気になるあの子はヤンキー(♂)だが、女装するとめっちゃタイプでグイグイくる!!!   作:味噌村 幸太郎

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208 このあと、美味しくいただきました!

 

 夜臼先輩から、合法的に買い物を済ませた俺とアンナは、仲良くかぼちゃの馬車の前で、アイスを食べることにした。

 一つのアイスを交代でパクッと食べては、相手に「ハイッ」と口に向ける。

 あれ……普通に、間接キスどころか。唾液交換してない?

 な、なんだか、興奮してきた。

 

 アンナと言えば、そんな俺のやましい気持ちなど知らず……。

 イルミネーションを子供のように、喜んで見ている。

「キレイだねぇ、タッくん……。なんか『夢の国』の世界みたい~☆ こんな景色を見ながら、タッくんと一緒にアイス食べれて、幸せぇ☆」

 そう言いながら、視線は落とさず。

「ペロッ、んふっ。ペロペロッ……ごっくん!」

 というエロい咀嚼音。

 

 ヤバいヤバい、俺の理性さんがどこかに旅立ちそうだぁ!

 アイスは夜臼先輩の計らいで、左側がチョコ、右側がバニラだ。

 だが、アンナの視線は、イルミネーションに釘付けのため、『境界線』からはみ出て、食べてしまう。

 真っ白なバニラのクリームに、赤い口紅の色が混ざる。

 

 こ、これは!

 自然現象によって起きたラズベリーアイスだ。

 

 思わず、生唾を飲み込む。

 

「ハイッ。タッくんの番だよ?」

 コーンを口元に近づけるアンナ。

「ああ。い、いただきますぅ!」

 なぜか敬語でかぶりつく。

 舌の中でとろけるバニラクリームと、ほのかに残るルージュの香り……。

 なんてこった。

 超おいし~♪

 

「どうしたの、タッくん? やけに嬉しそうだね?」

 見透かされたように感じたので、咳払いでごまかす。

「お、おっほん! いやぁ、幻想的な夜景と共に、食べるアイスは格別だと思ってな。小説の取材に使えそうだ」

 そして、俺のおかずにも!

「なら良かったぁ☆ アンナも一緒に来た甲斐があったよぉ」

 無邪気に笑う彼女に、妙な罪悪感を感じる。

 

   ※

 

 アイスを食べ終えて、しばらくイルミネーションを眺めたあと、俺たちはホテルの中に入った。

 ホテルにも土産屋が数件あって、アンナが見ていきたい、と言ったからだ。

 彼女は店の中で、主にお菓子やぬいぐるみなどを物色していた。

 俺と言えば、こういうのにあまり興味がないから、ちょっと離れた場所から、アンナを見つめている。

 

 ふと、振り返ると、ロビーが目に入る。

 

 夜の10時を過ぎたせいか、辺りは静まり返っていた。

 フロントも夜勤のスタッフが一人いるぐらい。

 客はみんな自室に戻ったのかも。

 

 そう考えていると、二人の人影が目に入る。

 フロントの反対側にチェックインなどの際に、客が待機するスペースがある。

 ソファーがいくつもあって、そこで受付や会計を待つ時に使うものだ。

 

 今は夜遅いから、もう客などいないのだが。

 

 浴衣姿の男女が二人。

 スキンヘッドの大男とショートボブの小柄な女。

 少し離れた距離で、肩を並べて座っている。

 

「ん、あれ。リキとほのかじゃないか……」

 

 そう呟くと、いきなり背後から誰かが囁く。

 

「ホントだ……リキじゃん」

 

 振り返れば、怪しく微笑むアンナが。

 

「アンナ? お前、なんでリキの名前を知っている?」

 さりげなく、突っ込んでおく。

 俺の問いにうろたえだすアンナ。

「え、え、え? リキくんのことは、ミーシャちゃんから聞いてるから、ね。面識はないけど、昔から友達だって……」

「なるほど」

 そういうことにしておいてやるか。

 

 ということで、今から俺たちは、『ステルスミッション』を開始するのであった。

 

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