これは、ブイがオーカミにヨッカの凶報を知らせる少し前の出来事。
日本が誇るバトスピ都市の1つ、界放市ジークフリード区にあるヨッカのカードショップ「アポローン」にて………
「こうして話すのも、なんか久しぶりっすね」
和気藹々とテーブル席でバトルスピリッツを楽しんでいる来客を眺めながら、アポローンの店長、九日ヨッカは、横にいるサングラスを掛けた界放市の警視、アルファベットにそう告げた。
「あぁ。たまにはひたすらのどかなのも悪くない」
アルファベットもまた、ヨッカと同じ方向に視線を送り、彼に返答した。
「そう言えばアルファベットさん、アンタ界放市に在中したままでいいのかよ。オーカミを監視しつつ、鉄華団カードを渡す役目はどうなったんだ?…アイツこの間帰省した時見たことないカード使ってたすけど」
ヨッカがアルファベットに訊いた。
オーカミが界放市から離れて早半年。帰省して来た際に彼が召喚した「ルプス鉄華」を見て、疑問を抱いていたのだろう。
「既にその任はオレの手から離れている」
「へぇ。てことは、ゲートシティにアンタのお仲間が?」
「あぁ、後任はオレの妹だ」
「へぇ妹さんが。へぇ、妹……」
アルファベットの正体を知っているヨッカ。妹と言う言葉でとんでもない人物が浮かび上がって来るのに、そう時間は掛からなかった。
「え、妹って、マジすか!?」
「マジだ。鉄華と春神の担任教師も兼任している」
「またとんでもない人物が絡んで来たな。まぁアルファベットさんとつるんでたら、いつかは関わることになってもおかしくないとは思ってたけど。ライとオーカ、知ってるのかな、知らねぇだろうなぁ」
ヨッカの驚き様と言葉から、アルファベットの妹は、相当名の知れた人物なのが伺える。
「あんまり話したことなかったすけど、オレ実は妹さんの超ファンなんすよね」
「ファン?」
「吸い込まれるようなカリスマ性、端麗な容姿、そして奇抜なデッキを使いこなす類稀なカードセンス、もうそりゃ全部ファンすよ」
「……オマエに妹はやらんぞ」
「そう言う意味じゃねぇよ!!」
妹のことに関しては、アルファベットはやたら過敏である。
「でもサインは欲しいな。アルファベットさん、今度貰って来てくださいよ」
「……オレのサインはいらないのか?」
「いるか!!」
長い付き合いと言うだけあり、仲良しな2人。
そんな彼らの束の間のひと時を引き裂いたのは……
「!?」
「なに」
アポローンの外壁を粉砕しながら現れた、1つの巨大な鉄球だった。正確にはそれをぶら下げた巨大なクレーン車。
「まずいもう一度来る。皆急いで逃げろ!!」
揺れ動く鉄球の動きを見て、ヨッカが叫ぶ。それを耳にするなり、来客達は悲鳴を上げながら一目散に走り出し、アポローンの外へと避難して行く。
「うお!?」
二打目が到来。アポローンの外壁にまた大きな穴が空くと共に、天上まで揺らぎ始める。
「んだよマジで。ちゃんとローンは返済したぞオレは」
「言ってる場合か。来客達は皆避難したようだ。オレ達も退避するぞ」
「くっそ」
三打目はおそらく建物そのものが崩壊してしまう。
ヨッカとアルファベットは、それが来る前に退避しようと出口へ向かって走り出したが……
「うえ〜〜ん。ママァァァァ!!」
「!!」
誰かの泣き声。ヨッカがその方へ首を向けると、そこには取り残された5歳程度の少年の姿が。
前倒れになっていることから、逃げようとした人々に押し倒され、逃げ遅れたのだろう。
「待ってろ」
「待て九日、今戻るのは危険だ」
「馬鹿野郎、放っとけるかよ!!」
アルファベットの制止を振り切り、ヨッカは倒れた少年の元へ向かい、抱き締める。
「え〜〜ん」
「よしよし、もう大丈夫だ。一緒に外出るぞ」
ヨッカが少年を抱き抱えたまま外へ向かおうとした直後だった。
「!?」
三打目が来た。遂にカードショップ「アポローン」は崩壊を始め、天井が落下。
「う、うぁぁぁぁぁあ!!!」
「九日ァァァァァァァァ!!!」
ヨッカは少年諸共、その天井の下敷きになり、アポローンの瓦礫の山々に、アルファベットの叫びが響き渡った。
******
時は戻り、現在。
ノヴァ学園のグラウンドにて、オーカミはブイからの着信で、件の一件の詳細をBパッド越しに耳にしていた。
《幸にも少年は無事だったみたいだが、それを庇った九日ヨッカは》
「なんだよそれ。事故じゃないじゃないか」
電話越しに、オーカミの怒りがブイに伝わる。
《あぁ。ただ直近のニュースで、このことは飲酒運転のトラックによる『事故』として扱われているみたいだ》
「なんで」
《知らない。私達は現場にいたアルファベットから直接訊いただけだからね》
ブイは、この事故の裏に、何かの陰謀を感じてはいたものの、オーカミにそのことは打ち明けなかった。
今はそれよりも大事な話だあるからだ。
《九日ヨッカの安否よりも、今はライちゃんだ》
「ライ?」
《あの子、九日ヨッカが事故に遭ったことを知るや否や、血相変えてどこかへ行ってしまった》
「なに!?」
《多分、九日ヨッカのいる界放市の病院へ向かったんだと思う。シグマのばっちゃんは心配要らないと言っていたけど、あの子がエニーズ02と言う特別な存在であることに変わりはないんだ。いつ何者かに狙われてもおかしくない。だから、君にあの子の保護を頼む》
「……やっぱり、オマエとシグマは信用できない」
《耳が痛いよ》
「……」
オーカミは無言で通話を切る。
彼の横にいたコントは、通話の内容こそ聴こえていないかったが、明らかにオーカミの機嫌が悪くなったことから、何かあったのだと察知して。
「どうしたんだよオーカミ。ライちゃんに何かあったのか?」
コントがオーカミに訊いた。
「いや、大丈夫だ」
取り敢えず今は、ライに連絡だ。
そう考えたオーカミは、自分のBパッドからライへ着信を入れようと画面をタップする。
「ごきげんよう。鉄華オーカミさん」
「!!」
「が、学園長!?…なんでこんな所に!?」
「あらあら。ここは私の学園。どこに居ても、私の自由ですよ」
オーカミとコントの前に突如現れたのは、このノヴァ学園の美しき学園長、ノヴァ王。
雅やか且つ穏やかな雰囲気を漂わせるその方は、学園生徒らの憧れの1つ。
「なんの用だ。今ちょっと忙しいんだけど」
「おいオーカミ。学園長だぞ、敬語くらい使えよ」
ただ、バトルもしない学園長を、オーカミが憧れなどしない。以前と同様にタメ口で接する。
「忙しい。それは貴方の人生の恩師、九日ヨッカさんの不運な事故に関してでしょうか?」
「!!」
今まで特に何も感じて来なかった学園長に、オーカミは悪寒を……
いや、それどころではない。もっと邪悪なモノを感じ取った。
「時に貴方、月王者らしいですね。キングから聞きましたよ」
「……」
「月王者?」
コントは初めて聞くため、首を傾げるが、オーカミは既にシグマから聞いている。自分がこの時代の月王者の力を持つ者であることと、その力を制御するために鉄華団が父によって造られたモノだと言うことを。
「だったらなんだ」
「今日。必ずキングが貴方を倒すでしょう。世界の破滅を防ぐために」
「世界の破滅、なんのこと?」
「月王者は世界の破滅を齎すとされます。そしてそれを淘汰するのが、キングの太陽王者。そのために私は彼を育成して来ました」
聞き覚えがない「破滅」と言う単語。シグマからは使い方を誤れば「脅威」足りうる。と聞かされていたため、おそらくそのことだろうか。
どちらにせよ、オーカミにとってはどうでもいい話だ。
「悪いけど、今はキングとバトルするどころの話じゃないんだ」
無理矢理話を切り上げ、オーカミはこの場を去ろうと学園長に背を向けるが……
「彼が九日ヨッカを追い詰めた張本人だとしてもですか?」
「……なに」
オーカミの身体の中で「怒り」と言う名の赤い血潮が静かに沸き上がる。
「彼は徹底的に貴方を追い詰めるつもりなのですよ。先ずは九日ヨッカ。次は、誰かしらね」
そう言いつつ、学園長が見せたBパッドの画面上には、春神ライの写真が映し出されていて………
「オマエら、ライに何するつもりだ!!」
「私に怒鳴っても無駄です。全てはキング、あの子が仕組んだこと。早くあの子を倒さないと、取り返しのつかないことになるかもしれませんね」
「……!!」
キングの悪事が露呈し、オーカミは強い怒りを露わにする。
誰よりも仲間想いの彼の思考は、キングへの復讐で埋め尽くされ……
「コント、ライを探してくれ。オレはアニキの借りを返しに行く」
「えぇ、アニキの借りって、まさかオマエ!?」
「あぁ、キングを倒す」
「あ、危ねぇって、何が何の話だか、オレにはわかんねぇけどよ」
「頼んだぞ」
「お、おいオーカミ!!」
以前シグマから「キングとは戦うな」と散々釘を刺されていたにもかかわらず、オーカミはキングを倒すため、何よりもヨッカの仇を打つため、彼の元へ向かう。
ライを探してくれと命令されたコントは、ただその静かに怒り狂ったオーカミに困惑することしかできなくて……
「行ってしまわれましたね。キングは私が知る限り、史上最強のカードバトラー。バトルスピリッツを愛し、バトルスピリッツに愛された少年。オーカミさんに先ず勝ち目はない」
「……学園長、ホントなんすか。キングがヨッカさんを」
コントが僅かな恐怖によって震えた声で、学園長に訊いた。
「ですが」
「?」
「光裏コントさん。貴方には彼らよりももっと大きな才能が隠れています」
「え」
学園長はコントの質問には何も答えないまま、彼の両肩に手を置き、そう告げる。
学園長が今まで誰にも見せていなかった裏の顔に、コントは恐怖し、固まった。
******
一方オーカミはノヴァ学園の校舎内を走り回っていた。
目的はもちろんキングの討伐。目指す先は彼が頻繁に出入りをしているパワーフォースルームだ。
「キング……!!」
勢い良くパワーフォースルームの扉を開くオーカミ。
だが、キングの姿はどこにも見えず。
「キングに、何か用か?」
「ッ……サンドラ」
このパワーフォースルームに唯一足を運んでいたのは、キングに次ぐ実力者、序列2位の新城サンドラだった。
「キングはどこだ!!」
オーカミは鬼気迫る勢いでサンドラにキングの居場所を訊く。
「キングの居場所を訊いて、何をするつもりだ」
逆にサンドラが聞き返した。
「決まってる。アニキの借りを返しに行くんだ」
「アニキとは誰だ」
「九日ヨッカ、オレに生き方を教えてくれた兄貴分だ」
「九日ヨッカ、界放市のカードショップの店長だったか、事故に巻き込まれたと、ニュースで見たが」
「事故じゃない。アレはキングと学園長が仕組んだことだ」
「なに!?」
「そして今はライが狙われている。オレはアイツを倒さないと気が済まない」
オーカミの怒りの根源を耳にしたサンドラ。困惑こそするが、一度深く深呼吸し、冷静になると、またオーカミとの会話を試みる。
「落ち着け鉄華オーカミ。その情報の発信源はどこだ」
「学園長だ。キングが勝手にやったって言ってたけど、多分アイツも一枚噛んでる」
「……なるほど、遂に本格的に動き出したと言うことか」
「?」
オーカミから得た情報で、サンドラは瞬時にある結論に至った。
「鉄華オーカミ。学園長の言葉を鵜呑みにしてはならない。おそらく君とキングを戦わせるための嘘、妄言だ」
「オマエのその言葉も嘘で、妄言だったら?」
「オレはキングから太陽王者と月王者の関係性を知った。2人は戦う因果にあるのだろうが、オレはこの無益な争いを避けたい。今一度冷静になれ」
「……」
オーカミはまだ知らされていないが、覚醒した太陽王者と月王者の戦いは、負けた側が力を奪われ、本当に命を落とす危険性がある。
サンドラはそれをどうにかして避けたいのだ。そんな彼の熱意に、オーカミは心を動かされ掛けるが……
「ッ……キングからの着信!?」
「なに?」
オーカミのBパッドより、キングからの着信が入る。真意を確かめるため、オーカミはその着信に応答する。
「キング」
《鉄華オーカミ。九日ヨッカは元気にしてるか?》
「!!」
開口一番に言い放たれた言葉に、オーカミは鳥肌が立った。
《おっと、コレは禁句だったな。今現在、春神ライは私の手でいつでも処せる状況だ》
「オマエ、やっぱり」
《覆したくば、私の元へ来い。ノヴァ学園の屋上で待っている》
通話はそこで途絶えた。ツーツー、と小さな電子音だけがオーカミの耳を通過する。
その途端、オーカミに再び怒りのスイッチが入る。
「アイツ、やっぱりアニキを!!」
「待て鉄華オーカミ、本当にキングがやったのか!?」
「あぁ、自分からオレに教えて来た。屋上にいるらしい、ケリをつけてやる」
怒りに我を忘れ、歯止めが効かなくなるオーカミ。それをどうにか抑え込もうと、サンドラは彼の両肩に手を置く。
「Bパッドを見せてみろ」
一度オーカミを制止させると、サンドラは彼のBパッドを借り、着信履歴を確認する。
「キングとの着信はサウンドオンリー。顔は見れない状況だったのか、普段はそんなことしないはず。やはり何かがおかしい」
「返せ」
オーカミがサンドラから自分のBパッドを強引に取り上げる。
「キングにはオレから話を付けておく。君は金輪際アイツとは関わるな」
「嫌だ。オマエも信用できない。キングはオレが倒す」
「キングに仇を成すような真似はやめろと、以前も伝えたはずだ」
ひりつく空気。嵐の前の静けさ。
2人は気がついた時には、既にBパッドを装着していた。
「それでも仇を成すと言うのであれば、オレも容赦はしない」
「オマエ、邪魔だ」
片方はキングを倒すため、もう片方は無益な争いをやめさせるため。
それぞれが譲れない想いを持つ2人のバトルスピリッツが、まもなく幕を開けようとしていた。
******
「ニッヒヒ。オーカミさん、今頃怒っているんだろうなぁ。あの人、お仲間のこととなると直ぐに頭に血が上るから面白いのよね」
学園が管理している雑木林の中。木に背中を当て、不気味な笑みを見せていたのは、悪魔の少女、徳川フウ。
「キング王の声の作成は、それなりに苦労しましたが、オーカミさんが消えてくれるなら、私にとってこれ以上好都合なことはない」
彼女の手に握られていたBパッドには、おそらく自作したであろうキングの声が内蔵されていた。
そう。今しがたオーカミに着信を入れたのはキングではない、この徳川フウだったのだ。
「さぁ、期待してお待ちしてますわよ。死を操る影の存在」
「あ、見つけた。フウちゃん!!」
「!!」
フウが意味深な単語を呟いた直後、彼女の前に走りながら現れたのは、春神ライ。
2年前、完全に敵対したあの戦いから初めて声を掛けられたことで、フウは僅かばかりの動揺を見せる。
「な、なに」
「お願い。Bパッドのワープみたいな機能で、界放市の病院まで私を連れて行って!!」
「はぁ!?」
ライはフウの手を強く握り、懇願する。その瞬間、フウの僅かばかりの動揺は、困惑に変わる。
「ほら、あの、黒い渦みたいなのが出て来てさ」
「知ってるわよ。そう言う問題じゃない。貴女本当にお馬鹿さんなのね。自分の父親を殺した女に頭を下げるなんて」
「ヨッカさんが事故して界放市の病院に搬送されたんだ」
「……」
知っている。彼女は、学園内に来てから、鉄華オーカミやキング、ブイやシグマ、学園長、などなど、調べられる物は洗いざらい調べまくった。
故に、コレらの事件の全貌も、理解しており………
「じゃあもし、そのヨッカさんの事故がただの事故じゃなくて、私が意図的に仕組んだモノだったらどうする?」
「!!」
「ニッヒヒ。ライちゃんは、それでも私を信じるの?」
ニタニタとライを嘲笑いながら、精神的な揺さぶりを掛けるフウ。
彼女は、自分の嫌悪する者が苦痛に表情を歪ませるのが大好物なのだ。特に精神的なモノならば尚更。
「そうだとしても、私はフウちゃんを信じる!!」
「は!?」
「今から嘘つかれて地獄に叩き落とされたっていい。何度裏切られたっていい。フウちゃんは私の親友だから。もう絶対に信じる!!」
だが、それでもライはフウを信じ抜く道を選んだ。
その愚行の極みとも取れる選択に、流石のフウも怪訝な表情を浮かべる。
「ふざけるなよ春神ライ。オマエのそう言うところが大嫌いなんだ」
「お願いだフウちゃん。私、どうしてもヨッカさんに会って謝らないと。お願い……!!」
「……」
どこまでもフウを信じようとするライの姿勢に、フウは言葉を詰まらせる。
この後、彼女が取った選択は………
******
視点は切り替わり、鉄華オーカミと新城サンドラのいる校舎内。
バトルをする程度には広い空間を有するパワーフォースルームにて、2人は展開したBパッドを装着し、バトルの準備を完全に完了させていた。
「オレが勝ったらそこを通してもらう」
「あぁ、異論はない。君は、覚醒した太陽王者との戦いに敗れれば命を失うかもしれないことを知っているのか?」
「そうなの?」
今更命に関わる話だと聞かされるオーカミだが、その表情は無を極めており、果てしなくどうでもよさそうだ。
「逆も然りだ。君は今、君自身とキングの命、両方を天秤に掛けている」
「へぇ」
「何故そんな薄いリアクションができる。人を殺すか自分が死ぬか、その行為がガッチャではないことくらい、君ならわかるはずだ」
「先に喧嘩を売って来たのはアイツだ。アイツが好き好んでその条件でやるって言うなら、やるだけだ」
「……!!」
気付かされる。
鉄華オーカミも頭がおかしいことを。
破滅を齎すとされる月王者の力を内に秘めているのだから、そうなのではないかとある程度の予想はしていたものの、サンドラは余りにもかけ離れた命の価値観の違いに戦慄する。
「やらせるはしない。負の連鎖は、始まる前にこのオレが断ち切る」
「行くぞ、バトル開始だ」
……ゲートオープン、界放!!
コールと共に、鉄華オーカミと新城サンドラ、2人のバトルスピリッツが幕を開ける。
先攻は鉄華オーカミだ。目の前の邪魔者を排除すべく、いきなり本気モードでターンを進めて行く。
[ターン01]鉄華オーカミ
「メインステップ。オルガを配置」
ー【オルガ・イツカ】LV1
「ターンエンド」
手札:4
場:【オルガ・イツカ】LV1(2)
バースト:【無】
オーカミは創界神ネクサスの配置のみでターンを終える。
次はサンドラの番だ。
[ターン02]新城サンドラ
「メインステップ。我がガッチャ、ガッチャード スチームホッパーを召喚」
ー【仮面ライダーガッチャード スチームホッパー】LV1(1S)BP3000
サンドラの初手は当然契約ライダースピリット、水色の装甲に身を包む、ガッチャード スチームホッパー。
「さらにマジック、ストロングドロー。デッキから3枚ドローし、その後2枚を破棄。バーストをセットし、アタックステップ。スチームホッパー、奴の目を覚させてやれ」
青のマジックカードで手札を整えたのち、サンドラはスチームホッパーに攻撃の宣言。
その間、アタック時効果で彼のカウントは2上がる。
「ライフだ」
〈ライフ5➡︎4〉鉄華オーカミ
先制点はサンドラ。スチームホッパーの蒸気を纏った拳による一撃が、オーカミのライフバリアを粉砕する。
「ターンエンド」
手札:3
場:【仮面ライダーガッチャード スチームホッパー】LV1
バースト:【有】
カウント:【2】
[ターン03]鉄華オーカミ
「メインステップ。クーデリア&アトラ」
ー【クーデリア&アトラ】LV1
バトルは2周目に突入。オーカミは早々に2種目の創界神ネクサスをフィールドに投入。
フィールドに姿を見せるタイプのカードではないので、視認はできないものの、手札はかなり好調のようだ。
今の神託で鉄華オーカミのトラッシュに「絶甲氷盾」のカードが見えた。
流石にレインボーガッチャードの対策ぐらいはして来たか。
オーカミのトラッシュに、サンドラのエースカードであるレインボーガッチャードに対抗しうる白の防御マジック「絶甲氷盾」が落ちた。
サンドラは当然それを見逃さず、オーカミの手札を警戒する。
「行くぞサンドラ。天空貫け、未来を紡げ。ガンダム・バルバトスルプス鉄華、LV1で召喚!!」
ー【ガンダム・バルバトスルプス[鉄華団]】LV1(2S)BP4000
フィールドで発生した砂塵を斬り裂いて現れたのは、2つの大剣を振るう赤い眼のバルバトスルプス、ルプス鉄華。
今のオーカミのデッキの核だ。
「ッ……また新しいカードを。シグマ教授には関わるなとあれ程」
「召喚時効果、デッキを2枚破棄、その中に鉄華団があれば、相手フィールドのコア2個をリザーブへ」
オーカミのデッキは大半が鉄華団。当たり前のように鉄華団のカードがトラッシュへと落ち、効果が有効となる。
「スチームホッパーを消滅」
ルプス鉄華は二振りの大剣を大地に突き刺すと、空いた腕部から滑腔砲を展開。それをスチームホッパーへと向け、鉄球を掃射。
その水色の装甲を砕き、爆散へと追い込む。
ただ、スチームホッパーは契約スピリット。色素を失った魂状態でサンドラのフィールドに残る。
「この効果で消滅した時、トラッシュから鉄華団カードを1枚手札に加える。オレは2枚目のルプス鉄華を手札へ。さらにクーデリア&アトラの【神域】を発揮、鉄華団の効果でオレのデッキが破棄された時、トラッシュにある紫カードを1枚デッキ下に戻し、1枚ドロー。アタックステップ、ルプス鉄華でアタックだ」
手始めのようにサンドラのスピリットを倒したオーカミは、派生効果を解決させた後にすかさずアタックステップを宣言。
ルプス鉄華が大地に突き刺した二振りの大剣を再び手に取る。
「ルプス鉄華のアタック時効果。召喚時効果と同じだ。2枚破棄、クーデリア&アトラの【神域】でドロー。フラッシュタイミング、オルガの【神域】を発揮、デッキから3枚破棄し、1枚ドロー。クーデリア&アトラの【神域】でドロー」
「コイツ、このターンだけで新たに5枚ものカードを手札に」
ルプス鉄華、オルガ、クーデリア&アトラの効果を絡めた怒涛のドローコンボにより、オーカミの手札は一気に7枚にまで増加。
その間にも、ルプス鉄華はサンドラのライフバリアを斬り捨てんと迫っていて。
「アタックはライフで受ける」
〈ライフ5➡︎4〉新城サンドラ
ルプス鉄華の2つの大剣による斬撃が、サンドラのライフバリアをXの字を描きながら斬り裂く。
これで互いに残り4つ。イーブンとなるが。
「ルプス鉄華。なるほど、低いコストで召喚できる上に、デッキの回転率を飛躍的に高めるだけでなく、自身もエース足りうる性能を有しているのか。しかし、その低いコストは仇となる」
「……」
「ライフ減少により、バースト発動。ヴァルバラド黒鋼!!」
ルプス鉄華を分析した結果、敵ではないと判断したサンドラ。伏せていたバーストを勢いよく反転させる。
「効果により、デッキから2枚ドローし、1枚破棄。その効果で破棄したカードがケミーなら、コスト6以下のスピリット1体を破壊する。オレはケミーカード、クロスホッパーを破棄し、コスト4のルプス鉄華を破壊」
突如、天空より放たれた、黒い炎を纏った剣とスパナが、ルプス鉄華の装甲を貫き、焼き尽くす。
「効果発揮後、ヴァルバラド黒鋼を召喚する」
ー【仮面ライダーヴァルバラド黒鋼】LV1(1)BP7000
ルプス鉄華を貫き焼き尽くした剣とスパナが、自動的にサンドラのフィールドへと飛び出して行く。そして、それを両手で握り締め、受け止めたのは、黒い炎をその身に纏う、銀色のライダースピリット、ヴァルバラド黒鋼。
「……ターンエンド」
手札:7
場:【オルガ・イツカ】LV2(3)
【クーデリア&アトラ】LV2(2)
バースト:【無】
サンドラのバーストカード、ヴァルバラド黒鋼により、攻め手を失ったオーカミ。一度体勢を立て直すべく、ターンを終了させる。
[ターン04]新城サンドラ
「メインステップ。魂状態のスチームホッパーを対象に【契約煌臨】を発揮、ガッチャード バーニングゴリラ!!」
ー【仮面ライダーガッチャード バーニングゴリラ】LV1(1)BP6000
魂状態のスチームホッパーが姿を変え、再びフィールドに復帰。炎の剛腕を持つライダースピリット、バーニングゴリラだ。
その効果はパワフルな見た目にはそぐわない、強力なサーチ効果であり……
「煌臨時効果。カウント+1し、デッキから4枚オープン。その中の系統『創手』を持つライダースピリットカードを1枚手札へ。【OC:2】の効果により、カード名の異なるケミーも1枚ずつ手札へ加えられる」
サンドラの4枚のオープンカード。
その内容は、「ニジゴン」「アッパレスケボー」「仮面の魂」………
そして、「レインボーガッチャード」
「仮面の魂は自身の効果で手札へ。それ以外も手札だ」
「……」
このバトルで最も強い存在感を放つカード「レインボーガッチャード」がサンドラの手札へと加えられた。
オーカミとしては、アレを出される前になんとか決着をつけたいところだ。
「仮面ライダーマジェードをLV2で召喚」
ー【仮面ライダーマジェード】LV2(2)BP5000
「召喚時効果。カウント+1し、3枚オープン。テンライナーを手札へ加え、残りを破棄する」
サンドラが次に呼び出したのは、美しき女性型の白いライダースピリット、マジェード。
その効果でサンドラはまた手札とカウントを増やす。
「アタックステップ。バーニングゴリラでアタック。効果でカウント+2」
「何もしない。ライフで受ける」
〈ライフ4➡︎3〉鉄華オーカミ
バーニングゴリラの炎の剛腕による拳骨が、オーカミのライフバリアに炸裂し、それを1つ砕く。
「ターンエンド。次のオレのターンにはレインボーガッチャードだ。サレンダーするなら、今のうちだぞ」
手札:8
場:【仮面ライダーガッチャード バーニングゴリラ】LV1
【仮面ライダーマジェード】LV2
【仮面ライダーヴァルバラド黒鋼】LV1
バースト:【無】
カウント:【6】
「それはこっちのセリフだ。オマエ、早くそこどけよ」
「君をキングの所へ行かせはしない」
やがて終盤を迎えて行くオーカミとサンドラのバトルスピリッツ。
果たしてオーカミは、キングの所へ辿り着くことができるのか………
次回、第89ターン「決戦、太陽と月」
******
先日12日のBANDAIネクストプラン発表会にて、今シーズンのバトスピコラボブースターはなにも発売しないことが発表されました。
ただ、次の2026年度のスタンダード環境でもコラボは継続していくみたいです。楽しみです。丁度バトスピの節目と言うことで、その頃には王者の鉄華を完結させ、次の物語を執筆したいと考えております。