

 

 

〈ライフ2➡︎0〉桜田メイ

 

 

「うぁぁぁあ!!!」

 

 

それにより、メイの残った2つのライフバリアは、木っ端微塵に粉砕。彼女のBパッドからは、敗北を告げるように、無機質な機械音が鳴り響く。

 

 

「見たか、これがオレの新たな魂!!」

 

 

故に、勝者は獅堂レオン。序列4位、パワーフォースとして、脅威的な実力と、圧倒的なパワーバトルで勝利して見せた。

 

バトル終了に伴い、役目を終えたデスティニーガンダム・メサイアや、ネクサスらがゆっくりと消滅して行く。その間に、観客として来ていた生徒らは、2人のバトルを讃えて拍手喝采。

 

 

「ちぇ、動画はお蔵入りかな……いや待てよ、結果負けたけど、パワーフォースとバトルした事には変わりないから、この動画を上げれば」

 

 

バトルに負けた直後だと言うのに、メイが考える事はBチューブの撮り高のみ。近日中にこのバトルは彼女のチャンネルにアップされそうだ。

 

 

「なかなか、面白いバトルだった。またやろう」

「獅堂先輩。はい、ありがとうございました」

 

 

レオンから握手を求め、メイがそれに応える。

 

 

「ふふ、それにしても、パワーフォースの人達って、噂通り変な人が多いんですね」

「フ……甲子園ダホウの事か」

「いや、貴方の話なんですけど」

 

 

己も変と言う自覚がないレオン。メイの言葉で指している人物を、すぐさまダホウの事だと認識する。

 

因みにパワーフォースの中でも『獅堂レオン』と『甲子園ダホウ』はとにかく変人で有名。

 

 

「オーカミよ見たか、オレの新たなる戦術、新たなる我が魂!!……いつか貴様とは、もっと相応しい舞台で決着を……アレ」

 

 

 

ど、どこにもいないだと!?

 

 

 

バトルが始まる前には観客席にいたオーカミ。レオンは、そんな彼が、知らぬ間に忽然と姿を消していた事を知る。

 

 

「あの〜すみません。オーカミの奴、ライちゃんと一緒にどっか行ったっぽくて……」

「なんだと!?」

 

 

手摺から身を乗り出し、レオンにそう告げるのは、光裏コント。

 

 

「鉄華オーカミか。そう言えば4ターン目には消えてたな」

「ぬぅ……!!」

 

 

オーカミまで認識していた、視野の広いメイ。これらの話を照合すると、どうやらオーカミは、バトルの4ターン目までには、コントの目を盗み、ライと共にこっそりこの場から離れて行った様子。

 

 

「オレのバトルから目を逸らすとは……オォォォカミィィィィィィイ!!!!」

 

 

第二バトルスタジアムには、オーカミに対する、レオンの怒号が鳴り響いた。

 

今更ではあるが、彼と出会った当初と比べ、レオンはだいぶコミカルになった印象を受ける。

 

 

 

******

 

 

一方オーカミは、学園の外、ゲートシティにある大きなデパートにて、ライの買い物を付き合っていた。と言うより、付き合わされていた。

 

 

「ねぇオーカ、勝手に抜け出してよかったの?…レオン怒るんじゃない?」

「いいだろ怒らせとけば」

「ドライだな〜」

 

 

彼が怒っていても知った事ではないと言った旨の発言をするオーカミ。相変わらずレオンに対しては凄まじくドライだ。

 

 

「てかライ。なんか買い物多くない?」

 

 

オーカミがライに訊いた。その手で押しているショッピングカートには、米をはじめとした食品系が大量に詰め込まれている。

 

 

「オーカがいっぱい食べるからでしょ。ふふ、これから3日に1回は付き合ってもらうんだから!!」

「えぇ……」

 

 

合法的な理由で、オーカミと買い物デートできるからか、ウッキウキなライ。

 

その意図を全く理解していない彼は『これはこれでめんどくさいな』と、内心で呟くのであった。

 

 






次回、第72ターン「キング・オブ・スピリット」


******


《キャラクタープロフィール》

獅堂(しどう)レオン】
性別:男
年齢:17
身長:179cm
誕生日:4月4日
使用デッキ:【ザフト】
概要:ノヴァ学園の2年。パワーフォースの一員で序列4位。自称オーカミの永遠のライバル。昔と比べてだいぶコミカルなシーンが増えた。オーカミに勝つため、パワーでゴリ押す戦術をより磨き上げた。


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