本格的に親知らずを抜いて一週間ぐらい凹んでた+痛み止めを飲む程でもないズキズキした痛みで集中力が削がれていた。
麻酔を何本も打っても顎の骨にダイレクトにくる衝撃はどうしようもないうえに歯を砕く音に恐怖。
全身麻酔して治療する人の気持ちがわかった…
「ほらよっ!」
クリスがライフル銃の銃身で男の鳩尾に一撃入れる。
一撃を受けた男はゆっくりとだが地面に座り込んで一息入れた。
「ふぅ~、これで何人目だよ」
その様子を確認した後にクリスは愚痴を零した。
マリアや主犯と思われる怪人を探しつつ赤いツメをした人間を次々とぶん殴っては拘束しての繰り返しだったのだ。
何人もの人間をぶん殴ったクリスは内心、バルベルデで兵士を相手にした方が楽だとも考える。兵士たちは武器さえ奪えば逃げ出すから。
操られてるとはいえ、一般人を殴る事に多少の罪悪感を感じるクリス。
その後、地面に蹲っている赤いツメの一般人を自衛隊に引き渡した。
直後、
『聞こえるか、クリスくん!』
特異災害対策起動部二課の本部から源十郎の通信が入る。
「聞こえてる、他の所でも赤いツメをした奴が暴れてるのか?」
『いや、今のところは大丈夫だ。 だがセンサーがマリアくんのアガートラームの反応を捉えた!更に…』
「!?」
「?」
路地裏付近で赤いツメをした老人を手を拘束する響はふと何かを感じたのか空を見上げる。
この世界の空は相変わらず晴れていれば見事な青空が広がっている。
「こっちは終わったよ…どうしたの?」
丁度そこへ、別の路地裏で赤いツメをした人間たちを拘束したヒビキが戻る。
そして上の空になっている響に声をかけた。内心、サボってるのかな?と思いつつ。
「あ、何でもないよ…うん、なんでもない」
ヒビキに指摘された響は急ぎ取り繕う。
別に大したことは無い。ただ一瞬だけ胸騒ぎがしただけだ。
「そう…でも本当に大丈夫? シンフォギアを纏わなくて…」
響の様子にヒビキはそう聞いた。
赤いツメの集団を鎮圧する為にヒビキはシンフォギアを纏ったが、響は普段着のまま行動していたのだ。
「うん、大丈夫。 シンフォギアの状態で捕縛するのは…」
ギラーコオロギの死のツメを見て響の脳裏にあの時の様子が蘇る。
公園付近で蜂女と蝙蝠男と戦い、コウモリビールスに感染した被害者たち。別にシンフォギアを纏って取り押さえようとした訳ではない。しかし、蝙蝠男を倒し治療不可能になり見殺しにしてしまった事を未だに響は引きずっていたのだ。
ある意味、響のトラウマでもある。
響の様子にヒビキは「…そう」と短く言うとそれ以上は何も言わず赤いツメをした人間たちの捕縛に向かう。
本来、人影が殆ど居ない公園の奥。
何人もの戦闘員が闊歩し、見たこともない機械を設置し中央には一見何も無いように見えるが歪みかけた空間が存在している。
そして、その近くには中心人物である地獄大使と怪人ギラーコオロギも居り今か今かと何かを待っているようだった。
「…! 空間の歪みに反応ありっ!」
パソコンを弄り何かを調べていた白いショッカー戦闘員が報告すると歪んでいた空間が開くと二人の人影が現れる。
ショッカー響とマリアだ。
「戻りました、地獄大使」
ショッカー響の報告に地獄大使は薄ら笑いを浮かべる。
平行世界から無事にショッカー響が戻った。即ち、ショッカー響ならギャラルホルンを使えるという事だ。
早速、地獄大使はショッカー響に戦果の報告を刺せる。
「ギャラルホルンのデータの奪取に成功しました。 S・O・N・G本部にも多大なダメージを与えましたが、シンフォギア装者並び風鳴源十郎とエージェント忍者の始末に失敗しました」
「ふむ…そうか」
ショッカー響からの装者たちの殺害に失敗した報告を聞く地獄大使だが、渡されたデータチップを眺め生返事をしただけだ。
元々、地獄大使はショッカー響に装者の皆殺しを期待してはいなかった。
あくまでもショッカーの恐ろしさを伝えれば十分だと判断してだ。更に一度襲撃された以上、警戒を強くして動きが鈍る可能性もある。
ショッカー響が並行世界に渡れた情報さえ手に入れれば後はやりようは幾らでもある。
それこそ、製造したショッカー響の体内に原子爆弾を仕掛ける事も。
「各自撤退準備だっ!もう此処に用はない」
用は済ませたとばかりに地獄大使は戦闘員たちに撤退を指示する。
そして、後処理をする為にマリアへと視線を配る。
「ギラーコオロギ、マリアを殺せっ!連れ帰るのも改造人間にするのも面倒だ、何より立花響のようになられても困る」
「ギィィィィラァァァァァッ!!」
地獄大使に呼ばれたギラーコオロギが鳴き声を発しマリアへと近寄る。
そのまま、ギラーコオロギの手がマリアに近づく。
「「「「イーッ!?」」」」
しかし、近くで撤退準備をしていた戦闘員たちの悲鳴と爆発が起き、地獄大使もギラーコオロギも其方に視線を向ける。
爆発した場所には何体もの戦闘員が倒れ機材の一部は炎上。夥しい煙が出る。
「…此処に居やがったか」
すると、煙の中から少女の声が聞こえると共に誰かが出てくる。その声には怒りと混乱が混じっているようだ。
そしてその正体にいち早く気付く地獄大使。
「チっ、予想より早いではないか。雪音クリス!」
目を見開き奥歯を嚙み締める雪音クリスだった。
あの爆発の正体はクリスの出して乗っていたミサイルだ。
特異災害対策起動部二課の本部にマリアの居場所を聞いた直後に文字通りミサイルで飛んできた。
「…オッサンからは、アガートラームだけじゃなくてガングニールの反応までしたって聞いて来てみれば…一体何なんだよ、マリアにそこの馬鹿っ! 何でそいつ等と一緒に居るんだよ!!」
クリスの声は明らかに怒声であり、キッとマリアとショッカー響を睨みつける。
行方不明になったマリアと正体の掴めないもう一人の響、或いはこの世界のヒビキかもしれない。正直、クリスにはどの世界の響かは分からないがショッカーと敵対してると思っていた。
だが、その二人はシンフォギアを纏い地獄大使の命令を聞いている。これではまるで部下ではないか。
「? 何を言っているか今一分からんが、ついでだ! ギラーコオロギ、マリアの処分も兼ねて雪音クリスも殺せっ!」
「ギィィィィラァァァァァッ!!」
地獄大使の命令に待ってましたとばかりに鳴き声を上げるギラーコオロギ。
尤も、クリスには聞き捨て言葉があった。
「
「文字通り貴様とマリア・カデンツァヴナ・イヴは此処で死ぬのだッ!!」
問答無用とばかりにクリスはギラーコオロギとの戦闘に入る。
クリスとギラーコオロギとの戦闘は完全にクリスが押されていた。
ギラーコオロギの能力である殺人音波や死のツメもそうなのだが、一番の苦戦は…
「マリア、その位置なら雪音クリスの死角をつけるぞ!」
「…そこ…」
マリアがアガートラームでクリスを攻撃していたからだ。
「マリア…何があったんだ…」
フロンティアの時に敵対し、最終的には協力した元FISの装者、マリア。それ以来良き同僚として何度も背中を預けた心強い仲間だ。
そんな、マリアが敵として戦う事に焦りを見せるクリス。
更に引っかかるのは、
━━━マリアの奴、何時も通りの切れが全くない? それにマリアの目…何処かで…
マリアの攻撃が何時もよりも鈍く感じているのだ。それなりの時間、マリアと共に戦った仲間なら直ぐに見抜ける程に。
力のないマリアの目もクリスは何処か見たことがある気がしたのだ。
━━━…そうだ、あの目は確かフロンティアの時に見た未来と同じ…!
「マリアに何しやがった、地獄野郎ッ!!」
嘗て、未来が操られ戦わされていた時の事を思い出したクリスは自分たちの戦闘を見て笑っている地獄大使に怒号が出る。クリスの勘でしかないが、今のマリアはあの時の未来と同じだと感じた。
「気付いたか、お前の考えてる通りマリア・カデンツァヴナ・イヴはギラーコオロギの殺人音波で操っている。 操られた仲間をお前は殺せるか?」
「!?」
クリスの読み通り、マリアは操られている。
どちらにせよ、クリスを始めシンフォギア装者たちにはこの上なく効果的だったと言わざるえない。
動きが鈍いマリアだが、ギラーコオロギの相手をしつつマリアの攻撃を捌くのは厳しくもあった。
現に今もマリアの蛇腹化した剣がクリスの足に絡みつき動きを阻害させ、その隙にギラーコオロギの拳がクリスの腹に命中する。
ギラーコオロギの拳でクリスは地面に叩き落されてしまう。
「仲間が足を引っ張る感想はどうだ?雪音クリス! ギィィィィラァァァァァッ!!」
防戦一方のクリスにギラーコオロギの声が突き刺さる。
地面から何とか立ち上がるクリスだが、口からは血を垂らしペッと吐き捨てる。
「手前等らしいセコイやり方だな!」
「ほざけ、戦いなど最終的に勝てばいいのだ。 さて、此処はギラーコオロギに任せて我々は戻るぞ」
クリスの発言に地獄大使が返す。
そして、クリスの始末をギラーコオロギに任せ自分たちはアジトに戻ろうとしている。
「待てよ、マリアを操ってるって事はそっちの馬鹿も操ってるんだろ! その馬鹿を返せっ!!」
マリアが操られてるのなら、地獄大使の傍に居る響も操られていると踏んだクリスが叫ぶように返せと言う。
だが、
「返せ? 何を言っている、私は一度たりとも洗脳された憶えはない」
「!?」
ショッカー響の言葉にクリスは、ただただ頭に?が浮かぶ。
そうこうしてる内に地獄大使とショッカー響はクリスの視界からアッサリと消えた。
「…目の光がマリアと違う?一体何がどうなってんだよっ!?」
マリアと違い、ショッカー響の目は操られてる感じではなかった。
なら、どうしてショッカーの大幹部である地獄大使と共に居るのかクリスには分からない。
分からないが、
「今はコオロギ野郎からマリアを取り戻すのが先か」
「面白い、やってみろっ! ギィィィィラァァァァァッ!!」
今は目の前のギラーコオロギを倒すことを優先する。
ギラーコオロギもクリスとの戦いに心躍らせマリアを操って攻撃に入る。
クッソ! マリアが操られてるなんて予想外だ!
味方のアイツともう一度戦う事になるなんてっ!
「さっきまでの威勢はどうした? ギィィィィラァァァァァッ!!」
「う、うるせえ! 本番はここからだ!」
コオロギ野郎の声にアタシは何とか返答するけど正直分が悪い
操られたマリアの蛇みたいな剣がアタシの足や手に絡まう度にコオロギ野郎の攻撃がアタシに迫る
今もコオロギ野郎の腕がアタシに迫るのを小型ミサイルで牽制するのがやっとだ。…ん?あの赤いツメは…
「俺のツメでお前も俺様の奴隷にしてやろうか?」
「そのツメ…街中で暴れている奴等を操ってるのもお前か!?」
「その通りだ、この俺の死のツメに感染した者を自由に操れる。尤も、感染すれば三日後に死ぬがな!」
「!?」
コオロギ野郎めっ!何処まで他人の命をもてあそべば気が済むんだ!
それに三日後で死ぬっ!?ハッタリの可能性もあるけどこいつ等ならやりかねない!早く倒してマリアを開放しなくちゃっ!!
負けられない!こいつ等には絶対負けられない戦いなのに…
「ギィィィィラァァァァァッ!! 動きが鈍ってるぞ、雪音クリス!」
アイツの拳がアタシの顔面に直撃しちまった!街中の暴徒化した奴らを止めるのにぶっ続け歌っていた所為で疲れてるのか!?
口の中が鉄臭い味がして吐き出すと血が飛び出てくるっ!
「…女相手に随分と容赦ねえな」
「ショッカーにフェミニストを求めるか!? 安心しろ男だろうが女だろうがショッカーに逆らう者は皆殺しだ! ギィィィィラァァァァァッ!!」
不気味な面で笑いやがって…しかも完全に開き直ってら! まあ、アタシ等を殺そうとしている敵にあんな事言っても無駄か…
何とかしてコオロギ野郎を倒したいが…「…捕まえた」しまった!?
「マリア!?」
「いいぞ、そのまま雪音クリスを抑えていろっ!! ギィィィィラァァァァァッ!!」
油断した!正面のコオロギ野郎に注意がいっていた内にマリアが回り込んで羽交い締めするなんて!
不味い、コオロギ野郎の額の玉が点滅しだした!
「死ねっ! 殺人音波ッ!!」
「ウワアアアアアアアアアアアアアアっ!!!!」
「アアアアアアアアアアアアアアアアっ!!!!」
コオロギ野郎の出す殺人音波がアタシたちに直接来る!その所為でアタシだけでなくマリアも羽交い絞めにしながら悲鳴を出してやがる。そうか、どっちにしろショッカーはマリアも始末する気だった…
この音波じゃ、シンフォギアが持っても
上がらねえ!?寧ろギアの出力が下がってる!?
「テメー、Anti LiNKERを使いやがったな!」
この感覚…覚えがある。まだマリアたちFISと敵対していた時の廃病院で戦った時と同じだ!
アイツ等、何処かでAnti LiNKERを手に入れたな…
「Anti LiNKER~? あんな玩具と一緒にするな!」
「!?」
Anti LiNKERじゃない?じゃあ何なんだよ!?
「冥土の旅路に教えてやる。 貴様ら装者どもとの戦闘データで俺の殺人音波には、お前たちのフォニックゲインを散らし適合率を強制的に下げる能力が付けられたのだ。 言うなれば俺は殺人音波は、シンフォギアキラーと言える!」
「シ…シンフォギアキラー!?」
ギラーコオロギの殺人音波は対シンフォギア用に調整され装者が歌って作り出したフォニックゲインを散らし、適合率も低下してしまう。こうなれば装者も無理に戦おうとすればシンフォギアのバックファイヤーに苦しむ悪魔の兵器なのだ。
ショッカーのギラーコオロギの殺人音波を使いシンフォギア装者の皆殺しを計画していたのだ。
クッ…なんて連中だ。アタシ等を殺す事のみを目的にしやがって、だがこのままじゃアタシもマリアも危ない。どうすれば…「うわああああ、やめてくれっ!!」…!?
おいおい、戦闘員まで巻き込まれてるぞ…
クリスが目撃したのは自分たちが逃げ出さないよう牽制していたギラーコオロギの配下の戦闘員が頭を押さえてウロウロしていた姿だ。
「あっ、しまった!? 戦闘員を下がらせるのを忘れていた! まあいい、お前たちの代わりなど幾らでも居る。 雪音クリス共々死ぬがいい!」
アイツ、部下ごとアタシ等を始末する気かよ!?
こんな奴に負けたら世界は本当に…
「は…放せ、マ…マリア…」
「アアアアアアアアアアアアアアアア…」
アタシが幾ら声を掻けてもマリアの口からは弱い悲鳴しか出ていない
マリアもアタシも限界が近い…ここまでなのかよ!
「さあ死ぬがいい! 貴様らを片付ければ空いた大幹部の席が俺様の物になるのだ!!」
ギラーコオロギの殺人音波にクリスも死を覚悟した。既に戦闘員たちもギラーコオロギの殺人音波に耐えられず倒れていく。
このまま、マリアもクリスも殺人音波の前に死ぬかと想われた時、
「な、何だ!?」
突然自身の立つ地面が揺れだし、慌てたギラーコオロギは殺人音波を停止させた。
殺人音波が途切れた事で解放されたクリスはホッと胸を撫でおろし、クリスを拘束していたマリアは気を失い倒れる。
それが来たのは偶然とも言えた。
ギラーコオロギの殺人音波がクリスのフォニックゲインを散らし、そのフォニックゲインに引き寄せられたのか
「何故、コイツが此処に来る!?」
「ハア…ハア…!」
少し前、翼の絶唱に反応して保管場所の記憶の遺跡に安置していた完全聖遺物、ゴライアスがギラーコオロギとクリスの前に姿を現したのだ。
「ええい、完全聖遺物が出てくるとは聞いていないぞ! こうなればコイツを停止させ持ち帰れば地獄大使の良い土産になる。そうすれば俺様の大幹部の席は確実なものとなるのだ!! ギィィィィラァァァァァッ!!」
最早、ギラーコオロギの目はクリス達の方ではなく突然現れたゴライアスに向いている。
ジャンプしてゴライアスに飛び掛かるギラーコオロギを見て一息つくクリス。
「食らえぇ、殺人音波!!」
ギラーコオロギの放つ殺人音波にゴライアスも爆発を起こし怯む。
それをチャンスと思ったギラーコオロギは追撃していく。
「あのコオロギ野郎、殺人音波を出す度に額の玉が光ってるな…あれが装置なのか」
ギラーコオロギとゴライアスの戦闘を見ていたクリスはギラーコオロギの殺人音波の仕組みを見定める。
シンフォギアキラーとして造られたギラーコオロギは強敵だ。倒すための手を考えるクリスは一つの考えに行きつく。
突如現れたゴライアスは攻撃してきたギラーコオロギに反撃を集中させている。
巨体の体で腕を振り回しギラーコオロギを叩き落そうとするが、ギリギリで躱すギラーコオロギは、反撃に殺人音波を当てていく。
「ギィィィィラァァァァァッ!! 報告で聞いたほどではないな、カミキリキッドめ、こんなでかいだけの木偶の坊に負けたのか!」
先のギラーコオロギの殺人音波の直撃を受けた所為かゴライアスの動きは初めてクリスたちと遭遇した程の動きではなくギラーコオロギはゴライアスの攻撃を次々避けていく。
これにはゴライアスも先のカミキリキッドを葬ったエネルギー砲を撃ち出すが、ギラーコオロギの先制攻撃の直撃を食らった所為か、カミキリキッドの時より威力がない。
そして何より、ギラーコオロギの目はカミキリキッドの目と違い大きな複眼でゴライアスの動きが遅く単調に見えるのだ。
「これならば楽に持ち帰る事も「コオロギ野郎!!」でき…プルっ!?」
ショッカーでも注目されているゴライアス。それが自分が捕獲し持ち帰る事を画策するギラーコオロギの耳にクリスの声が聞こえ振り向く。
そして、視線の先にはアームドギアをライフル状にしたクリスが自分目掛け振り下ろしていた。
「はっ! 死にかけた癖に俺様に攻撃だと、避けるまでもないわ!!」
先程までギラーコオロギの殺人音波に苦しんでいたクリスの攻撃など怖くもなんともない。
それ故にギラーコオロギは失念していた。自身の弱点を
「オラァァァァッ!!」
REDHOT BLAZE
「! ぎゃああああああああああああああっ!! 俺様の発信装置がっ!!!」
クリスの狙いは一つ、ギラーコオロギの額の玉だった。
ゴライアスが現れてから、ギラーコオロギは自分たちを無視してゴライアスの攻撃し、クリスはジッとその様子を見続けていた。
そして、確信した。ギラーコオロギの額の玉こそ殺人音波を発生させる装置だと。
ハッキリ言ってクリスの行動は賭けに近かった。
もし殺人音波発生装置でなければ反撃として再び殺人音波を放たれ殺されたかも知れないし、ギラーコオロギが警戒して攻撃を避けたり防御すればクリスは反撃を受けていた。
ギラーコオロギが人間を舐めてる事を知っていたクリスの行動だが結果はクリスの勝利だった。
クリスの一撃を受けたギラーコオロギの額の玉が火花を上げる。
どうやら、殺人音波発生装置を破壊出来たようだ。
「おっ…おのれぇ、雪音クリス! 殺してやる…殺してやるぞっ!!」
完全な不意打ちに怒りが爆発したギラーコオロギの口から殺意に溢れた言葉がでる。
殺人音波が止められようが、まだ死のツメとシンフォギア装者を超える力は健在だ。
しかし、クリスはそんな様子のギラーコオロギを見て不敵に笑う。
「アタシに目を向けるのはいいけど、上にも注意しな」
「なにっ…しまっ!」
クリスの言葉にギラーコオロギが上を向くと尖った紫色の柱のような物が迫る。ゴライアスの腕と分かるのに時間はかからなかった。
回避するには間に合わないとギラーコオロギは両腕でゴライアスの腕を止めようとする。
「こ…こんな…こんな物…」
「コイツはオマケだっ! 持っていけっ!」
何とかゴライアスの腕を止めるギラーコオロギだが、ゴライアスは全体重を腕に集中させギラーコオロギの足が地面に陥没し、チャンスとばかりにクリスは動けないギラーコオロギに腰のパーツから小型ミサイルを発射する。
「!?」
クリスの撃った小型ミサイルは寸分変わらずギラーコオロギに殺到し爆発、それと同時にゴライアスの腕が完全に地面へと減り込んでいく。
直後、爆発音とゴライアスの手元から大量の煙が噴き出しギラーコオロギを倒したとクリスは悟った。
「後は…」
クリスは目の前のゴライアスに目を向ける。
ギラーコオロギとの戦いで損傷してはいたが、クリスもずっとシンフォギアを纏って動き続けていたのだ。
正直クリスも辛いが目の前のゴライアスが暴れるのなら止めるつもりでいた。
「…またか」
クリスが構えるが、何を思ったかゴライアスは穴を掘り巨体の体が沈んでいく。
ゴライアスが撤退してる事に気付いたクリスだが、阻もうとはしない。体力の限界もそうだが、下手に攻撃して気を失ってるマリアが巻き込まれるのを嫌ったからだ。
太陽が沈み、西日の光がクリスを照らす中。ゴライアスの姿は完全に消えてしまった。
決着はついた。
…何かしら、機械音が一定で聞こえてくる。瞼が重い、もう少し寝ていたいけどそろそろ起きないと
「う~ん…?」
あれ?此処は家じゃないわね。もしかして医務室?でもS・O・N・Gの医務室と違うような気が…
「お、やっと目覚めたか」
傍で聞き覚えのある声がして振り向くと椅子に座ったクリスの姿が見える。顔には幾つもバンドエイドが貼ってあったけど
「クリス!? 此処は…」
「此処は特異災害対策起動部二課の医務室だ。覚えてるか?お前は操られていたんだ」
操られた?誰に?ノイズ?ショッカー…思い出した、私はギラーコオロギの音波にで気を失って…
「思い出したか、お前はコオロギ野郎の殺人音波に操られていたんだ。…街中じゃ奴の死のツメで別の手段で操られていた連中も居たがコオロギ野郎が倒れた事で殆どが意識を戻ったってオッサンが言ってた」
そう、私はギラーコオロギの殺人音波に操られて奴らのアジトに連れてかれて尋問された筈
でも内容が今一思い出せない。確かその後は…ギャラルホルン!?
「クリスッ!急いで戻るわよ!」
「えっ?もう少し寝ておかなくていいのか?無理はするなよ」
「全部は思い出せないけど、ショッカーは私を使ってS・O・N・Gの本部に行っていたの!皆が心配だわ」
「何だって!?」
クリスがギラーコオロギの玉を潰す話。
ショッカーは男女平等ですよ(棒。
クリスが無事にマリアを救出しましたが、マリアの口から元の世界がショッカーに襲われた事を知る。
原作だと本郷の親友が洗脳されて、ギラーコオロギが倒れた後に出て苦笑いとかしていたのでどの位覚えてるかは不明。
マリアの場合は薄っすら覚えてる感じです。
ギラーコオロギが戦闘員を巻き込んだのは原作通りです。尤も、最初はギラーコオロギも戦闘員に避難する言ったんですが、全く避難せず全員死にました。そして、仮面ライダーに逃げられました。
ギラーコオロギの殺人音波の設定ですが、設定的にまさにシンフォギア装者を狙い撃ちにしたような能力です。
理論上、エクスドライブ状態でも殺人音波を真面に食らえば強制的に解除される程強力です。
ギラーコオロギに付けられただけで、多分二度と出てくる事は無いでしょう。ショッカーは基本的にライダーに敗れた能力や技術はあんまり出てこない。