改造人間 立花響のシンフォギア   作:一種の信者

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熱い!
雨の時は涼しかったけど7月に入ってから30度越え。
35度超えてからは、クーラー入れても30度下まわんねえ!

そして案の定、投下速度が完全に遅れている!
今年中に地獄大使と決着がつけれるのか?

後、Amazonプライムビデオでシン仮面ライダーが配信されました。…早くね?


111話 響VS響!? 未来が聞くショッカーの恐るべき計画!

 

 

 

未来が二人目の響と接触した頃、

クリスや未来達が居る本来の世界のS・O・N・G本部の医務室にて、

 

「ウワアアアアアアアアアアアアアアッ!!」

 

「患者が暴れ出した! 急いで抑えるんだ!!」

 

何人もの看護師がベッドで寝ている少女を抑え込む。

絵面的に見れば集団で少女を襲ってるように見えるが別段彼らは犯罪者ではなく、医療に携わる病院関係者だ。

彼らはベッドで暴れる患者を落ち着かせようとしている。

 

普通ならある程度の数が居ればベッドで暴れる患者を抑え込める。

問題があるとすれば、暴れる患者が立花響ということだ。

 

「ウアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!」

 

「何て力…うわあああ!!」

 

響の腕を押さえていた男の看護師が逆に響に掴まれ投げられた。

更には足を押さえていた別の男性看護師にも響の足が股間を直撃し悶絶する。

 

まだ成人前の少女とはいえ立花響はシンフォギア装者だ。

今までも数えきれないほどのノイズを屠り源十郎の特訓も受けてきた。

最早、普通の少女とは言えない程の力だ。

 

「響くん! 冷静になるんだッ!!」

「暴れるんじゃない、立花っ!!」

 

それ故に、司令官でありながら響の居る医務室に来ていた源十郎と待機時間で見舞いに来ていた翼が響を抑え込む。

並ではない彼等なら何とか響の暴れる動きも制御出来る。

現に、源十郎と翼の制止で響の体も大人しくなる。

 

「に…逃げて、未来! 今の私は…ワタシじゃないッ!」

 

それでもうなされる様に口を開く響の言葉に二人は気にしつつも何度か暴れる響を抑え込む事に集中する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

東京の何処かにある雑木林。

本来なら、晴れていようが人が寄り付く場所でない所で大きな爆発が起こる。

その爆発で起きた煙から二人の人影が出る。ヒビキと未来だ。

やがて煙が晴れると爆発の起きた中心部には拳を地面に付けた響が居る。

 

「いいぞ、立花響! その力であの二匹を始末しろ!」

「…了解」

 

すると、響の横に降りて来たエレキボタルが楽しそうにヒビキと未来の抹殺を指示する。

機械的に答える響を見て二人は口を開いた。

 

「もう一人のワタシ、そんな奴の命令に従っちゃダメだッ!!」

「お願い、目を覚まして…!」

 

二人が響を説得するが響はそれを無視して腰のブースターで一気に二人に近づき再び拳を叩きつける。

辛うじて避ける二人だが、響が催眠術で操られてる事で攻めるに攻められない。

 

「くっ、知った顔が完全に敵になるなんて…」

「如何すれば…そうだ!」

 

苦虫を嚙み潰した表情のヒビキと自分のアームドギアである扇みたいの物を見て妙案を思いつく未来。

 

「私のシンフォギアなら響の催眠が解けるかも」

「本当!」

「私のシンフォギアは神獣鏡(シェンショウジン)っていう聖遺物なんだけど、この神獣鏡には魔を払うって言い伝えがあるの」

「ならそれを使えば?」

「…響に掛けられた催眠が解けると思う。それにコレには聖遺物を分解する能力もあるの、最悪響を止める事は出来る筈」

 

未来の提案にヒビキは静かに頷く。

聖遺物が分解されるのは正直困るが、あのまま響がエレキボタルを始めとしたショッカーが良いように利用する事を考えて判断した。

 

そうと決まればと二人は一旦距離を取り、ヒビキは響の行動を鈍らせるために目の前に立ちはだかり、未来は神獣鏡のレーザーを当てる為に展開。

 

「!?」

 

「悪いけどワタシに付き合ってもらうよ!」

 

急に自分の前に来たヒビキに拳を繰り出す響。

ヒビキは拳を受け止めるが、思った以上に大きな音と手のシンフォギアが砕かれ、一旦距離を取る。

 

━━━なに、この威力…何発も受けられない…

 

ヒビキは、響の拳を受け止めた手を見てゾっとした。

籠手部分のシンフォギアの一部が破壊され、インナースーツの一部も破れ肌が剥き出しになる。

そして、その肌の部分も青紫になり内出血していた。

 

━━━痛いッ…折れてはいないけど。あの子…もう一人の私は全力でも無かった筈なのに…

 

ヒビキはシンフォギアに感謝すべきだった。

もし、あの時、シンフォギアを纏わず響のパンチを受けようものなら、ヒビキの片腕は簡単に捥げていただろう。

改めてヒビキは並行世界の自分である響を恐ろしくもあり頼もしくも見えた。

 

とにかく、一瞬だが響の動きは止まった。

既に、足のアーマーを円状に展開しチャージも終えた未来が響に狙いをつけている。

 

「響、これで元に…「させるかぁ!!」!?」

 

今まさに響に流星を放とうとした瞬間、未来の目の前にエレキボタルが飛んでき、掴みかかる。

 

「アナタはエレキボタル!? 邪魔をしないでッ!!」

 

「小日向未来、お前のシンフォギアの能力はある程度は知っている! お前がどの世界の小日向未来かは知らんがショッカーに逆らうのなら貴様も死ねぇ!!」

 

━━━もう一人のヒビキの援護も出来ない!!

 

エレキボタルは、未来を放置する気は無かった。

立花響のかけがえのないパートナー、それがショッカーの小日向未来の評価だ。

小日向未来を殺害し立花響に見せつければ大きな絶望を与える事も可能だろう。

 

ショッカーにとって小日向未来の価値はその程度だった。

こうして未来とヒビキの連携は断ち切られ、未来はエレキボタル、ヒビキは催眠状態の響の相手を強いられた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「くっ、エレキボタルが想定より早く動くなんて…」

 

「…余所見してる暇…ある?」

 

未来がエレキボタルに襲われたのを見て思わず舌打ちするヒビキ。

エレキボタルは当分、高みの見物を決め込むと思っていたのだ。

 

そんな焦りに催眠状態になった響が再びヒビキの懐に潜り込む。

同時にヒビキの目に何かが飛んでくる。

殺気を感じ、辛うじて顔を逸らし避けたが顔のあった場所には響の掌底がある。もし殺気に気付かなければ響の掌底はヒビキの顎を砕き、首まで捥げていただろう。

 

「くっ、目を覚ましてもう一人の私!催眠術なんかに負けないで!」

 

冷や汗を流しつつヒビキは響への説得を続ける。

未来はエレキボタルの相手で援護どころではないが、攻撃を避け続けるだけならヒビキ一人でも出来る。

 

━━━何しろ、ワタシは目の前のもう一人の私と一緒に戦って来たんだ。攻撃の動きも見ている!

 

事実、響の放つ蹴りをギリギリで躱すヒビキ。

これも時間がある時に響との特訓を(ヒビキはイヤイヤながら)やっていたお陰だろう。

 

これで避ける事に集中すれば、響の攻撃も早々当たらないと確信したヒビキは更に響に向け説得する。

 

「聞いて、もう一人の私! このままショッカーに従えばきっと後悔する!」

 

「………」

 

ヒビキの必死の説得にも響は無言で返す。

その後も何度か話会おうとするヒビキだが、響の反応は全て無言だった。

 

「ワタシの話を聞いて、お願いだから何か言ってよ! …何とか言えぇぇぇ!!!」

 

響の反応にイライラしたのか、自分だけ攻撃せず避けに徹したストレスからか、遂にヒビキの拳が響の頬に入り一気に振りぬく。

ヒビキの拳は響の頬に見事に命中し、足元を引き摺って距離が開く。

 

「いくら操られてるからって、ワタシの声を無視する「…その調子だよ、もう一人の私」な…!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヒビキが響の相手をしてる一方、未来もまたエレキボタルの強襲を受けていた。

 

「やらせないッ!」

 

「貴様も死んでもらうぞ、小日向未来ッ!!」

 

空中で近づこうとするエレキボタルに未来は幾つもの小さな鏡を操り、光を出して牽制しようとするが、エレキボタルの空中移動に次々と避けられる。

 

「多少は飛べるようだが、俺に比べればゴミも同然よ! 食らえ、エレキファイヤー!!」

 

未来の飛び方を見て鼻で笑うエレキボタル。

反撃とばかりに頭の赤い瘤を掴むと、取り外して未来へと投げる。

 

「?」

 

未来はエレキボタルが何を投げたのかは分からなかったが、攻撃である以上迎撃しようと鏡の一つを向かわせる。

鏡からレーザーを出し撃ち落とすのが未来の狙いだが、目の前で赤い瘤が爆ぜると供に夥しい炎が出てきて未来の鏡の飲み込んだ。

 

「!? 嘘ッ!」

 

そして、未来は見ていた。自身の操ってる鏡がアッサリと溶け燃えカスすら残さず消えた。

咄嗟に未来は体を捻って炎を回避する。

 

「…クッ!?」

 

辛うじてエレキファイヤーを避け切った未来だが、シンフォギア越しでも感じる程の灼熱を感じた。

恐らくシンフォギアを纏った状態でもあの炎ではただでは済まないと直感する未来。

その背中に冷や汗が流れる。

 

「ビリュリュリュリュリュリュッ! よく避けたな小日向未来、だが次は避け切れるか!?」

 

そんな未来にエレキボタルは追撃を掛けようと更に頭の瘤を取り外し両手に持つ。

容赦ないエレキボタルのエレキファイヤーに未来は辛うじて避け続ける。

これが、戦闘に長けた翼やマリアなら避けつつ反撃も試みるが、未来はシンフォギアを纏って戦うようになったのはS・O・N・Gのメンバーの中でもダントツに遅く、その分戦闘経験も薄い。

避けつつ反撃など夢の夢であった。

 

「随分と辛そうだな、小日向未来! そろそろトドメを刺してやる!寂しがる必要はない、雪音クリスを始めとした特異災害対策起動部二課本部の連中も既に地獄に居る!序にS・O・N・Gの源十郎たちも後を追う!!」

 

「…! この世界の特異災害やS・O・N・Gを!? うそっ!!」

 

エレキボタルの放った言葉に未来はおのれの耳を疑った。

この場で、自身がエレキボタルと戦っている以上、本部に居る筈のクリスや源十郎たちが死ぬなど信じられないのだ。

試しに、一緒に来た天羽奏に通信を入れてみるが繋がらない。

 

そして、その未来の反応に気をよくしたのかエレキボタルは更に語る。

 

「死ぬ前に教えてやろうっ! この雑木林付近以外にも風鳴翼が入院している病院、特異災害対策起動部二課本部も同時に我らショッカーの襲撃が行われている! 其処には俺のように、より強化された怪人が向かい雪音クリスを始めとした装者や特異災害本部に居る風鳴源十郎の抹殺に動いているのだ!」

 

「ここ以外にも…でもS・O・N・Gは? 別の世界にあるS・O・N・G本部は?」

 

エレキボタルの言葉に脅迫しつつも未来は話を続ける。

正直、クリスや本部に言った奏が心配だったが、今までの自分の知る敵と比べ異様にお喋りな怪人に、上手くいけば此方の知らないショッカーの情報も引っ張れると思ったのだ。

 

「あなた達はギャラルホルンを使えるの?」

 

「…確かに我々ショッカーの怪人にギャラルホルンは反応しない、だが…」

 

そこまで言ったエレキボタルの視線が下に向いてる事に気付いた未来は、警戒しつつもエレキボタルの視線を追う。

そして、視線の先にはヒビキと戦う響の姿が、

 

「響!?如何して響を見ているの!?」

 

「俺たちは確かにギャラルホルンを使えん、だが裏切り者の立花響なら別だ。 アレに仕掛けられた物はまだ生きている、ギャラルホルンで渡った先で原子炉を暴走させればS・O・N・Gなどアッと言う間に壊滅よ」

 

「!?原子炉! それと響に何の関係が!?」

 

未来の質問を無視し、話を続けるエレキボタル。

尤も、その内容にも驚愕するが、

響が改造人間にされてる事を知らない未来には聖遺物でもない原子炉という言葉が大いに引っかかった。

 

ショッカーの狙い、それは改造手術された立花響の内部にあるエネルギー炉である原子炉だ。

響の力の源であり、シンフォギアの能力の底上げにもなっている原子炉、それを暴走させ核爆発を起こしギャラルホルンの先にいるS・O・N・G本部の壊滅を狙っているのだ。

 

「おっと、これ以上は話さんぞ。知りたければ後から地獄に行く仲間たちから聞けぇ! 死ねィ、小日向未来!」

 

未来の質問を遮り攻撃を再開するエレキボタル。

爆ぜると火炎が噴き出すエレキボタルの赤い瘤に翻弄される未来。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「もう一人のワタシ…意識が…!?」

 

その頃、響に反撃の拳を振ったヒビキが、目の前の響が正気に戻ったのかと期待したが目前に響の拳が迫っていた。

両腕でガードし、なんとか攻撃を凌いだヒビキはカッと響を睨みつける。

 

「もう一人のワタシ、如何して…!」

 

「如何して攻撃するの?」そう聞こうとしたヒビキだが、響の目がまだおかしい事に気付く。

 

「…ごめん…意識が…一部戻った…けど…まだ頭が…ボーとして…体が言う事…聞かないの…」

 

響の言う通り、こうして話してる間にも響の攻撃が再開され、ヒビキは回避に集中する。

意識が一部戻った所為か、響の攻撃の精度は下がりヒビキも回避に少し余裕が出たが未だに響が操られているのが問題だ。

 

「クッ…如何すれば、もう一人のワタシの催眠を解けるの?」

 

自分の拳の攻撃で強い衝撃を与え響の意識が一部戻ったがそれだけだ。

ならもっと強い衝撃を与えるべきかと考えるヒビキだが、

 

━━━いっそ術者を倒す方が早いか?

 

響の攻撃を回避しつつ、ヒビキは上の方をチラチラと見る。

視線の先には未来と戦う…いや、一方的に嬲っているエレキボタルの姿が映る。

 

━━━操られてるなら操ってる術者を倒せば解放されるかも知れない。 昔見たアニメとかでもやっていたな…

 

エレキボタルを倒せば響の催眠が解け解放されるかも知れない。

しかし、

 

━━━同じ空を飛んでいるあの子が苦戦している…もう一人のワタシを放置して戦えるかな…

 

ヒビキのガングニールのシンフォギアも腰のブースターと脚部のジャッキを使えば空中戦も出来ると言えば出来る。

しかし、それは無理矢理空を飛ぶのと一緒で空中に特化した敵には分が悪い。

何より拳で戦うヒビキにとって、踏ん張る為には地面に足をつけ力まねばならない。

 

━━━それに…

 

ヒビキの視界が響へと戻る。

催眠で操られている以上、自分が飛べば響も同じく飛び妨害するだろうと予想するヒビキ。

何時もと比べ、攻撃が大味になっているが慣れない空中戦でエレキボタルと挟み撃ちにされればそれこそ目も当てられない。

 

「…どうすれば…」

 

響と戦い続けるのは論外だ、かと言って無視していい存在でもない。

何より、未来が一方的に苦戦している。エレキボタルの投げる赤い瘤を迎撃する度にアームドギアと思しき小さな鏡が消滅し炎の熱が未来の体を焼いている。

 

状況が好転しようのない事で思わず呟くヒビキ。

このままでは、自分が響に殺されるか自分が響を倒すしかない。

 

「ねえ…もう一人の…私…」

「!?」

 

まさにヒビキが究極の選択を突き付けられ悩んでる時、目の前の響が口を開く。

その間にも攻撃があったが、ギリギリで躱すヒビキ。

 

「ワタシを…殺して…」

「! 冗談言わないでよ!」

 

響の声にヒビキは絶叫に近い声で返す。

何しろ、響の言葉はヒビキには到底予想できる物では無かったからだ。

 

「何で、「殺して」なんて!」

「…エレキボタルは…たぶん…ワザと…私の意思に…軽い…催眠をかけ…た。こうしてアナタが…私と…戦うことを…躊躇する…よう見込んで…」

 

エレキボタル…と言うより地獄大使の目的の一つは裏切り者の立花響の抹殺だ。

それも死ぬ直前にショッカーに逆らった事を後悔させる為に最大の絶望を与える事も睨んでいる。

 

その絶望こそ、響の味方殺しだ。

 

「アイツ等…は、私にアナタたちを…殺させる為…に意識までは…完全には…奪わなかった。 全ては私に絶望を…与える為に…」

「そんな…」

 

響の言葉にヒビキは口元をおさえる。

そんな。と思う反面、一般人を平気で巻き込み破壊活動をするショッカーならありうるとヒビキも考える。

 

「お願い…もう一人の…わたし…このまま…あいつ等の…思い通りになるのは…イヤだよ…」

 

響の弱弱しくも必死の訴え。

その言葉にヒビキは唇を噛むと同時に共感している。

もしも立場が逆で自分が操られていれば、自分は恐らく響に「殺してくれ」と頼む可能性が高い。

 

「そんなこと、出来る訳ないでしょ!!」

 

だからと言って、響の声に答える事も出来ない。

ヒビキもまた、元はただの一般人で短いながらも共に戦った響を殺すどころか、戦うのだって嫌だ。

そんな自分が響を殺すなど想像もしたくない。

 

「…お願い…体が…言う事を…聞かないの…このままじゃ…」

 

一見、響は泣きながらヒビキを攻撃し矛盾してるようにも見える。

だがそれは、エレキボタルの催眠の強力さヒビキは思い知る。

 

━━━ショッカーは何処まで非道な事を考えてるの? 何とかもう一人のワタシを救うには……!

 

何か思いついたヒビキは一旦、響と距離を取ると構えていた腕を下ろし更にはシンフォギアの一部も解きインナーの無防備姿になる。

 

「もう…一人のワタシ…何を…」

「生半可な事じゃエレキボタルの催眠は解けない、ならショック療法を試してみる」

 

そう言うと、ヒビキは己の両腕を広げまるで飛び込む子供を抱きしめる前の母親の恰好みたいになる。

 

「一体…」

「私はあなたに賭ける、私の頭じゃエレキボタルの催眠を破る方法はこれだけしかない!」

「!?」

 

ヒビキは敢えて響に自身の身を晒し響の意思に賭けた。

失敗すれば自身の胸は響に貫かれ死ぬだろうと、考えるがヒビキはそれでも良いと考えてしまった。

 

 

 

 

━━━アンタを失う位なら、この命も惜しくないって思えるなんて…この責任どうしてくれるの?

 

 

 

 

最初は、自分にソックリだからと連れ帰った。

別段、心配だとか興味があったとかではない。ただ、何となく連れ帰っただけだ。

目覚めたばかりの時に拘束されムカついたが、共に暮らし共に戦っている内に妙な友情が芽生えた気がする。

まるで、二年分の寂しさを埋めている気分だった。

 

『生きるのを諦めないで!』

        『私は胸の歌を信じて戦う』

                『ねえ、もう一人のワタシ…』

 

平行世界の自分とは言え、こうも人の心にズケズケと…絶対にアンタを取り戻す!

 

 

 

 

 

ヒビキが覚悟を決め目をカッと見開くと共に響の拳が真っ直ぐ自分へと迫るのを目撃する。

直後、鈍い音が響いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「キャアッ!」

 

空を飛びエレキボタルの対処をしていた未来だったが、背中から地面へと落ちる。

幸い、纏っていた神獣鏡のシンフォギアのお陰で落下ダメージは少なかったが、エレキボタルのエレキファイヤーに苦しめられ幾つかの火傷を負っていた。

 

しかし、ダメージが少ないからと安心も出来ない。

減少した落下ダメージとはいえ背中の衝撃で一瞬、息が出来なくなった未来。顔や鼻にも雨粒が降り注ぎ苦しさもひとしおだ。

 

これがもし、戦闘経験の豊富な翼や響なら無理をしてでも立ち上がるだろうが、経験の少ない未来はそう上手くもいかない。

 

「アグッ!?」

 

やっと落ち着いてきた未来だが、腹部に衝撃を感じた未来は息を整えて様子を見ると、自分の腹部を脚で踏みつけるエレキボタルがいる。

未来が倒れている間にエレキボタルも地上に降り未来への追撃を行ったのだ。

 

「ホタルの…怪人…」

 

「エレキボタルだ! ビリュリュリュリュリュリュッ!そろそろ遊びもお終いだ小日向未来、立花響の方も決着はついたようだしな」

 

そう言うとエレキボタルは視線を別に向け、未来もそれを追ってエレキボタルの向いた視線に目を向ける。

 

「ひ…響!?」

 

未来は信じられない物を見た。

二人の響の居た場所に、一人しか立っていない。

 

いや、二人は居るにはいるが拳を突き出す響とアッパー状態で()()()()()()()()()もう一人だった。

正確に言うのなら、立花響の拳はもう一人の立花響の胸に入りアッパー状態で浮いているのだ。

首のマフラーから拳を受けたのがこの世界の立花響だと直感する未来。

地面には降りしきる雨と共に赤い液体が地面へと染み渡る。

 

━━━嘘だよね?響が響を殺すなんて…いくら催眠術で操られていても…でも目の前の響は…

「響ーーーーーーーッ!!」

 

降り注ぐ雨の中、未来の絶叫が辺りに響く。

しかし、未来の叫びに反応する者は居なかった。

 

「…ビリュリュリュリュリュリュッ! やった!やったぞ!!」

 

いや、一人だけいた。未来の腹部を踏み続けるエレキボタルだ。

エレキボタルの口から歓喜の声が上がる。

 

「邪魔だったこの世界の立花響を始末した。 今頃は病院を襲っているシラキュラスと二課本部を襲っているモスキラスが残りの装者や風鳴源十郎たちの始末をしている頃だ! 後はお前だけだ、小日向未来! お前を始末した後は原子爆弾化した立花響ををギャラルホルンで送り付ければS・O・N・Gは全滅し我らの邪魔をする者は居なくなる!! この世界は我らの物よ!!」

 

声を荒げ喜ぶエレキボタルを見て背中に寒気を感じる未来。

未来もまた、響たちに遅れたがシンフォギアを纏い共に戦って来た。その過程にもS・O・N・Gと敵対する組織や錬金術師も色々と見てきたが、エレキボタルのように此処までの殺意を向けられたのは初めてだ。

 

「さて、そろそろ貴様も死んで貰おうか」

 

未来が唖然とする中、エレキボタルは淡々と言うと再び頭の赤い瘤を取り外し未来に見せつける。

 

「安心しろ、俺のエレキファイヤーは人間の骨すら焼き尽くす。お前が此処に居た痕跡など何一つ残らん、神獣鏡のシンフォギアはもったいないが我らの物にならんのなら消すまでよ」

 

それを聞いて未来の顔から雨粒と共に汗が流れ落ちる。

クリスやマリア、本部に向かった天羽奏が簡単に敗れるとは思っていないがエレキボタルの自信を見て不安になる。

 

何とかアームドギアの鏡も動かしエレキボタルの足から脱出しようと藻掻く未来。

しかし、鏡は悉く叩き落され神獣鏡の鞭も大して効かず、それどころかエレキボタルの踏みつける力が増し腹部への圧力に未来が目を見開き苦しむ。

 

「抵抗は無意味だッ!! 死ねっ!!」

 

今まさにエレキボタルが足元の小日向未来にエレキファイヤーをぶつけようと振りかぶる。

シンフォギア越しでも灼熱の熱さを感じた未来だ、もう助からないと言う言葉が脳裏に過る。

 

━━━…ごめん、響…わたし…あなたを…助けられなかった…

 

自信が死ねば元の世界の立花響を助けられない。それどころかもう会えない事にも絶望を覚える未来。

 

「ヌッ!?」

 

「…え?」

 

だからだろう。エレキボタルの腕に何かがぶつかると共に持っていた赤い瘤も弾かれ未来の離れた場所に落下し炎を上げ、未来はそれに遅れながらも気付いた。

直後に自分の真横から『ガサッ』と言う音がし目線を向けるとコブシ大の石が落ちている。

エレキボタルの手に命中したのはこの石だった。

 

「た…たかが()()()に…誰だ!」

 

突然の横槍にキレたエレキボタルは怒鳴り声を上げ石の飛んできた方向に振り向く。

そこには、

 

「た、立花響だと!?」

 

「!?」

 

エレキボタルの声に未来も反応し振り向くと雨で濡れた響が拳を握っている。

その目からは未来が見ても起こっているのが分かった。

 

「もう一人のワタシが命を賭けて私を正気に戻してくれた。 私を…他人を操るアナタを…絶対ゆるさない!!」

 

「馬鹿な、そんな事で催眠が解けたというのか!?」

 

響は怒りのまま拳を握り腰のブースターで一気に加速しエレキボタルの顔面を殴ろうとする。

しかし、エレキボタルも直ぐにガードし響の拳を防ぐが勢いは殺せず吹き飛び未来の上から足が退いた。

 

「ゴホッ!ゴホッ!」

「…しっかり、まだ戦える?」

 

エレキボタルから解放された未来が咳き込んでいると聞き覚えのある声がすると共に背中を摩られる。

声の主を見ると、其処には響の拳を打ち込まれたヒビキが居る。

響がしていないマフラーをしている以上間違いないだろう。

 

「響も…無事だったんだね!」

「…うん…まあ…」

 

ヒビキも無事な事に喜ぶ未来だが、ヒビキの様子は何処かおかしかった。

雨に濡れてる所為で分かりにくいが汗が幾つも流れ呼吸も少し荒い。

 

「!? この世界の立花響も生きているだと!た…謀ったなッ!!」

 

「もう、お前の好きにはさせない。エレキボタルッ!!」

 

ヒビキの決死の覚悟によりエレキ催眠から逃れた響の反撃が始まる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ヒビキの響に対する思いが重いかんじですが、たぶん原作通りかと。
未来が居ないと響はグレます。


響がエレキボタルの催眠で軽い催眠をかけたって言ってますけど、地獄大使の狙いでもあります。
ショッカーを裏切り苦汁をなめさせられた恨みもあります。
もし、地獄大使がこんな思惑を考えてなければ未来とヒビキは亡き者にされました。
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