改造人間 立花響のシンフォギア   作:一種の信者

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シンフォギアの中で「RADIANT FORCE」の歌が一番好き。

そして案の定、暑さで投下速度が遅れてる……


131話 強敵! 怪人ガニコウモル

 

 

 

ある廃れた森林公園。

嘗ては、行政が市民の憩いの場として目指した場所も幾世期か過ぎ来る人はほぼ誰も居ない場所。

そんな場所に轟音と奇声が響く。

 

「キィイイィィィーーーーーーーーッ!!」

 

「早いっ!?」

 

緑色の物体…怪人ガニコウモルが低空飛行で響たちシンフォギア装者に一気に近づく。

アームドギアを握っていた翼やクリスたちだが、ガニコウモルの想像以上の素早さに対応が遅れる。

 

「隙だらけだぞっ!」

 

「なっ!?」

「雪音っ!」

「クリスちゃんっ!」

「あ、バカっ!」

 

先ず初めに、アームドギアを握ろうとしていた並行世界のクリスがガニコウモルの飛び蹴り喰らってしまう。

蹴られたクリスは地面を何度もバウンドした後に倒れる。仲間である並行世界のツバサとヒビキが蹴り飛ばされたクリスの方を見る。

 

それが隙となり、この世界のクリスが思わず呟く、瞬間ツバサとヒビキにも衝撃が走る。

咄嗟に体を捻って、視線を戻したツバサの目には右手を地面に付け逆立ちしたガニコウモルが自分たちの居た場所に足を延ばしてる姿だ。

 

単純にガニコウモルが逆立ちして両脚でヒビキとツバサを蹴ったのだ。

尤も、その状態でもヒビキとツバサを蹴り飛ばす程の威力があった。

 

「隙ありっ!」

「このっ!」

 

自分たちの目の前で逆立ちするガニコウモルに響と翼が拳と剣を繰り出そうとする。

接近戦が不得意なこの世界のクリスも一旦距離を取り、援護射撃をしようと後ろにジャンプした。

 

「「うわああぁぁぁぁっ!!!」」

 

しかし、後ろに下がった直後にクリスの耳に響と翼の悲鳴が聞こえ視線を向けると、ガニコウモルの両腕が響と翼の腹部に一撃を入れ二人とも殴り飛ばされている。

 

咄嗟に、クリスがアームドギアをガトリング砲にして乱射するが、ガニコウモルはクリスの放った弾丸を器用に避け一気にクリスに近寄る。

クリスは放った弾丸が避けられていくのを見て焦りが募る。

 

━━━コイツ、アタシ様の弾丸を余裕で避けてるっ!?動き方事態がショッカーの怪人と違う!

 

別段、クリスがガニコウモルを舐めていた訳では無い。

むしろクリスとしてはガニコウモルの能力に警戒しつつ慎重に戦っていた方だ。

だと言うのに、ガニコウモルはクリスの弾丸を掠りもせずに近づき、左腕のハサミで一気に殴りつける。

 

「!?」

 

咄嗟に両腕のガトリング砲を壁にしようとするが、クリスのアームドギアのガトリング砲はアッサリと粉砕され衝撃がクリスを襲う。

鈍い音と共に赤い欠片が宙を舞い頭部のパーツが欠けた状態のクリスが地面に倒れる。

 

「どうした? シンフォギア装者ども。噂程ではないなっ!!」

 

頭を殴られシンフォギアの頭部パーツが破壊され出血するクリス。

血が流れる中、クリスの瞳にガニコウモルが映る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、何とか立ち上がりガニコウモルと戦う響たち。

本来なら、響と翼とクリスの三人だが並行世界から来たという自分たちと同じ姿同じ声のヒビキとツバサとクリスを含め六人いる。

通常なら圧倒的に響たちが有利と言える筈だが

 

 

 

「キィイイィィィーーーーーーーーッ!!!」

 

「くっ、またもやッ!」

「危ないっ!」

 

ツバサの剣を避け宙を舞う、ガニコウモル。

二人のクリスが銃撃するが、発射した弾丸はガニコウモルに当たる事無く空を切り明後日の方向に飛んでいく。

二人の響が背中のブースターでガニコウモルを追おうとするが、速度が違い過ぎる上に空中戦も完全にガニコウモルが上回っている。

ガニコウモルの縦横無尽に飛行に響たちは何度も攻撃を喰らい地面に落とされる。

 

 

戦いは完全に響たちが押されていた。

ガニコウモルの身体能力は今まで戦って来たショッカーの怪人を越えている。

更にガニコウモルのデータには響たちが怪人と戦った記録、だけでなく並行世界のクリスやマリアのデータまで入っている。

 

そして、何より響たちを苦しめたのは…

 

 

 

「キィイイィィィーーーーーーーーっ!」

 

「くっ、また飛んだぞ!!」

「こなくそっ!!」

 

ジャンプした瞬間、ガニコウモルは既に高い空に居り二人のクリスがガトリング砲や小型ミサイルで攻撃する。

 

響たちが最も手を焼いている事は、ガニコウモルの飛行能力だった。

響たちとて、空を飛ぶノイズや怪人と戦った経験がある。しかし、ガニコウモルの飛行速度と旋回能力は今までの怪人を越えている。

 

クリスが二人がかりでアームドギアのガトリング砲を撃ち小型ミサイルの乱舞するが、ガニコウモルは全てを振り切り避け回る。そして、隙が出来るとクリスに向かって急降下攻撃をし、身に纏うシンフォギアを切り裂かれクリスの体に傷が出来る。

 

翼は二人で、千ノ落涙を落とすもガニコウモルの飛行速度に追いつけず、影縫いで一旦捕らえるがガニコウモルの飛行速度でアッサリと解けてしまう。

拳主体の響では空を飛ばれると攻撃手段を失い、せいぜい石や木片を投げるか、ガニコウモルの独壇場といえる空を無理矢理飛ぶしかない。

 

はっきり言って、響たちの苦手な相手と言えた。

 

「これだから、空飛ぶヤツは嫌なんだよ!」

 

クリスの一人がそう愚痴る。

これがノイズなら自分たちに突撃したり空母型なら大型ミサイルを当てれば倒せるが、空を飛ぶ怪人には今一だった。

元々、飛行型が苦手なシンフォギア装者の中では飛行型の掃討がクリスの役目に近い。 …ッと言うか、空を飛び離れられるとクリスか翼の斬撃を飛ばすしか効果はない。

 

「大型か、ならっ!」

「コイツを受けてみろ!!」

 

普通の小型ミサイルがダメなら、大型のミサイルを出す並行世界のクリス。その姿を見てこの世界のクリスも大型ミサイルを出し飛行するガニコウモルへと撃つ。

クリス達の放った4本の大型ミサイルが火を噴きガニコウモルに迫る。

 

「…! ほう、小型ミサイルやガトリング砲を諦め大型ミサイルで追尾攻撃か…だが甘い!!」

 

ガニコウモルも直ぐに自分を追尾する大型ミサイルに気付く。

大型ミサイルは小型ミサイルと違いガニコウモルを何処までも追い続けるが、ガニコウモルに焦りはない。

それどころか、大型ミサイルの横を飛び、翻弄すらしている始末。その動きに二本のミサイルは無理にガニコウモルを追おうとし、ぶつかり爆散する。

爆発した時の炎も衝撃もガニコウモルを捉えることが出来ずに無駄に終わる。余談だが両方のミサイルはそれぞれ別のクリスが出した物だった。

 

それを地上から見る事しか出来ない響たち。

 

「クリスちゃんのミサイルがオモチャ扱い…」

「…とんでもない旋回力だ、今までの怪人を越えている」

「これが…ゲルショッカーの怪人」

 

アッサリとクリスの出した大型ミサイルを沈黙させたガニコウモルにヒビキや翼は眼を見開き、響はショッカーに変わるゲルショッカーの怪人の実力を目に焼き付ける。

直後、残ったミサイルもガニコウモルの擦れ違いざまに左腕のハサミで切り裂かれ爆散する。

幾つかの破片がガニコウモルに当たるが、ガニコウモルの体には傷一つつかない。

そして、余裕をもってガニコウモルは響たちの前に堂々と着地する。

 

「見たか!これぞゲルショッカーの合成怪人、ガニコウモルの実力だ!!」

 

「合成怪人…?」

 

ガニコウモルの言葉に引っかかりを覚える翼が「合成怪人」と言う。

ショッカーとの戦いの時には聞いたことない言葉だったからだ。

 

「知りたければ教えてやる!ゲルショッカーは二種類の動植物を掛け合わせ改造人間を造れるのだ!!」

 

『!?』

 

ガニコウモルの宣言に響たちは思わずフリーズしてしまう。

ショッカーの怪人が動植物の細胞を移植され、その動植物の能力を行使できる事は響たちも知っている。

しかし、その動植物は数は必ず一つであり二体の動植物を掛け合わせた怪人など見た事も無かった。

 

「カニか、コウモリのどっちかと思っていたが…」

「ガニコウモル。文字通りカニとコウモリの怪人か!」

 

二種類の動植物を組み込まれてるなら、左腕のカニのハサミもコウモリのように飛び回る事も納得できる。

だからと言って、目の前の相手が居なくなる訳ではなく、響たちは拳を握りアームドギアを出す。

それが合図かのように、ガニコウモルは再び響たちへと襲い掛かる。

 

 

 

 

 

 

 

「ゲルショッカーはブラック将軍の指揮の下、日本全土に恐怖を巻き起こし必ず世界を支配する!その邪魔はさせん、死ねぇ!シンフォギア装者ども!!」

 

「そんな事させない!」

「この世界をお前たちの好きにさせるか!」

 

二人の響の首を絞め、そう言い放つガニコウモル。首を絞められている響たちも屈せず、ガニコウモルに息巻くと両腕でガニコウモルの腕を掴み、首から引き剥がす。

 

「立花っ!」

「危ねえ、先輩っ!」

 

その時、ガニコウモルの背後から剣を構える翼が突撃し振るう。

しかし、翼の剣は空を切るだけで、ガニコウモルの姿は其処にはない。解放された響たちが咳をする。

響に注意がいっていた翼の耳にクリスの声が響く。咄嗟に振り返ろうとした翼の目に自分を狙うガニコウモルの姿が。

 

「やらせんっ!」

 

「ギィーッ!?」

 

ガニコウモルのハサミがツバサに繰り出されたかと思った時、声と金属音が響く。

翼の剣がガニコウモルのハサミの間に入り閉じれなくなる。

その隙に、息を整えた二人の響がガニコウモルに拳を打つが、ハサミで翼の剣を砕いたガニコウモルはバク転してジャンプし距離を取る。

クリスも黙って見てる訳が無く、ガトリング砲で牽制し何発か命中するがガニコウモルの体には傷一つ無い。

 

「何て硬さだっ!立花、突っ込むぞ!雪音は援護を続けてくれ!!」

「はいッ!」「分かったッ!」

 

ガニコウモルの体の硬度に翼が響と共に接近戦を挑み、クリスが二人の援護としてアームドギアをガトリング砲からスナイパーライフルに変える。

その様子を、並行世界のヒビキたちは見ていた。

 

「凄い…連携だけならわたし達以上だ」

「…確かに、だがそんな彼女たちもガニコウモルに押されている!」

「怪人との戦いに慣れてるアイツ等でも駄目なのかよ!?」

 

平行世界のヒビキたちは、この世界の響たちの連携に驚くが、そんな連携をものともしないガニコウモルにも驚く。

 

響の拳と翼の剣をいなし、裏拳やハサミの一撃を喰らう響に足技で剣を蹴り飛ばされそのまま蹴りを喰らう翼。

援護でのクリスのスナイパーライフルの弾丸も体を捻り、直撃を避けるどころか跳弾され響に命中したりと散々だ。

遂には、響の頭部を掴んだガニコウモルが一気に響の体ごと持ち上げ地面に叩きつける。

 

「ガハッ!」

「立花っ!!」

 

叩きつけられた響の口から血が飛び出し、翼が響の名を呼ぶ。

しかし、ガニコウモルは響の頭部を持ち上げスナイパーライフルで援護していたクリスに投げつける。

一瞬、避けようとしたクリスだが響の状態を見て腹を決め響を受け取めようとするが、勢いを殺しきれず響の激突と共に地面を転がる。

それに気を取られた翼に左腕のハサミを振り上げる。咄嗟に剣で防御するが激しい火花が散ると共に剣が宙を舞い翼の悲鳴が辺りに響く。

 

「不味い、早く助けなきゃ!」

「待て、立花」

 

この世界のシンフォギア装者である響たちが嬲られてる姿にヒビキが助けに行こうとするが、ヒビキの手を翼が握り制止する。

 

「ツバサさんッ!」

「今、我々が行ってもガニコウモルは倒せん!」

「それでも…」

 

ツバサがヒビキを止めたのは単純にガニコウモルの強さだ。

完全聖遺物、ギャラルホルンが並行世界と繋がってからというものヒビキやツバサたちは数多くの敵と戦ってきたが、ガニコウモルの強さはその中でも上位に位置している。それぐらいの実力だ。

ヒビキとしてもツバサの言ってる事は分かっている。だからと言って、この世界の自分たちを見捨てる選択などない、それはツバサもクリスも同じ気持ちだった。

 

「落ち着けよ、バカ。アタシたちにはこれがあるだろう」

 

其処へ、少し離れていたクリスがヒビキたちの方に近づきつつ胸元のギアを指でトントンとし、クリスの意図に気付いたヒビキはゆっくりと頷く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「グハッ!」

 

肩にハサミの打撃を受けた翼の口から悲鳴が聞こえる。

アームドギアをスナイパーライフルからボーガンに戻したクリスが援護するが、ボーガンの矢はガニコウモルに当たった瞬間、砕け散ってしまう。

 

「うわああああっ!!」

 

翼に追撃しようとしたガニコウモルに響が、拳を振って助けようとするがガニコウモルのキック技に勢いが削がれる。

 

「何て奴だ…」

「…気を付けろ、力量だけなら大幹部クラスだ」

 

ショッカー改め、ゲルショッカー。

ガニコウモルの言っていた事はハッタリでも何でもなかった事を改めて噛み締める翼とクリス。

何時もなら、響、翼、クリスの三人がかりなら何とか戦える筈の怪人の筈が、ゲルショッカーの合成怪人には歯が立たない。

現に響もガニコウモルの猛攻に防御するのが精一杯だ。

 

「アタシ等三人で勝てるのかよ…ん? 待てよ。アイツ等は?」

 

クリスは自身が言った「三人」と言う言葉で思い出す。自分たちがこの場所に来た時に拘束されていた自分たちソックリの少女たちを。

ふと、広場の方を見れば自分たちと同じ顔をしたシンフォギア装者たち三人がギアを握っている場面だった。

 

「おい、お前ら何して…イグナイトモジュール! 抜剣ッ!!!?」

 

「イグナイト…?」

「あれって…」

 

「ん? ほう、あれがイグナイトか」

 

平行世界のヒビキたちの動きに翼とクリスは頭の上で「?」が浮かび、響はその光景に見覚えがありガニコウモルも横目でヒビキたちの行動を見ている。

 

クリスが「何をしているのか?」聞こうとした時、三人の口からイグナイトと言うと宙に浮いたギアが変形する。

そして、自分たちに向けギアから出る光の針が一気に胸に刺さる。

 

「おいおいおいっ!」

「自傷行為だと!?」

 

ヒビキたちがギアから出る光の針に貫かれたのを見た事で、翼もクリスもパニックに陥りかける。

戦闘の最中に自害でもしたのかと思う程に。

 

「えっと…落ち着いてください二人とも」

 

すると、ガニコウモルの相手をしていた響が二人の横に何時の間にか居て二人に追いつくよう言う。因みにガニコウモルの方は、ヒビキたちの方を観察するように見ていた。

 

「落ち着けって、立花!」

「あんなのを見て落ち着けるかよ!」

「大丈夫、大丈夫ですから…」

 

一度見たことある響だからこそ落ち着けと言うが、二人は落ち着いてられないとばかりに慌てている。

当たり前だ、自分たちと同じ顔同じ声をした少女が自決したと思っているのだ。むしろ、響が慌ててない事が不思議だとすら思う。

 

しかし、次の瞬間には翼とクリスが響の言葉の意味を知る。

胸部を刺したと思っていたヒビキたちは普通に立っていた。そして

 

「黒い…シンフォギア?」

「…最初にマリアたちと戦った頃の奴に似てる…」

 

ヒビキたちのシンフォギアが変化し自分たちの物より黒い色をしたシンフォギアとなっていた。

その姿にクリスは敵対していたマリアたちのシンフォギアを思い出す。

だが、マリアたちの時とは違いヒビキたちのシンフォギアは自分たちの物より出力が明らかに上がってる事を理解する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

始まる歌 始まる鼓動 響き鳴り渡れ希望の音

「生きる事を諦めない」と

示せ 熱き夢の 幕開けを

爆ぜよ この 奇跡に 嘘はない

 

「それが噂に聞くイグナイトという奴か、面白い! 俺のハサミでズタズタにして、その歌をお前たちの鎮魂歌(レクイエム)にしてやる!!」

 

 イグナイトになったヒビキたちが歌う中、ガニコウモルはそう宣言する。

 

「! ゲルショッカーはイグナイトの存在も知っている!?」

「大方、地獄野郎がなんかやったんだろ」

 

シンフォギアをイグナイトを知っているガニコウモルに驚きつつもイグナイト化したツバサとクリスがアームドギアを再び握る。ツバサのゲルショッカーが既にイグナイトの情報を得てる事に驚きには、クリスが地獄大使が死に際に何かしたのだろうと感づく。

暫く、睨み合い歌や音楽が響き渡る。直後に、ガニコウモルとヒビキたちはぶつかった。

 

その手は何を掴むためにある?

たぶん待つだけじゃ叶わない

 

「また馬鹿の一つ覚えのようにっ! …!?」

 

ツバサがアームドギアの剣を振るう。ただの剣なら今までの様にガニコウモルには効果が無いだろう。

しかし、途中でツバサの剣が開きビーム状の刃となりガニコウモルは度肝を抜かれ咄嗟に腕でガードする。

直後に、ツバサが振りかぶりガニコウモルに衝撃が走る。

 

 

 

「…とんでもない威力だ」

「通常のシンフォギアより出力が高い! …だがガニコウモルを倒せる程じゃない」

 

翼たちは並行世界の装者のイグナイトの出力に驚くが、攻撃を受けたガニコウモルは直ぐに態勢を立て直しツバサたちに反撃に移る姿を見る。

 

 

 

 

 

その手は何を守る為にある?

伝う 熱は 明日(あす)を 輝かす種火に

 

 

「確かにその出力なら、ショッカーの改造人間は耐えられんだろう! だが、ゲルショッカーの改造人間に通じると思うなッ!!」

 

ツバサの剣技を受け対等に戦うガニコウモル。

途中、ヒビキも加わりイグナイトの二対一になるがガニコウモルは健在であった。

尤も、イグナイト前に比べれば二人の攻撃はガニコウモルにきっちり命中しているが大してダメージを受けた様子はない。

 

さあ新時代へ銃爪を引こう

伝説の未来へとカウントダウン

 

「貴様らに未来など無いッ!あるのは我らゲルショッカーの支配する絶望の明日だけだ!!」

 

ヒビキたちの歌う歌詞に反応するガニコウモル。

ツバサの剣を受け、ヒビキの拳を喰らおうがガニコウモルの体に傷らしい傷は無い。

ヒビキたちの切り札の一つであるイグナイトすら怪人には通用しないのか?

 

羽撃きは一人じゃない

過去を 超えた 先に

創るべき歴史が 咲き燃えてる

 

「立花ッ!!」

「!」

 

クリスの援護で一旦距離をとったツバサが再び剣の中心を開き光のソードを出し、一気にガニコウモルへと振い巨大な青い斬撃を飛ばす。

 

蒼ノ一閃

 

ガニコウモルの相手をし注意を引いていたヒビキも途中でジャンプしてツバサの斬撃を躱しガニコウモルの目前にツバサの放った斬撃が迫る。。

 

「なっ!?」

 

ヒビキに注意がいっていたガニコウモル。反応が遅れガードも間に合わずにツバサの出した斬撃をまともに受ける。

 

 

 

 

「あの斬撃…エクスドライブ状態の物より劣るが相当な威力だぞ」

「ガニコウモルの野郎もまともに食らった、これなら…」

「…ダメ、ダメージは受けたようだけどピンピンしてる!」

 

イグナイト状態のツバサの飛ぶ斬撃に驚く翼たち。

ツバサの攻撃が直撃した事に喜ぶクリスだが、ガニコウモルを仕留めれる程の威力は無かった。

それを見越したのか、ツバサはガニコウモルに幾つもの斬撃を飛ばす。

 

 

 

 

 

絆、心、一つに束ね

響き鳴り渡れ希望の音

 

「キィイイィィィーーーーーーーーッ!! さっきより威力は増してるが俺を倒せる程ではない。 だが…」

 

一発二発程度ならガニコウモルは多少のダメージを喰らうがまだ健在と言える。

しかし、ガニコウモルの目には何度も剣を振り、無数の斬撃を繰り出すツバサと自分に飛んでくる斬撃の数。

喰らい続ければ致命傷になると考えたガニコウモルは再び自分の得意な空へと飛行し、ツバサの繰り出す斬撃を回避する。

 

「今だッ!!」

 

その行動を読んだのか、クリスは腰部分のミサイルポッドを全開にし背中からも四本の大型の黒いミサイルを出し一斉発射。

 

MEGA DETA DUARTET

 

「馬鹿め、その程度のミサイルで…!?」

 

クリスのミサイル軍を見て嘲笑うガニコウモルだったが、小型ミサイルがそのまま自分を素通りした事に疑問に思う。

クリスの小型ミサイルはガニコウモルを無視してそのままガニコウモルの後方に飛んでいく。

 

「小型は囮か、なら本命はその大型! …!?」

 

自分を素通りした事で小型ミサイルは、囮で本命は四本の先端が赤い黒い大型ミサイルだと思ったガニコウモルは、ミサイルを避ける為の回避行動に移ろうとした。

直後に、大型ミサイルが開き中から幾つもの小型ミサイルが出て来た。

 

「なっ!? これは…!?」

 

今度こそ度肝を抜かれたガニコウモルだったが、全てのミサイルが一気に爆発し爆炎がガニコウモルを襲う。

 

 

 

 

 

 

「上手い、あれならガニコウモルの飛行速度も関係ない!」

「あの火力なら一たまりもねえ筈だ!」

 

平行世界のクリスのミサイルが一斉に爆発しガニコウモルの逃走経路を潰すと同時にガニコウモルも爆発に呑まれた姿を見ていた翼たち。

平行世界のヒビキたちが使うイグナイトの力に冷や汗を流す。

通常の怪人ならあの爆発に呑まれれば致命傷は避けられない筈だが

 

「…ダメ、煙からガニコウモルが出て来た。 …!」

 

爆発で生じた煙の中からガニコウモルが出るのを目撃した響。同時にある事にも気付く。

 

 

 

 

 

 

 

一方、煙から出たガニコウモルだが決して無傷とは言えない状態だった。

 

━━━キィイイィィィーーーーーーーーッ! シンフォギア装者どもめ、舐めていたつもりはないが此処までのダメージを受けるとは!!

 

ガニコウモルはミサイルの直撃はしなかったが、ミサイルの爆発の連鎖に巻き込まれ所々焦げている。

だが、幸い飛ぶための脇の下の皮膜は無事であり飛ぶ事に支障はない。

 

「信ず事を諦めない」と

 

「こうなれば、空中からのヒット&ウェイでシンフォギア装者どもを削り殺してやる! …立花ヒビキが居ない!?」

 

此処までのダメージを受けた以上、安全な空からの一方的な攻撃でヒビキたちを抹殺しようと考えたガニコウモル。

攻撃目標として地上に居る、イグナイトとなった装者たちを見た時、装者の一人であるヒビキの姿が見えなかった。

 

━━━立花ヒビキだけ逃げた? 否、立花ヒビキの性格上仲間を置いて逃げる可能性は低い!

 

ヒビキだけ姿が見えない事で一瞬逃げたかと思ったガニコウモルだが、直ぐに頭を振るう。

平行世界の装者とはいえ、少し戦ったガニコウモルにはこの世界の響との違いが感じなかった。

地獄大使の持ち帰らせたデータで別の響の可能性があるが、並行世界のツバサとクリスが何の反応もしていない以上、一人だけ逃げ出した可能性は低い。

 

唄え 可能性に ゼロはない

 

何より、歌声には立花ヒビキの声もしている。

 

「何処だ!? 何処に居る!? 立花ヒビキッ!!」

 

地上からのツバサとクリスの攻撃をいなしつつ、ガニコウモルはヒビキの姿を探す。

 

飛べよ

 

━━━何処だ!?

 

この

 

━━━地上の装者どもの攻撃で気が散る! そんな事より立花ヒビキの姿は!

 

奇跡に

 

「! 俺より上に居るだと!?」

 

ヒビキの歌声が聞こえ上を向く。

恐らくはクリスのミサイルの爆炎を受けた時にヒビキも同時に飛び上がり腰のブースターなどで上昇していたのだろう。

ガニコウモルの目には背中のブースターで猛スピードで下り足を自分に突き出し突進してくるヒビキの姿が

 

━━━早いっ! だが、俺の回避能力なら…!

 

腰のブースターと落下の力で猛スピードで自身に迫るヒビキ。

しかし、ガニコウモルは自分に到達する前に避け切れると確信し回避行動に移ろうとした。

瞬間、ガニコウモルの動きが鈍る。

ツバサの蒼ノ一閃とクリスのミサイル群の爆発の影響でガニコウモルに少なくないダメージを与えていた。

そのダメージがガニコウモルの動きを鈍らせたのだ。

 

「ぬっ!こんな時に…ハッ!」

 

ガニコウモルの動きが止まったのは数秒もない。

しかし、それだけの時間を有した事でヒビキとの距離は最早無い。

 

「し、しまっ…」

 

「光りぃあれぇぇぇッ!!!」

 

ガニコウモルの腹部にヒビキの蹴りが減り込み一気に地面へと加速する。

 

 

 

 

 

 

 

「やったぜ、あの馬鹿と同じ馬鹿がガニコウモルを倒したぞ!」

「…待て、雪音。様子がおかしい」

 

ヒビキの蹴りが命中しガニコウモルを空中から叩き落す様子に喜ぶクリス。

しかし、翼の目には何か様子がおかしいように見えた。

 

「落下するスピードが落ちてる?」

 

翼の目には蹴りを喰らった時よりガニコウモルの落下スピードが遅くなっていた。

 

 

 

 

 

 

 

「…! キャロルちゃんより硬いッ!?」

 

「この程度で、ゲルショッカーの怪人を倒せると思ったか!」

 

 ガニコウモルは落ちながらも自分に繰り出されたヒビキの蹴った足の部分を掴む。

同時にヒビキの足を覆っていたイグナイトのシンフォギアにもヒビが入る。

 ヒビキの蹴りは確かにガニコウモルに直撃した。現にヒビキが蹴ったガニコウモルの体にもヒビが入っている。

だが、それだけだ。

 

落下するスピードは落ちていき、逆にガニコウモルはヒビキの足を掴んだまま上昇をしだす。

 

「こうなれば、お前を空中で惨殺してやる!」

 

「!?」

 

 ヒビキの足を掴んだガニコウモルは、邪魔の入らない上空に連れて行き、其処でヒビキを殺そうと考えた。

 現に先程までガニコウモルを攻撃していたツバサとクリスもヒビキがガニコウモルに接触した事で攻撃を解いてしまっている。

 このままでは、ヒビキはガニコウモルに上空に連れ去られ殺されるだろう。

 

 そう考えたヒビキはもう片方の足でガニコウモルの顔面を蹴ったりするがビクともしない。その時、ふとガニコウモルの背後に視線が行くと唇の端を吊り上げた。

先程まで絶望しかけていたヒビキの表情に疑問を感じたガニコウモル。

 

「うおおおおおおおぉぉぉぉぉ…ッ!!」

 

ガニコウモルが後ろからの圧と声に首を動かし振り返る。

其処には、ヒビキと同じく腰のブースターを吹かし片腕のジャッキを上げ突っ込んでくる響の姿。

目標は当然、ヒビキと響の間にいるガニコウモル。

 

全てを察したガニコウモルは視線をヒビキへと戻す。

 

「聞けぇ、シンフォギア装者ども!! 此処で俺を倒したところで無駄な事だ!ゲルショッカーには既に強力な怪人たちが犇めいている上にブラック将軍は恐るべき計画を立てている!それを知った時、お前たちは此処で死んでいれば良かったと後悔する!いいか、必ずだ!!」

 

負け惜しみなのか最後の警告なのか、周辺の装者にも聞こえるよう大声で言うガニコウモル。

ヒビキとしてもその姿が何処か不気味に映り口を開こうとした。直後に響の拳がガニコウモルの背に到達し、ヒビキの蹴った部分から衝撃が走る。

 

直後、ガニコウモルの体にヒビが広がり爆発し響たちが巻き込まれる。

 

「オイオイ、倒したのは良いけどあの馬鹿は大丈夫か?」

「…正直分からん」

 

予想外のガニコウモルの爆発の威力に並行世界のクリス達が心配する。

一応、戦闘が終了したことでイグナイトも解き通常のシンフォギアとなる二人。直後に二つの落下物が二人の目の前に落着した。

響とヒビキだ。

 

「アイタタタタ…」

「…思ったより爆発する威力が高かったな」

 

ヒビキが落下した際の尻もちでお尻を撫でつつ、響はアッサリと立ち上がりヒビキに手を差し出す。

「ありがとう」と言い、響に手を引っ張られ立ち上がると、二組の翼たちが近づいてきた。

 

「取り敢えず怪人は倒せたな」

「…それはいいんだけけど、あの黒いシンフォギアは一体?」

「それにお前たちは誰だ? ショッカー…ゲルショッカーが造ったクローンでもないようだし」

 

ガニコウモルを倒し安堵する並行世界のクリスにこの世界の翼とクリスが自分たちのソックリさんに質問をする。

敵ではなさそうだが、予断はせず何時でもアームドギアを取り出せる態勢だ。

尤も、争う気が無いツバサが説明しようとする。

一応、察しがついてる響は苦笑いしてるとヒビキの横顔が目に入る。

何か思ったのか響が話しかけようとするが

 

ガサッ

 

「アレは!?」

 

 草木を踏みしめる音とヒビキの反応に皆が一斉にヒビキの視線の先を追う。

 其処には一体のゲルショッカー戦闘員が佇んでいる。

 

「生き残りか!?」

「ブラック将軍はとっくに退いてるぞ!」

「逃げ遅れた奴か?」

 

 

「待って下さい!様子がおかしい」

 

 ゲルショッカー戦闘員が現れた事で翼やクリス達がアームドギアを握り迎撃しようとするがヒビキが待ったをかける。

 確かにヒビキの言う通り、佇んでいたゲルショッカー戦闘員は喉元を押さえている。そしてその場で倒れてしまう。

 

「大丈夫ですか!?」

「えっ!?」

「あっ、バカ!」

 

 戦闘員が倒れたのを見て駆け寄るヒビキに響は驚きクリスが馬鹿と叫ぶ。

尤も、並行世界のシンフォギア装者のツバサとクリスはヤレヤレといった態度をしつつ「アイツらしい」と呟く。

 結局、他のシンフォギア装者もヒビキを追い倒れた戦闘員の下に行く。

 

「大丈夫ですか!?」

 

「ギィーッ!く…クスリ…クスリを!」

 

「何だ、禁断症状か?」

「兎に角、急いで本部に運んだ方が…」

 

クスリを欲しがる戦闘員の様子にクリス達は怪しいクスリかもと思ったが、どうもそれだけには見えない。

その時、ヒビキの手を振り払い戦闘員が立ち上がるも未だに苦しそうにする。

 

「く…苦しい…俺たちは三時間ごとにクスリを飲まないと消え…もうダメだ…」

 

必死にヒビキたちに何かを伝えようとした戦闘員だが喉元を押さえて再び倒れこむ。

その様子にヒビキが倒れた戦闘員に触れようとした時、

 

「危ないッ!!」

 

 何か危険を感じた響がヒビキの手を掴み引っ張る。直後、小さな爆発音と戦闘員の体から白い煙が噴出し戦闘員の体はアッという間に炎に包まれ文字通り消えて行った。

 その様子に翼たちは愚か並行世界のヒビキたちも唖然としていた。

 

「一体何が…」

「三時間ごとにクスリを飲まないと消える。…つまりそう言う事だろう…」

「…今どきの典型的な悪の組織すらやらないだろ、そんな事…」

「それが出来るのがアイツ等なんだよ」

 

 シンフォギア装者たちは改めてゲルショッカーの恐ろしさを知るのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ガニコウモル滅茶苦茶強いです。
原作でも仮面ライダー1号と引き分けた実力者です。ゲームでも普通に強い。
因みに、怪人図鑑によればガニコウモルに弱点は無いようです。決着は…ええ、GXのキャロル戦のオマージュです。

黒いシンフォギアで思い出しましたが初期のマリアたちのシンフォギアも黒いですよね。マリアはガングニールだったのもあるけど、何時の間にか調と切歌のシンフォギアは黒が取れたんだろうか?

決着も、原作では仮面ライダーと相打ちだったガニコウモルも六人がかり+イグナイトでなんとか倒しました。

GX行く前に「RADIANT FORCE」が歌われました、本編がGXに突入した時歌うとパクりになるんだろうか?
でも、シンフォギアの歌は装者の胸に浮かんだ曲だった気が…

響たちがゲルパー液の存在をしりました。名前はまだ知りませんが…
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