気になるあの子はヤンキー(♂)だが、女装するとめっちゃタイプでグイグイくる!!! 作:味噌村 幸太郎
1プロローグ(挿絵あり) 2最悪のはじまり
1 プロローグ
俺とあいつが出会ったのは桜舞い散る頃だった……。
「おい、お前! さっきオレにガン飛ばしたろ?」
あいつはいわゆるヤンキーで、初対面の俺にケンカを売ってきた。
俺が勘違いじゃないか? と答えたが、あいつはそんな答えでは満足しない。
「じゃあ……じゃあ、なんでオレの方を見てた!」
あいつは入学式だというのに、肩だしのロンT。中にはタンクトップが見える。そして、ショーパン。
という……露出の激しい格好で来やがった。
正直いって俺のどストライクゾーンだった。
「かわいいと思ったから」
「……」
一言。そのたったひとことが俺の失敗でもあり、はじまりでもあった。
「オレは……オトコだぁぁぁぁぁ!」
「へ?」
そうしてあいつは、俺めがけて奇麗なストレートパンチをお見舞いした。
「な、なにをする! 初対面の人間に向かって!」
「うるせぇ! お、お前がオレに……オレにか、かわいいとか言いやがるからだ!」
「かわいいと思ったことが何が悪い!」
あいつが男だとは思えなかった。
声も女のように甲高いし、見た目は100パーセント、女だ。
俺だけがそう見えていたのかもしれない。
こいつはまごうことなき、男子だったのだ。
~それから時は少し経ち~
「あ、あの……わたし……」
目の前には妖精、天使、女神……どの言葉でも表現が足りないぐらいの美人が立っていた。
胸元に大きなリボンをつけて、フリルのワンピースをまとった女の子。
カチューシャにも同系色のリボンがついている。
美しい金色の髪を肩から流すようにおろしていた。
時折、風でフワッと揺れる。
「キャッ」とスカートの裾を手で必死に押さえる姿はとても女の子らしい仕草だ。
「わたしじゃ……ダメですか?」
そう、あいつは女装すると男の娘に変身するヤンキーだったのだ。
2 最悪のはじまり
桜が舞い散る今日、俺の晴れ舞台……いや、黒歴史の創世とも言えよう。
なぜこの天才である
そして、非凡な俺が劣等人種たちと勉学を共にしなければいけないのか。
俺には思い当たることは何1つない。
別に勉学が嫌だから、高校受験を避けたわけではない。
俺には差し当たって、『それ』を選ぶ理由が思い当たらないからだ。
ガッコウなんてもんはメリットが感じられない。
言わば、デメリットだらけの場所だからね。
更に付け加えるならば、俺のような天才が、高校という枠に囚われていること自体が罪であり(天才だからね)、一介の教師風情では俺に知識を与えるにふさわしくない。
高等学校というもの……巷ではリア充とかいうやつらが、のさばる場所と聞くではないか。
非凡な俺がクラスなどに入って見ろ。
それこそ、教室で浮くというものだ(ぼっち、ぴえん)
そうだ、ほかのリア充の勉学の妨げになる。
だって、あれだろ? 俺って普通に高校通っていたら3年生の年齢なわけだよ。
今年でじゅう、はっさい! だからな。
同級生なのに、年上というとっつきにくいキャラの出来上がり。
俺には既に『居場所』があるんだ。
肩書は社会人であり、ライトノベル作家、そして新聞配達もしている。
超社会に貢献している十七歳だよね?
なのに、俺は今こうして、親父から借りたスーツに袖を通し、巨大な白看板の前に立ちすくんでいる。
なぜかって? べ、別に怖くなんかないんだからね! っと……自らを可愛くも思ったりもするのだが……。
白看板にはでかでかとこう書かれている。
『第31回
そう書かれた看板のうしろには小さな白い建物がある。おそらく入学式会場だろう。
ガッデム!
この向こうに地獄が待っている。そうここは悪魔の巣窟に違いない。
「はぁ……」
ため息をもらしながら、俺は入口に向かった。