出来るだけ早く更新するので応援よろしくお願いします。
そのゲームには、真の『魔王』と呼ばれる存在がたった一人だけいる。
ファンタジーMMORPG"クロスレヴェリ"
真の『魔王』は、公式モンスターにはいない。
全国300万人と言われるクロスレヴェリのプレイヤーのなかにいた。
このゲームは、『プレイヤーが自分のダンジョンを創作し、ボスとして君臨できる』というシステムを持っている。
そんなわけで、誰でもなろうと思えば『ボスキャラ』になることは可能だった。
しかし、そのなかで『魔王』と呼ばれているのは、たった一人だけ。
公式を凌駕するディテールのダンジョンを作り上げ、圧倒的な装備とプレイヤースキルで挑戦者を完膚無きまでに叩きのめす『魔王』の正体は謎に包まれている。
恐ろしいまでの実力だけが、上級プレイヤーたちの間で広く知られ、伝説と化していた。
ところが、その上級プレイヤーは実際に彼が本気を出して戦う姿を見た事が無かった。
どうやら『魔王』はその上級プレイヤーすらも瞬殺してしまうという驚愕の実力を身につけてしまい、やり過ぎると本人もつまらないし、挑んだプレイヤーが心を折れてしまうのも望んでいなかった。
故に『魔王』は本気を出す事は無かった。
一部の相手を除いては。
「おっ、新しい対戦者……うわっ。《結婚指輪》…こいつらカップルじゃん」
という訳で、『魔王』こと坂本拓真が操る『ディアヴロ』を駆使し、今日は久々に本気を出して奴らを駆逐してやろう。
「殺そう。ゲーム世界に恋愛などという不純なものを持ち込む愚者は…『魔王』である俺が裁いてやらんといけないな!!」
俺は上級魔法を連発し、奴等を蹂躙した。
その最中でカップルが「トモ吉さーん!」やら「亀子ー!」とやら叫んでいたが知ったことではない。
「リア充は俺が爆発させてやる!ネトゲは遊びではないのだ!!」
という事で、俺は奴等を完膚なきまでに叩きのめしてスッキリした。
この後あの二人は気まずいだろうな……ざまぁみろである。
「ネトゲの恐ろしさが分かったか!」
俺は笑いが止まらなかったが、ふと寂しさが込み上げてきた。
そしてこう思った。
…………あの男なら、今の俺よりもっとエグいやり方でカップル共を潰していただろうと。
あの男……俺は奴を『漆黒のK』と呼び、他のユーザーからは『鬼畜勇者』などと呼ばれていたな。
本人は不服で駄々を捏ねていたが、奴の戦い方は魔王である俺すらドン引きのプレイヤースキルだったからな。
ふと振り返ると本当に楽しい日々だった。
例えば、『漆黒のK』が引き篭もるキッカケとなったあの糞カップルが偶然この"クロスレヴェリ"にログインし、それを知ったKがガチ泣きをし、過去を語りお互いにあのカップルに怒りと憎しみの炎を燃やしてありとあらゆる方法で俺のダンジョンへと誘い、俺たちの所へ向かうまでの道のりとそれを乗り越えた先の大決戦で、徹底的に潰した。
後は、フルボッコにされてKの幼なじみに振られてブチギレたヤンキーもといDQNがバグをよく使用するゲーマー達を誘い、俺のダンジョンへ攻め入り、運営の裁きが来るまでKと共に血みどろの戦いを乗り越えた事。
その後、運営の裁きにより完全に弱体化したヤンキー達を全力をもって叩きのめした。
後は、そんな戦績を聞いてもなおカップルで挑んでくるプレイヤー達をKが発案した罠を駆使して彼女方をエロい目に合わせたり彼氏方の本性を現せる仕掛けを施したりと、本当に楽しい日々だった。
しかし、1週間前、彼は今の時間から明後日の月曜日。
引き篭もりを辞めて、学校へ行くと言ったのだ。
俺は引き留めようと考えたが………
未来を語るKの顔を見て、とてもそんな気など起きなかった。
俺は完全に手遅れであるが、彼はまだ高校生。
挽回ならギリギリ間に合うかもしれない。
そもそも、俺はKと組んだのは彼の事情を聞き、例の寝取りヤンキーカップルを許せなかった事が切っ掛けだ。Kの涙と微かな後悔を直接(ゲームのチャットではあるが…)聞いて、ふと俺の過去を重ねてしまい、放ってはおくなど魔王として、坂本拓真としてもできなかった。
だから俺は明日のオフ会で……って!
「やばい、もう日が過ぎてる……しかも朝の4時って!!」
不味い事になった。
今日はそのKとのオフ会なのだ。
このまま寝不足状態で邂逅していいものか……
オフ会場のゲームセンターへの集合時間は、昼の1時。
今から寝れば、問題ないか?
とにかく、目覚ましを大量に…集合場所のゲームセンターに行くまでにかかる時間と着替えや食事、食事はいいか。とにかく目覚ましをセットして!
「よし、寝よう」
俺は眠る事にした。
漆黒のK。
俺よりも年下で男とは聞いているが、どんな少年なんだろう。
俺は女の子っぽい美少年ならワクワクするかなぁ…というか実は女の子であって欲しいと願いつつ、ようやく深い眠りにつけたのだった。
そして目を開けると、
(…眩しいな、なんだこの光……えっ!?)
そこそこ雲が浮いている青空とそれに被った4つの大きな柱が俺の視界に映った。
(ーーへ?何で俺 空を見上げているんだ…)
俺はいきなりの謎の現象に訳がわからず呆然としていたがその直後、二人の人影が俺の視界に映った。
その人影の姿は、顔立ちが整っていて、金髪の彼女は長い耳と大きい胸を宿し、もう一方の黒髪で獣耳をした少女はまさにエモくて、二人とも本当に美少女で……
そんな彼女達が俺の目の前に!
でも、見ての通りの長耳と獣耳だから、唯の人間じゃないような?
(そうか!これは夢なんだ)
そう納得しかけた瞬間だった。
CHU♡
彼女達は俺の頬にキスをしたのだ。
そう、キス。
キス……
kiss!?
(へ……は?何これ…熱っ!?頬に感じた柔らかい感触…)
この熱は、柔らかい感触による…否、正確には俺の体温が急激に上がったのが原因だろう。
しかし、それだけではない。
ふと、匂いも俺の鼻から感じるが……
(女の子特有の甘い匂い…)
この匂いはとても懐かしく、しかし今の自分はもう二度と感じる事はないだろうと諦めていたが…
(何だこのリアリティ!!)
俺は天国か?と思う疑問を抱きつつ、この場を見渡した。
……この祭壇みたいな所は間違いなく俺の部屋ではない。しかし、俺は何処かでこの風景をゲームで見た気がする…
それに、この女の子達は…
左の子には長い耳と金髪を携え、右の子は俺がいつも見かけていた色は違えど、この猫耳と尻尾は間違いなく……
(エルフと豹人族…か?)
この二つの種族はどちらもクロスレヴェリに存在していた。
まるでゲームの世界にいるかのようだ…
ふと、俺は自分の腕を見た。
(ごつい!?俺の腕こんなにごつかったか?しかもよく見たらこの服……中二病丸出しじゃ……!?)
俺は自分の視界にあったガラスに映っていた目の前の光景に驚いた。
(このイケメンが俺!?いつ整形したっけ?いや、そんな金は無い!というよりそもそもだ、この顔、この姿…俺のゲームキャラにそっくりだ!)
俺はいくつもの訳がわからない状況に混乱しそうになった。
(マジでどうなってんだ?クロスレヴェリ内で『漆黒のK』が俺に勧めてたとあるライトノベルにあった異世界転生ってやつか、それとも……)
俺はとにかくこの状況になった原因を考えていると、豹人族の女の子が淡々と言った。
「これで隷従の儀式は終了です」
隷従の儀式……
すると今度はエルフの女の子が、豊満な胸を揺らしながら嬉しそうに言った。
「召喚成功ね!これで私も召喚士になれたわ!」
召喚士…
繋がった。
この場所は、召喚士が召喚獣を召喚するポイント。
《星降の塔》か!
「全く、このエルフは…勘違いは困ります」
すると、豹人族の女の子は溜息を吐きながらとなりのエルフの女の子に苦言を述べ、さらに「この召喚獣は私が召還したのです」と主張した。
それにエルフの女の子は豹人族の女の子の主張に声を荒げて「はぁ!?私が召喚の呪文を使ったでしょ!?」と声を荒げた。
「そ…それに隷従の儀式だって…キキキスだってしたんだからね」
おっと、エルフの女の子が顔を真っ赤にキスをした宣言をしたぞ。
「…わたしだってしました…」
豹人族の女の子も同様だ。
しかし、ゲームでは儀式の内容までは語られていなかったが…キスがそうなのか?うぅむ…役得だ。
いやいや!そうではなくこの流れだとつまり…
「「ディアヴロは''わたし/あたし"が召喚"したのです/したの!"」」
つまり俺はクロスレヴェリによく似た異世界にどちらかの召喚獣ディアヴロとして召喚されたっていうのか!?
「わたしです/あたしだし!」
ということはだ、この世界がクロスレヴェリの設定と同じならば召喚獣は〈隷従の儀式〉により〈隷従の首輪〉をかけられ召喚者に服従する……
俺、絶対服従させられるの!?
これは不味い。
服従なんて一体何されるか……
@豹人族の女の子の場合@
彼女はベットで寝そべり俺にこう命令する。
「ディアヴロ。寒いからあなた自身の身体でわたしを温めなさい」
そして俺は彼女の身体を密着させて獣耳や尻尾も温めて……うへへ。
あそこって大概敏感なのがお約束だから反応したら可愛いのだろうな。
@エルフの女の子の場合@
俺が彼女の命令を完遂した時、彼女は俺に笑顔でこう言う。
「ディアヴロ。よく頑張ったね!ご褒美に挟んであげる」
この豊満な胸で俺を挟むと!!
そして俺はその胸に包まれて…色んな意味で、いくいくぅぅ!!!!
………うん。
服従してもいい気がする。
……いやいや!そこまで現実は甘くないし、それにいざ隷従されるとなると俺の意思など関係なく、やりたくない事を強制的にやらされてしまうイベントが沢山出るだろう。
それにより起こさなくていいトラブルが起きたり罪悪感や後悔が募ったり……
俺を召喚した彼女達には悪いが、そんなのはゴメンだ。
でも、さっきのキスがその隷従の儀式みたいだからもう手遅れなのだが…いやいやこのままではダメに決まってるが……ここは彼女達がいい子なのを信じてポジティブに受け入れるか……答えは分かりきっているんだけども、うぅん。
「あたしが召喚したの!」
「いいえ、わたしが召喚したのです」
「あたし!」
「わたしです」
俺が今の現状をどう乗り越えようか思考を回らしている中でも二人の口喧嘩は収まるどころかヒートアップしていった。
「大体、なんで冒険者登録すらしていない貴方がここにいるのですか?それに、あなたの友人の"ダクネス"が今のあなたをここにむざむざと行かせる訳ないでしょうに…あぁ、その彼女と揉めて後に引けずにわたしの後を付けてここまで来たって感じですか?」
「何よ!そういうあなたも"めぐみん"っていうあたしの友達のダクネスの仲間とみんなが聞こえる音で大喧嘩してた癖に!!」
………ダメだ。
彼女達の喧嘩に気を取られて思考がまとまらない。
しかし、"めぐみん"って…
まだ"メグミ"なら普通なのだが……
渾名としてそう呼ばれているのだろうか?
しかし、何故か二人の女の子がここまでヒートアップした喧嘩になりかけてる理由が分かったな。
二人とも、友達と喧嘩してただでさえ苛ついていたのに俺を同時召喚したものだからさらに空気が険悪になってしまったのだろう。
俺が今の状況を詳しく分析していると、豹人族の女の子の綺麗な緑だった瞳が次第に紅い光に変化し眩かせ、ガンドレッドを付け、クリスタルを構えて戦闘態勢を取り始めた。
えっ、戦闘!?
「……最初からあなたを追い出すべきでした。今からでも遅くありません。邪魔者を強制排除して隷従の儀式をやる事にしましょう。幸いにも今のあなたは"冒険者カード"を登録すらしていない。友人の忠告に耳を貸さなかった事を深く後悔なさい」
「やる気!?」
エルフの女の子も武器である弓矢を引っ提げた。
二人とも本気で潰すと決意している目だ!
こ…怖い。
いやいや、とにかくこのまま喧嘩になるのは良くない。
それにエルフの女の子は"冒険者カード"……クロスレヴェリってそういう仕組みだったか?
いやいやいやいや、今はそんな事を気にしている場合じゃない!
冒険者登録をしていないのならばエルフの女の子のレベルは必然的に1なのは確実。
対して豹人族の女の子は、恐らく冒険者登録済でレベルもあるだろう。
このままではエルフの女の子が死んでしまう!
いや、死ななくても大怪我は確実だ。
これ以上、思慮っている暇はない。
行動を起こして彼女達のケンカを止めないと…
俺は彼女達に声をかけようとした。
しかし、俺はある重大な事実を思い知らされた。
「あ…うぁ……」
口がまともに動かせない!!
そうだった。
俺は人生でマトモに人と話した事がないんだった!!
リアルの女の子に話しかけるなんて1年以上も前か…?
ゲーム内でも"漆黒のK"以外のプレイヤーとはまともに話した事すらなかったし……
くそっ!
せめて今日行くはずだった"漆黒のK"とのリアル対面さえ果たしていれば!
まぁ、それで俺のコミュ障が治るかと言われれば微妙なんだが少なく共今の状況を乗り越える為に何かを話せたはず……うん、無理だわ。
だって"漆黒のK"も童貞だもん!
女の子とうまくコミュニケーションなんかとれるわけが無い!
「………痛い目見て貴方の未熟さを知りなさい。駄肉エルフ」
「もう怒った!絶対に許さないんだから!!この中二で胸無しのいざ"めぐみん"に嫌われたら泣いちゃう、泣き虫猫!!」
「……………殺す」
やばい!
豹人族の女の子の紅い瞳がギラギラ輝き始めて憤怒の形相に!?
……なんかそそるなって違う!
このままでは死者が出る!!
間違いなくエルフの女の子が!!!
考えろ。
考えろ。
考え……
『よく来たな。少女にしてここまで乗り越えた勇敢なる勇者達よ』
あ……
よし、これでいくぞ!!
俺の中のディアヴロよ。
待ち合わせ場所で待ちぼうけている漆黒のKよ。
俺に力を!!
「くだらん争いはやめるがいい。貴様らは今、ディアヴロの前にいるのだぞ」
「「!?」」
よしっ、止まったし上手く話せた!!
「しゃべった!?」
「…驚きました。言語を理解するどころか発するなどと…」
……あぁ、そういえばさっきまで俺はこの世界へ来て一言も言葉を発していなかったな。
そういえばゲームでも召喚獣は喋ることができなかったな。
まぁ、人型は見たことないから一概には言えないけども…
とにかく、女の子に狼狽える事もかむ事もなくハッキリと話せたぞ!
かつて俺に挑んできた対戦者に向けてきた魔王っぽい口調なら、女の子と会話が出来る!!
「俺は無益な争いは好まぬ。羽虫同士の潰し合いなど五月蠅いばかりだからな……故に貴様らに命じる」
いいぞ
いいぞ!
この調子で俺が今、彼女達に望むことをハッキリと言うんだ!!
「互いの地雷に等しい悪口を述べた事について深く反省し、仲直りの握手をするがいい…笑顔でな!」
やったぁ!
いえたぁ!
言えたぞ。
漆黒のK!!
もうこれでお前に『リアルだとヘタレ魔王だな(+鼻で嘲笑った)』なんて言わせないぞ!!
ははははは♪
……ゲームではチャットだったから声に出すと恥ずかしいが、こればかりは慣れだな。
「誰がこんな愚かなダメエルフなど……と!?」
「はぁ!?悪いのはあっち………!?」
おぉ!
何という事だろう。
「こ…こんな馬鹿な事……うぅ、一気にさっきの発言に罪悪感が」
「イヤ…やめて……なんであたしの体が………なんか罪悪感が一気に溢れてきて…」
あんなに仲が悪かった二人が握手をして和解したぞ!
「…離してください。不愉快です。でもさっきのは言い過ぎ…ってなんで心の中の言葉が勝手に!?」
「それはこっちの……胸無しとか泣き虫とかいってごめん…ってあたしまで!!」
うんうん。
仲がいいのは良き事だ。
とにかく殺し合いにならなくてよかったよかった。
俺は事態の沈静化を確認して安堵の息を下ろした……その瞬間だった。
ガチャン!!
ん?
何か金属音が……
「この首輪…まさか《隷従の首輪》!?」
「なんで!?なんで!?これがつくのは召喚獣じゃないの!?」
………首輪?
首輪。
……………俺は、身体中に湧き出てきた脂汗を感じながら、
おれ、異世界召喚一日目で二人の美少女を隷従させちまったぁぁァァァ!?
この俺、"坂本拓真"纏い"ディアヴロ"は見事、巨乳エルフとロリ獣人をたった数分で隷属してしまったのだった。
これ、鬼畜勇者と呼ばれてた"漆黒のK"よりヤバいやつになっちまったぁぁぁぁぁ!!
俺はこれから自身に降り注ぐ周りからの悪評に耐えられるか、莫大な不安を抱えつつ、この世界で生き抜く事を内心やっちまったと絶叫した。
という訳で、彼女達の隷属の首輪の原因が、俺の装備していた《魔王の指輪》による反射能力によるものだと俺の推察により判明し、そろそろこの場から移動を始め…真剣にこの世界の仕組みについて、迅速な情報入手を目指し、俺のゲーム知識の中で、この《星降りの塔》から近くにある町…《辺境都市ファルトラ》へと向かうのだった。
「待ってよ、ディアヴロ!」
「早くしろ。街へ向かう」
「待ってください、ディアヴロ」
豹人族の少女は俺の肩を掴み引き留めた。
「何だ?この俺の歩みを止めるとはいい度胸…」
「わたしの名前は、レム・ガレヴ。これからよろしくお願いします…わたしの少しヤンチャな召喚獣、ディアヴロ」
「ちょっと!あたしの召喚獣だってば!!あたしの名前はシェラ!シェラ・グリー……それ名乗ったらダクネスに怒られたっけ。シェラって呼んで!」
……レムとシェラか。
「ふん…今のところは"貴様ら"で…」
うっ、二人揃って、悲しそうな顔を…ただでさえ隷属の首輪を事故とはいえ付けてしまったのにこれ以上は……マジで鬼畜勇者のレベルまで近づきたくない!
大丈夫。
これぐらいの妥協で俺の魔王は崩れない。
頭をフル回転して言葉を選べ…俺!
「せいぜい足を引っ張るなよ…レム、シェラ」
「はい」「よろしくね!」
ふぅ。これからは鬼畜勇者みたいな男になりすぎず、尚且つ俺の魔王としての威厳を損ねないように頑張るぞ!
俺はそう決意を新たに街へのルートに沿って進もうとした時だった。
レムが引っ張られながらも俺の肩を外そうとしなかったのだ。
「レム、くどいぞ。このままでは無駄に時間が過ぎてしまう」
「いいえ、そっちの方向へ行ってしまうからこそ無駄な時間が生まれてしまいます…つまり、街はそっちのルートではありません。こっちです」
「……え?」
あれ?
おかしいな……
確か俺のゲーム知識では…
「……うむ。《辺境都市ファルトラ》へのルートはここで間違いないと思ったのだがな………」
まぁ、ここはリアルの世界だからそういう誤差はありうるのだろう。
そう内心恥ずかしつつも、それを隠しつつ納得しかけた時だった。
「……あの、ディアヴロ」
まだ豹人族の少女は不安そうな目で俺を見ていた。
……間近でみると可愛いな。
そして彼女の口から、
「《辺境都市ファルトラ》という所は存在しません。ここからだと《始まりの街アクセル》という所が私達の向かう街ですよ?」
俺の培ってきたゲーム知識が早速崩壊する"爆弾発言"を述べたのだった。
俺は衝撃の余り、尻餅をついてしまい…
「え…」
「あの、もしかして貴方はこの世界によく似た場所に……」
「えええええええええええええええええええ!?」
かつてないほどの大絶叫をかましてしまったのだった。
そんな訳で"坂本拓真"纏い、"ディアヴロ"は自身が極めていたゲームの世界である"クロスレヴェリ"と似て似つかずの正真正銘の"異世界"に、
「ディアヴロ、しっかりしてください。立てますか?」
「ディアヴロ大丈夫!?」
二人の美少女達によって召喚された俺の運命は、一体どうなるのだろう?
俺にとっての常識が崩壊した今となっては、不安しかなかったのだった。
@漆黒のK@
クロスレヴェリで突如としてトッププレイヤーであるディアヴロと肩を並べて戦ったダークホースプレイヤー。
装備は黒龍の仮面を装備し、緑のスーツの上に黒のコートを纏っている。
武器は多彩だがメインウェポンは一応あり、刀のピヨピヨ丸らしい。
ピヨピヨ丸は、一向に引きこもりを辞めない彼に親が嫌がらせで彼のオリジナルウェポンにつけた名前だそうで、罵詈雑言の修羅場だったそうだ。
漆黒のKは他のプレイヤーに様々なあだ名で呼ばれている。
《鬼畜勇者》《カップル殺し》《運営泣かせ》《ドS仮面》《破滅の使者》《ゴミのG》《糞のK》…………
彼はカップルを蹂躙した後はしっかりと勝利の味を噛み締めて、ぐっすりと枕で安らかに眠れている。
彼の一日は平和だね☆
*彼の正体はこの素晴らしい世界に登場するキャラクターの中の誰かです!予想や考察をしてみてくださいね。
大体予想はつくけどさ☆