バトルスピリッツ 王者の鉄華   作:バナナ 

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第83ターン「新生、契約のゼロワン」

 

 

 

「夏休み、結局何もしてねぇ!!……大事なことだからもう一度言う、夏休み、結局何もしてぇ!!」

「なに急に」

 

 

夏休みもやがて終盤に差し掛かろうとする、とある夜。

 

ノヴァ学園の寮にある、鉄華オーカミと光裏コントの部屋にて、突如コントが喚き散らした。

 

 

「いやだってよぉオーカミ。オレ、現役高校生だってぇのに、夏休みどこにも行ってねぇんだぜ?」

「別にいいだろ」

 

 

夏休み。来る日も来る日も、オーカミに追いつくためにバトルスピリッツに明け暮れていたコント。

 

それによって溜まってきたストレスが突然爆発したのだろう。

 

 

「よかねぇよ。ライちゃんと2人っきりで海デートしたオマエが言うな!!」

「……」

「いいなぁ、さぞかし楽しかったんだろうなぁ。あのオリハルコンビーチで、あんな可愛い子と青春バカンスなんてよぉ。いいなぁ!!…オレも行きたかったなぁ!!」

 

 

夏休みのオーカミの動向を羨ましがるコント。

 

オリハルコンビーチでの出来事を想起するオーカミだが、その記憶は決して楽しいモノだけではなかった。

 

Dr.Aの信者によるエニーズ03の復活。そんな彼らとのエニーズ02であるライを賭けたバトルスピリッツ。今にして思えば、壮絶で過酷な戦い。

 

巻き込まれなかったコントは、寧ろ幸運だったと言える。

 

 

「じゃあコントも来る?」

「え?……どこに?」

「界放市。オレの地元」

 

 

オーカミがコントに提案したのは、自分の帰省の同伴。

 

そう。一時的だが、オーカミがあの街へ帰る日がやって来たのだ。

 

 

******

 

 

ここは界放市ジークフリード区。日本有数のバトスピ学園を6つも抱えている大都市だ。

 

その中で最も大きな駅「グランステーション」の入り口前にて、褐色肌と白髪のツンツンヘアーが特徴的な高身長の青年、九日ヨッカは、今か今かと何かを待ち侘びていた。

 

そわそわしたその様子から、それがとても楽しみであることが伺える。

 

 

「………」

「お、オーカ!!!」

 

 

駅前の大きな自動ドアが開くと同時に顔を見せた小柄の少年を視界にいれるなり、ヨッカは大声を出して飛び出して行くが………

 

 

「え、ど、どちら様ですか……!?」

「あ、あぁ、すんません。人違いでした……はは」

 

 

よく見たら全然別人だった。大柄の男性から急に詰め寄られ、驚いたのだろう、小柄の少年は、ヨッカに対して会釈だけすると、そそくさとこの場から立ち去って行った。

 

 

「……」

「アニキ」

「!!」

 

 

少年の背中を見届けながら、なんとも言えない気持ちになり、浮き足だった足が地面に着くのを実感していたのも束の間、背後から自分に向かって「アニキ」と呼ぶ別の少年の声が聞こえて来る。

 

今度こそ間違いない。そう思ってヨッカが振り向いた先には………

 

 

「オォォォカァァァァ!!」

「なに、うるさいんだけど」

 

 

血に染まったような赤い髪を持つ、小柄の少年、鉄華オーカミだった。その横には、彼の友人である光裏コントも確認できる。

 

 

「アニキって。まさか、この人が、オーカミの兄貴分、九日ヨッカ?」

 

 

オーカミがヨッカのことを「アニキ」と呼んだことからか、コントがそう反応を示す。どうやらヨッカの名前だけは聞いていた様子。

 

 

「うぉぉお!!…オレは会いたかったぜ、オォォォカァァァ!!」

「苦しい」

「なんて熱苦しい人だ……」

 

 

感極まって、オーカミを抱き締めるヨッカ。

 

夏休み。彼は弟分であるオーカミが帰省して来るこの時を、ずっと楽しみに待ち続けていたのだ。彼の人情に熱い性格から、そうなってしまってもなんら不思議ではない。

 

 

******

 

 

「別に迎えに来なくてもよかったのに」

「そう言うな。久し振りにオマエに会えると思ったら、居ても立ってもいられなくてよ。あと、コント、だったか、いつもコイツの面倒見てくれてありがとな。コイツ、無愛想で怖い物知らずだから、大変だろ?」

「そうなんすよ、コイツ目離したら直ぐにヤバいとこに喧嘩売りに行くんすよね〜」

「だよなぁ、オレも苦労したぜ。オレは九日ヨッカ、知ってると思うが、コイツの兄貴分だ。よろしく」

「うす」

 

 

道路。ヨッカの運転する車が、ジークフリード区の車道を走る。オーカミはその助手席、コントは後部座席に腰を下ろしている。

 

 

「にしてもオマエ、少し見ない間に、また背伸びたんじゃねぇか?」

「頭、わしゃわしゃするのやめて」

 

 

弟分との久しぶりの再会に歓喜を極めているのか、ヨッカはここぞとばかりにハンドルから片手を離し、助手席にいるオーカミの頭をわしゃわしゃと掻き立てる。

 

 

「ライの奴はどうした、一緒に帰って来んじゃなかったのか?」

 

 

ヨッカがオーカミに訊いた。ライとは、オーカミの友人の「春神ライ」のことであり、全寮制のノヴァ学園に入学するまでは、ヨッカの自宅に居候していた少女である。

 

 

「ライは、アニキに怒られそうだから嫌だって」

「全くアイツって奴は。別に怒りはしねぇっての。次会ったら『電話の一本くらいはよこせ』って伝えておいてくれ」

 

 

ライは、オーカの所へ行きたいと言う理由だけで、彼よりも1つ歳下であるにもかかわらず、ノヴァ学園に裏口入学した経緯がある。

 

その際にヨッカの家を黙って飛び出して行ったのだが、それが尾を引いていて、今はなかなか会う気にはなれないみたいだ。

 

 

「よし、着いたぜ。我らがホームグラウンド、カードショップ、アポローンだ」

 

 

ヨッカが駐車場に車を停め、他2人と共に車内から出ると、そう告げる。

 

 

「おぉ、これがオーカミの奴が言ってたアポローンか。結構デカいんすね」

 

 

名前だけ聞いていたアポローンの外装に目を輝かせるコント。対してオーカミは、約半年振りだと言うにもかかわらず、眠そうに大欠伸。

 

リアクションに大きな違いを見せる2人は、そのままアポローンの自動ドアに足を踏み入れ、来店。

 

そして、その瞬間。

 

 

「!」

「オーカ」

「オーカミ」

 

 

おかえり〜〜!!

 

 

派手なクラッカーの弾ける音と共にオーカミを迎え入れてくれたのは、彼と同年代の黒髪ショートヘアの少女、一木ヒバナと、1つ歳上の緑髪の癖毛の少年、鈴木イチマル。

 

いずれも、バトルスピリッツでオーカミと絆を育んだ者達だ。

 

 

「うん、ただいま。ヒバナ、イチマル」

「リアクション薄、流石オーカ」

「相変わらずだな、オメェって奴は。少しはオレっち達との感動の再会に涙したらどうなんだ」

「別に嬉しいけど」

 

 

ゲートシティのバトスピ学園、ノヴァ学園に進学したオーカミと違い、2人は地元の界放市にあるバトスピ学園、ジークフリード校に進学している。

 

故にこの3人が揃うのは、かなり久しい。特に2人よりも歳上で、情に熱いイチマルは、己の中学生時代などを思い出しているに違いない。

 

 

「いや、そうなんだよ、コイツ久し振りだってぇのに、全然感動してくれなくてさ」

「だから嬉しいって」

 

 

ここでヨッカも、大量のチキンやお菓子の入った袋を両手に持ちながら到着。

 

 

「アニキ、なにその荷物」

「なにって、これからやるオマエのおかえりパーティーのために買って来たチキンやお菓子だ。他にも色々買ってあるから、たくさん食えよ!!」

「パーティーって、たかが帰省に大袈裟すぎだろ」

「でも私達と言えばコレでしょ。ね、イチマル」

「そうそう。アポローン貸し切ってのパーティーな。あ、それはそうとオーカミよ、オレっち、遂に念願叶ってヒバナちゃんとお付き合いすることになりました!!…おめでとうイチマル君、おめでとう!!」

「息を吐くようにウソをつくな、ウソを!!」

「そんな、今ならいけると思ったのに!!」

「……」

 

 

この4人の談笑で展開される、微笑ましい空間を、コントは羨ましく思っていた。いや、正確には、こんなにも素晴らしい仲間を持つ、オーカミに嫉妬していた、と言うべきか。

 

 

「あ、ごめんね。私達だけで盛り上がっちゃって。オーカから聞いてるよ、光裏コント君だね。私、一木ヒバナ、よろしく」

 

 

コントがやや空気味だったことに気づいたヒバナが、彼に自己紹介し、握手の手を伸ばす。

 

その瞬間、コントはニヤリと笑みを浮かべ……

 

 

「こっちこそオーカミの奴から話は訊いてたぜ。君が一木ヒバナちゃんか。ん〜〜〜可愛いねぇ!!…オーカミ、オマエ、ライちゃん以外とも、こんな可愛い子と毎日バトスピしてたのかよ!!」

「うわ、この人イチマルタイプだ」

「オレっち、はたから見たらこんな感じなの!?」

 

 

とにかく可愛い女子には目がないコント。当然、ヒバナにも目をハートにする程の好感を得る。

 

 

「どうだろヒバナちゃん。お近づきの印代わりに、今からオレとバトルスピリッツと言う名のデートでもしないかい?」

「は、はぁ」

 

 

ヒバナの手を取り、バトルを持ちかけて来たコント。その態度、言動、挙動から、下心しかないのがよくわかる。

 

ただ、コントのこの行動に対し、意を唱える人物が1人。

 

 

「やいやいテメェ、オレっちのヒバナちゃんにベタベタくっつくんじゃねぇ!!」

 

 

やはりこの男、鈴木イチマルだ。

 

コントと同じくチャラ男な見た目だが、彼とは違いヒバナ一筋なイチマルは、怒り狂う暴牛の如く勢いで飛び出し、ヒバナの手を取るコントの手を払い除けた。

 

 

「あぁ、なんだテメェ。オレとヒバナちゃんの時間を邪魔すんな。男はすっこんでろ」

「すっこむか、ヒバナちゃんはオレっちの彼女だ。手は出させねぇ」

「別にアンタの彼女でもないけどね」

「そこをなんとか、今だけは!!」

 

 

ヒバナを巡り、一触即発の2人。

 

これを眺めていたヨッカは、横でスナック菓子を食しているオーカミに「オマエ、こう言う変な奴に好かれるよな」と一言。

 

 

「つーことだチャラ男。ヒバナちゃんにお近づきになりたくば、この鈴木イチマル様を倒してからにするんだな!!」

「テメェその見た目で、よくオレのことをチャラ男とか言えんな」

「オレっちがチャラいのは、見た目だけだ」

「まぁいいぜ、オーカミの友人だかなんだか知らねぇが、オレの実力、見せてやるよ」

 

 

2人のバトルはとんとん拍子で成立。そのまま全員アポローンのバトル場へと移動し、イチマルとコントは互いに Bパッドを展開、構える。

 

 

「オーカってさ、いつも面白い人を友達にするよね」

「そう?」

 

 

バトル場の観客席にて、ヒバナがオーカミの耳元にそっと告げた。おそらくイチマルとコントのことを指しているのだろう。

 

 

「1つ、オマエは勘違いしてるぜ」

「あ?」

「オレっちとオーカミは友人じゃねぇ。親友だ。とびっきりのな」

「……」

 

 

イチマルがサムズアップしながら、コントに告げた。

 

コントは、そんな些細なことでドヤ顔をかまして来るイチマルに対し、内心で「さてはコイツ、バカだな」と呟く。

 

 

「友人とか親友とか、どっちでもいいわ。オマエ、ジークフリード校の生徒なんだろ?」

「あぁ。こう見えて2年だ」

「なら、無闇に大口は叩かねぇことだな先輩。オレはあの最難関校、ノヴァ学園の生徒だぜ?」

「へッ。そのセリフ、このバトルでそっくりそのまま返してやるよ。行くぜ」

 

 

……ゲートオープン、界放!!

 

 

ヒバナを賭けて、チャラ男2人によるバトルスピリッツが、久しぶりにオーカミが訪れた、ここ、カードショップ「アポローン」のバトル場で勃発する。

 

先攻はイチマルだ。久しぶりにオーカミに自分のバトルを披露することとなる彼だが、そのデッキ内容は大きく変化を遂げていて……

 

 

[ターン01]鈴木イチマル

 

 

「メインステップ。先ずはオマエ達からだ。創界神ネクサス、飛電インテリジェンス社長秘書・イズ、アークの秘書・アズを配置」

 

 

ー【飛電インテリジェンス社長秘書・イズ〈R〉】LV1

 

ー【アークの秘書・アズ】LV1

 

 

「神託を発揮。コアを2つずつ+するぜ」

「イチマルが創界神?…しかも片方は」

 

 

イチマルが配置したのは、ライダースピリット専用の2種の創界神ネクサス。

 

清楚な印象を与える白い衣装を纏う、黒髪ショートのアンドロイド少女、イズ。

 

邪悪な印象を与える黒いドレスを纏う、黒髪ロングのアンドロイド少女、アズ。

 

同じ顔をした美少女2人が、イチマルのフィールドで並び立つ。オーカミも反応しているが、その片割れであるアズは……

 

 

「オレが託したんだよ」

「!」

 

 

知らずのうちにオーカミらのそばにいたのは、モヒカン頭の、兎に角「ヤンキー」と言う言葉が似合う青年。

 

この人物、実はイチマル、オーカミ、ヨッカにとっては、かなり因縁深い人物。

 

 

「オマエ、誰」

「覚えてねぇのかよ!!…レイジ、鈴木レイジ。イチマルの兄ィだ。散々テメェをボコしてやっただろうがヨッカの弟分!!」

「負けたのオマエだろ」

「覚えてんじゃねぇか!!」

 

 

その人物とは、イチマルの兄、鈴木レイジだった。以前、意識不明の重体となっていた彼だが、今はこうして元気な様子を見せている。

 

イチマルにアズのカードを渡したのは彼。本名を名乗っていること、自らをイチマルの兄だと断言している点などから、兄弟仲はかなり改善されたみたいだ。

 

 

「お、兄ィだ。お〜〜い!!」

「ケッ、オレ様のカード使って負けたら承知しねぇぞ、クソ弟」

 

 

レイジに気づいたイチマルが、彼に手を振る。そんな弟に、レイジは悪態を吐きながらも、彼なりにエールを送る。

 

 

「照れんなよ、レイジ」

「う、うるせぇぞヨッカ。ぶん殴られてぇか!!」

「なんか変わったな、コイツ」

「きっと色々あったんだよ、色々」

 

 

レイジの変わり様に、多少なりと違和感を感じるオーカミ。ヒバナは何かを知っているのか、首を縦に振りながら、頷いていた。

 

 

「テメェ、ヒバナちゃん一筋とか言いながら、両手に花じゃねぇかバカタレ!!」

「カードはノーカンだろ!!…オレっちのデッキには必須なの。ターンエンドだ」

手札:3

場:【飛電インテリジェンス社長秘書・イズ〈R〉】LV1(2)

【アークの秘書・アズ】LV2(2)

バースト:【無】

 

 

創界神ネクサスの美少女アンドロイド2機に囲まれ、文句たらたらなコント。意外と硬派なイチマルは、それをノーカンだとあっさり切り捨て、ターンエンドの宣言。

 

次はコントの最初のターンだ。

 

 

[ターン02]光裏コント

 

 

「メインステップ。オデュッセウスガンダムを召喚」

 

 

ー【オデュッセウスガンダム】LV2(2S)BP5000

 

 

このバトル、最初にスピリットを呼び出したのはコント。青い胸部と横に枝分かれした角が特徴的な、低コストのモビルスピリット、オデュッセウスガンダムが、フィールドに現れ、直後に片膝をつく。

 

 

「召喚時効果。自身を疲労させ、デッキ上1枚をオープン、それが閃光なら手札に加えるぜ」

 

 

このカードでオープンされたのは「ハサウェイ・ノア」のカード。よってコントはそれを手札へ加える。

 

さらに、オデュッセウスの効果はこれだけでは終わらず……

 

 

「LV2の効果を発揮。自身を手札に戻す事で、閃光カードを手札からノーコスト召喚する。オレの相棒、Ξガンダムを召喚だ!!」

 

 

ー【Ξガンダム】LV1(1)BP5000

 

 

オデュッセウスが粒子化して消滅すると、新たに一際大きな体躯を有する白いモビルスピリットがコントのフィールドへと姿を見せる。

 

その名もΞガンダム。背部に大型フライトユニットを内蔵した、緑属性のモビルスピリットにして、契約スピリットの内の1枚。

 

 

「オマエ、オレっちと同じ緑使いで、しかも契約スピリット持ちかよ」

「スゲェだろ。ほれアタックステップ、Ξでアタックだ!!」

 

 

早速攻撃を仕掛けるコント。その際、契約スピリットでおるΞのアタック時効果も誘発する。

 

 

「アタック時効果。カウント+2、Ξに1つコアブースト」

 

 

その効果は契約カードらしいカウントアップと、緑属性らしいコアブースト効果。次のターンに行動できる幅を広げて行く。

 

 

「アタックはライフで受ける」

 

 

〈ライフ5➡︎4〉鈴木イチマル

 

 

飛翔したΞが、イチマルのライフバリア1つを殴りつけ、粉砕する。

 

 

「ターンエンドだ。かかって来いや三下ぁ」

手札:5

場:【Ξガンダム】LV1

バースト:【無】

カウント:【2】

 

 

イチマルを煽りながら、コントはターンエンド。

 

煽るのはいけないことだが、バトルのスタートとしては幸先が良いと言えるモノだった。

 

 

「へへ。良いスピリットだな、次はオレっちの番だぜ」

 

 

バトルは2周目に突入し、再びイチマルのターン。ここから、彼も本領を発揮する。

 

 

[ターン03]鈴木イチマル

 

 

「メインステップ。行くぜ、契約ライダースピリット、ゼロワン!!」

 

 

ー【仮面ライダーゼロワン ライジングホッパー[4]】LV1(1)3000

 

 

迸る緑色の電子が集い、戦士の姿を形成する。

 

その戦士の名は、仮面ライダーゼロワン。契約ライダースピリットの1種にして、イチマルの相棒。

 

 

「な、オマエも緑の契約カード、しかもライダースピリット!?」

「面白いだろ。オレっちも面白くなって来たぜ、アタックステップ、頼むぜ契約ゼロワン!!」

 

 

イチマルも契約ゼロワンでアタック。その効果も発揮させる。

 

 

「アタックブロック時効果、カウント+2。その後、自分のデッキ上1枚をオープンし、スピリットカードなら、1つコアブーストを行う」

 

 

宣言の瞬間、イチマルのデッキ上から、1枚のカードがオープンされる。

 

そのカードは、「仮面ライダーバルカン シューティングウルフ[2]」。スピリットカードだ。

 

 

「オープンカードは、スピリットカード。よってコアブースト。さらに契約ゼロワンのさらなる効果、アタックステップ中に自分のデッキのカードがオープンされた時、そのカードが契約煌臨のゼロワンなら手札へ、対象のライダースピリットは、1コストで召喚できる」

「はぁ!?…なんだよそれ、じゃあ実質アタック時かブロック時に、デッキの上からライダースピリットを召喚できるってことかよ!?」

「そうゆうことだ。今オープンされた、バルカンを召喚」

 

 

ー【仮面ライダーバルカン シューティングウルフ[2]】LV1(1S)BP3000

 

 

「召喚時効果、カウント+1し、1コアブースト。デッキからの召喚なら、もう1コアブースト」

 

 

アタックステップ中にオープンされた他のライダースピリットを召喚する力を持つ、契約ゼロワンの効果により、銃を構える青きライダースピリット、バルカンが召喚される。

 

その効果により、イチマルのカウントとコアがまた増加。

 

 

「さらにさらに【OC:2】でBP4000アップだ!!」

「……ライフだ」

 

 

〈ライフ5➡︎4〉光裏コント

 

 

稲妻の如く速度で駆ける契約ゼロワン。ライダーキックが炸裂し、コントのライフバリアを1つ奪う。

 

 

「ターンエンドだぜ」

手札:3

場:【仮面ライダーゼロワン ライジングホッパー[4]】LV1

【仮面ライダーバルカン シューティングウルフ[2]】LV1

【飛電インテリジェンス社長秘書・イズ〈R〉】LV2(4)

【アークの秘書・アズ】LV2(3)

バースト:【無】

カウント:【3】

 

 

イチマルはバルカンでの追撃は行わず、ブロッカーとして残し、ターンを終了。

 

次はコントの番となる。

 

 

[ターン04]光裏コント

 

 

「メインステップ。オデュッセウスを再召喚、そのまま効果発揮、自身を疲労させ、カードを1枚オープンする」

 

 

ー【オデュッセウスガンダム】LV2(2)BP5000

 

 

再び召喚されるオデュッセウスガンダム。その召喚時効果により、片膝をつき、コントにカードゲットのチャンスを与える。

 

そして、そのオープンカードは「Ξガンダム[ビーム・バリア]」のカード。対象内だ。

 

 

「よしよしよし、Ξガンダム・ビームバリアを手札に加え、そのままこれの【契約煌臨】を発揮。契約のΞに乗せるぜ」

 

 

ー【Ξガンダム[ビーム・バリア]】LV1(2)BP7000

 

 

Ξガンダムの契約煌臨。武装が変化するタイプの契約カードであるため、その名の通り、周囲にビームバリアが展開されるのみの変化に留まるが、その強さは折り紙つき。

 

 

「オデュッセウスLV2の効果、自身を手札に戻し、手札からパイロットブレイヴ、ハサウェイをノーコスト召喚。Ξガンダム・ビームバリアと合体し、LV2にアップだ」

 

 

ー【Ξガンダム[ビーム・バリア]+ハサウェイ・ノア(U.C.0105】LV2(3)BP15000

 

 

オデュッセウスは粒子化し、パイロットブレイヴを呼び寄せることで、Ξガンダム・ビームバリアにさらなる力を付与する。

 

 

「デッキからスピリットを呼び出すたぁ、大層強い効果だが、結局、このオレのターンで決めちまえば意味ねぇってことだろ。アタックステップ、Ξガンダム・ビームバリアでアタック。煌臨元のΞの効果でカウント+2とコアブースト」

 

 

ここからが、大型の契約煌臨スピリットを活かした速攻が得意な閃光デッキの本領発揮だ。

 

コントは手始めに煌臨元のΞの効果でカウントアップとコアブーストを行う。

 

 

「Ξガンダム・ビームバリアの【OC:3】の効果、相手に疲労状態のスピリットがいる間、相手は効果でオレのアタックステップを終了できない。さらにアタック時効果、バルカンを重疲労させることで、回復する」

「ッ……そのサイズのスピリットが回復!?」

「それだけじゃねぇ。ハサウェイの【合体中】効果で、コア2個以上のスピリットから、ソウルコア以外のコアを取り除けない。今、オマエが使えるコアは、フィールドのソウルコアとリザーブの2個だけだ」

 

 

バルカンに緑のオーラが付着し、重疲労状態となるや否や、Ξガンダム・ビームバリアは回復状態となり、このターン、二度目のアタックを可能とする。

 

 

「悪いな。これがノヴァ学園の生徒と普通のバトスピ学園の生徒との力の差だ。やっちまえΞ!!」

 

 

容易くリーサルを作ることに長けた閃光の契約スピリット、Ξガンダム。その猛威が、イチマルにも襲い掛かる。

 

 

「このオレっちを甘く見るなよ後輩」

「!」

「普通のバトスピ学園生徒の、ゼロワンの底力ってヤツを見せてやんよ。フラッシュ【契約煌臨】を発揮、契約ゼロワンを、シャイニングアサルトホッパーに!!」

 

 

ー【仮面ライダーゼロワン シャイニングアサルトホッパー[3]]LV1(1)BP5000

 

 

契約ゼロワンが、眩い光を纏い、進化する。

 

胸部に埋め込まれたコアに、多大なる力を有する、刺々しいデザインが特徴的なライダースピリット、シャイニングアサルトホッパーの誕生だ。

 

 

「バカタレ。煌臨したところで、オマエのスピリットは全て疲労状態、意味はねぇ」

「意味なら大有りだ。シャイニングアサルトホッパーの煌臨アタック時効果を発揮」

「!」

「カウント+1し、デッキ上1枚をオープン。そのオープンカードのコスト以下のスピリット1体を重疲労させる」

「コスト以下!?…今のΞはブレイヴと合わせてコスト14だぞ、それ以上なんて捲れるかよ」

 

 

シャイニングアサルトホッパーの効果により、デッキ上から1枚のカードをオープンするイチマル。

 

この時、コントはイチマルの真の狙いに気が付いていなくて……

 

 

「オープンされたカードは、ライダースピリット、50バルキリー。コストは4だ」

「ハッ…やっぱりな」

「だけど、シャイニングアサルトホッパーの【OC:4】の効果で、アタック中のΞを疲労だ」

「なに!?」

 

 

己の手に握られている、ハンマー状の武器に、緑色の電撃を集め、それを飛翔中のΞへと叩きつけるシャイニングアサルトホッパー。

 

破壊にまでは追い込めなかったものの、これによりΞは疲労状態。このターンの連続アタックは不可となる。

 

 

「そして、契約ゼロワンの効果により、今オープンされた50バルキリーは、1コストで召喚できる」

「ッ……他のカード効果でも有効なのかよ!?」

「頼むぜ、50バルキリー」

 

 

ー【50th 仮面ライダーバルキリー ラッシングチーター】LV1(1)BP3000

 

 

その速さはまさに俊速。イチマルのフィールドに現れたのは、橙色の装甲を持つ、女性型のライダースピリット、バルキリー。

 

 

「召喚時効果。シャイニングアサルトホッパーに1コアブースト、その後、アタックステップなら、それを回復させる」

「はぁ!?…回復ぅ!?」

 

 

バルキリーの力を得て、シャイニングアサルトホッパーは回復。地面に叩き伏せられても尚も立ち向かって来るΞの迎撃準備を備える。

 

 

「そのままアタックをブロックだ、シャイニングアサルトホッパー!!」

 

 

ビームバリアを纏い、低空を飛翔し、突撃して来るΞ。シャイニングアサルトホッパーは、ハンマー状の武器を振い、迎撃する。

 

 

「契約煌臨元の契約ゼロワンのアタックブロック時効果。カウント+2。デッキ上1枚オープン、捲れたのは契約煌臨のゼロワン、1コアブーストし、これを手札へ」

「くっ……だけど、BPはオレのΞが上だぜ」

 

 

巨大なモビルスピリットの猛攻。シャイニングアサルトホッパーは遂に抑えきれなくなり、吹き飛ばされ、爆散。契約ゼロワンが色を失い、魂状態として、イチマルのフィールドに残る。

 

 

「契約ゼロワンは、魂状態となってフィールドに残る。そして、Ξはもう疲労状態。二度目のアタックはできねぇ」

「……わあってるよ、バカタレ」

 

 

シャイニングアサルトホッパーを相手にエネルギーを使い過ぎたΞの突撃は、イチマルのライフバリアには届かず。一度コントのフィールドへと帰還することとなる。

 

 

「……ターンエンドだ」

手札:4

場:【Ξガンダム[ビームバリア]+ ハサウェイ・ノア(U.C.0105】LV2

 

 

僅か二度目のターンで超速攻を仕掛けたコントだったが、結果的にそれはイチマルの契約煌臨によって阻止される。

 

彼はオーカミと出会ってから、かなり成長していることが伺えるが、今は悔しさに表情を歪ませ、ターンエンドを宣言するしかなかった。

 

 

「イチマル、強くなってるな」

「当然だ。今のアイツのデッキは、オレの滅亡迅雷デッキとの混合。あの程度の奴に負けはしねぇよ」

 

 

バトルを観戦しているオーカミが、新しいデッキを手足のように操るイチマルを見て、そう呟いた。それに対し、レイジは自慢気に今のイチマルのデッキを語る。

 

 

「イチマル、オーカとの再戦をずっと望んでたよ。今度こそ超えてやるって、息巻いてた」

「へぇ」

「コレが終わったら相手してやれよ、兄弟」

「うん」

 

 

両サイドにいるヒバナとヨッカに、イチマルが如何に自分とのバトルを望んでいたのかを知らされるオーカミ。

 

その口元には小さな笑みが溢れる。

 

 

[ターン05]鈴木イチマル

 

 

「メインステップ。ここで決めるぜ、魂状態の契約ゼロワンを対象に【契約煌臨】を発揮!!」

 

 

イチマルはメインステップ開始直後に【契約煌臨】……

 

今の彼のカウントは6。この状況、誰もが最大級の契約煌臨スピリットが呼び出されることを察して。

 

 

「ゼロはイチとなって翔け上がる、ゼロはニとなって、イチと共に並び立つ!!……仮面ライダーゼロワン&ゼロツー、LV2で契約煌臨!!」

 

 

ー【仮面ライダーゼロワン&ゼロツー(イズ)】LV2(3)BP13000

 

 

多量の緑色の電撃が、イチマルのフィールドに迸る。それらが弾け飛ぶと、魂状態となっていた契約ゼロワンが、リアライジングホッパーとなって復活を果たし、その横には、手を前に置いた、秘書然とした振る舞いのゼロツーが、新たに爆誕していた。

 

 

「ゼロワン&ゼロツー!?…1枚で2体分のライダースピリット!?」

「あぁ、これがオレっちの最強ライダースピリットだ!!」

 

 

世にも珍しい、1枚に2体のライダースピリットが存在する、ゼロワン&ゼロツー。

 

それを従えたイチマルは、「アタックステップ」を強く宣言して……

 

 

「ゼロワン&ゼロツーでアタック。契約ゼロワンの効果でカウント+2し、デッキ上1枚オープン」

 

 

今回のオープンカードも、【契約煌臨】の効果を持つゼロワンのカード。コアブーストと回収になるが……

 

 

「スピリットなら1コアブースト。さらにここで、ゼロワン&ゼロツーの効果発揮、オレのデッキからカードがオープンされた時、相手スピリット1体を重疲労させ、そのカードがゼロワンなら、回復!!」

「また回復!?」

「Ξを重疲労、ゼロワン&ゼロツーを回復だ!!」

 

 

ゼロツーが電子の如く速さでΞの元へ高速移動し、自分よりも大きなそれを蹴り1つで吹き飛ばす。

 

その吹き飛ばした先にはゼロワン。Ξを大地へと蹴り伏せ、重疲労状態へと陥らせる。

 

さらにオマケだと言わんばかりに、ゼロワン&ゼロツーは回復。2体分の効果は伊達ではないことを証明する。

 

 

「アタックはライフで受ける」

 

 

〈ライフ4➡︎2〉光裏コント

 

 

ゼロワン&ゼロツーのダブルパンチ。コントのライフバリアは一気に2つ粉砕。残りは半数を切る。

 

回復もしているため、コレの二度目のアタックを受けて仕舞えば、負けは確定となるが。

 

 

「オレのライフが減少した時、手札から絶甲氷盾の効果を発揮」

「!」

「このバトルの終了が、アタックステップの終了となる!!」

 

 

このタイミングでコントが放ったのは、最も採用率が高い防御用マジックと言われる『絶甲氷盾〈R〉』……

 

コントのライフバリアを守護するように出現した、半透明の御盾が、不思議な念力でゼロワン&ゼロツーを上空へと吹き飛ばす。

 

 

「やるな先輩。だが、まだオレは負けねぇ。決めたんだ、オレはオーカミのように、挑んで勝ち続けるってな」

 

 

これにより、イチマルのアタックステップは強制的に終了となり、コントの反撃のターンを迎える。

 

はずだった。

 

 

「奇遇だな。オレっちも、同じ考えだ」

「!」

「ゼロワン&ゼロツーの【OC:8】の効果、自分のカウントをマイナス4することで、相手が使ったマジックカードをただちに無効化する!!」

「マジックを無効化!?」

「あぁ、よって絶甲氷盾の効果は無効!!」

 

 

イチマルのアタックステップは、止まらない。

 

ゼロワン&ゼロツーの【OC:8】の効果が炸裂し、このターンの追撃を可能とする。

 

 

「ゼロワン&ゼロツーでラストアタック!!…契約ゼロワンの効果、カウント+2し、デッキ上1枚をオープン……!」

 

 

当然、ゼロワン&ゼロツーで追撃を仕掛けるイチマル。

 

その際に発揮された契約ゼロワンの効果でオープンされたカードを目にするなり、僅かに口角を上げる。

 

 

「スピリットなら1コアブースト。それが対象のライダースピリットなら、1コストで召喚できる。一緒に戦うぞ、滅!!」

 

 

ー【仮面ライダー滅 スティングスコーピオン[3]】LV1(1)BP5000

 

 

契約ゼロワンの効果で召喚されたのは、黄色い眼光に、紫色の装甲を持つライダースピリット、滅。

 

 

「ふ……」

 

 

彼の兄、鈴木レイジが使っていたエースカードだが、今は彼のデッキの一員。ゼロワン達と共に並び立つ様を見るなり、レイジは顔に似合わない、優しく小さな笑みを浮かべる。

 

 

「滅の召喚時、カウント+1。6以上なら、デッキ上から2枚ドロー。お膳立てはお終いだ。決めろ、ゼロワン&ゼロツー!!」

 

 

半透明の御盾によって上空へと吹き飛ばされた、ゼロワン&ゼロツーは体勢を立て直し、落下の勢いを活かし、必殺のライダーキックを同時発動。

 

ゼロワンは緑色の電撃。ゼロツーはビックバンを思わせる赤いエネルギーを足に纏わせ、コントのライフバリアへと迫って行く。

 

 

「そんな、ノヴァ学園に入学したこのオレが、オーカミと友情を育んだこのオレが……負ける?」

 

 

コントが感じたのは、イチマルとの力の差。到底一朝一夕では覆しようもない差に、ただただ打ちひしがれた。

 

 

〈ライフ2➡︎0〉光裏コント

 

 

そんな彼の気持ちなど知る由もなく、ゼロワン&ゼロツーは、ダブルライダーキックで、絶甲氷盾の御盾ごと、コントのライフバリアを全て粉砕。

 

イチマルに勝利を齎して見せる。

 

 

「へへ。オレっち達の勝ちだぜ!!」

 

 

バトル終了に伴い、イチマルの場にいた5体のライダースピリット達がゆっくりと消滅して行く。

 

 

「コント」

「!」

「良いバトルだったな。契約カード同士のバトル、熱かったぜ」

 

 

打ちのめされ、愕然としていたコントに、イチマルは手を差し伸べる。

 

 

「あ、あぁ。強いんだな、アンタ」

 

 

彼の騎士道精神に応えない訳にもいかない。そう思い、コントはイチマルの手を取り、握手を交わす。

 

 

「オマエもな。オーカミとずっと一緒にいるだけのことはあるぜ」

「……」

「オレっちが言えたセリフじゃねぇけどさ。アイツののこと、これからもよろしくな。支えてやってくれ」

「……もちろんすよ、先輩」

 

 

少し間があったが、イチマルの言葉に応えるように、コントはいつものチャラついた笑顔でしっかり返答。

 

 

「さて、次は」

 

 

そう告げ、イチマルが振り向いた先には、バトル場の観客席にいるオーカミ。

 

 

「待たせたなオーカミ。今度こそ、オマエに初勝利、決めてやるぜ」

「へぇ」

 

 

彼と目が合ったオーカミは、まるで「待っていた」と言わんばかりに、小さく笑みを浮かべて。

 





次回、第83ターン「友情、鉄華団VSゼロワン」

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