気になるあの子はヤンキー(♂)だが、女装するとめっちゃタイプでグイグイくる!!!   作:味噌村 幸太郎

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149 第二種目

 二人三脚のレースは終了し、勝利したペアが次の種目へと出場できることになった。

 生徒の三分の一ぐらいが脱落。

 テント前にはスコアボードが立てられている。

 白組である三ツ橋が9点。紅組である一ツ橋が8点。

 五分だな……。

 

 宗像先生がマイクを手に持つ。

「続いて~ 第二種目! 『死ぬまで帰れ騎馬戦』を始める!」

 だから、なんで戦って天国にいかないといけないんだよ。

 死ぬのが前提とか、ヴァルハラか?

 

「先ほどとは違い、四人でグループを作れ!」

 

「またか……めんどくさいなぁ」

 ふと後ろを振り返る。

 そこには赤い帽子を被った華奢なブルマ姿の少女……じゃなかったミハイルが。

 何やらニコニコ嬉しそうに笑っている。

 しかも、俺の背中にぴったりと胸をくっつけている。

 ドキドキしちゃうからやめてね。

 

「タクト! もちろん、オレと組むよな☆」

 目をキラキラと輝かせて上目遣い。

「ああ……」

 どうせ断ったら怒るんだろ。

 

「はいはーい! あーしも混ぜてまぜて~♪」

 そう言って手を振るのは、花鶴 ここあ。

「えー。オレとタクトの二人でじゅーぶんだっつーの」

 いや、騎馬戦はふたりじゃ無理だってーの。

「いいじゃん、ダチだろ~ ミーシャってば~」

 そう言うと花鶴はニヤニヤ笑って、自身の胸をミハイルの顔にグリグリとくっつける。

 やられた本人はすごく嫌そう。

「やめろよ、ここあ! キモい!」

 ひどっ! 仮にも幼馴染の間柄なのに。

「あ、年上のあーしをそんなん言うのはこの口かぁ~?」

 花鶴は何を思ったのか、ミハイルの頬を片手で掴み、力を入れる。

 するとあら不思議、彼の小さな唇がぶに~っと前に出る。

 おちょぼ口してるみたい。

 ちょっと、かわいいかも。

 いいなぁ、俺もやりたいわ。

 

「だに、ずずんだよぉ! ごごあ!」

 両腕をブンブン振り回すが、彼の手が花鶴に当たることはない。

 身長の差だ。

「ハハハッ! あーしを仲間外れにしようとするからっしょ♪」

 あのミハイルを片手で制御するとは……さすがどビッチのここあさん。

 

 そこへ一人の巨人が現れる。

 頭が禿げあがったおっさん。

 

「お前ら、仲間割れしてる場合じゃねぇだろ!」

 コツン! と二人の頭を小突く。

「キャッ」

「いってぇな」

 ミハイルの方が女らしくて草。

 

「タクオ! 俺も加勢するぜ」

 そう言って、親指を立てるのは千鳥 力。

「リキ! お前までオレたちの邪魔すんのかよ! 二人でじゅーぶんなのにっ!」

 いや、だから無理だって。

 ルール、わかってんの? この人。

 

「ああ、これでちょうど四人だな。そうしてくれ」

 半ばどうでもいいと言った感じで答えた。

 人に声をかけてメンバーを集めるのも一苦労だしな。

 ミハイルと昔から仲の良いこの二人なら、連携も取りやすいだろう。

 

「もう、タクトのバカッ!」

 俺の思惑とは裏腹に、ミハイルは不機嫌そうに地面を蹴り上げる。

 なんで怒ってんだ?

 あれか、女子の北神 ほのかとか欲しかったのか?

 一応、あいつも可愛いし。一応、おっぱいもデカいし。ただ、変態だけど。

 

    ※

 

 俺たちは役決めをするまでもなく、配置は自ずと決まる。

 先頭の騎馬が千鳥、そして後尾の騎馬役が俺と花鶴。

 そして肝心の騎手はミハイルだ。

 

 各々、準備が整ったところで、宗像先生からルールが説明される。

 

「この競技に関してだが、至ってシンプルだ。一つでも相手の帽子を奪ったグループは勝ち。そのまま三種目に出場できる! 勝負がついた時点で勝っても負けても退場してもらう!」

 

「ふむ、本来の騎馬戦とは違って、団体戦ではないのか……」

 あごに手をやり、作戦を考える。

 すると、誰が俺の肩をポンッと叩く。

「タクト☆ オレがついってから負けないって☆」

 ウインクする天使が一人。

「わかった、頼んだぞ。ミハイル」

「うん☆」

 

 俺は前から見て、左側の騎馬役になった。

 右手を先頭の千鳥と繋ぎ、鐙をつくる。

 反対側の手で彼の肩に手を当て、騎手役のミハイル様の鞍が出来上がり。

 

「よぉし、三人とも! 気合入れろよな☆」

 そう意気込み、彼は軽々と地面から跳ね上がる。

 ストッと腰を下ろし「立っていいゾ☆」と叫ぶ。

 命令された通り、俺たちはミハイルを乗せて立ち上がった。

 

 そこでやっと気がつく。

 彼のブルマが……いや、小さな桃のような尻が、俺の左腕にぴったりくっついていることに。

 思わず、生唾を飲み込む。

 だって目の前に女子のブルマが……あ、いや男だった。

 

 俺の邪な考えを察知したのか、ミハイルが振り返る。

「タクト!」

「え……」

「気張れよな☆」

「あ、はい」

 なぜか敬語。

 だって別の意味で緊張して、ドキドキしちゃうもん。

 試合どころではない。

 

 

 そうこうしているうちに、ピストルの音が鳴り響く。

 

「はじめぇい!」

 

 

「リキ! あそこのグループに向かってくれ!」

 ミハイルが指をさして、千鳥に命令する。

「おし、まかせろ! タクオ、飛ばすからちゃんとついてこいよ」

「ああ……」

 俺はどこか上の空だった。

 頭の中はミハイルちゃんのブルマとお尻でいっぱい。

 

「いっけぇ!」

 ミハイルの叫び声と共に、千鳥の手に力が入る。

 瞬間、激しい豪風が目の前を舞う。

 気がつくと、俺は一人で立っていた。

 

 というのも先頭の千鳥が先走りしすぎて、俺だけついていけず、伝説のヤンキー三人だけで敵陣に突っ込んでいく。

「あらら……」

 一人、運動場で置いてけぼり。

 

 こんなところでも俺はぼっち、放置プレイを楽しまないといけないのか?

 

 ミハイルたちはもう遠いところで、頑張ってらっしゃる。

 騎馬戦って3人でもやれたんすね。

 初めて知りました。

 

 俺はその場で体操座りする。

 半分、涙目だけどな。

 

 

 数分後、ミハイルたちが帰ってきた。

「あれ、タクト。そんなところにいたの?」

 片手に白い帽子を持って。

 

 見上げると、ミハイルの金色に輝く長い髪が眩しく感じた。

「すまん、力不足だったな……」

 完全にすねていた。

 置いていかれたことに。

 

「アハハ……気にすんなよ、タクト。勝てたからいいじゃん☆」

「そうだぜ、タクオ! 無能もスキルの一つだぜ?」

 おい、ハゲ。お前いま俺のこと無能って言ったか。

 ぶち殺すぞ!

「オタッキーてば、あれじゃね。自家発電のしすぎでバテてたんじゃね?」

 違うわ! Me Too運動起こすぞ!

「え? タクトってば、こんな時もレンジでお菓子作りしたかったのか」

 頭痛い……。

 

「ミーシャ、オタッキーはあれだよ。ブルマで興奮したんっしょ♪」

 ケラケラと品のない笑い方だ。

 しかし、当たっている。

 見ていたのは女子じゃなく、男子のミハイルだが。

「えぇ、ブルマって、ただのたいそーふくだゾ?」

 純真無垢なミハイルちゃんには、ブルマの尊さが理解できてない。

 

「あーしが魅力的すぎんしょ♪」

 頼んでもないのに、尻を突き出す。

 いや、断じてお前じゃない。

 それを聞いたミハイル殿が顔を真っ赤にする。

「なんだと! タクト、ここあのブルマをそんな目で見てたのかよ!」

 違うって、あなたの見てたんだよ。

 それを面と向かって、言えってのか?

 

「違うよ……」

「じゃあ誰のブルマ見てたんだ!?」

 なにこの尋問、死にたい。

「言ってやれよ。タクオ……おめーも男だろが」

 千鳥、男だからこそ、言えないよ。

 

 俺は立ち上がって、ズボンについた砂を手ではらう。

 ミハイルは未だ、千鳥と花鶴たちの上に乗っかっている。

 

 聞こえるか聞こえないぐらいの小さな声で呟いた。

 

「見てたのはお前……だよ」

 頬が熱くなるの感じた、と同時に背を向けて退場する。

 

 チラッと、彼を見たが「へ?」といった顔して、首をかしげていた。

 

「おまえってことは……オレ?」

 自身の顔を指差してはいるが、理解できてないようだった。

 お馬さんの二人は、顔を見合わせて答えを探る。

「タクオは一体誰の尻を見てたんだ」

「リキのケツじゃね?」

 

 それはない。

 

 

 

 

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