3000年越しに君へ愛(激重)をお届けに参りました   作:2Nok_969633

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 影響された。後悔はしていない。




 


僕は君と会うために生まれて来たんだね(二次元)

 

 

 

  速報、前世勇者のパーティーメンバーだった俺氏、転生する。

 

 唐突に何を言っているかわからないと思ったそこの君、俺も何を言っているのかわかっていないから安心したまへ。本当についさっき思い出したばかりなのだ。

 

 あれはつい数分前の出来事であった。

 夏の照りつける日差しに負けまいと文明の暴力とも呼べる機械、エアコンを付け、ソファで死んだ屍のようにグデーっとしながら寛いでいた時だ。前世の記憶を自覚していない時はあれほど便利な代物が一般家庭に出回るなど予想も付いていないだろうが兎も角、夏の暑さに身体が起き上がることの出来ないほどの感覚を味わっていたことを今でもはっきりと覚えている。さながら魔王軍幹部と戦っている時のような圧力に負けないようにと、震える手を伸ばし俺は持てる欲の全てをぶつけるのだ。

 

 

 

 「あたし、あなたのことが好きなの!無様でもどんなに惨めでも好きって感情に間違いなんてあるわけないじゃない!」

 そう、二次元文化に。

 所謂オタク落ちである。魔術の探求?筋力の増強?剣術の境地?魔王討伐?国の平和?世界を守る?宇宙の真理?はっ、くだらないねえ!

 

 二次元には勇気も、笑顔も、癒しも、中には残虐なものだってあるが誰も傷付いていない優しい世界を見た時、それはそれは俺の心を忽ち浄化させる。ああも可憐で美しく熱く繊細で勇ましい作品の数々、時に涙を見せるもどかしさや共感、悲しみをああも演出させるのは最高だ。初めて手に取ったライトノベルには胸が熱くなったのを今でも覚えている。過去の記憶なんぞクソ喰らえ!アニメを生み出してくれてありがとう、アニメーション文化を発展させてくれた数多の人たちこそ勇者以上に世界を救っていること間違いなし、ノーベル平和賞受賞決定だ!おめでとう諸君。俺の涙の結晶を与えよう。

 

 不思議なことに多くの死の淵を掻い潜ってきたが、俺が死んでまで転生したのはこの文化に触れ合うためだったのだと自らの使命を実感し、今の人生を謳歌している。というかもう寿命以外で死にたくない、と考えるほどにアニメやラノベに齧り付き脳内レベルは紛うことなき厨二病に堕ち、ただのオタクと成り果てたのも無理はないのだ。もはや二次元文化が無ければ俺はとっくに自殺でもしていそうだ。というのも… まず戦いの場や死の境遇自体見たくないのだ。無意識に現れていた転生越しのPTSDが発症していたのである。

 

 

 

 

 

 

 燃え盛る炎に広がる血の雨。バラバラな死体。腕だけ足だけの遺体。死体にもならない程に消えてしまった肉体。焼け焦げた匂い。変形し飛び出た骨。内臓のミルフィーユ。血まみれになった見知らぬ魔族。弊害を受けた罪のない人々。消耗されていく兵士。国同士の歪み合い。生贄に捧げられた奴隷。魔王そっちのけで繰り広げられる戦争。資源不足による疫病の蔓延。うめき声と悲鳴のレクイエム。目の前で死んでいく戦士達。死を目の前に狂って笑いまくる生者。堕ちたカルト宗教。神格化された獣人。マッドサイエンティストによる魔術回路の意図的な暴走。磔にされた親を殺す子供達。洗脳されていく市民。罵声。血。勝てない才能。荒れ狂う土地。血。血。才能があったにも拘わらず俺を庇って大怪我を負った戦友。酷使されすぎて闇に病んだヒーラー部隊の隊長姉妹。ドM化したタンク。安楽死活動に目覚めたシスター。性格がねじ曲がり卑劣な戦術を繰り広げる弓兵。聖剣を抜いたせいで来る日も来る日も戦いに繰り出された勇者。共に戦いでしか語ることが出来なかった魔王軍とその幹部達。そして理想に溺れた魔王。その全てに興味がない神々と天使、精霊、龍、幻獣達。血。血。血。圧倒的血の海。

 

 

 

 

 こんな黒く暗く悍ましいものを見なくていいだなんて…。ここは天国か。今じゃ過去の戒めとして魔術に対する厳しい罰則なども存在しており、かつてのような虐殺は行われることは無くなった。今でも使われることは数あれど。例えば日常生活を送る範囲内然り、魔術を使った競技大会然り。自らの心を律することで失敗を繰り返していない世界には感謝の言葉もない。よって俺はオタク生活を満喫出来る、という訳なのだ。素晴らしいとは思わないかね。

 

 

 

 

 

 ちなみに記憶が蘇ったきっかけは今絶賛大人気子供向けアニメ「魔装少女☆アカネちゃん!」の主人公であるアカネちゃんが敵と遭遇して策略にかかり危うくやられそうになった時に飛び上がった瞬間、思いっきりぶっ倒れた時だ。頑張れって自然と叫ぼうとした矢先にこの有様。アカネちゃんの戦闘シーンが…。許さんぞ俺ェ‼︎最大の敵は己というわけか…(賢者タイム)。

 真面目に語ると普通に水分不足なんですけどね。元勇者の仲間と言っても夏の暑さには勝てないのだよ、ワトソン君。

 

 そういえば戦闘シーンは平気なのか?アニメならば問題無いのか?PTSDあるんじゃ…?とか色々思うところはあるだろう。ノープロブレム!オタクを舐めてもらっちゃ困るぜ。オタク文化をするためのただの屁理屈にすぎないから…フッ。いや、あんな光景はもう見たくないのは本当だよ?俺氏、ウソ、ツカナイ。第一、アカネちゃんが戦っているのに俺だけ弱音を吐くわけにはいかないんだよコノヤロー。

 

 男の子はな!大切なものを、大事なものを守る時に力を発揮するんだよ‼︎わかったかぽまいら‼︎

 

 

 

 

 結局意識が戻った時にはアニメはedの真っ最中だった。つまりは終わってた。クソファッキン‼︎俺の悲惨な前世の見返りがこれかよ!命懸けで戦ったんだからせめてアニメくらい見させろよ!

 

 「前世、命を賭けて世界を守ったのにアニメ見逃したんだけどこの星滅ぼしていい?」

 

 って理由で今から努力して魔物になっちゃう?深夜テンションばりにあたおかになろうかクソ野郎共!

 割に合ってねえよこんな仕打ち…、う~~ううう あんまりだ…H E E E E Y Y Y Y あ ァ ァ ァ ん ま り だ ァ ァ ア ァ AHYYY AHYYY AHY WHOOOOOOOHHHHHHHH!!おおおおおおれェェェェェのォォォォォ アァァニィィメェェェェェガァァァァァ~~~!!

 

 

 

 …ふぅ。

 俺の命は返さなくていいからアカネちゃんの勇姿を見せろやゴラァ‼︎

 

 

 

 …仕方ない、アニメサイトアプリで見るか。折角の休日だし全話一気に視聴するのはオタクとして当たり前だよね。常識常識。

 

 

 

 

 

 

 とりあえず水分補給するためにキッチンへと移動する。魔法で生み出すことも可能だが、生憎この身体に纏う魔力の質も量も軒並み下がっているため無駄遣いはしたくない。加えて何故か身についている前世からの教訓の影響なのだろうか…もうこの世界に必要ない意識だと思うんだがな。いつ敵が現れても良いように「呪文を使うな」が未だに続いている訳でもあるまいに。

 

 それにしても…現世の俺、こんなに染まってしまったんだな。くっ殺。まじくっ殺。

 

 

 

 「ちょっと、うるさいんだけど。何かあった?」

 

 リビングへと入って来た黒髪ツインテの美少女。キマシタワーって思うでしょ?血の繋がった妹です。義理?そんな展開ありませんで。

 紛うことなきペッタン娘に似合う足の細さは最上級。ほどよい二の腕の細さに合うダラけた部屋着姿に興奮するわけでもなく、淡々と答える。目移りしてしまうのは仕方がない。男として当たり前の生理現象だから。蛇に睨まれた蛙でも見るところは見るんだい。

 

 「悪い。お兄ちゃんな、ちょっとショック受けちまって致命傷だ。」

 

 「はぁ…当ててあげようか。アニメ、見逃したんでしょ。」

 

 「当たり…です。流石!お兄ちゃんのことよくわかってるね。」

 

 「うわ、うざっ…悪いんだけどこの歳にもなってアニメにハマってるって正直キモイからやめてよね。割と五月蝿いから。あたし、兄貴のせいで友達とか呼べないし。あと、ジロジロ見過ぎ。死ねば?可燃ゴミとして出そうか?『魔術解放:冥雷…」

 

 「あのな、部屋着つっても限度があるわ!パーカーの下はいつも通り何も着ていないし!せめてブラくらいしろ!あと未だにお子ちゃまパンツかよ!風邪ひくぞバカが。いやバカだからか!!後、さりげなく特級魔術を使おうとするんじゃねえ!!」

 

 「アニメ見逃した腹いせに妹に当たる兄貴ってのもどうかと思うんだけど。急に真面目になるところも本当に気持ちが悪い。それにあたし、風邪引かない体質だし一応優等生だから。いよいよ忘れた?暑さでとうとう死ぬの?殴ってあげよっか。」

 

 「おっしゃる通りです。いや死んでないし。あと殴るな、確実に死ぬわ。最後の一言が無乳になるぞ。馬鹿と天才は紙一重って言うけど本当だな。」

 

 「兎に角、う・る・さ・い。あんたと同じ部屋に居るだけでムカムカするのよ。こっちの身も考えてよね。あと…本気で殴られたくないならプリン買ってこい、高いやつな。お昼ご飯はテキトーに何か食べて。」

 

 「申し訳ありませんでした今すぐ買ってきます。」

 

 

 

 簡易魔術、『筋力増加』を行い全力ダッシュ‼︎全く、妹は最高だぜ。さす妹。

 

 

 

 

 

 

 妹の頼みを断るわけにはいかない。原因は明らかに俺…なのか?いや関係ない、止まるんじゃねえぞ…。

 平和な田舎町、自然溢れる長閑で平穏な日々。そしてダッシュで走る俺。ただの変質者である。しかし、どう思われようとも愛する妹のためならば例え火の中 水の中 草の中 森の中 土の中 雲の中 あの子のスカートの中だろうと飛び込むのが兄貴ってもんじゃい!今の俺の心は鉄壁、よって無敵。フフフ…ふはははははは‼︎……ぜぇ…ぜぇ…うぇっ。ごめん、無理。

 

 呼吸を整える。全身に酸素を送り込ませる。

 さらさらと流れる清冽な小川。そのせせらぎに誘われるように青く美しい草木が掩うている。

 正午近く。

 野の広がりに光が放たれ風が吹くと気持ちよさそうに背伸びをしている緑を眺める。

 ゆったりとした空間は心の中にあるであろう蘇った恐怖を緩和させていく。

 仰ぎ見れば日はうららかに射して、周囲の木立やその彼方にある凹凸な山々の景色が過去の歴史を忘れさせてくれるのだ。身体に纏う風は柔らかく包み込んで俺を支えてくれる。緑の海と両立を選んだだろう高く聳え立つ森の街に静かに降り立った。

 

 正直なところ猛暑の中をあのまま歩いていればくだらない理由で死んでしまう可能性もあるため、魔力を気にせず全力で飛んできた。もう、帰り道分の魔力が無い。

 何はともあれ、プリン2つと小腹が空いたため出来立てのカツサンドを4つほど買う。時止めの魔法で保存し、街の中をぶらぶらと歩く。ただプリンを買っただけで帰るってのもそれはそれで勿体ないためだ。それに、魔力を回復させるために魔力剤が必要となるからな…昔は治癒術式を含め限られたものにしか使えなかったことを改めて認識する。やはりこの時代に生まれてよかった、とつくづく思ってしまう。

 

 ショップで魔力剤を買い、ベンチへと腰をかける。

 バスケットに付いているボタンを押し、箱から時止めの効果が無くなった証である白い煙が溢れ出る。科学の発展とは凄まじいものだ。

 ごくっごくっと喉の渇きを一気に潤すかの如く通した後、ふかふかでアツアツな出来立てほやほやのカツサンドをいざ口に頬張ろうとして ー 目線を横へと向ける。

 

 「俺のカツサンドなんだが、なんでここに居るの?」

 

 「美味そうな匂いに釣られて来た。ん。」

 

 「それが人に頼む態度?」

 

 「ロリコンって叫んでも良い?」

 

 「防音魔法使うから問題無し。」

 

 「あなたの魔力量からして大体4分の3。4分の1の魔力で帰れるのかしら。」

 

 「…降参だ。」

 

 「やった、ありがと。」

 

 サラサラと風に靡く白髪、青く透き通った目、夏だと言うのに御伽話の登場人物のようなドレス。そして歳のわりに程よく成長した胸に相反する身長。俗に言う子供、ロリっ子だ。だが、見かけの割にその魔力量から魔力の何たるか、挙げ句の果てに知識の何から何まで知っている明らかに危険な存在。しかも過去の魔王より魔力量が桁違いだ。やはりどの世界でも才能ってあるのね。魔王よ、お前は泣いて良い。

 そんなことを思っているのを知ってか知らずか、関係無しに二つ目のカツサンドを手に取るこの小娘…。ああ、もう口周りにソース付いてるし。

 

 「口周りにソース付いてるのに何もしないなんて。」

 

 「お生憎、ハンカチなんて持って来てないもので。」

 

 「あら、その右ポケットにある膨らみ。恐らくお財布だろうけど、そこにある小さな貯蔵庫。どう?」

 

 「…さっき汗吹いたんだよ。」

 

 「構わないわ。」

 

 「引くわー…流石に引くわー。」

 

 「もう一個食べるわよ。」

 

 「…はぁっ。………これで勘弁な。」

 

 「ありがとう。」

 

 むしゃむしゃと子供っぽい食べ方で一生懸命噛んでいる。口いっぱいに入れるからか頬を突けば今にも吹き出しそうな面だ。だが、俺は聞かなければならない。二つ目のカツサンドを手に口に話す。

 

 「なあ、なんで隣にいるわけ。」

 

 「………モグ……ング…プハァ、え?」

 

 「……。何で気がついた時、今日みたいに隣にいるわけ?周りに注意を向けてみれば人通りは決まってほぼほぼ無い時に現れる。これが何年も、初めて出会った9年前からずっと続いている。流石に聞きたくもなるわ。」

 

 「覚えていたんだ。まあ良いでしょ?そんな小さな事。」

 

 「理由を言わないと今後一切あげないよ。」

 

 「…理由はあるよ。けど、それを言ったら次からどうやって顔を見せたら良いかわからない。」

 

 お、おう(オタク君)こ、これは一体。ま、まさかこれは気があるんですか?え?こんな幼女に?この二次元オタクに幼女⁉︎そ、そそそんなこtデュフフ

 

 「カツサンドをタダで貰えるからよ。」

 

 「だと思ってたよこんちくしょうが!人様の金をなんだと思ってやがる!敵わないだろうが関係ない。幼女だからって見逃してもらえると思うなよ!1発は絶対殴ってやる。いや蹴ってやる!俺は真の男女平等の名の下に相手がギャルゲーやエロゲーに出てくるような良い子で無い女の子にはドロップキックだっ」

 

 

 

 

 

 

 気がついた時にはもう彼女は居なかった。

 あいつ…これだから女ってやつは…はぁ、帰ってギャルゲーでもしよ。やっぱ女の子は二次元以外ありえない。

 意外にも時間は5分と経っていなかったようだし早く帰ろう。エアコンが、もとい妹が待っている、急がねば!

 

 

 

 ただいま。

 家へと入る。折角の休日だ、大いに楽しみましょうかね。フヒッ

 

 

 

 

 

 

 あれ、おかしいな…ハンカチが無い。どこかで落としたか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 



 3000年越し(最低)



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