アナザー世界の翼やクリスもいい性格していて面白かったけど、
ボス各であるドゥームズデイがガンダムUCのモビルアーマーに見えて仕方ない。
たぶん、別の場所でも言われてるとは思うけど…
特異災害対策起動部二課本部。
幾つもの人工の光が室内を照らし、何人もの人間が仕事をしている。
「…出ました。 やはり記録上、立花響が双子の可能性は低いです」
「こちらも…エージェントたちが立花響の両親に話を聞いたところ立花響は一人っ子で生まれた病院でも記録上、立花響に双子は存在しません」
オペレーター席に座っている藤尭朔也と友里あおいがそれぞれ報告する。
それを聞いて、顎に手を付け何か考える源十郎。
その視線の先には車に減り込んだ状態の響と駆けつけ介抱する響が映っている。
特異災害対策起動部二課本部では二人目の響が何者なのか?何故、両方からガングニールの反応がするのか、っと言うかガングニールのシンフォギアを纏っているのか?色々謎であったのだ。
確かに、少し前からガングニールの反応が二重で反応していたが故障か本人である立花響が二度変身していたと思っていた。
「立花響は二人いた?」
立花響が二人いたのなら、ガングニールの反応が二重だったのも納得できる。
しかし、一人は本物の立花響だとしてもう一人の正体が掴めない。ヒントになるかと響の両親に話を聞きに行ったり生まれた病院にも行ったが何も出なかった。
「イタタタ…戻ったぞ」
「翼の手術もおわったわ、やっぱり暫くは入院するそうよ。 そっちは進展があったかしら?」
源十郎が思考に耽っている時、丁度指令室の扉が開き二人の少女が入る。
クリスとマリアだ。
病院に一泊して傷の手当てをしていた二人の体には露出している肌に包帯が巻かれ戦いの傷が分かる。
何よりジャガーマンの爪で抉られもした傷は縫っている部分もある。
絶唱を使った翼が手術後に入院するのを見届けた二人は本部に顔を出したのだ。
本当なら身内の源十郎も病院に行くべきだろうが後処理や調査で指令室から動くことが出来なかった。
「全く無い。 双子の線も洗ったが両親、病院ともに記録なし。 プロなら兎も角、素人がここまでの痕跡を消せるとは思えん。 まるである日パッと現れたようだ」
マリアの質問に返答する源十郎。
クリスとマリアが病院に運ばれた後、特異災害対策起動は徹底的に立花響の情報を集めていた。
生まれた病院、両親、幼稚園時代の先生、小学校でのクラスメイトや担任にもあたったが手がかり一つすらない。
本当にある日パッと世界に現れたのではと疑う程だ。
「その事についてなんだけどよ…」
すると、指令室に備え付けられている死神カメレオン戦後に取り替えたソファーに座ったクリスが口を開く。
「アイツってあたし等の世界の馬鹿じゃねえか?」
「元の世界の?」
クリスの予想は元の世界、即ちクリスとマリアの世界の響が来ていたのではと思ったのだ。
マリアと源十郎もクリスに視線を向けつつ話を聞く。
「ほら、あの馬鹿アタシ等と一緒のこの世界来たがってたからな。 元の世界のオッサンが根負けして送り出したかもしれねえし、アイツならこの世界の馬鹿の心の壁も超えそうだしな」
元々、クリス達の世界の響もこの世界に来たがっていた。
ショッカーを危険視し、向こうの立花響も心配していたのだ。援軍に来てても不思議ではない。
だからこそクリスは、元の世界の立花響が此方に来てこの世界の立花響に会いに行ったのではと思った。
「…あの子の性格上その可能性はあるけど…」
成程。確かに響の性格ならその可能性はある。
あるが、マリアには幾つか引っかかりを覚えていた。
「…違うって言いたそうだな」
「ええ、それだと幾つか腑に落ちないのよ」
そう言ってマリアはクリスの反対側のソファーに座りクリスの方を見る。
「先ず第一に、あの立花響が私たちの世界の立花響だとして、最初に私たちが話しかけた時の態度。第二に翼が絶唱を歌う時にS2CAを提案しなかった事よ」
クリスに比べマリアは響との付き合いは短い(正直、クリスもとんとんと言えるが)。それでも供に戦い修羅場を潜ってきたからこそ響の人となりは知っている。
響は一言で表すなら「お節介焼きの善人」だ。目の前で困っている者を助けようとする。
その響が自分たちに視線も合わさず、翼の絶唱を無視した事がどうしても解せなかった。
「…アタシもそこらへんが引っかかってるんだよな、アイツらしくないと言えばアイツらしくないけど。 …もしかしてアタシ等を脅かそうと考えてたとか?」
「脅かす? 私たちより後に来て、この世界の立花響と共に私たちの前に現れる。 確かに驚きはするけど…」
翼の絶唱を無視する理由にはならない。マリアはそう考えていた。何より響の性格上、脅かすより驚かされそうだとも思っていた。
クリスとマリアがああでもないこうでもないと話す内に時間が経つ。
「取り敢えず一旦、元の世界に戻った方がいいだろ。 向こうのおっさんに聞けば答えも出るし、あのデカブツの報告もしないとな」
「そうね…精神的リンクもどうなるか…」
クリスの言葉にマリアもショッカーとの戦闘で突然現れ暴れた完全聖遺物 ゴライアスの事を思い出す。
一日前
■■■■■■■■■■■■ッ!!!!!
突然地面を抉り現れた紫の怪獣のような化け物が咆哮を上げ、クリスたちを睨むように視線を向ける。
思わぬ事態に生唾を飲むクリスに額から汗を流すマリア。
その時、指令室の源十郎からまたも通信が入る。
『それの正式名称はゴライアス…記憶の遺跡に保管されていた自立稼働型の完全聖遺物だっ!』
「これが…」
「完全聖遺物だあっ!!」
並行世界を渡り幾つもの聖遺物を見てきたクリスもマリアも戦闘中に乱入してくる聖遺物など珍しと言えた。
そして、
「聞いたな、完全聖遺物とやらが出てきたぞ。 行けぇ、お前たち!!」
「「「「イーッ!!」」」」
源十郎の通信を傍受していた地獄大使も完全聖遺物「ゴライアス」を確保しようと戦闘員をけしかける。
今は、手負いのシンフォギア装者よりも突然現れた完全聖遺物を優先する。
尤も、それが合図になったのかゴライアスは両腕を振り回しクリスたちや戦闘員を攻撃する。
「うぐっ!?」
「━━ぐあっ!」
「ぐっ!?」
クリスとマリアはゴライアスの振り回す腕に吹き飛ばされ響も倒れ意識を失ってるヒビキを庇い攻撃を受けた。
尤も、
「「「イーッ!!!!????」」」
ゴライアスの捕獲を狙っていた戦闘員はより近いゴライアスの攻撃を受け一部の戦闘員は上半身が消し飛び、原形が残っている者も緑の泡となって消えていった。
「チっ、戦闘員では歯が立たんか」
戦闘員をアッサリ蹴散らしたゴライアスに舌打ちをする地獄大使。
そして、視線を反対側に居たカミキリキッドに向かう。
「カミキリキッド、貴様の力であの完全聖遺物を止めろ! 出来なければ貴様は死刑だ! 今までの失態を帳消しにしたければやれ!」
「キーリー!?」
突然の死刑宣言に驚くカミキリキッド。
何度となくシンフォギア装者の殺害に失敗している以上、地獄大使としては当たり前の判断といえる。
カミキリキッドとしては、最初に取り逃がすことになったのは地獄大使の帰還命令の所為だが、ショッカーの大幹部である地獄大使に逆らうことは出来ない。
「まあいい、俺様の電撃を食らうがいい!」
地獄大使の命を受けたカミキリキッドが頭部の二本の角から電撃を出しゴライアスに放つ。
「なんて電撃だ…」
「アタシ等の時より威力がでかい」
以前、カミキリキッドと戦ったクリスとマリアも思わず生唾を飲む。
嘗て自分たちにも放たれた電撃だがゴライアスに放たれてる電撃の方が自分たちが受けた物より威力が高い。
これを見て、二人は自分たちが相手をしていた時、カミキリキッドが本気でなかった事に気付く。
「俺様の電撃はどうだ!? ついでにこれも食らいな!」
電撃を放った後にカミキリキッドは口から夥しい量の火炎を吐き、ゴライアスを飲み込む。
マリアが倒れた翼をいち早く抱えた為、翼は無事だったがゴライアスの姿は完全に炎に飲み込まれ見えない。
「やったか!?」
これだけの攻撃、いくら完全聖遺物でも無事では済まないと考える地獄大使とカミキリキッド。
勝利を確信していたが、
「…まだ動いてるだと…」
クリスとマリアの目は見ていた。炎の中から動く巨体を。
夥しい炎に包まれてもゴライアスの額の宝石の様な物はボーと光、カミキリキッドの方を向いていた。
そして、両腕を体の前に出し、エネルギーを一瞬で溜めるとカミキリキッドに撃ち放つ。
「キッ!?」
突然の事にカミキリキッドは反応すれ出来ず、放たれたエネルギーに飲まれる。
それどころか、背後にいた戦闘員もバイクも飲み込み、進路上にある車やビルも飲み込まれた。
「…なんて事を…」
「ウソだろ…」
クリスもマリアもこれには絶句する。衝撃波の風が自分たちにも流れたが、その直後には戦闘員もカミキリキッドやバイク、ビルすら消し飛んでいる道路だったものだ。
「…素晴らしい性能だ…だが撤退だ! 手持ちの戦力を削り過ぎた、議事堂に攻め込んでいる戦闘員も撤退させろ!」
文字通り、カミキリキッドが消し飛んだ事で地獄大使はゴライアスの捕獲を断念し撤退命令を出す。
クリスやマリア、響にも目もくれず撤退するさまは見事と言えるだろう。
「…アイツ等、アッサリ撤退したな…」
「連れてた怪人が全滅したみたいね、引き際を見誤るよりはマシかもしれないけど…」
クリスとマリアは撤退する地獄大使たちを見て思わず呟く。
目の前にはカミキリキッドを一撃で葬った怪物 ゴライアスが顔を此方に向けている。
体を包んでいた炎もカミキリキッドが死んだ事でアッサリ消えて、その巨体をクリス達に見せる。
「…動けそう?」
「連戦で正直キツイ…カルマノイズに取り付かれた怪人との戦いで体力を消耗した…」
「オマケに火力だけならカルマノイズを超えると来たわね…」
先のカミキリキッドへの一撃でゴライアスの火力を知った二人に絶望の文字が頭に過る。
今まで多くの敵と戦ってきた彼女たちでも厳しい状況といえた。
「こんなもん保管していた奴は何処のどいつだ!」
「そうね…責任者を見つけて一言言ってやりたいわ…」
口では悪態をつく二人だが、正直体力の限界だ。これ以上の戦闘は不可能に近い。
ショッカーが相手にしてる内に撤退しとけばっと考えた時、
ゴライアスは一声鳴くと二人への睨むのを止め、目の前の地面を掘る。
「何だ?」
「掘った地面に潜っていく?」
二人にはゴライアスの行動は不明だった。自分たちへのトドメをさすチャンスを無視して地面を掘り中に入っていくのだ。
結局、二人はゴライアスが完全に潜り地面の中に入るのを見る事しか出来なかった。
そして、日が暮れる空には何機ものヘリが近づき、後処理の人員が交代で来たのだった。
回想は終わり、場所は本部に戻る。
「あのデカブツで助かったといえば助かったんだが…」
「それで? 結局あれは何だったの?」
そう言ってソファーに座るマリアの視線が源十郎に向く。
別段、源十郎としても隠すほどの物ではないのでマリアの問いに答える。
「先の通信でも言ったが、あれはゴライアスといって、永田町地下『記憶の遺跡』で保管されていた、自立稼働型の完全聖遺物だ」
「ゴライアス…確か旧約聖書の『第一サムエル記』にある、英雄ダビデと戦い倒されたゴリアテだったかしら」
「そうだ、米国より研究の為譲りうけて、先日に永田町に移送したばかりのものだ…」
「それが、アタシたちや先輩のフォニックゲインで起動したのか」
「俺の記憶だとあれはもっと小さかったんだが、地表での戦いで生じたフォニックゲインで成長したんだろ。…まさか地表での戦いが記憶の遺跡にまで影響を及ぼしてるとは…」
「私たちの歌の影響もそうだけど…最終的なトリガーは翼の絶唱ね。 こんなの計算できる訳ないわよ」
っとはいえ、特異災害対策起動二課やクリスとマリアにとっては面倒な事になった。
ただでさえ、ショッカーや二人の響に加え暴走している完全聖遺物まで出てきたのだ。
二人にとっても頭が痛い。
「おまけにあの馬鹿も何時の間にか姿を消しやがって…」
「まるで、私たちとの接触を避けてるみたい。 …本当に私たちの世界の立花響かしら?」
ゴライアスが去った後、クリスとマリアは二人の響と接触しようとしたが、ゴライアスが去ったゴタゴタの隙にその場から消えていた。
マリアはその部分も引っかかっているのだ。
「それを確かめる為にも、一旦戻るわ。 もしあたし等の世界のアイツならとっちめてやる。 後カルマノイズが取り付いた怪人のデータも渡しときたいしな」
そう言って、クリスは片手をグーにして手を叩く。
理由はどうあれ、自分たちの世界の響なら一発殴るつもりだ。
「そう…私は残っておくわ」
「…先輩が入院している以上、しゃあねえか」
マリアの言葉にクリスも納得している。
ノイズに対抗できるのは自分たちシンフォギア装者だ。その装者であるこの世界の翼が戦線離脱してる以上、誰かが残ってノイズを相手にしなければならない。
気がかりがあるとすれば、
「連中には気をつけろよ…」
「ええ…」
ノイズでもない、完全聖遺物のゴライアスでもない。
世界征服を狙う悪の組織 ショッカーに注意しろと言うクリス。機械的に人類を殺すノイズやただ稼働している完全聖遺物と違いショッカーは悪辣と言えるからだ。
その後、源十郎がゴライアスに関するデータをクリスに渡し、クリスは一旦戻った。
「…黙って離れちゃったけど…クリスちゃんたち怒るかな…」
とある荒れた廊下を歩く響。
彼女は現在、前とは別の廃ビルの廊下を歩いていた。手には水の張った桶を軽々と持ち傍らには、乾いた布も持っている。
クリス達から離れた響は、負傷したヒビキを連れ元の廃ビルに戻ろうとしたが、その廃ビルは消防団や警察が現場検証などして入れず、別の廃ビルに入りヒビキの看病をしていた。
本当なら特異災害対策起動部二課職員に訳を話して保護なり治療して貰った方が良いのだろう。それは響も理解してる。
━━━あの子はまだ他人を受け入れない。 本人が納得してくれなきゃ…
ヒビキは未だに他人を拒絶している。此処で無理に特異災害対策起動部二課に保護されても暴れて逃げ出す可能性がある。響はそれを避けたかった。
そうして、響はヒビキの寝る部屋に入る。
廃ビルに放置されていたマットになるべく汚れていないシーツをかけた不格好な物だが床に直で寝かせるよりマシだと思っておこう。
ヒビキの傍らに桶を置いた響は布を水に浸して片手で絞る。
そして、ヒビキの顔や体を拭いていく。
「傷は多いけど、折れてないのは良かった」
響は自身のセンサーでヒビキの体を調べ骨折はない事にホッとする。
そして、ヒビキの体の血をふき取り濡れた布をヒビキの額に置く。
「う…ううん…此処は…?」
丁度、ヒビキも意識を取り戻し起き上がろうとするヒビキ。
直後に体中に痛みを感じて動きを止めるが。
「無理しないで、今はゆっくり寝ていた方がいいよ」
「…アンタか…わたし途中で意識を…」
響が居る事に気付き周囲を見回してやっと自分の状況を思い出す。
更に、地獄大使相手に手も足も出なかった事も思い出した。
「わたしって…あんなに弱かったんだ…」
「もう一人のわたし?」
「アイツは…あの変な被り物した男の力に手も足も出なかった…」
ヒビキの悔しそうな口ぶりに響はそっとヒビキの頭を撫でる。
変な被り物の男とは恐らく地獄大使だろうと考える響。
「しょうがないよ、ショッカーの大幹部はそれだけ手強い。 私たちも二人の大幹部を倒すのに大苦戦したから」
「…あんなのがまだ二人も居たなんて…教えてアンタはどうやってそいつ等を倒したの?」
「…わたし一人の力じゃないよ」
地獄大使に手も足も出なかったヒビキにとって響の他にも大幹部が二人いて倒した話に興味が出た。
少し悩んだ響は大雑把だがゾル大佐や死神博士との戦いと決着の話をした。
「…仲間…か…」
「うん、わたしだけじゃダメだった。 でも仲間が居れば…背中を預けられる人がいれば戦える」
ヒビキとてそれは分かっている。地獄大使や怪人はノイズとは比べ物にならない程の強敵だ。
自分ひとりでは勝てない事も。
しかし、友達や仲間を作ろうにも響の過去のトラウマが邪魔をする。
「ねえ、アナタさえ良かったら特異災害対策起動部に行かない? 翼さんが退院していたらきっと迎え入れて貰えると思うけど…」
だからこそ、響のこの言葉がヒビキにとって魅力があった。
これからもショッカーに命を狙われ怪人が送り込まれるだろう、特異災害対策起動部に所属すれば風鳴翼や銃使いの装者や剣を蛇状にして戦う装者と共に迎撃出来る。
「…少し…考えさせて…」
だからこそ、ヒビキは即座に拒否出来なかった。
少ないながらも個人で戦ってきたヒビキは並行世界から来たと言うもう一人の響と出会い共に戦う事への思いもあり複雑な心境となっている。
尤も、提案した響はヒビキの心境に気付かずある事を考えていた。
━━━あの時、クリスちゃんは「この世界」って言っていたよね。 もしかしてあのクリスちゃんは私の世界のクリスちゃん? もしかして私の援軍として近くに来ていて、あの光に巻き込まれた? なら悪い事しちゃったかな? …でもクリスちゃんてあんぱん好きだったっけ?
響はクリスの「この世界」という言葉にもしかして雪音クリスも自分と同じくあの光に呑まれてこの世界に来たのではと考えた。
それならば、自分にいきなり自己紹介したり戦闘時でも此方の動きを読むように援護攻撃も納得できる。
━━━クリスちゃんが特異災害対策起動部二課に協力してるなら、私の事も説明してくれてるかも
ある程度、響の体の事情を知っているクリスなら特異災害対策起動部二課で響の事を話して受け入れもして貰えるかもしれない。
そうなれば、自身の体の事も触れられないかも。と響は考えていた。
「あの完全聖遺物、ゴライアスという名か。 出力は申し分ない、ぜひ手に入れたいものだ」
モニターに映し出されるゴライアスのエネルギー砲を見て感心する地獄大使。
此処は、この世界に移動したショッカーの大要塞だ。
復旧も大分進み、要塞としての機能も復活。後はスーパー破壊光線砲の方だが、
「スーパー破壊光線砲の修理はまだ終わらんか?」
「イーッ! フレームの交換は完了し整備も終えました、しかし動力部の損傷はどうしようもありません!」
地獄大使の切り札と言えるスーパー破壊光線砲の復旧は進んでいたが動力部の復旧だけはどうしても進まなかった。
動力部の部品はやや特殊でショッカー本部でしか生産できない物だ。ショッカー本部の存在しないこの世界では困難と言えた。
一応、代わりの動力のあてはある地獄大使だが、どうしたものかと考える。
「イーッ! 報告、雪音クリスが例の歪みを使い戻ったようです。 尚、マリア・カデンツァヴナ・イヴは特異災害対策起動部二課に残り別行動を行ってます!!」
戦闘員の報告を聞いた地獄大使の口の端は吊り上がった。
そして、地獄大使たちは動き出す。
「イーッ!」
「相変わらずノイズ並みに現れるわね、コイツ等」
クリスが一人戻り数時間、マリアは廃工場の跡地でショッカー戦闘員を蹴散らしている。
元はノイズの反応がしてマリアが出撃したが、ノイズを蹴散らした直後に戦闘員が出てきたのだ。
「怪人が出ないのは有難いけど…妙ね」
数人の戦闘員を倒したマリアはどうにも違和感を感じていた。
昨日の今日でショッカーが動いてるかは分からないが、
「翼は入院、クリスは帰還して私一人…用心し過ぎたかしら」
出てきた戦闘員を全滅させたマリア。周囲を警戒しながらも本部に終わったことを告げようとするが、
「こちら、マリア。 ノイズと戦闘員は片付けたわ」
『………』
マリアが通信機に報告するが帰ってくるのは無機質なノイズ音だけだ。
ノイズとの戦闘直後からマリアは本部と通信できずにいた。
「通信は相変わらずね、通信機の故障か妨害電波の類か…「きゃあああああっ!!」!?」
考え事をしていたマリアの耳に子供の悲鳴が聞こえる。
廃工場の内部から聞こえてきたようだ。
「誰か助けてーーーーっ!!」
「!?」
取り敢えず、考えるのを中止したマリアは悲鳴の聞こえてきた工場に入り周囲を見る。
すると薄暗い中、何人もの戦闘員が少女を取り囲み刺突剣を構えていたのだ。
「止めなさいっ!!」
急いで少女の救出へと向かうマリア。
此処では短剣を蛇腹にせず次々と戦闘員を切り倒していく。
「イーッ!?」
そして、最後の戦闘員を倒して周囲を見渡す。
もう戦闘員の影は見えずマリアがホッと胸を撫でおろす。
戦闘員がもう居ない事を確認したマリアが蹲っている少女に声を掛ける。
「安心して、もう悪い人たちは居ないわ」
「おかあさん…おかあさん…」
マリアが安心するよう声をかけるが少女はしきりにお母さんと呼ぶ事しかできない。
どうしたものかと考えたマリアだが、少女の姿に嘗ての妹であるセレナの姿がダブりマリアはシンフォギアの姿から私服に戻る。
「ほら…大丈夫だから…!?」
私服姿に戻ったマリアは少女の頭を撫でようとして触った時、違和感に気付き少女の体を強引に持ち上げる。
少女の体はマリアが持ち上げるとグタッとしてまるで力が入っていない。
「これは…人形!?」
そう、少女はただの人形だったのだ。懐にはボイスレコーダーが仕込まれ、薄暗い廃工場の内部もあり、あたかも少女が喋っていたとマリアを謀っていたのだ。
少女が人形だと気付いたマリアの背後に不気味な声と何かが着地する音がした。
振り返ったマリアが見たものは、巨大な頭部をした巨大な二つの目と不気味に点滅する額の玉のようなものをもった怪人だった。
「怪人!? Seilien coffin airget-lamh…」
「遅いわ、殺人音波!!」
怪人が居る事を知ったマリアは急いで起動聖詠を言おうとしたがそれよりも早く、怪人側が仕掛けマリアが両手で頭を抑え悲鳴を上げる。
「殺人音波とは文字通り人間を殺せる音波だ。 だが、お前は殺さんぞマリア・カデンツァヴナ・イヴ。 お前には聞きたいことがあるのでな。 …さあ立ち上がれマリア・カデンツァヴナ・イヴよ!」
怪人の声に反応するかのようにマリアがソッと立ち上がる。
その目には先程の力強さが感じられない。
「はい…ええと…」
「俺様の名はギラーコオロギ、これからは俺を「ギラーコオロギさま」と呼べ!」
「はい…ギラーコオロギさま…」
「ギィィィラァァァァァ!」
マリアの信じられない独り言に怪人は一鳴きすると二人の姿は廃工場から消えた。
通信ができない事に不審に思った特異災害対策起動部が廃工場を探索するがマリアの姿は何処にも無く、古びた人形が落ちているだけだった。
カミキリキッドは犠牲になったのだ、完全聖遺物のゴライアスの性能を見せる犠牲に。
響の姿が二人いた事で特異災害は響は双子の線を洗い、クリスは自分たちの世界の響が来てこの世界の響と接触したのではと疑い、マリアはクリスの考えに腑に疑問に思ってます。
そして、響の方はクリスは自分の世界のクリスで自分と同じく巻き込まれ特異災害に保護されたのではと思ってます。っていうか別の並行世界の可能性なんて欠片も考えてません。
尚、現在真相を知ってるのはショッカーだけです。
そして、とうとうショッカーの洗脳攻撃がマリアを襲う。
基本的にシンフォギアって洗脳してきたのはGのウェルくらいでしょうか?
XVの翼は暗示に近かったかと。
今年は後、一回ほど更新できそう。