バトルスピリッツ 王者の鉄華   作:バナナ 

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第72ターン「キング・オブ・スピリット」

「おい起きろオーカミ、朝だぞ」

「……」

「また遅刻するぞバカタレ」

 

 

スズメの囀りが聞こえて来る早朝。バトスピ学園最難関校であるノヴァ学園。その広大な敷地の中にある複数ある寮の一室にて、金髪の少年、光裏コントが、未だベッドの上でぐっすりと眠っている赤髪の少年、鉄華オーカミを起こそうと躍起になっていた。

 

 

「知らね。もう知らねぇからな。オマエに変わってオレがライちゃんとイチャイチャするからな!!」

 

 

多分それは無理な話だが、コントは起きないオーカミに呆れて寮を出ようとする。

 

しかしその時だった、彼のBパッドからメッセージの着信が来たのは……

 

 

「こんな朝っぱらからメール?……え…ッ」

 

 

そのメールを一目見たコントは、この世の終わりでも迎えたかのような絶望的な表情を浮かべる。

 

 

「な、なにィィィィィィィィィイ!!?」

「ん……」

 

 

受け入れ難い現実に1人叫ぶコント。オーカミはその叫びでようやく目を覚ますのであった。

 

 

******

 

 

「で、それからずっとこんな感じと」

「そ」

 

 

少しだけ時間が経過し、ホームルーム前。ノヴァ学園の教室にて、オーカミは、事の経緯を黄色がかった白髪の少女、春神ライに説明していた。

 

彼らの目の前には、メールの内容を見てから意気消沈し、机椅子に腰掛け、項垂れているコントが1人。

 

 

「コント。何があったんだ?」

「……」

 

 

余程ショックを受けているのか、いくらオーカミがコントに呼び掛けても、彼はうんともすんとも言わない。

 

 

「どったコント、話聞くぞ」

「ライちゃァァァん!!……聞いてくれよ、そして見てくれ!!」

「わ、めっちゃ直ぐ立ち直るじゃん」

 

 

嘘。そんなにショックは受けてなさそうだ。ライの呼び掛けにはすんなりと反応したコントは、今朝、己のBパッドに届いた一件のメッセージをライに見せる。

 

 

「メール?……えぇと、今日の放課後17時、第二バトルスタジアムにて、君にバトルを申し込む。キング王………え、キングからのバトルの招待!?」

「そうなんだよ、何でオレなんだ!?……バカタレがよ、意味わかんねぇって」

 

 

コントを悩ませていたのは、キングからのバトルの招待。何故かキング王は、まだ1年で入学したてのコントにバトルを申し込んだのだ。

 

 

「イタズラメールとか?」

「一応調べたんだけど、ちゃんと本人の学籍番号だったよ」

「羨ましい。オレが代わりにやりたい」

 

 

キングを超えるためにこのノヴァ学園に入学したオーカミ。コントの待遇を羨む。

 

しかし、オーカミのような考え方になる生徒は、そうはいない。

 

 

「何も羨ましくねぇわバカタレ。キングのカリスマ的人気は知ってるだろ?……アイツのバトルはこの学園で最も注目を集める。その対戦相手も少しの間はみんなの記憶に残るんだ」

「……だから?」

「察しが悪いなテメェはよ。つまり、キングに負けた奴は、しばらくの間『キングにボコられた奴』って後ろ指指されるって事」

「じゃあ勝てばいいだろ」

「それができれば苦労はねぇ!!……テメェ本当にバカタレだよな!!」

 

 

実際は行ったバトルの内容にもよると思うが、コントのように、不名誉なレッテルを貼られると言う考え方になる人物が大半を占めるのは至極当然だと言える。

 

相手はあのキング。オーカミのように、最初から勝つ気でいる挑戦的なカードバトラーはとても珍しい。

 

 

「確かに勝つのはしんどいけど、その分見返りは大きいぞ」

「ブイ姉!!」

「ふふ、おはよライちゃん」

 

 

そんな折、オーカミらの前に現れたのは、サングラスを掛けている担任の女教師ブイ。彼女を目に映すなり、ライが彼女の胸元へと飛び込む。

 

 

「見返り?」

「そ。先ずは序列1位になれるだろ、後、この学園の新しいカリスマになって、みんなからチヤホヤされる」

「そりゃあまぁ、そうっすけど」

「ついでに、勝ったらご褒美として、私とライちゃんの2人と同時にデートする権利を与えよう」

「え」

 

 

抱きついて来たライの肩に手を回しながらブイはコントに提案した。それを言われたコントと、何故か急に巻き込まれたライの表情が固まる。

 

基本的に煩悩の塊であるコント。その表情は次第に緩くなり、にやけ顔になって。

 

 

「マジっすか!?」

「マジマジ、ウソはつかないぞ」

「うぉぉお!!……力が漲って来たァァァ!!!……こうしちゃおれねぇ、先ずはキングの公式戦を分析して対策を錬らないと」

 

 

そう叫ぶと、コントは机に自分のデッキを広げ、Bパッドでキングのバトルを検索する。

 

動機が余りにも不純極まりないが、やる気にはなった様子。

 

 

「ちょっとブイ姉」

「ごめんライちゃん。今度何か甘い物でも奢るからさ」

 

 

ライからジト目を向けられるブイ。右手を頭の後ろに置きながら、笑って誤魔化す。

 

 

「ブイ、なんでコントをやる気にさせたの」

 

 

一連の流れを傍観していたオーカミが、ブイに訊いた。

 

 

「ん、そりゃまぁ私は教師だからな。生徒をやる気にさせるのも、仕事の一環さ」

「……」

 

 

一見すると、何気ない会話だったかもしれないが、この時のオーカミは、ブイにどこか、微かな違和感を感じていて………

 

 

******

 

 

放課後、迎えた17時。

 

ノヴァ学園の広大な敷地の中にあるバトルスタジアムの1つ、第二スタジアムには、いつも以上の生徒らが、2階の観客席を埋め尽くしていた。その数は、先日同スタジアムで行われた、獅堂レオンと桜田メイの一戦より上である。

 

ここまでの人が多く集まる理由はたった1つ。本日、この場であのパワーフォースのリーダーにして、序列1位、キング王のバトルが行われると言う噂が流れて来たからだ。

 

 

「こんなに来るのかよ。ヤベェ、心臓バクバクなんだけど」

 

 

1人、スタジアムのバトル場でキングを待ち続けるコント。大勢の生徒らに見られ、緊張している模様。

 

その様子を、同様に2階の観客席で見守るのは、友人である鉄華オーカミと春神ライ。

 

 

「コント、大丈夫かな」

「まぁ負けても退学させられる訳じゃないし、大丈夫でしょ」

「それはどうだろ。君はキングが去年起こした事件を知ってるかい?」

「知らない………ん、アレ、アンタこの間のエクストラウィンの人」

「覚え方雑だなぁ。まぁこの場で名前呼ばれると、ファンの人達に気づかれちゃうから、そっちの方が良いんだけど」

 

 

知らぬ間にオーカミとライの側にいたのは、黒いポニーテールと、帽子が特徴的な少女、桜田メイ。こう見えて、今をときめくBチューバーであり、身につけている帽子は、見つかれば騒ぎになるため着用している物である。

 

 

「なんでアンタがここに」

「そりゃだって、これを観終わったら、親友のライちゃんと遊ぶ約束してたし。ね」

「ね〜!!」

「いつの間に仲良くなったんだ」

 

 

互いに両掌を合わせるライとメイ。少なくとも、この間行われたレオンとメイのバトル時点では何の関係性もなかった2人だが、どう言うわけか、今はこの通りの仲良しである。

 

 

「ライちゃん、今度ボクの動画出てよ」

「え〜、私顔出しNGなんだけど」

「ウソ、ライちゃん可愛いから絶対バズるって。ね、一緒に出よ」

「そんな事より、さっき言ってた『キングが起こした事件』って何」

 

 

ライの動画出演の話をバッサリ切り捨て、オーカミがメイに訊いた。彼女は、帽子のつばを摘み、それを深く被り直すと、その質問に答える。

 

 

「実際のところ『事件』と言うよりかは『現象』って言った方が正しいのかな。2人とも、この学園の全校生徒の半分近くはボク達1年生で、上級生はその半分程度しか占めてないって事は知ってるよね」

「うん」

 

 

メイの言葉に、ライが頷く。現在のノヴァ学園の全校生徒は約700人に対し、1年生300人程度。2、3年生はそれぞれ200人程度で、確かに半分近くが1年生で構成されている。

 

 

「その原因を作ったのが、キング、そして彼の率いたパワーフォースだと言われてるんだ」

「!」

「当時1年だった彼らは、尋常じゃない、圧倒的な強さで学園を席巻。妬み、嫉妬し、絶望した上級生達は、殆どが退学。極少数だけど、中には彼らに直接退学させられた人もいたとか」

「へぇ」

「今残っている生徒達は、絶対に勝てないパワーフォースの4人を学園の頂点として崇め、讃えた。バトスピ学園最難関にして最大級なんて大きな肩書きのあるノヴァ学園だけど、その実態はパワーフォースと、それらを慕う者達のみで構築された、パワーフォース絶対社会」

 

 

要するに、このノヴァ学園は完全にパワーフォースに支配されていると言う事。

 

 

「ボクも自分のチャンネルの視聴者に教えて貰っただけだから、まだ本当かどうかはわからない。けど、実際にこの学園に入学して、見て感じてバトルして思った事は、多分これは本当の話。パワーフォースはヤバい。特に権力を無闇やたらと振り翳す甲子園ダホウと、リーダーのキングはね」

「ふーん。で、それとコントの退学に、何の関係があるわけ?」

 

 

長々とパワーフォースとキング、今のノヴァ学園の実態について話をしたメイに、オーカミが訊いた。

 

 

「さっき言った『極小数は直接退学させられた話』……噂では、そのほぼ全てがキングによるモノらしい」

「……」

「わからない?……下手をすれば彼も」

「なら心配いらないよ。アイツは強いから」

 

 

そんな折、周囲から爆音のような歓声が響き渡る。3人はバトル場へと目をやると、そこにはこの学園の序列1位、キング王が到着していて……

 

 

「遅れて申し訳ない。急遽インタビューの予定が入ってしまってね」

「いやいや、いいんすよそんな事。寧ろ」

「寧ろ?」

 

 

『寧ろずっと遅れて欲しかった』と言いかけてしまうコント。この時点で既に、キングから滲み出ている強者のオーラに気圧されている模様。

 

 

「てか、何でオレなんすか。もっと注目を浴びている1年なら他にたくさん」

「光裏コント。君が契約スピリットに選ばれたコントラクターだからだ」

「え」

「契約スピリットは強いカードバトラーしか主人として認めない。実に楽しみだよ、君とのバトル」

 

 

基本的に物腰は柔らかいが、掴みどころがなさ過ぎるキング。コントはとてもではないがそれだけが理由とは思えなかった。

 

事実、その予想は的中している。

 

 

「キングのバトルを見るのは、かなり久し振りな気がするな」

「ボールボルボルボル、アイツ、この間鉄華オーカミと一緒にいた金髪君じゃねぇか。キングの相手が務まるのかよ」

「彼もコントラクターらしい。この学園で最もガッチャな男が選んだカードバトラーだ。並大抵の実力ではないだろう」

 

 

第二バトルスタジアムの1階。人目のつかない選手入場口にたむろしていたのは、水色の逆立った髪が特徴的な新城サンドラ。長身のメガネでモヒカン頭の甲子園ダホウ。銀髪の獅堂レオン。

 

いずれもキングと共にこの学園を支配するパワーフォースのメンバーだ。どうやら、今日はここでキングのバトルを見届けるらしい。

 

 

「くっ……バカタレ、気圧されるな。勝つんだろ、オーカミみたいによ」

 

 

弱気になった己の心を律するように、自分の頬を叩き、気合いを入れるコント。キングはそれを見るなり笑みを浮かべると、懐からBパッドを取り出し、それを左腕に装着する。

 

コントも同様だ。Bパッドを装着し、デッキをそこへ装填。バトルの準備を整える。

 

 

「勝って人気者になる。そのためにオレはこの学園に来たんだ」

「さぁ、私を楽しませてくれ」

 

 

……ゲートオープン、界放!!

 

 

遂にコールと共に、序列1位、学園最強のカードバトラーキング王と、光裏コントによるバトルスピリッツが開始される。

 

 

「先攻後攻は、君の好きな方を選ぶといい」

「なら、後攻を選択させて貰いますよ」

 

 

キングがコントに先攻後攻を選択させた結果、このバトルの先攻はキングとなった。

 

彼は、コントが『月王者』を待っているのかを見極めるため、そのターンを進めて行く。

 

 

[ターン01]キング王

 

 

「メインステップ、ネクサス、溶岩海のエデラ砦を配置」

 

 

ー【溶岩海のエデラ砦】LV2(1)

 

 

キングの背後に、溶岩に浮かぶ、岩でできた砦、溶岩海のエデラ砦が配置される。

 

 

「配置時効果でカウント+1。さらにバーストをセットし、ターンエンド」

手札:3

場:【溶岩海のエデラ砦】LV2

バースト:【有】

カウント:【1】

 

 

ネクサスとバーストを構え、キングはその第1ターン目を終了。

 

観客らの歓声と混在する緊張感の中、コントは己の最初のターンをスタートする。

 

 

[ターン02]光裏コント

 

 

「め、メインステップ」

 

 

 

まだ殆ど何もしてないのに、プレッシャーがやべぇ。息が詰まりそうだ。

 

いざ対面して見るとわかる。コイツは本当に、カードバトラーとしての格が違う………

 

 

 

メインステップ開始直後。コントは、対面しているキングから、息が詰まりそうになる程の強烈なプレッシャーを感じ取っていた。

 

並大抵のカードバトラーなら、それだけで戦意を喪失してしまってもおかしくはない。

 

 

『なにモタモタしてんだコント!!…この手札なら最初からオレ様を呼べる、さっさと呼べ、そしてさっさとオレ様でアタックしろ!!』

「うるせぇぞバカタレ。わかっとるわ!!」

 

 

コントの頭の中に直接、彼と契約している契約モビルスピリット『Ξガンダム』の声が響いて来る。

 

その喧しい声に、コントは怒りつつも、僅かに気が楽になり……

 

 

「……行くぜ、相棒。先ずはオデュッセウスガンダムを召喚」

 

 

ー【オデュッセウスガンダム】LV2(2S)BP5000

 

 

コントが最初に呼び出したのは、青い胸部と横に枝分かれした角が特徴的な、低コストのモビルスピリット、オデュッセウスガンダム。

 

 

「召喚時効果。自身を疲労させ、デッキ上1枚をオープン、それが閃光なら手札に加えるぜ」

 

 

デッキ上から1枚のカードがオープンされるが、それは閃光のカードではない「白晶防壁」のカード。手札には加えられず、トラッシュへと破棄された。

 

 

「バカタレ、ハズレ引きやがった。だけどオデュッセウスの本領発揮はこれからだ」

「ほお」

「LV2の効果を発揮。自身を手札に戻す事で、閃光カードを手札からノーコスト召喚する。オレの相棒、Ξガンダムを召喚だ!!」

 

 

ー【Ξガンダム】LV1(1)BP5000

 

 

オデュッセウスが粒子化して消滅すると、新たに一際大きな体躯を有する白いモビルスピリットがコントのフィールドへと姿を見せる。

 

その名もΞガンダム。背部に大型フライトユニットを内蔵した、緑属性のモビルスピリットにして、各々が人格を持つ特殊なカード、契約スピリットの内の1枚。

 

 

「これが君の契約スピリットか」

「おうよ。アタックステップだ、Ξガンダムでアタック、その効果でカウント+2。ボイドからコア1つを自身にブースト」

 

 

背部の大型フライユニットで対空を飛翔するΞガンダム。狙うはキングのライフバリアただ1つ。

 

 

「ライフで受ける」

 

 

〈ライフ5➡︎4〉キング王

 

 

Ξガンダムは、巨大な手でキングのライフバリア1つを握り潰す。

 

キングから先制点をもぎ取ると言う快挙を成し遂げるが、その攻撃は、キングの伏せていたバーストカードの発動条件であり………

 

 

「ライフ減少によりバースト発動、クリアウォール」

「!」

「効果によりカウント+2。私のライフ1つを回復する」

 

 

〈ライフ4➡︎5〉キング王

 

 

勢い良く反転したバーストカードは、白のマジックカード「クリアウォール」………

 

その効果により、キングはライフを元の5に戻すと同時に、己のカウントを3まで増加させる。

 

 

「そりゃそう簡単にライフを奪わせちゃくれねぇよな。オレはこれでターンエンドだ」

手札:4

場:【Ξガンダム】LV1

バースト:【無】

カウント:【2】

 

 

開幕からコスト5のΞガンダムを召喚し、カウントとコアを増加。コントはキングを相手に幸先の良いスタートを切る事に成功する。

 

バトルは2週目に突入し、次はキングのターンだ。

 

 

[ターン03]キング王

 

 

「ドローステップ。エデラ砦の効果でドロー枚数を1枚増やし、その後1枚破棄する。メインステップ、我が右腕、契約スピリット、ベビーゴジラをLV1で召喚」

 

 

ー【ベビーゴジラ】LV1(1)BP7000

 

 

「出やがった、契約スピリットのゴジラ」

 

 

キングが呼び出したのは、黒い鱗を持つ小型の怪獣。赤属性の契約スピリット、ベビーゴジラ。

 

 

「マジック、フォースブライトドロー。私のカウントが2以上の時、デッキ上から3枚ドロー」

 

 

キングは赤属性のドローマジック「フォースブライトドロー」を使用。減った手札を5枚まで回復する。

 

 

「アタックステップ。ベビーゴジラでアタック。効果でカウント+2」

 

 

ベビーゴジラによる、このバトル初となるキングのアタック。

 

その効果でカウントが増加する瞬間、彼は手札1枚を引き抜いて。

 

 

「私のカウントが増加し、2以上になった時、手札から三賢神ラルヴァンダードの効果を発揮、1コストで自身を召喚。その際にエデラ砦のコアを1つ使い、LVダウン」

 

 

ー【三賢神ラルヴァンダード】LV1(1)BP3000

 

 

「この効果でラルヴァンダードを召喚した時、1コアブースト、1ドロー」

 

 

黄金の装飾を身に纏う三賢神のスピリット、ラルヴァンダードが、キングのフィールドに見参。彼にコアとカードの恩恵を齎した。

 

 

「ベビーのアタックは継続している」

「ライフで受けるぜ」

 

 

〈ライフ5➡︎4〉光裏コント

 

 

ベビーゴジラの口内から放たれた火球が、コントのライフバリアを1つを焼き尽くす。

 

 

「ラルヴァンダード、続け」

「それもライフだ」

 

 

〈ライフ4➡︎3〉光裏コント

 

 

今度は、ラルヴァンダードの掌から放たれる波動弾が、コントのライフバリア1つを粉砕。キングは勝利に近づく。

 

 

「ターンエンド」

手札:5

場:【ベビーゴジラ】LV1

【三賢神ラルヴァンダード】LV1

【エデラ砦】LV1

バースト:【無】

カウント:【5】

 

 

湧き上がる己のファンの歓声と共に、キングはそのターンをエンド。

 

 

[ターン04]光裏コント

 

 

「メインステップ、もういっょオデュッセウスを召喚」

 

 

ー【オデュッセウスガンダム】LV2(2)BP5000

 

 

「召喚時効果で自身を疲労させ、デッキ上から1枚オープン、閃光カードなら手札に加える。よし、今度はΞガンダム初陣。閃光のカードだから手札に加えるぜ」

 

 

前のターンに手札に戻ったオデュッセウスが、再度コントのフィールドへ召喚。即座に疲労させ、コントはデッキ上から「Ξガンダム[初陣]」のカードを手札へと加えた。

 

 

「学園のトップ、キング様に見せてやるぜ、オレの相棒の契約煌臨をな。【契約煌臨】発揮!!」

 

 

自慢気に加えたカードを見せつけ、コントは【契約煌臨】を宣言。その瞬間、Ξガンダムは眩い光にその身を包み込んで行く。

 

 

「混沌を光に変える使者。現れよ、Ξガンダム初陣!!」

 

 

ー【Ξガンダム[初陣]】LV1(2)BP8000

 

 

眩い光を解き放って新たに出現したのは、ビームライフルとシールドを携えた機動戦士にして、コントのエースカード、Ξガンダム初陣。

 

 

「ふふん。聞いて驚くなよ。このΞガンダム初陣は、アンタのデッキの弱点を突けるカードだ」

「……」

「今それを証明してやるぜ。アタックステップ、Ξガンダム初陣でアタック!!」

 

 

得意げにそう告げると、コントはこのターンのアタックステップを宣言。フィールドのΞガンダム初陣は、手に持つビームライフルをキングと彼の操るスピリット達へ向け、構える。

 

 

「アタック時効果。先ずは契約Ξガンダムの効果でカウントを+2してコアブースト。さらに初陣の効果、ベビーゴジラとラルヴァンダードを重疲労!!」

「!」

 

 

銃口から放たれた二筋のビーム攻撃は、それぞれベビーゴジラとラルヴァンダードに命中。

 

2体は破壊こそされなかったものの、両膝を地につけ、完全復活まで二度の回復を有する、重疲労状態となってしまう。

 

 

「成る程、重疲労か」

「そ。アンタのベビーゴジラは、自身がカウントを増やす弾丸であると同時に、強力な契約煌臨スピリットの煌臨元になる事もできる重役だ。そいつさえ封じ込めれば、アンタに勝ち目はねぇ」

 

 

契約スピリットが軸となるデッキは、その大半が重疲労に弱い。一度リフレッシュステップで回復しても、契約煌臨していようがアタックを行えないからだ。

 

特にキングのデッキは多くのカウントを溜める必要がある以上、それが他よりも重くのしかかる。それを見抜いたコントは、己の主戦術でもある重疲労を早期に実行したのだ。

 

 

「初陣の効果はまだ終わらねぇぞ。スピリットネクサス2つを疲労させ、回復状態で残ったスピリットネクサス1つにつき、アンタの手札を1枚破棄する。キング、アンタのネクサス、エデラ砦は、オレのカウントが4以下の間相手の効果を受けない。よって回復状態で残り、アンタには手札1枚を選んで破棄してもらうぜ」

「甘い。ラルヴァンダードの手札保護効果により、それは無効だ」

「ゲ、忘れてた」

 

 

オーカミも苦しませた、Ξガンダム初陣の手札破棄効果が発揮されるが、ラルヴァンダードの「手札が6枚以下の間、自分の手札は相手の効果を受けない」と言う手札保護効果によって、キングの手札は破棄から免れる。

 

 

「アタックはライフで受ける」

 

 

〈ライフ5➡︎4〉キング王

 

 

初陣は頭部からバルカン砲を連射。キングのライフバリア1つを粉砕する。

 

 

「手札破棄できなかったのは惜しいが、オレはこれでターンエンドだ。さぁどう来るよキング王」

手札:4

場:【Ξガンダム[初陣]】LV2

【オデュッセウスガンダム】LV2

バースト:【無】

カウント:【4】

 

 

コントは思いの外己の戦術が通用したからか、段々と調子に乗り始める。

 

 

 

ハズレか。

 

こんなしょうもない男が、私の探し求めている『月王者(ルナレクス)』のはずがない。

 

 

 

キングはそんな彼を見て失念。内心で辛辣な感想を呟くと、己のターンを開始して行く。

 

 

[ターン05]キング王

 

 

「メインステップ。2枚目のエデラ砦を配置」

 

 

ー【溶岩海のエデラ砦】LV1

 

 

「配置時効果でカウントを+1し、BP5000のオデュッセウスガンダムを破壊」

 

 

即断即決。キングは劣勢時であっても何の迷いもなく、2枚目のエデラ砦を配置。フィールドでは、彼の背後に出現した2つ目の砦から吹き出したマグマが、オデュッセウスガンダムを焼き尽くした。

 

 

「さらにミラージュ、暴竜アンギラスをセット。私はこれでターンエンドだ」

手札:4

場:【ベビーゴジラ】LV1

【三賢神ラルヴァンダード】LV1

【エデラ砦】LV1

【エデラ砦】LV1

バースト:【無】

ミラージュ:【暴竜アンギラス(1972)】

カウント:【6】

 

 

Ξガンダム初陣の効果の影響を受け、スピリットが全て疲労しているキング。僅かなモーションでそのターンをエンドとした。

 

 

「うわマジ!?……エンド!?……オレの勝ちじゃん!!」

 

 

次はコントのターン。勝利を目前に浮かれている様子。

 

 

[ターン06]光裏コント

 

 

「メインステップ。うわぁマジ楽しみだ。これに勝ったらライちゃんとブイ姉の2人とデート。しかも今日からオレが学園の序列1位!!……女の子なんて選り取り見取りじゃんかよ〜〜!!」

「光裏コント。貴様は何故このノヴァ学園に入学した」

「え」

 

 

浮かれるコントのメインステップ開始直後、キングが彼に訊いた。

 

 

「へへ。そんなの可愛い子ちゃん達にモテるために決まってるじゃないですか。男の子ならモテモテの人気者になりたいって言うのがサガでしょ」

「……」

「ノヴァ学園なら、適当に頑張るだけで女の子の方から寄って来ますしね」

「適当……」

 

 

コントの良い加減極まりない発言に、キングは目を鋭く細める。

 

 

「あのキングがほぼドローゴーでターンを返した。あの金髪君、結構やるんじゃん」

 

 

観客席にいるメイが、そう呟く。実際コントは強く、キングとのデッキの相性も良い。

 

ただ………

 

 

「あぁ、コントは強い。でも、キングには勝てない」

 

 

オーカミがそう言い返す。

 

彼としても不思議に思っていた。こんなにコントが優勢だと言うのに、何故かキングが勝つようにしか見えなかったからだ。

 

 

「これでフィニッシュだぜ。パイロットブレイヴ、ハサウェイ・ノアを召喚し、Ξガンダム初陣と合体!!」

 

 

ー【Ξガンダム[初陣]+ハサウェイ・ノア[U.C.0105]】LV1(2)BP13000

 

 

エースカードに合体させるのは、閃光スピリット専用のパイロットブレイヴ。Ξガンダム初陣の見た目に変化はないものの、それは強力な合体スピリットへと変貌を遂げる。

 

 

「LVを上げてアタックステップだ。Ξガンダム初陣でアタック、その効果でカウント+2してコアブースト。さらにもう一度ベビーゴジラとラルヴァンダードを重疲労だ」

 

 

ビームライフルから放たれたビーム攻撃が、再びベビーゴジラとラルヴァンダードに爆裂。またもや重疲労状態となってしまう。

 

 

「ハサウェイの効果。初陣はターンに一度、回復!!」

 

 

オレの強さは軽く天上に届く。

 

オレは初めからこの学園で最も強いカードバトラーだったんだ。

 

何を今までパワーフォースなんかにビビってたんだ。

 

見たかオーカミ。

 

 

コントの頭の中は、知らない間にそんな事ばかり考えるようになっていた。

 

故に、今から突如として襲い掛かって来る怪獣王の咆哮に気が付かず………

 

 

「フラッシュ、ミラージュとしてセットした、アンギラスの効果を発揮」

「なに、このタイミングでミラージュ効果!?」

「2コストを支払い、自身を召喚」

 

 

ー【暴竜アンギラス(1972)】LV1(1)BP4000

 

 

キングがミラージュから召喚したのは、背中に幾千もの棘を生やした、四足歩行の怪獣、アンギラス。

 

それは出現するなり、まるで何かを呼び出すかの如く咆哮を張り上げて………

 

 

「そうした時、手札にあるゴジラをソウルコア無しで【契約煌臨】できる。全てのスピリットの頂点、破壊の化身をここに呼ぶ。怪獣王ゴジラ、LV1で契約煌臨!!」

 

 

ー【怪獣王ゴジラ(1989)】LV1(1)BP8000

 

 

重疲労しても尚、力強い咆哮を張り上げるベビーゴジラ。それは次第にモビルスピリットを見下ろす程に巨大化して行き、新たな姿へと昇華する。

 

こうしてフィールドへ新たに出現したスピリットの名は、怪獣王ゴジラ。漆黒の逆鱗、結晶体のような背鰭を持つ、全てのスピリットの頂点に君臨する王。

 

 

「こ、これがゴジラ」

「アンギラスの召喚時効果、カウント+2。怪獣王ゴジラの煌臨アタック時効果、デッキから2枚ドロー」

「だがよ。折角の契約煌臨ゴジラも、重疲労していちゃ使い物にならねぇ。しかも初陣は重疲労している相手のスピリットがいる限り、ブロックされない。どっちにしろアンタの負けだ」

 

 

トドメだと言わんばかりに、Ξガンダム初陣は両肩から粒子砲を掃射。

 

これが決まれば、キングのライフは大きく減少。コントの勝利が現実味を帯びて行く事になる。

 

もちろん、それが通ればの話であるが………

 

 

「フラッシュマジック、リミテッドバリア」

「!!」

「不足コストはラルヴァンダードを消滅させ確保。効果により、このターンの間、私のライフは相手のコスト4以上のスピリットのアタックでは減らされない。その攻撃はライフで受ける」

 

 

〈ライフ4➡︎4〉キング王

 

 

粒子砲の直撃直前で展開された、半透明のバリア。ラルヴァンダードが不足コストの確保で消滅してしまうものの、それは粒子砲を弾き返し、キングのライフバリアを守護する。

 

 

「くっ……これじゃ初陣でライフを破壊できねぇ。仕方ない、ターンエンドだ」

手札:4

場:【Ξガンダム[初陣]+ハサウェイ・ノア[U.C.0105]】LV2

バースト:【無】

カウント:【6】

 

 

リミテッドバリアの効果の影響を見て、コントは結果的にΞガンダム初陣をブロッカーとして残し、そのターンをエンド。

 

次はキングのターンとなるが………

 

 

「でもアンタのゴジラは次のターンを迎えても疲労状態のまま。アタックできないなら、オレの勝ちは揺るがないぜ」

 

 

自信満々でそう宣言するコント。実際バトルは終始彼のペースで進んでいると言っても過言ではない。

 

だが………

 

 

「愚かだな」

「なに!?」

「ゴジラとは、地球の誕生と共に生まれた奇跡のカード。バトルスピリッツの多くの歴史の中で、常に強者の証として君臨し続けて来た絶対王者。それがたかが重疲労如きで敗れると、本気で思っているのか?」

「……」

 

 

劣勢であると言う事実を感じさせない程の、キングの凄まじい気迫は、コントに思わず唾を飲み込ませる。

 

そうだ。

 

ゴジラとは、スピリットの頂点にして、絶対王者。

 

そのデッキを使いこなすキングは、誰にも負けない。

 

 

[ターン07]キング王

 

 

「メインステップ、貴様に見せてやろう、ゴジラの力、その一端をな」

 

 

そう告げると、キングは手札にある1枚のカードを己のBパッドへと叩きつける。

 

 

「召喚。ゴジラテレストリス!!」

 

 

ー【ゴジラテレストリス〈S.P〉】LV3(4)BP13000

 

 

「契約スピリットじゃない、別のゴジラ!?」

 

 

キングが召喚したのは、青緑の体表を持ち、肉食の恐竜を思わせるような外観をしたゴジラ、ゴジラテレストリス。

 

契約関連の効果を持たないゴジラの登場に、コントは驚きを隠せない。

 

 

「アタックステップ、テレストリスでアタック。そのアタック時効果でカウント+2」

 

 

新たなゴジラの召喚のみでメインステップを終了させ、アタックステップへと突入するキング。

 

召喚したてのゴジラテレストリスへアタックの指示を送り、そのアタック時効果を宣言。これにより彼のカウントは10となる。

 

 

「テレストリスのもう1つのアタック時効果。デッキ上から2枚ドローし、このスピリットをデッキの下へ送る事で、進化する」

「!!」

 

 

瞬間、キングの右手が赤く燃え上がる。彼はその手で新たなるスピリットカードを、己の手札からBパッドへと叩きつけて………

 

 

「私に隷属する、古代の王者。今こそ叛逆せし者達へ無限の鉄槌を下せ!!……ゴジラウルティマ、LV3で召喚!!」

 

 

ー【ゴジラウルティマ〈S.P〉】LV3(6S)BP20000

 

 

赤き粉塵を纏い、ゴジラテレストリスは進化する。より硬く、より強く。

 

進化を完遂させたそのゴジラの名はゴジラウルティマ。黒い鎧のような逆鱗を持つ、強力なゴジラスピリットの1体である。

 

 

「な、なんだよコイツ。ゴジラ、ウルティマ……!?」

 

 

突如出現した新たなゴジラ。その言い表しようがない程の威圧感に、コントは指先が震えるのを感じていた。

 

そんな彼に対して慈悲も情けも掛ける事なく、キングはウルティマの効果発揮を宣言する。

 

 

「ウルティマの召喚アタック時効果。相手の最もBPの高いスピリット1体を破壊する」

「!?」

「消え去れ、Ξガンダム初陣」

 

 

ウルティマは召喚されるなり、自慢の大顎を、Ξガンダム初陣に向けて開口。その瞬間、7つの大小異なる大きさの光輪が展開。ウルティマは口内からその光輪の輪の中心を潜り抜けるように原子ビームを放出。

 

Ξガンダム初陣の胸部を一瞬にして射抜き、爆散へと追い込む。

 

 

「Ξ!?」

「この時、手札かトラッシュのゴジラをゲームから除外する事で、破壊したスピリット、ブレイヴをフィールドに残させない。合体していたパイロットブレイヴ事消し炭となれ」

 

 

ウルティマの破壊力は止まる事を知らない。キングがトラッシュから「リトルゴジラ[2]」のカードをゲームから除外すると、パイロットブレイヴのハサウェイ・ノアはフィールドに残れなくなり、そのままカードはコントのBパッド上にあるトラッシュへと誘われた。

 

 

「さらに、私のカウントは10。この瞬間よりベビーゴジラの新たな効果が解放。私のスピリット全てに赤シンボル1つが付与される」

「ッ……全員がダブルシンボルだと!?」

 

 

キングのフィールドに存在する全てのスピリットに赤シンボルが1つ追加。怪獣王ゴジラやウルティマだけでなく、アンギラスさえも、一撃で2つのライフを破壊できるダブルシンボル待ちのスピリットと化す。

 

 

「やれ、アンギラス」

 

 

フィニッシュに向けてアタックを再開するキング。アンギラスが大地を鳴らしながら走り出す。

 

 

「バカタレ。オレだって持ってるぜ、白の防御マジック。フラッシュマジック、白晶……」

「ゴジラウルティマの更なる効果」

「!!」

「自分のアタックステップ中、相手は、己のライフ2つをトラッシュに置かなければ、コスト4以下のマジックカードを使用できない」

「なんだと!?」

 

 

 

オレの手札にあるのは、使用後、このターン中はライフが1つしか減らなくなる「白晶防壁〈R〉」………

 

だけどこれを使うためには、残り3つのライフの内2つを破壊しないと行けない。ライフを破壊して、1になった後にこの効果を発揮しても、意味がない……!?

 

 

 

そう。相手がコスト4以下のマジックカードを使う際、2つのライフコストを要求すると言うウルティマの更なる効果。

 

残りライフが3つしかないのでアレば、絶対的な防御力を誇る「白晶防壁〈R〉」であっても意味がない。

 

 

「アンギラスのアタックは継続している……!」

「ら、ライフで……うぉぁ!?」

 

 

〈ライフ3➡︎1〉光裏コント

 

 

結局「白晶防壁〈R〉」は使えないまま、アンギラスの突進攻撃を諸に受けるコント。

 

そのライフバリアは一気に2つ砕け散り、残りは僅か1となってしまう。

 

そして、それも消し去るべく、ウルティマが再び原子ビームを撃つ構えを取り………

 

 

「終わりだ、弱者よ。ウルティマでラストアタック……!!」

 

 

〈ライフ1➡︎0〉光裏コント

 

 

「う、あぁぁぁぁぁあ!!!」

 

 

ウルティマの口内から放たれた二度目の原子ビームが、コントの最後のライフバリアを容易く粉砕。

 

彼のBパッドから甲高い機械音を鳴らし、湧き上がる生徒らの歓声の中、キングを勝利へと導いた。

 

 

「アイツ、また強くなったんじゃないか?」

 

 

バトルの結果を見届けるなり、序列2位の新城サンドラがそう言葉を残した。

 

 

「ボールボルボルボル、対戦した金髪君が弱かっただけだろ。結局口だけだったな」

 

 

それに対し、序列3位の甲子園ダホウが言い返す。

 

2人の見解は、どちらも正しいと言える。キングは天性のバトルセンスに加え、常に己を磨き、鍛錬を積んでいるのに対し、コントはそんな事を一切していない。彼との実力に雲泥の差があるのは至極当然。

 

キングが強すぎるように見えるのも、コントが弱すぎるように見えるのも、当たり前なのである。

 

 

「くっ……あと一歩で勝てると、思ったのに」

 

 

悔しさに表情を歪め、膝をつき、拳を大地に打ち付けるコント。

 

そんな彼に、キングは歩み寄り………

 

 

「あと一歩?……ここまでやって力の差を感じなかったのか?……それともまだ己が強者だと言う虚言を吐きたいのか」

「……キング」

「どちらにせよ弱者に変わりない」

 

 

そう告げると、彼はコントのBパッドからデッキを取り出し、己の手中に収める。

 

 

「おいバカタレ。オレのデッキだぞ、返せよ……!!」

「早々にこの学園から立ち去るがいい」

「!!」

「貴様のような薄っぺらい弱者は、このノヴァ学園に相応しくない。もちろん、契約スピリットにもな」

 

 

コントの顔は真っ青になる。キングがここまで冷たく、非常な事を平気でやるような冷徹な男だとは思ってもいなかったからだ。

 

そして知っている。彼が言う事やる事は絶対。これを見ている生徒らも、教師でさえも、己が当事者にでもならない限り、その行為が当たり前だと認識している。

 

故に、誰も自分を助けには来ない。

 

 

「そこまでしなくていいだろ」

「!」

 

 

はずだった。

 

鉄華オーカミが、項垂れるコントの目の前に現れるまでは………

 

 

「貴様は、鉄華オーカミ」

「オレ、コイツが居ないと朝起きれないから、悪いけど今の話無しって事にしてくれない?……後、デッキも返してやって」

「オーカミ……」

 

 

突然のオーカミの登場により、会場はざわつき始める。

 

オーカミが急に自分の横から消えていた事で、ライも慌てふためいていた。

 

 

「何故私が貴様の指図を受けないといけない」

「それがオマエの素か。じゃあこうしよう、オレがオマエにバトルで勝ったらオレの言う事を聞け。逆に負けたら、オマエの好きなようにしろよ」

「おいオーカミ、何言ってんだオマエ!?」

 

 

Bパッドを左腕に装着し、構えながら、キングに宣戦布告とも取れる発言をするオーカミ。

 

その行為に、会場はより大きくざわつく。

 

 

「いいだろう。ただし負ければ、貴様も奴と同じ目に遭ってもらう」

「!」

「うん、いいよ」

 

 

キングの提案は、負ければオーカミをコントと同じ目に遭わせると言うモノ。

 

要するに、敗北は退学とデッキの損失を意味する。

 

 

「今度こそ、オレとオレのバルバトスが、オマエとオマエのゴジラを倒す……!!」

 

 

かくして、鉄華オーカミとキング王による、生き残りと救済を賭けたバトルスピリッツが幕を開けようとしていた。

 





次回、第73ターン「再戦、鉄華団VS怪獣王」

******


《キャラクタープロフィール》

【キング(おう)
性別:男
年齢:16
身長:174cm
誕生日:11月3日
使用デッキ:【ゴジラ】
概要:ノヴァ学園の2年。パワーフォースのリーダーで序列1位。学園最強のカードバトラー。1年前、入学すると同時に、その圧倒的な強さで学園を支配した。
自他共に認めるストイックな性格。それ故に、時折冷徹さを垣間見せる事がある。
「月王者」と言う存在を探し求めているらしい。
因みに名前が「キング」で、苗字が「王」である。


******


最近はどうしても一度のタイミングで複数の効果が重なる試合が多いので、一部効果の発揮の宣言などを省略している場合がございます。
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