気になるあの子はヤンキー(♂)だが、女装するとめっちゃタイプでグイグイくる!!!   作:味噌村 幸太郎

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242 タクト奪還作戦

 

 俺は宗像先生から託された課題、夢、バトンを受け取り。

 気持ちが激しく高揚していた。

 とりあえず、お互い身体も洗い終えて、スッキリしたことだし、そろそろ着替えて先生の我が家でもある事務所に戻ろうと、男女別々の更衣室へと別れた。

 

 更衣室に入ると、水着を脱ぎ、近くに置いてあったバスタオルで濡れた身体を拭き上げる。

 ちょっと鼻歌交じりで、濡れた髪をわしゃわしゃとタオルで拭いていると……。

 首筋にピタッと冷たいものが当たる。

 タオルで前方が確認できないが、なにやら尖ったものだ。

 

「おい、黙って手を挙げろ」

 野太い男の声だった。

 だが、不自然な喋り方、声。ボイスチェンジャーで声を変えている。

 一気に股間が縮みあがる。

 呼吸が乱れ、恐怖で身体が思うように動かすことができない。

「早くしろ!」

 男は俺の肌に深く当てつける。

「ひっ! わ、わかったから! なにもしないでくれ……」

 脚がガクガク震える。

 右手で頭に抑えていたタオルを離し、床に捨てる。

 頭に両手を組んで、ゆっくりと振り返って見せた。

 フル●ン状態でだ。

 

 俺の目の前に立っていた男は、映画で見るような不気味な髑髏のフェイスマスクを顔につけていた。

 全身真っ黒のミリタリースーツを着用している。

 サバイバルゲームで見るようなフル装備。

 コンバットシャツにベスト、ブーツまで。身体の至る部位を全てパッドで防御していた。

 貧弱な俺では絶対に勝てそうにない。

 

 

「こ、これでいいのか……?」

 右手にコンバットナイフを逆手に持ち、こちらを黙って見つめる。

「……」

 よく見れば、小柄な男だ。

 装備さえなければ、俺でも勝てるかもしれない。

 だが、それよりもこの目の前に突きつけられた大きなナイフだ。

 包丁と違って、刃が長いし、太い。

 怖すぎるっぴ!

 

 逼迫して重たすぎる空間。

 沈黙だけがただ無駄に続く。

 

「あ、あの……これから、俺はどう、すれば……?」

「服を……」

 先ほどより、小さいな声で喋り出したので、俺は聞き返す。

「え?」

「だ、だから! 服を着ろと言っているんです!」

 あれ? なぜ急に敬語に?

「わ、わかった。じゃあ動いていいか?」

「いいから、さっさと前を隠せ! は、恥ずかしいでしょ!」

 なに言ってんだこいつ。

 

 とりあえず、俺はTシャツとジーパン姿になる。

 着替え終えて、不審者の方を見れば、なぜか俺に背を向けて、視線は床に。

 あれ、今って俺が反撃していいタイミングなのでは?

 でもナイフが怖いから、とりあえず、話しかけよう。

 

「あ、あの、着替え終わったんだけど……」

「そ、そうか……よし、ちょっと待て。相棒に連絡をする」

 男はベストからトランシーバーを取り出して、誰かに話しかける。

「こちら、ブラボー! 要人を確保した! アルファ、応答せよ!」

 するとトランシーバーのスピーカーから声が漏れる。

 もう一人の男もボイスチェンジャーで声を変えている。

『こちら、アルファ! 了解した! 現在、ターゲットを視認した。攻撃の許可を求む、オーバー!』

 攻撃って、まさか相手は宗像先生か?

 

「アルファ、攻撃を許可する。忌々しいターゲットの……息の根を止めてやれ。オーバー!」

『了解。任務を遂行する』

 その後、スピーカーから宗像先生の悲鳴と思われる女性の声が漏れてきた。

 

『な、なんだお前!? ぎゃ、ぎゃあああ!』

 

 俺は咄嗟に叫ぶ。

「お前たち、宗像先生になにをした!?」

 男は俺をじっと見つめて冷静に答える。

「心配するな。殺してはいない。殺してはな」

「どういうことだ?」

 

 すると、再度スピーカーから悲鳴が聞こえてきた。

 

「ぎゃ! ぎゃああ! ぎゃあああ!」

 

 一体なにをされているんだ?

 

『こちら、アルファ。ターゲットを始末した。玄関で合流しよう、オーバー!』

「了解、要人を連れて現場から脱出しよう、アウト!」

 

 

 俺は不審者に無理やり腕を引っ張られて、更衣室から連れ出される。

 三ツ橋アリーナの玄関に出てくると、もう一人の髑髏マスクをした男が立っていた。

 

 右手には物騒なスタンガンを持って。

 

「終わったな、ブラボー」

「ああ、アルファ。玄関に車を用意している。ただちにここを脱出しよう」

「さすがだな、ブラボー」

「お前には負けるさ、アルファ」

 

 その後、外に出ると一台の車が。

 

「ご予約のお客さんですか? 赤井タクシーの者ですが」

 ファッ!?

 近所のタクシー会社じゃねーか!

 

「あ、そうでーす☆ 予約してた3人で~す☆ 真島までお願いしまぁす☆」

 なんだ? この男、急にくねくねしやがる。

「“ポイポイ”払いってできますか?」

「ええ、できますよ」

 

 なんだ、この平和な会話は?

 

 ブラボーと呼ばれた男が後部座席に座り、俺は真ん中に座らされた。そして逃げられないようにアルファが俺の左隣りに座る。

 

 タクシーがゆっくりと走り出し、一ツ橋高校の門を通り抜けたころ。

 男たちは互いにマスクを外した。

 

 マスクを外したアルファの首元には、美しいブロンドの長髪が垂れる。

 ブラボーは陽に焼けた褐色肌、そしてボーイッシュなショートカット。

 

「お前ら!」

「ばぁ、アンナだよ☆」

「センパイ、助けに来ましたよ♪」

 えぇ……ここまでやる?

 

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