気になるあの子はヤンキー(♂)だが、女装するとめっちゃタイプでグイグイくる!!!   作:味噌村 幸太郎

433 / 485
438 裏切りの代償

 

 マリアが俺にかけた手錠だが、どうやら前のお客さんが忘れていった物らしい。

 ハードなプレイがお好みのカップル……。置いていくなよ。

 おかげで、ドМプレイを体験してしまった。

 仕方ないから、俺がフロントに電話して、手錠のことを伝える。

 

「ごめんなさい……タクト。どうしても、あなたが遠くに行ってしまいそうで。怖かったの……」

 かなり罪悪感を、感じているようだ。

 しゅんとしているマリアは、なんだか愛らしい。

「気にするな。別にケガをしたわけじゃないからな」

 それよりも、寝相の悪さをどうにかして欲しい。

「あ、ありがと……タクト。優しいのね。大好き♪」

 

 好きなら、もうちょっと優しくしてね……。

 

  ※

 

 別に悪いことはしていないが、俺とマリアは身なりを整えると。

 急いで、ラブホテルから出ることにした。

 早朝の方が、近隣を歩く人が少ないと思ったからだ。

 

 

 ホテルから出たその時だった。

 近くの電柱から、人影を感じる。

 視線はずっとこちらに向けられている……気がした。

 

 ラブホテルから、出てきた俺たちだ。

 自意識過剰だとは、思うが……。

 しかし、突き刺すような視線だと感じてしまう。

 

 ひょっとして、アンナかと思ったが。

 違う。

 間違いない。

 女装したり、色々と器用な彼だが、体型までは変えられない。

 

 相手は40代ぐらいの中年男性。

 ぽっちゃりしたおじさん。

 サングラスに、白いマスクをつけている。

 明らかに不審な男。

 

 もしかして、以前カナルシティで出会った痴漢か?

 アンナやマリアに、固執していた変態だもんな。

 ここは、俺が注意すべきだろうか。

 

 ふと目と目が合う。

「ひっ!?」

 相手は俺の顔を見て、怯んでしまい、慌てて逃げ去ってしまう。

「なんだ、あいつ……」

 

 俺がその場に立ち尽くしていると、マリアが袖を引っ張る。

 

「タクト。早くここから離れましょうよ! やっぱり……恥ずかしいわ」

 頬を赤くして、俯くマリア。

 可愛らしいところもあるんだと思った。

「そうだな……」

 

 

 3回目のラブホテルへ行ったわけだが、今回も何事もなく終わってしまう。

 ただ、今回の宿泊代は、マリアが払ってくれた。

 彼女の個人的な理由で、利用したから……だそうだ。

 せめて半分ぐらい支払わせて欲しいと言ってみたが、彼女は頑なに断った。

 

 たぶん俺を無理やり連れて行った割には、何も出来なかったことが悔しいのだろう。

 どうでもいいけど、何もしないのにラブホテルをご利用って、金がもったないよね?

 

 ~それから1週間後~

 

 今回のラブホテルで起きた出来事は、ネタとしては使わないと考えていた。

 経費で落ちていないし。

 なんかマリアのことが、かわいそうで……。

 

 

 特に何もない日常を送っていると。

 今年、初めてのスクーリングが近づいてきた。

 ただの授業じゃない。期末試験だ。

 それが連続で、2回も行われる。

 

 アホなミハイルからしたら、苦行だろう。

 今もきっと自宅で、試験勉強をしているに違いない。

 去年も俺と進級したいがために、必死に頑張っていたものな。

 

 その点、俺は勉強なんて必要ない。

 前期も何もせず、オール満点だったしな。

 ま、あの学校が幼稚園児レベルだからね……。

 

 ただ試験当日になるまで、毎日ダラダラ過ごしていれば良いのだ。

 その日も、学習デスクの上に置いてある、PCモニターを眺めていた。

 去年から撮りためていたアンナのパンチラ写真。

 ウインドウを10個も並べて表示させ、アンナを堪能する。

 

「ふぅ……」

 

 最近、アンナの新しい写真。特に露出度の高いラッキースケベが起こらないから。

 なかなか新鮮なネタが、手に入らないな……。

 早く次の取材が来ないかな。と思っていた最中。

 机の上に置いてあるスマホが、鳴り始めた。

 

 彼女だと思い込み、急いでスマホを手に取る。

 

「もしもし?」

『あ、タクト……もう例の記事を見たかしら?』

 その大人びた話し方で、すぐに相手が彼女じゃないと分かる。

 電話をかけてきたのはマリアだ。

「マリア。記事って……なんのことだ?」

 俺が首を傾げると、マリアは深いため息をつく。

『まだ見ていないのね……本当にごめんなさい。私のミスだわ』

「は?」

『この前、二人でラブホテルへ行ったじゃない? あの時に記者が近くにいて、写真を撮られたのよ……』

「え!? なんで俺たちを撮るんだよ。ただの一般人だろ」

『私がモデルだからよ。こう見えて女性に人気なの。詳しくはインターネットを見ればわかると思うわ……本当にごめんなさい。でも嘘は何も言ってないから』

「マジかよ……」

 

 それからすぐに電話を切って、俺はウェブブラウザで検索をしてみることに。

 彼女の名前で調べたら、すぐにヒットした。

 

 見出しはこうだ。

 

『人気モデル、MALIA。帰国してすぐにラブホテルでドッキング!』

 

「ブフーーッ!!!」

 

 思わず、大量の唾をモニターへぶっかけてしまった。

 

『お相手は、2歳年上の自称作家。DO・助兵衛氏、18歳。一般人のため、顔は隠させていただいております』

 

 と記事には書いてあった。

 肝心の写真は、ラブホテルから出て来たマリアと俺。

 誰にも見られたくない……とキョロキョロしている二人だから、妙に怪しく感じる。

 一応、俺だけ目元を黒塗りにされていた。

 でも俺を知っている人なら、すぐに分かるだろう……。

 

 ていうか、なんで自称作家になってんだよ! 俺はプロだ!

 

 記事を読み進めていくと。

 後日、記者がマリアへ直撃インタビューを行ったようで。

 その際の質疑応答が、載っていた。

 

 記者。

「ラブホテルで一泊を過ごしたということは、DO氏とお付き合いしているのですか?」

 

 マリア氏。

「いいえ。本気で婚約しております。10年前から」

 とカメラに向かって、婚約宣言を発表するマリアさん。

 

 記者。

「では、結婚を約束しているのなら、ラブホテルでそういう行為をされたと認めるのですね?」

 

 マリア氏。

「それは断じて認められません。私たちは婚約しておりますが、淫らな行為は何一つしておりません。これだけは言わせてください。一線は越えていません!」

 と言い訳するマリアさん。

 それを聞いていた記者は、信じられないと耳を疑ったそうな……。

 

 一連の記事を読み終えた俺は、動揺から右手がガタガタ震え出す。

 マウスカーソルがモニターの中で、左右に踊りまくっていた。

 

「な、なんじゃこりゃ!」

 

 ほぼ認めている回答じゃねーか!?

 クソ……俺と一緒で、マリアも嘘をつくのが苦手だった。

 もうすぐ試験だというのに。

 

 ミハイルに、この記事を知られたら……。

 俺はどうなるんだ。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。