気になるあの子はヤンキー(♂)だが、女装するとめっちゃタイプでグイグイくる!!!   作:味噌村 幸太郎

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297 昔のオンナ

 

 金髪、貧乳、色白で華奢な体型のハーフ美少女。

 あの時……確かに俺は、この世に一人しか存在しない可愛い女の子だと思った。

 そうだ。半年前、一ツ橋高校で。

 だが、目の前にもう一人いるじゃないか。

 完璧な美少女が。

 あいつは不必要なモノがついている……男の子。

 

 2つのブルーアイズをキラキラと輝かせる彼女の名は、マリア。

 

「タクト、ただいま。10年ぶりね!」

 そう言って、俺に抱きつく。

「お、おかえり……」

 ていうか、誰ぇ!?

 名前はなんとなく思い出せたけど、それ以外の記憶がなにも出てこないよ~

 グリグリとノーブラの生乳を俺の身体に擦り付ける。

「わ、私……ちゃんとここに、福岡に帰って来られたのよ。あなたと約束したから、手術も成功したの。タクトが結婚の約束をしてくれたからよ」

 と涙を流すマリア。

「結婚? 手術?」

 俺は新手の詐欺にでもあっているのだろうか。

 彼女の言っていることが、さっぱりわからん。

「そうよ。10年前、この博多川で私と約束をしてくれたじゃない!」

 やっと俺から身を離すマリア。

 そして、目の前に流れる河川を指差す。

 

  ※

 

 マリアの青い瞳は涙で溢れていたが、宝石のように輝いて美しい。

「青い…目」

 気がつくと呟いていた。

 俺は、マリアの美しい瞳に、どんどんと吸い込まれていく。

 

 どこからか、幼い声が聞こえてきた……。

 

 

『私、怖いの。生きて戻って来られるかわからなくて……』

『心臓の手術だったか?』

『ええ。成功できる確率は半々と言ったところかしら』

『そうか。ならば、賭けようじゃないか。お前は手術。俺は小説家としてデビューすることを』

 

 

 思い出した。

 あの時のことだったのか……。

 ガキの頃だったし、もう正直会うこともないと思ってなかったから、すっかり忘れていた。

 彼女を見た俺は激しく動揺していた。

 心臓がバクバクとうるさい。

 

 過去に重大な約束をしていたこと、こんな可愛い女の子と仲が良かったこと。

 だが、それよりも一番驚いているのは、あいつに似ていることだ。

 目の前にいるこのマリアが……。

 なんで、アンナ……いや、ミハイルに。

 

 胸が痛む。まるで大きな穴が空いたようだ。

 ポッカリと何かが抜けてしまった、そんな喪失感が残る。

 

 これはショックを受けているのか?

 あいつが“初めて”じゃなかったことを。

 幼い頃に出会ったマリアが可愛くて、無意識のうちに重ねてしまっていた自分に。

 何故、今なんだ。

 ミハイルやアンナになんて言ったらいいのだろう。

 罪悪感で、押しつぶされそうだ。

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