気になるあの子はヤンキー(♂)だが、女装するとめっちゃタイプでグイグイくる!!!   作:味噌村 幸太郎

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6 出会いは突然に

 

 悪魔のようなニコニコチンな説明会に呆れた俺は、自習室をあとにする。

 

「まったく、クソみたいな高校だ」

 

 教室を出る際、宗像先生にトイレの場所を尋ねると、「中央玄関の隣り」だという。

 

 この一ツ橋高校、いや三ツ橋高校の校舎は三階建て。ちょうどアルファベットでYの形をした校舎で、中央玄関を点にして、3つに分かれている。

 

 北西が特別棟、理科室、音楽室、美術室、パソコン室などの実習室。

 北東が部室棟、主に部活動する際に利用される。

 南が教室棟。平日は三ツ橋高校の生徒の教室であり、休日に俺たちがスクーリングに使う場所だ。

 可も不可もないただの教室だらけの平凡な棟。

 

 

 南側の教室棟は春だというのに肌寒く感じる。スリッパを履いていても床の冷たさを感じる。

 中央玄関の曲がり角が、トイレだ。

 だが、その前に誰か立ちふさがる。

 

「おい、おまえ!」

 甲高い声が俺を呼び止める。

 

「おまえ、さっきオレにガン飛ばしてただろ?」

 そう俺に詰め寄ってきたのはさっきのヤンキー少女だ。

 しかも『オレっ子』キャラか、濃いキャラ立ちだな。

 

「なんのことだ?」

「とぼけてんじゃねーよ! てめえ、式の時も教室でもオレを睨んでただろ!」

 は? この娘は電波系ですか?

 

「いやいや、なんで俺が君を睨まないといけないんだよ? そもそも俺に何のメリットがある」

「メリット!? なんだそりゃ!」

 え? 今ので伝わらない? シャンプーじゃないよ?

「だから俺は君を睨んだりしてないし、君に敵意を向けたつもりはないよ」

 ヤンキー娘は「ぐぬぬ」と俺の言葉にイラついているように見えた。

 まるで腹をすかせた子猫のようだな。かわいいぜ、ちくしょう。

 

「じゃあ……じゃあ、なんでオレの方を見てた!」

 え、自意識過剰なの? そんなに自分のこと「ワタシってカワイイもん☆」とか思っちゃっている子なの?

 残念だな~ 俺、そういう女の子嫌いなんだよね……。

 

 しかし、「なぜだ?」そう言われると確かにそうだな。

 ここは答えてやらねば、俺もこいつも白黒ハッキリできんよな……。

 1回しか言わんからな……。

 

「かわいいと思ったから」

「……」

 

 一言。

 俺はある種性癖を暴露するかのような羞恥プレイを楽しむ。

 ヤンキー娘は黙り込む。

 顔を赤らめて、身体をプルプルと震わせている。

 フッ、やはり俺のような天才はこんなツンデレ娘に惚れられる運命なのか。

 

「オレは……」

 彼女は必死に何かを言いたげそうにしている。

 

「は?」

「オレは……」

 オレオレ詐欺にでもあったのかな。

 

「だからなにが言いたい?」

 

「オレは……オトコだぁぁぁぁぁ!」

「へ?」

 

 刹那、彼女は色白で細い手が拳をつくると、俺の顔面めがけて奇麗なストレートパンチをお見舞いした。

「ふんげっ!」

 

 少女のパンチはその華奢な体形とは思えないぐらい、強烈だった。

 小さな拳からはまるでトラックが衝突してきたかのような威力だ。

 俺は倒れながら人生で初めて鼻血を体験した。いや、殴られたこともない、親父にだって!

 入学式と同じく、床に転がり、またケツを頭にした例の『3つん這い』になる。

 ケツだけぶりぶり~♪ 誰か笑って……。

 

 視界がグラグラと揺れる。床に座りなおすことはできたが、未だに立ち上がることはできない。

 それでも、俺は憤りを堪えることができず、相手に牙を向く。

 

「な、なにをする! 初対面の人間に向かって!」

「うるせぇ! お、おまえがオレに……オレにか、かわいいとか言いやがるからだ!」

「かわいいと思ったことが何が悪い!」

 だが本当にこいつが男だとは思えない。声も女のように甲高いし、見た目は百パーセント、女だ。

 

 そう俺だけがそう見えていたのかもしれない。

 こいつはまごうことなき、男子だったのだ。

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