大勢の生徒達が見守る中行われた、学園最強のカードバトラーであるキング王と、コントラクターである事以外を除けばごく平凡な生徒、光裏コントのバトル。
その結果は当然ながらキングの圧勝。だが、キングはコントのバトルスピリッツに対する態度を見て、それを非難。彼からデッキを取り上げ、退学を命ずる。
怯え、恐怖するコントだったが、それを庇うようにオーカミが現れて………
******
「今度こそ、オレとオレのバルバトスが、オマエとオマエのゴジラを倒す……!!」
大勢の生徒らが集う、ノヴァ学園の第二バトルスタジアム。
そこで、オーカミとコントの退学とデッキを賭けた、キング王とのバトルスピリッツが行われようとしていた。
「バカタレかよテメェ!!」
「え」
オーカミがバトル場に立ち、キングに向かってBパッドを構えた直後、コントが凄まじい剣幕で彼に迫って来た。
「コレに負けたら、オマエも退学。デッキも失う。いい事なんて何もねぇだろが!!」
「勝てばいいだろ」
「勝てるわけねぇから言ってんだ!!……あんな奴にどうやって勝つ気なんだよ!!」
怒るコント。単純に心配してくれているようにも見えるが、オーカミは心の奥底で棘のような鋭さも感じ取っていた。
「知らねぇ、オレは知らねぇぞ。負けて恥をかくのはオマエだからな!!」
「コント?」
助けに来たオーカミに対して辛辣な言葉を吐き捨てるだけでなく、己のデッキをまだ取り戻してもいないと言うにもかかわらず、コントはこの場から立ち去って行った。
それに対して不思議に思うオーカミ。だがすぐさま切り替えて、目の前のキングの方へと視線を移す。
「奪われたデッキを取り返さぬまま、助けに来た友人を置いて背中を向けるとは、つくづく救えない男だ」
「あぁ見えて優しい所もあるんだけどね。まぁそんな事より、早くバトルしようよ」
「……」
オーカミにそう告げられると、キングは装着していたBパッドを無言のまま彼へと向ける。
「今度はキングと鉄華オーカミのバトルか、コレは見ものだな」
スタジアムの入り口前でバトルを観戦していた、キングを除いた他のパワーフォースの3人。その内の1人、序列2位の新城サンドラが、この状況を見てそう呟いた。
「ボールボルボルボル、瞬殺されて終わりだろ。なんてったって、相手はあのキングだからな。でもコレはオレにすこぶる都合が良い。アイツが退学すれば、もうオレとライちゃんの間を邪魔するモノは何もなくなるからなぁ!」
「フ……わからんぞアホウ」
「オレはダホウだ!!」
「貴様は、鉄華オーカミと言う男のバトルスピリッツを知らなさ過ぎる。ひょっとしたら、思わぬ番狂せが拝めるかもな」
そう会話する序列3位の甲子園ダホウと、序列4位の獅堂レオン。
鉄華オーカミと言う男のバトルスピリッツを知っているレオンは、密かに、それでいて僅かにその口角を上げていた。
「もう一度貴様に見せてやろう。決して越えられない、怪獣王の壁を」
「行くぞ、バトル開始だ」
……ゲートオープン、界放!!
春神ライや桜田メイ含めた、多くの生徒達が見守る中、鉄華オーカミとキング王、退学とデッキを賭けたバトルスピリッツが、コールと共に幕を開ける。
「せめてもの情けだ。先攻と後攻、どちらか好きな方を選ぶがいい」
「……」
キングにより先攻と後攻の選択を迫られるオーカミ。少しだけ考えると、その口を開く。
「じゃあ、オレの先攻で」
「なんで!?…後攻を選択しないのか!?」
先攻を選択したオーカミに驚いたのは、春神ライと共にバトルを観戦している、今をときめくBチューバー、メイチャンネルの桜田メイ。
「どったのメイちゃん、そんなに慌てて」
横にいるライがメイに訊いた。
「キングのデッキはゴジラデッキであると同時に、契約スピリットデッキ。契約スピリットの大半はアタック時にカウントを増やし、その増えたカウントを活かして契約煌臨などの効果を発揮させて行く。つまり、必然的に最初にアタックできる後攻が有利に働くデッキになるんだ」
「へぇ」
「なのになんで彼は先攻を選んで、わざわざキングに後攻を渡したんだ」
己も契約スピリットのデッキを使用しているからか、契約スピリットのデッキに詳しいメイ。因みにライも契約スピリットのデッキを使用しているので、この手の特徴はある程度理解している。
「う〜む。オーカの鉄華団は、逆に先攻有利なデッキって言うのもあるんだろうけど、多分1番の理由は、あのキングって人の本気に勝ちたいからだと思う」
「本気?」
「うん。例えどんな修羅の道でも、全身全霊を込めた相手のバトルスピリッツを、オーカミは鉄華団と共に乗り越えたいんだよ。アイツはそう言う奴だから。まぁでも正直、先攻後攻だから何って感じの相手に見えるけど」
終始ほぼ無表情で、全く感情を表に出さないオーカミに理解のあるライ。彼の今の心情を答えて見せる。
「面白い、勝利のため、敢えてリスクを選択するか。よかろう、ならば掛かって来るがいい」
「あぁ行くぞ、オレのターンだ」
先攻と後攻の選択を終え、ようやく始まろうとする2人のバトルスピリッツ。
そんな折、観客席の隅っこで、壁に背中を当てながらそれを眺める人物が1人、オーカミ達の担任の女教師、ブイだ。
「やれやれ、待ち侘びたよ。さぁ見せてもらおうかな、伝説の『
掛けているサングラスを定位置に戻しながらそう呟くブイ。
中心のバトル場では、遂にオーカミが己のターンを開始して行き………
[ターン01]鉄華オーカミ
「メインステップ……」
オーカミの先攻。最初のターン、彼の手札で今使えるカードは、スピリットの「ガンダム・バルバトス[第1形態]」と、創界神ネクサスの「クーデリア&アトラ」………
使えるのはこの2枚か。アイツの契約スピリット、ベビーゴジラはアタック時にBP5000以下のスピリット1体を破壊する。
なら、破壊されないコイツを先に出す。
「オレは創界神ネクサス、クーデリア&アトラを配置」
ー【クーデリア&アトラ】LV1
オーカミの初手は創界神ネクサスカード。神託の効果により、3枚のカードがデッキ上からトラッシュし、3つのコアがそこへと追加された。
「ターンエンド」
手札:4
場:【クーデリア&アトラ】LV2(3)
バースト:【無】
ベビーゴジラに破壊されるスピリットではなく、ネクサスカードを初手に置いたか。無難な手だな。
いや、コイツが口先だけのカードバトラーでないのであれば、私が想像もつかないような企みがあるに違いない。
「私のターンだ」
互いに読み合いを繰り広げる中、次はキングが己の最初のターンを進行して行く。
[ターン02]キング王
「メインステップ、我が右腕、ベビーゴジラをLV1で召喚」
ー【ベビーゴジラ】LV1(1)BP3000
キングの初手は当然、小さなゴジラ、契約スピリットのベビーゴジラ。
「バーストをセットし、アタックステップ。ベビーゴジラでアタック。そのアタック時効果で私のカウントを+2。この瞬間、手札から三賢神ラルヴァンダードの効果を発揮、1コストで自身を召喚」
ー【三賢神ラルヴァンダード】LV1(1)BP3000
「この効果でラルヴァンダードを召喚した時、1コアブースト、1ドロー」
ベビーゴジラが走り出すと同時にキングのフィールドへと出現したのは、黄金の装飾を身に纏う三賢神のスピリット、ラルヴァンダード。その力で彼にコアとカードの恩恵を与える。
「ベビーのアタックは継続中だ」
「ライフで受ける」
〈ライフ5➡︎4〉鉄華オーカミ
走り出したベビーゴジラが、体当たりでオーカミのライフバリア1つを粉砕。キングに先制点を齎した。
「私はこれでターンエンド」
手札:3
場:【ベビーゴジラ】LV1
【三賢神ラルヴァンダード】LV1
バースト:【有】
カウント:【2】
……あのバースト。
キングは己の最初のターンをエンドとする。
バトルは一周し、再びオーカミのターンを迎えるが、彼はキングのセットしたバーストカードへと意識を向けていて………
[ターン03]鉄華オーカミ
「メインステップ。バルバトス第1形態をLV2で召喚」
ー【ガンダム・バルバトス[第1形態]】LV2(3S)BP5000
オーカミがこのバトルで最初に呼び出したスピリットは、バルバトスの第1形態。その召喚時効果は、鉄華団デッキを回すにあたって必要不可欠。
「召喚時効果、デッキ上3枚をオープンし、その中にある鉄華団1枚を手札に加える」
オーカミのデッキ上から公開される3枚のカード。彼はその中にある「オルガ・イツカ」のカードへと目をやり、手に取る。
「オルガを手札に加える」
「……」
「そのままこれを配置」
ー【オルガ・イツカ】LV1
オーカミが配置したのは、鉄華団デッキのキーカード、展開の要、オルガ・イツカ。クーデリア&アトラ同様、神託の効果でデッキ上3枚がトラッシュへ行き、その上に2個のコアが追加された。
アイツのバースト、召喚時にも手札増加時にも反応しなかったって事は、ライフ減少後の『クリアウォール』か。
今アタックしてもカウントを増やされるだけ。なら次のターン、それを使った上で凌ぎ切れない攻撃を叩き込む。
「アタックはしない。ターンエンドだ」
手札:4
場:【ガンダム・バルバトス[第1形態]】LV2
【オルガ・イツカ】LV1(2)
【クーデリア&アトラ】LV2(4)
バースト:【無】
『クリアウォール』を読んでのターンエンドか。
一度私とバトルしたのだから、当然の判断だな。
キングが伏せていたバーストカードを読み、アタックは行わずにそのターンをエンドとするオーカミ。
事実、その予想は的中していた。キングのバーストカードは白マジック「クリアウォール」………
これが発動して仕舞えば、キングのライフが回復する上に、カウントは4まで増加。そうなればキングのデッキが加速するのは必至であるため、この判断は英断であると言える。
[ターン04]キング王
「メインステップ、マジック、フォースブライトドローを使用。私のカウントが2以上の時、デッキから3枚のカードをドロー」
キングは赤のマジックカードを使用し、デッキ上から3枚のカードをドロー。
そして即断即決。彼は増加した手札を一眼視認するなり、その内の1枚を引き抜く。
「暴竜アンギラスをミラージュへセット」
キングはここでミラージュをセット。コントとのバトルで彼を大いに苦しめた『暴竜アンギラス(1972)』のカードだ。
コイツはフラッシュタイミングで2コストを支払う事でミラージュから召喚できるだけでなく、手札からゴジラの【契約煌臨】をソウルコア無しで行え、さらにカウントまで加速させる優れ者だ。
さぁどう出る。
面白い。
でもコレくらいで臆するオレじゃない。
「序盤から気が抜けないね。凄い読み合いだ」
そう呟いたのは、観客席でバトルを観戦している桜田メイ。
何気なくターンを進めて行く両者であるが、その水面下で激しい読み合いをしている事を理解できるのは、ノヴァ学園でも極小数であろう。
「それにしても、正直鉄華オーカミには驚いたよ。まさか友達のためにキングにケンカを売るなんてね」
「オーカミだからね。アイツ、冷めてるように見えて、意外と友達想いなんだ。さっきも身体が考えなしで動いたんだと思う」
オーカミに対して驚いたと告げるメイに、ライがそう返答する。
オーカミと言う少年は昔からそうだ。自分の大事なモノのためなら、命を投げ出す事すら厭わない。例え相手が最強のキングでも、最凶の科学者であっても、迷わずにケンカを売る。
「ふふ。流石はライちゃんの『彼氏』と言った所かな」
「え」
「ん?」
メイの口から「彼氏」と言う単語が出て来るなり、表情が固まるライ。直後に2人は顔を見合わせる。
「え、違うの?……普段からあんなに距離近いのに」
メイがライに訊いた。
これは当然の疑問である。普段からライはオーカミとの距離が異常に近い。彼の横を歩く時はその腕に手を回したり、弁当を作って彼に食べさせたり、その行為には余念がない。
故に、オーカミとライが「彼氏」と「彼女」の、いわゆる「恋人同士」の関係であると思われても、何ら不思議ではないのだ。
実際の所はそう言う関係ではない。ライがオーカミに対して超一方的な片想いをしているだけである。
「ふ、バレたか。そう、私はアイツの彼女です」
「わぁ、やっぱりそうなんだ!!」
ライはウソをついた。それも清々しく、堂々と。
これは、作り話でもいいからオーカミの彼女でいたいと言うライの気持ちの表れだ。もちろん、オーカミから大事にされている事は紛れもない真実ではある。
「ベビーのLVを2へ上げてアタックステップ。ベビーでアタック」
視点はオーカミとキングのバトルへ戻る。キングはベビーゴジラのLVを2へと上昇させ、それでアタックを行う。
「ベビーのアタック時効果、カウント+2。発揮後、BP5000以下のバルバトス第1形態を破壊」
ベビーゴジラの口内から放たれた火炎弾が、オーカミのフィールドにいるバルバトス第1形態に命中。それを爆散へと追い込む。
「コレを待ってた。鉄華団スピリットが相手によってフィールドを離れる時、手札からフラウロスの効果を発揮」
「!」
「自身をノーコスト召喚する。LV2で来い、フラウロス」
ー【ガンダム・フラウロス[流星号]】LV2(3S)BP10000
破壊されたバルバトス第1形態の代わりにフィールドへと降り立ったのは、マゼンタカラーの装甲に、多くの銃火器を備えた、ガンダムの名を持つ鉄華団スピリットの1体、フラウロス。
さらにこのタイミングで発揮できるカードが、今のオーカミの手札にもう1枚………
「フラウロスは流星号。よって手札からパイロットブレイヴ、ノルバ・シノの効果を発揮。追加で召喚、フラウロスに直接合体し、コア2個以下のラルヴァンダードを破壊」
ー【ガンダム・フラウロス[流星号]+ノルバ・シノ】LV2(3S)BP14000
スピリットが破壊されたタイミングで、強力な合体スピリットを爆誕させるオーカミ。
フィールドではフラウロスが、背部にマウントしていたマグナムを手に取り、それでキングのラルヴァンダードを撃ち抜き、爆散させる。
「ベビーのアタックはフラウロスでブロック。シノのアタックブロック時効果、手札1枚を破棄する事で、2枚ドロー」
「……」
「そして、バトルでベビーゴジラも破壊だ」
フラウロスは、フィールドを駆け抜けるベビーの足元へ向けて、使用したマグナムを投げつける。
驚いたベビーが足を止めると、その瞬間にフラウロスが迫り、ベビーを鷲掴み。そのまま地面へと叩きつけて爆散させた。
契約スピリットであるベビーは、半透明の魂状態となって、キングの側へ舞い戻る。
「ターンエンド」
手札:5
場:【ベビーゴジラ】魂状態
バースト:【有】
ミラージュ:【暴竜アンギラス(1972)】
カウント:【4】
カウントを増加させたものの、フラウロスによる手痛いカウンターを受けてしまったキングだが、その冷静な表情を一切揺るがさず、ターンエンドの宣言。
[ターン05]鉄華オーカミ
「メインステップ。大地を揺るがせ、未来へ導け!!……ガンダム・バルバトス第4形態、LV1で召喚……!!」
ー【ガンダム・バルバトス[第4形態]】LV1(1)BP5000
口上と共にオーカミのフィールドへと新たな出現するのは、黒き戦棍メイスを手に持ち、背部に日本刀をマウントしたモビルスピリット、ガンダム・バルバトス第4形態。
「バーストをセット。シノをバルバトス第4形態に合体。さらにLV3へアップ」
ー【ガンダム・バルバトス[第4形態]+ノルバ・シノ】LV3(4)BP16000
フラウロスからブレイヴとコアを吸収し、バルバトス第4形態はLV3の強力な合体スピリットへと変貌を遂げる。
「これで準備は整った、アタックステップ。バルバトス第4形態でアタック」
第5ターン目にしてようやく攻撃を仕掛けるオーカミ。バルバトス第4形態がメイスを構え、フィールドへと駆け出していく。
「LV3のアタック時効果で紫シンボル1つを追加し、トリプルシンボル。シノの効果で手札1枚を破棄する事で、2枚ドロー」
アタック時効果により、バルバトス第4形態は一撃で3つのライフを破壊できるトリプルシンボルに。
さらにこのターン、フラッシュタイミングで発揮できる効果も存在し………
「フラッシュ、オルガの【神域】の効果。オレのデッキ上3枚を破棄して1枚ドロー、このターンオマエは効果でアタックステップを終了できない」
「……」
「クーデリア&アトラの【神域】が誘発。鉄華団の効果でデッキが破棄された時、トラッシュにある紫1色のカードをデッキ下に戻して1枚ドロー」
オルガの効果で、このターン「アタックステップを終了させる」効果を持つカードは全て無力化。
これにより、キングはバーストとしてセットした「クリアウォール」のフラッシュ効果を発揮できない。
「まだだ。クーデリア&アトラの【神技】を発揮、クーデリア&アトラのコアを5個ボイド、トラッシュの鉄華団1枚をデッキに置く事で、アタック中のバルバトス第4形態を回復」
アタック中のバルバトス第4形態が、クーデリア&アトラの【神技】の効果で回復。このターン、二度のアタックを行う権利を得る。
今現在のバルバトス第4形態は、アタック中トリプルシンボルとなるため、二度のアタック全てがライフに通ればリーサルとなり、オーカミの勝ちだ。
「バルバトス第4形態のアタックはライフで受けよう」
〈ライフ5➡︎2〉キング王
一度目の一撃が炸裂。バルバトス第4形態による、メイスを縦一線に振るう強烈な攻撃は、キングのライフバリアを一気に3つも破壊する。
「ライフ減少によるバースト、クリアウォール。私のカウントを+2、ライフを1つ回復」
〈ライフ2➡︎3〉キング王
「だけどその後の効果でコストを支払っても、オルガの効果でアタックステップは終了できない」
「……」
「もう一撃、バルバトス第4形態でアタック……!!」
二度目となるバルバトス第4形態の攻撃。先述した通り、トリプルシンボルであるため、決まればオーカミの勝ちである。
しかし、キングがコレを安易に通すわけがなくて。
「フラッシュ、ミラージュとしてセットしているアンギラスの効果を発揮。2コストを支払い、自身を召喚」
ー【暴竜アンギラス(1972)】LV2(2)BP6000
何もなかったキングのフィールドに出現したのは、背中に幾千もの棘を生やした四足歩行の怪獣、アンギラス。
あのゴジラと友好的な関係を築いている希少なスピリットである。
「この効果で召喚した時、ソウルコアを使わずにゴジラの【契約煌臨】を行う。私は魂状態のベビーに、手札のリトルゴジラを契約煌臨」
ー【リトルゴジラ[2]】LV2(3)BP10000
魂状態となっていたベビーがフィールドへ戻り、巨大化。やや幼いゴジラ、リトルゴジラとなって復活を果たす。
「アンギラスの召喚時効果でカウント+2。バルバトス第4形態のアタックは、リトルゴジラでブロック」
リトルゴジラは、口内からの火炎放射でバルバトス第4形態の足を止めさせる。
しかし、足止めができたのはほんの僅かな時間であり、メイスで火炎放射を薙ぎ払ったバルバトス第4形態により蹴り飛ばされ、爆発四散の最期を迎えた。
「バルバトス第4形態の効果。各バトルの終了時、トラッシュから1コストで鉄華団を呼ぶ」
シンボル増加によりフィニッシャーになれるだけでなく、トラッシュからのスピリット召喚効果と言うエンジン的な役割も担っているバルバトス第4形態。
オーカミはそれを発揮させ、一気にキングを追い詰めようと画策していたのだが………
「使わせると思うか?」
「!」
「ゴジラスピリットが相手によって破壊された時、手札からゴジラウルティマの効果を発揮。自身を1コストで召喚する」
「なに」
まるで意趣返しだと言わんばかりに、キングは手札1枚を己のBパッドへと叩きつける。
「私に隷属する、古代の王者。今こそ叛逆せし者達へ無限の鉄槌を下せ!!……ゴジラウルティマ、LV2で召喚!!」
ー【ゴジラウルティマ〈S.P〉】LV2(3)BP14000
どこからか吹き出した赤き粉塵より出現するのは、黒い鎧のような逆鱗を持つ、ゴジラウルティマ。長き歴史を持つ、強力なゴジラスピリットの1体である。
「ッ……そいつ、自分の効果でも召喚できるのか!?」
「召喚アタック時効果。相手の最もBPの高いスピリット1体を破壊する。散れ、バルバトス第4形態……!!」
ウルティマは自慢の大顎を、敵陣に向けて開口。その瞬間、7つの大小異なる大きさの光輪が前方に発生すると、それらを潜り抜けるように口内から原子ビームを放出。
バルバトス第4形態はそれに飲み込まれ爆発四散してしまう。
「バルバトス第4形態のトラッシュからスピリットを召喚する効果の発揮タイミングは、アタックしたバトル終了時。終了前に破壊して仕舞えば使えまい」
「くっ……ターンエンドだ」
手札:5
場:【ガンダム・フラウロス】LV1
【ノルバ・シノ】LV1
【オルガ・イツカ】LV2(5)
【クーデリア&アトラ】LV2(2)
バースト:【有】
コントとの試合では『ゴジラテレストリス』と言うカードのアタック時効果で召喚されていたゴジラウルティマ。
そのカードが己の効果で自分のターンに飛んで来た事は、流石のオーカミでも読み切れなかった様子。
「ボールボルボルボル!!……アイツ、キングの掌の上で踊らされてやがる。いい気味だぜ」
「ぐぬぬ……おいオーカミ、貴様負けたら退学だぞ、オレとの決着をつけられなくなるんだぞ、わかってるのか!!」
ここまでのバトルの結果を見て、上機嫌になるダホウ。さっきまでの威厳はどこへ飛んで行ったのか、急に焦り始める獅堂レオン。
バトル場に立つ2人には、彼らの声が微かに聞こえて来るが、今は完全無視。
[ターン06]キング王
「メインステップ。ゴジラテレストリスをLV2で召喚」
ー【ゴジラテレストリス〈S.P】LV2(3S)BP10000
迎えたキングのターン。ウルティマとアンギラスのいるフィールドへと投下されたのは、ウルティマの進化前、大型の肉食恐竜のような外観をした、ゴジラテレストリス。
「アタックステップ、ゴジラテレストリスでアタック。その効果でカウント+2。BP10000以下のスピリット、ノルバ・シノを破壊」
召喚したてのテレストリスで攻撃を仕掛けるキング。その効果により彼のカウントは10を達成。オーカミのBパッド上にあるパイロットブレイヴ「ノルバ・シノ」のカードがトラッシュへと誘われた。
「2つ目のアタック時効果。デッキから2枚ドロー、その後テレストリス自身をデッキ下に置く事で、進化する」
「ッ……まさか」
オーカミが察したのも束の間、キングはテレストリスのカードをデッキ下へと送り、それに代わる新たなスピリットを手札から呼ぶ。
「来い、ゴジラウルティマ」
ー【ゴジラウルティマ〈S.P〉】LV2(3S)BP14000
赤き粉塵を纏い、ゴジラテレストリスは進化する。より硬く、より強く。
こうして出現したのは、2体目となるゴジラウルティマ。登場するなり、1体目と共鳴するかの如く咆哮を張り上げる。
「キングのエースカードが、2体」
「フ……エースカードか。ウルティマの召喚アタック時効果、フラウロスを破壊」
2体目の口内から放たれる原子ビーム。それはフラウロスをあっという間に飲み込み、爆散させる。
「私のカウントが10になった事で、ベビーゴジラの真の力が解放。私のスピリット全てに赤シンボル1つが付与される」
「くっ……」
カウント10を達成した事で、ベビーゴジラの効果が解禁。キングのフィールドにいる3体のスピリットに赤シンボルが1つずつ与えられ、いずれも一撃で2つのライフを破壊できるダブルシンボルスピリットとなる。
「1体目のウルティマでアタック。効果により、貴様はコスト4以下のマジックカードを使う際、先にライフ2つを差し出さなければならない」
追撃を仕掛けるキング。その指示に従い、最初に召喚されたウルティマが、オーカミ目掛けて走り始める。
反撃に出たいこのタイミングであるが、肝心のオーカミの手札には、この状況を打開するカードがなくて………
「……ライフで受ける」
〈ライフ4➡︎2〉鉄華オーカミ
ウルティマはオーカミに接近し、その眼前に存在するライフバリア2つを尾で薙ぎ払う形で破壊。
「ライフ減少後のバースト。そうなのだろう?」
「ッ……バースト発動」
キングに完全に手の内を読まれているオーカミだが、他に手がない以上やるしかないか、前のターンに伏せていたバーストカードを勢いよく反転させる。
「ガンダム・バエル。バースト効果により、先ずは自身を召喚」
「……」
「数多の魔を従えし首魁、長き眠りから目覚め、混沌の世に覇を唱えよ!!……ガンダム・バエル、LV2で召喚」
ー【ガンダム・バエル】LV2(3)BP13000
神々しい輝きを放つ天空。そこより舞い降りて来たのは、白銀の装甲に身を包んだ、スマートなモビルスピリット。
その名はガンダム・バエル。オーカミのデッキで、唯一鉄華団ではないスピリットだ。
「ほぉ。少しはまともなスピリットを所持しているようだな」
「召喚時効果。互いのデッキ上を3枚オープン、その中にある紫のコスト6以下のカードをノーコストで好きなだけ召喚できる」
ガンダム・バエルの持つ、デッキ上から紫スピリットを展開する効果が発揮。
相手にも召喚される可能性があるこの効果だが、今回の相手は赤属性が基本のキング王。彼のオープンカードには、この効果で召喚できるカードは一切めくれず、逆に紫デッキを使うオーカミのオープンカードには、当たりのカードが合計2枚散見され………
「よし。オレはグシオンリベイクとグシオンリベイクフルシティを召喚……!!」
ー【ガンダム・グシオンリベイク】LV2(3S)BP9000
ー【ガンダム・グシオンリベイクフルシティ】LV1(1)BP5000
バエルが天空に両手を掲げると、同じく天空の輝きから、鉄華団の守護神グシオンリベイクと、その進化系であるグシオンリベイクフルシティが出現し、フィールドへと着地する。
「グシオンリベイクの召喚時効果。アタックしてない方のウルティマから2つのコアをリザーブに置く」
グシオンリベイクは登場するなり、マシンガンを手に持つと、それをウルティマへと掃射。
ウルティマは消滅こそしなかったものの、体内のコアが弾き出され、LVが2から1へと減少した。
「ターンエンド」
手札:4
場:【ゴジラウルティマ】LV2
【ゴジラウルティマ】LV1
【アンギラス(1972)】LV2
【ベビーゴジラ】(魂状態)
バースト:【無】
カウント:【10】
このターンは決めきれないと判断したか、キングは結果的にウルティマ1体とアンギラスをブロッカーとして残し、そのターンをエンド。
「どうした鉄華オーカミ。ここまでは全て私の想定の範囲内だ。貴様の実力はそんなものか」
「……なわけないだろ」
オーカミを煽るキング。それに反応するように、オーカミの雰囲気は、やや刺々しくなって行き………
「……ここからだ」
絶体絶命の状況からの大逆転を目指すべく、鉄華オーカミのターンが幕を開ける。
[ターン07]鉄華オーカミ
「メインステップ。グシオンリベイクを対象に【煌臨】を発揮」
メインステップ開始早々、ソウルコアをコストに【煌臨】の効果を発揮するオーカミ。フィールドでは、彼の背後から突然現れた、巨腕を持つ白いモビルスピリットの影が、グシオンリベイクと重なり合い、1つの存在となって行く。
「天地を揺るがせ、未来よ響け!!……ガンダム・バルバトスルプスレクス、煌臨。さらにLV3にアップだ」
ー【ガンダム・バルバトスルプスレクス】LV3(5)BP16000
こうして爆誕したのは、バルバトスの最強形態、ルプスレクス。身の丈程ある超大型メイスを振り回し、構え、戦闘態勢に入る。
そんなルプスレクスを視認するなり、キングの瞳は鋭さを増して……
「ルプス、レクスだと?……私の前で『王』を名乗るとは、良い度胸をしているな」
「知らないよそんな事。アタックステップ、その開始時にオルガの【神技】を発揮。オルガのコア4つをボイドへ送り、トラッシュから鉄華団、パイロットブレイヴの三日月を召喚し、バルバトスルプスレクスと合体……!!」
ー【ガンダム・バルバトスルプスレクス+三日月・オーガス】LV3(5)BP27000
「バエルの効果。自分のアタックステップ中、合体スピリットのBPを+5000」
三日月との合体。バエルの効果が合わさり、ルプスレクスのBPは27000まで上昇。打倒キングを目指して攻撃を仕掛けて行く。
「ルプスレクスでアタック。アタック時効果でデッキ上2枚を破棄し、鉄華団があればシンボル1つを追加」
当然鉄華団のカードが破棄され、ルプスレクスにシンボル1つが追加、トリプルシンボルとなる。
「クーデリア&アトラの【神域】でドロー。さらにもう1つのアタック時効果、オレのトラッシュが10枚以上ある時、このターンの間、オマエの全てのスピリットとネクサスのLVコストを+1する」
「……」
「三日月の効果でアンギラスのLVはさらに+1。よって回復状態のウルティマと、アンギラスが消滅……!」
ルプスレクスの背面の剣。それが尾のように伸び、キングのフィールドにいる全てのスピリットを斬り付ける。
アンギラスとウルティマ1体が塵芥となり消滅。もう1体のウルティマは辛うじて生き残るも、疲労状態であるため、アタック中のルプスレクスをブロックできなくて………
「ルプスレクスはトリプルシンボル、残り3つのオマエのライフ全てを破壊する」
キングの元へと急接近するルプスレクス。その手に持つ超大型メイスを、彼のライフバリアへ叩きつけようと、振り下ろす。
だが………
「フラッシュマジック、白晶防壁」
「!」
「私のカウントが1以上の時、このターンの間、私のライフは1しか減らない。ルプスレクスのアタックはライフで受ける」
〈ライフ3➡︎2〉キング王
衝突直前、前方に展開された半透明のバリアが緩衝材となり、砕けたライフバリアの数は僅か1となってしまう。
キングの使用した白マジック『白晶防壁〈R〉』の効果により、このターン中、彼のライフバリアはこれ以上一切減少しない。故に、彼の敗北も、オーカミの勝利もありえない。
「……だけど、オレのターンが終わったわけじゃない。バエルの効果でルプスレクスを回復。そしてフルシティでアタック、その効果でオレのデッキ上2枚を破棄。破棄された紫1色のカード1枚につき、相手フィールドのコアを2つリザーブに置く」
破棄されたカードは全て紫のカード。合計4つのコアをリザーブに置ける。
「残ったウルティマを消滅」
フルシティは、腰部にマウントした巨大なシザーシールドを展開。ウルティマの身体を挟み込み、切断して爆散へと追い込む。
「……ターンエンド」
手札:10
場:【ガンダム・バルバトスルプスレクス+三日月・オーガス】LV3
【ガンダム・グシオンリベイクフルシティ】LV1
【ガンダム・バエル】LV2
【オルガ・イツカ】LV2(3)
【クーデリア&アトラ】LV2(4)
バースト:【無】
戦況は逆転できたものの、勝利までには至らずとなったこのターン。オーカミはその表情を悔しさに歪ませながら、ターンをエンドとする。
「残念だ。意気揚々と挑んで来て、結局このザマとは」
「なに」
「冥土の土産に見せてやろう。我がゴジラ、その真の力の一端を」
そうオーカミに告げると、次のターンが終幕だと言わんばかりの態度で、キングは巡って来た己のターンを進めて行く。
[ターン08]キング王
「メインステップ、魂状態のベビーゴジラを対象に【契約煌臨】を発揮」
キングが発揮させたのは、契約スピリットのお家芸【契約煌臨】……
その瞬間、魂状態となっていたベビーゴジラはフィールドへと帰還し、激しい咆哮を張り上げると、その身は爆炎の中へ包み込まれて行く。
「怪獣の王ゴジラ、その頂点に君臨する苛烈なる帝王!!……バーニングゴジラ、LV2で契約煌臨……!!」
ー【バーニングゴジラ(1995)】LV2(5)BP31000
ベビーゴジラを包み込んだ爆炎を熱風として吹き飛ばし、中より出現したのは、胸や背鰭、身体の随所が炎のように赤く燃え上がっているゴジラ、バーニングゴジラ。
ゴジラの頂点に君臨する、苛烈なる帝王である。そのBPは三日月とバエルにサポートされたルプスレクスのBPをも超える、31000。
「エースはウルティマじゃないのか!?」
「バーニングゴジラの煌臨アタック時効果を発揮、シンボル2つ以下のスピリット1体を破壊。消し炭となれ、バエル」
高温過ぎるが故に蒸気を纏うバーニングゴジラの口内より放たれる赤き熱線。
それがバエルへと直撃、瞬く間に溶解し、爆散してしまう。
「この効果発揮後、トラッシュにあるリトルゴジラを、バーニングゴジラの煌臨元とする」
バエル爆散の直後、キングのトラッシュにある『リトルゴジラ[2]』のカードが、バーニングゴジラのカードの下へと吸い込まれる。
「バーニングゴジラは自身の煌臨元にあるゴジラの【OC】効果を得る。故に、たった今、リトルゴジラの【OC】効果、自身のBP破壊効果の上限を+5000するを得た」
「ッ……他のゴジラの効果を吸収した」
他のゴジラの効果を吸収する力を持つバーニングゴジラ。効果を発揮すればする程に、その力は際限なく増して行く。
「アタックステップ、バーニングゴジラよ、全てを焼き尽くせ。再び煌臨アタック時効果を発揮、シンボル2つ以下のバルバトスルプスレクスを破壊する……!!」
「ルプスレクス……!?」
再びバーニングゴジラの口内より放たれる赤き熱線。稲妻をも纏ったそれは、バルバトスルプスレクスを難なく貫き、溶解。最後には爆散させる。
「効果発揮後、今度は手札より怪獣王ゴジラのカードをバーニングゴジラの煌臨元とし、バーニングゴジラはその【OC】効果、BP破壊効果の上限を+10000、対象を全体化するを得る」
これでバーニングゴジラの煌臨元は3枚。
今度はそれを活かした効果を発揮させて行く。
「煌臨元のベビーゴジラの効果。カウント+2、効果発揮後、BP5000以下のスピリット1体を破壊する。それが獲得したリトルゴジラの【OC】効果で+5000、怪獣王ゴジラで+10000と全体化。よって、20000以下のスピリット全てを破壊するに変更。貴様の残ったスピリットとブレイヴを完全焼却……!!」
バーニングゴジラの眼光が赤く輝くだけで放たれる、超高温の大熱波。それがオーカミのフィールドに残った唯一のスピリット、フルシティを焼き払い、Bパッド上に残ったパイロットブレイヴ、三日月をトラッシュへと誘う。
「これで、鉄華オーカミを守るスピリットは0……」
「……オーカの負けだ」
観客席で2人のバトルを見守る桜田メイと春神ライがそう言葉を落とす。
そうだ。この時点でオーカミの敗北は確定。後はただ、バーニングゴジラにライフが破壊されるのを待つのみ………
「バーニングゴジラは元よりダブルシンボルのスピリット。それがベビーゴジラの効果で強化され、トリプルシンボルのアタック」
「ッ……」
「やれ、バーニングゴジラ。奴に、弱者に裁きの爆炎を……!!」
口内より、これまでとは比較しようがない程の爆炎を放出するバーニングゴジラ。
その爆炎は、瞬く間にオーカミのライフバリアを飲み込んで行き………
「うあぁぁぁあ!!」
〈ライフ2➡︎0〉鉄華オーカミ
ライフバリアが砕ける音すら飲み込む、バーニングゴジラの爆炎。
その瞬間、オーカミのライフバリアは0となり、彼のBパッドから「ピー……」と言う無機質で甲高い機械音が流れる。
「勝者は常に、この私だ……!!」
オーカミを相手に難なく完全勝利を収めて見せたキング。そう告げると、最後まで生き残ったバーニングゴジラが、気高く、それでいて獰猛さも感じさせる咆哮を張り上げる。
「ボールボルボルボル!!!……流石はキング。これで目障りな鉄華オーカミは退学、ライちゃんはオレ様のモノだ!!」
キングが勝利した傍ら、甲子園ダホウが大いにそれを喜んでいた。無理もない、ライを自分のモノにするために最も障壁であった鉄華オーカミの退学がこの時点で確定したのだから。
「ぐぬぬ。認めん、認めんぞオレは。キングに直談判して来る」
「よせレオン。キングはこの学園で最もガッチャな男。アイツの決定は、絶対だ」
納得のいかない結果に、レオンがキングに意を唱えようとするが、サンドラがそれを制止させる。
「私の勝ちだ。約束通り、デッキを渡して貰おうか。その後はとっととこのノヴァ学園から立ち去れ」
「……」
オーカミが敗北し、事態は最悪な状況を迎える。
このまま行けば、コントだけでなく、オーカミもデッキをキングに取られ、この学園に二度と足を踏み込めなくなってしまう。
「ちょおっと待ったァァァ!!」
「!」
第二バトルスタジアムに響いたのは、オーカミでもキングでもなく、若い女性の声。
ブイだ。彼女は観客席から、オーカミとキングのいるバトル場へと飛び降りる。
「ブイ?」
「よっ!…オーカミ。なかなか良いバトルだったじゃないか」
「貴女は、1年担当の教師ですか。序列1位であるこの私の判断に、何か不満でも……?」
能天気なブイ。キングに鋭い眼差しを向けられても常にヘラヘラしている。
「いや〜〜不満って言うか、疑問って言うか」
「疑問?」
「あぁ、やっぱり知らなかったんだ」
直後、ブイはキングの肩に手を置き、彼にのみ聞こえる声で呟く。
「あの子は、この時代の月王者だ」
「ッ……なんだと!?」
その瞬間、バトル中でさえ一度も揺らぐ事のなかったキングの表情が初めて揺らいだ。
信じられないと言わんばかりの血相でオーカミを凝視する。
「鉄仮面かと思ってたけど、意外と人間らしい顔できるじゃん。ずっと探してたんだろ?……君は太陽王者だもんな」
「……」
「このまま退学させてもいいのかな?」
「何故貴様は、太陽王者と月王者の事を知っている」
「おいおい、聞いてるのはこっちだよ。退学させてもいいのかな?」
「……」
ブイの言葉に険しい表情を見せるキング。しばらく沈黙を続けると、意を決してオーカミに一言告げる。
「……今回の件は、不問とする」
「え?」
キングの発言に会場がどよめく。さっきまであれ程までに退学にさせようとしていたにもかかわらず、いきなり不問と言い放ったのだから、無理もない。
「どうしたんだよ急に。別にまた来年来るから退学でもいいぞ」
「……貴様に拒否権はない」
「マジか」
「おっと、ついでにコントも見逃してやってくれ」
「……よかろう」
そうブイに告げられると、最早どうでもよくなったのか、あっさりとコントの退学の件も不問に帰すキング。取り上げた彼のデッキを、ブイへと手渡す。
「うん確かに、あの子のデッキだ」
「……」
「さっきの話、知りたくなったら職員室来いよ。いつでも大歓迎だからさ」
「……」
無言でこの場から立ち去ろうとするキングに対して、ブイがそう言い放った。キングはほんの僅かな時間だけ進む足を止めるが、またすぐに進み出す。
信じられん、アイツが月王者だと……!?
まさかその歳でまだ『覚醒』していないとでも言うのか。
『月王者』『太陽王者』『覚醒』………
謎だらけのキーワード達が次々と現れる中、判明した事は、今のオーカミではキングに到底敵わないと言う事実のみ。
「……」
本気で勝利する気だった故の、仄かに滲み出てくる悔しさ。
オーカミはそれを握り潰すかのように、無言且つ無表情のまま、己の拳を固めた。
次回、第74ターン「禁断、アンリミテッドバトル」
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《キャラクタープロフィール》
【
性別:男
年齢:15
身長:172cm
誕生日:8月3日
使用デッキ:【閃光】
概要:ノヴァ学園の1年。オーカミのルームメイト。
「モテ」に対する欲が人一倍強く、ノヴァ学園に入学したのも、それが理由である。オーカミに対して意地を張る場面がチラホラ存在する。
大事な事を二度言うタイプ。しかし大半の場合、二度目は無視されるケースが多い。「バカタレ」が口癖。
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次回はちょっと変則的なルールでバトスピします。