改造人間 立花響のシンフォギア   作:一種の信者

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最近、ネットの繋がりが不安定な気がする。


123話 沈む島 潰える野望

 

 

 

=マリア 奏=

 

ショッカーの基地に改造されたじごく島。

 

島内部に造られたアジトの下層部分。

幾つもの機械が置かれた場所で、金属音と打撃音が響く。

 

「いい加減死んで貰うぞ、マリア・カデンツァヴナ・イヴ!!」

 

「クッ!?」

 

飛び掛かるイモリゲスがマリアにすれ違いざまにマリアの腕を引っかき傷を付ける。

腕に纏っているシンフォギアとインナーが破かれ宙を舞い、マリアの腕から鮮血が漏れる。

マリアとて、ただ攻撃を受けるだけではなく短剣を蛇腹状にして鞭のように使うが悉くがイモリゲスの腕が防ぐ。生身に見えるのに金属音と火花が上がる事でマリアも眉を顰めている。

 

傷口を押さえつつ、再び反撃しようと蛇腹剣を持って振り返るマリアだが、イモリゲスの居る場所には誰も居ない。

 

「! また!?」

 

咄嗟に自身の脚元に赤い水たまりのような物を見つけると同時に赤い水たまりから腕が延びマリアの頬をかすめる。

マリアは、イモリゲスの液状化能力に苦戦していた。

少しでも視線を逃れれば、イモリゲスは赤い液体に変化しマリアの足元や頭上に移動し不意打ちの攻撃を繰り出している。

そして、マリアのアガートラームの短剣も液体化する事により回避している。

 

「どうだ、俺様の性能が分かったか?」

 

イモリゲスに振り回されるマリアの姿を見て言い捨てる。

マリアも、今までとはまるで違う戦いに対応しきれない。

マリアはハッキリ言って苦戦している。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

マリアたちから少し離れ、ビーカーやフラスコが幾つも置かれた机、何かの実験中とも思われるが、其処に衝撃が走る。

 

「イタタタタ…」

 

衝撃の下である奏は「痛い」と呟き起き上がろうとした。

足元には先程まで置かれていたビーカーやフラスコがガラス片となり液体も流れる。

 

「バァァァラァァァァッ!!そろそろ死ねぃ!」

 

「そう簡単にくたばってたまるかっ!!」

 

バラランガが奏に向け、自身の棘を投げつける。奏も、投げられた棘をアームドギアの槍で叩き落すが、一瞬ふらついた。

棘の匂いが奏の鼻に届いたのだ。その匂いに奏は一つの結論に辿った。

 

「!…テメェー、棘に麻薬の類を仕込んでるな!」

 

「気付いたか、天羽奏!大量に吸えばシンフォギア装者もどうなるかな?バァァァラァァァァッ!!」

 

経験上、棘の匂いが麻薬だと感じた奏が、バラランガにそう言うとアッサリと認める。

バラランガの能力や様子から、長時間吸い続ければ危ないと感じた奏は切り札の一つを切る。

 

「テメェーに見せてやるよ、アタシの切り札の一つをな!」

 

「如何あがいても無駄だとまだ分からんようだな、バァァァラァァァァッ!!」

 

奏の言葉を負け惜しみと捉えたバラランガが勝利を確信して、奏えと飛び掛かる。

目的はバラランガ自身に生えている棘で串刺しにし、棘の麻薬で奏の体を麻痺させるためだ。

その間、奏は眼を閉じ神経を集中させ息を整える。

 

「はあああああああああああッ!!」

 

そして一気に息を吐くと同時に気合を上げ、声を出す。

途端、奏の体を中心に炎の渦が立ち上る。そして、炎が治まると奏の纏うシンフォギアが変化していた。

響と同じ、白と薄オレンジのシンプルなシンフォギアが燃えるようなオレンジ色のマントにインナーや籠手部分が紫…一見、夜空の色にも見えるようなシンフォギアだ。

 

「炎だと!?炎を操れるのは風鳴翼だけじゃないのかい!?それにそのシンフォギアは一体…」

 

「やっぱり、お前たちはアタシのブリーシンガメンギアを知らないんだな!教えてやるよ、炎を使うのが翼だけじゃないってね!!」

 

奏のブリーシンガメンギア。

嘗て、この世界ではない風鳴翼と共に巻き込まれ解決した事件があった。

ブリーシンガメンギアもその事件で奏が手に入れた力の一つで奏の切り札の一つだ。

その力をバラランガに見せつける。

 

変わったのはシンフォギアだけではない。持っている槍も両側が刃になり、その刃が三つに分かれバラランガへと迫る。

 

「な、何だい!これは!?」

 

奏の放った槍の欠片がバラランガの周囲を回りだし速度がドンドン上がっていく。

更に奏も槍を回転させバラランガの体を切り刻んでいきやがて炎の竜巻が奏を中心に現れバラランガを包み込んだ。

 

SUNFLAME∞CREMATION

 

「こんな馬鹿なああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ………」

 

断末魔を上げるバラランガだったがやがて悲鳴も消え、奏の周囲に幾つもの塵が落ちていく。

ふと、奏が足元を見るとバラの花びらが落ちており、それを拾い上げた。

 

「奏姐さんを甘く見るからだ…」

 

そう言って、奏は持っている花びらをフッと息を吹きかける。

バラの花びらが明後日の方向に飛んでいきやがて見えなくなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「な、何だ?天羽奏のあのシンフォギアは!?」

 

マリアと戦っていたイモリゲスも視界の端で炎の竜巻を作りバラランガを撃破した様子を見て言葉を失う。

情報では、イグナイトやアマルガムの力を持っているのはマリアとクリスだけ(小日向未来は未確認)で天羽奏は更に別の並行世界の住人である筈。

そのシンフォギア装者が全く未知のシンフォギアを見せたのだ。

 

「余所見してる場合!?」

 

そして、マリアもイモリゲスの隙を見逃さなかった。

蛇腹状にしたアガートラームの短剣で逆にイモリゲスの首を絞める。

 

「クッ、マリア・カデンツァヴナ・イヴめ!!」

 

イモリゲスも首に巻き付くアガートラームを振り解こうとするが上手くいかない。

ならば、再び液状化して逃れようとするが

 

「おっと、簡単には逃がさねえよ」

 

「天羽奏!!」

 

バラランガを倒した奏がイモリゲスの近くに着地する。

このままマリアのアガートラームか奏のガングニールの槍でトドメ。かと思われた。

突如、爆発と共にマリアたちの居るフロアが轟音を立てて揺れる。

 

「キャア!」

「何だ!?」

 

突然の事にマリアが悲鳴を上げ、奏が何事かと辺りを見回す。

直後に、アンドロガスの入っているタンクが次々と落下していく。

それどころか、ゆっくりとだがフロア自体が下に移動してる様にも見えた。

 

「天羽奏!貴様、バラランガを倒す際この部屋を支えていた装置も破壊したな!!」

 

現在、マリアたちが戦っている場所は実験を目的としたフロアだ。

下に用がある場合、フロアごと移動できるよう作られている。奏はバラランガとの戦闘の際にフロアを動かす装置を破壊し、制御を失ったフロアが重力にさkらえない上に戦闘の衝撃で下に沈んでいるのだ。

その証拠に、フロアの落下するスピードが少しずつ上がってきている。

 

「マジで落ちてるぞ!マリア、逃げるぞ!!」

「ええっ!…!」

 

落下するフロアから脱出しようとする奏。マリアも続こうとするが蛇腹状になった短剣を戻そうとするが、何かが引っ張る。

イモリゲスだ。

 

「せっかくだ、このアジトの最下層まで案内してやる!」

 

「マリア!?」

 

マリアの脱出を阻むイモリゲス。マリアが藻掻くが、怪人であるイモリゲスの力になすすべない。ならアガートラームの蛇腹剣を手放そうとしたが、その動きを読んだのかイモリゲスの舌が再びマリアの首に巻き付く。そして、マリアはフロアごと地下に落ちていく。。

そんなマリアに気付いた奏がマリアを追いフロアと共に最下層へと向かう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

=響 ヒビキ 未来=

 

一方、島の地上ではもう誰も住んでいない家屋の壁がぶち破れ誰かが中に入る。

ヒビキだ。

倒れていたヒビキが身を起こし、口から血を吐き出す。

 

「ゥニィィィィィッ!まだ死なんか、立花響!!」

「俺たちの世界同様しつこい小娘だ!」

 

ヒビキが開けた壁の穴から声がすると、壁から腕が生える様に出てきて穴を広げ、二体のウニドグマが現れる。

ヒビキを追って来たのだ。

若干、ふらつきつつも拳を構えるヒビキ。

確かに、目の前の怪人は強いと言えるが倒せない相手ではない。

その時、天井からビームが撃ち込まれウニドグマたちの体勢を崩す。その隙を見逃さずヒビキのシンフォギアの腰のブースターが火を起こし加速する。

 

 

 

 

 

 

 

「ハア…ハア…」

 

その頃、ヒビキが突っ込んだ廃屋に神獣鏡のビームを打ち込んだ未来は神獣鏡のシンフォギアの力で空に浮いていた。

ウニドグマを撃破した時に一瞬の隙を見つけ、空へと舞うのだ。

未来の想像通り、ウニドグマたちは未来を追って空を飛ぶ事は出来ない。未来が安全圏で攻撃できる。

しかし、未来のシンフォギアは空を飛べるがその分、威力も低くなってしまう。

 

「…! また避けられた」

 

更には、ウニドグマも戦闘員と別格であり未来が小さな鏡で撃ったビームを悉く避けていく。

ウニドグマを倒すには『流星』クラスの威力が必要だ。

尤も、未来の飛行も無駄とは言えない。

 

 

 

 

 

 

「グッ、小日向未来め!またか!」

 

「今だ!!」

 

未来の攻撃を背中で受けたウニドグマが体勢を崩し地面に膝をつく。

響はそれを見逃さず、そのウニドグマに蹴りを入れた後に後ろを向き背中をぶつける。

鉄山靠を受けたウニドグマは断末魔を上げる事無く爆発した。

 

未来は、遠くからウニドグマを倒せないと知ると響やヒビキの援護をし、二人を助けていた。

未来の援護を忌々しく見るウニドグマたち、せめて空を飛べる怪人も居ればと自分たちが思うとは思わなかったが、無いものは無い。

 

「おのれっ!またしても!」

「早く、小日向未来を殺せぇ!」

 

未来の援護はウニドグマたちにとっても無視し辛い物だった。

鏡を操ってのビームなら、ウニドグマの体に何発当たろうが倒すほどの威力は無い。しかし、完全に無視をすれば流星で焼いてくる。

現にヒビキの方も体勢を崩したウニドグマに打ち勝っている。

 

空を飛ぶ怪人が居れば小日向未来と戦うことが出来るが、残った怪人で飛べるのはアブゴメス一人。

そのアブゴメスも、侵入した雪音クリスたちと内部で戦っている。

 

「…なら、降りてくる理由を作るだけだ」

 

一体のウニドグマが不気味に呟く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よし、響がウニドグマをまた倒した」

 

空を飛び、ウニドグマの攻撃が届かない場所まで行き響たちの援護をしている未来。

安全圏からの援護で響たちがウニドグマの数を減らしている事を確認して隙をついてウニドグマに鏡のビームを喰らわせる。

隙があれば、背中のユニットを開放して流星も撃ちたいが、ウニドグマたちもそこまでマヌケではない。

未来が流星を撃つ態勢を取れば、ウニドグマたちは響との戦いを中止させ回避行動に移る。

時には、響を盾にするように移動するので未来としても簡単には撃てない。

それでも、着実にウニドグマの数を減らしていたが。

 

━━━よし、次はあのウニドグマを…!?

 

響の援護として次のウニドグマを狙おうとした時、未来の耳に声が聞こえた。

響ともヒビキとも違う、当然ウニドグマでもない少女の声。

一瞬、クリスやマリアたちが戻ったのかとも考えたが、それにしては幼い気がする。

未来が声の方に視線を向けると、暗い茂みの方に少女と思しき影が見えた。

 

「生き残り!?響たちは…気付いてない!」

 

未来が響たちの方を見るが、響は複数のウニドグマを相手をしヒビキも廃屋から出てウニドグマと戦うが完全に死角になっている。

響たちに急いで生き残りが居ると伝えるか迷う未来。伝えれば響たちも気付くだろうが当然ウニドグマたちも気付く。

下手に知られればウニドグマは躊躇いなく少女を人質にして自分たちに降伏を迫る筈だ。

 

「響たちが行けないなら、私が…!」

「え、未来?」

 

もう自分が少女を保護するしかないと考えた未来が視線を戻した時、少女の傍に近寄るウニドグマの姿を見つけ急いで降下する。

突然の行動に未来の名を呼ぶ響。

 

未来の行動は早く、ウニドグマが到達するよりも早く少女の傍まで降りる事に成功した。

 

「此処は危険よ、急いで…! マネキンにテープレコーダー!?」

 

未来が少女に話しかけ避難を呼びかけるが、微動だにしない少女。

その時、風が吹くと共に髪が揺れて目元まで見た時に気付いた。少女はマネキンで足元には少女の声がするテープレコーダーが置いてある。

 

「馬鹿め、まんまと罠に嵌ったな!」

 

「しまっ…!?」

 

少女の正体がマネキンだと知った未来の耳にウニドグマの声が響く。

咄嗟に、空へと逃げようとした未来だが足元の土が捲れ未来の両足を何者かが握る。ウニドグマが何時の間にか地面に潜り未来を抑えたのだ。

それどころか、少女に近づいていたように見せかけの為にもう一体のウニドグマが合流する。

 

「ウニィィィィ!貴様等の事だ、こんな罠に簡単に引っかかる!」

「つまらん人間どもなど守ろうとするからこうなるのだ!」

 

二体のウニドグマが未来の行動を嘲笑う。

ショッカーにとって、未来の行動は意味はなく弱く愚かな人間を守るなど無駄な行動でしかない。

今回も、視界が悪いとはいえ空中で響たちの援護をしていればいいものを、人間一人の為に不意にしたのだ。

こうして、宙を舞う鳥は捕まってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

=マリア 奏=

 

島のアジトに造られた中心部の巨大な空洞。

本来は、フロアそのものをエレベーターのように上下させる為に造られた空洞だが、遠くから鈍い金属音が聞こえるとドンドン大きくなり次の瞬間には何かが落下していく。

同時に、その落下する物を追う薄紫の光も通り過ぎる。

 

「クッソ、距離が中々縮まらねえ…」

 

思わず声を出したのは、落下する物を追う奏だった。

空洞に設置されていた灯りが一瞬、奏の顔を照らす。見る人間が見ればその表情は実に焦っていた。

当然だ、突如崩落したフロアが落下し未だに其処が見えない大穴を落ち続けている。マリアも一緒に。

 

━━━ここ、どんだけ深く掘られてんだよ!落下してそれなりに経つぞ! …何だ?明かりが見えるが…まさか!?

 

底の方に明かりが見えた奏だが、漂う空気と色により一層焦りだす。

直後に、落下していたフロアが轟音と共に止まった。

 

「キャアッ!?」

 

止まった衝撃にマリアは悲鳴を上げた。

衝撃で体が床に叩きつけられたのだ。マリアを逃がさないようにしていたイモリゲスも何時の間にか姿が消えている。

 

「マリアっ!」

「だ、大丈夫よ…」

 

悲鳴を上げたマリアを抱き寄せる奏に安心するよう言うマリア。

とんでもない浮遊感の後の衝撃だがシンフォギアが守ってくれた事で大した怪我もない。

 

「一体どの位落ちたの?…熱っ!?」

 

一体、自分たちがどの位落ちていたのか疑問に思ったと同時に周囲の熱気に気付き見渡した。

遥かに深い場所に落ちた筈なのに周囲は赤く光りとんでもない熱気が周囲を包む。

下の方には赤い光の源であるドロドロした物が流れ、水が湧きたつようにあぶくを作る。

 

「…溶岩!?」

「やっぱり溶岩だよな」

 

下のドロドロ赤く光る液体が溶岩だと驚くマリア。

奏も信じられないとばかりに反応する。島の地下にアジトが造られたのは知ったがマグマが噴き出す地層まで掘っていたのは完全に予想外だ。

その時、マリアたちの立っている足場がまた一段下がる。徐々にマグマの熱気も強くなってきた。

 

「不味い、このままじゃ溶岩に溶かされるわ!」

「あっちに足場がある、其処に行こう!」

 

自分たちの乗るフロアの残骸がマグマの中に沈んでいく事に焦る二人。

っと、奏は溶岩の上に造られた足場を見つけ其処に移動しようと言う。

奏の提案に乗ったマリアは奏と共に乗っている足場を離れ設置されている方に飛び乗った。

直後に、マリアたちの居た足場は薬品がマグマに呑まれたのか爆発を起こし火の海となる。

フロアにあった薬品も、クローン人間が入った鉄製のカプセルもアンドロガスのタンクも全て燃えていく。

 

「危なかった…」

「でも此処って…」

 

マグマに沈んでいく元フロアを見てゾッとするマリアと奏。

シンフォギア越しにも感じる熱、落ちれば自分たちもただでは済まないと感じる。

 

「ようこそ、マリア・カデンツァヴナ・イヴに天羽奏。我らのアジトの最下層へようこそ!!」

 

熱気に包まれた空間に突如、自分たちを呼ぶ声に振り向く。その先には

 

「…そこに居やがったか」

「イモリゲス…」

 

二人の視線の先にはマリアを拘束し此処に連れて来たイモリゲスの姿がある。

ただでさえ醜い容姿のイモリゲスがニヤリと笑っているようにも見えた。

 

「此処は地獄の一丁目、このアジトのエネルギーを取り出す場所だがお前たちの墓場でもある!」

 

「こんな場所まで掘りぬいてるなんてねっ!」

「テメーの顔も見飽きてんだ、いい加減決着といこうぜ!イモリゲス!」

 

二人はアームドギアである短剣と槍持ちイモリゲスに言い切る。

シンフォギア越しとはいえ、あまりの熱さに二人は一刻も早くこの場から移動したいのもあったが。

 

対するイモリゲスも余裕の姿勢を見せると片手を上げる。

直後に二人を取り囲むように戦闘員が現れた。

 

「…またか、ノイズみたいに現れやがってっ!」

「いい加減尽きないのかしらね」

 

アジトに潜入する前も、潜入した後も多くの戦闘員と戦ったマリアと奏だがいい加減戦闘員との戦いにウンザリしている。

ノイズと違い、人間に見えるからか二人にとって、まだノイズの方が戦いやすく感じている。

 

「ケッケケケケ、こいつ等をただの戦闘員と思うな!」

 

しかし、二人の反応にイモリゲスは笑いながらそう言いのける。

よく見れば、戦闘員たちは何かを背負っている事に気付いた。

それが何か分からなかったが、戦闘員が一斉にマリアと奏を攻撃しだす。

勿論、マリアも奏もやられる気はなくアームドギアで反撃、その内の一体の戦闘員が反撃の勢いで溶岩にダイブした。

 

直後、今までにない程の爆発が起き爆風によってマグマが散りマリアたちに降り注ぐ。

 

「熱っち!?」

「…何なの、今の爆発は!?

 

幸い、飛び散った溶岩はシンフォギアに当たっただけだが、その際の熱に奏が「熱い」と口にし、マリアが爆発した事に驚く。

今までの戦闘員は倒された場合、緑色の液体となり消滅していた。それが突然爆発したのだ。

 

「どうだ、コパルト爆弾を背負った戦闘員の爆発は?果たして何時まで耐えられるかな」

 

「コパルト…」

「爆弾だぁ!?」

 

イモリゲスが指揮する戦闘員たちが爆弾を背負う。

通常の場合ならそこまで脅威ではないだろうが、周辺がマグマだらけのこの場所では厄介の一言だ。

迂闊にマグマに落とせば爆発し溶岩が飛沫として自分たちを襲う。かと言ってマグマに落とさなくても爆発知れば自分たちの乗る足場が崩壊し何れは溶岩にドボン。

 

だが、それ以上にマリアには気掛かりな事があった。

 

「…天羽奏、気を付けなさい」

「?」

「コパルトって言葉は核物質の意味もある恐らく…」

「まさか…反応兵器(核兵器)か!!?」

 

マリアの口から聞いた言葉は奏も信じられないといった反応だった。

偶にとち狂ったアメリカが使う事があったがショッカーも反応兵器を作り運用しているのだ。自身の想定しているショッカーの危険度が更に上がる。

 

「ケッケケケケ、その通りだ!本来なら爆撃機に積まれ日本に投下し焼け野原にする為に使う予定だったが…お前たちのシンフォギアはどの位、放射能に耐えられる!?」

 

イモリゲスが笑いながら言い戦闘員に戦うよう指示をした。

 

シンフォギアには、バリアフィールドがありノイズや戦いで体を守ってるが放射能に対する耐性は不明確でもある。

このまま爆弾を爆発させれば濃度が上がりシンフォギアの強度では持たなくなるかも知れない。

対して、ショッカーは世界中を放射能で汚染させる計画も立てていた。放射能への耐性などシンフォギアと比べ物にならない。

 

そして、一斉に飛び掛かる戦闘員だがマリアと奏がアームドギアを振り回した直後に戦闘員たちが倒れる。

背負っているコパルト爆弾は静かに沈黙している。

 

「爆発しない!?」

 

「ようは背中の爆弾に気を付ければいいだけだろ」

「時限式でもなさそうだし、とっとと片付けさせてもらうわ」

 

戦闘員を倒しても背中の爆弾は爆発しない。爆発する条件は戦闘員を溶岩に落とすか爆弾に衝撃が入った時だと気付いた二人は背負っていた戦闘員だけを倒し、ふんぞり返っていたイモリゲスに一気に近づき攻撃をする。

 

マリアと奏の攻撃を受けるイモリゲスだが、イモリゲスも強化された改造人間だ。簡単には沈まない。

振り回される槍や短剣を巧みに避け、時に受け止めカウンターにパンチとキックが二人を襲う。

時には、液体化し攻撃事態を避け背後に回り首を絞めたりもした。

 

「いい加減死ねっ!」

 

「また舌か!」

 

戦いに焦ったのかイモリゲスが奏に向け舌を伸ばし首を捉えようとしたが、奏は即座に反応しアームドギアの槍で舌を突き刺し床に突き刺す。

槍の痛みと溶岩の熱さにイモリゲスが悲鳴を上げるが、奏はイモリゲスの舌を食い止めるだけで必死だ。

だからこそ、少し距離のあったマリアが、短剣を十字に切り左腕の籠手を巨大な爪化させ左腕自体を包み込む。

そして、一気にイモリゲスの方に付きだすとマリアの左腕から十字状のエネルギーが飛び出しイモリゲスへと殺到する。

 

DIVINE†CALIBER

 

「なっ!」

 

マリアの攻撃を見た奏は槍を引き抜きその場を離れ、舌が自由になったイモリゲスはマリアの攻撃に気付いたが避け切れず十字状のエネルギーが直撃し爆発した。

 

「…やったか?」

「手ごたえはあったわね」

 

避難した奏がマリアに聞くとそう返事を返す。

イモリゲス自体かなりの強敵だったのは二人とも認めている。だからこそ、マリアの技で完全に倒したか分からないのだ。

やがて爆発した煙が消え視界が戻る。視界の先にはイモリゲスの姿も見えず周囲に赤い液体もない。

 

「…倒した!」

「シンドイ…」

 

イモリゲスを倒した事に喜ぶが直後に疲労感が二人を襲う。

ノイズとは比べ物にならない程の力と悪辣さだ、この手の戦いに経験豊富なマリアも疲労が隠せない。

何より、こう暑くてはろくに休めないだろう。

とっととこの場から離れようかと考えた二人の耳に何かが聞こえて来た。

 

「何だ?」

「何かが転がり様な…」

 

二人が音のした方を見ると、戦闘員が背負っていた爆弾が外れ転がる。転がる先は…溶岩だった。

 

「「あッ…」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「くっそっ!此処はどの辺りだよ」

「気を付けろ、雪音。このアジトは想像より広いぞ」

 

無機質な通路を走る二人の少女、アブゴメスを倒したクリスと翼だ。

二人は現在、幾つかの階段を下りて通路を走り随分と奥の方に来ていた。

目的は、更に深部に行ったと思われるマリアたちとの合流及び可能なら地獄大使の捕縛だ。

 

そうして通路を急ぐ二人だが、遠くの方で爆破音らしき物が聞こえた直後にアジトの内部全体が揺れた。

 

「な、なんだ!?」

「何かが爆発したようだが…」

 

突然揺れた事で、クリスと翼は転ばない様に止まってバランスを取る。

その間にも、通路の明かりが非常灯に変わり警告のブザーまで鳴る。

 

『警告、警告、最深部のエネルギー炉で事故発生!繰り返す最深部…』

 

「どうやらこの事態はショッカーも予想外のようだな」

「とはいえ、こんな事態でマリアたちと合流…」

 

非常灯や警告音、一部の一室からは火が噴き出し翼は好機と見たが、こんな状態で合流できるのかと心配したクリス。

だが、その直後にクリスの直前の床が突然変形し鋭い物が飛び出した。

 

「できっ!?」

「え、クリス?」

 

その床から飛び出してきたのは槍を大型にして下の天井を貫いて上に昇っていた奏とマリアだ。

クリスは、危うく奏の槍で串刺しになりかけた事で背中から冷や汗を流す。

兎に角、クリス達はマリアたちと合流した。

 

その直後、アジト全体が爆発を繰り返しクリスもマリアたちと共に来た道を引き返し逃げている。

 

「はあっ、核爆弾が爆発した!?」

「あくまでも核物質を使った爆弾よ」

 

マリアたちの説明によると、先ず溶岩に爆弾が爆発しその爆発で残った爆弾も連鎖反応を起こしたように次々と爆発し、その影響かアジトの最下層の溶岩が溢れ出し量が爆発的に増大した。

更にはmその溶岩地帯でエネルギーを取り出していた装置も暴走して各所で爆発。

幸い、他の通路に逃げる事に成功したマリアたちだが、爆発の影響に通路の一部が崩れ後ろからは溶岩が迫る状態になった。

そこで、奏が自身のガングニールの槍を大型にして上に突撃、マリアもそれに続いて難を逃れクリス達と再会した。

 

「要はこのアジトはもう使えないって事だな」

「そういう事!」

 

翼の問いにマリアが答える。

これだけの損害だ、超音速機のある格納庫もエネルギーを取り出していた最下層も使用不能。最早このアジトの運用は不可能だと言えた。

そして、翼たちももうこのアジトに長居する理由もない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クリスとマリアが再開する少し前。

 

「抵抗を止めろっ!!」

 

「「!?」」

 

ウニドグマたちと戦っていた二人の響の耳に大声が届く。

何事かと、声の主であるウニドグマの方を見てヒビキは息を呑んだ。

 

「未来…」

 

其処には、ウニドグマに後ろ手で腕を抑えられ拘束された未来の姿がある。

捕まった。そう判断した響が未来を助けようと動こうとするが未来を捕らえたウニドグマがそれを見逃す訳程抜けていない。

 

「動くな、立花響ッ!それ以上動けば小日向未来の首を圧し折るぞッ!!」

 

そう言うと、ウニドグマは左腕の針を未来の首に向ける。

ウニドグマの声に響は汗を流して奥歯を噛み締めた。下手に動けばウニドグマは躊躇いなく未来の首に針を突き刺すか左腕で未来の首を圧し折る。

脅しだけですます程、ショッカーも優しくはない。

ふと響がヒビキの方を見るとヒビキも目が泳ぎ拳が震えている。

 

━━━下手に動けない、動けば未来が…

 

響にとって親友の未来は大切な存在だ。そして誰よりも救いたい人だ。

それこそ自分の全てを掛けても、勿論捕まっている未来は自分の世界の未来ではない。

それは分かっているが、響の性格もあり動くことが出来ない。

 

未来が人質にされた以上、響とヒビキは掴んでいたウニドグマを放し拳も下した。

 

「ひ…響…」

 

その様子に未来は響の名を口にする。ショッカーの怪人であるウニドグマを言う通りにするのを悔しいと思ったからだ。

対照的にウニドグマはそんな響の様子に笑い声を上げつつ腹が立っていた。

 

「随分と俺の数を減らしやがって、貴様らを使ってウニドグマの卵を成長させてやる!」

 

始めは優に二桁を超えていたウニドグマも今では片手で数える手殿。

それに切れたウニドグマはそう言うと、近くに居た二体のウニドグマが響を拘束する。

ウニドグマの手洗い扱いに悲鳴を漏らす響たち。憂さ晴らしも兼ねておりウニドグマから暴力も飛んでくる。

 

「響ッ!!」

 

「騒ぐな、お前も直ぐにウニドグマの卵のエサに…!」

 

ウニドグマがそう言いかけた瞬間、地面が否、島全体が揺れると共に地響きが聞こえた。

そして、未来を人質にしているウニドグマの居る地面が隆起しウニドグマがバランスを崩す。そして隆起した地面から何かが飛び出した。

 

「よっしゃー!脱出したぞぉー!」

 

「クリスちゃん!?」

 

それは大型ミサイルに乗ったクリスだ。更にはマリア、奏、翼も大型ミサイルに乗っている。

 

クリス達は各所で爆発するアジトから脱出する為、マリアたちと合流した時と同じ天井を突き破る事にした。

クリスの乗るミサイルも天井を破壊してクリスがアームドギアで出した物に乗った物だ。

 

「!」

 

「ウニィ!?」

 

兎に角、未来がウニドグマの腕から抜けた事で響は動きを抑えていたウニドグマを倒し、そのまま別のウニドグマに拳を繰り出す。

見ればヒビキも響と同じ反応しウニドグマを倒している。

 

残ったウニドグマは後二体。

 

「立花響ッ! 貴様-っ!!」

 

「この島の人達の仇、取らせてもらう!」

 

未来を人質にしていたウニドグマから怨嗟の声がするが、響はそう言うと拳を握りしめ右腕のガントレットのパーツを引っ張る。

そして腰のブースターが火を噴き一気に加速する。

 

「カミナリを握りつぶすようにッ!!!」

 

「ウニィーーーーーーーーーーーッ!!!!」

 

態勢を立て直そうとしたウニドグマだが、それよりも早く響の拳がウニドグマを貫く。

響の拳の勢いにウニドグマは崖下に落ち荒れ狂う海へと落下、そして数秒と立たずに爆発し海面が盛り上がる。

海の飛沫が響に少しかかった響はヒビキの方を見ると、丁度ウニドグマが爆発してる光景だった。

この島で増えたウニドグマは響たちが全滅させた。

 

 

 

 

 

「おい、大丈夫か…って」

「そっちも決着がついたようね」

 

脱出する為のミサイルから降りたクリスたちが響たちを援護しようと着たが、目の前には肩で息を切らすヒビキと未来の肩を抱えている響が居る。

彼女たちの様子から怪人たちとの戦いに勝利したと判断するマリア。

 

「はい、…なんとか」

「でも島の人たちが…」

 

救助目的だった島民たちは全滅した。

仮にアジトに囚われていようとあの爆発では生存は薄い。誰もが口をつぐむ中島全体に巨大な揺れが装者たちを襲う。

 

「何、この揺れ!?」

「まさか、アジトの爆発が島全体に!?」

 

今までにない揺れにヒビキと未来は焦り、マリアと翼がアジトの爆発が原因だと感じた。

直後に回復した通信機から源十郎の怒号が響く。

 

『島全体が吹き飛ぶエネルギーが観測された!急いで戻れぇ!!』

 

アジトの再可能の爆発が溶岩を刺激し、更にアジト内にあった火薬や燃料も溶岩に飲み込まれより高ぶっていた。

最早猶予はない。響たちは急いで本部である特異災害の潜水艦に戻り潜航する。

 

そして間もなく島全体が爆発し大気を震わせ島その物が海の中へと沈んでいく。

その光景を唖然と見続けた特異災害。

 

後に政府はじごく島が噴火し沈んだとし島民は全滅した公式発表する。

 

 

 

 

 




※地獄大使はとうに逃げ出してます。

ウニドグマはあまり強い印象がない。
その理由は、首領の「仮面ライダーは来ぬ!」発言とこのシーンの直前のやる気がなくアッサリ帰ったガニコウモルの所為だと思う。
その後も、村に入る滝を覗き見て居たり…首領は知ってたんだろうか?

バラランガもイモリゲスも破れ残りは地獄大使、ただ一人か?

島が沈みましたが仮面ライダーの続編のV3だと島一つが爆散してるし平気平気。ハリフグアパッチ回。

シンフォギアには溶岩への少しある設定です。
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