気になるあの子はヤンキー(♂)だが、女装するとめっちゃタイプでグイグイくる!!!   作:味噌村 幸太郎

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189 売人とブルマ

 

 

 午後のチャイムが鳴り、俺とミハイルは武道館に向かった。

 地下にある更衣室に入ると、ロッカーにリュックサックをなおす。

 俺はリュックの中から以前三ツ橋から拝借した体操服を取り出した。

 元々、俺は中学生時代の体操服を持っていたから、正直いらなかったんだけどなぁ……。

 なんとなく、罪悪感を感じながら、着替える。

 

 ふと、隣りを見るとミハイルがショートパンツのボタンを外そうとしていた。

 思わず生唾を飲み込む。

 

「よいっしょっと……」

 

 チャックを下ろすと、紺色のブルマが垣間見える。

 裾をすぅーっとゆっくり太ももまで脱ぐ。

 すると、白く美しい細い脚が露わになり、ブルマが股間にぴったりとが食い込んでいるのがわかる。

 ぷりんとした丸くて小さな桃のような可愛らしいお尻。

 

 犯罪級な可愛さとエロさを兼ね備えているぞ! こいつっ!

 

「ふぅ……ねぇ、タクト! どうどう? タクトってこのブルマってやつが大好きなんだろ?」

 目をキラキラと輝かせて、下から俺の顔を覗き込む。

 だが、言っていることは俺が変態としか受け取れない……。

「あ、ああ……似合っていると思うぞ……」

 いかんいかん、ミハイルモードの時は防御力がゼロに等しいというか、男として振舞っているから、対応に困る。

「そっか☆ ならいいや☆ でも、このブルマってすごく履き心地がいいんだぁ☆ お尻のところがキュッてしていて、動きやすいし……家用にもう一枚買おうかな?」

 そう言って、俺に尻を突き出して見せる。

 

 り、理性がブッ飛びそうだ……。

 このままじゃ、ミハイルのブルマ尻に触れてしまいそうになる。

 それだけはダメだ、琢人よ。彼はダチだ。決して俺は彼の『タチ』ではない。

 

「おっほん、まあ動きやすいことに越したことはないな……とりあえず、武道館に行こう」

 咳払いして、話題を変えようとするが、俺の心臓はバクバクだ。

 なんだったら、俺の股間琢人が爆発して、ミハイルを『ネコ』化させ、あわよくば更衣室でニャンニャンしてしまいそうだ。

「そだな☆ 早く行こうぜ☆」

「う、うむ……」

 君と二人きりだと、まだ見ぬ境界線を飛び越えてしまいそうだから、早く行こう……。

 

 

   ※

 

 体操服に着替えた俺たちは、武道館に向かう。

 すると、何人かの生徒が言い合いになっていた。

 よく見れば、一ツ橋の生徒だけではなく、全日制コースの三ツ橋の生徒が混じっている。

 

「だからよぉ、今日は俺りゃあたちの体育だってつんだろが!」

 ブチギレている人がひとり、先ほどまでアイスを売っていた優しいおじさん、夜臼先輩だ。

 両腕のタトゥーこそ目立っているが、しっかり体操服を着用し、頭には赤白帽まで被っている善良な生徒。

 いや、下手する大人の映画に出演しているエキストラみたい……。

 

 それに対応しているのは、バスケットのユニフォームを来た若い青年たち。

「僕たちだってちゃんと許可得てますよ! 急遽、対抗戦が決まったんだから仕方ないですよ。そもそも、この武道館は僕たち、三ツ橋高校の利用が優先だって知らないんすか?」

 丁寧な口調で答えてはいるが、相手も夜臼先輩の見た目に負けじと応戦している。

「あぁ? てんめぇ……俺りゃあだって学費払ってんだ! てめぇらにガタガタ言われる筋合いはねーぞ、オラァ!」

 相手を睨んで凄む夜臼先輩。

 見た目だけは確かに怖い。

 でも中身は、ただのアイスクリームおじさんって、俺はもう知っているから怖くない。

 

「そうですけど……僕たちだって全国戦が控えているんです。部活だって本気っすよ!」

「んなら、あれか? てめぇは一ツ橋のガキどもが体育できなくて、泣いてもいいのか?」

「え……」

 俺もポカーンとしてしまった。

 別に体育できないからって、ガキじゃないから泣くことはない。

 

 だが、夜臼先輩はヒートアップしていく。

「てめぇらはいいよな。屋根のある武道館で試合できるからよ……今、何月だと思ってんだ、ゴラァ!」

「え、6月っすね……」

「だよな! するてぇっとよ……もう夏だよなぁ! 日差しが強くて、紫外線でお肌が焼けたり、シミとかできたら、ガキどもがかわいそうだって思わないのか! あぁん?」

「そ、それは、普通なのでは……」

「バカ野郎! お日様なめんじゃねぇ!」

 なにを怒っているんだ、このおっさんは……。

 

 

 しばらく言い合いになっていると、人だかりが出来上がる。

 三ツ橋高校の生徒や関係者、それに他校から来たバスケ部の選手たち。

 対して、我が一ツ橋高校の面々もぞろぞろと集まりだす。

 

 騒ぎを聞きつけてか、宗像先生が現れた。

 

「なーにを騒いでおるか!」

 

 体操服とブルマ姿で仁王立ち。

 上半身の体操服は多分中学生時代のものだから、バストのサイズがあってない。

 パツパツになっていて、胸の形が良く見える。

 下半身のブルマはもちろん、はみパンしていた。

 ウオェッ!

 

「おお、蘭ちゃん先生……」

「なんだ、夜臼じゃないか。やっとシャバに出れたんだな」

 ニコッと笑って見せる宗像先生。

「へぇ。これも蘭ちゃん先生がサツにかけあってくれたおかげっすよ、ヘヘヘッ」

 笑い方がヤバい。薬中の目に見える。

 まあ俺は夜臼先輩の正体を知っているから、なんとも思わないんだけど。

 知らない人たちからはかなり誤解されそうな会話だ。

 

「そうかそうか、よかったな。夜臼も奥さんや子供もいるんだから。もうあの白くて冷たいヤツはもう無断で売るなよ?」

 言い方よ、そこはちゃんとアイスクリームにせえや。

「ヘヘヘッ。なかなかやめれなくていけねぇや。そうだ、蘭ちゃん先生。これ、前に頼まれてたヤツっす。使ったら感想聞かせてくださいや」

 夜臼先輩はズボンのポケットから小さなパケ袋を取り出した。

 中には白い粉が見える。

「おお、こりゃあ夜が楽しみだなぁ……夜臼、また頼むよ。この前のブツも中々良かったぞ。まるで天国のような快感だったな」

「さすが、蘭ちゃん先生だ。疲れがブッ飛ぶでしょ、ヘヘヘッ……」

 いつの間にか、辺りは静まり返っていた。

 宗像先生と夜臼先輩のやり取りを見ていて、顔を真っ青にして震えている。

 

「やべぇよ。一ツ橋ってマジもんの人がいたんだ……」

「ヤンキーが多いとは聞いていたけど、前科もんとか、同じ学園のやつとは思えないぜ」

「俺たち殺されるんじゃないか!?」

 

 いやいや、気持ちはわかるけど、そこまで酷くないから。

 大丈夫だって、みんな同じ学園のお友達だろ? 仲良くしようぜ!

 

 

 バスケ部員は怖がっているようで、膝をガクガクさせながら、夜臼先輩に話しかける。

「あのぅ……僕たち、外で試合しましょうか?」

「バカ野郎! さっきも言っただろが! お日様なめんじゃねー! てめぇも肌が焼けてボロボロになっちまうぞ!」

 夜臼先輩の怒りの沸点がわからない。

 

「まあまあ、夜臼。確かにお前の言い分もわかるが、今日は我が校が引くとしよう」

 宗像先生が割って入る。

「ですが、蘭ちゃん先生! ガキどもがお日様にヤラれちまうのは、俺りゃあ、黙って見てらんねぇんだよ!」

 黙って見ていて大丈夫です。

「夜臼。お前はそんなんだから、アラフォーのくせして、未だに売人なんだ……。頭を使え。前に作ったリキッドタイプがあるだろ?」

 ニヤッと怪しく笑ってみせる宗像先生。

 その一言で、なにかを理解したのか、夜臼先輩が口角をあげる。

「ヘヘヘッ、蘭ちゃん先生も人が悪いぜ……例のブツか。じゃあ今からガキどもにブチこんでやりますぜ。あれさえあれば、丸一日、いや徹夜で体育しても、疲れることはねーっすからね」

 

 

   ※

 

 その後、夜臼先輩は俺たちに小さなボトルを配り、肌につけるよう説明した。

「こいつはよ、赤ちゃんの肌でも使えるような極上のブツだ。高級品だから、落としたら許さねぇからな!」

 要はただの日焼け止めである。

 夜臼先輩の気づかいにより、俺たち一ツ橋高校は武道館をあきらめて、テニスコートに向かうのであった。

 

 俺は宗像先生がもらったパケ袋が気になったので、移動中に夜臼先輩に声をかける。

 

「先輩、宗像先生に渡したあの袋って中身なんですか?」

「ヘヘヘッ、琢人。てめぇもアレをキメたいのか……ありゃあな、肩こりや腰痛に効く入浴剤よ……。わざわざ下呂《げろ》まで仕入れにいったのさ」

 この人、めっちゃ人相悪いけど、中身すごく優しいおじさんだなぁ……。

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