気になるあの子はヤンキー(♂)だが、女装するとめっちゃタイプでグイグイくる!!!   作:味噌村 幸太郎

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第二章 壊れたラジオ
8 夢見る少女☆ じゃなかった少年。


 

「ね~え、タッくん……タッくんてば……」

 目の前には一人の少女がいる。

「たっくん、起きてよ☆」

「ああ、ミーちゃんか……おはよう」

 俺がミーちゃんと呼ぶ彼女は緑の瞳を輝かせ、金色の髪はポニーテールにして大きな赤いリボンでまとめている。

 しかも、かわいらしいフリルのエプロンをかけている。

 これで猫耳つければ、最高かよ。

 

「おはよ☆ 朝ご飯できたよ?」

「もうそんな時間か」

「顔を洗っておいでよ。私、リビングで待ってるね☆」

 そう言うと彼女は俺の頬に軽くキスをする。

 

「お、おう……」

 俺は戸惑いながらも、言われるがままに歯磨きと顔洗いを済ませ、リビングに着く。

 

「うん! スッキリしたね☆ 今日もタッくんはタッくんだね☆」

「そういう君はミーちゃんだな」

「「ふふふ」」

 見つめあって互いを確認するとイスに座る。

 

「今日もあっついね~」

 そう言って彼女はエプロンを隣りのイスにかけると、胸元があいたキャミソール姿になった。ちなみにイチゴ柄。

 パタパタと襟元で仰ぐ。その度に透き通った美しい白肌が垣間見える。

 もう少しで胸が見えそうだ。

「……」

 俺が呆然と彼女を見つめていると、「タッくん、早く食べないとお仕事遅れちゃうよ」と朝食を早くとるように促される。

 

「あ、いただきます」

「どうぞ☆」

 テーブルに並べられたのはホットサンド、サラダ。コーヒー。

 ホットサンドに手をつけると、俺好みの卵の味付けだということがわかる。甘いやつ。

 

「おいしい?」

 彼女は俺のことを愛おしそうに両手で頬づいて眺めている。

 

「ミーちゃんは食べないのか?」

「私はあとがいい」

「なんで?」

「だって、タッくん。今からお仕事でしょ? 帰ってくるまで長いこと会えないじゃん、寂しいから目に焼き付けときたいの」

「そ、そうか……」

 

「ほら……ケチャップついてるよ」

 ミーちゃんは俺の口元からケチャップを細い指で拭う。

 それを自身の桜色の唇に運んだ。

「間接キス☆ って、もうこんなのじゃときめかない?」

「……」

 

「ねぇ、タッくん……私のこと、今でも愛している?」

「もちろん……だよ、君ほどかわいい子はこの世で見たことがない」

「もう!」

 そう言うと彼女は頬をふくらませた。

「なんだ?」

「なんだじゃないでしょ? 私の質問に答えてない! もう一度聞くよ? 私のこと愛している?」

 むくれる彼女に俺は苦笑する。

「すまない……言い忘れていたよ。俺はミーちゃんを世界で一番愛している」

「嬉しい☆」

 そう言うと彼女はテーブル越しに俺の唇を奪った。

「ん……」

 

 

 

「だぁぁぁぁぁ!」

 なんだ今のクソみたいな夢は!?

 俺がなぜ、あんなやつと……。

 あいつは……あいつは、まごうことなきヤンキーで正真正銘の男の子!

 古賀(こが) ミハイル。

 俺は「やりますねぇ~」の動画を見すぎた影響が出たのか? と自身を疑った。

 

 

 スマホを見ると午前3時を示していた。

 もう少しでアラームが鳴るところだ。

「仕事、行くか……」

 俺はアラームを解除すると、簡単に着替えを済ませ、家族を起こさないように静かに家を出た。

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