「こわいよぉ…寒いよぉ…一人は…いやだよぉ…」
碇シンジは孤独だった。母がいなくなって、父にも捨てられて。叔父と叔母の家に預けられても、シンジはその孤独感から逃げられなかった。逃げられずにいて、周りとも折り合いがつけられなくて、気がつけば一人だけ。
たった一人になったシンジは夕焼けで染められた空の下、山道をとぼとぼと歩いていた。
そんな最中、飢えた野犬の群れがシンジに襲いかかった。大通りから繋がる参道から外れて、か細い獣道を走りながら逃げるが、ついには断崖の崖の前に追い詰められてしまう。
日が落ちた。夜闇の中で口から空腹の涎を垂れ流しながら、唸り声と共にジリジリと野犬たちがシンジの元へと迫り来る。
「う、うわぁあああああぁぁあ!?」
飛びかかろうとする野犬に、悲鳴を響かせ頭を抱えてしゃがみ込んだシンジ。だが、その唸り声は弱々しい声へと変貌した。
恐る恐る目を開ける。
すると、自分の足元に信じられないほど大きな穴が空いてきた。振り返った崖には人の手形、だがあまりにも大きなものが穿たれており、その中心に「驚」の文字が浮かび上がった瞬間に、ガラガラと音を立てて崩れてしまった。
「あれは…」
「ふむ、こんな場所に…坊や、無事かね?」
ハッとなって振り返る。そこには中国風の衣服に身を包み、マントを羽織った初老の男性が佇んでいた。聞いたことがないような男性の優しい声に、シンジは震える声で問いかけた。
「お、おじさんは…?」
「ワシは東方不敗。しがない武闘家だ」
三つ編みの髪を揺らす壮麗な男、東方不敗。かの武人が言った言葉をシンジは小さく繰り返した。
「武闘家…」
「ここにいては危ない。さ、近くの街まで送ろう」
そう言って手を差し出してくれた東方不敗だったが、シンジは少し安心した顔をすると同時に表情を曇らせる。
「送ってもらっても…僕は…ひとりぼっちだ…」
結局、何も変わりはしない。ずっと一人ぼっちのままで。誰にも必要とされず、誰にも理解されないままで。
「あのまま、犬に襲われても誰も僕を見てくれない…助けてくれない…だから…戻ってもきっと…」
「ワシが助けたではないか?」
その言葉に、シンジは目を見開いて顔を上げた。東方不敗は座り込むシンジと目線を合わせるように腰を下ろすと、その大きな手でシンジの頭を優しく撫でた。
「良いか、坊や。君という命が失われることはとても悲しいことなのだ。君もまた、この自然が生み出した命だ。だから、自分なんか居ないものだと諦めてはいかん。きっと、その命には意味がある。それを認めて、まずは君自身を赦すのだ」
自分を…ゆるす…。その言葉が幼いシンジの胸に刻み込まれてゆく。東方不敗は立ち上がる。その姿もまた、幼いシンジの目に赤く輝く東方の陽のように焼きついたのだ!!!
「それでも、自分の弱さを恥じるのならば…強くなれ!!己の魂を律し、肉体を鍛え、武の道を進むのだ!!」
「おじさん…いえ、東方不敗さん!!!」
気がつくと、シンジは自分で今まで出したことのないような大声で東北の陽の中に佇む「師」に懇願した!!
「僕を、どうか僕を弟子にしてください!!!!」
「よかろう!!流派、東方不敗の名の下に、お主に「強さ」を叩き込もうぞ!!」
「はい!!師匠!!!」
それが碇シンジと、流派東方不敗マスターアジアとの運命の出会いであった。
////
数年後。
「はぁー、やっぱり来るべきじゃなかったかな…」
繋がらない公衆電話の受話器を置いて、シンジはうんざりした様子で人っ子一人居ない閑散とした「第三東京市」の街並みを眺めた。空には戦闘機。陸には戦車。遠くでは爆轟やミサイルが発射されるような音が聞こえる。
音信不通だった父からの手紙を持ってやってきたというのに、なんとも不気味な街に来てしまったものだと憂いた。こんなことなら師匠と共に山に篭っていたほうが何倍もマシだ。
「緊急事態宣言、あの怪物が…」
「ごっめーん!!ちょっち遅れちゃった!!貴方が碇シンジくんね!?」
異様な気配に神経を澄ましていたシンジの前に、華麗なドリフトを決めたアルピーノが急停車する。自分から数センチ先に止まったというのに、シンジは一切動じなかった。
「葛城ミサト…さん?」
「ミサトさんでいいわよん、とりあえず早く乗って!!」
とりあえず、ここにいてもどうしようもない。シンジは言われるままアルピーノの助手席に乗り込もうとしたが、その行動はすでに遅かったとも言えた。
「やば!N2地雷を使う気!?碇シンジくん!早く伏せ…って君!?」
空を駆けるミサイル。それを見たミサトが顔を青くするが、なんとそこでシンジは助手席に座ることなくそのまま振り返ったのだ!!
「あの爆発で衝撃波が来るんですよね!その程度なら…」
ぎゅっと「師匠」から餞別で渡れたマスタークロスを額に巻いたシンジは数度拳を突き出し、蹴りを繰り出し、そしてピタリと構えた。
流派東方不敗は、「天と地の霊気を父母とし、天地自然の大いなる力をうけて生まれた拳法」。後ろでミサトが大声を出しているが気を練り上げ、シンジは来る爆風に備えた。そして閃光。衝撃波が膨らみ、シンジとミサトへと襲いかかる!!
「はぁああああ!!ふん!!」
集中させた気を片手に集約させたシンジは、N2爆弾で生じた衝撃目掛けて固めた拳を力強く突き出した。
「たぁりゃあああああ!!!」
その刹那、二人を襲おうとした衝撃はまるで縦に切り裂かれたように吹き飛び、飛散したのだ!!嘘のようにピタリと止んだ衝撃と爆風を前に、ミサトはただただ絶句する。
「ふぅ、思ったより軽かったや。大丈夫ですか?」
「え、ええ…平気よ…」
振り返って優しく笑うシンジに、ミサトはただ頷くことしかできなかった。
////
「シンジくん、今は歩くことだけを…」
「はぁあああ!!」
拘束具から解放された瞬間、初号機は今まで見たことがない軽やかな動きで挙動し始めた。
「はっ!!せいっ!!でやぁ!!」
拳を突き出し、手を開き、拳を握る。回転、挙動、全てがシンジのイメージ通りに動く!!
「はぁああーー…はっ!!」
ひとしきり、思考と肉体の感覚を確認したシンジは、息を吐いて構えを取った。全てがリンクしている。息遣いも、感覚も、何もかもが!!
「すごいや!僕の動きを完全に再現してくれてる!!これが師匠が言っていたモビルトレースシステム…!!」
「いや、全然違うのだけど」
ミサトが呆れたようにいう隣で、リツコはたっぷりの粉を入れたコーヒーを一気飲みしていた。残念ながら夢ではない。
「そうか、お前が使徒か!!ならば!!」
サキエルもこたえるように指を指す初号機と向き合った!!種と種を賭けた戦い、それこそがエバーファイトである!!
「エバーファイトぉおおお!!」
「レディイイ!!」
「ゴォオーーー!!」
////
「ATフィールド!?」
「ダメだわ!ATフィールドがある限り…」
「ならばぁあ!!」
心の壁で初号機の攻撃を阻むサキエル。貴様が心の壁ならば、僕は黄金の指先だぁあ!!
「僕のこの手が真っ赤に燃える!!明日を掴めと轟き叫ぶ!!」
構えた初号機の指先が光り輝き、その一撃はATフィールドへと突き刺さった。心の壁で守られたサキエルの障壁を突破し、その黄金の指先は真っ赤なコアへとたどり着いたのだ!!
「ひっさぁああつ!!シャアァアイニングゥ!!フィンガアアアアアーーー!!!!!」
サキエルの悲鳴が東京市の街に響く!!そのサキエルの眼前に、シンジは胸元のポケットから写真を取り出して突きつけた!!
「エバーファイト!国際条約第一条!!コアを破壊された者は失格となる!!…貴様!この男の顔を知っているか!!」
銀髪と赤い目をした青年の写真だ。それを突きつけられて、サキエルは怯え切った声で答えた。
「ひぃい!知らねぇ!!知らねぇよぉお!!」
「そうか…ならば!!ヒィイイト…エンド!!」
シンジの言葉と同時に、サキエルのコアは砕け散り、使徒の体は爆散した!!
「…碇、あれもまた…計画のうちか?」
「なにそれ…知らん…怖」
そして司令部の空気は死んだ。
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これは、碇シンジの物語。
「貴方は死なないわ。私が守るもの」
「その程度の攻撃で、流派東方不敗を打ち倒せると思うとは笑止千万!!酔舞・再現江湖デッドリーウェイブ!!」
「初号機、荷電粒子砲の中を一直線に突き進んでいます!!」
「あーもう出鱈目よ!!」
「ばぁくはつ!!」
「私、こんな時どんな顔をすればいいのか分からないの(困惑)」
「今の顔が正しい顔ね、レイ」
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そしてエヴァンゲリオンと使徒。人という種を賭けた。
「ハロー!ミサト、私がドイツのエヴァンゲリオンパイロ「私の名前はシュバルツカオル!!ネオドイツのエバーファイターだ!!」
「その程度で使徒に勝とうなど無理の一言ぉおおお!!!」
「なんかのよぉ!!こいつぅうう!!」
「そらそらそらそら!!!!ここらで引導を渡してくれるぅううう!!!」
そして、世界の覇権を握る、エヴァンゲリオンファイト物語である!!!!!!
思いつきで書きました。気が向いたら続きます。