改造人間 立花響のシンフォギア   作:一種の信者

145 / 172
本編でV3のシナリオのヨロイ元帥が送った年賀状ネタとかやりたいけど、シンフォギアの時期が分からん。
シンフォギア本編だとGXが水着回やAXZの響の誕生日とかあったけど季節感のネタはあんまりないような…暑中見舞いか?


134話 装者全滅!? 大東京無血占領作戦

 

 

 

 

周囲が瓦礫の破片が散乱する道路。

 本来、市街地であるが死神博士の流れ星作戦により小型の隕石が幾つも飛来しどの家も瓦解寸前であった。

 それでも人は貴重品を持って出て言ったり使える者が無いか放棄された他人の家を漁る者もいる。

 一部には政府が派遣した解体業者が崩れる寸前の家を解体し新しい家の土台が造られるが、圧倒的に数が足りないのか細々として進まない。

 しかし、確実に復興の兆しにはなっていた。

 

 そんな道路を黒い軽自動車が四台ほど通り過ぎる。

 そのどれもが黒服であり四台の中の一台には特異災害対策起動部二課の緒川が運転しており後ろの席に白衣を着た男性が乗っていた。

 

「…警察署の次は何処に連れてかれるんだ?」

「アナタは、僕たち特異災害が担当になりました」

「ようは、たらい回しかよ」

 

 緒川の背後に乗っていた男性が自分が何処に連れて行かれるのか聞く。

緒川が「特異災害」と言うと、男性は「たらい回し」と言って溜息をつく。

 その反応に緒川も苦笑いを浮かべつつ否定はしなかった。

 

 この男性こそ、先の警察署で取り調べを受ける筈だった峰信太朗だ。

 先の警察署の襲撃により及び腰になった政府関係者から次々と責任者を変えられ引っ張り回され、最終的に特異災害対策機動二課にまわされた。

 

 緒川もある程度把握していた為、峰信太朗に同情的だった。

 その後、暫く車を走行させていると数人の警官が検問をしている。

 

「あれ?」

 

 特異災害対策機動二課は政府の組織だ、勿論警察ともある程度繋がりがあるが今日、この道で検問している情報はない。

不審に思った緒川は一旦車を停め他の車に乗っていた黒服の部下に調べるよう要請する。

 

命じられた黒服が検問をしていた警察官に話しかける。

そして、数分程話し緒川の乗る車に接近した。

 

「この先で事故が起きたそうです。ガソリン満タンのタンクローリーが事故で横転して火災が起きて今消火活動の最中です」

「事故?」

 

部下の報告で緒川は検問先の空を見上げる。

よく見ると遠くの方で黒煙が上がり、消防車のサイレンも僅かに聞こえて来た。

 

「この道路が使えないとなると回り道をするしか…」

 

少なくとも警官の言葉が嘘ではないと考えた緒川は特異災害対策機動二課本部の潜水艦が停泊している港までのルートの修正をしなければと、車に搭載されているカーナビを弄る。

 

「? 随分と遠回りな…」

 

そしてカーナビから出た情報は、東京郊外を周り港に行くルートだった。

幾らなんでもおかしいと考える緒川にさっきとは別の部下の黒服が近づき窓をノックする。

 

「他の道で家や職場を無くした一般人が無許可のデモをしてるようです。警察が対応してますが先の件で人が足りないようで…」

「何もこんな時に…」

 

緒川が思わず愚痴る。

日本だけではない、現在隕石が世界中に落ちた事で家や職を失った人間がやり場のない怒りや不安を政府にぶつけるデモが活発化してるのは緒川も知っている。

その流れが日本にも来たのだろうが、タイミングが悪いとも思った。

 

「これでは、カーナビの指示している道しかなさそうですね」

 

溜息をついた緒川はカーナビの示す方向にハンドルを切る。

緒川の部下が乗る車も続いてハンドルを切る姿に警官の男の口の端が歪んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 方向転換してから十数分、街中の景色から徐々に人の影が消え山道に近い車道を走る。

 

「この車山の方に行ってないか?」

「…おかしいですね」

 

 後ろの席に座る峰信太朗が疑問を口にし、ナビに従ってる緒川も同意する。

 港に行くはずが、逆の遠い山付近を走っているのだ。もう一度、ナビを弄るがルートは相変わらず山方面だった。

 

「ん?」

 

 その時、ふと緒川がバックミラーに目を向けると自分たちの車の背後に大型ダンプカーが現れた。

 それは、工事現場などでよくある土砂など運ぶダンプだ。

 

「あのダンプカーやたらと早い…!」

 

最初は、緒川もそのダンプが自分たちと同じ迂回させられた物だと考えた。

死神博士の流れ星作戦以降、瓦礫などが散乱した事でダンプやショベルカーなどが需要が広がっている。

自分たちの後ろを走るダンプもそうかと考えたが、次の瞬間に緒川の部下の乗る車を後ろから衝突した。

 

そして、緒川は見た。バックミラーに映った大型ダンプを運転してるのがゲルショッカー戦闘員だということを。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…緒川さんより緊急連絡!!」

 

『!?』

 

特異災害対策機動二課本部で待機していた響たちの耳に友里あおいが緊急事態を知らせる。

指令の席から立ち上がる源十郎が口を開く。

 

「どうした、緒川」

『敵襲です、恐らくは峰博士を狙ったゲルショッカーです!』

 

━━━やっぱり攻めて来た!

 

その場にいた皆の脳裏にその考えが響く。

即座に、源十郎が緒川の居場所を聞き、オペレーター席に座る藤尭朔也が特定に動く。

 

「…わかりました、現在○○山方面へ猛スピードで移動してます」

「○○山だと!? こっちとは反対方向だぞ!」

「指令、最短ルートでの事故が発生したとの報告が、他の道にも問題が起きたらしく…」

「…お役所仕事か!?」

 

 もう直ぐ国連管轄の組織になる事が決定してるとは言え、人類の砦たる特異災害対策機動二課の扱いに青筋を浮かべる源十郎だが仕方ない部分もある。

 ショッカー時代から多くの職員が殺され死神博士の流れ星作戦が他国に比べれば低いが無視できない程の損害が発生し政治家も官僚も右往左往しているのが現状だ。その上、特異災害対策機動二課よりショッカーが新しくゲルショッカーなったと聞かされたのだ。現場も政治家たちも混乱している。

 特異災害対策機動二課への報告の遅れも殆どが、それが原因でもあった。

 

とにかく、報告を受けた事で響たちは急いで輸送のヘリに乗り込み緒川たちを追う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

響たちが特異災害対策機動二課のヘリに乗り込む頃、普段は暢気な山道では金属の打撃音が響き一台の黒い軽自動車がガードレールを突き破り崖下へと転落していく。

 

そして、山の道路には三台の黒い軽自動車と軽自動車を追う大型ダンプがカーチェイスをしている。

その時、大型ダンプの上からゲルショッカー戦闘員が現れ軽機関銃を黒い車…緒川の部下の乗る自動車に乱射している。

そして一台の黒い軽自動車がエンジン部分を打ち抜かれスピードが落ちると大型ダンプに接触し弾き飛ばされる。

その弾丸は緒川の運転する車にも命中し後ろのリアウィンドーが砕け散る。

 

「ヒイィ! 何が起きてんだ!!」

「下に屈んで喋らないで、舌を噛みますよ!!」

 

 後ろの席に乗っていた峰信太朗は突然の事に頭を抱えて身を小さくし、緒川は喋るなと言いハンドルを切る。

 車をジグザグに走行してゲルショッカー戦闘員の乱射する弾丸を回避する。

 それどころか、運転している緒川がバックミラー越しとはいえ、窓から手を伸ばし拳銃を後ろに撃つ。

 その弾丸は明らかに挙動がおかしくジグザグに移動したかと思えば軽機関銃を乱射するゲルショッカー戦闘員の陰に命中する。

 

「!?」

 

 瞬間、乱射していたゲルショッカー戦闘員の動きが止まり軽機関銃の乱射も止まる、緒川が翼に伝授した影縫いだ。これで、ゲルショッカー戦闘員は軽機関銃を撃てなくなったが、大型ダンプが揺れてバランスを崩した事で身動きできずに前に倒れ大型ダンプの天井から落下。

 そのままタイヤに巻き込まれる姿をバックミラーで確認した緒川。

 

尤も、それでダンプが停まる事は無く更にスピードを上げ、もう一台の黒い軽自動車に横から体当たりし崖とダンプの間に挟まる。

その後、山肌とダンプに挟まれた軽自動車だったが、とうとう耐えられずフロントガラスがヒビだらけで見えなくなり煙を吐いて爆発した事でようやくダンプから解放され路上に放置された。

 

残ったのは、緒川が運転する車一台だ。

 

その後も、激しいチェイスが続きダンプは本当にダンプか疑う程の動きを見せ緒川たちを追跡する。

急カーブでは、緒川のドライビングテクニックと忍者の身体能力でガードレールの上を走行する動きを見せ、ダンプもガードレールにぶち当たり、そのガードレール事態を破壊しつつも追跡を止めない。

 

「しつこいっ! …!?」

 

 急カーブにより、酷使され続けたタイヤの消耗は緒川の想定外だったのか後ろのタイヤがバーストを起こし一気にスピードが落ちる。

 それでも何とかレバー操作しハンドルを握って車を安定させていた緒川だが、またもや急カーブが目に入る。

 緒川の乗っていた黒い乗用車がガードレールを突き破った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ガードレールを突き破った黒い乗用車は落下すると供にバランスを崩して傾き地面に叩きつけられるとゴロゴロとオモチャのように転がり、止まる頃には全てのガラスが粉砕され天井部分も潰れている。

 そして、ゲルショッカー戦闘員の運転するダンプも止まれず緒川の乗っていた黒い乗用車が作ったガードレールの穴を広げ乗用車同様の軌跡落下し丁度、黒い乗用車に乗っかる形になり爆発炎上した。

 乗っていたゲルショッカー戦闘員は脱出した様子が無い。

 

「ふぅ~、危なかったですね」

 

 一方、黒い乗用車に乗っていた緒川は片手に気絶した峰博士を抱きかかえ一息ついた。

 

 何故、車に乗っていた筈の緒川が此処に居るのか?

 車がガードレールを突き破り、空中でバレルロールする中、緒川はシートベルトを外し、後ろの席で気絶している峰信太朗の裾を掴むと、半ばドアとしての役割が無くなったドアから脱出し空中で峰信太朗を小脇に抱えて着地。

 そのまま車の最後を見送った。

 

 

「此処は…風化した石切り場?」

 

 改めて周りを見渡す緒川が呟く。

 周囲には東京とは思えない程の木に砂利だらけの山。元は石切り場の一つだったのか岩肌も露出している。

 尤も、会社が潰れたのか放置され何十年も経ってるのだろう、古い放置された重機が錆びだらけで原形も保っていない。

 ついでに言うなら、街に降り注いだ隕石もこの場には降らなかったのか、痕もない。

 

「…迎えを待つしかないか」

 

周りを見渡した後、気絶した峰博士を取り敢えず、自身のスーツの上着を敷き寝かせた後に、自身の乗った車の成れの果てを見て呟いた。

気絶した男性を抱えて本部に行くのは現実的とは言えない。

既に本部に連絡した以上は、響たちがヘリで来る可能性が高い。それならそのヘリで胸博士を運び自身もヘリに乗って移動した方が良いと考える。

 

「そうは問屋が卸すと思うなよ、特機部二め!!」

 

「!?」

 

突然背後からの声に緒川が振り返る。

緒川の目線は山となっていた砂利の上に居座る人外…警察署の監視カメラに映っていた怪人が居る。

 

「ゲルショッカーの改造人間!?」

 

「人呼んでサソリトカゲス! 此処がお前たちの墓場だ!」

 

怪人…サソリトカゲスがそう言った瞬間、何処からともなく赤や青といったカラフルな板のような物が飛び交い緒川たちの周囲に落ちる。

落ちた瞬間、板のような物は布だったのか其処からゲルショッカー戦闘員が現れる。

緒川たちはゲルショッカー戦闘員に包囲される。対する緒川も拳銃を取り出すがジリジリとにじり寄るゲルショッカー戦闘員に視線を向けて居た。

 

「シンフォギア装者の前に奴等を血祭りに上げてやれぇーーっ!!」

『ギィーッ!!』

 

今まさに緒川たちにゲルショッカー戦闘員が一斉に攻撃しようとした。瞬間、

 

『ギッ!?』

「ん?」

 

「間に合ったようですね…」

 

サソリトカゲスとゲルショッカー戦闘員が何かに気付き、緒川もホッと胸をなでおろす。

それぞれ気付く、ヘリの飛行音が近づくのを。

 

そして、飛行中のヘリのドアが開くと何人もの人影が飛び出してくる。

 

Balwisyall nescell gungnir tron×2

Imyuteus amenohabakiri tron×2

Killter Ichaival tron×2

 

六人の人影が歌うと同時に光に包まれ、地面へと着地する。

そして、光が治まり出て来たのはシンフォギアを纏った響たちだ。

 

「皆さんっ!」

「緒川さん、助けにきました」

「その辺の物陰に隠れてな!」

 

クリスの声に寝かせていた峰信太朗を抱きかかえ移動する緒川。

ゲルショッカー戦闘員が反応する前に移動した事で邪魔もされなかった。

 

━━━シンフォギア装者どもめ、もう来たか。だが予定通りだ

「やれぃ、お前たち!」

「ギィーッ!」

 

一斉にゲルショッカー戦闘員が響たちに襲い掛かる。

即座に拳で反撃し何人ものゲルショッカー戦闘員を殴り倒す二人の響。

 

獲物を持ったゲルショッカー戦闘員は翼が剣を出し迎撃しつつ切り捨てる。

 

二組に比べ、接近戦が苦手なクリスだがガンカタの動きでゲルショッカー戦闘員を迎撃し、アームドギアのガトリング砲でぶん殴っている。

 

多少、手間取るものの当初よりもゲルショッカー戦闘員をスムーズに倒していく響たち。

その様子を見たサソリトカゲスだが、不気味な表情から余裕の空気を漂わせる。

 

 

 

 

 

「ギィーッ!?」

 

最後に残った戦闘員が響の拳を喰らい、吹き飛ばされる。

それが合図かのように地面に倒れた戦闘員たちの体が燃えて消えていく。

 

その様子に並行世界のヒビキたちは、まだ慣れてないのかギョッとしているが響たちはサソリトカゲスの方に視線を向ける。

先に口火を切ったのはサソリトカゲスだ。

 

「ゾオオォォォォリィィィーーーーッ! 不甲斐ない奴等だ、次は俺が相手をしてやる!」

 

「ならとっとと降りて来「とっくに降りているが?」っい!?」

「「「「「!?」」」」」

 

クリスが高台で見物していたサソリトカゲスに降りて来いと言い切る前に、高台にいたサソリトカゲスが一瞬にしてクリスの前に立っており、響たちもこれには驚愕する。

直後に、クリスの腹に拳を入れ周囲にいた響たちも裏拳で攻撃する。

 

サソリトカゲスとの戦闘が始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「クッ…強い!」

「更に固い!」

 

二人の翼が思わず口にする。

左腕のハサミに注意がいけば右腕が、右腕に注意すれば左腕のハサミが攻撃し、時には頭部の二本の尻尾らしき突起が延びて攻撃して来る。

反撃で、アームドギアの剣を振るがサソリトカゲス自体の体も固く簡単には切れない。

 

響は互いにガントレットの拳で攻撃するが、お互いの拳が何度かかち合いサソリトカゲスに対して連携すらままならない。

遂にはお互い遠慮し合ったのかサソリトカゲスに当たる寸前で止めてしまう。

勿論、この隙を見逃すサソリトカゲスではなく逆に自身の拳やハサミで攻撃し終いには互いの響の頭部を掴みぶつけ合う。

 

「痛ッ!」

「痛いっ!!」

 

お互いの頭がぶつかった響。

響の場合は軽く頭を振るうが、並行世界のヒビキは暫くのけぞった後に漫画のようなタンコブが出来る。

 

一方、クリスは響や翼の援護にと二組から少し距離を取り、アームドギアをボーガンにしたり狙撃銃にして援護しようとするが、

 

「馬鹿っ!」

「邪魔すんなっ!」

 

サソリトカゲスがクリスの狙いを分かってるのか、翼や響を盾にし撃つのを躊躇わせ逆にチャンスだと思って撃てばお互いの弾がぶつかって狙いがそれる。

お互いに文句を言うクリスの姿に内心ほくそ笑むサソリトカゲス。

 

 

 

 

 

 

 

 

『なっ!?」』

『また消えた!?』

 

「翼さんたちがサソリトカゲスに翻弄されています!」

「ギアの損傷率が僅かですが上昇しています!」

 

その頃、潜水艦の特異災害対策機動二課本部では響たちの戦闘の様子がモニタリングされている。

尤も、ゲルショッカーの妨害電波を予想し響たちを運んだヘリが少し離れた場所で観測している映像だが、これで指令室でも響たちの戦いを観測できる。

ついでに言えば、サソリトカゲスの名は緒川が通信で伝えていた。

 

「…敵は…サソリトカゲスは高速で移動してるか、瞬間的に移動しているというのか…」

 

サソリトカゲスが瞬間的に居る場所が違う事に源十郎はいくつかの憶測を立てる。

何しろ、翼の剣や響の拳が当たる寸前にその実が消え、別の装者か背後に回っているのだ。

「ガニコウモルも強敵だったが、サソリトカゲスもそれ以上に強敵に思える。

 

「やはり、ゲルショッカーの怪人には六人だけでは勝てないのか?」

 

サソリトカゲスに圧倒される響たちの姿を見て弱気になりかけ自然と口から出てくる源十郎。

平行世界のシンフォギア装者の力も借りてるというのに己の不甲斐なさに何度目かの悔しさを感じている。

 

「大丈夫ですよ、指令」

 

源十郎が己の不甲斐なさに情けないと思っていると、オペレーター席に座る藤尭朔也が励ます。

その声に反応して視線を向けるともう一人のオペレーター席に居る友里あおいも答える。

 

「平行世界のヒビキちゃん達にはアレがあるんです」

 

友里あおいの言うアレとは、イグナイトの事だろう。

エクスドライブ程ではないが、イグナイトは向こうの装者曰く決戦ブースターと言うだけあり通常のシンフォギアを超える出力だ。

事実、前に戦ったガニコウモルの時もイグナイトで撃破したと言って良い。

 

「あ…ああ…」

 

しかし、源十郎にはどうにも引っかかる物があった。

向こうのヒビキたち曰く、呪いやタイムリミットとか物騒な事も聞いたが引っかかるのは其処ではない。

 

━━━イグナイトの存在はゲルショッカーも掴んでる筈だ、だと言うのにサソリトカゲスのあの余裕…なんだ?

 

 少なくとも、ガニコウモルとの戦闘でイグナイトの存在は既に知られている筈。だと言うのにヒビキたちを早急に始末する訳でもなく、寧ろ甚振ってる姿に違和感を覚える源十郎。

何か、サソリトカゲスがとんでもない切り札を握ってるのではと不安になっている。

 

「…考え過ぎだといいんだが…」

 

 

 

 

「此処がこの世界の特異災害対策機動二課の司令部か?」

「みたいだよ…」

「マリアたちが言うには、翼たちがこっちに行ってるって話だしな。この世界のダンナにも挨拶しとこうぜ」

 

「なっ!? 君たちは!」

 

源十郎が悩んでる頃、指令室の扉が開くと共に三人の女性の声が聞こえる。

その声、全てに覚えがあった源十郎が振り向くと驚愕した表情をした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ゾオオオオオォォォォリィィィィーーーーッ! 如何した、シンフォギア装者ども!噂程でもない!!」

 

響たち六人の攻撃を受けたサソリトカゲスだが、その体には全くと言っていい程ダメージがなく逆に響たちは息切れ気味なのか呼吸が荒くなっている。

ガニコウモルと同じかそれ以上の力量に響たちは早くも息切れ気味になったのだ。

 

完全に押されている。そう感じたツバサはヒビキと自分たちの世界にクリスに目配せをし三人同時にサソリトカゲスから距離を取る。

いきなりのヒビキたちの行動に少し驚く翼たちだが直ぐに合点がいった。

 

「「「イグナイトモジュール! 抜剣!!」」」

 

ヒビキたち三人が胸のギアを上に掲げ「抜剣」と言う。

サソリトカゲスを相手にヒビキたちが切り札の一つであるイグナイトを使う事を決意する。

 

「これで流れが変わる」響たちもそう考えたがシンフォギア装者たちは気付かない。

サソリトカゲスの不気味な顔が更に歪み笑っている事を。

 

「掛かったなっ、死ねぇぇぇっ!!」

 

そう言い終えると共に口から白い煙を吐き出した。

 

 

 

「来たぞ、ガス攻撃だ!」

「一気に決めるぞ!」

「うん!」

 

始まる歌 始まる鼓…!?

 

予想通り、サソリトカゲスが白いガスのような物を吐き出した事で短時間で決着を付けようとするヒビキたち。

歌う関係上、毒ガスの類はシンフォギア装者には大敵と言えるが、ショッカーとの戦いで多少の毒ガスならシンフォギアで軽減も出来る。

以前に、並行世界でクリスとマリアが戦った海蛇男の時もギリギリだが勝利した。

だから、今回もと考えていたヒビキたちだが歌いだした直後に突然胸が苦しくなり視界が暗転する。

 

「翼さん!? クリスちゃん!?」

 

ヒビキたちだけではない。

自分の世界の翼とクリスも突然苦しみだし倒れてしまう。

翼もクリスも胸をかきむしる様にして口をパクパクさせる。

響は気付いていないが、直後に響たちの戦闘を観測していた特異災害対策機動二課のヘリが墜落した。

 

 

 

 

 

 

 

 

「一体、何が起こったんだ!?」

 

特異災害対策機動二課本部でもヒビキたちが突然倒れた事で警報が鳴りモニターには翼とクリスの体のデータが出てくる。

 

「分かりました、指令! 二人の血中から酸素が急速に消えています!」

「酸素だと! まさかサソリトカゲスの吐いたガスが…直ぐに響くんに伝えるんだ!」

 

友里あおいの報告で翼たちに起こった事が何となくだが察しがついた。

ならばと、まだ元気そうな響に通信で伝えようと命令を出すが

 

「了か…」

 

藤尭朔也が「了解」と言いかけた時だった。

モニターに映っている響たちの映像が明後日の方向に行ったかと思えばグルグルと回転し途絶えてしまう。

友里あおいがヘリの通信に「応答願います」と呼びかけるがうんともすんとも返信はない。

特異災害対策機動二課本部は再び目を奪われた。

 

「指令、緊急事態です!」

 

しかし、特異災害対策機動二課とっての凶報はまだ続く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「翼さん、クリスちゃん…しっかりして!」

 

倒れ苦しむ翼とクリスの背中など摩り必死に呼びかける響。

しかし、二人とも響の声に答えられず相も変わらず胸元を押さえ口をパクパクさせている。

ふと、並行世界の自分たちの方も見るが向こうも変わらず、それどころか纏っていたイグナイトも散り通常のシンフォギアに戻っている。

 

「ゾオオオオオォォォォリィィィィーーーーーッ!! 人間とは脆いな、そうは思わんか立花響」

 

一体、翼たちに何が起こったのかと思っていた響の耳にサソリトカゲスが話しかける。

その間もサソリトカゲスの口からは白いガスが出ている。

十中八九サソリトカゲスの仕業だと分かる。

 

「翼さんやクリスちゃん、並行世界の皆に何をした!?」

 

「単純な事よ、俺の酸欠ガスで貴様らの周りの酸素を消してやった。貴様は改造人間故に人口肺のお陰で酸欠は免れたようだがな」

 

 

 

 

酸欠ガス

ゲルショッカーの開発した恐るべき兵器だ。

サソリトカゲスの吐く白いガスは周囲の空気中の酸素を消滅させる。

ゲルショッカーが対シンフォギアを想定し製造された。

 

 

 

「酸欠ガス…だからみんな…」

 

「そう言う事だ、貴様も死ぬがいい!」

 

酸欠ガスを吐きながら響に襲い掛かるサソリトカゲス。

何とか、サソリトカゲスの攻撃を凌ぐ響だが、元より翼やクリスの三人がかりでも厳しい相手だ。

響の苦戦は眼に見えていたが、それでも響は何とか抗う。

 

「足掻いても無駄だ、立花響! シンフォギア装者どもの脳は酸欠でもう直ぐ機能が止まる、仮に生き残った所で脳の障害が残るわ!」

 

 

人間に限らず生物には酸素が必要不可欠だ。

酸素が無くなれば脳の機能は低下しやがては止まる。ゲルショッカーの狙いが大体わかった響。

 

━━━サソリトカゲスの言う通り、このままじゃ翼さんやクリスちゃんが…ならっ!

 

一瞬の隙を見つけた響は倒れている翼とクリスを小脇に抱えてその場をジャンプ。

響が着地したのは、イグナイトが解けた並行世界のヒビキたちが倒れてる場所だ。

 

「皆、ゴメンッ!」

 

響が抱えていた翼とクリスを降ろした響は腕のギアのジョッキを上げて真下の地面を殴る。

瞬間、地面が窪むと共に衝撃波が走り倒れていた翼たちがその衝撃波で別の場所に吹き飛ばされる。

 

「狂ったか、立花響!」

 

いきなりの事に響がトチ狂ったかサソリトカゲスに殺されるのなら自分が介錯したのかと思ったサソリトカゲスだが、その耳にある音が聞こえた。

 

                         「ゴホッ!」

            「…ガハッ!」

 

響の放った衝撃で翼たちが振ったんだ先で声が聞こえた。

サソリトカゲスが視線を向くると翼たちが咳き込み胸も上下に動いている。

 

━━━息を吹き返した? …そうか!

「考えたな立花響! 地面に放った衝撃波で装者どもを俺の酸欠ガスの範囲外に飛ばしたな!」

 

 サソリトカゲスの読み通り、響が翼たちが居る地面を殴ったのはサソリトカゲスの酸欠ガスの範囲から逃げる為だ。

 本来なら響が担いで逃げればいいが、5人という人数とその間にサソリトカゲスが響を見逃す筈もなく響は一か八かの賭けに出たのだ。

 結果は、翼たちの息は吹き返したが五人とも少なくないダメージも受けてしまった。

 それでも、響は翼たちを助ける事に成功した。

 

 とにかく、翼たちの救出に成功した事に一息つく響。

 翼たちが復帰すれば、さっきの様にはいかず並行世界のヒビキたちも場所を変えてイグナイトモジュールを使えばサソリトカゲスを倒すのは難しくないと考える。

 

「ゾオオオオオォォォォリィィィィーーーーッ!! だが甘いぞ、立花響! 呼吸もままならない人間がそう早く動けると思うか!?」

 

「!?」

 

サソリトカゲスの声に響の視線が再び翼たちの方に向く。

翼たちは確かに呼吸はしていた、しかし誰一人立ち上がることが出来ずにいる。

平行世界のヒビキたちすら

 

「死ぬ手前まで息が出来なかったんだ、再び呼吸が出来ようが脳がパニックを起こし暫く戦力にはならん! 序に教えてやる、俺の酸欠ガスの目標はお前たちだけではない!」

 

「私たちだけじゃない…?」

 

「ゾオオオオオォォォォリィィィィーーーーッ! 何故、お前たちをこの場所に誘き寄せたと思う!? この辺りの風は日本の首都、東京都全域に流れている!」

 

「!」

 

その言葉に響はサソリトカゲスの真の狙いが分かった。

 

「最後にもう一つ教えてやる! 俺の酸欠ガスは50キロもあれば東京全ての酸素を消滅させる! そして千五百万の都民を皆殺しにして東京を占領する! これぞゲルショッカーの大東京無血占領作戦だ!!」

 

 

 

なんと、ゲルショッカーの目的は東京そのものだった

罠に嵌った響たちはこの野望を止める事が出来るのか?

仲間が倒れた今、響に逆転の力は残ってるのか?

 

 

 

 

 

 

 




緒川たちのカーレースシーンはシン・仮面ライダーの冒頭シーンがイメージです。
或いは、ルパン三世のカーレースも…

緒川が誘い込まれた場所は仮面ライダーの劇中通りの山がイメージです。
響以外はだいたい最低限の連携は出来ます。クリスは遠距離が主体だし翼は防人だから。お互い邪魔しないとは言っていない。
クリスは原作の性格を見る限り、自分同士だと喧嘩し合う可能性があります。XD本編に出て来た並行世界のクリスなら…。

そして案の定、酸欠ガスの餌食になる響たち。歌う関係上、酸素は必要だからね。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。