グラブル妄想小ネタ羅列伝   作:Par

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メレブの呪文をやりたくて書いたものです


勇者ヨシヒコと蒼穹の島

■  

 

 年に結構な頻度で何かと色んな世界から色んな人やらメカやらがやってくる空の世界。

 今回もまた、愉快な世界から愉快な住人が現れたらしく……?

 

「……で、なにここ?」

 

 どこかの平原でポツンと立ち竦む男女四人。

 肩に小鳥を乗せた女性。杖を持った男。剣を持った逞しい男。そして、紫のターバンを巻いた男。

 

「や、我々も急にここに連れて来られたからね。例によって仏に」

「確か、“新たな魔王が現れた”……だったか?」

「だからって突然なんでこんなとこに連れて来られてんの? カボイの村でもないし、マジどこよここ。あのクソ仏、まいど唐突過ぎんだろ説明も無しにぃ」

「いいえ、場所は関係ありません。これも仏の導き、ここに魔王が居ると言うのならば、それを倒すのが勇者の務め」

「真面目ぇ、ヨシ君変わらないねぇ」

「けどその魔王がどこいんのかわかんねーっての」

 

 何やら奇妙な会話をする四人。その様子からこの場に突然連れて来られたのがよくわかる。そんな四人の傍に現れたのは……。

 

「あの、どうかされましたか?」

「あ、第一村人!」

「む、村人?」

 

 蒼い髪の少女と小さな竜、そしてその二人を連れた若い少年。突然杖を持ったキノコヘヤーに村人と呼ばれた少女達は、不思議そうに首を傾げた。

 

「えっと……別に私は村人じゃないですけど」

「おめぇらこんなとこでボーっとどうしたんだよ?」

「あぁ、えっと……ごめん、こっちのホクロの馬鹿は気にしないで。あたし達、ちょっと訳あって急に連れて来られてさ……丁度誰かに話聞きたかったのよ」

「そうなんですか……」

「何か大変みたいだなぁ……。まあこんなとこじゃ何だしよ、取り敢えずオイラ達の艇にこいよ」

「艇?」

 

 見知らぬ土地で出会った少女達。彼女達に連れられた四人。

 ターバンの男がヨシヒコ。小鳥の女性はムラサキ。もみあげ逞しい剣を持つ男がダンジョー。ホクロのあるキノコヘヤーで杖の男がメレブ。四人はそう名乗った。

 大して彼らと出会った少女ルリアと子供ドラゴンのビィ、そして彼らと共に騎空団を率いる団長。三人はグランサイファーと言う艇に四人を連れこの世界の事を話すと四人驚愕する。

 

「すっげぇ……島が空浮いてるぅ」

「大地が空にあるのが当たり前の世界か……なんとも、足元が不安な世界だな」

 

 空を飛ぶ艇に乗り見せられた空の世界、その様子を見て驚く一行であったが一人メレブだけが合点のいった様子だった。

 

「あ……あぁ~。俺これ、これわかった俺わかっちゃったよぉ」

「なんだよ、何がわかったんだよ」

「コラボだ。これ、コラボだわ」

「コラボ?」

「おや知らんのかムラサキ? ムラサキ、知らんのか? コラボ、つまり……コラボレーション! つまり、夢の競演! ずばり……コラボレーション!」

「同じこと繰り返してんじゃねーぞホクロ」

「お黙りムラサキ、お黙りたいらムネ」

「てめぇ、いい加減そのホクロ引きちぎってやろうか……」

 

 何やら険悪な様子を見せたメレブとムラサキ。それに待ったをかけ、話を進めさせたのはダンジョーだった。

 

「まあ落着け。それで……コラボ、だったか? それは良いがメレブよ、俺達は一体全体何とコラボしたと言うのだ?」

「それだダンジョー……。空に浮かぶ島、空の世界……空に浮かぶ島を私は、ラピ〇タかワン〇ース空島編以外となると、後一つしか知らん」

「……ラピ〇タと空島編とは何ですかメレブさん」

「うん、すまんヨシヒコ。これは例えだ。今そこは、関係ない」

「ええい! それで、つまりなんなんだ?」

「うむ……グラブルだ」

「グラブル……?」

「そう……“君と紡ぐ、空の物語”だよ」

「決め顔で言うなよ鬱陶しい」

「やかましいムラサキ」

 

 と、若干第四の壁を突破しそうな発言をかますメレブは、この世界が自分達の世界以上の摩訶不思議ファンタジーであることを語り、この世界で倒すべき敵を倒せば元の世界に帰れるであろう事を語った。

 その話を一緒に聞いていたルリア達は、あまりよくわかっていない様子であったが突如響く大声に驚く事になる。

 

「ヨシヒコォ――ッ!! ヨシヒコォ――――ッ!!」

「うっわっ!? な、なんだぁ!?」

「あ、仏だ」

 

 驚くビィ、だが冷静なヨシヒコ一行。メレブが顔を空に向けると大空に浮かぶ雲の上に巨大な人の姿が浮かび上がった。

 

「ど、どこですか仏?」

「おっとそうだヨシヒコ……えっと、なにか……なーにーかー……あ、あった。はいコレ懐かしの」

「どうも」

 

 メレブから一つ3D眼鏡を受け取るとそれを装着した。

 

「おっと待って……おっとおっと、待て待て、え、待って? ヨシヒコ、ねぇヨシヒコ、ヨシ……ヨシ君? ここでも私見れない設定なのかいヨッシー?」

「はい、見えません」

「マジで、えっえっ? マジ……え、マジでヨシヒコ? 眼鏡の事描写しなきゃわからなかったのに……。そこは見えてる風で行こうぜぇ?」

「すみません……。しかし、まったく見えないもので」

「ハハハ、ハッキリッ! ハッキリキッパリ言う! ハッキリキッパリ言うっ! うわうわ、ブッタまげっ! 仏だけに、ね。仏、仏だけに……んはぁ~っはっは!」

「つまんないよっ! おい、一人で喋って一人勝手にウケてんじゃないよ仏ぇ!」

「あの……あの方、お知り合いですか?」

「知り合いっつーか……諸悪の根源?」

 

 空に現れた巨人のような男。ムラサキに諸悪の根源扱いされた男は、仏を名乗りその後“魔王”について語った。

 

「あのね、あのー……ん~、うん、すっごいね、あのすっごいこの世界の人にごめんなさいなんだけどね。つまり……あの~つまりね? 仏達の、って言うかヨシヒコ達の世界のね、悪い奴がさ? 悪いやつ、つまり魔王ね? それがこの世界に逃げ込んじゃったみたいなのね。ね、ねね? で、ほっとくとヤバい的な感じなの。ヤバヤバ、ヤバーい! って言う風だから、まず魔王を倒すためにあるアイテムを――(中略)――と言うわけで魔王を倒し世界に平和をもたらすのだ勇者ヨシヒコよっ!」

「おい、台詞無駄に長いせいで端折られたぞ仏ぇ! そこ重要な事だったんじゃないのかぁ!?」

「んじゃ、ヨシヒコよろしこっ! バイバイビーッ!」

 

 メレブの指摘も無視し、仏は手を振り何処かへと消えた。残された一行は、ポカンと口を開け空を見上げたままであった。

 

「……結局仏の言う魔王を倒せと言う事か……」

「ま、そうであろう。相変わらずザックリした情報しかえれなかったがな」

「要点まとめて話せってんだよなあのクソ仏。アイテムってなんだよ……」

「だがあの仏の事だ。思い出したように現れて適当に教えるじゃないか?」

「うむダンジョーの言う通りだな。それにこんな時にルリア達に会えたのは、僥倖と言えよう。何しろ我々には、土地勘どころか島を渡る足がない」

「そうですね……ルリア、ビィ。すまないが頼みを聞いてくれないか。仏の話は聞いたろうが実は――」

 

 と言った具合にヨシヒコ一行は、ルリア達に“魔王”を倒すため協力を求め空の大冒険へと旅立ったのだ……。

 その旅は過酷であり、驚きの連続……のようで、そうでないような日々――。

 

 

「おっと、ちょっと待ってもらおうかぁっ! 命が惜しけりゃ、荷物と食い物置いてきなぁ!」

「またかよっ!?」

 

 突如現れた盗賊を見て怯えではなく呆れの悲鳴を上げるビィ。

 

「これで何度目だよ!? なんか最近多くないか!?」

「うん……うん、ごめんねビィ君。多分……と、言うかぁ~、かーくーじーつーに、我々の所為だと思う」

 

 ヨシヒコ一行を迎えて以来やたら盗賊や山賊に出会う事が多くなったルリア達。しかも妙に個性的な者達ばかりで、大抵は迂闊な人間で自滅も多い。今回現れたドラフの盗賊も自身の角が立派である事を誇る盗賊であり、実力はあるのだろうがそれを長々自慢する間にヨシヒコによって倒された。

 

「これも我々の世界の魔王の影響と言う事ですか……」

「嫌な影響だな」

「ぐうの音も出ないとはこの事」

 

 ヨシヒコの言う影響にげんなりした様子のビィ。まったくその通りのためメレブも疲れた様子で空を仰いだ。

 

「しかしこの世界の魔物は、なんだ……俺達の世界よりも何と言うのか、強さと言うか……迫力があるな」

 

 当然彼らは、この世界でも魔物と戦う。そんな戦いを一つ終えるとダンジョーがふと呟くとムラサキもそれに頷いた。

 

「あー確かに。なんかここの魔物と比べるとさ、アタシらんとこの魔物ってかモンスター? なんか……安っぽいよね」

「安っぽい……ですか?」

「そ、安っぽい」

「こちらの世界の魔物は、戦ってる実感を強く感じられるな! 戦士としては、中々いい気分だ! わはははは……っ!」

「まああの安っぽいモンスターと比べたらね」

「……なんか、想像できねえな」

 

 あの安っぽい感じを口頭で説明するのが難しく、結局ルリア達は首をひねるばかりだった。

 一方メレブは、もどかしさやら色んな感情を抱え悶え首をひねっていた。

 

「ん~! ぅむ~! あんま、あんまり触れるなそこにぃ。比べてくれるなぁ。色々大人の……大人の事情があるのだからさぁ」

「……安っぽかろうが、迫力があろうが人々を襲う魔物に変わりはない。我々は勇者としてそれを倒すのみです」

「お、ヨシヒコ良い事言った」

 

 ――そして時に仏の教えに導かれる一行。

 

「ヨシヒコォ~ッ! ヨシヒコォ~ッ!」

「うわ、出たデカいの!?」

「うわ……うわって。うわって君……きみ、きみ? 君誰そこ、そこのちっこいの」

「オイラはちっこいのじゃねえ! オイラはビィって言うんだい!」

「あ、ビィ君。ビィ君ね……はいはい、よろしくね……。でね君ね、ビィ君あのね君ね、人が出てきて直ぐ顔見て、うわっ!? ってないんじゃないかな? 仮にもね、仮にも仏に対してさ。いや仮って言うか実際に仏なんだけどね」

「いや知らねえよ……」

「知らな……えぇ。そりゃ、そりゃねぇぜビィくぅ~ん」

「出て速攻落ち込んでんじゃねーよ仏ぇ!」

「出て来たなら早く情報よこせよー」

「あら、あらあら……ホクロにムラちゃん酷いのねぇ。異世界まで来ても、仏に当たり強いの相変わらず!」

「いいから! 情報!」

「はーい、わかりましたぁー。言いますぅ~」

 

 

 ――仏より使えるのか使えないのかわからない、いい加減でザックリした情報を与えられ冒険を続ける一行。

 

「中々見つかりませんね。伝説のアイテム……」

「あの仏って奴の情報、本当にあってんのかよ」

「ごめんねぇ二人共。あのクソ仏マジでいい加減だからさ」

「まあ手掛かりと言えるのは、仏のお告げのみだからな。ここは信じるほかあるまい」

「……さて、異世界でありながら相変わらず仏への不信感を募らせつつも、新しい呪文を思いついた私だよ」

「本当ですかメレブさん……ッ!?」

「す、すごいです!」

「……なあ、メレブの奴の呪文って確か」

「うん、全然使えない」

 

 新たな呪文を思いついたメレブに対して感心して興奮するヨシヒコとルリア。だがそれ以外の者は冷めた様子だった。中でも呆れた様子のビィの言葉にムラサキは、酷く冷たく無関心に答えた。

 

「ふふ、うふふ。これはすごいぞ、異世界で思いついた最新呪文だからね」

「どんな呪文なんですかメレブさん。一体どんな呪文なんですか……!」

「落ち着けヨシヒコ……。これは相手の行動を阻害できる強力な呪文だよ」

「おおっ!」

「す、すごいですねメレブさん!」

「期待しちゃ駄目だよルリアちゃん。こいつこう言って呪文役に立った試し無いから」

「そんなこと言っちゃうムラサキに……ほいっ!」

「あ、テメーまた勝手にっ!?」

 

 突然メレブに呪文をかけられたムラサキ。すると……。

 

「どうだ、ムラサキ?」

「……いや、なにも起き、ききき、うおうぉうぉうぉおぉぉ~~~~っ!?」

「なんだとっ!?」

「よしっ!」

 

 ムラサキの体がブルブルと震え始め声まで振動し始めた。驚愕するヨシヒコ、ガッツポーズをするメレブ。

 

「ててて、てめぇ! なな、なにすんすんだよよよっ!?」

「ふふ、ブルブル震えて聞き取りにくいね。うふ、うふふ。宇宙人の声みたい」

「どういう事だメレブ? これは、どんな呪文なんだ?」

「うむ……この呪文をかけられた者は、寒くも怖くもないのにブルブルと! それはもうブルブルと震えて震えて止まらなくなる! ゆえに私は、この呪文を……“ブル”、そう名付けたよ」

「す、すごい……!」

 

 驚愕し続けるヨシヒコ。だがそれ以外の面々は、まだ冷めた様子である。

 

「……え、えっと震えるだけなのか?」

「甘く見るなビィ君! 考えてもみよ……戦闘中に体が震えだしてしまうのだよ? 震え方も授業中のスマホ着信バイブレーションどころではないぞ! 見てみよこのムラサキの震えっぷり!」

「ててて、てめぇ! いい、いい加減げんげん、にににっ! これとけ、解けけけ、とっととけけけっ!」

「あはっ! 下手糞なDJのスクラッチみたいになってる。針擦り切れちゃうよ、針」

「すごい……まるで分身してるかのように震えている!? こ、これでは真面に剣も握れない!」

「そうだヨシヒコ。ブルをかけ相手がブルブル震え武器も落として動けない所をぉ~……ズバリッ!」

「無敵ですねっ!!」

「ふふ」

「いや、無敵ではなくねぇか?」

 

 ビィの指摘も聞き流しメレブは話を続ける。

 

「しかもこの呪文、さらに強力な呪文に進化するよ」

「なんですって……!」

「ブルから進化しラブル、グラブル……そして最後にはグランブルー! もうそうなると呪文は、複数の相手にかかるし震えの強さたるや……もう! もう今のムラサキどころではないぞ! ブル、ブルブルしっぱなし! エターナルフォースブルッ!」

「か、かけて下さいメレブさんっ! 私にもその呪文をかけて下さいっ!!」

「ヨシヒコ、異世界でも相変わらずのかけられたがり」

 

 何故か呪文をかけられたがるヨシヒコ。すると更に団長までも「自分にもお願い!」と手を挙げた。

 

「おっとまさかのヨシヒコタイプが異世界にも」

「いやなんでお前までかけられたがるんだよっ!? 震えるだけだぞ!?」

「団長さん……共に、共にブルを! 共に震えましょう! お願いしますメレブさんっ!」

「いいよー! ブルッ!」

 

突っ込むビィを無視しするとヨシヒコと団長の体がブルブルと震えだした。

 

「おおっ! うぉおお、うぉうぉうぉうぉっ!? すごい、ブルブルふるえ、ふるふる、ええええっ!!」

「なんだってこんな呪文かけられたいんだ……」

「うむ、ビィ君。ヨシヒコとはそう言う男だ。団長もそうなのだろう」

「えぇ……」

 

 団長と二人で震え盛り上がるヨシヒコ。呆れるばかりのビィに慣れた様子のメレブ。

 

「つつつつ、つかこっちいい加減解けけけけっ!」

「しかたあるまい……ルブッ!」

「……っ! お、おお。収まった」

「どうだ恐ろしかろう」

「いや普通にしょーもねーから」

「け、けど戦いの最中に使えば、使え……るんじゃ? ないでしょうか!」

「聞いたかムラサキッ! 聞いたかっ! ルリアちゃんの純粋な言葉を! やはりわかる子にはわかるのだ。私の呪文の価値をわかってくれている!」

「気ぃつかわれてんだよ、わかれ」

「……ブル」

「あ、てめまた……ああ、あ゛あ゛~もうっ! ふるええ、ああああ~~~~っ!!」

「さらにスイーツ!」

「ふざけ……っ!? もぉ~っ!? 甘いものののっ! あまあま、甘いものくいたた、たいいいいっ!?」

「そこで震えながら甘いものを欲するがいいムラサキ」

「これでで、ででっで! 魔王うぉううぉうっ! まおうをを、たおおせるぞぞぞぞおおぉぉ~~~~っ!!!!」

「いや倒せねえって……」

 

 震えながら雄たけびを上げるヨシヒコと団長。震えながら甘いものを欲するムラサキ。この場は混沌としていた。

 

「……うーん、やっぱり使えそうな気が」

 

 一人呪文の有効性を考えるルリアだった。

 

 

 また時に空の世界の女性に恋に落ちるヨシヒコ――。

 

「おいヨシヒコ、お前異世界まで来て例によって惚れてる場合じゃないぞ」

「そうだぜ! お前魔王を倒して元の世界に戻るんだろ!?」

「……しかしあのドラフの女性は、夫に先立たれ一人子を育てて日々大変な苦労をしている! 誰かが、誰かが支えてあげなければならないんですっ!」

「それはお前の役目ではないだろうヨシヒコ」

「いいえダンジョーさん! 私は彼女を助けたいんですっ! あの奥さんと子供を助けたい……! それに!」

「それに?」

「あ、やな予感する俺」

「あたしもー」

「それに……っ! 彼女の胸はボインなんだっ!!」

「ほらきた」

 

 極めて情けない事を大声で叫ぶヨシヒコ。

 

「ドラフは凄いんですっ! 元の世界にはない夢が……希望があの胸に詰まってるっ! ドラフのおっぱいは凄いんですっ!!」

「……気持ちはわかる」

「おっさんサイテーだな」

「私は一分一秒でもあのおっぱいと共に居たい、この時間でさえ惜しいんです……っ! 私はあの胸を支えたいんだっ!」

「おい、あいつ彼女じゃなくて胸支えるって言ったぞ!?」

「胸揉みたいだけじゃねーか!?」

「揉みたくて何が悪いっ!?」

「ひどい、酷過ぎるぞヨシヒコよ……」

「私はこの空の世界で彼女と共に暮らします。あのおっぱいと共に暮らせるなら……もう元の世界なんてどうでもいいっ!!」

「はい出たー」

 

 更に情けない事を叫びだしドン引きされるヨシヒコ。

 

「魔王などもっとどうでもいいっ!!」

「ヨシヒコー……お前~ヨシヒコー……、そんな情けない事を叫ぶな勇者ぁ~……」

「てめぇヨシヒコォッ!? 世界の危機よりもボインを取るってのかよぉ!?」

「当たり前だムラサキッ!!」

「い、言い切りやがったコイツ……!」

 

 勇者にあるまじき発言に愕然とする一行。

 

「胸のないお前とは違うんだムラサキ、お前にあのボインがあるのかっ!? お前に夢と希望があるかっ!? お前の胸にそれがあるのかっ!? 胸のないお前にそれがあるか!?」

「てめえマジぶっ殺すぞ!?」

「言い過ぎ、言い過ぎよヨシヒコ。地味に流れ弾がルリアちゃんに来てる」

「…………」

「ル、ルリア……? そんな落ち込むなよ?」

 

 ガチギレするムラサキに落ち込むルリア。どうしようもない状況にフォローに慌てるメレブやビィ達。

 その後本気で魔王を退治せず異世界に骨を埋めようとしたヨシヒコは、ガチギレした仏の仏ビームによりボインの記憶を抹消され正気(?)を取り戻した。

 

 

 そんな調子で旅を続け、ついに元の世界に帰る手がかりと倒すべき魔王の居城へとたどり着いた一行。

 だが魔王の力は凄まじく、ヨシヒコ達は追い詰められてしまう。

 

「だ、大丈夫かよヨシヒコ!?」

「た、大変ですメレブさん達も……! このままじゃ……!」

 

 強大な魔王を前に怯むビィ達――だが、この場には勇者がいる。

 

「――私は、私はまだ立っている!」

 

 勇者ヨシヒコがいる。

 

「ピンチなど幾度も超えた! 私はヨシヒコ……勇者ヨシヒコ! どんな強大な敵であろうと、私が勇者である限り絶対に負けない!」

 

 勇者ヨシヒコは、世間知らずで騙されやすい、人を疑う事をしらず、天然で、スケベな愚か者かもしれない。

 だが彼は勇者だった。生まれも使命も関係ない、仏のお告げさえきっかけに過ぎない。彼がどんなピンチでも最後まで諦めず幾度も強大な力に立ち向かい続けたからこそ、自分自身でそうあろうとしたからこそ勇者なのだ!!

 

「悪しき魔王よ! 覚悟おおぉぉ――――っ!!」

 

 ――この物語は、後に空の世界でも語られる一人の勇者と仲間達の冒険譚。『勇者ヨシヒコと蒼穹の島』、これは数ある彼等の物語のほんの一部でしかない……。

 

「――兄様……ヒサは、ついに騎空士となりました! これで兄様達の騎空団に入団できます!」

 




SSR[勇者ヨシヒコの冒険] ヨシヒコ&ダンジョー&ムラサキ&メレブ 光属性
奥義 勇者の攻撃 光属性ダメージ(特大)/奥義ゲージ20%UP/稀にメレブがスイーツを唱え相手の行動を封じる

アビリティ1 いざないの剣 光属性ダメージ/睡眠効果
アビリティ2 会心の一撃 光属性ダメージ/攻防UP
アビリティ3 アヒル口 敵対心UP/相手の特殊行動を1ターン封じる
アビリティ4 メレブの呪文 ランダムな弱体効果(全く意味のない効果もあるよ)

サポートアビリティ
[勇者ヨシヒコ] メインメンバーの女性キャラの人数分最大HPと攻防がUPするが魅了と混乱にかかりやすくなる
[仏の加護] 3ターン毎に自身に弱体効果が2つ以上ある場合仏が仏ビームで回復する

SSR[仏] 光属性
召喚 仏ビーム 相手に光属性ダメージ/弱体効果回復
加護 光属性キャラの最大HPUP/戦闘開始に弱体無効

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