改造人間 立花響のシンフォギア   作:一種の信者

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新しいVSイベント
グレ響が水着になってますが結構食い込んでると思う今日この頃。


112話 希望と絶望と

 

 

 

「ハアアアッ!!」

「ヤアアアッ!!」

 

二人の人影が飛び掛かる。

目標は、人外の姿ショッカーの改造人間エレキボタルだ。

 

二人の拳が同時に撃ち込まれ、蹴りもほぼ一緒のタイミングで放たれる。

その動きはぴったり合わさり、エレキボタルが居なければ踊っているようにも見える。

 

「す…凄い、二人の響が一人に見える…」

 

エレキボタルから距離のあった未来がその様子に舌を巻く。

二人いる筈なのに攻撃する姿は、未来の目からは一人に見える程のコンビネーションだからだ。

 

「ビリュリュリュリュリュリュッ! その程度で如何にかなると思うなっ!!」

 

しかし、エレキボタルも強化されたショッカーの改造人間。

今までの響たちが戦った怪人を上回る力を持っている。

 

「えッ!?」

「なッ!?」

 

繰り出された響の拳を捕らえ、更に蹴りを放った響の足を握り二人を宙に持ち上げ一気に叩きつける。

予想以上のエレキボタルの力に二人は抵抗する事も出来ず互いの体がぶつかり合い雨で濡れる地面に落下。

 

「あの攻撃でも平気なの!?」

 

響たちのラッシュを受けても平然と反撃するエレキボタルの姿に未来は驚愕する。

未来の記憶では響の攻撃は多かれ少なかれ相手を押すことが多かったからだ。

 

「く、強い!?」

「私たちの攻撃が効かないなんて!?」

 

頭を振りつつ体制を起こしエレキボタルを睨む付けるヒビキ。

響も即座に起き上がるがエレキボタルの力に驚愕している。

 

「ビリュリュリュリュリュリュッ! 如何だ、俺の力は! 俺の体内エネルギーは東京都十日分の電力なのだ、つまりお前たちは東京都十日分の電力を敵にまわしている!!」

 

響たちは知らないが、以前に風鳴源十郎たちの下に東京都の膨大な電力が不自然に消えた報告が入っている。

その原因こそ、エレキボタルの所為だ。

地獄大使は、幾つの発電所から電線を引きエレキボタルに流してパワーを上げていたのだ。

 

「東京都十日分の…」

「電力…」

「…いや、単位が分かりづらい!」

 

エレキボタルの言葉に三人は絶句していたが、微妙に力の差が分かり辛い事にヒビキが叫ぶように言う。

そんな三人の反応にも構わずエレキボタルは次の手を使う。

 

「…? 光?」

 

最初に異変に気付いたのは響たちと距離のあった未来だ。

響たちの周りに小さい光が集まってくる。

そして、それは響たちも気付く。

 

「なに、これ? ホタル?こんな雨の中で?デカッ!?」

「ホタル!? エレキボタル!」

 

雨の中、不自然に集まりだすホタル。

響はホタルと聞いてエレキボタルを睨みつける。

 

「お前たちに地獄の舞をもう一度見せてやろう、今度は半端は無しだ!」

 

「!? このホタルを見ちゃダメ!!」

「!」

 

雨の中周囲を飛び回るホタルに響はもう一人のヒビキに見るなと言うが、体が既に言う事を聞かなくなっていた。

そして、響もまた体の動きが鈍い事を感じている。

 

「無駄だ、俺の催眠からは逃げられん! 光れ、飛び回れ!!踊り狂え! 地獄の舞でお前たちに再び催眠術で操ってやる!!」

 

最初のホタルの光で体の自由を奪い、ゆっくりとホタルの光で催眠術にかけていく。それがエレキボタルの地獄の舞だ。

 

エレキボタルは響を再び支配下に置く為に再度催眠を掛けようとする。

地獄大使からは、催眠に失敗した場合、速やかに響を殺せと命令されていたがエレキボタルは敢えて無視する。

 

━━━上手く二人の立花響を操る事が出来れば大幹部の座も夢ではない! これならシラキュラスとモスキラスを出し抜ける…

 

今頃は病院や特異災害対策起動部二課本部にシラキュラスとモスキラスが邪魔者たちの始末をしていると考えたエレキボタルは手柄を上げようと考えていた。

響は勿論、この世界のヒビキもシンフォギア装者だ、利用価値は十分あるといえた。

 

ホタルの光に二人の目から光が消えていく。

勝利を確信したエレキボタルだったが、薄紫の光が通り過ぎる。

 

「なっ!?」

 

その光により、エレキボタルの操っていたホタルが何匹も消滅していく。

しかも光は次々と通過し、その度にホタルが消えていく。

光の来た方に目を向けたエレキボタル、其処にはアームドギアの小さな鏡を幾つも操っている、

 

「小日向未来だとッ!?」

 

「私の存在を忘れてたわね!!」

 

光の正体、それは未来が出したレーザーだった。

エレキボタルは未来の始末は簡単にできると後回しにし、響たちの催眠を優先していたがフリーハンドになった未来は堂々と響たちの援護を行う。

 

未来のレーザは続き、響たちを避けエレキボタルの操るホタルを撃ち抜いていき、エレキボタルの体にも命中する。

ホタルの数も減った事で、催眠状態だった二人の響も正気を取り戻す。

 

「未来、ありがとう!」

「…ありがとう」

 

未来のレーザに気付いた響は礼を言い、ヒビキもそれに続く。

エレキボタルの催眠から逃れた二人は再び、拳と蹴りを繰り出し攻撃する。

 

「馬鹿の一つ覚えかぁ! そんな攻撃が俺様に当たる訳が…!?」

 

先程と同じく、二人の響の攻撃を受け止めたり躱したりし反撃しようとするエレキボタル。

しかし、次の瞬間、反撃しようとした腕にレーザーが命中し攻撃するタイピングが狂う。

その隙を響は見逃さずエレキボタルにカウンターをぶち込む。

 

「グワーッ!?おのれ、小日向未来!!」

 

「ありがとう、未来!」

 

響のカウンターで片膝をついたエレキボタルが未来を睨みつける様に視線を向ける。未来のシンフォギアは対シンフォギアの側面が近く怪人に対してそこまで有効とは言えない。

それでも、エレキボタルへの嫌がらせには十分と言えた。

 

エレキボタルを警戒しつつ目線だけを未来に向け礼を言う響。ヒビキも口には出さないが未来に目線を向けている。

 

「響、私がエレキボタルの攻撃タイミングをズラすわ!響たちは攻撃に手中してぇ!!」

 

それからというもの、エレキボタルの攻撃は悉く未来のレーザーに妨害され響たちへの攻撃が外され、逆に響たちの反撃を受け続ける。

最初は響の拳も傷一つ無かったエレキボタルの体だが、連続して受けてる内にその体にもヒビが入り漏電してるのか火花が散る。

 

「クッ、たかだか人間どもが! 調子に乗りおってぇ!!」

 

何度目かの響の拳を顔面に食らったエレキボタルが呪詛のように言うと、羽を広げ空を飛ぶ。

響が打ち込もうとした拳も空振り、三人が空を見上げる。

 

「もういいッ!!もう沢山だ、エレキ催眠で操るのは止めだ!! 骨も残らずこの世から消えてしまえッ!!」

 

未来の援護により形勢が覆されたエレキボタルが怒気の籠った声でそう言うと、頭の瘤を次々と取り外し地上の響たちに投げつける。

 

「!?」

 

咄嗟に避けた響だが、自分の居た場所に夥しい量の火炎が吹き荒れる。

 

━━━なんて、炎! これじゃ普通の人は本当に骨すら残らない!

 

操られヒビキとの戦いを強いられていた響も初めてエレキファイヤーを見て理解する。

自分なら耐えられるかもしれないが、もう一人の響と未来では、シンフォギアを纏っていても数秒と持たない事も。

エレキボタルの言ってる事はハッタリでもなんでもない。

 

「クッ…」

 

「させるか!!」

 

響が咄嗟に腰のブースターを吹かしと飛び上がろうとするが、それを見逃すほどエレキボタルも甘くない。

即座に、飛び上がろうとした響に向けエレキファイヤーを投げつけ飛ぶのを妨害する。

そして、それはヒビキと未来も同然だった。

特に未来は、響たち以上に飛べる為エレキボタルも警戒し、飛ぶ素振りをすれば幾つものエレキファイヤーを未来に投げつけている。

 

「…! 不味い、逃げ場が…」

 

エレキボタルのエレキファイヤーを逃げ回っていたヒビキは、既に周りが火の海だという事に気付く。

これでは逃げるどころか、歌う事すら不可能になっていく。

 

「ビリュリュリュリュリュリュッ! 既に逃げ場なぞあるまい、お前たちは既に袋の鼠よ!!」

 

逃げ回る響たちを見下ろしていたエレキボタルが楽しそうに笑いながら言う。

周りの炎により温度も上昇し、未来やヒビキも汗が止まらない。このままでは焼け死ぬか脱水症状で倒れてしまう。

 

━━━逃げ場が何処にもない、いっそ私が地面に大穴を開ければ…いや、それじゃエレキボタルが逃げるか街中であの赤い球をばら撒くかも。 でも未来ももう一人のワタシも限界が…そうだ!

 

「もう一人のワタシ、私の手に乗って!」

「え?」

 

熱さで朦朧とする意識の中で響の突然の言葉に一気に現実に戻るヒビキ。

既に辺りは火の海で逃げ場も碌にない中、響がふざけて言っているとも思えない。

二人の視線が交差し、ヒビキは静かに頷く。

 

「…勝算は?」

「正直五分五分かな」

 

響の返事に頷くと差し出されてる響の組んだ両手に自身の脚を乗せるヒビキ。

何となく響の目的に気付いた未来は固唾をのみ見守り、響は腕に一気に力を入れる。

 

 

 

 

 

 

「ジワジワと炎で炙られる気分はどうだ? そろそろトドメを…ん?」

 

響たちの動きを監視し、飛ぶのを邪魔し続けたエレキボタルは勝利を確信していた。

響のブースターでは、空を飛ぶのに不慣れで動きも読みやすく、未来も響のガングニールに比べれば空を飛ぶのは得意と言えるが上から監視してしまえば完全に抑えられる。

最早、逆転は不可能と考えているエレキボタルの視界に響が何かしているのを確認した。

 

━━━立花響め、折り重なり何をしている? もしや、熱に根負けして熱さから逃れようとパートナーを踏んだか?

「いいぞ、人間の愚かしさを見せろ! むしろ殺し合え!!…!?」

 

一瞬、響たちが仲たがいをして自分だけ助かろうとしてるのでは?っと考えたエレキボタルだったが、直ぐにそんな考えは捨てる。

 

「いっけぇぇぇぇぇぇぇっ!!!!」

「うおおおおおおおおおおおおおッ!!!!」

 

ヒビキがおのれの手に足をつけ体重をかけた事を確認した響は一気にヒビキを乗せたまま両腕に力を籠め上えと突き上げる。

改造された響の筋力もそうだが、その勢いで飛び上がると()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

━━━なるほど、折り重なっていたのはコレを狙ってか。 このスピードでは俺のエレキファイヤーの迎撃は間に合わん

「だが甘い!」

 

「!?」

 

ヒビキの拳があと少しまでエレキボタルに接近するが、すんでの所でエレキボタルの体が僅かに捻りヒビキの拳を避ける。

避けられたヒビキは勢いのまま上空に飛んでいく。

 

「当てが外れたな、立花響ッ! それともこの世界の立花響を逃がしたつもりか? なら甘い、お前たちを始末した後に見つけ出して殺してや…!」

 

ヒビキがそのまま上空に飛んでいくのを確認したエレキボタルが響を見下す発言をする。

攻撃に失敗し、逆転の可能性は最早無い、と判断したエレキボタルは響の悔しそうな顔を見たくもあった。

しかし、エレキボタルの目論見は外れ、響と未来の予想外な行動を目にする。

 

響が腰のブースターを吹かし飛ぶと、未来もそれに続くように宙に浮く。

 

「ビリュリュリュリュリュリュッ! やぶれかぶれか、自棄になって死にに来たか!!」

 

エレキボタルが飛んでくる響と未来に狙いをつけ、エレキファイヤーを投げつける。

ヒビキの時は、響自身が発射台となり投げつける暇は無かったが、一から飛んでくる響と未来の速度ならエレキボタルも十分に迎撃が出来た。

 

響たちに放たれたエレキファイヤーが真っ直ぐと落ちていき、接触するかに思えた。

だが、未来も見てるだけでなく響の援護に幾つものレーザーを打ち込む。

幾つかのエレキファイヤーが響に届く前に消滅するが、未来の援護も全てを落とせる程の腕前はない。

未来が撃ち漏らしたエレキファイヤーが響に接触しシンフォギアが燃えるが、響はそれに構わず、むしろ腰のブースターを加速させエレキボタルに接近する。

 

━━━馬鹿め、幾ら加速させようがそんなスピードでは俺を捕らえる事は出来ん。その炎がやがて貴様を包み熱暴走で自滅するのがオチよ。…何だ?

 

最早、自分の勝利は揺らぎないと確信するエレキボタルの聴覚に何かが聞こえた。

それは空気を切り付ける様な音で徐々に自分に近づいてる気がした。

思わず音のする方に首を上げると、

 

「!?」

 

エレキボタルの視界に予想外の物が映る。

上空へと消えたと思ったもう一人の立花響が腰のブースターを使い落下して来る。

当然ながら、そのスピードは上空に加速して来る立花響たちより早い。

 

「あの小娘、逃げたのでは無かったのか!? …!まさか、この俺を挟み撃ちにするつもりか!」

 

エレキボタルは此処に来て、やっと響たちの目的を知った。

この世界の立花響を打ち上げ、エレキボタルの上を取り自分たちも空を飛び打ち上げられた立花響と挟撃する。それがエレキボタルの読みだった。

 

━━━ビリュリュリュリュリュリュッ、残念だったな立花響め。地上での戦いならその作戦も成功したかも知れんが俺は空を飛べるホタルの改造人間。お前たちなぞより空を飛ぶのは得意だ!

 

地上なら兎も角、空中ならエレキボタルの方が圧倒的に有利だろう。

響たちのシンフォギアは本来は空中での戦闘を想定していない。

唯一、自由に飛び回れる小日向未来も響たちに比べれば素人同然でエレキボタルと戦えるレベルとは言えない。

 

『勝った!』と言う言葉がエレキボタルの脳裏に浮かぶ。

 

━━━待てよ、ギリギリまで待って寸前で躱せば同士討ちになるではないか

 

ナイスアイデアとばかりにエレキボタルは内心で自信を絶賛する。

故意では無いとはいえ、味方同士が殺し合うかも知れないと考えるとエレキボタルはギリギリまで響の攻撃を待つことにした。

ギリギリでも響の拳を躱せると判断したエレキボタルは上空のヒビキに注意しつつ、タイミングを計る。

 

 

 

 

 

ほんの僅かな一瞬、数秒にも満たない筈の時が響たちやエレキボタルにはその何倍にも感じられた。

いよいよ、響の拳がエレキボタルの目の前まで来る。

 

━━━よし、この辺り「今だ、未来!!」で…!?

 

エレキボタルが回避に動こうとした瞬間、未来の操るアームドギアから一筋の光が出る。

その光は早く、響を追い越し真っ直ぐエレキボタルに迫る。

この時、エレキボタルは油断をしていた。直前の戦闘でも未来の神獣鏡が発するレーザーを幾つも受けたが、怪人である自分には殆どダメージが入らなかった。

今回もダメージは無い、っと油断した。

 

未来の放ったレーザーはエレキボタルに達し顔面に命中した。

 

「!? ギャアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァッ!!!」

 

「!?」

「やっぱり!」

 

ほんの刹那、目の前の光景に未来は驚き、響は狙い通りという顔をする。

今まで未来の攻撃を受けても傷一つ出来なかった筈のエレキボタルが両目を抑え悲鳴を上げたのだ。

 

何故、今まで平気だった未来のレーザーが効いたのか?

それはエレキボタルの目が巨大な複眼だったからだ。

複眼は人間の目とは違い、あまり首や体を動かす必要が無く、視界も広く高速に動くものも追いやすい。

その分、眼から得た配列情報の処理に手間取ることが多い。

虫は本能で動き、虫型の改造人間はそれ用の脳改造も行われている。

 

当然、エレキボタルも同様だったが未来のレーザーが顔面…正確には眼に直撃したのが大きい。

何よりタイミングが戦闘の最中だったのが更に大きい。

平時ならば強烈な光を食らおうが、即座に脳が配列処理を行い効果も薄くなるが、戦闘+飛行中+響の同士討ちを企んでいた事で、エレキボタルの配列処理が遅れ未来のレーザーの光を処理出来なかった。

 

響は以前に、眠れず昆虫の本よ読んだ時に複眼の情報を得ていたのだ。

 

そして、これが響たちに残された最後のチャンスでもある。

体勢を崩したエレキボタルに響は腰のブースターの火力も上げ更に加速。

ガラ空きになったエレキボタルの腹部に拳を一気に叩きこむ。

凄まじい衝撃にエレキボタルが更に悲鳴を上げると、丁度上空から落下していたヒビキも拳を叩きこむ。

其処は丁度、響の拳で突きあがってる場所だ。

 

「た…立花響! き…貴様…」

 

「アンタたちの悪癖なんてお見通しよ!」

 

既に何度もショッカーの怪人と戦って来た響だ。

その過程で響は怪人たちの悪い癖に気付いている。即ち、油断だ。

響の前に現れる怪人の多くは人間や自分を舐めて、嬲る殺しにしようとする癖がある。

今回のエレキボタルもそうだ、自身がもう一人の立花響と戦っている間に未来を殺しもせず追い詰め、催眠が解けた後も、炎で甚振っている。

響は、エレキボタルがその癖を出すと予想して、未来に合図と共に眼にレーザーを撃ち込むよう話していたのだ。

 

「私たちは絶対に…お前たちに負けないぃ!!」

 

そう言うと響のガングニールのガントレット引っ張っていたパーツが一気に元に戻る。

それは、同時に背中に打ち込んだ響も同様だ。

腹と背中から一気に大量のエネルギーを喰らわされたエレキボタルは、体中に電気が逆流する。

 

「ビリュリュリュリュリュリュッ!!!」

 

断末魔の悲鳴を上げるエレキボタル。

直後、大爆発を起こしヒビキはその爆発で発生した爆風に乗って離れる事に成功したが、響の方は爆発力が予想以上だったのか離れるのが遅れエレキボタルの爆風を直で喰らってしまう。

 

「うわあッ!?」

 

エレキボタルの爆発を直で受けた響が宙に投げ出される。

響は爆風と妙な浮遊感を感じるが同時に脳内は冷静でもあった。

 

━━━しまったな…エレキボタルの爆風を受けるなんて、このままじゃ地面に激突しちゃうな…ワタシの体なら十分耐えられるかな…あれ?

 

地面への衝突し目を瞑り覚悟した響だったが、先の浮遊感とは別の浮遊感と背中に温かいモノが触れている事に気付く。

ゆっくりと目を開け、響が見たのは

 

「未来…」

「良かった…間に合った…」

 

エレキボタルの爆発で吹き飛ばされた響を助けたのは未来だった。

落下する響を受け止めた未来はゆっくりと地上に降りる。

燃えていた地上も、エレキボタルを倒した為か、単純に雨の為かは分からないがあれだけ燃えていた炎も次々と消えていく。

未来は内心抱える響を「なんか重いな…」と思いつつ地上に到着し、響は未来の腕から離れ自力で立ち上がる。

丁度、エレキボタルの爆風で離脱していたヒビキも近くで着地した。

 

「「………」」

「やったね、響! 皆であの怪物を倒したんだよ!」

 

暫しの沈黙が辺りを支配する中、未来が二人の響の腕を取って喜ぶ。

かなりの強敵だったエレキボタルを撃破し、未来がその事に喜ぶ姿に響は自分の世界の未来の姿を思い出す。

もうこの世界に来てどの位過ぎたのか分からないが、未来の元気な姿に響は嬉しかった。

 

━━━未来にクリスちゃん、翼さんに会いたいな…

 

フロンティアの異変が世間から自分を守るためにマリアたちと一緒に幽閉され、碌に連絡も取れなかった事もあり久しぶりに自分の世界の未来たちに会いたくなった響。

しかし、戻る方法も見つかってない現状、どうやったら戻れるかなど分かる訳が無い。

 

━━━ワタシ、元の世界に戻れるかな…諦めちゃダメだ!絶対に戻るんだ、例え他の世界から来たかも知れないクリスちゃん達に土下座して「ドサッ」でも…え?

 

一人、思考に入っていた響の耳に何かが倒れる音がして見ると、地面に倒れるもう一人の自分と慌てている未来が映る。

 

「もう一人のワタシ!」

「と…突然倒れて…」

 

響も慌ててヒビキの体に触れると驚いた未来がヒビキが突然倒れた事を教える。

一体何事かと思いヒビキの体を起こす。

 

その時、ヒビキの口から何かが滴った。

最初は雨粒が口に入ったかと思っていたが滴った物が赤い事に気付く。

 

「!?」

 

更には、響はヒビキに不自然さを覚えた。何時もは首の付近を撒いてるだけのマフラーが何時もより下の方にも撒かれ胸部付近まで隠している。

そして、僅かだがマフラーが赤く変色していた。

 

「! まさかッ!?」

 

嫌な予感が頭に過った響は胸元を隠していたマフラーをどけ…絶望した。

ヒビキは胸からも出血し胸の中心が凹んでいた。その大きさは響の拳とみったりだった。

 

「! この怪我って…」

「…私の…拳だ…寸前で…止まったと…思っていたのに…」

 

ヒビキの傷を見て口元に手をやる未来と自分のしたことに絶望した響。

あの時、響はヒビキの命賭けの説得で正気に戻した、それは事実だ。しかし、寸前までいった響の拳の勢いを止めれるものではない。

何より、響は改造人間でありガングニールの力を増幅させる能力がある。これのお陰で響は今まで多くの怪人とゾル大佐と死神博士も倒してきたが今回はその力が仇となった。

響が寸前で拳を止めようがヒビキへの攻撃が完全に無くなったりはしない。拳を寸止めしようが、響の拳が発生させた衝撃波が響の胸を襲ったのだ。

ヒビキはその事を黙っていたのはエレキボタルの存在と響に罪悪感を与えない為だったが、戦闘が終わった事で緊張の糸が切れヒビキは気絶した。

 

尤も、響が寸止めしなければシンフォギアごと胸を貫かれていただろう。

 

「響…」

「私の…私の所為だ…私の所為で…また…」

「響!?」

 

未来が響に声を掛けるが響はうわ言の様に「自分の所為だ」と言う。

それからは、未来が幾ら喋りかけても響は一切反応せずブツブツ言うだけだった。

こんな響の姿を見たことが無い未来は、もうどうしていいか分からず通じる様になった通信機のスイッチを慌てて入れる。

 

『未来、そっちは…』

「奏さん!!」

 

通信が繋がり奏が未来の現状を聞こうとしたが、慌てている未来はそれを聞いている余裕がない。

そして、未来の様子がただ事ではない事が奏にも伝わる。

 

「響が…響が!」

『…落ち着いて話しな未来…』

 

奏が落ち着くよう言い、未来と二人の響に起きた事を説明する。

その後、間もなく特異災害対策起動部二課が送ったヘリが三人を回収し別系統の病院に運ばれる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…作戦が失敗しただと!?」

 

一方、ショッカーのアジトにて吉報を待っていた地獄大使の耳に入ったのは送った怪人が返り討ちにされた凶報だった。

戦闘員が続けて報告する。

 

「シラキュラス並びにモスキラス、エレキボタルが全て撃破されました」

「全滅!?あれだけの強化改造を施した怪人が全滅だと!」

 

線t老員の報告を聞いた地獄大使は奥歯を噛み締め鞭を振る。

鞭は誰も居ない場所に振り下ろされると共に小さな爆発が起こる。

流石の地獄大使も部下に当たり散らす程愚かではなかった。

 

「役立たず共が! …まぁいい、ショッカー墓場がある限り怪人どもは何度でも蘇る」

 

強化された怪人が倒されるのは、地獄大使としても確かに痛いには痛いがショッカー墓場による悪魔祭りを行えば倒された怪人たちは復活する。

生贄となる人間が居る限り怪人たちが尽きる事はない。

 

「連敗しようが最後に勝てば問題ない。 最後に笑うは我らショッカーよッ!」

「イーーーッ! 地獄大使、一大事です!」

 

何れは数でシンフォギア装者を圧殺する事を想像し笑みを浮かべる地獄大使の耳に血相を変えた(マスク越しだが)戦闘員が急いで部屋に入ってくる。

 

「…どうした?」

「そ、それがっ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同時刻

とある海岸沿いに近い交番では、

 

「先輩、最近失踪者が多いらしいですよ」

「失踪者? おおかた家出かノイズにやられたんじゃねえのか?」

 

若い警官が年配の警官が雑談をしている。

ここ最近、失踪者や行方不明者の数が激増しているが年配の警官は家出かノイズだと言う。

昔から、ノイズが出現する度に誰かが炭化するのが彼らの歩んだ歴史だ。

特異災害対策起動部二課がノイズを退治しようがそれは変わらない。

故に、彼らにとっても他人の命は安いとも言えた。

 

「ノイズと言えば、噂ですけど妙なベルトをした新種のノイズが確認されたとか…」

「…どうせガセだろ、昔から出現不明なノイズの話なんてたたあるからな。人間だけを炭化するノイズとか、人間にそっくりノイズとか…」

 

警官二人がノイズ談義をしていた時だ。

突然、交番のガラス戸が音を立てて開くと共に黒い影が入った。

それもドサッと倒れる様に

 

「お、おいアンタ大丈夫か! …よく見りゃヒデエ傷じゃねえか、救急車!」

「は、はい!」

 

突然の事だたが年配の警官が倒れた男に近づき様子を見ると所々傷だらけの上に来ていた黒いスーツもボロボロになっている。

年配の警官は若い警官に直ぐに救急車を呼ぶよう言い、若い警官も言われた通り交番に備え付けられていた電話を取ろうとした。

 

「ま、待ってくれ!」

 

だがそれを、止めたのは傷だらけの黒服だ。

黒服は息も耐え耐えながらも言葉を続ける。

 

「す…直ぐに、特異災害対策起動部二課司令官の風鳴源十郎に連絡をとってくれ!」

「特異災害!?」

「あんた特起部二の関係者かよ」

 

二人の警官が特異災害と聞いて驚いたような表情をする。

世間では特異災害は一課しか知られてないが公務員である彼らは二課の存在を知っている。

尤も、秘密が多い事で政府関係者からも特起部二呼ばわりされているが

 

「何でもいい、早く風鳴源十郎指令に繋げてくれ! 急いで報告しないといけないんだ!」

 

黒服の血相を変えた言葉に救急車を呼ぼうとした若い警官も政府筋に繋げる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




未来が通信で言っていた響は二人ともでした。


原作だと、エレキボタルはおやっさんの何時の間にか用意した簡易アースにより弱体化されライダーに倒されましたが今回は三人もいたのでゴリ押しです。
空を自由に飛び回るエレキボタルに大苦戦。

それで倒した結果、ヒビキは重症、響のメンタルがズタボロになりました。

因みにエレキボタルですが、70年代より進んでいる2040年代の東京都(シンフォギアの時代設定はその位)の電力なのでよりパワーアップしてました。

複眼うんぬんの話は適当です。
ネットで調べて、光を配列処理しているという情報から適当に設定しました。

そして、盤石なはずのショッカーに異変が、
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