「ガングニールの反応が新たに五つっ!?」
「響ちゃんやマリアさんより反応は弱いけど数値は本物だ!」
ショッカー最後のアジトの戦いを見守る特異災害対策機動二課の指令室だが、機械から警報のような物とモニターに幾つもの文字が映し出される。
その解析にてんやわんやする職員たち。
今直ぐにでも司令官である源十郎の助言が欲しいが此処に居ない以上如何しようもない。
特異災害対策機動二課の職員たちは情報を解析しつつ見守る事を継続する。
後に、戦いが終わった後に報告を聞いた源十郎が「ガングニールだとっ!?」と反応したのは言うまでもない。
その頃、ショッカー響及びショッカーマリアが現れたアジトの地上では、幾つもの爆発が起こる。
ショッカー響が指から幾つもの小型ミサイルを出し、対する特異災害対策機動二課もクリスがミサイルを出して抵抗する。
「アイツの手からミサイルだとっ!?ショッカーの奴等め!」
「完全に私たちの嫌がる事が分かってるわね」
ショッカー響が拳ではなく指先からのミサイルを見てクリスは憤り、マリアは敵ながらも感心していた。
クリスはマリアより響との付き合いは長く、本人は言わないが小日向未来と同じく響を親友だと思っている。
その響の姿で攻撃すればクリスにとっても精神的ダメージになるだろう。
「それに…」
マリアは視点をショッカー響から動かす。
視線の先には自分と瓜二つの女性。違うところと言えば纏うシンフォギアぐらいだ。
「こうして、ガングニールを纏う私の姿を見ると暴走した時を思い出すわ」
「ああ、アレはあれでな…」
クリスもマリアも過去に似たような状況があったのを思い出す。
ガングニールを纏ったショッカーマリア。敵意剥き出しの眼にガングニールの槍を持つ姿に嘗て、訓練室で暴走した己の姿を思い出したマリア。
尤も、あれは仲間であるエルフナインが暴走状態でのシミュレート機能が暴走して姿を得た訳だが。
「ようは、あの時みたいに止めれば良いんだろ?」
「そうね今回は本部の訓練室でもないし手を貸してくれるかしら」
クリスの問いにマリアは警戒に答える。
以前は場所がトレーニングする訓練室で一対一で騒動を収めたが、此処は敵の胸元であるショッカーのアジト。
手加減する理由が何処にも無い事で、クリスもマリアの援護に入る。
対して、ショッカーマリアはショッカー響の援護する形でガングニールの槍を握りクリス達へと迫る。
クリス達に近いが別のショッカー響と戦う天羽奏。
ガングニールの槍と拳が打ち合い火花が生まれる。
「…これであの時の屈辱を晴らせるな、天羽奏」
「あの時…? !お前、S・O・N・Gの指令室で暴れてた奴か!?」
ショッカー響の呟きが耳に入った奏は、目の前のショッカー響は以前に片腕を切り落とした相手だと分かった。
しかし、奏の目にはショッカー響は片腕ではなく両腕が揃っている。
「アタシに斬られた腕は如何したんだい?」
「当然、修理された。改造人間は人間とは違い壊れた個所を取り替えて復活できる」
ショッカー響がさも当たり前のように答えた。
それを聞いた奏は、ショッカーが改造人間を人間扱いしていない事や、ショッカー響自体人間でない事を誇っているように見えた。
━━━修理すれば直ぐに復活できるだと?完全に人間を止めてるな
堂々と人間ではない事を誇るショッカー響に虫唾が走る奏。
その時、背後からの殺気に奏が気付く。
「死ねぇぇぇーーーッ!!」
「!?」
背後に視線を向けると腰のブースターで一気に近づく別のショッカー響。
とっさに槍でガードするが、ショッカー響の蹴りで槍を手放してしまう。好機と見たショッカー響がもう一方の足で奏の頭に向け踵落としでシンフォギアごと頭蓋を砕こうとする。
「奏っ!? させない!」
だが、そうは問屋が卸すかと翼が間に入り剣でショッカー響の踵落としを防ぐ。
ぶつかった瞬間、火花が散るとショッカー響は苦々し気に翼を睨む。
「何してる、三号!せっかくのチャンスを…マヌケ!」
「黙れ一号!先に仕掛けて倒せなかった癖に!」
━━━コイツ等、アタシたちを挟んで喧嘩してる?
奏と翼を挟んで口喧嘩する二人のショッカー響。
S・O・N・G本部の時は不意打ちもあって片腕を切り落としたが、響と二人の攻撃でもビクともしないショッカー響。
少ししか戦闘していない筈なのに、奏も翼も既に肩で息をしている程の消耗している。
「このまま仲違いしていてくれないか」と期待もするが早々に口論を終えた二人のショッカー響は再び奏と翼を襲う。
最後の響たちの方は、激しい打撃音が響く。
「はああああっ!」
「…ハッ!」
二人の響が、ショッカーベルトを巻くショッカー響へ幾つもの拳を繰り出すが、僅かな動きで響たちの拳を躱す。
ほんの少しの腕の力により響たちの拳が少しだけ移動させられる。それだけで響たちの拳は明後日の方向に行きショッカー響には当たらない。
「二人とも避けてッ!!」
「「!?」」
ならばと、未来が神獣鏡の手鏡を操りショッカー響に向けレーザーを撃つ。
未来の神獣鏡なら多少威力が低くとも神獣鏡は聖遺物を分解する能力がある。上手くいけばショッカー響のシンフォギアを分解して戦力の低下を狙えると未来が考えた。
未来の撃ったレーザは真っ直ぐショッカー響へと迫る。寸前で未来のレーザーを躱す二人の響。
レーザーがショッカー響に命中するかと思われたが、
「甘い」
「「「!?」」」
突然、ショッカー響の目の前の地面から何かがそそり立つ。
未来のレーザーはそのそそり立った岩のような物が壁になって命中し爆発する
響もヒビキも未来も完全に予想外な出来事に唖然としていた。
爆発によって発生した煙が出る中、突然何かが飛び出したように見えた瞬間、二人の響の顔に衝撃と痛みが走った。
「アグッ!?」
「グハッ!?」
「響っ!?」
未来は見ていた。煙の中から何かが飛び出し響たちの頬を殴ったのだ。
直後に、一陣ぽ風が吹き煙を吹き飛ばすと同時に響たちを殴った棒状の物が引っ張られる。
「我ら、ショッカーを苦しめたオリジナル共の力はこの程度か」
その声は、未来も聞き覚えがあり聞いた覚えのない冷酷な声をした偽物。
ショッカー響が煙から出るが、その両手には前腕部分が無く代わりに黒い紐のような物があって何かを引っ張ると前腕が戻ってくっつく。
未来には信じられない光景だったが、それは響たちも同様のようだ。
離れた響たちを殴ったのは、ワイヤーの付いた響の腕だった。
「…あんなの知らない、前に戦った時にはあんなものついてなかった」
過去に、フロンティアの戦いで終盤にショッカー響と戦った事のある響。
その記憶には、腕を飛ばしたショッカー響の記憶など無かった。
「知らないのは当然だ。ショッカーは常に進化する、昨日の怪人も今日にはさらに強化されショッカーの戦力となる。ショッカーの覇道にお前たちは邪魔だ、死ね」
「フフフ、順調だな」
ショッカー響たちとクリスたちの戦いを見てほくそ笑む地獄大使。
科学陣の予想通りの性能で響たちと戦う姿を見て満足している。
クリスとマリアを相手にしているショッカーマリアもマントを自在に使い翻弄してショッカー響四号が援護し、翼と奏の方のショッカー響一号三号も設定どおりの連携を見せ圧倒し、ショッカーの宿敵の立花響とこの世界のヒビキと並行世界の未来はショッカー響二号が相手をしている。
「特に、まだ戦い慣れていない小日向未来を守る為に動くから後手に回りやすい」
地獄大使の言う通り、ショッカー響はまだ戦い慣れていない未来を優先して攻撃し、その未来を守る為に響とヒビキは何時もの戦いが出来ずにいた。
ヒビキにとっては、この世界の未来も大事だが並行世界の未来が傷つくところは見たくはない。
━━━このまま戦っても勝てそうだが…どれ、とっておきのダメ押しといくか!
♪~♪~
「ん? 何だ?」
「音楽?」
「!?」
突如、流れて来た音楽にクリスや翼が思わずたじろぎ、響はハッとした表情をする。
隙だらけになったシンフォギア装者たちだが、ショッカー響たちは敢えて追撃はしなかった。
奥歯を噛み締めた響はキッと地獄大使を睨みつける。
「歌?」
「地獄大使!」
「ククク…どうだ、立花響!嘗てお前も歌った我らショッカーの歌だ、懐かしかろう!」
自分たちの物ではない歌に困惑するクリスたち。ただ一人響だけは地獄大使の名を怒鳴る様に言う。
尤も、響の怒気の混じった声を聞こうが平然とする地獄大使。
「…ひでぇ歌だな、自己顕示欲の塊じゃねえか」
「自分たちを称える、自己中心的な歌ね」
今まで幾つもの敵勢力と戦った経験のあるクリスとマリアもこの感想だ。
響が嘗て歌ったという情報は気になるが、仲間や敵の歌も聞いてきた彼女たちにとって自己中心的な歌は初めてだ。
「だが、何故今更歌を…!?」
「翼? グッ!?」
流れえるショッカーの歌を聞くシンフォギア装者だが、何故今流すのか疑問に思った翼だが突然の衝撃に地面に倒れると奏も腹部に痛みが走る。
見れば、ショッカー響の拳が腹に減り込んでいた。
翼を地面に倒したのもショッカー響だ。
翼と奏たちだけではない。
「翼!?」
「早ッ!」
マリアたちの方も、ショッカーマリアの振るうガングニールの槍に吹き飛ばされる二人。
空中に舞うクリス達にすかさず拳で追撃しようとするショッカー響にクリスが咄嗟にアームドギアのガトリング砲を盾にする。
盾代わりにしたガトリング砲は砕け散ったが威力を落とす事には成功した。
それでも、クリスの体は地面に叩きつけられたが
「クリスちゃん!?」
「…!余所見してる場合じゃない!」
地面に叩きつけられたクリスの名を呼ぶ響。
即座にヒビキに余所見をしてる事を指摘されショッカー響の方に視線を戻すと、既にショッカー響が目前に迫っている。
ショッカー響の両腕が迫っており響が即座にその両腕を握り鎮圧しようとするが、ショッカー響の想像以上の力に驚く。
「す…凄い力…」
「フォニックゲインを力に変えるのがお前たちだけだと本気で思っていたのか?」
『!?』
ショッカー響の腕の力に驚く響にショッカー響は驚くべき発言をした。
フォニックゲイン。
シンフォギア装者が歌う事により生じるエネルギー。シンフォギアの下になる聖遺物の力を発揮しそれを使い装者の鉾となり盾の能力を得る。
そのフォニックゲインの力がショッカー響やショッカーマリアの体内で高められているのだ。
「自分たちで歌わずフォニックゲインを高めるだぁ!?」
「改めてとんでもない科学力ね、ショッカーは!」
ショッカーの持つ科学力に舌を巻くクリスと冷静に判断するマリア。
その反応に地獄大使は、口角を更に吊り上げる。
「果たしてそれだけだと思うか?」
「…どういう事?」
「まだ何か仕掛けがあるのか、爺ィ!」
地獄大使の意味深な言葉に反応するヒビキと奏。
クリス達もショッカー響の相手をしながらも意識を向けて居る。
尤も、地獄大使はそれ以上言及せずニヤニヤと不気味な笑みを浮かべるだけだった。
それならば、自分たちはショッカー響たちに集中しようとするクリスたち。
多少、フォニックゲインが減っていようが今までの戦いも経験しているクリスとマリア。奏も未来も其処等辺は経験している以上、ショッカー響との戦いも不利ではあるが防戦一方とまではならなかった。
クリスとマリアを中心に起点を造り何とか迎撃していく。
「!?」
「クリス!?」
その時、ふとクリスが態勢を崩し片膝を地面に付けた。
その動きに奏がクリスの名を呼ぶ。少なくともショッカー響たちの攻撃をあしらいショッカーマリアを牽制出来ていた筈のクリスが突然態勢を崩したのだ。
すると、クリスに続いてマリア、翼、ヒビキ、未来と次々とふらつきつつある。額には汗が浮き出て呼吸がドンドン荒くなっている。
「…なにこれ」
「…ギアの出力が落ちている?」
「やっと分かった、これはシンフォギアのバックファイアだ!」
クリスの脳裏に嘗て、マリアたちとのフロンティアで敵対していた時に使われたAnti LiNKERを思い出す。
あの時も今のように息が切れギアの力が落ちている。
「また、ショッカーがAnti LiNKERを?」
「それなら目の前の立花の偽物だってバックファイアで苦しむ筈だ」
もしこの場でAnti LiNKERが使われていれば自分たちだけでなく目の前のショッカー響たちも同じにならないとおかしい。
自分たちが息切れし動きや反応が鈍くなる中、ショッカー響たちは平然と動いている。
Anti LiNKERが使われたのならこうはいかない筈だ。
「まさか…この歌?」
自分たちに何かが起こってる事には確信しているが正体が分からない響たち。
その時にショッカーの流す歌が聞こえ疑いを持った。
「ククク…気付いたか、この歌がただショッカー響たちの能力を上げるだけではない!」
「…また悪党の自慢話かよ」
「しっ、わざわざ種明かししてくれるのよ。黙って聞きましょう」
地獄大使が自慢げに言う姿にクリスが「自慢話」と毒づく。
そんなクリスの反応にマリアは唇に指をあて地獄大使の話を聞く。
「この場と歌には細工がしてある、歌う事によりショッカー響たちのフォニックゲインを高めるだけでなく敵対者のシンフォギア装者のフォニックゲインを吸収できる」
「私たちのフォニックゲインを!?」
「そういうタイプかよ!?」
地獄大使の口から驚くべき情報に未来が声を荒げる。
嘗てゾル大佐が主導していたショッカー版シンフォギアシステム第三弾と言うべき技術だ。
ゾル大佐亡き後、凍結されていたが死神博士が死んだことで切羽詰まった地獄大使が再び蘇らせた。
シンフォギア装者にとってフォニックゲインは聖遺物の力を引き出す大事なエネルギー。
それが奪われ敵に吸収されるとなると厄介さは跳ね上がる。
「…本当に悪魔みたいな連中ね」
「フフフ、恐れるがいい我らこそ地球の支配者ショッカー軍団だ!」
ヒビキの嫌味も平然とスルーする地獄大使。
ふざけてはいるがシンフォギアの力の源であるフォニックゲインを奪われてはいづれは力尽きる。
「このままじゃ私たちのシンフォギアも…」
「…なに簡単だろ」
このままでは力尽きる。そう呟きかけたマリアだが、奏には策があるのか口を開き皆が奏に視線を向ける。
「忘れたのか?歌には歌だ、翼!」
「う、うん!」
奏が翼の名を呼ぶ。
戸惑いながらも、奏のやろうとしてる事に気付いた翼は返事をすると奏の横に立つ。
♪~~~♪~~~
「この音楽は我々の物ではないだと、馬鹿め!生半可な歌では逆効果だ」
聞こえて来た自分たちの物でない音楽に気付く地獄大使。
尤も、今の状態で歌おうが奪えるフォニックゲインが増えるだけだと楽観視している。
「この歌!?」
「…あの時の」
響とヒビキが歌を聞いて思い出す。
初めてライブに行き感動した二人の歌「逆光のフリューゲル」だと。
「随分と懐かしい歌だな、だがそれだけだ!やれぃ!!」
地獄大使の声にショッカー響とショッカーマリアが攻撃の苛烈さを上げる。
今更、翼と奏が歌ったところで戦況には全く響かないと地獄大使は考えた。
だが、その考えは直ぐに覆される。
先程と打って変わり、クリスやマリアの動きに洗礼さが戻り翼と奏も歌いながらショッカー響たち以上の連携を見せつけ肩で息をし苦戦していた響たちも未来の援護を得て二人の響の見事な連携でショッカー響に反撃する。
「馬鹿な、歌一つでこうも逆転されるだとぉ!?」
「食らいやがれぇ!!」
「さっきまでと同じと思わないでよね!」
「もう一人のワタシ、そっち行くよ!」
「…分かった」
クリスのミサイルがショッカー響に殺到し、マリアの蛇腹剣がショッカーマリアを槍ごと封殺。歌いながら戦う奏と翼も槍と剣で連携しショッカー響たちを牽制。響たちの方もショッカー響の体を投げ飛ばし、飛ばした先にはガングニールの腕のパーツを引っ張ったヒビキの拳など。
対するショッカー響たちも只やられるではなく、反撃を試みるがその悉くが不発する。
その様子に地獄大使は無線機を取り出しスイッチを入れる。
「装置の出力を上げろ!」
『し、しかしこれ以上はショッカー響たちの体が…』
「構わん、倒せなければどちらにしよう死刑と言う名の廃棄処分だ。それとも貴様らも死刑になりたいか?」
地獄大使がショッカー響たちの身体を調整している機関に連絡を入れる。
命令に待ったをかけようとする戦闘員だが地獄大使の死刑発言に従うしかない。
二曲の音楽がその場に流れる。
一つは、スピーカーを最大にでもしたのか大音量の悪の歌とこの場で歌う少女たちが奏でる歌声。
二つの音楽が不協和音のように流れ戦場はより混沌と化す。
戦いに動きがあったのは、マリアとクリスの方だ。
「どうなっている!?フォニックゲインが上がれば上がる程、我々の有利な筈だぞ!」
「アタシ等の歌を舐めんじゃねえっ!!」
ショッカー響の拳がクリスの顔面を捉えるがクリスは拳銃モードにしたアームドギアで逸らし逆にショッカー響の体に何発もの銃弾を当てる。
思わぬ反撃にショッカー響がさっきの言葉を言い、クリスが反論する。
ショッカーの流す歌の出力は上がり、自分たちのフォニックゲインも高まり敵であるシンフォギア装者からもフォニックゲインを横取りできている。
なのに、天羽奏と風鳴翼がデュエットした途端、形勢が徐々に覆ってきている。
そして、ショッカーマリアの相手をしているマリアは
「ㇷゥゥゥッ!フウゥゥゥッ!!」
「さっきまで喋れた筈なのに今は獣ね。暴走状態でも無いのに」
ショッカーマリアが獣のように四つん這いで威嚇する姿にマリアは以前、暴走状態の姿を思い出す。
以前と違うのは前は黒い影が全体を覆い目が赤くなっていたが、今のショッカーマリアは顔が出ている状態だ。
━━━恐らくはLiNKERの打ち過ぎね。その所為で体は愚か脳にも相当な負担があったと見るべきね
自分と響と比べガングニールの適合者では響の方が格上だ。
響のクローンであるショッカー響と並べる為に地獄大使はショッカーマリアに大量のLiNKERを打ち込んだと予測するマリア。
その証拠にショッカーマリアの目や耳、口にすら血が流れだす。
恐らくもう長くはないだろう。
「…自分と同じ姿とはいえ見てられないわね。来なさい、終わらしてあげる」
マリアは血を流すショッカーマリアを見て憐れみを感じた。
平行世界とはいえ己の細胞から生み出されたクローンを利用するショッカーに怒りは感じるが今は一刻も早く終わらせるべきだと判断し蛇腹剣を短剣に戻しショッカーマリアに向け構えた。
大音量の歌が流れる場所に一瞬の静けさが戻るような感覚がした後に、二人の影が重なった。
「…さようなら、別の世界の私」
マリアはそう言って短剣を振って籠手に戻す。
それを合図かのように四つん這いだったショッカーマリア地面に倒れ爆散する。
「馬鹿な、ショッカーマリアがこうも簡単に…」
「余所見してる場合かよ」
ショッカーマリアがマリアに敗北した光景を目にしたショッカー響は驚きのあまり暫しの棒立ちをしてしまう。
そして、その隙をクリスは見逃さず高まったフォニックゲインでミサイルを造りショッカー響に向け発射する。
ショッカー響とてそのまま当たってやる気は無く、ジャンプと腰のブースターで高く飛びミサイルを回避するが、通り過ぎたミサイルがショッカー響を追尾してくる。
暫くは腰のブースターで逃げ回っていたが埒が明かないと、ショッカー響は敢えて腕をクロスさせガードしミサイルを喰らった。
「ゲホッ!この程度…!」
ガード越しでもミサイルのダメージを受けたショッカー響。ミサイルの爆発で発生した煙も消えクリスに反撃しようと目論んだショッカー響だが、クリスの視線を向け…固まった。
クリスは既にアームドギア変形させスパイナーライフルの形にさせ既にショッカー響を狙っていたのだ。
「クリス…」
「あの馬鹿より遅えんだよぉ!!」
RED HOT BLAZE
クリスが引き金を引き、スナイパーライフルと化したアームドギアが火を噴く。
弾丸は真っすぐショッカー響に接近し命中、胸部を貫通し爆散する。
「…ハァ…」
ショッカー響を倒したクリスだが、その表情は何処か複雑だった。
クリス&マリア、ショッカー響&ショッカーマリア撃破。
「はああああっ!」
「舐めるなっ!!」
響とショッカー響がぶつかる。
互いの拳が行き交い互いに傷が出来るが、僅かな間にその傷も治ってしまう。
これでは完全な泥仕合だが、その時ショッカー響の横っ腹に衝撃が走る。
「グッ!?」
「…私を忘れるな!」
この世界のヒビキが響を相手に夢中になってる隙にショッカー響の横っ腹に拳を入れたのだ。
ヒビキの拳に殴られた箇所を押さえたショッカー響。その時、未来が神獣鏡のギアで此方を狙っている事に気付いた。
「今ッ!」
「チッ!」
受けるのは不利だと判断したショッカー響はせりあがる壁のギミックを使いジャンプして躱す。
何とか反撃をと考えたショッカー響だったが、
「今だよ、響っ!!」
「!?」
未来の声にジャンプしていたショッカー響は何時の間にか自分よりも高くジャンプしている二人の響に気付く。
そして、二人は待ってましたとばかりに腰のブースターに火を入れ一気にショッカー響へと迫る。
二人は拳を突き出し速度を出して迫っていた。
咄嗟に回避しようとするショッカー響だが、未来の攻撃を無理に避けた所為で態勢も悪くブースターも点火が今一だ。
ショッカー響が腰のブースターに違和感を感じ視線を動かして見ると少しだけ欠けている事に気付いた。
「まさかさっきの…」
あの一瞬、さっきのヒビキの不意打ちでショッカー響の腰のブースターは欠けていたのだ。
これでは飛ぶのにもたつくのも当然だ。
ショッカー響がそう考えた直後に自身の胸部に衝撃を感じた。
「これでッ」
「ラスト」
見れば、二人の響の拳が自身の胸部に命中していた。直後には、拳のジャッキも一気に戻り二人の衝撃がショッカー響を貫いた。
拳の威力と衝撃波に空中に沈むショッカー響は最後に自身にトドメを刺した二人の響が目に入り、爆散した。
響たちもショッカー響の撃破に成功した。
翼と奏が歌う方でも決着が近そうであった。
歌いながらショッカー響の攻撃を捌き、槍や剣で迎撃する姿は一見ダンスにも見える。
二人の動きに翻弄され逆にダメージを蓄積しているショッカー響も先程の優勢は何処へやら、逆に自分たちの肩から息をしている程の消耗だ。
「な、何故だ!フォニックゲインを吸収し続けてるのに…」
「何故、わたしたちの方が息を切らしている!」
ショッカー響は響の細胞から造られたクローンであり響を超える改造人間だ。
それも響の時のデータから更に発展している。計算上、単純な力だけでも響を圧倒出来る程に。
そんな自分たちが人間に過ぎない奏と翼に翻弄され追い詰められているのだ。納得できる訳がない。
「そうやって人間を下に見てるからだ」
「貴様らの歌より私たちの歌の方が上だったようだな」
歌の合間に混乱するショッカー響の問いに答える奏と翼。
ショッカーの人間を甘く見ているというのは前から感じているが、それを逆手に取り勝って来たのも彼女たちだ。
その後も奏たちの猛攻は続き、奏の槍に注意がいっていたショッカー響を翼の剣で一刀両断し爆散。
残り一人と言うところで奏がショッカー響の異変に気付く。
「な…何だ!?エネルギー過多?馬鹿なっ!?」
「…はっ?」
そう言ったショッカー響はフラフラとした足取りになると両手で頭を押さえ爆散する。
最後のショッカー響と思っていた奏は思わず呟き頭の中は「?」で埋め尽くす。
奏が翼の方を見るが、どうやら翼も同じらしく奏と同じく口が開いていた。
「そっちは終わった?」
そんな二人にショッカー響を倒したマリアが近寄る。更にクリスや響たちも寄ってきており奏が何があったのか話す。
「オーバードーズ…」
「…過剰摂取か」
二人の報告を聞いたマリアは恐らくオーバードーズだと伝えた。
マリアの推測でしかないがショッカー響はフォニックゲインを吸い過ぎて自滅したと見た。
本来、シンフォギア装者がフォニックゲインを過剰に摂取しても爆発など聞いたことは無いがショッカー響ならあり得ると思えた。
「要は偽物たちは全滅したんだろ」
マリアの言葉が本当か嘘かは知らないが、ショッカー響並びショッカーマリアも倒した。
そして、クリスは視線をある方向に向ける。そのの方向とは…地獄大使が居る方向だ。
「残りは地獄大使、ただ一人」
「もう直ぐ、この戦いも終わるな」
クリスの視線を追った他のシンフォギア装者も次々とに口にする。
残りは地獄大使だけと言う事もありクリスやマリアたちがアームドギアのボーガンや短剣などを構える。
「ふん、存外役に立たんなぁ。まあいい、ある程度の目的は達成した」
ショッカー響たちが全滅した地獄大使だが、その表情に焦りは無く寧ろ笑みを浮かべる。
その不気味さに数で勝る筈の響たちも背筋に寒気が走る。
地獄大使の放ったショッカー響たちを倒した響たち。
しかし、地獄大使の目的は別にあった。頑張れ、シンフォギア装者。この世界の平和を取り戻すのだ。
ショッカー響「ショッカーは常に進化する(ドヤ)」尚、再生怪人。
ショッカー響は最低限連携できるが仲良くはない設定です。
ショッカーマリアに至ってはLiNKERの打ち過ぎで精神と体がボロボロです。
マリアの言う通り、ショッカーマリアはLiNKERを使わないと適合の関係上、ショッカー響より劣る為大量のLiNKERを打ち込まれてます。
ショッカーが態々体内洗浄をやる位なら別のクローンを使う為に余計寿命が短くなってます。
因みにマリアの暴走うんぬんはXDのメモリアカードのイベントの一つです。
そして、再び出て来た「悪魔のショッカー」平行世界のクリス達も聞くことに。
翼と奏が歌ったのは「逆光のフリューゲル」です。
フリューゲル系は一期一話の劇中以外、最終回のエンディングに流れる印象があったので敢えて歌わせてみました。
地獄大使というかショッカーにとってショッカーマリアの評価は高くないです。
響よりガングニールの適合値が低いので底上げするにはLiNKERが必要だが長持ちしないので、結果的にショッカー響の方が好まれてます。
今回出したのはショッカーの技術を見せつける為とシンフォギア装者たちへの嫌がらせも兼ねてます。
そして、久々に出たショッカー版シンフォギアシステム。
今度はシンフォギア装者である響たちからフォニックゲインを奪うシステムも追加されました。
とうとう五月になりましたね。
おかしい、今年初めの計画だとこの時期だと地獄大使と決着がついて本編の世界に戻って平行世界の装者たちがゲルショッカーとぶつかる新章になる筈だったのに…