バトルスピリッツ 王者の鉄華   作:バナナ 

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第84ターン「友情、鉄華団VSゼロワン」

 

 

 

夏休み終盤、コントを連れ、界放市に帰省したオーカミ。

 

ヨッカ、ヒバナ、イチマルのお馴染みだったメンバーと再会し、楽しい一時過ごす中、コントとイチマルがヒバナを取り合ってバトルを開始。

 

結果は、契約カードに進化したゼロワンの力を遺憾なく発揮したイチマルの勝利。そして、コントを撃破した彼が次に視線を向けたのは、ライバル、オーカミだった。

 

 

******

 

 

懐かしき匂いが芳しい、カードショップ「アポローン」のバトル場。

 

そこで互いに展開したBパッドを構える2人の少年、鉄華オーカミと鈴木イチマルがいた。その雰囲気は、まさに一騎打ち前の侍が如し。

 

 

「真剣な表情だけど、心なしか、2人とも楽しそうですね」

 

 

観客席にいるヒバナが、隣のヨッカにそう話しかけた。

 

 

「あぁ。2人とも、楽しみにしてたんだろうな。親友同士のバトル、昔のオレ達を思い出すぜ、なぁレイジ」

「テメェと馴れ合ったつもりはねぇぞカス。おいクソ弟、ヨッカの弟分なんかに負けんじゃねぇぞ!!」

 

 

春神イナズマという共通の師匠を持つ、兄弟弟子という関係だった、ヨッカとレイジ。

 

兄弟子であるヨッカに、常に強い対抗心を秘めているレイジは、彼なりのエールをイチマルに送る。

 

 

「オーカミとイチマル先輩のバトルか。イチマル先輩はオーカミにバトルで勝ったことないんだよな?」

 

 

オーカミの界放市での交友関係にはまだ疎いコントが、隣にいるヒバナに訊いた。

 

 

「うん。オーカがまだ初心者だった頃から、一度もね」

「よく挑めるよな。負け続けたら嫌だろ普通。しかも初心者の頃からって」

「まぁ、らしくもなく迷走してた時もあったんだけどね。昔からしつこい才能だけはあるんだよ、アイツ」

「しつこい才能、か」

 

 

なんでも直ぐに諦めてしまう癖があることを自覚しているコント。

 

「イチマル先輩のしつこい才能を、もっと見習わないとな」と胸の内に秘め、2人のバトルへと視線を向ける。

 

 

「にしてもオマエとこうしてバトルすんのも久しぶりだな、オーカミ」

「あぁ。楽しみにしてたよ」

「ホントか?…オマエ、顔がずっと仏頂面だからなぁ。いや、まぁこの際そう言うことにしておくか。強くなったオレっち達の実力、見せてやるぜ!!」

「強くなったのが、オマエだけだと思うなよ。行くぞイチマル、バトル開始だ!!」

 

 

……ゲートオープン、界放!!

 

 

いつものコールと共に、鉄華オーカミと鈴木イチマルの、親友同士によるバトルスピリッツが幕を開ける。

 

先攻はオーカミだ。イチマルはもちろん、ヨッカやヒバナにも、強くなった自分を見てもらうべく、ターンを進めて行く。

 

 

[ターン01]鉄華オーカミ

 

 

「メインステップ。オルガを配置」

 

 

ー【オルガ・イツカ】LV1

 

 

オーカミの初手は、創界神のオルガ。

 

フィールドには何も出現しないが、配置時の神託により、そのカードの上に3つのコアが追加される。

 

 

「ターンエンド」

手札:4

場:【オルガ・イツカ】LV2(3)

バースト:【無】

 

 

オーカミはそのまま己のターンをエンドとし、イチマルへとそれを譲渡。

 

この日、誰よりも気合を入れて来た彼のターンが始まる。

 

 

[ターン02]鈴木イチマル

 

 

「メインステップ。先ずはオマエがいないと始まらないよな、オレっちの相棒、契約ゼロワン!!」

 

 

ー【仮面ライダーゼロワン ライジングホッパー[4]】LV1(1)BP3000

 

 

緑色の電子が集い、戦士の姿を形成する。

 

その名は仮面ライダーゼロワン。いつか鉄華団のバルバトスを超えるライダースピリットだ。

 

 

「アタックステップ、契約ゼロワンでアタック。その効果でカウント+2し、デッキ上から1枚オープン」

 

 

颯爽と契約ゼロワンで攻撃を仕掛けるイチマル。その効果でオープンされた1枚のカードを視認するなり、ニヤリと笑みを浮かべる。

 

 

「ふふ。来たぜ、50バルキリー。1コアブーストを行い、直後に契約ゼロワンのもう1つの効果で召喚だ」

 

 

ー【50th 仮面ライダーバルキリー ラッシングチーター】LV1(1S)BP3000

 

 

俊速の如くフィールドに現れたのは、橙色の装甲を持つ、女性型のライダースピリット、バルキリー。

 

その効果は、この早期のタイミングであれば、最も強力なモノであり……

 

 

「50バルキリーの召喚時効果。契約ゼロワンに1コアブーストし、それを回復」

「!」

 

 

バルキリーが、掌から橙色のオーラを契約ゼロワンに流し込み、それに力を与える。

 

その影響で契約ゼロワンは回復状態となり、このターン中、二度目のアタックが可能となる。

 

 

「イチマルの奴、上振れてんな」

「これで負けたら言い訳できませんね」

 

 

バトルを観戦しているヨッカとヒバナが、それぞれコメントした。

 

契約スピリットが最初のターンに二度もアタックする行為が上振れというのは、現代バトスピを知る者からすれば当然の考えだろう。

 

 

「契約ゼロワンのアタックは、ライフで受ける」

 

 

〈ライフ5➡︎4〉鉄華オーカミ

 

 

電子が流れるような速さで地を駆け抜け、オーカミの眼前へと迫り、彼のライフバリア1つを殴り壊す契約ゼロワン。

 

回復しているため、イチマルはもう一度契約ゼロワンでアタックしようと、自分のBパッド上にあるそのカードを捻ろうとするが……

 

 

「オレのライフが減った時、手札にある紫マジック、デスアタラクシアの効果を発揮。コレを2枚、ノーコストで使う」

「!!」

「契約ゼロワンと50バルキリーのコアを取り除き、消滅させる」

 

 

その前に、オーカミが、手札から条件を満たした2枚のデスアタラクシアを使用。

 

蔓延る紫の霞が、契約ゼロワンとバルキリーの2体からコアを奪い、消滅へと追い込む。その際、契約スピリットである契約ゼロワンだけは、半透明の魂状態となってフィールドに残る。

 

 

「ターンエンド。おいおい、本日のハイライトカードには、まだ早かったんじゃねぇか?」

手札:4

場:【仮面ライダーゼロワン ライジングホッパー[4]】(魂状態)

バースト:【無】

カウント:【2】

 

 

「何度もやって来たんだ。オレ達のバトルに、探り合いなんて意味ないだろ」

「へへ。それもそうか」

 

 

互いに初手から全力を尽くす中、バトルはまもなく2周目に突入する。

 

 

[ターン03]鉄華オーカミ

 

 

「メインステップ。クーデリア&アトラ」

 

 

ー【クーデリア&アトラ】LV1

 

 

「相変わらずスゲェ引きだな。もう2種目の創界神を揃えるのかよ」

 

 

オーカミのBパッド上に、鉄華団を支える2種の創界神ネクサスが揃う。

 

配置直後の神託の効果により、クーデリア&アトラの上に2つのコアが+された。

 

 

「漏影をLV1で召喚」

 

 

ー【漏影】LV1(2S)BP3000

 

 

「召喚時効果、デッキ上から3枚破棄。トラッシュから鉄華団カード、ルプス鉄華を手札に加える。さらにクーデリア&アトラの【神域】でドロー」

「ルプス鉄華?」

 

 

バスターソードを手に持つ鉄華団モビルスピリット、漏影が、オーカミのフィールドに召集される。

 

それが持つトラッシュ回収効果により、ルプス鉄華のカードを手札に加える。ルプス鉄華のカードの存在をまだ知らないイチマルは、その名前に疑問を抱く。

 

 

「オレっちの知らない間に、まぁた新しい鉄華団カードをゲットしやがったな」

「ターンエンド」

手札:3

場:【漏影】LV1

【オルガ・イツカ】LV2(4)

【クーデリア&アトラ】LV2(3)

バースト:【無】

 

 

足場と手札を整えつつ、新たな鉄華団、ルプス鉄華をチラ見せし、オーカミはそのターンをエンド。再びイチマルのターンとなる。

 

 

[ターン04]鈴木イチマル

 

 

「メインステップ。オレも創界神を2枚だ、イズ、アズ」

 

 

ー【飛電インテリジェンス社長秘書・イズ〈R〉】LV1

 

ー【アークの秘書・アズ】LV1

 

 

イチマルもライダースピリット専用の2種の創界神ネクサスを配置する。

 

清楚な印象を与える白い衣装を纏う、黒髪ショートのアンドロイド少女、イズ。

 

邪悪な印象を与える黒いドレスを纏う、黒髪ロングのアンドロイド少女、アズ。

 

同じ顔をしつつも、善と悪、それぞれ違う素質を持つ美少女2人が、イチマルのフィールドで並び立つ。

 

 

「配置時の神託で、イズにコア+3。アズにコア+1だ。さらに、魂状態の契約ゼロワンを対象に【契約煌臨】!!…頼むぜ、シャイニングホッパー!!」

 

 

ー【仮面ライダーゼロワン シャイニングホッパー[2]】LV1(1)BP7000

 

 

魂状態の契約ゼロワンが、眩い輝きから力を得て戦場へ復帰。その名はシャイニングホッパー。シャイニングアサルトホッパー程ではないが、ゼロワンの強力な中間煌臨の1種だ。

 

 

「アタックステップ。シャイニングホッパーでアタック。先ずは1つ目の効果、カウント+1し、1コアブースト。2つ目の効果で1枚オープン、オープンカードは『ゼロワン&ゼロツー』!!…契約ゼロワンの効果でこれを手札に。そして3つ目、引き継いだ契約ゼロワンの効果、カウント+2し、1枚オープン」

 

 

シャイニングホッパーの持つ3つのアタック時効果が誘発。コアブーストや手札増加などを行う中、3つ目の効果でレイジの切り札だったスピリット、滅亡迅雷スピリットの滅のカードが見えて。

 

 

「オープンカードは『仮面ライダー滅』!!…1コアブーストし、これを1コストで召喚」

 

 

ー【仮面ライダー滅 スティングスコーピオン[3]】LV2(3)BP8000

 

 

「召喚時効果、カウント+1。カウントが6以上なら、2枚ドロー!!」

 

 

蠍の甲殻のような装甲を持つ、紫のライダースピリット、滅がイチマルのフィールドへと召喚される。

 

その召喚時効果が発揮され、イチマルはカウントが6まで増加するばかりか、2枚のドローまで行う。

 

 

「シャイニングホッパーのアタックは漏影でブロック」

 

 

モビルスピリットの巨大な体格を活かし、迫り来るシャイニングホッパーを叩き潰そうとする漏影だったが、光速で移動するシャイニングホッパーを捉えられず、最終的には背後からライダーキックを刺され、敢えなく爆散してしまう。

 

 

「ターンエンド」

手札:5

場:【仮面ライダーゼロワン シャイニングホッパー[2]】LV1

【仮面ライダー滅 スティングスコーピオン[3]】LV2

【飛電インテリジェンス社長秘書・イズ〈R〉】LV2(5)

【アークの秘書・アズ】LV2(3)

バースト:【無】

カウント:【6】

 

 

滅をブロッカーとして残し、イチマルはそのターンエンド。ルプス鉄華のカードを握る、オーカミのターンとなる。

 

 

[ターン05]鉄華オーカミ

 

 

「メインステップ。もう一度だけ言うぞイチマル、強くなったのはオマエだけじゃない」

「!」

「強化された鉄華団の力、見せてやる。天空貫け、未来を紡げ。ガンダム・バルバトスルプス鉄華!!…LV2で召喚」

 

 

ー【ガンダム・バルバトスルプス[鉄華団]LV2(3)BP7000

 

 

吹き荒れる砂塵の大竜巻。それを巨大な二振りの剣で斬り裂きながら見参したのは、赤き眼を持つ、新生バルバトス、バルバトスルプス鉄華。

 

シグマから託された、バルバトスルプスの、あるべきもう1つの進化の形。そして、最後の鉄華団でもある。

 

 

「これがルプス鉄華、あのルプスの強化型かよ」

「召喚アタック時効果。自分のデッキ上2枚を破棄し、その中に鉄華団があれば、フィールドのコア2個をリザーブに置く」

 

 

ルプス鉄華の召喚アタック時効果が発揮。当然、鉄華団カードが破棄される。

 

 

「シャイニングホッパーと滅から1つずつのコアをリザーブへ」

 

 

ルプス鉄華は2つの大剣を地へと突き刺すと、腕部から滑腔砲を展開。幾多もの鉛玉を打ち出し、シャイニングホッパーと滅を撃ち抜く。

 

滅は辛うじて耐えるも、コアが1つしかなかったシャイニングホッパーは、全てのコアがなくなったことで消滅。契約ゼロワンがまたも魂状態となってフィールドに残った。

 

 

「ターンに一度、消滅させた時、トラッシュから鉄華団カードを手札に戻す。グレイズ改弍を手札へ。さらにクーデリア&アトラの【神域】でドロー。そしてバーストをセット」

 

 

ルプス鉄華とクーデリア&アトラの効果で手札を整えると、オーカミはアタックステップを宣言する。

 

 

「アタックステップ。ルプス鉄華でアタック、効果を再び発揮させ、滅を消滅。クーデリア&アトラの【神域】でドロー」

 

 

大地に突き刺した二振りの大剣を引き抜くと、赤い眼の残光が残る程の凄まじい速さで駆け抜けるルプス鉄華。

 

イチマルのフィールドにまで到達すると、そこにいた滅を容赦なく大剣で斬り裂き、爆散へと追い込んだ。

 

 

「フラッシュ、オルガの【神域】を発揮。デッキ上を3枚破棄し、ドロー。クーデリア&アトラの【神域】でさらにドローだ」

「ドロー祭りかよ。ライフで受けるぜ」

 

 

〈ライフ5➡︎4〉鈴木イチマル

 

 

「うお!?」

 

 

ルプス鉄華の勢いは止まることを知らず。二振りの大剣を振い、そのままイチマルのライフバリア1つまでも破壊して見せる。

 

 

「ターンエンド」

手札:7

場:【ガンダム・バルバトスルプス[鉄華団]】LV2

【オルガ・イツカ】LV2(5)

【クーデリア&アトラ】LV2(4)

バースト:【有】

 

 

ルプス鉄華と創界神2種の3枚を軸としたドローコンボで、オーカミは手札を8枚にまで増加。その手札を構え、次のイチマルのターンに備える。

 

ただ、イチマルの手札には、既にあのカードが加えられていて……

 

 

[ターン06]鈴木イチマル

 

 

「メインステップ。ルプス鉄華、良いカードだな。だが、このターンで決めるぜ。オレっちの切り札でな」

「……」

「もう一度、魂状態の契約ゼロワンを対象に、【契約煌臨】発揮!!」

 

 

現在のイチマルのカウントは6。あのスピリットの契約煌臨の条件を丁度満たしている。

 

フィールドには、魂状態の契約ゼロワンを中心に、緑色の電子が無数に迸る。

 

 

「ゼロはイチとなって翔け上がる、ゼロはニとなって、イチと共に並び立つ!!……仮面ライダーゼロワン&ゼロツー、LV2で契約煌臨!!」

 

 

ー【仮面ライダーゼロワン&ゼロツー(イズ)】LV2(11)BP13000

 

 

無数の電子が弾け飛ぶと、契約ゼロワンはリアライジングホッパーへと姿を変え、その横には、手を前に置いた、上品な佇まいのライダースピリット、ゼロツーが存在していた。

 

これこそ、イチマルの真のエース、ゼロワン&ゼロツー。1枚で2体分となるライダースピリットだ。

 

 

「来たな」

「流石にまだ余裕そうだな。それは、そこのバーストお陰か?……だけど悪りぃな。創界神イズの【神域】で、オレっちのライダースピリットがアタックしている間、オマエはバースト効果を発揮できない。さらに知っての通り、ゼロワン&ゼロツーはマジックカードを無効化する」

「……」

「つまり、この状況は、どんな本日のハイライトカードも無効化できるってことだよ!!」

 

 

長くオーカミとバトルして来たイチマルは、本日のハイライトカードは、バーストや、誘発のマジックカードが多いことを知っている。

 

故にこの状況は完封。オーカミは何もすることができないことを完全に理解していた。

 

 

「行くぜ、アタックステップ!!」

「ちょっと待った。その前に、アタックステップ開始時に発揮できる、オルガの【神技】だ」

「!」

「トラッシュから鉄華団を呼び出す。天地を覆せ、未来よ唸れ。ガンダム・バルバトスルプスレクスファイナル!!…LV2で召喚」

 

 

ー【ガンダム・バルバトスルプスレクス[最終決戦時]】LV2(2)BP13000

 

 

「な、なんだコイツは!?」

 

 

蠢く大地より飛び立ち、地上へと現れたのは、ルプス鉄華同様、赤き眼を持つバルバトス、ルプスレクスファイナル。

 

中学生の頃から所持していたカードではあるが、そのピーキー過ぎる効果から、オーカミは入手後以降全く使用してこなかった。それ故に友であるイチマルさえ、その存在を認知していない。

 

 

「召喚アタック時効果、デッキ上とトラッシュから合計5枚カードをゲームから除外し、相手スピリット1体から3つのコアをトラッシュする」

「!」

「対象は当然、ゼロワン&ゼロツーだ」

 

 

ルプスレクスファイナルは、背面にある剣を尾のように伸ばし、ゼロワン&ゼロツーへ向けて刺突を繰り出す。

 

ゼロツーが半透明のバリアを展開し、それを防御するも、完全には受け切れず、余波だけで2体の体内に眠るコア3つが弾け飛んでしまう。

 

 

「くっ。だけどよ、ゼロワン&ゼロツーには、まだ8つもコアが残ってる。コイツがいる限り、オレっちに負けはねぇ。アタックステップ継続、ゼロワン&ゼロツーでアタック!!」

 

 

使えるコアを大きく削いでも尚、イチマルの勢いは止まらない。8つのコアを内に秘めた、ゼロワン&ゼロツーで攻撃を仕掛ける。

 

 

「契約ゼロワンの効果。カウント+2し、1枚オープン」

 

 

三度目となる契約ゼロワンのアタック時効果。

 

今回のオープンカードは『ゼロワン シャイニングアサルトホッパー』……

 

まごうことなきアタリのカードだ。

 

 

「スピリットカードの時は1コアブースト。契約煌臨のゼロワンのカードがオープンされた時は、これを手札に。ゼロワン&ゼロツーの効果、オープンされた時、相手スピリット1体を重疲労させ、ゼロワンがオープンされていれば、自身を回復する」

 

 

内に秘めしコアが9つになると同時に、ゼロワン&ゼロツーは攻撃を開始する。

 

ゼロツーがルプスレクスファイナルの背面の剣による攻撃を交わしながら接近し、発勁でその本体を上空へと吹き飛ばすと、その先にいたゼロワンが蹴り落とし、ルプスレクスファイナルを重疲労状態へと追い込む。

 

 

「どうだオーカミ。これでオマエのスピリットは全て疲労状態か重疲労状態。バーストもマジックカードも使えねぇ、このバトル、オレっちの勝ちだ!!」

「それはどうかな?」

「なに!?」

 

 

イチマルが勝利を確信した瞬間。そよ風が吹き、オーカミのそばを通り過ぎていく。

 

この時より、オーカミは本気モードとなり、真の力を発揮する。

 

 

「ゼロワン&ゼロツーのアタックはライフで受ける」

 

 

〈ライフ4➡︎2〉鉄華オーカミ

 

 

ゼロワン&ゼロツーのダブルライダーパンチが炸裂し、オーカミのライフバリアを一気に2つ砕く。

 

このまま、回復したゼロワン&ゼロツーのアタックがもう一度通れば、本当にイチマルの勝利となる。

 

だが、本気モードとなったオーカミが、それをさせるわけもなくて。

 

 

「ライフ減少により、オレは手札からこのカードの効果を使う」

「へへ。だけどゼロワン&ゼロツーの効果でそれは無効……」

「緑のスピリットカード、神産ノ武神オノゴロウの効果を発揮!!」

「はぁ!?」

 

 

オーカミが手札から見せて来たカードに、イチマルは目を丸くした。

 

そのカードはマジックでも、紫属性でもないカード。到底鉄華団デッキに入れるような代物ではないため、突拍子もなく見せられて驚くのも無理はない。

 

 

「なんでったってオマエ、そんなカードをデッキに。デッキのバランスがおかしくなるだろ普通」

「でも今はちょうど良い強さだろ?…コイツが本当の本日のハイライトカードだ。効果で自身を1コストで召喚。その召喚時効果でゼロワン&ゼロツーを重疲労させる」

「!!」

 

 

ー【神産ノ武神オノゴロウ】LV1(1)BP5000

 

 

森林をその身に宿す、巨大な狸型のスピリット、オノゴロウが、オーカミのフィールドへと見参。

 

登場するなり、どこか神聖さを感じさせる棍棒を振い、大竜巻を発生させる。ゼロワン&ゼロツーはそれに直撃し、重疲労状態に陥る。

 

これにより、二度目のアタック宣言は不可。オーカミへのトドメは刺せなくなる。

 

 

「ターン、エンド」

手札:6

場:【仮面ライダーゼロワン&ゼロツー(イズ)】LV2

【飛電インテリジェンス社長秘書・イズ〈R〉】LV2(6)

【アークの秘書・アズ】LV2(4)

バースト:【無】

カウント:【8】

 

 

イチマルは、歯切れ悪くターンエンドを宣言。

 

それと同時に思い出す。鉄華オーカミの強さの秘訣は、鉄華団や本日のハイライトカードではない。並外れた直感力と、ここぞと言う時の引きであるということを。

 

 

[ターン07]鉄華オーカミ

 

 

「メインステップ。オノゴロウとルプスレクスファイナルを消滅。ランドマン・ロディ3体を連続召喚」

 

 

ー【ランドマン・ロディ】LV1(1)BP1000

 

ー【ランドマン・ロディ】LV1(1)BP1000

 

ー【ランドマン・ロディ】LV1(1)BP1000

 

 

オーカミは、役目を終えたオノゴロウと、未だ疲労状態であるルプスレクスファイナルのコアを全て取り外し、この場から消滅させると、直後に丸っこい小型の鉄華団モビルスピリット、ランドマン・ロディを3体一斉に召喚。

 

それと同時に、創界神2種にその数分コアが+。再びオルガに4つ目のコアが灯される。

 

 

「アタックステップ。その開始時に、もう一度オルガの【神技】だ。トラッシュからルプスレクスファイナルを復活!!」

 

 

ー【ガンダム・バルバトスルプスレクス[最終決戦時]】LV3(4)BP18000

 

 

二度目のオルガの【神技】により、再び地上へと再召喚されるルプスレクスファイナル。

 

当然ながら今は回復状態、即座に攻撃が可能である。

 

 

「召喚アタック時。相手スピリット1体から3つのコアをトラッシュ。これを2回だ」

「ぐっ、またコアが」

 

 

攻撃を開始するルプスレクスファイナル。両手の激爪でゼロワンとゼロツーを切り裂こうと襲い掛かる。

 

ゼロツーが半透明のバリアを展開し、それを防ぐも、同様に凄まじい威力から繰り出される余波で、2体のコアが弾け飛んだ。

 

消滅は免れるも、その残りコアは、僅か3つとなる。

 

 

「ルプスレクスファイナルのもう1つのアタック時効果。トラッシュの鉄華団カード13枚を破棄し、このバトルの終了後、ライフ2つをボイドに送る」

「ボイド!?」

 

 

ルプスレクスファイナル最大の奥義が超動。その際に除外カード6枚分として扱う、2枚目のルプス鉄華が除外され、その超重量級のコストを賄う。

 

なんとかこれを凌ぎたいイチマルだったが、頼みの綱であるゼロワン&ゼロツーは重疲労状態である上、コアも残り僅か。ライフで受ける以外の手は残されてなくて……

 

 

「……ライフで受ける」

 

 

〈ライフ4➡︎3➡︎1〉鈴木イチマル

 

 

実質3点分の火力となった、ルプスレクスファイナルの激爪による攻撃。イチマルの残り4つもあったライフバリアを、1つになるまで容易く粉砕して見せる。

 

 

「トドメはオマエで決めるぞ、ルプス鉄華!!」

 

 

形状とサイズの異なる、二振りのバスターソードを手に、ルプス鉄華が駆け抜ける。

 

その赤き眼光が捉えし獲物は、鈴木イチマルただ1人。

 

 

「へへ。流石だな、鉄華オーカミ。ライフで受ける」

 

 

〈ライフ1➡︎0〉鈴木イチマル

 

 

己が強くなったことと、オーカミがそれ以上に強くなっていたことを実感すると、イチマルは笑顔を浮かべたまま、最後の宣言。

 

ルプス鉄華が、二振りの大剣で容赦なく、彼の最後のライフバリアを粉砕した。

 

 

「……負けたぜ。やっぱオレっちの知る鉄華オーカミは、こうでなくちゃな」

 

 

バトル終了に伴い、フィールドに残っていた全てのスピリット達が、徐々に消滅していく中、イチマルがサムズアップしながら、オーカミにそう告げて来た。

 

 

「楽しかった。またやろう」

「おうよ!…つーかさ、もう今すぐやらね?」

 

 

距離を詰め、握手を交わし、互いの健闘を称え合う2人。その様子に、ヨッカとヒバナが拍手を送る。

 

 

「ズルいイチマル。オーカ、次私とやろ」

「ヒバナちゃあん!!…オレっち頑張ったから、今度デートしよ!!」

「10分だけね」

「ありがとうございます!!」

 

 

手摺から乗り出し、バトル場へと飛び降りて行ったヒバナが、2人の会話に参加する。

 

その懐かしい光景を、九日ヨッカは口角を僅かに上げ、見守っていた。

 

 

「アイツのバトルスピリッツは、人を惹きつける力がある」

「え?」

 

 

突然、横にいるコントに、ヨッカは自分の弟分を自慢しようと語りかけて来た。

 

 

「だから、自分からは何も話さないくせに、アイツの周りは、常に賑やかになるんだ」

「人を惹きつける力……」

 

 

コントは、バトル場にいるオーカミ、イチマル、ヒバナの3人が形成している微笑ましい空間を目に映しながら、考えた。

 

何故、オーカミのバトルスピリッツに、人を惹きつける力があるのだと。

 

確かに自分も、惹きつけられた1人ではある。しかし、そのメカニズムがどうなのかまでは、イマイチよくわかっていない。

 

当然だ。これは理解するモノではなく、魂で感じるモノなのだから。

 

 

「オレも、あぁなりてぇな」

 

 

ただ、この時のコントは、自分では決して手に入れることができない、その天賦のカリスマ性を欲していた。

 

 

 

******

 

 

あれから、少しだけ時が経過した。

 

長期に渡る夏季休暇は終わりを告げ、ノヴァ学園も遂に二学期を迎える。

 

ゲートシティへと帰って来たオーカミとコントは、新学期一発目の朝礼のため、担任教師であるブイが来るまで教室で待機していた。

 

そこには、界放市への帰省を拒んだ、白髪とサイドテールが特徴的な少女、春神ライもいる。

 

 

「そんでもって最後、オレのΞがイチマル先輩にトドメを刺したんだ!!」

「へぇ。やるじゃんコント」

 

 

コントがライに、オーカミと界放市で起こった出来事を自慢気に話していた。ただ、低く見積もっても半分程度は嘘が混入している様子。

 

 

「負けたのオマエだろ」

「いやいやオーカミよぉ、そこは花を持たせてくれよ〜」

 

 

嘘を指摘するオーカミ。直後、彼のそばに、ライがよそよそしく隣に座って。

 

 

「ちょいちょい、オーカ君やい」

「なにその話し方」

「界放市に帰ったんでしょ。ヨッカさん、なんか私のこと話してた?」

「怒らないから、電話の一本でもよこせってさ」

「えぇ、そんなの絶対ウソじゃん。そんなことしたら、どやされるって」

 

 

オーカミと同じノヴァ学園に通うため、1つ歳下であるにもかかわらず、ヨッカに黙ってゲートシティにやって来たライ。

 

次にヨッカと話す時は、必ず叱られると思っているため、この夏季休暇が終わっても尚、連絡を取らずにいるようだ。

 

 

「なんて言って謝ろうかな〜…ゲートシティでの生活が楽しすぎて、すっかり忘れてたんだよね」

「別に謝る必要もないんじゃないだろ」

 

 

軽く悩むライに、淡白な返答をするオーカミ。ただそれは、ライとヨッカの関係が、この程度で崩壊することはないと確信しているからだとも取れる。

 

 

「はいは〜い。みんなお待たせ、久しぶりのブイ姉だよ。ほらほら、さっさと席についたついた」

 

 

ここでサングラスを掛けた、オレンジ髪の女性教師、ブイが教室に到着。生徒達は皆、自分の机に着席する。

 

 

「みんな。夏休みの間に、また一段とカードバトラーの顔になったな。先生は嬉しい嬉しい。てなわけで、転校生を紹介するぞ」

「!!」

 

 

唐突なブイの「転校生」発言に、オーカミを除く教室の生徒らは驚く。

 

途中からノヴァ学園に在籍する場合、大幅に遅れたカリキュラムをモノともしない頭脳が必要となる。故に転校や編入する際は、通常の受験とは比較できない程、難解な試験を突破しなければならないのだ。

 

それ故、ノヴァ学園の転校生や編入生はとても珍しい。

 

 

「ブイ姉!!…その転校生は男?…それとも飛び切りキュートな女の子!?」

 

 

激しく興奮した様子で、コントがブイに訊いた。

 

 

「そりゃもう、飛び切りキュートな方さ!!……どうぞ、入って来て」

 

 

ブイが呼び掛けると、教室の扉を開け、その転校生が入室して来る。

 

 

「え」

「アイツ……!!」

「おぉ、めっちゃ可愛い子来たァァァァ!!」

 

 

転校生は、飛び切りキュートな少女。黒く、長い髪は、どこか清楚な印象を与え、ノヴァ学園の白い制服がとても映える。

 

コント含め、ほとんどの男子生徒らが歓喜の声を上げる中、オーカミだけは鋭い剣幕を見せ、ライは、まるでトラウマでも掘り起こされたかのように青ざめていた。

 

そして、転校生の少女は、黒板に己の名を刻む。

 

その刻まれた名は「夏恋(かこい)フウ」……

 

 

「私の名前は夏恋フウ。みなさん、今日からよろしくお願いします。ニッヒヒ」

 

 

オーカミとライは知っている。目の前にいる奇妙な笑い声を上げる少女の本当の名は、徳川フウ。

 

かの悪のカリスマDr.A、徳川暗利の実の孫だ。

 

 

 

 

 




次回、第85ターン「魔帝、カイザーベリアル」


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