改造人間 立花響のシンフォギア   作:一種の信者

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やっぱりアニメシリーズとは違い、オリジナル展開は時間が掛かる。

プロットは最低限あるけど、参考として仮面ライダーのDVD見たり、シンフォギアXDの確認にも時間がいる。今更です…


今年は後一回、更新できるか?


135話 繋がる想い

 

 

 

 

日本の首都、東京。

 日本の心臓部であり頭脳、経済を支える首都。

 死神博士の流れ星作戦により一部崩壊しているが未だに二本の経済を引っ張っている。

 

 隕石の落下で少なくないダメージを負っているが少しずつだが復興してきている。

 そんな東京の道を4人の人影が歩いていた。

 

「ビッキー、今日も仕事かな?」

「未来さんも何か知りませんか?」

「響は多分、本部に行ってると思うよ。私は指令になるべく来ないよう言われてるけど」

「ショッカーの事だから、下手に行くのは悪手かも。 …でも未来の存在は既にバレてるし、逆に行った方が良いのかな?」

 

 東京のとある歩行者用通路、其処で談笑しつつ歩んでるのは、小日向未来と安藤たち何時もの四人だった。

 未だに学園には半分ぐらいの生徒が復帰しているが、仕事が忙しいのか響が来れない事で未来に質問している。

 大分マシになったとはいえ、細かい瓦礫を避けつつ歩くきつつ未来のスタンスについて話してる四人はある物を見つける。

 

「政府は我々を助けろっ!」

「今こそ、コンクリートより人間を!!」

「このままじゃ生活が出来ないぞ!!」

 

先頭の人間が拡声器を持って後には何十人もの人間が行進する姿だ。

皆、頭にはハチマキが巻かれ皆が皆、拡声器の後に大声で連呼している。

 

「うわ~デモだ…」

「ここのところ、毎回見かけますね」

 

デモ隊が練り歩く姿を見て呟く安藤たち。

以前は、海外のニュースとかでしか見なかったデモが最近、東京でも起きている。

その殆どは無許可らしく、だいたいは警官が注意すれば散ることも多く危険とは言えない。

 

「暇なのかな、あの人たち」

「それだけ家を失った人が多いんだよ…」

「…仮に家が無事だったとしても職場そのものが吹き飛んで無くなってたりで、文字通り仕事が無くなった人も多いらしいですよ」

「元のクラスメイトも田舎に帰ったりで減ってるからね…結局は皆不安なんだよ、ああして政府に文句を言うのも安心したいから、かもだし」

 

 死神博士の流れ星作戦、これにより世界的に多数の建造物とわず自然物も破壊され家を文字通り失った人間も多い。

 だが、それ以上に職場そのものを失った者たちが多かった。

 政府からすれば、経済が少し落ちる程度だが、職場その物が文字通り消滅した人間はたまった物ではない。

 だからこその憂さ晴らしか、少しでも支援をもぎ取る為か日本でもデモが起きていたのだ。

 

 幸い、安藤たちの寮は比較的に無事で実家の家族も被害があった場合は田舎に帰省している。

 

「…とはいえ」

「関わりたくはないね」

 

デモをしている人たちの気持ちも分かるが関わりたくはないとさっさと歩きだそうとした四人だが、直後に後ろから大きな音がし振り返る。

 

「おい、事故だぞ!」

「あの車ブレーキも引かずに電柱に突っ込んだ!」

 

デモに参加している何人かが指差して喚いている。

其処には、電柱に激突した軽自動車があり道路にはブレーキ痕も無かった。

デモに参加している一部の人間たちが、軽自動車に乗っている人間を心配しドアを破ると道路に寝かせ、他の人間が救急車を呼ぶ。

 

「…事故?」

「みたいですけど…」

「邪魔になるかも知れないから移動した方が…?」

「ちょっと、どうしたの?」

 

いきなりの事故に驚く一行。デモ隊の人間が救出作業をしているのを見て野次馬になるのも如何かと金髪の少女…寺島詩織がこの場を離れようと一歩踏み出した時にふら付く。

幸い、転びはしなかったがその場で蹲りツインテールの少女…板場弓美が肩に触れ話す。

 

「いえ…何か…眩暈が…」

「眩暈? …うっ」

「えっ! 二人とも!」

 

介抱していた板場弓美も寺島詩織に続いて蹲り、今度は安藤創世が二人の下へ行く。

 

「…何が起こってるの?」

 

此処にきて小日向未来もやっと自分たちの周りに異変が起こってる事に感付く。

直後に、デモ隊の方でも悲鳴が上がり未来が振り向くと既に何人もの人間が倒れ救助活動していた人達も気分が悪そうにしている。

 

「い…息が…苦しい…」

「ママ…」

「ハヒィ…ハヒィ…」

 

まだ意識がある人間もドンドン呼吸がし辛くなり一部では泡を吹いて意識を失う者も居る。

そして、事故で千切れた電線が激突した衝撃で漏れ出したガソリンに触れたりするが火が出る事もない。

 

「みんな、急いで此処から…!?」

 

 未来の本能が急いで離れろと警告し安藤達の方に振り返る。

 しかし、未来が見たのは二人の目前で倒れている安藤創世と既に意識の無い板場弓美と寺島詩織の三人だ。

 思わず、驚いた表紙に口元を押さえた未来だが同時に別の場所でも車の衝突音が聞こえ事故が立て続けに起きてる事に気付く。

 

 それだけではない、電柱や木の枝にとまっていたカラスやハトといった鳥が一斉に鳴き声を出し飛び立ち、全ての鳥が一定の方向に向かって飛んでいく。

 まるで何かから逃げてる様に見えた未来は不気味に思っていると目の前に何かが落ちて来た。

 それは先程まで飛んでいたカラスであり口から泡を出して苦しんでいる。

 よく見れば、飛んでいく鳥の中には空中から落ちていくカラスやハトが見られる。

 

 直後に、未来自身も凄まじい息苦しさと眩暈により経っていられず膝を地面に付ける。

 

「ひび…き…」

 

 そして、この場に居ない親友の名を呟き意識が途切れる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「渋谷、原宿で倒れる人たちが増えています!」

「杉並、足立も同様です!」

「官邸との連絡が途絶えました!」

「救助隊には酸素マスクを常備させるんだ! 倒れた者は皆、東京の外にある病院に運べっ!」

 

その頃、特異災害対策機動二課本部でも東京の状態が聞かされパニック状態になっている。

東京には政治家も多く、次々と連絡が取れなくなり特異災害対策機動二課も行動がし辛くなる。

 

「響くんたちがサソリトカゲスを倒すまで耐えるんだ!」

 

 この東京の元凶は間違いなくゲルショッカーのサソリトカゲスだと断定する源十郎。

 政府に報告しようにも、既に東京の政府関係各所との連絡が次々と不通になり東京以外の助けも要請している。

 しかし、東京の人口は軽く1500万人居る以上、どこもかしこも手が足りてるとは言えず源十郎も苦虫を嚙み潰したよう表情で職員たちに命令を下している。

 

「指令、東京の空気の酸素濃度が10%を下回りました!!」

「危険領域に入ります!」

「…これが、サソリトカゲスの発するガスの正体か!奴等は最初から東京を………」

 

 通常、人間が吸っている空気で酸素の割合は、空気全体の20%弱である。

 しかし、その酸素が低くなれば酸素欠乏症と言われ様々な表情が現れ最悪死ぬ。

 ゲルショッカーの真の目的が響たちだけでなく東京そのものだった事を察した源十郎はパニックになりつつある本部から指示を出しつつ響たちと()()()()の勝利を信じる他無かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「サソリ…トカゲ…ス…そのガス…を…止めろッ!」

 

響がサソリトカゲスに拳を振るううが、響の拳を楽々避けるサソリトカゲス。

見る者が見れば響の動きが明らかに落ちているのが分かるだろう。何より、響の言葉は途切れ途切れとなっている。

 

「ゾオオオオオォォォォリィィィィーーーーッ! どうした?立花響。 動きが悪くなっているぞ!俺の酸欠ガスの威力を見たか!」

 

「!」

 

当然、響と戦い続けているサソリトカゲスも響の体の動きが悪くなっている事に気付き指摘する。

響自身も自覚があり、サソリトカゲスの言葉に内心「悔しい」と思う気持ちがあった。

響の拳も蹴りも当初に比べればキレが無く、スピードも格段に落ちている。

その状態で当てても碌にサソリトカゲスにダメージも与えられないだろう。

 

「スタミナ切れか、酸素でも足りなくなったか? それなら貴様は()()()()()()だな、立花響!」

 

「 ! …宝…なん…かじゃ…ない…っ!」

 

サソリトカゲスの言葉の意味に即気付いた響は必死に反論する。

サソリトカゲスの言う「宝」とは死神博士に改造された体、即ち「改造人間」にされた今の響の体だ。

響に言わせれば、この体はショッカーの呪いだった。

 

本来なら、サソリトカゲスの酸欠ガスをゼロ距離で浴び様が響の改造された体なら十分耐えられ何の支障も出ない。

しかし、今の響は明らかに体のスペックが落ち、何時もの戦闘力が激減している。

その原因が疲労からか、サソリトカゲスの酸欠ガスの所為かは不明だが、サソリトカゲスからすれば響は自身の体のスペックを全く使いこなせていない様にしか見えなかった。

 

どちらにせよ、響は圧倒的に不利になっている。

幸運と言えるか分からないが、サソリトカゲスはその状態の響を嬲っており何とか時間を稼げは居た。

 

 

 

 

 

 

「ウー…ン…此処は…」

「…起きた…のか? 先輩…」

 

翼が重い瞼を開き辺りを見回す。

頭がボーっとして仕方ないが、クリスの声に気付く。

 

「…雪音…私たち…は一体…」

「奴等に…一杯食わ…された…あの馬鹿が…頑張って…るが…」

 

クリスが視線を動かし翼にそう言った、体がだるく所々が痛む中、翼も視線を動かした。

視線の先にはサソリトカゲスと戦う響の姿が

 

「立花…!」

「…先輩も…ダメか…」

 

咄嗟に響の加勢に動こうとした翼だが、自分の体が鉛のような重さに驚く。

それはクリスも同様のようで翼が意識を取り戻す前に覚醒してずっと動こうとしていた。

 

「この…体の…不調は…」

「…大方…サソリ野郎…のガスの…所為…だろうな…」

 

 翼とクリスの二人は、酸素が完全に遮断された事により体に様々な影響が出ていた。

 

 酸欠により頭痛に吐き気、耳鳴りに判断力の低下。全身脱力による体の機能の低下、シンフォギアを纏っていた為この程度ですんでいるが、無ければそれこそ脳に障害が発生していた可能性が高い。

 

「どうやら…向こうも…動こうとしてる…ようだ」

 

そして、翼の視線の先には同じく倒れている並行世界のヒビキたちが写った。

ヒビキたちも意識が戻ったのか体が動いてるが、翼たちの様に立ち上がることが出来ない。

翼たちは一刻も早く、響を助けようとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「…ほう? どうやら意識は戻ったようだな」

 

「…え?」

 

響を嬲っていたサソリトカゲスが翼たちの意識が戻った事に気付く呟く。

その呟きは響にも聞こえ、翼たちの方に視線を向が翼たちに向かう。

其処には、さっきまでとは違い手足を動かしてる姿があり、その様子に響は安堵するが同時に様子の可笑しい事に気付く。

 

響の知る翼やクリスなら直ぐに立ち上がる筈だが、少し手足を動かすだけで起き上がる気配が無い。

それは平行世界のヒビキたち(もう一人の自分)も同様のようで手足は動いているが完全には動いていない。

 

「どうして…」

 

「ゾオオオオオォォォォリィィィィーーーーッ! シンフォギア装者とは言え所詮は生身の人間よ! 改造手術も受けていない人間にしては頑丈だが限界はある…だからこそ止めを刺してやる!」

 

 サソリトカゲスがそう言った瞬間、空から何処からともなく赤や青といった板のような物が飛び回りそれぞれが翼たち近くに落ちる。

 そして、落ちた瞬間、板のような物が布のようになりめくりあがるとゲルショッカー戦闘員が現れた。

それぞれの手には刃渡りの長いナイフも握られている。

 

「! ゲルショッカーの改造人間!」

 

「サソリトカゲスだ! 貴様らソレで装者(小娘)どもの首を掻っ切れ!」

 

 サソリトカゲスの命令にゲルショッカー戦闘員はナイフを片手に倒れている翼たちに近寄る。

 翼たちも何とか抵抗しようとするが、未だに脳も体も回復せず碌に立ち上がる事も出来ない。

 

「ダメ…! 「させると思うか!」 !?」

 

 サソリトカゲスの狙いが動けない翼たちの命だと分かった響は守ろうと動くがその隙をサソリトカゲスが見逃す筈が無く響の背後に回り込み拘束する。

 首と片腕を拘束された響が抵抗するが、サソリトカゲスの拘束にビクともしない。

 

「ゾオオオオオォォォォリィィィィーーーーッ! 直ぐに殺すのも面白くない、仲間が無残に死ぬ姿を見せつけた後に始末してやる!」

 

サソリトカゲスの宣言通り、ゲルショッカー戦闘員が翼たちにトドメを刺すべく近づく。

その時、何発もの銃声が響き物陰から誰かが飛び出した。避難していた緒川だった。

 

「皆さんをやらせる訳には…!」

 

倒れた翼たちにナイフを持ったゲルショッカー戦闘員を見た緒川は、峰信太朗を隠し決死の特攻で銃弾をゲルショッカー戦闘員に撃ち込む。

不意を突かれたゲルショッカー戦闘員の一人はまともに銃弾が直撃し頭を撃ち抜かれ倒れる。

そのまま、緒川が他のゲルショッカー戦闘員を倒そうと弾込めをした途端、緒川の周囲に赤や青の布が降りて来た。

 

「これは、ゲルショッカー戦闘員! まだこんなに…」

 

出現したゲルショッカー戦闘員は、邪魔をした緒川を見逃す訳が無く一斉に緒川に襲い掛かる。

特異災害対策機動二課のエージェントである緒川もただでは殺られないと銃を片手に接近戦で反撃にうつるが、その間にも別のゲルショッカー戦闘員が翼たちの処刑の穴埋めをし、再び翼たちに近づく。

 

「ふん、とんだ邪魔が入ったがこれでシンフォギア装者どもの排除が出来ると言うものだ。ゾオオオオオォォォォリィィィィーーーーッ!!」

 

今まさに翼たちにゲルショッカー戦闘員がナイフを突き立てようとした。

響の必死の叫びが木霊し翼たちも歯を食いしばりサソリトカゲスが笑う。

最早これまでと思われた時だ。

 

『ギィッ!?』

 

幾つもの槍がゲルショッカー戦闘員に降り注ぎ、別の場所に居たゲルショッカー戦闘員にも()()()()()()が貫通し次々と倒れていく。

 

「何だっ!?」

 

予想外の事に驚くサソリトカゲスが槍や青白い光の矢が放たれた場所を見る。

其処で初めて三人の人影に気付いた。

 

一人は響と同じようなシンフォギアを纏い、もう一人は白いマントを羽織り青いシンフォギアを纏い翼のような髪形をしているが肩付近までしかない少女、最後の一人も同じような白いマントを羽織り赤いシンフォギアを纏いクリスと同じ髪質の少女だ。

響としても、自分と同じシンフォギアは兎も角、二人のシンフォギアも何処かで見たような気がした。

 

「このサソリトカゲスの邪魔をするとは! 何者だ!」

 

「…取り敢えず、戦闘員って奴を一掃したよ()()()

「思わずアタシも攻撃したけど…アタシの知っている戦闘員にしちゃ、やけに派手だな」

「よく分んねえけど、敵なら倒すだけだ! オレもいくぜ!」

 

サソリトカゲスの問いを無視して三人で話す少女たち。

すると、青いシンフォギアの少女…三人目の風鳴翼が剣を広げボード状にした後に乗ってサソリトカゲスに突撃する。

 

「なっ!」

 

つばさの予想外の行動に度肝を抜かれたサソリトカゲス。

思わず拘束していた響を解放しつばさに注意が向く上に吐いていた酸欠ガスも止まる。

そして、つばさはボード化した剣で飛び回り、サソリトカゲスの横を通り過ぎると同時にボード化した剣の刃が接触し火花を上げる。

 

空襲裂空刃

 

「ゾオオオオオォォォォリィィィィッ!?」

 

「かてぇ…殆ど傷も無しかよ…なら!」

 

つばさの攻撃法に驚くサソリトカゲス。

対するつばさも、自身の剣が効いていない事で再びボード化した剣でサソリトカゲスに接近する。

 

一度でダメなら二度三度とつばさはボード化した剣を滑空させ何度もサソリトカゲスに切り付ける。

そして、「クリス」が援護としてアームドギアから青白い光の矢で援護する。

 

「大丈夫か?」

「え、…奏さん!?」

 

アナザー世界の翼とクリスがサソリトカゲスの相手をしてる間に奏がサソリトカゲスから解放された響の下に行く。

一瞬、戸惑う響だが奏が並行世界で共闘した天羽奏だと気付くと嬉しそうな表情をする。

 

「奏さんも来てくれたんですか!」

「まあな、今は積もる話は後だ」

 

奏はそう言うと、まだ倒れているこの世界の翼たちの方に向かう。響も一緒に向かう。

 

「そっちは大丈夫か?」

「奏!?」

 

倒れている翼たちに話しかける天羽奏。奏の存在に気付いて目が点となる反応からこの世界の風鳴翼だと判断する奏。

驚きつつも懐かしい顔に会えた事が嬉しいのか。奏の顔を見て少し笑顔になる翼。

 

「あの三人から聞いてはいたが、こうして会えるなんて…」

「アタシも同じ体験をしてんだ、分かるよ。それより随分と苦戦してるな」

 

翼が手を差し出し奏が握って立ち上がらせる。

奏もかつて、相棒だった翼を亡くした事があり、この世界の翼と同じような体験をしてると語る。

ある意味似た者同士だろう。

 

「…気を付けろ、あのトカゲ野郎の吐くガスで意識を失う」

「サソリトカゲスが酸欠ガスって言ってた」

 

其処へ、響に肩を借りたクリスが二人の間に挟まる様に忠告する。

そして、響がサソリトカゲスのやり取りで酸欠ガスの事を話す。

性能は分からないが、恐らくは言葉の通りだろうと判断する翼たち。

 

「酸欠ガス!? この辺りの空気がやたら薄いと思たらそれか!」

「ゲルショッカーめ、完全にアタシ等を狙い撃ちにしやがって…」

「? ゲルショッカー?」

 

体の不調は少しずつ回復しているが、サソリトカゲスの酸欠ガスの恐ろしさを身に染みていたクリスが呟く。

その時、奏が「ゲルショッカー」という言葉に反応する。

 

実は奏たちは特異災害対策機動二課に着いた後、源十郎に支援を要請され即此処に来ていた。

その所為か、ショッカーがゲルショッカーになった事は知らないのだ。

 

「詳しい話は後だ、奏。今は怪人…サソリトカゲスを倒すのが先決だ」

 

翼の声にクリスと奏、響が頷くとサソリトカゲスの方に視線を向ける。

視線の先には、ボード化した剣で切る付けるつばさと、つばさの援護をする「クリス」の姿が、

 

「奏さん、あの二人って…」

「アタシもそこまで詳しくは無いが、並行世界の翼とクリスだってよ」

「あれが…」

「あれがアタシかよ、これでこの場に三人もいるぞ」

 

 響が何となく、新しく現れた青と赤のシンフォギア装者の事を聞くと奏は簡素に並行世界の風鳴翼と雪音クリスと説明し、翼とクリスが目が点となる。

 平行世界とは言え、この場に自分が三人いる事に違和感を覚えるクリス。

 何より、先輩としての翼もクリスも違和感が凄い。

 

そんな違和感を感じた矢先、サソリトカゲスを押していたと思われたつばさだが、何度目かの攻撃でサソリトカゲスの右腕がつばさの足を捉えた。

 

「しまっ…」

「翼っ!」

 

「ハエみたいにブンブン飛び回りやがってっ!」

 

掴んだつばさの足を引っ張り体ごと地面に叩きつけるサソリトカゲス。

衝撃により吐血するつばさだが、サソリトカゲスの行動は止まらない。

 

「ゲルショッカーの改造人間がこの程度でどうにかなると思うなよ!!」

 

倒れ吐血するつばさを無視して、掴んだ足を振り回し更に地面に何度も叩きつける。

背中、腹、肩に衝撃が走りシンフォギアにヒビが入りインナーも亀裂が出来る。

そのつばさの反応に溜まらず「クリス」が飛び出し助けようとするが、それを待っていたかのようにつばさの足を振り回していたサソリトカゲスが、向かって来る「クリス」に向け放り投げる様に放す。

 

「!?」

 

意表をつかれた「クリス」は、避ける事も受けきることも出来ずつばさの体の直撃を受け、諸共吹き飛んでしまい大岩に背中を強打する。

 

「不味い!あの二人にかなりのダメージだ!」

「直ぐに助けに行こう!」

 

「ゾオオオオオォォォォリィィィィーーーーッッッ!!貴様たちも俺の酸欠ガスを喰らうがいい!!」

 

サソリトカゲスが追撃とばかりにつばさと「クリス」に向かって酸欠ガスを吐こうと構える。

しかし、成り行きを見守っていた響と奏たちがそれを阻止すべくサソリトカゲスへと突貫する。

 

 

 

 

「私たち…も行かないと…」

「そうだ…な…」

 

響たちとサソリトカゲスの第二ラウンドを横目にしていたのは、酸欠ガスによりイグナイトを強制解除させられた平行世界のヒビキたちだ。

 イグナイトの最中に歌えなくされバックファイヤーをモロに受けて、何気にこの場に居るシンフォギア装者の中で一番ダメージを受けている。

 正直、ヒビキすら動くのが辛い。

 

「だけどよ…今のアタシ等…で戦えるのか?」

 

 平行世界のクリスから弱音が零れる。

 歌う事によってシンフォギアのフォニックゲインを高め戦う装者にとって、サソリトカゲスの酸欠ガスは致命的と言えた。

 イグナイトが強制解除され、ヒビキたちの身にはイグナイト分のバックファイヤーのダメージを受けている。

 ハッキリ言ってボロボロに近い状態でサソリトカゲスに勝てるのか?

 

「でも…戦わないと…」

 

呟くヒビキの目には、奏とこの世界の響たちの四人がかりでサソリトカゲスに抗う姿だ。

だがハッキリ言って、四対一だと言うのに響たちは徐々にサソリトカゲスに押されている。

 

「…もう一度、イグナイトを…使おう…」

「それしか…ないか…」

「今の、私たちの…状態では通常時の十分の一の制限時間しかなさそうだな」

 

 イグナイトは呪いの力。

 その呪いの力で暴走する程のエネルギーを戦闘に回すことにより、通常のヒビキたちのイグナイトの使用時間は999秒ある。

 しかし、一度イグナイトを使用してからの酸欠ガスによるバックファイヤーにより、ヒビキたちの体力を考慮するとその十分の一の時間しか猶予が無い。

 

「百秒もないのかよ…」

「…なら以前、練習したあの技なら…」

「あれか…」

 

クリスが百秒もないと愚痴るが、ヒビキは以前練習していた技を思い出しツバサも相槌するかのように返事をする。

そして、三人は再び胸元のペンダントを握る。

 

「…待って下さい!」

「え?」

 

 

 

 

 

 

 

 

「ゾオオオオオォォォォリィィィィーーーーッッ!!如何した、シンフォギア装者ども!まさかこの程度で俺を倒せると本気で思ってないよなッ!!」

 

響の拳を相殺し、クリスの数多の弾丸やミサイルを受けきり翼と奏の即席の技「双星ノ鉄槌-DIASTER BLAST-」が直撃しようが殆どダメージが無いサソリトカゲス。

 

逆にサソリトカゲスの反撃にシンフォギア砕けインナーも裂け傷が出来ていく。

何とか、酸欠ガスを吐かれてはいないが()()だけだ。

数の差では圧倒的に響たちが有利の筈が、サソリトカゲスは純粋に力で捻じ伏せていく。

 

「モスキラスの時より圧倒的じゃないか!」

「ショッカーの怪人より遥かに強い!」

 

翼の剣を弾き飛ばし、奏の槍をへし折る。

圧倒的なサソリトカゲスの力の前にスタミナが減っていく響たち。

遂には、体力の一番低いクリスが疲労で地面に座り込んでしまう。

 

「! クリスちゃん!」

「立てぇ、雪音!」

 

座り込んでしまったクリスに響と翼が叫ぶ。

当然、この好機をサソリトカゲスが見逃す訳が無く、進路上に居た響たちを振り払ってクリスに迫る。

 

「先ずはお前からだ、死ねぃ!! !」

 

 今まさにクリスに目掛け左腕のハサミでクリスの首を落とそうとするサソリトカゲス。

 もうダメかと思い目を瞑ったクリス。だが、何時まで待っても痛みも衝撃もない。

 それどころか、エンジン音らしき物が聞こえ目を開けるとサソリトカゲスが空を見上げて呆然としている。

 チャンスではあったが、変なエンジン音も気になっていたクリスもサソリトカゲスの視線の先に目を向ける。

 

 クリスの視線の先には、巨大な青い剣のような物が飛んでおり黒と赤のロケットのような物が火を噴いている。

 更に、ロケットが進み反対の場所にはイグナイトを纏った並行世界のクリス(自分)が腕組している。

 恐らくはあそこから発射したのだろう。よく見れば、発射された剣にもヒビキとツバサの姿が見えた。

 

 流石の光景にクリスは並行世界の自分たちの行動に苦笑いをしている。それはクリスだけでなく響と翼もどうようだ。

 奏だけが真剣な目つきをしていた。

 

「ゾオオオオオォォォォリィィィィーーーーッ、相も変わらずシンフォギアで奇行な事をする奴等だ」

 

サソリトカゲスの呟きにクリスは声に出さないも賛同したくなる。

とにかく、ヒビキたちを乗せた青い剣は空を飛び回りドンドン加速していく。

 

 

 

「…あれは…クリス、俺たちもやるぞ」

「…うん」

 

 一方、サソリトカゲスの反撃により一時的に意識を失っていたつばさと「クリス」が意識を取り戻すと同時に並行世界のヒビキたちの行動を見て自分たちも何か思いついたようだ。

つばさの言葉に「クリス」が頷くと二人は立ち上がり互いの手を握る。

 

 

 

 

 

 

 

「ええい、何時までも飛び回る! いい加減飽きて来たわ!」

 

 ヒビキたちの乗る巨大な剣が頭上を飛び回る事で警戒していたサソリトカゲスだが、少しずつ加速してるだけで仕掛けてこない事に苛立ちを見せる。

 ヒビキたちの行動で仕掛けるべきか悩む響たち。尤もそれによって、彼女たちにとって貴重な休息が取れていたが。

 

 ガニコウモルとは違い、サソリトカゲスに飛行能力は無い。瞬間移動の能力があるがあそこまで早いと移動した  途端、空中に放り出される可能性がある。

 故に、サソリトカゲスはヒビキたちの動きに注意していたが、何時まで経っても仕掛けてこない事に苛立ちを隠せないである。

 

その時だった、ヒビキたちの方とは違い方でまたもエンジン音らしき物が聞こえていた。

 

「今度は何だ!?」

 

 ただでさえヒビキたちの行動に苛立っていたサソリトカゲスがヒビキたちの方を警戒しつつ音のする方に視線を向けた。

 その音の正体は、青と赤の色が縦に二つに分かれた巨大な篭手のような物に乗り両先端にはつばさと「クリス」が立っている。

 

「ゾオオオオオォォォォリィィィィーーーーッ! シンフォギア装者は変な物に乗らねば気が済まんのか!?」

 

 良く分からない物に乗るつばさ達を見てサソリトカゲスが怒気の混じった声で言う。

 現状、ヒビキたちが巨大化した剣にクリスのミサイルをエンジンにして飛んでいる以上、つばさ達の乗る変わった物も飛んだのだ。

 

 いい加減飽きて来たサソリトカゲスはヒビキたちの存在を無視して、さっさとクリスを始末しようと再び左腕のハサミを振り上げる。

 どうせ、つばさ達の出したデカブツも飛ぶだけだろうと考えるサソリトカゲス。

 

 だからこそ気付くのが遅れた。

 つばさ達の乗る物体が回転し此方に向かっている事に。

 

「行くぞ「クリス」!」

「うん!」

 

つばさ達が回転中に意を決して回転する物体を消し一気に飛び出ると互いの拳を前に突き出す。

目標は当然サソリトカゲスだ。

 

風雪弐心衝

 

「なにっ!?」

 

サソリトカゲスが気付いたのは、まさにつばさ達の拳が接触する直前だった。

サソリトカゲスとって完全な不意打ちとなった二人の拳の威力にサソリトカゲスの足が地面を滑るが

 

「ゾオオオオオォォォォリィィィィーーーーッ! 少し驚いたがこの程度か!」

 

「固てぇ…」

「痛ッ!」

 

勢いの付いた二人の拳でもサソリトカゲスを倒せる程の威力までは無かったようだ。

地面を滑っていたサソリトカゲスの足も踏ん張りを入れると地面に減り込ませ、つばさ達の拳の威力も落ちていく。

このまま、つばさ達がサソリトカゲスの反撃にあうかと思われた。

 

「今だ、立花!」

「はいっ!」

 

この瞬間を待っていましたとばかりにツバサが合図を出すとヒビキが返事をし用意されたカタパルトが動き戦闘機のように発射される。

発射されたヒビキが拳を突き出しサソリトカゲスの背後に迫る。

何故、ヒビキたちが飛び回りサソリトカゲスの背後をついたのか?

それは少し前に遡る。

 

 

 

 

『待って下さい!』

『え?』

『緒川さん?』

 

あの時、ヒビキたち待ったをかけたのは。この世界のエージェントである緒川だった。

出来れば直ぐにでも、イグナイトで参戦したかったヒビキたちだが、緒川が何か情報を持っている可能性もある。

其処で、緒川の話を聞くことにした。

 

『如何したんですか?緒川さん』

『はい、峰博士からサソリトカゲスの弱点を聞きました』

 

 

 

 

 緒川からもたらされた情報はまさにヒビキたちにとっても朗報だった。

 反面、サソリトカゲスの隙をつく為に敢えて目立つ大型の剣をミサイルをエンジンとして使い飛び回る手を使った。

 ギリギリまでスピードを高める必要があったのだ。

 

 ガニコウモル同様、サソリトカゲスも今までの怪人の比ではない程の実力がある。

 もし防がれ、再び酸欠ガスを吐かれれば最早ヒビキたちとて勝ち目はない。

 だからこそ、サソリトカゲスの隙をつき弱点を狙う必要があった。その為にイグナイトを纏える時間は数秒も残っていない。

 

 そして、並行世界のつばさと「クリス」のお陰でサソリトカゲスの隙が出来た。

 ヒビキの拳は真っすぐサソリトカゲスの背中に向けられる。

 

TRINTV RESONANCE

 

「サソリトカゲス、覚悟オオオォーーーーーッ!!」

 

「なっ! 立花響、貴様!!」

 

ヒビキの声にサソリトカゲスが気付くが既に拳が背後に迫ってる事に気付く。

つばさと「クリス」を振り払い、避けようとするが地面に突き刺した足の所為で上手くいかない。

 

ヒビキの拳はサソリトカゲスの背中に直撃し衝撃波がサソリトカゲスの胸に貫通する。

途端、ヒビキの打撃を中心にサソリトカゲスの体にヒビが入り広がっていく。

 

「ゾ…ゾオオオオオォォォォリィィィィーーーーッ!!!」

 

最後にサソリトカゲスが叫ぶように言うと、爆発し炎上する。

そして、地面にヒビキとつばさ達が着地して辺りにはサソリトカゲスの爆発でた炎の音だけがする。

 

「勝った…勝ったあああああああああ!!」

 

ヒビキの声が絶叫の様に響て、その場にいた全員が肩を降ろすと共に座り込む。

酸欠ガスにより、窮地に立たされたが響の頑張りと並行世界のつばさたちの活躍でサソリトカゲスは敗れ去った。

響たちは戦いに勝利した。

 

サソリトカゲスを倒した事で酸欠ガスも完全に止まり東京に居た人間の9割は無事に日常へと戻った。

後に、政府はこの事件を東京の地下からの大規模なガス漏れ事故と発表しカバーストーリーを作る。

 

━━あれ?

 

その時、ふと響は周りを見渡す。

 

━━━ブラック将軍は?

 

正直、この場にブラック将軍もいれば並行世界のつばさが助けに来ても危なかったかも知れないが、それでもこの場に居ない事に響は言い知れぬ不安もあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 装者たちとサソリトカゲスの決着がつく少し前

 

 とある廃工場。

 

 最早、機能を停止していく月日か、立ち入り禁止の看板も風化し廃墟マニアすら訪れる者もいない工場内にて何人かの人影があった。

 

「……本当に此処でいいのかよ」

「知らねえよ、帰りたかったら帰ればいいじゃねえか」

 

 場の空気からしてお世辞にも仲が良いとは言えない。人影の中には女性も居り、一際目を引いた車椅子にのった全身に包帯を巻いた人間だ。包帯の所為で男か女かすら分からない。

 そんな、彼らを見渡すように壁際には一人の初老が立っている。白髪交じりの長髪を後ろに束ねて廃工場の汚れた壁に接触するが気にする素振りもない。

 

 

 それでも、この場に居る人間たちは誰一人工場から去ろうとはしなかった。

 その時、何処からともなく足音が聞こえ、その場にいる誰しもが足音に耳をかたむけ音のする方に目を向ける。

 

「貴様らか? 我がゲルショッカーに入りたいと言う連中は」

 

 其処には、指揮杖で片手に持ってもう片方の手に打ち、赤いタスキのような軍服に蛇に巻き付かれた鷲のレリーフが入ったヘルメットを被り自分たちを品定めするように見る男。

 ブラック将軍が不気味な笑顔を向け歩いていた。

 

 

 

 

 

 




サソリトカゲスやゲルショッカーからすれば、響は未だに自身の体の性能を完全にいかしてないという感想です。

酸欠による体の影響は適当、ネットで拾った情報を載せただけ。

そして、またも悪役の悪い癖『お前は最後に殺してやる』が発動。

そして、新たなる装者は前に共闘した奏とアナザー翼とアナザークリスです。
三人目です。書いてて気づいたけど呼び方どうしよう。

シンフォギアはミサイル以外の乗り物の説明がムズイ。

一応、年内に更新予定ですが、間に合わなかった場合は「よいお年を」。
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