バトルスピリッツ 王者の鉄華   作:バナナ 

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第79ターン「洗練、鉄華団VSガッチャード」

「我がノヴァ学園へようこそシグマ教授。ブイ先生からお話はお伺いしておりました。今年の二学期から、是非その卓越したバトルスピリッツの技術を、学園の生徒達にご教授の程、よろしくお願い致します」

 

 

多くの色彩重なる、鮮やかなステンドグラスが張り巡らされた、神聖なる神殿を思わせる、ノヴァ学園内のとある一室。

 

その一室にある豪華絢爛な玉座に腰を下ろすのは、透き通るような長い金髪を持つ美しい女性、学園長。そんな彼女に対して敬意を表すように片膝をつくのは、謎多きファンキー老婆。カリスマ教師シグマ。

 

 

「かの学園長に、そこまで太鼓判を押してもらえるとはねぇ。身に余る光栄だが、あいにくアタシは見ての通り、ただの老いぼれさね。精々他の教師の負担を軽減してやるのが積の山ですよ」

「ご謙遜を」

「カッカッカ。アタシが、そんなしょうもない謙遜をするような顔に見えますか?」

 

 

オーカミらの前では偉そうに堂々とした態度で己を「カリスマ教師だ」と名乗っていたが、相手がノヴァ学園を統治する最高責任者である学園長であるからか、今のシグマはやけに腰が低い。

 

 

「では、二学期からよろしくお願いします。老いぼれの身ですが、精々、頑張らせていただきますよ」

「お待ちください、シグマ教授。貴女にお聞きしたいことがあります」

「なんでしょう」

「貴女は、太陽王者と月王者のことを、ご存知ですか?」

「……」

 

 

学園長は、シグマの去り際、彼女に太陽王者と月王者のことを訊いた。

 

シグマは、アルファベットとブイの上司に当たる存在。ブイが学園の中でそれらに関して嗅ぎ回っていることから、彼女も当然それを知っているはずだが………

 

 

「さぁ、知りませんねぇ。無知なもので」

「そうですか。帰る足を止めてすみません。こちらこそ、二学期からよろしくお願いします」

 

 

そう告げると、シグマは学園長室を後にした。学園長は彼女の去り際、その背中を、まるで疑惑の念があるかのような目つきで凝視していて………

 

 

「終わった?……シグマのばっちゃん」

「ブイ」

 

 

学園長室の外で彼女を待っていたのは、彼女の部下である、サングラスを掛け、短め目のオレンジ色の髪を靡かせる女性、ブイだ。

 

 

「バイスは?」

「バトルした後はだいたい疲れて寝るんだよ。オマエも知ってるだろ」

「そうだった。でもビックリしちゃった、だってばっちゃん、予定よりも早くここに来るんだもん」

 

 

いつも通り明るく話し掛けて来るブイ。そんな彼女に対して、シグマは「そんなことより……」と、凄まじい鬼のような形相で彼女を睨みつけると……

 

 

「え、何。顔コワ」

「アンタ、キングにアタシらの存在を話したそうじゃないか」

「ッ……い、いやいやいや、あれは仄めかしただけと言うか、あの子も知りたがってたし」

「バカモン!!」

「ヒィ……つかなんでそんなこと知ってんの。伝えてなかったのに」

 

 

以前キングと大きく接触したことがあるブイ。その点について、シグマは彼女が震え上がる程に、厳しく説教を始める。

 

 

「その程度、少し調べたらわかるんだよ。危ない橋は渡るなといつも言ってるだろう。全く、アンタと言い、アルファベットと言い。少しは学習したらどうだい」

 

 

シグマの口から「アルファベット」の名が出て来た。やはり3人には深い関わりがある様子。以前、アルファベットの口から出た「あの方」と言うのは、おそらくこのシグマのことだろう。

 

 

「キングと学園長が義理の親子なのは知ってた筈だろう。幸いキングはまだアタシらのことを学園長に話してはいないようだったが。仮に話されていたら、どうなっていたことか」

「す、すんません」

「にしてもあの学園長、確かにアンタの言ってた通り、きな臭いね。太陽王者と月王者、本当に2つの王者の存在を知っていたよ」

「やっぱりそうだったか。って、ばっちゃんも危ない橋渡ってんじゃん!!」

「自分から訊いて来たんだよ」

 

 

シグマのその発言に、ブイは固まる。

 

太陽王者と月王者は、普通に生きているだけでは決して知る由もない単語だ。それを知っていた学園長は、必然的に、ブイやシグマの中でトップクラスに怪しい人物として名を上げることとなる。

 

何を企てているかは定かではないが、彼女の義理の息子に、太陽王者であるキングがいることが、その怪しさをより強くしている。

 

 

「まぁ、何かあるにしても、むこうから動かない限りは、こちらからは何もできない。今できることは、鉄華オーカミを強くすることだけさね。とっとと始めるよ、わざわざゲートシティまで直接足を運んだ意味がなくなるからねぇ」

 

 

何者にも理解できないであろう、ブイとシグマの会話。

 

2人の言葉の意味が全て判明するのは、まだまだ先である。

 

 

******

 

 

「新しい教師?」

「あぁ、二学期からの就任で、既にこの学園内にはいるらしい。学園長曰く、年配の女性だが、とても若々しいとの事だ」

 

 

この学園の、いわゆる生徒会的ポジションであるパワーフォースの集う場、パワーフォースルームにて、学園最強のカードバトラー、序列1位のキング王が、新任教師であるシグマの説明を、他の2人、新城サンドラと、獅堂レオンにしていた。

 

 

「ついでに、そのバトルの腕前も超一流」

「ほう、それは楽しみだな。オレらよりも実力が上なのか、試したくなって来たぞ」

 

 

キングから伝えられるシグマのバトルの強さの情報に、レオンが僅かに闘志を燃やす。

 

 

「その新任教師、オマエはどう思うキング」

 

 

サンドラがキングに訊いた。

 

 

「教師であるのならば歓迎するつもりだ。だが、そいつが取るに足らん輩であるのならば、我らパワーフォースで即刻叩き潰す」

「そうか」

 

 

相変わらずノヴァ学園をよりよくするために余念がないキング。シグマが己の邪魔立てをするような存在であるのであれば、他の弱い生徒達同様、学園から追放させる見込みのようだ。

 

そんな彼の親友であり、序列2位でもある新城サンドラは、やや複雑そうな表情を見せながらも、肯定の旨を伝える返事。

 

 

「その考えいいなキング。是非取るに足らん輩であって欲しいぞ」

「血の気が多いぞレオン。ガッチャじゃない争いなら、別に起きなくてもいいだろ」

「いや、逆にガッチャな争いってどう言う状況だ。オマエは血の気がなさすぎるぞサンドラ。オレ達カードバトラーは戦ってこそ。強いバトラーに挑むのは故に必然」

「そう言えばキング、以前話していた、この学園に潜む『驚異』とやらは見つかったのか?」

「無視をするな、無視を」

 

 

レオンとの会話を中断し、流れるようにキングに、以前話した『驚異』のことを聞くサンドラ。

 

それに対し、キングはほんのわずかな時間だけ間を空けて………

 

 

「……いや、まだ見つかっていない。オマエ達は、引き続きこの学園に潜むコントラクター達とのバトルを頼む」

「わかった。オマエがそう言うなら」

 

 

まるで進展がなかったかのような発言をするキング。

 

実際はそんなことはなく、その驚異とやらは月王者のことであり、宿主も鉄華オーカミであることまで判明している。

 

故にこれは、他の者を巻き込まないためのキングの優しさ。それを確信しているからこそ、サンドラは怪しさこそ感じつつも、それを追及することなく、素直にキングの言うことに従う。

 

 

 

今のノヴァ学園は、キングが支配することでガッチャな平和を保っている。

 

キングと言う絶対的な存在がいるからこそ、学園の者達は皆、安心して勉学とバトルスピリッツに励むことができ、ガッチャな夢を追いかけることができている。

 

驚異とやらに、それを邪魔させやしない。

 

 

 

サンドラの闘志は、静かに燃え上がっていた。

 

全ては親友、キングが統治しているノヴァ学園の秩序を守るためだ。

 

しかし、その『驚異』と評される敵が、つい先日、序列3位となったことで同僚となった、鉄華オーカミであることは、まだ知る由もない。

 

 

 

******

 

 

 

その後、シグマがノヴァ学園に現れてから、1日が経過した。

 

放課後。本日のパワーフォースとしての仕事を終えた新城サンドラは、1人寮へと帰宅しようと、カバンを手に持ち、学園内を歩いていた。

 

 

「なぁシグマ。本当に最後の鉄華団を渡さなくてよかったの?」

「!!」

 

 

その姿が見え、声が聞こえた瞬間、サンドラは冷や汗を感じつつ、反射的に物陰に隠れた。

 

 

 

な、なんだあの黒い化け物は。

 

それにあの婦人、まさか新任教師の………

 

 

 

無理もない。そこで話していたのは、おそらく新任教師であろう老婆と、謎めいた黒い異形だったのだから。

 

黒い異形であるバイスは、単に実体化できると言うだけの契約スピリットであり、実際のところは陽気な性格の持ち主で、邪悪な存在ではないのだが、見た目の黒々しさから、サンドラの第一印象は最悪だった。

 

 

「カッカッカ。確かに最後の鉄華団は、鉄華団デッキの『心臓』とも『両手両足』とも呼べる、凄まじい代物だけどねぇ」

「じゃあさっさと渡しちまった方が」

「いや、これでいいのさ。アイツは月王者。この世の『驚異』たりうる存在になれるよう、しっかりとした過程と段階を踏んで、慎重に強くさせてあげないといけないからねぇ」

「……!!」

 

 

 

月王者!?

 

驚異!?

 

鉄華団。まさか、鉄華オーカミが、キングの言っていたこの学園の驚異だとでも言うのか!?

 

 

 

不意打ちだったとは言え、隠れながら2人の会話を訊いてしまったサンドラ。シグマの口から出た『驚異』『鉄華団』と言うワードから、鉄華オーカミを連想して、冷や汗をかく。

 

単に『脅威』と言う単語だけなら、彼はここまで焦りはしなかっただろう。ただ、『その脅威は特別な王者を持つ』と言うキングの言葉と、『月王者』と言う、名前からして明らかに特別な王者であろう単語が聞こえたことで、サンドラはオーカミが『脅威』と言う存在であることを確信せざるを得なかった。

 

 

「あ、いた。シグマ」

「ッ……鉄華オーカミ」

 

 

最悪のタイミングで、鉄華オーカミが現れ、シグマに声をかけて来た。

 

先程の会話から、鉄華オーカミを学園の『驚異』へと変貌させようとしているのを理解したサンドラは、居ても立っても居られなくなるが、僅かばかりの恐怖心が、それを遮る。

 

 

「オーカミじゃん。おひさ〜〜」

「いや、昨日会ったけど」

「どうしたんだい赤髪小僧。その様子だと、随分アタシらを探していたようだが」

 

 

口振りからしてシグマとバイスを探していたことが伺えるオーカミ。

 

その左腕には、バトル中じゃないにもかかわらず、己のデッキを装填したBパッドを装着しており………

 

 

「リベンジだ。昨日アンタから貰ったカードをデッキに組み込んで再構築した、今度は負けない」

「ふむ、リベンジ、今度は負けない、か。この間の試合は中断。別にアタシはアンタに勝った記憶はないんだけどねぇ」

「オレが勝ったら鉄華団のこと、教えてくれ。知りたいんだ。アンタがなんでオレにこのカード達を送ったのか、鉄華団って言う存在がなんなのか」

「あはは、全然シグマの話聞いてねぇよコイツ」

 

 

聞く耳を全く持たず、兎に角シグマとのバトルを求めるオーカミ。

 

己の魂とも言える『鉄華団』のカード達。その秘密を知っているであろう人物と遂に邂逅を果たしたためか、その感情はらしくもなく無邪気だ。

 

 

「カッカッカ。別にそれくらいのこと、勝たなくとも、訊けば教えてやるのにねぇ。まぁいいだろう赤髪小僧。もう一度相手になってやろうじゃないか。今度こそ、しっかり全部のライフを破壊してやろう」

「アンタなら、そう言ってくれると思ってたよ」

 

 

自分より格上の相手であろうとも、幾度となく立ち向かっていくその度胸。強くなるための必要最低限の要素だ。

 

 

「これは、思ったより早く実るかもねぇ」

「何の話?」

「いや、なんでもないさ」

 

 

若々しい老婆、シグマは不敵に笑う。

 

考えていた倍の速さでオーカミが成長するかもしれないと思うと、どうしてもニヤケが取れなかったのだ。

 

 

「なら、早いとこ始めてやろうかね、バイス」

「あいあいさ〜!!」

 

 

シグマがそう告げ、Bパッドを左腕に装着し、それを天に掲げると、バイスが霊体のような姿となってそこへと吸い込まれて行く。

 

契約スピリットであるため、デッキのカードの一部となったのだ。

 

そして、それを見たオーカミは、既に装着し、展開していたBパッドを彼女へと向ける。

 

 

「行くぞ、バトル開始ッ……!?」

 

 

しかしその時だった。

 

突如飛び出して来たサンドラが、オーカミを瞬く間に抱き抱え、そのまま走り去って行ったのは………

 

 

「オマエ、サンドラ」

「今は退くぞ、鉄華オーカミ。奴らは危険だ」

「いや、どうでもいいけど降ろせよ」

 

 

その素早さはまさにスピードスター。オーカミを抱き抱えたままだと言うのに、あっという間にシグマが米粒程の大きさになるまでの距離を走り抜けた。

 

 

「あれれ。逃げられちゃったね」

「カッカッカ。まぁ強くなるには、こう言った珍妙なエピソードを乗り越えるのも、大事だわね。期待しているよ、マフラー小僧」

 

 

シグマは、走り去って行った「マフラー小僧」こと、サンドラの背中を眺めながら、乾いた笑い声を上げ、そう告げる。

 

その眼差しは、言葉通り、サンドラへの期待であって………

 

 

******

 

 

一方、オーカミを連れ去ったサンドラ。一旦身を置くため、ノヴァ学園の体育館裏に足を運んでいた。

 

一般的に体育館裏と言うと、暗く狭い一本道をイメージすると思われるが、そこは流石ノヴァ学園と言ったところか、暗くはあっても狭くはなく、一組程度ならバトルができるスペースが存在する。

 

 

「ここまでくれば、一旦は安全だろう」

「いいから、早く降ろせよ」

「む、すまない」

 

 

未だその両腕でオーカミを抱えていたサンドラ。オーカミにそう言われると、彼はオーカミを足元から優しく降ろして見せる。

 

 

「なんでオレの邪魔したんだ?」

 

 

降りた直後、薮から棒にオーカミがサンドラに訊いた。オーカミからしたら、サンドラの先程の行動は意味不明が過ぎるため、当然の疑問である。

 

 

「……鉄華オーカミ、オレとバトルしろ」

「は?」

 

 

サンドラは、オーカミの疑問に答えぬまま、己のデッキを彼へと突きつける。

 

いつもの優しそうな表情から一変して険しい表情になったことから、彼には彼なりの事情があるのだと、オーカミは察して。

 

 

「……まぁ別にいいや。新しいデッキ、オマエで試すのも悪くない」

「序列2位、キングの次にこの学園でガッチャなこのオレで『試す』とは、大きく出たな。だが、それでこそ鉄華オーカミ、レオンの認めた男だ」

 

 

バトルは成立。サンドラはオーカミに見せつけたデッキを、そのまま左腕に装着したBパッドへと装填。

 

元からそれを完了させていたオーカミと互いにBパッドを向かい合わせ、距離を取り、最初の4枚の手札を引き、バトルの準備を終わらせる。

 

そして………

 

 

「行くぞ、バトル開始だ」

「見せてみろ、君のガッチャ」

 

 

……ゲートオープン、界放!!

 

 

ノヴァ学園にある体育館裏にて、序列3位、鉄華オーカミと、序列2位、新城サンドラによる、パワーフォース同士のバトルスピリッツが幕を開ける。

 

先攻はサンドラだ。オーカミを試すべく、己のターンを進めて行く。

 

 

[ターン01]新城サンドラ

 

 

「メインステップ。ネクサス、ビークルケミー ゴルドダッシュを配置する」

 

 

ー【ビークルケミー ゴルドダッシュ】LV1

 

 

サンドラの初手はネクサス。大型バイクのような姿をしたケミー、ゴルドダッシュが姿を見せる。

 

 

「さらにバーストをセットし、ターンエンド」

手札:3

場:【ビークルケミー ゴルドダッシュ】LV1

バースト:【有】

 

 

追加のアクションはバーストのセットのみで、サンドラは最初の第1ターン目をエンドとする。

 

次は新たなカードでデッキを再構築したオーカミのターンだ。

 

 

[ターン02]鉄華オーカミ

 

 

「メインステップ。創界神ネクサス、オルガ・イツカ、クーデリア&アトラ」

 

 

ー【オルガ・イツカ】LV1

 

ー【クーデリア&アトラ】LV1

 

 

オーカミはいつもの創界神達だ。配置時の神託により、デッキ上から計6枚のカードがトラッシュへと送られ、オルガに3つ、クーデリア&アトラに2つのコアがそれぞれ追加される。

 

 

「ターンエンドだ」

手札:3

場:【オルガ・イツカ】LV2(3)

【クーデリア&アトラ】LV2(2)

バースト:【無】

 

 

考えうる最高のスタートを切り、オーカミはそのターンをエンド。

 

バトルはサンドラの第3ターン目へと移る。互いに大きな動きを見せず、様子見が続くが、それが次のターンで終わりになるのは間違いないことで。

 

 

[ターン03]新城サンドラ

 

 

「メインステップ。オレのガッチャをここに呼ぶ。召喚、契約ライダースピリット、ガッチャード スチームホッパー」

 

 

ー【仮面ライダーガッチャード スチームホッパー】LV1(1)BP3000

 

 

身体中から噴き出る蒸気を纏いながら、サンドラのフィールドへと出現したのは、青色の装甲を持つライダースピリット、ガッチャード。

 

彼を選び、共に戦うことを誓った、契約ライダースピリットである。

 

 

「鉄華オーカミ。君は、特別な王者の力を持っているな?」

「特別な王者?…なんだよそれ」

 

 

唐突に訊かれた、サンドラへの質問に対して、オーカミは頭の上に疑問符を浮かべる。

 

オーカミとて、当然ながら王者の存在は認知しているが、自分のそれが特別なモノであると言うことは、まだ知らないのだろう。

 

 

「自分ではわからないか。だが、それでいい。ゴルドダッシュのLVを2に上げ、アタックステップ。スチームホッパーでアタック」

 

 

オーカミに、己が脅威たりうる存在であることに自覚がないことを確信したサンドラは、僅かばかりの安堵の表情を浮かべ、アタックステップに突入。スチームホッパーでアタックを仕掛ける。

 

 

「そのアタック時効果、カウント+2。そして、このフラッシュタイミングで、ネクサス、ゴルドダッシュの効果を発揮。このターンの間、ネクサスとしての効果を失い、自身をBP6000のスピリットとして扱う」

「ネクサスをスピリットに?」

 

 

ー【ビークルケミー ゴルドダッシュ】LV1(3S)BP6000

 

 

サンドラの背後にいた、バイクの形をしたネクサス、ゴルドダッシュが、走行音を鳴らすと共に、フィールドへと突入。このターンのみ、それはスピリットとなる。

 

 

「スチームホッパーのアタックはライフで受ける」

 

 

〈ライフ5➡︎4〉鉄華オーカミ

 

 

青いエネルギーを纏った、スチームホッパーの拳の一撃が、オーカミのライフバリアを1つ粉砕。サンドラに先制点を齎す。

 

 

「続け、ゴルドダッシュ。アタックブロック時効果でコア1つをスチームホッパーにブースト」

 

 

次は、スピリットと化したゴルドダッシュだ。走行音を鳴らし、単身で走り出していく。

 

そしてその間、サンドラは手札から1枚のカードを引き抜いて………

 

 

「フラッシュ、スチームホッパーを対象に【契約煌臨】を発揮」

「既にアタックが終わっているこのタイミングで?」

 

 

サンドラが発揮させたのは、契約デッキ特有の効果【契約煌臨】……

 

本来であれば、契約カードの魂状態からの復帰や、相手の攻撃に対するカウンターが主な使い所なのだが、今回サンドラは、既にアタックを行ったスチームホッパーに対しての効果発揮宣言。普通に考えれば、ややズレたタイミングである。

 

 

「来い。アッパレスケボー」

 

 

ー【仮面ライダーガッチャード アッパレスケボー】LV2(2)BP7000

 

 

スチームホッパーは、ベルトのバックルへ2枚のカードを装填。バックルの両サイドを押し込み、新たな姿へと変身。

 

赤き甲冑を身に纏う若侍、アッパレスケボーへと姿を変える。

 

 

「アッパレスケボーの召喚煌臨時効果、1枚ドロー、1枚破棄。この効果で破棄したカードがケミーなら、それを1コストで召喚できる」

「!」

「出番だ、ホッパー1」

 

 

ー【インセクトケミー ホッパー1】LV1(1)BP5000

 

 

アッパレスケボーは、煌臨するなり、橙色の形をした刀のような武器を大地へと突き刺す。するとその隙間から、小さなバッタ型のケミー、ホッパー1が出現する。

 

 

「君もコイツの効果は知ってるはずだ。ホッパー1の召喚時効果、カウント+1。その後、アッパレスケボーの煌臨元となっているスチームホッパーを召喚できる」

「くっ……」

「アッパレスケボーと、アタック中のゴルドダッシュから全てのコアを取り払い、スチームホッパーを再度召喚」

 

 

ー【仮面ライダーガッチャード スチームホッパー】LV1(1)BP6000

 

 

ホッパー1が「ホッパー!」と、甲高い鳴き声を上げると、アッパレスケボーから青い球体が飛び出し、フィールドへと落下。それはすぐさま霧散して行き、中から再びスチームホッパーが姿を見せる。

 

その間、不足コストの確保により、アッパレスケボーとゴルドダッシュは消滅。サンドラのフィールドは、スチームホッパーとホッパー1の2体となる。

 

 

「アタック中のゴルドダッシュが消滅したことにより、そのアタックは無効。スチームホッパーで再びアタックを行う。効果でカウント+2だ」

「ッ……3ターン目でカウント5!?」

 

 

僅か3ターン目にして、サンドラのカウントは5まで到達。彼が序盤から、ここまで複雑な戦術を組み込んで来た理由はこれだ。この先、多くの契約煌臨、もしくは、その関連カード達が、力を解放し、強くなる。

 

 

「そのアタックはライフで受ける」

 

 

〈ライフ4➡︎3〉鉄華オーカミ

 

 

スチームホッパーの二度目の攻撃は飛び蹴り。足先に同じく青いエネルギーを纏ったそれは、オーカミのライフバリアをまた1つ粉砕。

 

 

「ターンエンド」

手札:2

場:【仮面ライダーガッチャード スチームホッパー】LV1

【インセクトケミー ホッパー1】LV1

バースト:【有】

カウント:【5】

 

 

最小限のアタックで、最大限のアドバンテージを獲得したサンドラ。

 

この時点で、彼がキング王に次ぐ、ノヴァ学園序列2位の実力があるのがよくわかる。

 

 

「この程度、まだまだ序の口。オレのデッキに眠る真のガッチャは、こんなモノじゃないぞ」

「真のガッチャ?」

 

 

相変わらず、ガッチャを始めとした、サンドラの使う単語の意味がイマイチ理解できないオーカミ。

 

ただ、そんなこととバトルは関係ない。ライフが減ったことによって増えたコアを使い、反撃に転じて行く。

 

 

[ターン04]鉄華オーカミ

 

 

「メインステップ。漏影をLV3で召喚」

 

 

ー【漏影】LV3(5)BP7000

 

 

「召喚時効果。デッキ上3枚を破棄、その後、トラッシュの鉄華団1枚を手札に戻す。オレはフルシティを手札に。クーデリア&アトラ【神域】の効果。鉄華団の効果で自分のデッキが破棄された時、トラッシュの紫のカード1枚をデッキ下に置き、1枚ドロー」

 

 

このバトル、オーカミがはじめて呼び出したスピリットは、バスターソード状の剣を持つ1つ目のモビルスピリット、漏影。

 

その召喚時効果によって誘発した、クーデリア&アトラのドロー効果によって、オーカミはバースト効果を持つ強力カード「ガンダム・バエル」を引いていて……

 

 

「バーストをセットして、アタックステップ。漏影でアタック」

 

 

バエルのカードを伏せ、反撃とばかりに漏影で攻撃を仕掛けるオーカミ。この瞬間に、彼は手札から1枚のカードを引き抜き、その力を発揮させる。

 

 

「フラッシュ【煌臨】を発揮。対象はアタック中の漏影」

 

 

オーカミが【煌臨】の効果発揮を宣言した直後、彼の背後から巨大なモビルスピリットの影が飛び立つ。

 

 

「轟音唸る。過去をも穿つ、来い、ガンダム・グシオンリベイクフルシティ!!」

 

 

ー【ガンダム・グシオンリベイクフルシティ】LV3(5)BP13000

 

 

その影は漏影と重なり合い、黄道色で重厚な装甲を持つモビルスピリット、グシオンリベイクフルシティとなって、このフィールドに降臨する。

 

 

「グシオンリベイクフルシティの、煌臨アタック時効果。デッキ上から2枚のカードを破棄し、その中の紫1色のカード1枚につき、相手のフィールドのコアを2個リザーブに置く」

 

 

オーカミのデッキは、当然紫1色のカードのみ。よって、この効果で取り除けるコアの数は、4つだ。

 

 

「スチームホッパーとホッパー1を消滅させる」

 

 

フルシティは背部にマウントしている第3、第4の腕を展開。合計4本の腕となったことで、4つのマシンガンを一斉掃射。スチームホッパーとホッパー1を一網打尽にして見せる。

 

 

「クーデリア&アトラの【神域】……鉄華団の効果でデッキを破棄したことで、トラッシュのカードをデッキ下に戻して、1枚ドロー」

「スチームホッパーは契約カード。よってフィールドを離れる代わりに、魂状態となって残る」

 

 

スチームホッパーは契約スピリットであるため、半透明の魂状態となって、サンドラの側に残る。

 

 

「フラッシュ、オルガの【神域】を発揮、デッキ上3枚を破棄し、1枚ドロー。クーデリア&アトラの【神域】で、さらにドロー」

「相変わらず凄まじいドロー量だな。ダホウがデッキ破棄戦術で君を倒そうとしていたのも頷ける」

 

 

直後にサンドラは「オレはそんな手は使わないがな」と告げ、鼻で笑う。

 

 

「そのアタックはライフで受けよう」

 

 

〈ライフ5➡︎4〉新城サンドラ

 

 

フルシティは、腰部にマウントしていた巨大な鋏型の武器を取り出し、それを用いてサンドラのライフバリア1つを挟み、一刀両断。

 

 

「鉄華団、やはり面白いデッキだ。だがまだ、ガッチャが足りない」

「は?」

「ライフ減少により、バースト発動。ヴァルバラド黒鋼」

 

 

ライフバリアの減少をトリガーに、サンドラの伏せていたバーストが反転。それは、ガッチャードと同様の青のライダースピリットカード。

 

 

「効果により、デッキから2枚ドローし、1枚破棄。その効果で破棄したカードがケミーなら、コスト6以下のスピリット1体を破壊する」

「!」

「オレはケミーカード『インセクトケミー クロスホッパー』を破棄し、コスト6のグシオンリベイクフルシティを破壊」

 

 

突如、天空より放たれた、黒い炎を纏った剣とスパナが、フルシティの重厚な装甲を貫き、焼き尽くす。

 

 

「効果発揮後、ヴァルバラド黒鋼を召喚する。LV2だ」

 

 

ー【仮面ライダーヴァルバラド黒鋼】LV2(3)BP10000

 

 

フルシティを貫き焼き尽くした剣とスパナが、自動的にサンドラのフィールドへと飛び出して行く。そして、それを両手で握り締め、受け止めたのは、黒い炎をその身に纏う、銀色のライダースピリット、ヴァルバラド黒鋼。

 

 

「どうだ。君のデッキだと、バーストのケアはしづらいだろう」

「それで守ったつもりかよ」

「なに?」

「相手が、ノーコストでスピリットかブレイヴを召喚した時、手札にあるこのカードは、1コストで召喚できる。来い、ガンダム・キマリスヴィダール!!」

 

 

ー【ガンダム・キマリスヴィダール】LV2(2)BP12000

 

 

「また新たな紫属性のモビルスピリットだと!?」

 

 

ヴァルバラド黒鋼に惹かれ合うように、天空から飛来して来たのは、紫色の装甲を持つモビルスピリット。巨大な槍を操るその名は、ガンダム・キマリスヴィダール。

 

シグマがオーカミに渡した、新たな戦力。

 

 

「召喚アタック時効果。相手スピリットのコアを3個リザーブに置く」

「!」

「ヴァルバラド黒鋼を消滅だ」

 

 

キマリスヴィダールは、巨大な槍を構え、突貫。サンドラのフィールドにいるヴァルバラド黒鋼を貫き、爆散へと追い込んだ。

 

 

「キマリスヴィダール、アタックだ」

「ッ……ライフで受ける」

 

 

〈ライフ4➡︎3〉新城サンドラ

 

 

ヴァルバラドを爆散させても尚、キマリスヴィダールの勢いは止まらず、そのままサンドラのライフバリア1つを貫き、粉砕して見せる。

 

 

「ターンエンド」

手札:5

場:【ガンダム・キマリスヴィダール】LV2

【オルガ・イツカ】LV2(5)

【クーデリア&アトラ】LV2(4)

バースト:【有】

 

 

カウンターに次ぐカウンターを制し、オーカミはサンドラからフィールドのカード達とライフを奪い、そのターンをエンドとする。

 

 

「鉄華オーカミ。そのカードと言い、君は一体どこから紫属性のモビルスピリットのカード達を入手してるんだ」

「シグマだ。理由はよくわからないけど、ずっとアイツが色んな奴に指示してオレに渡していたらしい」

「シグマ教授。やはり奴か」

 

 

オーカミの口からシグマの名前が出て来るなり、サンドラはその目を鋭くする。シグマがかなり前から、オーカミを脅威たる存在へと育成しようとしていたことを察したのだろう。

 

 

[ターン05]新城サンドラ

 

 

「メインステップ。魂状態のスチームホッパーを対象に【契約煌臨】を発揮、仮面ライダーガッチャード バーニングゴリラ」

 

 

ー【仮面ライダーガッチャード バーニングゴリラ】LV2(8)BP8000

 

 

魂状態となっていたスチームホッパーは、赤き剛腕を持つ炎のファイター、バーニングゴリラとなって、フィールドに復活を果たす。

 

 

「バーニングゴリラの召喚煌臨時効果。カウント+1、その後デッキから4枚オープンし、その中の系統『創手』を持つライダースピリットカードを手札に加える。『仮面ライダーマジェード』を手札へ。さらに【OC:2】の効果、共にオープンされたケミーカード、スケボーズ、ニジゴンも手札へ加える。ターンエンド」

手札:6

場:【仮面ライダーガッチャード バーニングゴリラ】LV2

バースト:【無】

カウント:【6】

 

 

このターン、サンドラの行動は手札を増やすのみ。次のオーカミのターンに備えたのか、多くのコアを温存してのターンエンド。

 

何かビッグアクションを狙っているようにも見えるが、何にせよ、オーカミにとって、この状況はチャンスに違いなく。

 

 

「……行くぞ」

 

 

そよ風が吹き抜け、オーカミの雰囲気はやや刺々しく変貌。本気モードだ。ここからが、彼のバトルスピリッツの真骨頂。

 

 

[ターン06]鉄華オーカミ

 

 

「メインステップ。大地を揺るがせ、未来へ導け、ガンダム・バルバトス第4形態、LV3で召喚……!!」

 

 

ー【ガンダム・バルバトス[第4形態]LV3(4)BP12000

 

 

口上と共にオーカミのフィールドへと新たな出現するのは、黒き戦棍メイスを手に持ち、背部に日本刀をマウントしたモビルスピリット、ガンダム・バルバトス第4形態。

 

 

「アタックステップ。その開始時、オルガの【神技】を発揮、トラッシュからパイロットブレイヴ、三日月・オーガスをノーコストで召喚し、バルバトス第4形態と合体」

 

 

ー【ガンダム・バルバトス[第4形態]+三日月・オーガス】LV3(4)BP18000

 

 

密かにコアを貯めていたオルガの【神技】がここで発揮。バルバトス第4形態は、強力な効果とBPを持った合体スピリットとなる。

 

 

「バルバトス第4形態でアタック。効果でバーニングゴリラからコア2個をリザーブへ置き、三日月の効果でLVコストを+1し、リザーブのコア1個をトラッシュへ」

 

 

アタック時効果が発揮され、バルバトス第4形態のメイスによる一撃が、バーニングゴリラに炸裂するが、前のターン、サンドラはコレを見越して無駄に動かず、バーニングゴリラに有りっ丈のコアを乗せていたため、消滅はせず、場に残った。

 

 

「トラッシュに三日月が見えていたからな。その手で来ることは読んでいた。フラッシュマジック、仮面の魂」

「!」

「トラッシュにライダースピリットカードが2枚以上あるなら使用可能。このターン、オレのライフは1しか減らない。バルバトス第4形態のアタックはライフで受ける」

 

〈ライフ3➡︎2〉新城サンドラ

 

 

バルバトス第4形態は、サンドラのライフバリアを砕こうと、メイスを投擲するが、直前にサンドラが使用した仮面の魂の効果により、その減少数を僅か1に抑えられるばかりか、このターンの勝ちの目も摘まれてしまう。

 

 

「バルバトス第4形態の効果は、それだけじゃない。自分のスピリットがアタックした、各バトルの終了時、トラッシュから鉄華団スピリットを1コストで召喚できる。来い、漏影」

 

 

ー【漏影】LV1(1)BP3000

 

 

「召喚時効果でデッキ上3枚を破棄、トラッシュからフラウロスを手札へ。クーデリア&アトラの【神域】でさらにドロー」

 

 

バルバトス第4形態が、投擲し、地面に落ちていたメイスを拾い上げ、そのままその矛先を大地へ打ち付け、亀裂を生じさせると、その狭間より漏影が飛び出して来る。

 

 

「キマリスヴィダールでアタック。召喚アタック時効果でバーニングゴリラを消滅」

 

 

再び巨大な槍を構え、突貫するキマリスヴィダール。バーニングゴリラもその猛攻には耐えられず、全てのコアが弾き出され、敢えなく消滅。スチームホッパーが魂状態として場に残る。

 

 

「このフラッシュ、オルガとクーデリアの【神域】コンボで、手札とトラッシュを増やす」

「アタックはライフで受ける。仮面の魂の効果で、これ以上、オレのライフは減少しない」

 

 

〈ライフ2➡︎2〉新城サンドラ

 

 

キマリスヴィダールの突貫も、仮面の魂の状況下では無意味。サンドラのライフを破壊できずに終わってしまうが、オーカミの真の狙いは、彼のライフを破壊することではなくて。

 

 

「キマリスヴィダールがアタックしたバトルの終了時。再びバルバトス第4形態の効果が発揮。トラッシュから2体目の漏影を1コストで召喚」

 

 

ー【漏影】LV1(1)BP3000

 

 

「召喚時効果。3枚破棄、トラッシュからシノを手札へ、クーデリア&アトラの【神域】」

 

 

バルバトス第4形態が、全く同じ手順で大地の底から漏影を呼び出す。その召喚時効果とクーデリア&アトラの【神域】が誘発し、オーカミの手札の枚数は11枚にまで増加。

 

 

「ターンエンド」

手札:11

場:【ガンダム・バルバトス[第4形態]+三日月・オーガス】LV1

【ガンダム・キマリスヴィダール】LV2

【漏影】LV1

【漏影】LV1

【オルガ・イツカ】LV2(4)

【クーデリア&アトラ】LV2(7)

バースト:【有】

 

 

オーカミは「次のターンで勝つ」と言う、強い意気込みを感じさせるような、微かな笑みを浮かべ、ターンエンドの宣言。

 

次は、学園に潜む脅威に立ち向かう、新城サンドラのターンだ。

 

 

[ターン07]新城サンドラ

 

 

「メインステップ。召喚、その(あざな)は仮面ライダーマジェード」

 

 

ー【仮面ライダーマジェード】LV2(2)BP5000

 

 

「召喚時効果。カウント+1、その後3枚オープンし、対象となるカード1枚を手札に加え、残りは破棄」

 

 

場がガラ空きとなったなっていたサンドラが召喚したのは、白く美しい、女性型のライダースピリット、マジェード。その効果で、サンドラのカウントと手札を増やした。

 

 

「マジック、ストロングドロー。デッキから3枚ドローし、2枚破棄。もう一度ストロングドロー。デッキから3枚ドローし、2枚破棄」

 

 

ここで怒涛のマジック連打。これにより、サンドラは結果的にデッキから合計6枚のカードを掘り進めた。

 

 

 

キングが統治するこの学園を、脅威に晒させやしない。

 

 

 

胸の内で覚悟を決めつつ、サンドラは引き込んだカードの中にある、己の切り札へと熱い視線を送る。

 

 

「鉄華オーカミ。君に見せてやろう、オレの真のガッチャを」

「!」

「魂状態のスチームホッパーを対象に【契約煌臨】を発揮……!!」

 

 

このバトル三度目となる、サンドラの【契約煌臨】………

 

だが、それはこれまでとは一線を画す。サンドラの手に掲げられたカードからは強い虹色の輝きが放たれ、その影響なのか、魂状態となっていたスチームホッパーもまた同様に輝き出す。

 

 

「七色の輝きが、無限の未来を照らし出す。仮面ライダーレインボーガッチャード、LV1で契約煌臨!!」

 

 

サンドラがカードをBパッドに叩きつけると、フィールドでは、魂状態のスチームホッパーが、七色のビッグバン。新たなる姿となって、フィールドに再練成される。

 

 

ー【仮面ライダーレインボーガッチャード】LV1(1)BP9000

 

 

こうして爆誕したのは、七色の輝きを纏う戦士、レインボーガッチャード。ガッチャードの最終形態にして、最強の姿。そして、サンドラの真のガッチャ。

 

 

「レインボーガッチャードの煌臨時効果。手札かトラッシュにある、カード名の異なるケミー1枚ずつを、コストを支払わずに好きなだけ召喚配置ができる」

「なに!?」

「オレはこの効果で、トラッシュにあるホッパー1、クロスホッパー、スチームライナー、スケボーズ、アッパレブシドー、レスラーG、ゴルドダッシュ、そして最強のケミー、ニジゴンをそれぞれ呼び出す」

 

 

ー【インセクトケミー ホッパー1】LV1(0)BP5000

 

ー【インセクトケミー クロスホッパー】LV1(0)BP10000

 

ー【ビークルケミー スチームライナー】LV1(0)BP6000

 

ー【ビークルケミー スケボーズ】LV1(0)BP3000

 

ー【ジョブケミー アッパレブシドー】LV1(0)BP5000

 

ー【ジョブケミー レスラーG】LV1(0)BP6000

 

ー【レインボーケミー ニジゴン】LV1(0)BP10000

 

ー【ビークルケミー ゴルドダッシュ】LV1

 

 

レインボーガッチャードの放つ虹色の波動が、サンドラのフィールドに無限の未来を創造する。その創造とは、ケミー達の錬成。

 

ホッパー1と、その進化系クロスホッパー。汽笛を鳴らす列車型のケミー、スチームライナー。文字通りスケボーの形をしたケミー、スケボーズ。二刀流の侍のケミー、アッパレブシドー。覆面レスラーよ姿をしたケミー、レスラーG。唯一のネクサス、ゴルドダッシュ。七色を纏う幻の小型ドラゴン、ニジゴン。

 

それら全てが、サンドラのフィールドへ姿を見せ、レインボーガッチャード同様の虹色の輝きを纏う。

 

 

「その後、ケミーが5種類以上存在すれば、このターンの間、自分のスピリット、ブレイヴ全ては6色化する。ホッパー1の効果でカウント+1。クロスホッパーの効果でカウント+1、レインボーガッチャードとゴルドダッシュに1つずつコアブースト。スケボーズの効果でレインボーガッチャードにコアブースト。増えたコアを使い、ゴルドダッシュのLVを2にアップさせる」

 

 

召喚時効果を持つケミー達の効果が一気に解決され、結果的にサンドラは、カウント+2。3個のコアブーストを行う。

 

 

「煌臨元にある契約カード、スチームホッパーの効果により、レインボーガッチャードは2体のケミーと合体できる。クロスホッパー、スチームライナー。力を借りるぞ」

 

 

瞬間。クロスホッパーとスチームライナーは自身をカード化。レインボーガッチャードのベルト内部に収まり、合体を完了。新たな効果を与え、BPを上昇させる。

 

さらに、これだけでは終わらず。

 

 

「そして、このレインボーケミー ニジゴンは、ブレイヴ数を無視し、ガッチャードに1体だけ、追加で合体できる」

「!!」

「トリプル合体!!」

 

 

ー【仮面ライダーレインボーガッチャード+インセクトケミー クロスホッパー+ビークルケミー スチームライナー+レインボーケミー ニジゴン】LV1(1)BP39000

 

 

なんと、ニジゴンまでもがカード化し、レインボーガッチャードに力を与える。

 

これにより、レインボーガッチャードは前代未聞のトリプル合体状態。そのBPは、あのキング王の『バーニングゴジラ』さえをも凌駕した。

 

 

「トリプル合体、3体のブレイヴと合体した!?」

「フ……アタックステップ。この瞬間、合体中のクロスホッパーとニジゴンの効果が有効となる。クロスホッパーの効果により、君はバースト効果を発揮できない。ニジゴンの効果は耐性。スピリット状態のケミー全てに、同じ色、即ち6色全ての効果を受けない効果を付与」

「くっ……」

 

 

サンドラは、オーカミに狼狽する暇さえ与えない。

 

クロスホッパーの効果で、前々からバーストとしてセットしていたバエルは使い物にならなくなり、オマケにニジゴンの効果で、残った3体のケミーは事実上の【超重装甲:6色】……

 

カウンターできるカードが、かなり限られてしまう。

 

 

「レインボーガッチャード、その輝きを見せる時だ。アタック、煌臨元のスチームホッパーの効果でカウント+2。漏影を破壊。ニジゴンのさらなる【合体中】効果で、もう1体も破壊」

 

 

再び虹色の波動を放つレインボーガッチャード。ケミー達に無限の未来を齎したその力は、泥だらけで薄汚れた鉄華団スピリット達には単なる毒であったか、2体の漏影達は、なすすべなく塵芥となり、破壊される。

 

 

「これでブロッカーは消した」

「何か忘れてないか?」

「!」

「鉄華団スピリットが相手によってフィールドから離れる時、手札からフラウロスの効果を発揮。自身をノーコストで召喚する」

 

 

ガッチャードとケミーの結束は固い。だが、それは鉄華団とて負けてない。仲間の死が、新たなる仲間を呼び覚ます。

 

はずだった。

 

 

「このバトルは既に詰みだ。クロスホッパーの【合体中】効果により、君はフラッシュタイミング以外で、手札のカードを使用できない」

「な……!?」

 

 

フラウロスの召喚が封じられた。

 

それだけじゃない。その召喚の際に共に呼び出せるパイロットブレイヴのシノ。あのダホウさえ打ち破って見せた、ライフ減少時にトリガーするマジックカードが、その効力を最大限に発揮できなくなった。

 

 

「だったら、フラッシュタイミングで使うまでだ。フラッシュマジック、デスアタラクシア。無色化して、レインボーガッチャードのコア3個をリザーブに置き、消滅させる」

「既に詰みだと言っただろう。レインボーガッチャードの【OC中&合体中】効果、相手はマジックカードを使用する時、自分の6色のケミー1体につき、1コスト余分に支払わなければ、使用できない」

「!!」

 

 

普通に使おうとしても駄目だ。使用コストが確保できないため、カードは弾かれ、オーカミの手札へと戻って来てしまう。

 

バーストの発動も、手札誘発も、マジックカードの使用も禁じられた今、もはやオーカミに勝機はなくて………

 

 

「レインボーガッチャード、ダブルシンボルのアタック」

「……クーデリア&アトラの【神技】を発揮。バルバトス第4形態を回復させ、ブロックだ」

「負けだとわかっていても、まだガッチャを求めるか。フラッシュ、ゴルドダッシュのLV2効果で、自身をスピリット化する」

 

 

回復し、果敢にレインボーガッチャードへと立ち向かうバルバトス第4形態。手に握るメイスを縦に振うが、レインボーガッチャードは、ドレミの音が鳴るステップで難なくそれを回避。

 

地に叩きつけられたメイスに触れ、それを巨大な剣へと練成し、奪い取ると、それをそのままバルバトス第4形態の胸部へと突き刺し、爆散へと追い込んだ。

 

 

「続け、アッパレブシドー。ニジゴンの効果で、同じ色を含んでいるキマリスヴィダールを破壊」

 

 

アッパレブシドーの達人の領域とも言える、華麗な二刀流の剣撃が、自身の何倍もの巨大を誇るモビルスピリット、キマリスヴィダールを斬り刻み、爆散させる。

 

 

「今のアッパレブシドーは、スチームホッパーの効果でシングルシンボル。ライフ1つを破壊できる」

「……ライフで受ける」

 

 

〈ライフ3➡︎2〉鉄華オーカミ

 

 

アッパレブシドーはオーカミのライフバリア1つも斬り刻み、破壊する。

 

 

「次は君だ、スケボーズ」

「ライフだ」

 

 

〈ライフ2➡︎1〉鉄華オーカミ

 

 

スケボーズの特攻が、さらにオーカミのライフバリアを砕く。

 

遂に残りライフはただ1つ。そして、その1つも………

 

 

「トドメは君で決めるぞ、ホッパー1」

 

 

サンドラの指示に従い、ホッパー1は「ホッパー!」と甲高い鳴き声を上げると、羽を広げて飛翔する。

 

その目指す先は、当然オーカミの最後のライフバリア。

 

 

「ライフで受ける」

 

 

〈ライフ1➡︎0〉鉄華オーカミ

 

 

「うぁぁあ!?」

 

 

無慈悲にも、ホッパー1の体当たりが、オーカミの最後のライフバリアに直撃。それを砕き、オーカミのBパッドから「ピー」と言う機械音を鳴らした。

 

 

「これがオレの、ガッチャな勝利だ」

 

 

その機械音は、サンドラの勝利の凱歌。彼は序列2位たる実力を、オーカミに示して見せた。

 

 

「くっ……で、オマエは結局何がしたかったんだ」

 

 

バトルに負け、片膝をついていたオーカミが、立ち上がりながら、サンドラに訊いた。何も事情を知らないオーカミにとっては、当然の疑問である。

 

役目を終えた、全てのスピリット達が消滅して行くのを確認すると、サンドラは答える。

 

 

「忠告だ。これ以上、あのシグマという教授に近づくな」

「なに?」

「キングに仇を成そうとすることもNGだ。その行為は、この学園においてはガッチャではない」

「仇を成すって、別にそんなつもりはないけど」

「要するに、余計なことはするなと言う事だ。肝に銘じておけ」

 

 

そこまで告げると、サンドラはオーカミの元を去って行く。結局、オーカミ側からしたら、彼が何をしようとしていたのかは、わからず仕舞いであった。

 

 

「……なんかよくわからないけど、このまま黙っていられるか。いつか絶対、アイツもキングも超えてやる」

 

 

サンドラは、オーカミに『脅威』たる存在になって欲しくないが故の忠告だったようだが、全て無駄に終わる。今のオーカミは、寧ろ首を突っ込む気満々だ。

 

 

ー………

 

 

ここは、ノヴァ学園の体育館の屋根の上。そこには、鉄華オーカミと新城サンドラのバトルを見下ろしていたであろう、シグマの姿があった。

 

彼女はタバコから口を離し、副流煙を吐き出すと、横にいるバイスにこう告げる。

 

 

「バイス。どうやらアタシが間違ってたみたいだよ。直ぐに渡してやろうじゃないか。やっぱりレベルは、一気に上げるに限るねぇ」

 

 

不適な笑みを浮かべる彼女のその手には『バルバトスルプス[鉄華団]』と名の刻まれたカードが握られていた。

 

 




次回、第80ターン「超速、ルプス鉄華」


******


復活しました!!
結果的にですが、半年待った甲斐がありました。レインボーガッチャード、プロキシで散々練習しましたが、強すぎます。そして何よりガッチャードデッキが回しててとても楽しくなりました( ̄∀ ̄)

休載中、活動報告や感想欄などに、暖かなコメントをたくさんいただきました。
本当にありがとうございます。これからも皆様のコメントを励みに、誠心誠意、執筆に努めてまいります。
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