気になるあの子はヤンキー(♂)だが、女装するとめっちゃタイプでグイグイくる!!!   作:味噌村 幸太郎

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398 今度、会ったら「落とす」って言ったろ?(沼)

 

 一がリキに好意を寄せていると知ったミハイルは、態度を一変させ、ニコニコと笑っている。

 少し離れた場所……。玄関でリキと話す一を見て、何か思いついたようだ。手の平をポンと叩く。

 

「そうだ! タクトの手についた汚れは、落とせないけど……。一のお尻なら、落とせるよね☆」

 と瞳をキラキラと輝かせる。

 こういう時は、大体変なことをやらせるつもりだ。

 

「一の尻? なんのことだ?」

「だから、汚れだよ☆ タクトが手で触ったのなら、汚れがついてるじゃん。ちゃんと落とさないとね☆」

「……」

 

 それって、俺が汚物ってことかよ。

 酷いな、ミハイルくんたら。

 

  ※

 

 玄関に戻ると、すぐにミハイルは頭を下げて、一に謝る。

 

「ごめん。オレ、勘違いしてみたい」

 急に謝られたから、一も動揺していた。

「え、えぇ!? いえ、僕は別に……新宮さんのことでしたら、何とも思っていませんから。いつも空気みたいな存在だと思ってます」

「ハハハッ。だよな☆」

 

 おい、こいつら。

 なに俺のことを、ディスりやがっているんだ?

 空気だと……一の奴。今度、博多社で会ったら、覚えてろよ。

 ケツだじゃ、済ませねぇからな。

 

「ところでさ。一のお尻に、まだ汚れがついてるよね? ちゃんと落とした方が良いよ。タクトの手はべったりとして、汚いから☆」

 だから、何で俺だけ汚物扱いになってんの?

「え? 汚れ?」

 一は彼の言うことが理解できないようで、首を傾げている。

「ちょうど、オレのダチがいるからさ。そいつに落としてもらおうよ☆」

「はぁ……」

 

 ミハイルはリキの傍に近寄ると、背伸びして耳打ちを始める。

「こうして、あーやってね……」

「え? それで、俺が一のを触ればいいのか?」

「そうそう☆」

「ふ~ん。ま、いいぜ」

 

 この時、俺は彼らの行動を止めるべきだったと、のちに後悔することとなる。

 

 ~10分後~

 

「くっ、んあっ! いぃっ……」

「どうだ? 落ちたか?」

「あぁっ! だ、ダメですぅ! そ、そんな……」

 

 一体、何を見せられているんだ? 俺は……。

 サキュバスのコスプレをした少年が、スキンヘッドの老け顔に、尻を撫で回される。

 

 リキ自体はやましい気持ちなんて無いから、善意でやっているに過ぎない。

 全ては俺の隣りで、ニヤニヤ笑っているミハイルが計画したものだ。

 

「ハハハッ☆ 一のやつ、嬉しそうだな」

「……」

 

 確かに想いを寄せているリキが、優しく尻を触ってくれるから、悦んでいるようだが。

 

「だ、ダメですぅ! 僕とリキ様はまだ出会って2回目だと言うのに……こんなっ、んぐっ!」

 一の息遣いは徐々に荒くなり、頬を紅潮させ、瞳はとろ~んとしている。

 時折、身体をビクッと震わせて。

「別に良いだろ? 一がタクオのダチなら、俺のダチだよ。気にすんな。ところで、尻の汚れ……痛みは良くなったか? 今、どんな感じだ?」

「ハァハァ……心臓がバクバクして、今にも飛び出そうですぅ!」

「そりゃ、良くないな……。なんでそうなるんだろな?」

 

 お前が尻を撫で回して、感じさせているからだよ! とは言えないな。

 結果的にとはいえ、一の願望を叶えているし……俺は傍観者でいよう。

 

 2人の会話を聞いてたミハイルが、更なる追い打ちをかける。

 

「ねぇ、リキ。一はお胸が痛むんだよ。だから、お尻を触りながら、お胸も触ってあげてよ☆」

「えぇ……」

 一体、ナニをさせる気だ。この人……。

 

 それを聞いたリキは、「わかった」と答える。

 平然とした顔で。

 

 ~更に10分後~

 

「あああっ! そ、そんなっ! 上からも下からもだなんて……リキ様っ!」

「辛そうだな……。もっと触ってやるぜ。早く良くなるといいな」

 

 異様な光景だった。

 左手で一の胸を、右手で尻を……。円を描くように優しく撫で回すリキ。

 

 触っている最中、どうやらリキの指が“クリーンヒット”したようで、一が叫び声をあげる。

 

「あぁっ! そこは……ダメッ!」

「ここが悪いのか? じゃあ、もっとやってみるな」

「もう、僕……壊れちゃいそうっ!」

 

 高校の玄関で、俺たちは一体なにをやっているんだろうな。

 

  ※

 

 散々、身体を弄ばれた一は、床に腰を下ろす。

 息遣いはまだ激しく、横座りでうっとりとした顔だ。

 

「リキ様。ありがとうございました……すごく良かったです」

「そうなのか? なんか良く分からないけど、治ったなら安心したぜ!」

 とニカッと白い歯を見せて、親指を立てるリキ先輩。

「ハァハァ……あの、お手洗いは近くにありますか?」

「この廊下の奥にあるぜ」

「わかりました……ちょっと、お借りさせていただきます。コスが汚れてないか、確認を……」

 

 えぇっ……ウソでしょ?

 汚れを落とすはずが、コスのどこかが汚れたの?

 サキュバスが搾取出来ず、逆に搾り取られたとか……まさかね。

 

 一は、廊下の壁にもたれ掛かりながら、よろよろと奥へと進んでいった。

 

 

「アハハ! 面白かった☆」

「……」

 ホントに酷いよ。この人。

 人間で遊んでるじゃん。

 

 とミハイルの言動にドン引きしていると……。

 背後から、視線を感じた。

 振り返ってみると、階段の上。2階からスマホをこちらに向ける少女が一人。

 腐女子のほのかだ。

 

 鼻から真っ赤な血を垂らしながら、眼鏡を光らせている。

 どうやら、今まで起きた出来事を録画していたようだ。

 

「ヒヒヒッ。こいつは最高の逸材だわ……リキくん×一くんか。これだから、創作はやめられないのよっ!」

 

 お前の創作とは、一緒にして欲しくない。

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