改造人間 立花響のシンフォギア   作:一種の信者

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先日、奥の方の親知らずが疼くので歯医者に行きました。
過去にも二本程、抜いていて楽勝かと思ってたがその歯は横向きだった…

……道路工事される地面の気持ちがよくわかった(泣

冬にやるんじゃなかった…


100話 助っ人

 

 

 

 

天羽奏が指令室に来る少し前、

 

元倉庫にて、マリアとショッカー響が移動した後ギャラルホルンが再び光と誰かが出てきた。

 

「ふぅ、偶にはアタシが定期報告に来ても良いだろう…なっ!」

 

そう言ってグッと背伸びをした女性こそ天羽奏その人であった。

本来、天羽奏は既に亡くなっているが並行世界の一つには。奏が生き延びた世界があり、翼や響と交流を持っていたのだ。

今回、奏が来たのは定時報告の為だ。

 

「翼の奴、アタシがいきなり来たと知ればビックリするだろうな。 ぷっ!」

 

奏はまるでいたずらを考えた子供のように吹き出す。

天羽奏の生きてる世界では翼が逆に亡くなっている。

だからこそ、この世界の翼をよくからかってもいるのだが。

奏が指令室に行こうと足を進めようとした。

 

丁度、その時ギャラルホルンが再び起動する。

 

「何だ?」

 

突然の事に振り替える奏。

一瞬、ギャラルホルンが暴走したかと思ったがギャラルホルンが開いたゲートを見て何となくだが納得した。

自分と同じタイミングでギャラルホルンを使ったシンフォギア装者が居たことを。

 

「何だってオレが連絡係をやらなきゃいけねえんだ? 行くんだったらクリスも来てくれりゃ良かったのに…ん?」

 

そのゲートからは短めな青い髪をし、内側が青く外側が白いマントを羽織った少女が出てくる。

そして、その少女は天羽奏の存在に気付いた。

 

「オレ以外にも来てたのか」

「よう、久しぶりだな」

 

自分以外に先客が居たことに気付く少女に奏は気さくに話しかける。

違う世界のシンフォギア装者とはいえ、何度か顔を合わせており一度並行世界の大事件の時は共に戦ってもいた。

 

「アンタか、もしかして定時連絡か」

「そんなとこさ、それでどうだい? そっちは?」

「特に問題はないな…」

 

滅多に合わないシンフォギア装者同士、色々会話をする。

 

「なあ、ちょっとおかしくねえか?」

「…ああ、これだけ時間が経っても誰も来ないなんてな…」

 

会話も進んだが、二人は違和感を感じていた。

奏はギャラルホルンが起動すればS・O・N・Gの誰かが気付き誰かが迎えに来る。或いはシンフォギアの反応で誰が来たか分かり通信する筈。

少女は単純にS・O・N・G本部の空気の悪さに気付いた。

 

試しに二人がギャラルホルンを安置している元倉庫から出てみた。

 

「「!?」」

 

そして、二人は気付いた通路からはむせ返る程の血の匂い。その原因と思える壁や床には飛び散っている血液。

事故か何かが起こっている、詳しい事は分からないが二人は行動する事にする。

 

「アタシが指令室に行くっ!」

「ならオレは、無事な職員を見つけて事情を聞いてみる」

 

奏の提案に少女は頷き二人は反対方向に進む。

こうして、奏は指令室に来たのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時間は戻り、指令室にはアームドギアであるガングニールの槍を構える奏がショッカー響を睨む。

ショッカー響も切り落とされた腕を抑えて奏を見ている。

 

━━━天羽奏だと!? 馬鹿な、この世界でも死んでいるのでは無かったのか! 死を偽装?それとも並行世界の人間か? それよりも腕の再生が遅い!私に取り付けられた模範されたネフシュタンの鎧のデータでは、腕の再生も出来んか… まあいい、どっちにせよ邪魔者は殺せばいいだけの話だ

 

天羽奏が何故生きてるのかは分からない、腕の再生も今一だが邪魔をするならば殺すと睨みつけるショッカー響。

 

「奏さん、ありがとうございます!」

「らしくないな、油断でもしたか?」

 

一方、響の方は自分を助けた奏に礼を言い、奏も警戒しつつも響の言葉に答える。

奏の問いに響は目を伏せてしまう。

 

「あの子は…ワタシと同じだと「違うな」おも…!」

 

響が目の前のショッカー響を自分と同じ人間だと言おうとした時、奏はハッキリと否定する。

奏の否定に響が疑問に思うと、

 

「アタシが切った腕をよく見てみな」

「? …!」

 

言われた通りに奏が切り落とした腕に視線を向ける響。

最初はただの腕だと思っていたが、傷口から火花が上がっている事に気付いた。

人間じゃない。少なくとも腕は機械化されているようだ。

 

「うそっ… まさかミーナさんみたいに…」

「或いは響ソックリのロボットか自動人形って事だろ! 正体を現しな!!」

 

腕の中の機械を見て嘗ての戦友を思い出す響に正体見破ったりと言った奏が槍を向ける。

 

「ロボット?自動人形? そんな低俗な物と一緒にするな、私はショッカーの改造人間だ」

 

「ショッカー?」

「改造人間…アナタが…」

 

ショッカー響の言葉に聞いたことない組織名に戸惑う奏に目の前のソックリな少女が改造人間だと知る響。

そんな二人を見て薄ら笑いを浮かべるショッカー響。

 

「それ以上、貴様らが知る必要なない。 死ねぇ!」

 

切り落とされた腕を抑えていたショッカー響は戸惑う二人に向け駆け出し手刀を放つ。

指令室での第二戦が開始されたのだ。

 

奏も加わって響もショッカー響との戦いが楽になるかと思われた。

が、蓋を開けてみれば響どころか奏すら苦戦を強いられている。

 

響の拳を受け止めると同時にショッカー響は足技で奏の槍を防御し、時に反撃する。

 

「なっ!? それは翼の…」

 

今も、ショッカー響は片手で逆立ちして両脚を回転させ響と奏の攻撃を防ぎ、逆に二人の頬に切り傷をつける。

それでも態勢を立て直す響と奏。

 

 

 

 

 

 

「今のは翼の!」

 

一方、響たちの戦闘からなるべく離れた場所で戦闘を見守る源十郎や職員たち。

更にもう少し離れた場所ではショッカー響に撃たれた職員たちの手当てをしている者たちも居る。

友里あおいもその一人だ。

 

「指令、勝てますよね? 響ちゃんも奏さんも居るなら勝てますよね!」

「向こうは一人に対してこっちは響ちゃんと奏さんの二人だ。 きっと勝てるよ!」

 

同じく響たちの様子を見守っていた女性の職員が源十郎に聞くと、他に控えていた別の男性職員が勝てると断言している。

当然だ、響も奏も今まで多くの敵や組織を倒してきた精鋭だ。きっと今回の敵も何とかしてくれる。

 

「…いや…ハッキリ言って不利と言っていい」

「「!?」」

 

だからこそ源十郎の諦めにも似た言葉に驚愕した。

響も奏も共に並行世界の最大の敵である「ウロボロス」を倒し並行世界を救った英雄だ。

そんな二人でも源十郎はハッキリと不利だと言ったのだ。

 

「見ろ、一見奏くんと響くんが有利に見えるが片手だけで響くんの拳を逸らして奏くんの動きを阻害している。反対に奏くんの槍もそうだ」

「た…確かに…」

 

一見二人の連携をしてる動きに見えるが、ショッカー響の片腕だけで響の拳の軌道をズラし奏の動きを制限して奏の攻撃も同様に響の動きを抑制している。

 

「奴は…改造人間と名乗った少女は完全に二人の動きを読んでいる。 何よりあの少女の戦い方は完全に対人だ」

 

基本的にシンフォギア装者の敵はノイズであり、本来人間同士ではない。

だからこそ偶に錬金術師や人型ロボット、或いは大型ロボットに未知の兵器との戦闘に戸惑う事もあるにはある。

それでも、響や奏の基本的な戦い方は対ノイズ戦に近い。

 

反面、ショッカー響の相手は特異災害対策起動部二課のシンフォギア装者だ。

その為にショッカー響には対人格闘術や殺人術がインプットされ、さながら殺人マシーンと言える。

現に二人で攻めてる筈の響と奏は勝手の違うショッカー響の戦いに大苦戦している。

 

「こ…こいつ…」

「強い…」

 

それは戦っている奏と響も実感していた。

ノイズとは別次元の強さに自分そっくり、或いは共に戦った仲間と瓜二つな顔は奏でも一瞬躊躇う。

だがそれだけでも無かった。

 

「何よりあの二人は本気を出せていない。 …いや出せないと言った方がいいか」

 

源十郎は分かっていた。

二人が本気を出せないことを。

 

理由はいくつか考えられるが最大の要因は此処が指令室という事だ。

奏も響もシンフォギアを最大出力にすれば大規模な攻撃力を得られるが、その分周りの被害も大きくなる。

此処はS・O・N・G本部の司令部だ。周りには重要な機材が多数に逃げ送れた職員も多数いる。

 

反面、ショッカーにとって此処は敵地だ。

いくら被害が出ようが、何人の死者が出ようがショッカーには痛くもかゆくもない。

二人は実力を発揮出来ぬままショッカー響と戦い続ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、指令室から離れた通路では青い長髪の女性…風鳴翼がザンブロンゾの投げた鱗の手裏剣を叩き落す。

しかし、その中の一本が翼の顔付近を通過すると翼の頬に一筋の傷が出来、血が零れる。

 

「ウオァッウオァッ! よくやったと褒めてやるが、そんな状態で何時まで戦えるかな?」

 

「ハア…ハア…貴様…」

 

翼の様子にザンブロンゾが笑い混じりの鳴き声を上げ、何処までも翼を馬鹿にするように言う。

反面、翼は床に剣を突き立て肩で息をする。

その体にはザンブロンゾに付けられた無数の傷が痛々しく見える。

反対にザンブロンゾの体には傷一つない、剥がした鱗も即座に再生してしまう。

翼はザンブロンゾに対して碌に反撃が出来なかった。その理由は…

 

「どうした? 反撃せんのか? 最も反撃すればこの娘の命はないがな」

 

「つ…つばさしゃ~んっ!!」

 

挑発する言葉を吐くザンブロンゾだが、その横から女性の声が聞こえる。

良く見れば、ザンブロンゾの脇付近にS・O・N・Gの女性職員を抱えていたのだ。

 

彼女は運悪く避難してる最中に翼とザンブロンゾが対峙してる所に出てしまい、これ幸いとザンブロンゾに人質にされてしまったのだ。

 

それからは、一方的にザンブロンゾが翼に攻撃し、辛うじて翼が防御していたがそれも限界に来ている。

反撃をしようにも、切りかかればザンブロンゾは何の躊躇いも無く女性職員を殺すか盾にするだろうと翼も予想する。

 

「人質など…恥ずかし気もなく!」

 

「恥ずかしい?殺し合いに綺麗も汚いもあるか!? 我々はショッカー!人呼んで悪魔の軍団よ!」

 

翼の言葉に悪びれもしないザンブロンゾ。

ザンブロンゾの捕らえている人質を見て奥歯を噛み締める翼。

 

翼は嘗て、化け物になった(ノーブルレッド)少女との戦いを思い出す。

自らを「弱く不完全」と言いきった少女は、翼の前にライブに来ていた少女を盾にし目の前で殺した。

それを思い出すと今でも腸が煮えくり返しそうだった。

またあの時の事を繰り返したくない翼は黙ってザンブロンゾを睨みつける。

 

「どうだ? 人間如きが我らに逆らうからこうなるのだ。 お前を始末した後はこの娘も殺す! S・O・N・Gに関係する者は皆殺しだ!!」

 

 

 

 

 

「へ~ならオレも殺すのかい?」

 

 

「「!?」」

 

 

 

 

 

ザンブロンゾの宣言後に少女の声にザンブロンゾどころか翼すら驚く。その声が翼と瓜二つだった事に翼が何か仕掛けるかと身構えるザンブロンゾだが、

 

「オラァッ!!」

 

「うぎゃあああああああっ!!」

 

次の瞬間、声と共にザンブロンゾは背中を切り付けられた痛みを感じ人質にしていた女性職員を手放してしまう。

 

「早く逃げろっ!」

「は、はい!!」

 

その隙を見逃さなかった翼は素早く動き、ザンブロンゾと距離のある通路に行くと女性職員に逃げろと言い、女性職員も急いでこの場を離れる。

そして、視線をザンブロンゾの方に戻した時、声の主が誰だかわかった。

 

「堂々と人質とは、汚ねえ奴だな」

 

「き…貴様、何者だっ!! よくも俺の邪魔をしてくれたな!!」

 

サーフボードを片手に白いマントの少女がザンブロンゾに汚いと言い、ザンブロンゾも作戦の邪魔をされご立腹だ。直ぐにでも襲いかねない迫力ある。

尤も、翼にはその少女に見覚えがある。

 

「なっ!? お前は…」

「よう、オレッ! 何か面倒な事が起きてるな。 取り敢えずコイツをぶっ倒すぞ!」

 

少女の正体は並行世界の風鳴翼だった。

以前、とある事件で並行世界に渡った際、激突し共闘した並行世界の自分。

そのもう一人の風鳴翼が偶々来ていたのだ。

 

「オレ? ま、まさか並行世界の風鳴翼だと言うのか!?」

 

「そういうこった、テメーのような悪党はオレがたたっ切ってやるぜ!」

「もはや憂いはない、防人の剣の切れ味を知れっ!!」

 

もう一人の風鳴翼の存在に狼狽するザンブロンゾ、反対にやる気に満ちたもう一人の風鳴翼と今まで好き勝手やってきた怒りに燃える防人の風鳴翼の二人が同時にザンブロンゾへと迫る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

━━━! ザンブロンゾの反応がまた消えた!? 不味い、連れてきた怪人は全滅した!

 

指令室にて奏と響の相手をしていたショッカー響が最後のザンブロンゾの反応が消えた事に驚く。

ザンブロンゾでは荷が重かったと判断すると同時に遊び過ぎた事に気付くショッカー響。

 

「今だっ!」

 

ショッカー響の僅かな隙を見つけた奏がアームドギアの槍で突っ込む。

しかし、奏の槍に手ごたえはなく目の前にいたショッカー響も消えている。

 

「奏さん、向こう!」

 

奏の一撃を叩き込もうとしていた場面を見ていた響が壁の方に指さす。

その方向には直立する壁に垂直で立っているショッカー響が居た。

 

「なっ!? 壁に立ってるだと!」

 

「このようなこと、ショッカーの技術の前では児戯にも等しい」

 

ショッカー響のブーツは何処でだろうと立てるようストッパーが付けられており、例え壁や天井だろうが自身の体を支える杭を打ち出している。

証拠にショッカー響の足元の壁にはヒビが入っている。

 

「さて、遊びもここまででいいだろう。 そろそろお前たちに死をくれてやる」

 

そういうと、ショッカー響は残った腕のギアが奏たちに向ける。

咄嗟に響の前に立って槍を前に突き出す奏。どうやら槍でショッカー響の弾丸を防ぐ気のようだ。

 

「はっ、お前の豆鉄砲でアタシのガングニールに通用するか試してみるかい!?」

 

「それもいいが先ずは…コイツからだ!」

 

「「!!」」

 

奏の挑発の混じった言葉に、対して興味のないショッカー響が腕を向けた先を見た響と奏は言葉を失った。

その先には気を失い此処まで運ばれた調が横たわっている。

 

「調ちゃん!!」

「お前、子供を殺す気かい!!」

 

響が調の名を叫び、奏が激高した声を出す。

尤も、奏の声を聞いても眉一つ動かさないショッカー響。

 

「最弱だろうと敵の数は減らすのが正しい。 寂しがる必要はない、お前たちも直ぐに逝く」

 

「止めてぇぇぇぇぇ!!!」

 

ショッカー響の冷酷な言葉に響が叫び後を上げると同時にショッカー響の腕から火が噴いた。

発射された無数の弾丸が意識を失っている月読調に殺到する。

その光景に響も奏もシンフォギアのブースターを使い調を助けに行こうとした。

 

「遅いっ!」

 

今から奏や響がブースターを使おうが間に合わない。

現にあと一歩というところで響と奏の目前で調に弾丸が降り注ぐ。

 

━━━先ずは一匹、そう言えば倒れた暁切歌の始末に向かったザンブロンゾたちは成功したか? まぁいいだろう、一人二人消していけば小娘どもも尻込みして我らを恐れよう。 …? 妙だな、血の匂いがしない…肉片は飛んでいる…違う!

 

「木片だと!?」

 

調に炸裂し肉片が飛んでいたと思っていたショッカー響だが、それがただの木片である事に気付く。

 

「…ちょっとギリギリでしたね」

「緒川さん!?」

「緒川!?」

 

響たちの背後から聞き覚えのある声がして振り向くと、響と源十郎がその人物の名を呼んだ。

其処には倒れ介抱されている筈の緒川慎次とお暇様抱っこしている月読調の姿がある。

 

「馬鹿なっ!? 四肢を撃ち抜かれた筈だぞ!」

 

「ええ、ですから動くのは最小限にしてたんですけどね。 …お陰で調さんを助けるのに間に合いました」

 

ショッカー響の言葉に、緒川はそう返す。

尤も、両肩と両膝モモからは出血をし、額に脂汗を流しているが、

 

━━━欲を出し過ぎた! 出会い頭に四肢ではなく、頭を撃ち抜くべきだったか!

 

指令室に侵入した時、ショッカー響は緒川と源十郎を殺すチャンスがあった。

だが、ショッカーの優れた人間を欲しがる欲求まで刷り込まれていたので、捕獲を優先し四肢や肩を撃ち抜くだけに留めてしまったのだ。

 

自身の失態を悟ったショッカー響は奥歯を噛み締める。

保護された調も奥の方に運び込まれ追撃するにも奏と響が邪魔をしている。

 

「これで状況は逆転したなっ!」

「アナタのような人は許さない!!」

 

調が無事と分かった奏と響は改めてショッカー響を睨みつけ奏は槍を、響は拳を振るわせる。

その姿に舌打ちをしたショッカー響だが、

 

「通信? …そうか」

 

一つの通信が入ると、口元の端を吊り上げ片腕のギアを少し動かした後に、腕先を奏たちに向ける。

そして、ガングニールに付いているガントレットから火が噴くと、発射された弾丸が奏と響に迫ってくる。

 

「そんなものがっ!!」

 

直後に奏が響の前に立って、アームドギアの槍を回転させ弾丸を弾いてく。

尤も、弾かれた弾丸は四方八方に飛び、モニターや天井、オペレーター席のコンピューターにも命中してしまうが幸い、これによるケガ人は出ていない。

 

そうして、数秒もせずにショッカー響の弾丸は止まり、奏も回転させていた槍を止める。

 

「どうした? そんなへっぽこ弾でアタシたちを倒すつもりかい? ノイズの攻撃の方がまだ威力があるよ!」

 

「…へっぽこ弾かどうかは、お前の槍を見て判断するんだな」

 

「何だって? それは「奏さん!?槍が…」…!?」

 

ショッカー響の言葉と響の驚愕する声に奏も槍を見る。

そして冷や汗を流した。

 

「アタシの槍が溶ける? …違う、腐食している!?」

 

奏の槍の刃や柄の部分がシュウウゥゥゥゥという音と共に煙を上げボロボロと崩れていく。

その槍の様子に響は嘗てのライブ会場を思い出す。余力のない奏が絶唱を放ち命を落とす直前にも槍は形を保てる崩れる様子を。

 

「ショッカーが開発した「korrosion(コローンジョン)弾」 その弾丸はあらゆる金属を数秒で腐食させる。例え、それが聖遺物だろうと」

 

ショッカー響の言葉に奏は舌打ち、響は呆然とする。

その言葉が正しければ、その弾丸はアームドギアの弱点にもなる。人類の文明には金属は必要不可欠、それは聖遺物も例外ではない。

 

「さて、そろそろお暇させて貰おう。 最低限の任務はもう果たした」

 

そう言い終えると壁に張り付いていたショッカー響は床へと着地し、出入り口に向かう。

 

「待ちなっ!」

「逃がさないっ!」

 

「私に構っている暇はあるのか?」

 

そんなショッカー響の前に奏と響が立ち塞がるが、ショッカー響は余裕の表情でそう言い切る。

言葉の意味が今一飲み込めない二人は頭に?が浮かびあがる。だが、直後に指令室のモニターが爆発を起こす。

 

「きゃあああああっ!!」

「天井が落ちてくるぞっ!!」

 

職員たちの悲鳴に二人が改めて指令室の中を見る。

モニターだけでなく各所に火の手が上がり、天井も崩れ床に至っては海水が染み込んでくる。

 

「どうしてこんな…」

 

響には信じられなかった。数々の任務で移動できる潜水艦の本部が此処までのダメージを受けるなんて…何より皆との思い出もある響の大事な場所でもあるのだ。

 

「忘れたか? 天羽奏が私の放った弾丸を槍で散らした事を。 あの弾丸は全てkorrosion弾だ」

 

「…!」

 

ショッカー響の言葉を聞いて全てを悟った奏。

あの時、奏はショッカー響の弾丸を防いでいたが、ショッカー響の本当の目的は奏を利用して弾丸をまき散らす事だった。

各所にkorrosion弾が命中した司令部は最早、役には立たない。

 

その時、源十郎たちの真上に巨大が瓦礫が落ちてくる事に気付く。

 

「旦那っ!」「師匠っ!」

 

指令達は職員を救うためにショッカー響を素通りして源十郎の下へ行く。

それを横目で見て薄ら笑いを浮かべ指令室を後にするショッカー響。

 

 

 

 

 

突然の爆発、崩壊していく指令室に蹲って叫ぶしかない職員たち。

その頭上の天井も崩壊して幾つもの瓦礫が落下する様子もまるで他人事に思える職員。

 

「危ないっ!」

 

黄色い光のような物が通り過ぎると共に瓦礫は木っ端みじんとなり小さい小粒の石が目の前に落ちる。

他にも黄色い光と赤っぽい光が落ちてくる瓦礫を粉砕し、その光は源十郎の下まで辿り着く。

 

「ハァー! ん?お前たちもこっちに来たのか?」

 

丁度、瓦礫の一つを震脚で吹き飛ばした源十郎。指令室に更にダメージがいった。

 

「だ…旦那は平気そうだな…」

「アハハ…」

 

咄嗟の事で忘れていたが源十郎は下手な装者を遥かに超える程強い。

多分、自分たちが行かなくても源十郎が解決しただろうなと考える二人。

 

「聞くんだ、二人とも。 この本部は放棄する、君たちは生き残った職員を救出しつつ偽物の響くんを追ってくれ」

「「はい!(よ!)」

 

源十郎は潜水艦である本部の放棄を決定する。

怪人に襲われ多数の殉職者を出し、ショッカー響が指令室で暴れ崩壊寸前。最早、本部としての機能すら危ういと感じていたのだ。

源十郎の言葉に返事をした二人は急いで出入り口に向かいショッカー響を追う。

 

それを見届けた源十郎は生き残った職員に避難指示を出し、何人ものケガ人を背負い、指令室を後にする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おいおい、どうなってんだよ此処?」

「この揺れ…まさか本部が沈んでるのか!?」

 

その頃、指令室の通路を急いでいた二人の翼も本部の異変を感じていていた。

幾つもの爆音が聞こえ、何処からか海水が流れて船体も徐々に傾いている。

 

「こりゃ急いだ方が…ん?誰か来るぞ」

 

平行世界の翼が自分たちの向かう先から誰かが来ている事に気付く。

それを聞いて、ホッとする翼。職員なら現状を教えてもらい仲間の装者なら協力することも出来ると判断してだ。

そして、もう間もなく翼たちの前に誰かが飛び出してくる。

 

「あれは…」

「立花か、丁度いい!」

 

腰のブースターを使い、本部の通路を進む響だった。

翼は響だと安心するが並行世界の翼は違和感を感じた。

 

「アイツ…あんなベルトしてたか? …!?」

 

違和感の正体は響がしている趣味の悪いベルト。並行世界で会った時はあんなベルトをしていないし、するような性格でもない。

何より、片方の腕が見えなかった。そう思った時、響から漂う殺気に気付いた。

 

「立花、指令室で何が「危ねえっ!」!?」

 

平行世界の翼が咄嗟に翼の腕を引っ張る。

直後、さっきまで翼の首付近の場所に幾つもの弾丸が通り過ぎ壁が粉々になる。

 

「チッ!」

 

翼を仕留めそこなったショッカー響は舌打ちして、呆然とする翼と平行世界の翼を横目で見て通路を去っていく。

暫しの沈黙の後に、翼はスイッチの入った玩具のように動き出す。

 

「た…立花がどうして…」

「さあな、情報が少なすぎる。 指令室にいるオッサンに聞いた方がいいかもな」

 

平行世界の翼の提案を聞いて頷くしかない翼。

その後、指令室へと向かい奏と響と鉢合わせして余計混乱するのは言うまでもない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ギャラルホルンのデータを纏めました。 向こうの指令に渡してください」

「…ええ…分かったわ」

 

其処頃、エルフナインの居る研究室では向こうの特異災害対策起動部二課の指令に要請されたギャラルホルンの調べたり判明しておる情報の詰まったコンピューターチップをマリアへと渡している。

コンピューターチップをマリアに渡したエルフナインはグッと伸びをした。

直後、何処からか轟音が聞こえ少しずつだが床が傾いているのにエルフナインも気付く。

 

「な、何ですか?この揺れ!」

「…私が…見てくる…から…エルフナインは…此処に…いなさい…」

 

突然の事に慌てるエルフナインにマリアはそう言って部屋を後にする。

一人残されたエルフナインだが、聞こえる轟音に船体の軋む音や揺れに不安になってくる。

 

「…これからマリアさんたちはまた並行世界に行くんですから見送りしますか…」

 

一人がちょっとだけ寂しくなったエルフナインは適当な理由をつけ部屋を出る。

目的は、マリアが向かったと思われるギャラルホルンが安置されている元倉庫へと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…これが…記録…チップ…です…」

「ご苦労、ふむショッカーの技術でも十分解析できるチップだ」

 

マリアから渡されたコンピューターチップを軽く眺めるショッカー響。

場所は、ギャラルホルンが安置されている元倉庫で落ち合う。

最低限の任務を終えたショッカー響はこれで戻る事になる。出来ればこの世界の立花響や風鳴翼の抹殺も目論んでいたが、そちらは失敗に終わった。

 

━━━邪魔者の排除には失敗したが、このチップさえあれば十分だ。

 

シンフォギア装者の排除はあくまでもオマケのようなものだ。本命は地獄大使も欲しがるギャラルホルンのデータ。

それさえあれば、装者たちの抹殺失敗も許される。

チップをしまったショッカー響はギャラルホルンの方に向かいマリアもそれに続く。

 

「待てぇぇぇぇぇ!!!!」

 

倉庫の入り口が粉砕されると共に誰かが待ったの声を出す。

ショッカー響が振り向いた先には肩で息をする響と翼と並行世界の翼が居る。

 

「事情は立花から聞いた、よくも我らを謀ったな!」

「こうして見ると本当にそっくりだな、大人しくしてもらおか!」

「ハア…ハア…これだけ好きに暴れたんです、大人しくして下さい。 ってマリアさん!?何でマリアさんが…」

 

響が大人しくするよう要請するが、ショッカー響の横にマリアの姿を見つけて慌てふためく。

その後、響や翼も説得するがマリアの様子が如何にもおかしい事に気付きだす三人。

 

「マリアの様子がおかしい!」

「マリアさんに何をしたの!?」

 

「なに、ギラーコオロギの殺人音波で洗脳しただけよ」

 

翼と響の問いにアッサリ答えるショッカー響。

寝返ったと思われるよりは洗脳され無理やり働かされてる方がより戦い難いと思ったからだ。

 

「洗脳!?」

「殺人音波!?」

「…随分と大層な名前だな」

 

物騒な名前に思わず汗が浮かぶ並行世界の翼。だが、洗脳されてるのなら取り戻すことも出来ると判断して響たちは臨戦態勢を取る。

 

そのまま激突するかに見えたその時、

 

「ノイズだと!?」

「こんな時に!?」

 

響たちの前や通路上にノイズが何体も湧いてくる。

ギャラルホルンの影響でバビロニアの宝物庫に蓋をしようがこの世界に湧き出るノイズ。放置する訳にもいかない。

今回は、響たちの最悪のタイミングで現れた。

 

「ふん、こいつ等に任せて行くぞ」

「…はい」

 

「まっ…!」

 

此方に迫るノイズを撃ち抜いたショッカー響は、マリアにそういうと共にギャラルホルンが開けたゲートに潜る。

響が、マリアの名をと言おうとしたが、もう二人の姿は倉庫には無かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




設定上、響と奏が本気を出せばショッカー響を倒せます。場所が悪い、場所が。
平行世界からアナザー翼も登場。

シンフォギアの素材って何だろうか?金属はあるとは思うんだけど…

新仮面ライダーSPIRTS、2巻からkorrosion《コローンジョン》弾が登場。金属で造られた聖遺物の天敵かも…でも、たぶん二度と出ないかも…漫画にも出てこないし。

好き勝手暴れたショッカー響も撤退。響たちは運悪く本部にノイズが出現。
これはショッカーが何かした訳ではなく偶然です。
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