気になるあの子はヤンキー(♂)だが、女装するとめっちゃタイプでグイグイくる!!!   作:味噌村 幸太郎

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200 ビクンッビクンッ!

 

 更衣室を出て、とぼとぼと歩く。

 俺は肩を落とし、目の前の小尻を眺める。

 

「タクトぉ~ 早く早くぅ~☆」

 

 振り返る天使(♂)

 だが……、なぜ上半身を裸体にしない!?

 残念だが今日はおケツを堪能するしかないのだな。

 

「ああ……今行くよ」

 

 覇気のない声で返事をしたせいか、ミハイルが立ち止まって、俺の胸を指で小突く。

 

「ねぇ、タクト? なんでそんな顔してんの?」

 上目遣いで、グリグリと指を回す。

「あ、ああ……」

 どうせ回すなら、もうちょっと左がいいです。乳首があるので……。

「ひょっとして、オレの水着のせい?」

 頬を膨らませて、不服そうだ。

「いや、断じて違う。個人的な……そう小説のことを考えていた」

 ちゃんと作品に、ヒロインの乳首の色を書かないとダメだもんね♪

「しょーせつ? あ、そっか。今日の旅行も取材なんだな☆」

 急に態度を変え、目をキラキラと輝かせる。

「そ、その通りだ」

 ヒロインの乳首を見たいという、ただの欲望だが。

「なら、オレも手伝うよ☆」

 じゃあ、今すぐ裸になれ!

 

 

   ※

 

 松乃井ホテルの敷地内になる別館。

 通称、『波に乗れビーチ』

 売りとしては、屋内に作られた南国風の海水浴場らしい。

 二階の更衣室から出ると、ヤシの木に覆われたプールが目に入る。

 

「うわぁ~ 海みたい~☆」

 身を乗り出して、下を眺めるミハイル。

「おい、危ないぞ」

 と注意しつつ、俺は桃尻をガン見しているのだが。

 

 一階には、波が出る大きなビーチ。

 プールを囲むようにたくさんのデッキチェアが設置された。

 まるで、ハワイに来たような感覚を覚える。

 

 俺とミハイルはさっそく、一階に降りようと小走りで向かおうとした……その時だった。

 

 

「アアアッ! イッちまうぜ~!」

 

 どこからか、男の叫び声が聞こえてきた。

 

  

 二階にはフードコートがあるのだが、その隣りに小さなのぼりが立っている。

 

『ドクターフィッシュ ご利用できます! これであなたも美肌に!』

 

 ビニール製のプールにタトゥー姿の男が、両脚を浸けている。

 白目を向いて、口元からは泡を吹き出す。

 確かにイッちゃてる……。

 

「あぁ~ お、俺りゃあの、か、角質が! 皮膚が!」

 いや、解説せんでもいいよ。

 というか、夜臼先輩がドクターフィッシュでリラクゼーションしているせいか、周りの人たちが怖がって、近づけない。

 

 

「パパ、あの人変だよ?」

「見ちゃダメだよ! あの人は絶対危ないお薬に手を出してる悪い人だからね!」

「あなた、早く通報しなさいよ!」

 

 おいおい、人を見た目で判断しちゃダメですよ。

 あの人はごく普通の一般市民ですので。

 

 

「アアアッ! こいつはキメちまいそうだな……」

 

 彼の言い方はさておき、なんだか気持ちよさそうだ。

 

「なあ、タクト。太一がやってるのってなあに?」

「あれはドクターフィッシュって言うんだ。魚が人間の悪い所を食べてくれて、綺麗なお肌になれるらしいぞ」

「ホントか!? なら、オレもやってみたい!」

 偉く乗り気だな。

「まあ、俺も未体験だし、やってみるか?」

「うん☆」

 

 

 夜臼先輩の隣りにお邪魔する。

 ビニールプールの中には、無数の小さな魚たちがうようよと泳いでいた。

 俺たちが足を入れると、すぐに寄ってくる。

 そして、小さな口で肌に触れる。

 ちょっと、こそばゆいが、なんだか気持ちが良い。

 

 

「おう、お前らもコイツらでキメちまう気か?」

「ま、まあ俺たちやったことないんで……」

 俺がそう言うと、夜臼先輩は不気味な笑みを浮かべた。

「琢人。コイツらよ。小さいガタイのくせして、ヤルことやっちまう奴らなんだぜ? 俺りゃあよ、アトピーが酷いんだが、コイツらに皮膚を食ってもらって、何度もイッちまったぜ……」

 健康的に昇天されて何よりです。

「そ、そうなんですか……あれ、じゃあ夜臼先輩の身体中にある紫色のプツプツって……」

「おうよ! アトピーだ」

 症状が良くないから、いつも健康に気を使われてたんですね。

 

 

「んっ、んんっ! あ、ああん!」

 

 俺と夜臼先輩が雑談していると、左隣りから何やら女性の喘ぎ声が。

 視線を隣りにやると、ミハイルが荒い息遣いで、頬を紅潮させていた。

 時折、ビクッビクッと身体を震わせて。

 

「ミハイル? どうしたんだ?」

 そう尋ねると、なにを思ったのか、俺に抱きつく。

「あ、ああん! こ、このお魚ちゃんたちが……はぁはぁ……止まんないよぉ!」

 なんて声を出してんだ。

 俺の腕にしがみついて、悶えている。

 なるほど、ミハイルは感じやすいタイプなのか。

 それにしても、エロい。

 

「ハハハッ! ミハイルも俺りゃあみたいにデリケートな肌なのかもな。たくさん、イッちまえよぉ。ツルツルお肌になれるぜぇ~」

 あのさっきから、『イクイク』ってどこに行くんですか。

「大丈夫か、ミハイル? 出るか?」

「イヤッ……ま、まだ、入ってたいかも……く、くすぐったいけど……あああん! なんか、気持ちいい☆」

 どうやら、ハマったようだ。

 

 

「あああん! す、すごいよぉ、タクト~! オレ、なんか頭が変になっちゃう~!」

 たかだか、小魚どもで感じやがって。

 ちょっとだけ、嫉妬を覚えちゃう。

 

「くっ! 俺りゃあもまたイッちまいそうだぜぇ~!」

 そう言って、泡を吹くアトピー患者。

 

「はぁはぁ……すごく、いいよ。これぇ……」

 

 変な声で喘いだり、騒いだりしている人たちに挟まれて、俺は一体どうしたらいいんでしょうか?

 

「タクトぉ~ この子たち、止まらないよぉ~ 気持ち良すぎるから、どうにかしてぇ~!」

 

 このプールから出ればいいだけだよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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