回復術士は復讐出来ない 作:ルイーゼ
『貴様が剣聖クレハ・クライレットだな』
「……貴方は、何者ですか」
『問答は不要。道具が思考するな』
はい。という訳で剣聖獲得RTAの再スタートや!
無骨な両手剣を抜いた私は、戦争終了直後で疲労困憊のクレハさんに斬り掛かりマウス!
……卑怯?
ふん、勝てば良いのだ勝てばー!!!
ガキン。
おおっと流石に防がれますか……。ならばもう一本追加です!
「なっ!?何故アーサーの剣を貴方が使っているのです!!!」
それはアーサー君の剣が高そうに見えたから悪い(守銭奴)
本音は自分が用意した剣は安物なので、万が一折れた時の保険ですね。どうせクレハさんから剣聖の座をいただいたら彼女を通してアーサー君に返せるのだから盗んだ訳じゃないもん!
とクソムーブが通ります。
二刀流に切り替えたルイーゼは片方の剣を横凪に振るう。
もう片方で彼女の剣を抑えて、後ろに下がろうとする爪先を踏んで固定する。驚愕の表情を浮かべるクレハを無視して腹を一閃。
「舐めないで!」
籠手で防がれた。どうにもただの金属という訳ではないらしく、アーサーの剣の刃先が少しだけ刃こぼれしてしまう。
応酬とばかりに今度はクレハは神技の剣を振るってルイーゼは剣を重ねて受ける。
ギリィ。と一瞬の膠着が生まれた。
「貴方の剣はクライレットの剣?
その風貌といい、魔族ではないのでしょう。何を以て私と剣を交えるのです!」
『ラーニング完了。計画を執行する』
「…意地でも会話しないつもりですか。ならば拘束して吐かせるまで!」
やはり彼女はルイーゼよりもレベルが上だ。
原作時よりは低下してみられるが、30~35といった所だろう。
勢いを増して剣数が増えてきた頃、ルイーゼが二刀流で防ぎきれない限界を迎えて外装が削られ始めてきた。
鍛練や経験数ではむしろ勝っていると思っていたが、『剣士』と『剣聖』というクラス差が大きいのか。
『滅亡せよ』
仕切り直しが必要だと判断したルイーゼは魔力放出(風)というMPを消費して突風を巻き起こすスキルを使用する。
あくまで攻撃目的ではないので、これは剣聖の取得条件には含まれない。
さて、もう一度初めから――――
「取った!」
は?
風の流れを利用した舞いの一撃。それが怪物の赤い瞳を捉えた。
(……拘束するって言ったやん)
不意をつかれたそれにルイーゼは避けることも出来ずに――赤い瞳に剣が突き刺さった。
『その結論は予測済みだ』
「なん、で……」
怪物は刺した剣を片手で掴んでクレハを見下ろした。
(あ、危ねー!)スーツを大きめに作っておいて良かったとルイーゼはホッと胸を撫で下ろす。
そして、そんなクソザコムーブを感じさせない理解出来ない巨悪ムーブを開始します。
クレハさんは完全に固まっていますね。まぁ眼球を貫いて生きているなんてノイトラじゃあるまいし、普通はありえないですもの。
「貴方は、生物ではないの……何者なのですか」
だから答えねぇって言ってますやん。
『人類は、滅びる……』
「ほろ、ッガバッ!?」
ルイーゼの剣が彼女の腹部へと差し込まれて、貫通する。
ありえないことが起きたからといって油断した結果だろう。剣を掴まれたのなら、それを放棄し瞬時に離れるべきだった。
『今ここに、再起不能の条件を満たした』
肉体が高揚とし、ルイーゼは剣士クラスが剣聖クラスへと進化したことを実感する。
『ジオラル王国の剣聖クレハ・クライレット。最後の剣聖として終末の一時に興じるがいい』
ルイーゼの外装から黒い煙幕が噴き出す。
「ま、待て」と手を伸ばすクレハに怪物は言葉を返さない。
この日、ジオラル王国は次代の剣聖の誕生が絶望的である事実と、魔族とは勝手の違う化け物の誕生に頭を悩ませることとなる。
人物紹介
剣鬼ヨハネス(非公式)…ルイーゼの仮の姿。名付け親はクレハ。
不老不死の怪物として恐れられていく。
幼少期編終了。