バトルスピリッツ 王者の鉄華   作:バナナ 

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後日談編
EXターン01「オーカミとライの結婚前夜」


 

 

 

あの伝説となった、鉄華オーカミとキング王の戦いから、3年が経過。

 

キング達はおろか、当時1年生だったオーカミ達までもが、ノヴァ学園を卒業し、それぞれの進路を歩んで行った。

 

オーカミやそのライバル達の大半がプロのカードバトラーとなって行く中、1人だけ全く違う進路を進んだ者がいて。

 

 

「明日は夢にまで見たオーカとの結婚。けーっこんけーっこんけーっこん」

「喧しいぞライ。さっさと風呂入って寝ろ」

 

 

とある雑居ビルの中、妙な踊りを披露しながら嬉しさを表現する春神ライを、九日ヨッカが叱咤する。

 

そう。明日は遂に待ち望んだ、鉄華オーカミとの結婚式。2人は正式に結ばれて、家族となるのだ。

 

ライは今年で18歳で、より顔や身体付きはかなり女性らしく成長したのだが、肝心の頭の中はあまり変わっていない様子。

 

 

「いやさ、一応最後の独身生活なわけだし、今日くらい夜更かししようかなって」

「マリッジブルー?」

「なわけ。オーカミと結婚するんだよ、なるわけないでしょ」

「それもそうか」

 

 

ヨッカの家に居候するのも、今日で最後となる。明日から鉄華ライとなる彼女は、オーカミの家へと引っ越すからだ。

 

 

「でも明日、目にクマ作ってブサイクになるのは嫌だろ?」

「確かに」

「じゃあさっさと寝ろ」

「は〜い。そんじゃ、明日はよろしく」

「おう、任せろ」

 

 

そんな折、ライのBパッドに、メッセージの着信音が響く。

 

ライはそれを見るなり、気難しそうな表情をみせて。

 

 

「んーー…ごめんヨッカさん、ちょっとコンビニ行って来る。直ぐ帰るから」

「あぁ、夜道は気をつけろよ」

「ほーい、行って来まーす」

 

 

財布とBパッドを持って、ライは外出を始める。

 

コンビニに行くと言っていたが、そのコンビニには入りもせず、通過。ライは、明日自分たちが式を上げる結婚式場へと足を運んだ。

 

一足先にバージンロードを歩きながら、幸せを噛み締めるライ。ただ、その先に待つのは花婿、鉄華オーカミではなく。

 

 

「よお」

「いきなり呼びつけて、何のよう?…レオン」

 

 

オーカミのライバルの1人、獅堂レオンだった。

 

彼は今年で20歳。これまで以上に凛々しい顔付きになり、背も伸びていた。

 

 

「言っとくけど、私旦那いるからね。浮気癖とかないから」

「バカ。オレが女に興味があるように見えるか?」

「見えない」

「だろ?」

 

 

見えない。だからライもここまで足を運んだ。

 

やることは、既に何となく察しているみたいで。

 

 

「バトルだ、春神ライ」

「やっぱそのパターンか〜」

「プロになるオーカミと違い、貴様はただの主婦。今のうちにリベンジを果たしておこうと思ってな」

「そう言えばアンタ、昔私に負けてたっけ」

「あぁ、あの時の屈辱は未だ忘れん」

「ふふ。根に持つ男はモテないよ。ウチの旦那を見習え」

「結婚は明日、まだ旦那じゃないだろ?」

「もう旦那様でいいの!」

 

 

やはりライにデッキを突きつけて来たレオン。学生時代、オーカミやキングを倒すのに夢中になるがあまり忘れていたライへのリベンジを、ここで果たそうと言うのだ。

 

ライとて、レオンの溢れ出るカードバトラー精神を理解している。断る理由はない。

 

 

「いいよ、やろう。負けてべそ掻くなよ?」

「フッ。貴様こそ、オレに負けて急にプロになるとか言い出すなよ」

 

 

互いにBパッドを展開し、左腕に装着。そこへ己のデッキを装填し、バトルの準備を完了させる。

 

そして………

 

 

……ゲートオープン、界放!!

 

 

暗がりの夜、薄灯の結婚式場にて、獅堂レオンと、春神ライによるバトルスピリッツが幕を開ける。

 

先攻はレオンだ。ライにリベンジを果たすべく、ターンを進めて行く。

 

 

[ターン01]獅堂レオン

 

 

「メインステップ。創界神ネクサス、ギルバート・デュランダルを配置」

 

 

ー【ギルバート・デュランダル】LV1

 

 

レオンが初手に配置したのは、フィールドに何も出現しないタイプの創界神ネクサスカード。彼の魂、デスティニーガンダムを強力にサポートする1枚だ。

 

 

「【神託】によりコア+3。この時、トラッシュに落ちたシンを手札に加える。ターンエンド」

手札:5

場:【ギルバート・デュランダル】LV1(3)

バースト:【無】

 

 

プレイはそれのみ。レオンはターンを終える。

 

 

「相変わらずの白デッキか」

「そう言えば貴様、前は赤デッキだったな。何故黄色に鞍替えした」

「今さらだろ。色々あったんだよ、色々。私のターンだ」

 

 

昔のことは説明せず、はぐらかし、ライはターンを進めて行く。

 

 

[ターン02]春神ライ

 

 

「メインステップ。行くよ、エアリアル!!」

 

 

ー【ガンダム・エアリアル】LV1(1)BP

 

 

風でできた球体の中より姿を見せたのは、柔和なデザインの白いモビルスピリット、エアリアル。

 

ライの契約カードにして、相棒である。

 

 

「来たか、契約スピリット」

「バーストゾーンにミラージュ、株式会社ガンダムをセットして、アタックステップ。エアリアルでアタック、効果でカウント+1。デッキ下から1枚ドロー」

 

 

颯爽とエアリアルで攻撃を仕掛けるライ。

 

前のターンにスピリットではなく、ネクサスを呼び出していたレオンは、これに対して受ける以外の選択肢がなくて。

 

 

「無論。ライフだ」

 

 

〈ライフ5➡︎4〉獅堂レオン

 

 

エアリアルは手に持つビームライフルを照射し、レオンのライフバリア1つを撃ち抜く。

 

 

「ターンエンド」

手札:4

場:【ガンダム・エアリアル】LV1

バースト:【無】

ミラージュ:【株式会社ガンダム】

カウント:【1】

 

 

ウィンクしながら、ライはターンエンド。

 

バトルは2周目を迎え、次はそんな彼女の可愛らしい仕草を鼻で笑ったレオンのターンだ。

 

 

[ターン03]獅堂レオン

 

 

「メインステップ。ザクウォーリアを3体召喚」

 

 

ー【ザクウォーリア】LV1(1)BP2000

 

ー【ザクウォーリア】LV1(1)BP2000

 

ー【ザクウォーリア】LV1(1)BP2000

 

 

レオンはここで緑の装甲の小型モビルスピリット、ザクウォーリアを3体一挙に召喚。

 

その数分、デュランダルにもコアが+される。

 

 

「春神、今のバトルはラン&ガンが主流。心してかかれよ。アタックステップ、ザクウォーリア1体目でアタック」

 

 

レオンはここでアタックステップへと入る。1体目のザクウォーリアへ攻撃を宣言。

 

ライとしては、エアリアルでブロックと言いたいところだったが、疲労しているため、それは不可能だ。

 

 

「ライフで受ける」

 

 

〈ライフ5➡︎4〉春神ライ

 

 

1体目のザクウォーリアが、拳骨を殴りつけ、ライのライフバリアを粉砕する。

 

 

「続いて2体目」

「それもライフだ」

 

 

〈ライフ4➡︎3〉春神ライ

 

 

2体目も同様。ザクウォーリアが拳骨を殴りつけ、ライフバリア1つを砕く。

 

 

「最後、3体目でアタック」

 

 

3体目のザクウォーリアも走らせる。

 

怒涛のフルアタック。これも通って仕舞えば、ライのライフは早々に半数以下となってしまうが。

 

 

「それはダメ。フラッシュマジック、懺悔」

「!」

「このターン、3体目のザクウォーリアのシンボルを0にする。そして、ライフで受ける」

 

 

〈ライフ3➡︎3〉春神ライ

 

 

3体目も他2体と同じように拳骨で殴りつけるも、マジックカードの影響により、ライフバリアは砕けずに終わる。

 

 

「流石に守るか。だがそのライフ、直ぐに砕けると知れ。エンドステップ、デュランダルの【神技】を発揮。ドローステップを宣言し、カードを1枚ドロー。ターンエンド」

手札:4

場:【ザクウォーリア】LV1

【ザクウォーリア】LV1

【ザクウォーリア】LV1

【ギルバート・デュランダル】LV1(3)

バースト:【無】

 

 

「一々言い回しが古臭いんだから。んじゃ、私のターンね〜」

 

 

[ターン04]春神ライ

 

 

「メインステップ。先ずは【契約煌臨】からかな。エアリアルを、エアリアル・ビームサーベルへ。さらにLV2にアップ」

 

 

ー【ガンダム・エアリアル[ビームサーベル]】LV2(3)BP11000

 

 

エアリアルを対象に発揮される【契約煌臨】

 

その見た目に大きな違いはないが、強化されているのは確かなことで。

 

 

「煌臨時効果。デッキ上から3枚オープンして、その中の学園カード1枚を手札に加える。私は、ミオリネを手札に加えて、これと、ニカとデリングを配置」

 

 

ー【ミオリネ・レンブラン】LV1

 

ー【ニカ・ナナウラ】LV1

 

ー【デリング・レンブラン】LV1

 

 

「ニカの配置時効果。デッキ上から2枚オープンして、学園カードを回収。会社スレッタを手札へ、残りを破棄。さらにデリングの効果、自分のトラッシュに学園カードがある時、学園ネクサスのLVを2に上げる」

 

 

次々とカードを手札に加え、Bパッド上に大量のカードを並べるライ。

 

やがてそれらのカード達は、別々の方向性でレオンに牙を向けることとなり……

 

 

「アタックステップ。その開始時にデリングLV2の効果。ザクウォーリアをガンダムとして扱い、コア2つをリザーブへ」

「なに、黄色でコア除去だと」

 

 

ライのアタックステップへ突入した瞬間、レオンのフィールドにいる1体目のザクウォーリアがコア不足によって廃棄処分。消滅してしまう。

 

 

「ザクウォーリアの効果は破壊時のみ。消滅には対応していない」

「くっ」

「それともう1つ、エアリアル・ビームサーベルの効果。手札にある会社スレッタをノーコストで召喚し、合体」

 

 

ー【ガンダム・エアリアル[ビームサーベル]+スレッタ・マーキュリー[株式会社ガンダム]】LV2(3)BP17000

 

 

「会社スレッタの召喚時効果。デッキ下から2枚ドロー」

「オマエ、1ターンに何枚のカードを展開し、何枚ドローするつもりなのだ」

「当然、オマエを倒せるまでだよ。エアリアル・ビームサーベル、アタックだ。効果でカウント+1、デッキ下から1ドロー」

 

 

これだけのカードを展開したにもかかわらず、ライは手札4枚を維持。

 

強力なエアリアルデッキを手足のように操る彼女は、その後、さらなる一手を手札から繰り出す。

 

 

「さぁちょっと本気行くよ。【契約煌臨】発揮、対象はアタック中のエアリアル・ビームサーベル」

「ッ……ソウルコアなしで契約煌臨!?」

「このカードは、私のライフ1つを破壊することで、ソウルコア無しで【契約煌臨】を行えるカードだ」

 

 

〈ライフ3➡︎2〉春神ライ

 

 

ライのライフバリアが1つ砕けると、エアリアル・ビームサーベルに新たなるモビルスピリットの影が重なり、姿を変える。

 

 

「来い、ガンダム・キャリバーン!!」

 

 

ー【ガンダム・キャリバーン+スレッタ・マーキュリー[株式会社ガンダム]】LV2(3)BP18000

 

 

こうして現れたのは、エアリアル同様白いモビルスピリット、キャリバーン。ソウルコアの代わりにライフを犠牲にすることで【契約煌臨】を可能とする珍しいスピリットだ。

 

 

「新たなモビルスピリット」

「キャリバーンだ。カッコいいだろ。煌臨時効果。ターンに一度、私のライフのコア1つをキャリバーンに捧げることで、相手スピリット1体をデッキ下に戻す」

「!!」

 

 

〈ライフ2➡︎1〉春神ライ

 

 

「ライフ1つを砕き、2体目のザクウォーリアをデッキ下へ」

 

 

またまたライのライフバリア1つが自動で砕けると、キャリバーンは、魔女が跨る箒のような巨大レーザー兵装から極太のビームを照射。ザクウォーリアを一撃で焼き払う。

 

 

「手札デッキに戻った時でも、ザクウォーリアの効果は使えない」

「……」

「キャリバーンが相手スピリットを倒した時、ミオリネの効果。ターンに一度、私のライフ1つを回復。さらに会社スレッタの効果。ガンダムの効果で私のライフが減った時、回復させ、一度だけスピリットのコア1つをライフへ移動」

 

 

〈ライフ1➡︎2➡︎3〉春神ライ

 

 

「ライを戻しつつ、キャリバーンを回復させたと言うのか!?」

「そう言うこと。しかも今のキャリバーンは、合体でダブルシンボルだ」

 

 

キャリバーンのコストで支払っていたライフを元に戻しつつ、アタック中のキャリバーンを回復させ、4点分の火力を作り出すライ。

 

これが全て通れば、レオンの残りライフは0。なんとその時点でライの勝利が確定する。

 

 

「くっ……ライフで受ける」

 

 

〈ライフ4➡︎2〉獅堂レオン

 

 

僅か4ターン目。あのキング以上に速い速攻。

 

キャリバーンは巨大レーザー兵装を鈍器のように振い、レオンのライフバリア2つを砕き割る。

 

 

「どしたどした、これで終わりか?…なら決めてやれキャリバーン。煌臨元のエアリアルの効果でドロー」

 

 

キャリバーンが再び巨大レーザー兵装を構える。その銃口を向けたことから、今度はビームの方でライフを破壊するつもりのようだ。

 

当然、レオンはそれを許さない。

 

 

「フラッシュマジック、『アンタは俺が討つんだ! 今日! ここで!!』を使用」

「!」

「効果により、相手スピリット、キャリバーンをデッキ下に戻す」

 

 

レオンの放った1枚のマジック。それにより、キャリバーンは粒子となり、この場から消去。

 

それだけでも十分に強力なマジックであると言えるが、本領発揮はこれからで。

 

 

「この効果でBP11000以上のスピリットを屠った時、手札から対象カードをノーコストで使うことができる。そして、我が魂も、その対象カードの内の1枚だ」

「来るか」

 

 

ライが何が来るのかを察した直後、レオンは手札をさらに1枚Bパッドへと叩きつけ、その名を叫ぶ。

 

 

 

「絶望の運命をも救済する、我が魂!!……デスティニーガンダム・メサイア!!……LV1で召喚!!」

 

 

ー【デスティニーガンダム[メサイア攻防戦]】LV1(1)BP10000

 

 

天空に蔓延る曇天。雷鳴唸るそこより現れたのは、新たなるデスティニーガンダム。名をデスティニーガンダム・メサイア。

 

 

「私のキャリバーンを利用してデスティニーを出すなんて、やるじゃんレオン。ターンエンド」

手札:4

場:【スレッタ・マーキュリー[株式会社ガンダム]】LV1

【ミオリネ・レンブラン】LV2

【デリング・レンブラン】LV2

【ニカ・ナナウラ】LV2

【ガンダム・エアリアル】(魂状態)

バースト:【無】

ミラージュ:【株式会社ガンダム】

カウント:【3】

 

 

ライにとっては、久しぶりとなる全力のバトルスピリッツだからか、その表情はとても楽しそうだ。

 

ターンをエンドとし、相手ターン中にデスティニーガンダム・メサイアを呼び出して見せたレオンのターンとなる。

 

 

[ターン05]獅堂レオン

 

 

「メインステップ。シン・アスカを召喚し、デスティニーガンダム・メサイアと合体。さらにLV3へアップ」

 

 

ー【デスティニーガンダム[メサイア攻防戦]+シン・アスカ[C.E.73]】LV3(5)BP29000

 

 

「アタックステップ。我が魂でアタック。シンの効果。デッキから1枚オープンし、それが対象のカードなら使える」

 

 

パイロットブレイヴを召喚し、合体させたのちに即アタックを行うレオン。そんなパイロットブレイヴ、シンの効果で捲れたのは、ネクサスカード「ミーア・キャンベル」

 

 

「ミーア・キャンベルをLV2で配置」

 

 

ー【ミーア・キャンベル】LV2(1)

 

 

これでレオンのフィールドには、ネクサスカードが2枚。デスティニーガンダム・メサイアの真の力が発揮される。

 

 

「デスティニーガンダム・メサイアのアタック時効果。相手の最もコストの高いスピリット、ネクサス1つを破壊し、破壊した時、このターン、白シンボル1つを追加する。そしてこの効果は、オレのネクサスカードを疲労させることで、追加で発揮し続けることができる」

「!!」

「つまり、3回だ。三度破壊し、白シンボル1つを追加する。会社スレッタ、ミオリネ、デリングを破壊し、我が魂は驚天動地の強さ、クインテットシンボルを手にする」

 

 

デスティニーガンダム・メサイアを中心に迸った蒼い稲妻が、ライのBパッド上にあった3枚のカードをトラッシュ送りにする。

 

これで、ライのフィールドのカードをニカ1枚。それと同時に、自身は5点シンボルと言う超火力を手にした。

 

 

「この一撃で沈むがいい!!」

 

 

デスティニーガンダム・メサイアが掌にも蒼い稲妻を走らせ、そのままライのライフバリア目掛けて直行。これを受けて仕舞えば、ライは全てのライフを失い、敗北が決定する。

 

ただ、彼女がこんなにあっさり敗北するわけがなくて。

 

 

「フラッシュマジック、白晶防壁」

「む」

「このターン、私のライフは1しか減らない。それはライフで受けるよ」

 

 

〈ライフ3➡︎2〉春神ライ

 

 

デスティニーガンダム・メサイアによる強力な一撃が炸裂。迸る蒼い稲妻が、ライのライフバリアを砕いて行くも、途中で白晶防壁による半透明のバリアが、それを守護。

 

結局、砕けた数は1で終了となる。

 

 

「対応できる防御札を持っていたか、ターンエンド」

手札:2

場:【デスティニーガンダム[メサイア攻防戦]+シン・アスカ[C.E.73]】LV3

【ザクウォーリア】LV1

【ギルバート・デュランダル】LV1(5)

【ミーア・キャンベル】LV2

バースト:【無】

 

 

互いに一進一退を繰り返す中、バトルはライのターンへ移る。

 

 

[ターン06]春神ライ

 

 

「メインステップ。デミトレーナーチュチュを召喚」

 

 

ー【デミトレーナー チュチュ専用機】LV1(1)BP2000

 

 

「召喚時効果。魂状態のエアリアルをノーコストで復活させることで、デッキ下から1枚ドロー」

 

 

ー【ガンダム・エアリアル】LV2(2)BP7000

 

 

ライが呼び出したのは、低コストの一つ目のモビルスピリット、デミトレーナーチュチュ。

 

その効果により、半透明の状態となっていたエアリアルが、色素を取り戻し、フィールドへ帰還する。

 

 

「さらに2枚目、会社スレッタ。召喚して、エアリアルと合体。召喚時効果でデッキ下から2枚ドロー」

 

 

ー【ガンダム・エアリアル+スレッタ・マーキュリー[株式会社ガンダム]】LV2(2)BP13000

 

 

主軸となるパイロットブレイヴも引き当て、手札、フィールド共にアドバンテージを回復して行く。

 

そんな中、ライは勝負を決めるべく、手札から1枚のカードを引き抜いて。

 

 

「さぁ、ラストターンの時間です」

「!」

「【契約煌臨】を発揮。エアリアルよ、魔物斬り裂く、刃となれ。ガンダ・キャリバーンファイナル、LV2で契約煌臨!!」

 

 

ー【ガンダム・キャリバーン[最終決戦時]+スレッタ・マーキュリー[株式会社ガンダム]】LV2(2)BP31000

 

 

エアリアルは虹色の輝きを纏い、究極の進化を遂げる。

 

現れたのは、前のターンにも呼び出されたキャリバーンが、虹色の輝きを纏った姿、キャリバーンファイナル。ライの最終最後のエースカードだ。

 

 

「アタックステップ。キャリバーンファイナルでアタック。先ずはエアリアルの効果でカウント+1&1ドロー。アタック時効果、相手スピリット2体をデッキ下に戻す。対象は、ザクウォーリアとデスティニーガンダム・メサイア」

「!?」

 

 

キャリバーンファイナルは、箒のような形をした巨大レーザー兵装から、虹色のレーザー砲を照射。瞬く間にザクウォーリアとデスティニーガンダム・メサイアを塵芥に変え、消去した。

 

 

「そしてもう1つある。私のライフ1つをキャリバーンファイナルに置き、相手ライフ1つを破壊する」

「!」

「砕け散れ!!」

 

 

〈ライフ2➡︎1〉春神ライ

 

 

〈ライフ2➡︎1〉獅堂レオン

 

 

「会社スレッタの効果。キャリバーンファイナルを回復させ、ライフを1つ戻す」

 

 

〈ライフ1➡︎2〉春神ライ

 

 

キャリバーンファイナルのレーザー攻撃が、今度はレオンに向けられる。放たれたそれは、彼のライフバリア1つを一瞬の内に焼き切った。

 

これで、その数は遂に1となり、レオンは絶体絶命の状況へと追いやられてしまう。

 

 

「これで邪魔者は排除完了。トドメ行くよ、キャリバーンファイナル!!」

 

 

バトルスピリッツをはじめ、ありとあらゆる戦いに勝てるよう設計され、造られた、エニーズ02である春神ライ。

 

本来、彼女に勝てるようなカードバトラーは、オーカミやキングなど、何か特別のモノに選ばれたカードバトラーを除いて他はない。

 

いや、なかった。

 

と言うべきか。

 

 

「!!」

 

 

ライがキャリバーンファイナルへラストアタックを指示した直後。

 

突然、遙か前方から何者かがレーザー攻撃を行い、キャリバーンファイナルを撃ち抜いて爆散へと追い込んだ。

 

そのスピリットは……

 

 

「フラッシュマジック、『アンタは俺が討つんだ! 今日! ここで!!』を使用」

「2枚目!?」

「効果でキャリバーンファイナルをデッキ下に戻し、現れよ、運命をも覆す、我が魂、デスティニーガンダム!!」

 

 

ー【デスティニーガンダム】LV2(2)BP15000

 

 

レオンの魂、デスティニーガンダムだった。

 

ライの勝利する未来、運命をも覆すべく、それはレオンの元へ出撃したのだ。

 

 

「そっか。強くなったんだね、レオン」

 

 

敗北を悟り、レオンの成長を感じたライがそう呟く。その表情はとても嬉しそうで。

 

 

「オマエの旦那のおかげだ。オレ1人では、決してこの領域に辿り着くことはなかっただろう」

「本当に不思議な奴だよね。全く喋らないくせに、知らない間に色んな人の気持ちを変えてくれる」

「そう言うところに惚れたのだろう?」

「うん……ターンエンド」

手札:

場:【デミトレーナー チュチュ専用機】LV1

【スレッタ・マーキュリー[株式会社ガンダム]】LV1

【ニカ・ナナウラ】LV1

【ガンダム・エアリアル】(魂状態)

バースト:【無】

ミラージュ:【株式会社ガンダム】

カウント:【4】

 

 

ライは少しだけ頬を赤ながら、微笑み、ターンエンドを宣言。最後のターンを、レオンへと託した。

 

 

[ターン07]獅堂レオン

 

 

「メインステップ。我が魂をLV3に上げ、合体」

 

 

ー【デスティニーガンダム+シン・アスカ[C.E.73]】LV3(5)BP29000

 

 

「アタックステップ。我が魂でアタック。その効果でデミトレーナーとライフ1つを破壊。そして本命のアタック。ラストコールを歌え」

「……楽しかった。ライフで受ける」

 

 

〈ライフ2➡︎1➡︎0〉春神ライ

 

 

デスティニーガンダムは、手に持つビームライフルから、極太のレーザー攻撃を照射。

 

それはデミトレーナーとライのライフバリア全てを包み込んでいき、大爆発。その数を0にしてみせ、レオンに不可能と思われていた勝利をもたらした。

 

 

「最後はオリジナルの我が魂か。アンタらしいわね」

 

 

バトルが終わり、役目を終えたデスティニーガンダムが徐々に消滅して行く中、ライがレオンに告げた。

 

 

「当然だ。オレ=デスティニー。デスティニー=オレだからな。どうだ、オレに負けたことで、貴様もプロに行く気になったか?」

「さてはそれが本命の目的だな。全然行く気になんないよ。これから夢にまで結婚生活だぜ?…それにほら、産休とか、さ」

 

 

ライは、何故かもじもじしながらお腹を摩り、産休の言葉を口にする。

 

 

「ん?…まぁいい。今度は貴様からオレに挑んで来るがいい。オレがいつでも相手してやる」

「え、いやだけど」

「は?」

「だって、子供が生まれたら子供とやりたいし。バトルしたいなら、またレオンの方からくれば?」

「……」

「あ、なんなら私らの子ともやる?」

 

 

口を開けば惚気るライ。恋愛面にはとにかく無頓着なレオンだが、表情を見るに、いい加減うんざりして来た様子。

 

 

「カードバトラー以前に、オマエは1人の女なのだな。もう遅いし、帰るか」

「アンタにもう遅いと言う概念あるんだ」

「オレのことをなんだと思っている。早寝早起きこそ、絶対勝利の秘訣だ」

「私そんなしょうもない秘訣に負けたの?」

 

 

レオンは、「これ以上くだらない話に付き合ってられるか」と告げると、ライに背中を向けて、この場、結婚式場から去ろうとしたが。

 

 

「おっと、そう言えば言うのを忘れていた」

「?」

 

 

立ち止まり、薄ら笑いを浮かべながら、一言。

 

 

「結婚おめでとう」

「ふふ。遅」

 

 

今更過ぎる祝いの言葉に、ライは満面の笑みを浮かべた。

 

 

******

 

 

翌日。

 

清々しい気持ちを表したかのような晴天。

 

昨日、ライとレオンがバトルスピリッツを行った結婚式場は、オーカミとライの祝儀を祝おうと、大勢の人物達で溢れかえっており、花嫁入場を今か今かと待ち侘びていた。

 

 

「き、緊張して来た。ら、ライ。オレのスーツ大丈夫?…汚れてない?…髭は?…完璧?」

「もううるさいな。なんで一緒に歩くだけのヨッカさんがそんなに緊張してんの」

 

 

入場口前の裏では、白いウェディングドレスを着用したライと、黒いタキシードを着用したヨッカが準備していた。

 

どうやらヨッカは、ライの父親代わりとして、彼女とバージンロードを共に歩く予定の様子。

 

 

「オレはオマエの父親役だぞ。そりゃ緊張もするって」

「ヨッカさんがお父さんの代わりになるわけないでしょ」

「なにぃ!?」

「だって、ヨッカさんは、どう足掻いてもヨッカさんでしょ?」

「まぁ……な。そっか、オレはオレでしかないよな」

 

 

緊張していたヨッカだったが、ライの言葉で落ち着きを取り戻す。

 

 

「そんじゃ行こっか」

「あぁ、行くか」

 

 

そして、2人は扉を開け、歩き出した。

 

 

「花嫁、入場です」

 

 

会場で司会進行を務めているアルファベットがそう告げると、バージンロードを歩き出したライとヨッカにスポットライトが当たる。

 

それを見た会場の者達は皆、拍手喝采で迎え入れた。

 

その中には、界放市で仲の良かったヒバナやイチマルはじめ、レオンや甲子園ダホウ、新城サンドラ、キング王、光裏コントなど、ノヴァ学園で出会った者や、春神サンこと、元エニーズ03。さらには、徳川フウまで………

 

とにかく大勢の者達が、幅広く参列していた。

 

そして、その先には、新郎、鉄華オーカミが、緊張感のない欠伸をかいて、ライを待っていた。結婚式でもいつも通りな彼を見て、ライは満面の笑みを浮かべる。

 

 

「幸せになれよ、ライ」

「!!」

 

 

ふと、頭の中でそんな声が聞こえて来た。

 

とても落ち着く、大人の男性の声。ライがこの声を聞き間違えるはずがない。

 

 

「お父、さん?」

 

 

そう。死した彼の父親、春神イナズマの声だった。辺りを見渡してみるが、彼はいない。当然だ。

 

 

「ありがとう」

 

 

瞳に微かな涙を浮かべながら、ライは天国からメッセージを送って来た父に、感謝の意を告げる。

 

 

「え、ええええ、なんか言ったか!?」

「ヨッカさん緊張しすぎ。さっきまでの余裕はどこ行った。ゆっくり歩いてたら時間の無駄だし、ほら、走るよ」

「え、待てライ、こう言うのは工程というものがだなぁって、おいいい!!」

 

 

一刻も早くオーカミの元へ辿り着くため、ライはヨッカの手を引き、走り出す。

 

ヨッカも最初こそ慌てていたが、次第に「まぁいいか」と呟き、笑顔を見せる。

 

 

「オォォイ!!……オォォカァァァ!!」

 

 

ライは手を振りながら近づき、オーカミに抱きついた。数々の困難を共に乗り越えて来た2人の愛は、永遠に、永劫に続くことだろう。

 

 





次回、EXターン02「鉄華ヒメ、バトスピ始めます」


******


最終回の時にいただいたご感想を読んで行くうちに、本来やりたかった話や、対戦カードを思い出して、「後日談ならいけるのでは?」と電流が走り、今日から3話ほど、後日談を執筆することにしました( ̄∀ ̄)
因みに、今度のプレバンでガヴが契約で出たら、最終回の終盤で出て来たオーカミとライの娘、鉄華ヒカリの話も執筆することにしました。そう、ガヴが契約で出たら(重要)

レジェンダリーバトルの投票は、期間が長過ぎるなと感じましたので、締切を7月31日に変更いたします。
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