「キリト、アスナ、大会優勝……」
「「「「「おめでとう!!!!」」」」」
リズが音頭を取り、キリトとアスナへのお疲れ様会が始まった。
あれから大会の会場を後にしたあたしたちはキリトの部屋へついて行き、そこでリズベット、シリカ、ユイ、リーファ、シノン、ユウキ、クライン、エギルと出会い、お互いに自己紹介した。そして早速パーティーが始まったというわけだ。
「パパ、ママ、おめでとうございます!」
ユイが二人に対して祝福の言葉を贈る。最初に会ったときに二人を「パパ、ママ」と呼んでいたときにはギョッとしたが、彼女がAIなのだと知って納得した。
「ありがとう、ユイ。けど今日のお祝いは俺とアスナのじゃないんだ」
キリトはガイアの方を向く。
「超レアなアファシスを手に入れた、幸運なニュービー、ガイアのお祝いさ」
「ええ、そうね。それじゃあ改めて、アファシスゲット、おめでとう!」
「「「「「おめでとう!!!!」」」」」
今度はアスナが音頭を取り、みんなが祝福の言葉を贈る。ガイアも照れ臭そうに頬を掻きながら「ありがとう」と感謝を述べる。
「早速噂になってるぜ。GGO最強のリアルラック持ちプレイヤー登場ってな」
「情報屋のアルゴのやつもニュービーの情報は高く買うっつってたぜ」
「まったく、抜け目がないな。お前さんも、後で紹介するが、アルゴのやつには気を付けろよ。いいやつなんだが、それはそれとして情報屋としての腕の立つやつだからな」
「ああまったくだ。1000クレジット分の情報を買ったら、その間に10000クレジット分の情報を取られてるって思った方がいいぜ」
エギルとクラインはそうガイアに忠告する。
今日ログインしたばかりなのに、早くもガイアは有名人となったらしい。
――いいなあ、私はまだ全然なのに……
ガイアの方を見ると、シノンとユウキが話しかけていた。
「ねえ、あなた。アスナの狙撃をかわしたって本当?」
「ねえ、君! キリトと引き分けたって本当! 強いんだね! ボクとも後で戦ってよ!」
「いや、かわしたって言ってもたまたまだし。キリトとは途中でキリトが戦うのを止めてくれたからで、あのまま戦っていたらきっと負けてたよ」
ガイアは謙遜するように言う。
その後もガイアは皆から銃や剣の腕前の話やアファシスの話、これまでにどんなVRMMOをプレイしてきたのか等を訊かれていた。私がガイアはGGOが初めてのVRMMOだと代わりに説明すると皆は「信じられない!」と驚いていた。
ちなみにあたしの方は主に女性陣からガイアとの関係を根掘り葉掘り訊かれた。ガイアの方も男性陣から私とのことを訊かれていた。といっても主に興味があったのはクラインだけらしく、すぐさまエギルに窘められていた。もっとも、その後は逆にUFGの話題にエギルが食い付き、逆にクラインに窘められていたが……
――あいつは私とのこと、何て説明したんだろう……
あたしとアイツは幼馴染み、それ以上でもそれ以下でもない、なのにどうしてこんなことが気になるのか、私自身にも分からなかった。
その後も楽しいパーティーは続いた。男性プレイヤーがほとんどのGGO内において、これだけの女性プレイヤーと話すことは新鮮で、友達になれたことはとっても嬉しかった。
――いつの間にか、ガイアの運を分けて貰えたのかな……?
ふとガイアの姿を探すと、いつの間にかいなくなっていた。
「ああ、彼ならキリトと一緒に外に出たわよ」
キョロキョロしていた私にリズが声をかけてくれた。
「そうなんだ。ありがとう」
私が感謝するとなぜかリズはニヤニヤしている。なんなら他の皆も微笑ましいものでも見るような笑顔であたしを見ている。
「え? 何?」
「いやぁ。何でもないよー」
結局よくわからないまま、あたしはガイアの帰りを待った。
※
「なあ、君はあの時、どうしてアファシスを庇ったんだ?」
外に出てしばらく歩くと俺はガイアに尋ねた。
「さあ、わからない。体が勝手に動いただけだよ」
「そうか、そうだよな。うん。やっぱり君とは気が合いそうだ」
彼の答えを聞き、俺は一人納得する。
「なあ、君ってどちらかというとソロタイプだろ?」
俺の言葉に、彼は驚く。
「よくわかったね」
「もちろん昔の俺みたいにフレンドゼロって訳ではないだろうけど、なんとなく……な」
俺は空を見上げて、また尋ねる。
「なあ、仮想と現実の差は何だと思う? 世間では仮想ーーVR空間は紛い物だって言う人もいる。けど、俺はそうは思わない。だって俺たちは、今ここで生きているんだ」
俺は改めてガイアの方へ向き直る。
「君もそうなんじゃないかな? だからこそ、アファシスを守ったんじゃないか?」
「わからないけど、もしかしたらそうなのかもしれないね……」
そんな彼に、俺は微笑む。
「この広い世界を、どこまでも進む。少なくとも俺は、それが凄くワクワクする! 君はどうだ?」
「もちろん!」
「やっぱりな! 君は俺と同じタイプだ!」
俺は彼に手を差し出す。
「ようこそ! 仮想世界へ!」