バトルスピリッツ 王者の鉄華   作:バナナ 

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第94ターン「愚者、バルバトスとタナトス」

 

 

 

芽座椎名の力を奪おうと、コントはタナトスに攻撃を命じ、膝の上に彼女を乗せている徳川フウごと斬り裂こうとしたが、それを止めたのは、バルバトス第4形態。鉄華オーカミだった。

 

 

「コント。もうオマエに、コレ以上何も奪わせやしない」

「なんだその主人公みたいな登場の仕方は、鉄華オォォォカミィィィイ!!!」

 

 

空に黒い影が蔓延る、バトルスピリッツの栄える大都市ゲートシティ。

 

その中にあるノヴァ学園の屋上にて、遂に復活したオーカミと、アルカナの力を受けたコントが対峙する。

 

 

「鉄華オーカミ。何故オマエまで私を助けた……」

 

 

召喚されたバルバトス第4形態とタナトスが互いに睨み合いながら消滅して行く中、今にも朽ち果ててしまいそうな弱々しい声で、フウはオーカミに訊いた。

 

 

「私を恨んでいたんじゃないの」

「勘違いするな。オマエを助けたんじゃない。ブイを助けたんだ」

 

 

かつて友を傷つけたフウを、オーカミは許しはしない。

 

だが、その後彼は「でも」と言葉を続けて。

 

 

「ライはオマエを許そうとしてた。友達だから、長く生きたかっただけだからって。オマエは、その内アイツの気持ちに、応えてやらないといけない」

「……」

 

 

第三者から間接的に伝えられたライの気持ちに、フウは僅かに心の安寧を取り戻して。

 

 

「そう。やっぱり私、抱いていた憎しみと同じくらいの大きい愛が欲しかったのね。全く、贅沢な女だこと、流石はDr.Aの孫だわ……」

 

 

最後にそう呟き、柔らかな笑顔を見せると、疲弊し切っていたのか、安らかな眠りにつく。

 

それにより、今この屋上で意識があるのは、オーカミとコントのみとなり……

 

 

「よぉオーカミ。眠気は取れたか」

「コント。オマエが2人をやったのか」

「あぁ。オレは主人公、悪はこの手で倒さなければならないからな。だから、今からオマエも倒すことにするよ」

 

 

コントがオーカミにBパッドを向け、構える。

 

オーカミもそれに応じるようにBパッドにデッキを装填。バトルの準備を完了させる。

 

 

「オマエは何がしたいんだ」

 

 

やがて始まるであろうバトルスピリッツの前に、オーカミがコントに訊いた。

 

 

「オレこそが、この世界の主人公であると言う証明をしたいんだよ」

「フフ。さぁ主人公コント、鉄華オーカミと戦い、終止符を討つのです」

 

 

コントの影から幻出された黒いバケモノ、アルカナが彼に囁く。

 

今のコントに、何を言っても無駄であることを、オーカミは悟る。

 

 

「この世界に主人公は2人も要らない。バトルだ、鉄華オーカミ。引導を渡してやるよ」

「あぁ。オマエの目を醒させてやる。バトル開始だ」

 

 

……ゲートオープン、界放!!

 

 

ノヴァ学園の屋上を舞台に、鉄華オーカミと光裏コントによる最終決戦が幕を開ける。

 

先攻はコントだ。己がこの世界の主人公であることを証明すべく、ターンを進めて行く。

 

 

[ターン01]光裏コント

 

 

「メインステップ。オレはネクサス、制服風花をLV2で配置」

 

 

ー【[月光館学園制服]山岸風花】LV2(1S)

 

 

コントが側に呼んだのは、丈の長いスカートが目立つ制服を着用した、水色のショートヘアの少女。

 

 

「青のカード。閃光はもう使わないのか?」

 

 

オーカミがコントに訊いた。

 

 

「あんなモブカード、使うわけないだろ。オレは主人公だからな。ターンエンド」

手札:4

場:【[月光館学園制服]山岸風花】LV1

バースト:【無】

 

 

以前の自分が愛用していた閃光のカード達をモブだと切り捨て、コントはターンエンドを宣言。オーカミへとターンが回って来る。

 

 

[ターン02]鉄華オーカミ

 

 

「メインステップ。オルガとクーデリア&アトラを配置」

 

 

ー【オルガ・イツカ】LV1

 

ー【クーデリア&アトラ】LV1

 

 

オーカミの初手は2種の創界神ネクサス。配置時の神託により、オルガに3つ、クーデリア&アトラに1つのコアが+された。

 

 

「ターンエンド」

手札:3

場:【オルガ・イツカ】LV2(3)

【クーデリア&アトラ】LV2(1)

バースト:【無】

 

 

オーカミが幸先の良いスタートを切り、バトルは2周目。コントのターンへと移る。

 

 

[ターン02]光裏コント

 

 

「メインステップ。見せてやるぜオーカミ。オレの契約スピリット、主人公を召喚」

 

 

ー【[S.E.E.S.制式戦闘服]主人公】LV1(1)BP3000

 

 

「このオレ自身がスピリット、主人公だ」

 

 

コントの瞳孔から滲み出る黒い影が、より濃くなる。彼が契約スピリット、主人公を召喚したと言う証だ。

 

 

「オマエ自身が、スピリット!?」

「これがアルカナがくれた、オレの望む力だ。さらに創界神ネクサスの主人公、オレを配置」

 

 

ー【[月光館学園制服]主人公】LV1

 

 

「制服風花の効果、制服のカードを出した時、1つコアブースト。配置時の神託。創界神ネクサスのオレにコア+3」

 

 

立て続けにコントが出して来たのは、またしても主人公。フィールドには何も出現はしないが、これにより、コントは新たなる効果とシンボルを獲得していて。

 

 

「契約スピリットのオレの効果。ターンに一度、他のカードを使った時、もしくはこのスピリットでアタックした時、カウント+2し、デッキから2枚ドロー、その後手札2枚を破棄する。創界神ネクサスのオレの【神域】の効果、破棄する枚数を1枚減らす」

 

 

つまりは2ドロー1ディス。コントは2枚のカードを引き、その後少々吟味し、1枚のカードを捨てる。

 

 

「破棄されたイゴールの効果。自身を配置する」

 

 

ー【イゴール】LV1

 

 

コントの側に、小さくて鼻の長い男性が現れる。

 

破棄したカードさえも利用する無駄のない展開により、彼のフィールドには、実に4つものシンボルが揃った。

 

 

「最後にバーストをセットしてアタックステップ。オレでアタックする。この瞬間、制服風花のLV2効果、カウント+1」

 

 

コントの右手にどこからともなく現れた剣。彼はそれを握り締めてオーカミのライフを討つべく走り出した。

 

 

「ライフだ」

「くらえオーカミ!!」

 

 

〈ライフ5➡︎4〉鉄華オーカミ

 

 

「……ぐ」

 

 

嫉妬と憎しみの籠った、コントの一撃。オーカミのライフバリアが1つ砕かれる。

 

その際、オーカミは僅かな脱力感を感じていて。

 

 

「言い忘れておりましたが、貴方のライフが減るたびに、貴方の底知れぬ生命力を吸収させて貰いますからね。もちろん、0になった時は、フフフ」

「なるほど、これにブイはやられたのか」

 

 

コントの影からアルカナが伸びて現れ、オーカミにライフと己の命が連動していることを遠回しに伝える。

 

 

「エンドステップ。創界神ネクサスのオレの【神技】を発揮。デッキ上から『死神タナトス』を手札に、トラッシュの『明鏡止水ゆかり&イシス』の効果、創界神ネクサスのコア1つをトラッシュへ置き、手札へ戻る。ターンエンド。さぁ見せてみろよオーカミ、元主人公の意地ってやつをな!!」

手札:5

場:【[S.E.E.S.制式戦闘服]主人公】LV1

【[月光館学園制服]主人公】LV1(0)

【[月光館学園制服]山岸風花】LV2

【イゴール】LV1

バースト:【有】

カウント:【3】

 

 

フィールドのシンボルを稼ぎ、オーカミのライフを奪うだけでなく、手札増強やコアブーストなど、様々なアドバンテージを確保して、コントはターンエンドを宣言。

 

次はオーカミの二度目のターンだ。反撃に転ずるべく、それを進めて行く。

 

 

[ターン04]鉄華オーカミ

 

 

「メインステップ。ランドマン・ロディを召喚」

 

 

ー【ランドマン・ロディ】LV1(1)BP1000

 

 

このバトル、オーカミが初めて呼び出したスピリットは、丸みを帯びた小型のモビルスピリット、ランドマン・ロディ。

 

だが当然ながら、真打はこれからで。

 

 

「アタックステップ。その開始時にオルガの【神技】を発揮。トラッシュから鉄華団を呼び覚ます」

 

 

オルガのトラッシュからカードを復活させる効果により、オーカミが選び、手に取ったのは、1番最初の自分のエースカード。

 

 

「行くぞ、大地を揺るがせ、未来へ導け。ガンダム・バルバトス第4形態、LV3で召喚」

 

 

ー【ガンダム・バルバトス[第4形態]】LV3(4)BP12000

 

 

黒き戦棍メイスを片手に振り回す、バルバトスの基本形態。バルバトス第4形態が、地中深くから飛び出し、見参する。

 

 

「久しぶりだな第4形態。ルプス鉄華が来てからめっきり見なくなったから、もうデッキから抜いたもんだと思ってたぜ」

「アタックステップ継続だ。バルバトス第4形態、頼むぞ」

 

 

オーカミの指示を聞き入れ、バルバトス第4形態がメイスを手にフィールドを駆け抜ける。

 

 

「アタック時効果。コント、オマエから2つのコアをリザーブに置き、消滅させる」

 

 

バルバトス第4形態は、メイスを大地へ向かって振るう。その衝撃によって生まれた土塊が、コントを襲った。

 

 

「はっ。だが、オレは契約スピリット。魂状態で残るぜ」

 

 

しかし、それは全く通用せず。コントは涼しい表情のままそれを耐え抜く。

 

 

「効かねぇよオマエのバルバトスの攻撃なんて」

「ならこれはどうだ。バルバトス第4形態、LV3のアタック時効果。シンボル+1。ダブルシンボルになる」

 

 

バルバトス第4形態に紫シンボル1つが埋め込まれる。これでバルバトス第4形態は、コントのライフを一撃で2つ破壊できるようになった。

 

しかし、今のコントには、それさえも通じなくて。

 

 

「その程度で粋んな。だからオマエはカスなんだよ。アタック後のバースト、マジック、エスケープロード」

「!」

「バースト効果、デッキから3枚オープンし、その中の対象カードを手札に加え、その後コストを支払いメイン効果を発揮。制服風花とイゴールに1つずつコアブースト。さらに相手のアタックステップなら、今行われているアタックを強制的に終了させる」

 

 

勢いよく反転したコントのバーストカードは、またしても手札とコアを増やす強力なモノ。

 

フィールドでは、赤いドレスを身に包んだペルソナスピリットが現れると、それの念力のような力で、バルバトス第4形態の動きが封じられる。

 

 

「オレのバルバトス第4形態は、ただじゃ終わらない。このバトル終了時、LV2からの効果でトラッシュから鉄華団を呼ぶ。来い、漏影」

 

 

ー【漏影】LV1(1)BP3000

 

 

バルバトス第4形態は、メイスを大地へ打ち付け、亀裂を生じさせると、そこからバスターソードを抱えた鉄華団モビルスピリット、漏影が飛び出し、現れる。

 

 

「漏影の召喚時効果。デッキを3枚破棄して、トラッシュから鉄華団カード、ルプス鉄華を手札に。この時、クーデリア&アトラの【神域】が誘発。トラッシュの紫1色のカードを1枚デッキ下に置き、1枚ドロー」

「ハハ。鉄華団の効果なんざ、所詮はその程度だよな」

 

 

漏影とクーデリア&アトラのコンボが誘発。オーカミは一度に2枚のカードを手札へと加える。

 

それよりも大きなアドバンテージを獲得していたコントは、「やはり、自分の方が優れている」と、優越感に浸っていた。

 

 

「続け漏影」

 

 

バーストにより、バルバトス第4形態のアタックは無効となったが、オーカミは間髪入れずに漏影でアタックの宣言。

 

 

「それくらいは受けてやるよ。ライフだ」

 

 

コントは余裕を持ってライフで受ける宣言。

 

しかし……

 

 

〈ライフ5➡︎4〉光裏コント

 

 

「ぐっ!?」

 

 

漏影のバスターソードによる一撃が決まり、コントのライフバリアが1つ砕けた瞬間。何故か彼は苦しみ出す。

 

 

「な、なんだこの感じ。力が、アルカナの力が抜けて行く?」

 

 

僅かだが、アルカナの力を失っていたコント。あまりに唐突な出来事に戸惑うが、それはアルカナとて同じ。

 

 

「馬鹿な。鉄華団は私の力を消し去る月王者と同等の力を持っているとでも言うのか」

「……」

 

 

戸惑うコントとアルカナを見て、オーカミは直前に父、カグヅチから受け取った「オレが作った鉄華団なら勝てる」と言う言葉を思い出す。

 

 

「そうか。バルバトス、鉄華団。オマエ達は」

 

 

この日のためにオレの所へ来たのか。

 

オーカミはバルバトス第4形態をはじめ、今フィールドにいる3体の鉄華団スピリット達を眺めながらそう確信していた。

 

アルカナを倒すために月王者から作られたカード。それこそが鉄華団。その使い手は、作成者の息子、鉄華オーカミ。

 

 

「ターンエンドだ」

手札:5

場:【ガンダム・バルバトス[第4形態]】LV3

【漏影】LV1

【ランドマン・ロディ】LV1

【オルガ・イツカ】LV1(1)

【クーデリア&アトラ】LV2(4)

バースト:【無】

 

 

意外な勝ち筋が見えて来たところで、オーカミは一度己のターンをエンドとする。

 

 

「コント。これ以上鉄華団の攻撃を受けてはいけません!!」

「あぁ。アイツ、なんでそんなに主人公補正全開なんだよ。この世界の主人公はオレだって言うのに!!」

 

 

アルカナは蓄えて来た力が消える焦りから、コントはオーカミが世界の主人公に見えるから。

 

2人は互いに別のベクトルでオーカミに嫌悪感を抱き始める。

 

 

[ターン05]光裏コント

 

 

「メインステップ。戦闘服ゆかりをLV2で召喚」

 

 

ー【[S.E.E.S.制式戦闘服]岳羽ゆかり】LV2(2)BP4000

 

 

「召喚時効果。カウント+1。オレの効果でさらにカウント+2。2枚引いて、1枚を捨てる」

 

 

コントの場に新たに召喚されたのは、弓矢を肩に下げた、高校生程度の少女。その召喚時とコント自身の効果により、カウントアップとドローを両立する。

 

 

「もう1体、戦闘服順平をLV2で召喚」

 

 

ー【[S.E.E.S.制式戦闘服]伊織順平】LV2(3)BP5000

 

 

「召喚時効果。トラッシュの生命の炎順平&トリスメギストスを手札へ。さらにバーストをセット」

 

 

追加で召集されたのは、帽子を着用した、髭面の少年。その効果により、トラッシュからさらなるカードがコントの手札へと加えられた。

 

 

「仕上げはコイツだ。魂状態のオレを対象に【契約煌臨】を発揮。ペ・ル・ソ・ナ」

 

 

コントの【契約煌臨】発揮の宣言に身構えるオーカミ。彼のカウントは6。そろそろエース級のカードが来てもおかしくないからだ。

 

そして、その予感は的中。コントは銃で自分を撃ち抜き、新たなるスピリットを従える。

 

 

「天地を越えて、愚者をも貪れ。死神タナトス、LV2で契約煌臨!!」

 

 

ー【[死神]タナトス】LV3(3)BP19000

 

 

オーカミへの憧れが隠せない召喚口上の元、現れたのは、獣のような頭蓋骨を模した仮面に加え、鎖で自身の肉体と繋がっている八つの棺桶。さらには一振りの直刀を手に持つ、死神のような出立ちのペルソナスピリット、名をタナトス。

 

 

「どうだオーカミ。これがオレの今のエースカードだ」

 

 

コントはオーカミにタナトスを見せつけ、また優越感に浸る。

 

 

「へぇ。なんかバルバトスに似てるな」

「……どこが似てんだカス」

 

 

オーカミの率直な感想は、悪気がないにせよ、コントの心を煽る結果となった。

 

激情に駆られたコントは、そのままアタックステップを宣言して。

 

 

「タナトス、奴に力の差を思い知らせろ。アタック時効果、相手スピリット全てのコアを1個ずつにし、もう1つのアタック時効果で、コア1個以下のランドマン・ロディを破壊、オマエのライフ1つを破壊する」

 

 

〈ライフ4➡︎3〉鉄華オーカミ

 

 

「ぐっ」

 

 

タナトスの死神の直刀による攻撃。

 

一撃目はバルバトス第4形態に刺さり、そのLVを1にまでダウンさせ、二撃目でランドマン・ロディの命を刈り取り、オーカミにもリアルダメージを与える。

 

 

「煌臨元にいるオレの効果。自分のアタックステップ中、相手スピリットを倒した時、ターンに一度、回復する。つまりタナトスは回復」

「ランドマン・ロディの破壊時効果、1枚ドロー」

 

 

破壊効果に反応し、互いに効果を誘発させて行くが、その効果が強い方はコントだと言うことは、言うまでもない。

 

 

「タナトスはアタックする度に破壊&バーン効果を行える。決めてやりな」

 

 

暴虐の限りを尽くすタナトス。

 

しかし、オーカミ側にも何も手がないわけではなくて。

 

 

「フラッシュマジック、もっとよこせ」

「!」

「効果でデッキ上から3枚破棄。その中の鉄華団1枚につき、相手フィールドのコア1つをリザーブに置く」

 

 

マジック効果により破棄されるオーカミのデッキ上の3枚。

 

流石の主人公補正か、今回は全て鉄華団のカードであり………

 

 

「3枚とも鉄華団だ」

「くっ……運だけマンがよ」

「タナトスは3つのコアをリザーブに置き、消滅させる。行け、バルバトス!!」

 

 

オーカミの指示に、バルバトス第4形態が応える。

 

無音の咆哮を張り上げると、バルバトス第4形態は黒き戦棍メイスをタナトスへ向かって投擲。頭部に命中させる。さらにメイスが大地に落ちて来た瞬間に手に取り、もう一撃。

 

ペルソナスピリット、タナトスもこの連続攻撃には流石に耐えられなかったか、粒子化し、消え去った。

 

 

「よし」

「よしじゃねぇわ。戦闘服順平でアタック。そして、フラッシュ【契約煌臨】を発揮。対象は戦闘服ゆかり。この時、ソウルコアのコストは不要となる。来い、明鏡止水ゆかり&イシス」

 

 

ー【[明鏡止水]岳羽ゆかり&イシス】LV2(2)BP11000

 

 

ゆかりが両手で持った拳銃で己の眉間を撃ち抜きながら「ペルソナ」を宣言。

 

すると彼女の背後に神秘的な翼を持つ無機質なペルソナスピリット、イシスが出現する。

 

 

「明鏡止水ゆかり&イシスの煌臨時効果。オレの全てのスピリットに1つずつコアブーストさせたのち、回復」

「!」

 

 

明鏡止水ゆかり&イシスの効果により、バットを構えているアタック中の順平が回復状態となる。

 

コアブースト含め、十分強力な効果を内蔵しているが、実はそれだけではなくて。

 

 

「明鏡止水ゆかり&イシスの効果はまだある。オレのスピリット全て、アタックで相手のライフを破壊した時、さらにもう1つ追加で破壊する」

「……」

「事実上全員がダブルシンボルだ。くらいやがれ」

 

 

全てのスピリットを一斉にサポートすることに特化した性能を持つ明鏡止水ゆかり&イシス。

 

これにより、オーカミは再び敗北の射程圏内に入れられてしまうが………

 

 

「フラッシュ【煌臨】を発揮。対象は漏影だ」

「な……!」

「轟音唸る、過去をも穿つ。グシオンリベイクフルシティ、LV1で煌臨」

 

 

ー【ガンダム・グシオンリベイクフルシティ】LV1(1)BP5000

 

 

オーカミの背後から飛び出して来た、大きな巨大を有するモビルスピリットの影。

 

それはフィールドにいる漏影と重なり合い、一体化。

 

こうして現れたのは、重厚な装甲を携えた、鉄華団の守護神、グシオンリベイクフルシティ。

 

 

「フルシティの煌臨時効果。オレのデッキ上2枚を破棄。その中の紫1色のカード1枚につき2つ、相手フィールドのコアをリザーブへ送る」

 

 

颯爽とフルシティの煌臨時効果を発揮させ、オーカミはデッキ上から2枚のカードをドロー後、トラッシュへ捨てる。

 

それらのカードは、いずれも紫1色のカードで。

 

 

「明鏡止水ゆかり&イシスから3つ、戦闘服順平から1つ。それぞれリザーブへ。明鏡止水ゆかり&イシスは消滅」

「クソ」

 

 

フルシティは、背部から第三、第四の腕部を展開すると、4本の腕全てから滑腔砲を掃射。

 

その広い範囲射撃により、ゆかりはイシス共々消滅。順平は片膝をつきながらも生き残った。

 

 

「クーデリア&アトラの【神域】でドロー」

「ふふふ、フハハハハ!!」

「何がおかしい」

 

 

フルシティの煌臨時効果処理後。コントはこの光景が滑稽に見えたのか、大きく高笑いした。

 

 

「オマエがアホで助かったぜ。ゆかりがソウルコア無しで煌臨できるのなら、順平にも同じようなことができると思わなかったのか?」

 

 

そう告げると、コントはさらに1枚のカードをBパッドへと叩きつけた。

 

 

「フラッシュ【契約煌臨】を発揮。対象は戦闘服順平。この時、効果でソウルコアは不要となる」

 

 

ゆかりの次は順平だ。

 

彼もまた拳銃で自身のこめかみを撃ち抜き、「ペルソナ」を宣言。

 

 

「来い、生命の炎順平&トリスメギストス!!」

 

 

ー【[生命の炎]伊織順平&トリスメギストス】LV3(3)BP12000

 

 

順平の背後に現れたペルソナスピリットは、赤い体色に黄金の翼を持つトリスメギストス。その身から溢れ出る炎は、愛する者の生命の灯火。

 

 

「生命の炎順平&トリスメギストスの煌臨時効果。BP30000以下のスピリット、グシオンリベイクフルシティを破壊」

「くっ……」

 

 

トリスメギストスは、前方に炎を集結させ、放出。それはオーカミのフルシティを瞬く間に焼き尽くし、爆散させる。

 

 

「さらにトラッシュから刑死者のカードをこれの煌臨元に追加することで、オレはライフを2つ回復する」

「なに」

 

 

〈ライフ4➡︎6〉光裏コント

 

 

トリスメギストスが与える炎は、敵には破壊。味方には回復。

 

コントに向けて放たれたトリスメギストスの炎は、コントのライフバリアを4から6へと増加させた。

 

 

「そして、生命の炎順平&トリスメギストスのLV2効果、オマエは効果でアタックステップを終了できず、オレの全てのスピリットに赤シンボルを1つ追加。生命の炎順平&トリメギストスは元よりダブルシンボル、つまりトリプルシンボルのアタックだ」

 

 

トリスメギストスの生命の炎は、フィールドにいる順平にも力を付与。

 

オーカミのライフは残り3つ。三度敗北の危険へと晒されてしまう。

 

 

「しかも今は回復状態でのアタック。今度こそ終わりだ」

「フラッシュ、クーデリア&アトラの【神技】を発揮」

「!」

「トラッシュの鉄華団を1枚、デッキ下に戻して、バルバトス第4形態を回復。ブロックだ」

 

 

咄嗟の判断でクーデリア&アトラのコアを取り払い、バルバトス第4形態を回復させる。

 

フィールドでは疲労状態から起き上がったバルバトス第4形態が、生命の炎順平&トリスメギストスの行手を阻む。

 

バルバトス第4形態は先手必勝と言わんばかりにメイスを投擲するが、トリスメギストスが捻出した炎に呆気なく焼却。そのまま自分も焼き尽くされ、爆散してしまう。

 

 

「アホが。回復してるっつってろ。二撃目で」

「鉄華団がフィールドを離れたこの瞬間、手札のグレイズ改弍を提示」

「!?」

「効果でこれを召喚する」

 

 

ー【流星号[グレイズ改弍]】LV1(1)BP2000

 

 

「召喚時効果で1枚ドロー」

 

 

バルバトス第4形態の爆発に反応するようにフィールドへ飛来して来たのは、マゼンタカラーの鉄華団モビルスピリット、グレイズ改弍。

 

 

「無駄だ。生命の炎順平&トリスメギストスでアタック。煌臨時効果は、アタック時にも使える。BP30000以下のグレイズ改弍を破壊」

 

 

トリスメギストスの炎が、登場したばかりのグレイズ改弍を焼き尽くす。

 

その後直ぐに順平とトリスメギストスは、オーカミのライフバリアを砕こうと走り出し、飛翔するが……

 

 

「鉄華団がフィールドを離れた時、手札にあるガンダム・フラウロスを提示」

「はぁ!?」

「自身をノーコスト召喚」

 

 

ー【ガンダム・フラウロス】LV2(3)BP10000

 

 

「ブロックだ」

 

 

焼き尽くされたグレイズ改弍は、炎の中でガンダムの名を持つフラウロスへと進化を果たしていた。

 

不意打ち気味に背部のレールガンを射出するが、順平とトリスメギストスは、それを難なく回避。

 

その後直ぐに順平のバットによる一撃と、トリスメギストスの炎がフラウロスを襲い、今度こそ本当に爆散してしまう。

 

 

「なんでだ。なんで耐えられる。なんでオレはこのターンで決められない。これじゃまるでオマエが……」

 

 

オマエの方が主人公みたいじゃないか。

 

それだけは口が裂けても言えなかった。戦えば戦う程に、オーカミこそがやはり主人公なのだと実感してしまう自分が嫌で仕方がないのだ。

 

 

「……エンドステップ。創界神のオレの【神技】を発揮。デッキ上3枚からペルソナを手札に加え、残りを下へ置き、トラッシュのソウルコアを生命の炎順平&トリスメギストスに。トラッシュにある明鏡止水ゆかり&イシスの効果。創界神ネクサスのコア1つをトラッシュへ移動させ、手札に戻る。ターンエンドだ」

手札:5

場:【[生命の炎]伊織順平&トリスメギストス】LV2

【[月光館学園制服]主人公】LV1(1)

【[月光館学園制服]山岸風花】LV1

【イゴール】LV1

バースト:【有】

カウント:【6】

 

 

苛立ちと焦りから、歯軋りをしながらも、自分が優位に立っていることに変わりはないと確信しているコントは、またエンドステップに多くのアドバンテージを確保し、そのターンをエンドとする。

 

次はなんとかコントのペルソナスピリット達の猛攻を凌いだ、オーカミのターンだ。

 

 

[ターン06]鉄華オーカミ

 

 

「メインステップ。ランドマン・ロディを召喚」

 

 

ー【ランドマン・ロディ】LV1(1)BP1000

 

 

このバトル、2体目となるランドマン・ロディがフィールドへ出撃。

 

もちろんこれは前座だ。オーカミはさらなるカードを手札から引き抜く。

 

 

「天地を貫け、未来へ紡げ。バルバトスルプス鉄華、LV2で召喚……!!」

 

 

ー【ガンダム・バルバトスルプス[鉄華団]】LV2(3)BP7000

 

 

フィールドで発生した砂塵の大竜巻を、中より二振りの大剣で斬り裂き、姿を見せたのは、赤き眼を持つ、新進気鋭のバルバトス、バルバトスルプス鉄華。

 

 

「召喚時効果。デッキ上2枚を破棄し、鉄華団が破棄されたなら、フィールドのコア2つをリザーブへ」

 

 

当然の如く鉄華団カードが破棄され、ルプス鉄華の効果は有効となる。

 

 

「生命の炎順平&トリスメギストスから2つのコアをリザーブへ叩きつける」

 

 

背部のスラスターで飛び立つルプス鉄華。上空で浮遊しているトリスメギストスを二振りの大剣で、順平のいる地上へと叩き落とす。

 

消滅こそしなかったものの、そのLVは1にダウンした。

 

 

「クーデリア&アトラの【神域】でドロー」

「まんまと罠に掛かりやがったな。相手の召喚時発揮後のバースト発動、アクセルハウリングコロマル&ケルベロス!!」

「!」

「バースト効果、コスト8以下のスピリット、ルプス鉄華を破壊。コイツをノーコスト召喚」

 

 

ー【[アクセルハウリング]コロマル&ケルベロス】LV2(8)BP17000

 

 

再びコントのバーストが勢いよく反転。

 

白い毛並みの勇猛な犬と、それのペルソナ、ミツ首の犬、ケルベロスが出現。2体の雄叫びが、音響攻撃となり、ルプス鉄華の装甲を砕いて爆散させる。

 

 

「ハハ。馬鹿め、思い知ったか」

「オレはもう1体、ルプス鉄華を召喚する」

「なに!?」

 

 

ー【ガンダム・バルバトスルプス[鉄華団]】LV2(3)BP7000

 

 

コントのカウンターが炸裂したのも束の間、オーカミはそれを読み切っていたのか、手札に抱えていた2枚目のルプス鉄華を召喚。

 

 

「ルプス鉄華の召喚時効果。生命の炎順平&トリスメギストスを消滅。トラッシュからグレイズ改弍を手札へ戻す」

「ぐっ……」

 

 

ルプス鉄華は腕部に仕込まれていた小型の滑腔砲を展開し、掃射。遂に生命の炎順平&トリスメギストスを消滅へ追い込む。

 

 

「クーデリア&アトラの【神域】。ドロー」

「クソ。なんだよそれ、テメェの引きが強いだけじゃねぇか」

「アタックステップ開始時。オルガの【神技】を発揮」

「いいよな、都合の良いドローができる奴はよ!!」

「トラッシュからフラウロスを再召喚」

 

 

ー【ガンダム・フラウロス】LV1(1)BP5000

 

 

「召喚時効果。コア5個以上のスピリット、アクセルハウリングコロマル&ケルベロスを破壊」

 

 

コントの愚痴を聞き流しながら、オーカミはアタックステップに突入し、その間で、オルガの【神技】の効果でトラッシュからフラウロスを蘇生。

 

フラウロスは復活するなり背部のレールガンを射出。コロマルとケルベロスを爆散へ追い込んだ。

 

これでコントのフィールドのスピリットは0。ようやかオーカミにも勝機が見えて来た。

 

 

「ルプス鉄華でアタック。効果でデッキを破棄し、クーデリア&アトラでドロー」

 

 

ルプス鉄華はオーカミの指示に応え、二振りの大剣を構え、フィールドを駆け抜けて行く。

 

 

「負けるかよ。フラッシュマジック、白晶防壁」

「!」

「このターン、オレのライフは1つしか減らない」

 

 

ルプス鉄華の連続攻撃効果ならば、このターンのみでコントの残り6つのライフバリアを破壊できたのだが、彼はここで白の防御マジック、白晶防壁を使用。

 

オーカミの勝利はまた遠のいて行く。

 

 

「フラッシュ、オルガとクーデリア&アトラのコンボだ。手札とトラッシュを増やす」

「それがどうした。ルプス鉄華のアタックはライフで受ける」

 

 

〈ライフ6➡︎5〉光裏コント

 

 

「ぐぁ!?」

 

 

ルプス鉄華の二振りの大剣による剣撃が、コントのライフバリアへと届き、それを1つ破壊する。

 

しかし直後に白晶防壁の影響により、半透明のバリアが出現。それは、一度オーカミがターンをエンドとしない限り、永遠とコントのライフバリアを守護し続ける代物で。

 

 

「ターンエンド」

手札:7

場:【ガンダム・バルバトスルプス[鉄華団]】LV2

【ガンダム・フラウロス】LV1

【ランドマン・ロディ】LV1

【オルガ・イツカ】LV2(3)

【クーデリア&アトラ】LV2(5)

バースト:【無】

 

 

冷静に状況を見極め、オーカミはこのターンをエンド。それにより、コントのライフバリアを包み込んでいた、白晶防壁による半透明のバリアが消失。

 

 

「月王者を失った雑魚相手に、何を手こずっているのですコント。さっさと倒しなさい」

「わかってるよ。次のターン、今度こそぶちのめしてやる」

 

 

自身の生命の危機ゆえか、アルカナは、コントに勝利を急かし始める。

 

コントは、そんなアルカナの期待に応えるため、そして何より、己がこの世界の主人公であると証明するため、巡って来たターンを進めて行く。

 

 

[ターン07]光裏コント

 

 

「メインステップ。愚者オルフェウスを召喚」

 

 

ー【[愚者]オルフェウス】LV2(2)BP10000

 

 

「契約スピリットのオレの効果。カウント+2。2ドロー1捨て」

 

 

手始めにとコントが呼び出したのは、本来楽器である琴を武器として構えるペルソナスピリットの1体、オルフェウス。

 

 

「コロマルを3体召喚」

 

 

ー【コロマル】LV2(2)BP3000

 

ー【コロマル】LV2(2)BP3000

 

ー【コロマル】LV2(2)BP3000

 

 

前のターンはケルベロスと共に強力なスピリットとして登場していたコロマルが、今度は単体のスピリットで、3体召喚される。

 

 

「アタックステップ。コロマルでアタック」

 

 

メインステップは終了し、アタックステップへ。

 

コントは、尖兵としてコロマル1体にアタック宣言。フィールドでそのコロマルが走り出した直後、彼はまた己の手札のカードを1枚引き抜き。

 

 

「【契約煌臨】を発揮。対象は世界の主人公、オレ」

 

 

自身を対象に契約煌臨の宣言。手に持つ拳銃を己のこめかみに当てる。

 

 

「天地を消し去り、未来に死を。ペルソナァァァァ!!」

 

 

弾丸で自身の頭部を撃ち抜き、現れたのは、死神タナトス。

 

だが、前のターンのものとは明らかに様子が違う。全てを死へと誘ってしまうのではないかと思ってしまう程に、その肉体には黒い影が纏わりついていた。

 

 

「Memento Mori主人公&タナトス!!」

 

 

ー【[Memento Mori]主人公&タナトス】LV2(4)BP21000

 

 

「このスピリットは」

「鉄華オーカミ。この世界の遺物よ。オマエはこのアルカナに選ばれた主人公、オレ、光裏コントが成敗してくれる!!」

 

 

タナトスの黒い影は、やがてコントの方にも影響を及ぼし、2人を最凶のペルソナスピリットへと変化させる。

 

Memento Mori………

 

心に影を生み、死を呼び込む力が、やがてオーカミと鉄華団を襲うこととなる。

 

世界の命運を賭けたバトルスピリッツ。果たしてオーカミは勝つことができるのか………

 




次回、第95ターン「黎明、最後のターン」


******


最終回まで、残り3話!
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