気になるあの子はヤンキー(♂)だが、女装するとめっちゃタイプでグイグイくる!!!   作:味噌村 幸太郎

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381 あんちゃん、ハーレムなんて幻想だよ……。

 

「ところで、今回の打ち合わせって一体なんだ?」

 俺がそう問いかけると、白金は目を見開き、手のひらをポンと叩く。

「そうでした! 実はですね。DOセンセイの『気にヤン』の続刊が、もう予約段階に入りまして……。すごい人気なんですよぉ~」

「ふ~ん」

 自分の実力じゃないから、何も嬉しくない。

 起きた出来事を書いたに過ぎないものだからな。

「もう、いつもそんな反応ですよねぇ……それでですね。来年の初めにまたもう一冊ぐらい売り出したいって、編集長がうるさいんですよぉ~」

「おい……まだ2巻と3巻が発売していない状態で、もう4巻の打ち合わせか?」

 早すぎだろ。俺を殺す気か?

「人気な時に売りまくった方がいいじゃないですかぁ~ DOセンセイって、元々オワコン作家だったし♪」

 クソが!

 

  ※

 

「つまり、次巻に使えるようなネタ……ヒロインとのエピソードがあるか、確かめたかったのか?」

「そうです! 何か進展とかありませんか? キスしたとか? おっぱい揉んだとか!?」

「……」

 全部、経験したとは言いたくない。事故だし。

 わざとらしく、咳ばらいして、話題を変える。

「ごほん! そうだな……ヒロインとして、もう一人使えそうな女が現れたぞ」

「本当ですか!? 是非とも、教えてください!」

 

 もちろん、10年前に出会った幼馴染の冷泉(れいせん) マリアのことだ。

 正直、こいつに話すのは嫌だったが……。

 やはり、マリアを物語に登場させないことには、盛り上がらないだろう。

 

 俺は白金に、彼女との出会いから、10年ぶりに再会したこと。

 それから、婚約した関係であり、アンナに瓜二つなハーフ美少女。

 心臓の手術を終えて、わざわざアメリカから福岡まで、俺のために帰国したハイスペック女子だと、説明した。

 

 

 話を終える頃、白金は目を見開き、顎が外れるぐらい大きく口を開いていた。

 

「ああ……そ、そんな。あのDOセンセイが……」

 どうやら、かなり驚いているようだ。

「俺としてもマリアのことは、再会するまで忘れていた存在だ。正直、困惑している。アンナに似ているし……」

 だが、白金には伝えていないことがある。

 アンナにだけ、おてんてんがついている所だ。

 同じルックスなら、絶対に女の子を選ぶはずなのに……。

 アンナに配慮している自分に、戸惑っている。

 

 白金はしばらく、「う~ん」と唸りながら、腕を組んで考え込む。

 

「まさか、クソ陰キャで童貞オタクのDOセンセイに、そんなエロゲーみたいな過去があったとは……驚きました」

 お前の俺に対するイメージにも、ドン引きだよ。

「俺としては、アンナがメインヒロインだと思っている。だから、どういう風に扱っていいのか……なるだけ、マリアも傷つけたくないんだ」

 そう言うと、白金は机をバシバシと叩きながら、笑い始めた。

「ぷぎゃああ! なに、いっちょ前に格好つけてんすか? もうハーレム気取りですか? モテ期が来たとか、勘違いしてるクソ野郎ですね!」

 この野郎、人が真面目に相談しているのに。

「お前、おちょくってんのか?」

「してませんよぉ~ いいですか? 考えすぎなんですよ、DOセンセイは」

 と言いながらも、ニヤニヤが止まらない白金。

「考えすぎだと?」

「ええ。童貞が初めて女の子にかまってもらったから、色々とパニクってるんですよ。もっと気楽にアンナちゃんとも、マリアちゃんとも取材を楽しめばいいんです♪」

「楽しむ……?」

 

 白金に言われて、ようやく思い出した。

 初心ってやつを。

 そうだ。俺は元々、一ツ橋高校に入学したのは、恋愛を取材するためだ。

 小説のために、色んな人間と交流を求めたに過ぎない。

 ただの仕事……なら、割りきれば良い。

 

 

 俯いて、考え込んでいると、白金が俺の肩に触れて、こう言った。

「DOセンセイ。やっとLOVEらしくなってきましたね♪ 楽しいでしょ?」

「え……」

「ていうか、クッソ面白い展開ですやん? ラブコメに修羅場とか、絶対いりますよぉ~ おもしれぇ! DOセンセイ。誰かに刺されても安心してください。ちゃんと経費で落としてあげますから♪」

 

 この野郎……他人事だと思いやがって。

 ていうか、経費じゃなくて、保険をかけておけ!

 その前に刺されたら、死ぬわ!

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