改造人間 立花響のシンフォギア   作:一種の信者

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良い題名が浮かばなかった…


140話 お前ら人間じゃねえーーっ!! by タケシ

 

 

 

「新たなるシンフォギア装者だと!?」

 

屋敷の屋根の上で戦いを観察していたブラック将軍も並行世界の新たな装者が来た事に気付く。

先程まで余裕の表情を見せていたブラック将軍もこめかみをピクピクと動かし奥歯を噛みしめ一気に不機嫌となる。

 

「…それで、如何しますか?ブラック将軍」

「監視する戦闘員を増やせ、可能な限り新たに現れたシンフォギア装者たちの戦闘データを撮るよう言え」

 

この期に及んでの響たちを助けた並行世界のシンフォギア装者たちが現れた事で動揺するゲルショッカー戦闘員はブラック将軍に如何するのか聞く。

ブラック将軍は瞬時に手の空いてる戦闘員に新たに現れた並行世界のシンフォギア装者のデータを観察させる様命令する。

 

万が一、クラゲウルフたちが全滅した場合今後の戦略に関わってくる事になる。そう呟くブラック将軍。

しかし、その顔は相変わらず苦虫を嚙み潰したよう表情をしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

=響たち=

 

クラゲウルフが左腕で右腕に触れる。

瞬間、轟音と共にカミナリが降り注ぐ。

尤も、響たちはクラゲウルフが左腕を動かした時点で回避行動に移っており直撃はしなかった。

 

「…あの狼男、カミナリを操れる?」

「普通に厄介です…」

 

響と同じく回避行動をした並行世界の調と切歌も雷を自在に操るクラゲウルフを見て驚いた口調で言う。

 

「シンフォギア装者が増えたところで、俺に勝てると思うな! クラァァァァゲェェェェェッ!!」

 

発生させたカミナリが全て避けられたクラゲウルフだが、そう宣言すると左半身の触手を動かし響たちを追う。

触手は正確に響たちを追い、並行世界の響と源十郎の足や腕に絡みつくと地面へと叩きつける。

同時に、高電圧も流し平行世界の響と源十郎が悲鳴を上げる。

 

「苦しめ、苦しんで死ねェ!!」

 

クラゲウルフの口から呪詛の様に吐かれる言葉。その殺意は何処までも高かった。

 

「師匠を放せぇ!!!」

「響を解放しろ!!」

 

苦し気な悲鳴を上げる平行世界の響と源十郎。その声に響と奏が逆にクラゲウルフに迫る。

クラゲウルフに迫った響の拳と奏の槍が命中した。…かに見えた。

 

響の拳はクラゲウルフの左腕に、奏の槍もクラゲウルフの触手に絡めとられていた。

 

「予想通りの反応だな、シンフォギア装者! クラァァァァーーーーーーッ!!」

 

「し…しま…」

 

クラゲウルフは、響たちの行動を呼んでいた。

仲間である並行世界の響と源十郎を苦しめれば仲間のシンフォギア装者は後先考えず救出しようと突っ込んでくるだろうと。

後は、突っ込んでくるタイミングさえ分かれば捕らえるのも簡単だ。

現に、響たちを捕らえる事に成功したクラゲウルフ。

捕らえた以上、クラゲウルフの握る腕や触手から響たちの体に高圧電流が流れる。

 

「「「「うわああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」」」」

 

悲鳴を上げる響たち、その体からは煙と共に火花も飛び出してくる。

 

「…あのバカ…切ちゃん」

「了解デース!」

 

幸い、クラゲウルフの触手から逃げ切った平行世界の調と切歌が直ぐに動く。

平行世界の切歌が踵を返し、クラゲウルフの死角に移動し一気にクラゲウルフの顔面に蹴りを入れ、平行世界の調も白い球体に乗りながら三体のドローンロボを操りクラゲウルフの触手に攻撃し自身の頭部に付けている砲門も撃ち込んだ。

 

禁巧β式・斬滅砲マシ―ナリー

 

「なっ、ガハッ!?」

 

平行世界の調の想定以上の力を見たクラゲウルフだが、直後に自身の顎に衝撃が走る。

目線で追うと、自身の顎を蹴り飛ばす切歌の姿があった。

顎への衝撃により、自身の腕と触手の力が弱まるとクラゲウルフを蹴り飛ばした切歌が響と奏を回収し調の下に戻る。

調の方も頭上のビーム砲でクラゲウルフの触手を焼き切り源十郎と並行世界の響の救助に成功していた。

 

「ごめん…また…助けられたね…」

 

並行世界の響が自分たちを助けた平行世界の調に礼を言う。

奏も源十郎も情けない姿を見せたなという表情をし、響も咳をしつつ平行世界の調たちを見る。

呆れつつも心配そうな表情で並行世界の響や源十郎を見てる事で、一見冷たそうに見える表情でも仲間思いだと考える響。

 

「一旦、響さんを安全な場所に…「させるかーーーーっ!!」!?」

 

響と奏をクラゲウルフから引き離した並行世界の切歌が、負傷した響たちを別の場所に運ぼうと並行世界の調べに提案しようとした。

しかし、並行世界の切歌の体には、何時の間にか白い触手が絡みつきクラゲウルフの方に引っ張られる。

 

「切ちゃん!」

 

平行世界の調の声が暗い中庭に響く。

響たちも咄嗟には動けず、引っ張られる並行世界の切歌を見るしか出来なかった。

そして、引っ張られた切歌はクラゲウルフの下まで行ってしまい、切歌の体をクラゲウルフが抱き着いた。

 

「何を…」

 

「一気に皆殺しにしてやろうと思ったが止めだ! 一匹一匹、俺の電流で殺してやる!!クラァァァァッ!」

 

平行世界の調と切歌に邪魔された事で響たちを始末し損ねたクラゲウルフ。

ならばと、次は簡単に脱出できないよう拘束し自身の電撃で殺すことにした。

最初の目標は、自身の顔を蹴り飛ばした並行世界の暁切歌。

 

「先ずは、シンフォギアを纏っていない暁切歌、貴様だ! シンフォギア無しでどの位耐えられる!?」

 

何故かは知らないが、並行世界の切歌がシンフォギアを纏ってない事に気付いたクラゲウルフ。

相方である平行世界の調を警戒しつつ切歌に高圧電流を流すクラゲウルフ。切歌の体から火花が上がる。

最早、勝利を確信したクラゲウルフ。故にある違和感には気付くことが出来なかった。

 

「切歌…ちゃん…助けに…」

「くっ…」

 

クラゲウルフに切歌が囚われ高圧電流を流される様子を見ていた響たちはなんとか動こうと藻掻く。

しかし、度重なる高圧電流を受けた体は言う事を聞かなく立ち上がる事すら出来ずにいる。

 

「…下手に動くのは良くないわ、少し休んでなさい」

 

そんな響たちに休むよう忠告する平行世界の調。

出来れば直ぐにでも助けに行きたい平行世界の響と奏、何より…()()()()()()()並行世界の切歌は並行世界の調にとっては大事な存在だった筈。

そんな並行世界の調を見ると額に汗が流れるが、その表情は落ち着いていた。

 

「あれが()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 

 

 

 

 

 

━━━なんだ、何かがおかしい!?

 

並行世界の切歌の体を抱え、逃げられないようにしその体に高圧電流を流す。

改造人間の立花響すら、長時間の電流には耐えられない筈だ。

 

━━━それだと言うに…

 

「何故、貴様の体は黒焦げにならん! 暁切歌ぁぁぁ!!」

 

高圧電流を流す並行世界の切歌の体は焦げる事無く健在であった。

普通の人間なら、高圧電流でアッサリ絶命し残った肉体も熱で炭化しノイズに襲われたようにボロボロになる筈だった。

だと言うのに、切歌の皮膚は未だに健康的に見える。

 

「それは お前の 電流が しょぼい からデース」

 

高圧電流が流れてる所為で、並行世界の切歌の口調は途切れ途切れだったが、クラゲウルフの耳にはしっかりと届いていた。

それは完全なる挑発だ、それはクラゲウルフも理解している。

理解してるからこそ…

 

「面白い、俺との根競べを望むか!?いいだろう、乗ってやる!必ずお前を消し炭にしてやる!クラァァァァゲェェェェェッ!!」

 

クラゲウルフは敢えて並行世界の切歌の挑発に乗る事にした。

人間が改造人間に喧嘩を売ったのもそうだが。並行世界の切歌の命乞いに興味をもった。

醜く命乞いをさせ、その様子を響たちに見せながら殺す。残忍なゲルショッカーの考えそうな事だった。

そして、これがクラゲウルフの最大の失敗ともなった。

 

━━━如何なっている!? 電力を上げても暁切歌の体は何ともない!? 衣類は既に焦げ付いているんだぞ!

 

並行世界の切歌の服は、クラゲウルフの高電圧に徐々に焦げ付き炭化して肌を晒していく。

だと言うのに、並行世界の切歌の体には変化が無くそのままだった。

何かがおかしいと考えるクラゲウルフ。

 

━━━衣類が焦げ付くほどの電流を受けて何故悲鳴一つ上げん!? それにさっきから気になっていたがこの小娘の体…随分と固い? 鍛えたにしては不自然な…!?」

 

並行世界の切歌の体に違和感を覚えていたクラゲウルフだったが、其処でクラゲウルフある物を目撃する。

並行世界の切歌の纏う服が炭化し散りその肌を露わにするが

 

「球体関節だと!? それにこの感触、暁切歌、貴様人間では無いな!!」

 

 

 

 

 

 

 

「え?人間じゃない?」

「如何いう事だ…」

 

クラゲウルフの声に響と源十郎が訳も分からず頭を傾ける。

 

「そうか…向こうの切歌ちゃんは…」

「そういや…アイツは…」

 

一方、並行世界の切歌の事情を思い出した平行世界の響と奏は納得したように反応する。

 

「…この世界に来る前に、切ちゃんの体にも仕掛けがある」

 

響たちの様子に並行世界の調はそう言う。

 

 

 

 

 

 

 

 

「案外 怪人も マヌケ デスね」

 

「喧しいっ! 体が人間じゃなかろうが俺の電撃で黒焦げになる筈だ!!」

 

並行世界の切歌の体が生身でない事に気付いたクラゲウルフだが、続けて高圧電流で行動不能にしようとする。

響と同じ改造人間なら夥しい電流は効果があるし、内部の機械には高圧電流は致命的になる。 筈だった。

 

「な…なんだ、想定以上に電力の消耗が…」

 

「私の…足元を…よく見る…べきデスね」

 

クラゲウルフは自身の電力が想定以上に消耗してる事に気付き、思わず口にしてしまう。

そして、切歌の言葉に「足元だと?」と言い視線を切歌の足に向ける。

並行世界の切歌の足は薄い緑色の二―ソックスを履いていたが既に炭化し残っておらず靴すらボロボロの状態で足首の黒い球体関節がクラゲウルフの目に入る。

同時に、その黒い球体関節からワイヤーの様な物が出てそれが地面に突き刺さっている。

 

「アースだと!?」

 

クラゲウルフは並行世界の切歌の球体関節から出ているワイヤーの正体に即座に気付く。

並行世界の切歌はこのアースによりクラゲウルフの膨大な電力から最低限の身を守ったのだ。

 

「不味いっ! 電流を抑えなければ!!」

 

アースを使われ己の電撃が地面に吸収されてる事に気付いたクラゲウルフは自身の電力を止めようとした。

そして、これがクラゲウルフ最大の過ちとなる。

本来なら、アースを設置した並行世界の切歌を体を引き離し消耗する電力を抑えるべきだった。

並行世界の切歌を殺すことに固執してしまったクラゲウルフにもうその選択は無い。

 

クラゲウルフが電力を抑えようとするが、元々電力のコントロールが苦手な事もありクラゲウルフの目論見通りにはならない。

寧ろ、並行世界の切歌のアースでドンドン電量を失っていく。

 

「グゥオオオ……俺の力の源が…」

 

「何から何まで悪手を打ち過ぎたようデスね!」

 

電流を流し過ぎたクラゲウルフは並行世界の切歌を拘束してる力すら弱まる。

その隙を切歌は見逃さず地面に設置したアースを引っこ抜きクラゲウルフの拘束から脱出すると、片手を引き抜いた切歌は抜いた腕の方をクラゲウルフに向ける。

 

「食らうデス!!」

 

平行世界の切歌がそう言うと、抜かれた腕の方から弾丸の様な物が飛び出しクラゲウルフの顔面を襲う。

予想外の攻撃と衝撃、激痛にクラゲウルフは両腕で顔を覆い野太い悲鳴が上がる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「クラゲウルフが!」

「…予想通り弱体化した、後は私と切ちゃんで仕留める」

 

並行世界の切歌が自身の腕を外した行動にも驚いたが、見守っていた平行世界の調が一気にクラゲウルフを倒すチャンスと見て動く。

白い球体の乗ったまま移動し、腕を付けなおした並行世界の切歌と合流する。

 

「切ちゃん、例の!」

「了解デース!」

 

 

「おのれ…おのれっ!!」

 

並行世界の切歌の攻撃に顔面を負傷したクラゲウルフだが、ショッカー時代からのネフシュタンの鎧のデータを流用されていた事でクラゲウルフの傷ついた目は急速に回復していく。

憤怒したクラゲウルフは戻った視界が平行世界の調と切歌の姿を映す。

平行世界の調がピンクに光るスクロールの様な物を取り出して弄ると三体のドローンロボが再びクラゲウルフに接近し攻撃して宙に持ち上げる。

 

「ええい、こんなオモチャに!」

 

抵抗するクラゲウルフだが、さっきまでとは違いドローンロボの拘束を振り解くのに随分と手間取りクラゲウルフの体は屋根と同じ高さに持ち上げられる。

最早、調のドローンロボを振り払う事すら出来ない。

 

「用意は良い?切ちゃん!」

「OKデース!」

 

クラゲウルフの電撃で着てる物全てが炭化し素っ裸になった並行世界の切歌の返事に平行世界の調は再びピンクに光るスクロールの様な物を取り出し弄ると、明後日の方向から何かが飛んでくる。

それは黒いタービンの飛行機のエンジンにも見えた。

それらが、裸になった並行世界の切歌の背中にくっ付くとエンジン部分の方から薄緑色の光が漏れる。

同時に、並行世界の調も座っていた白い球体の底から赤い球の様な物を目前に設置する。

そして、切歌はエンジン部分から調は赤い球からエネルギを表出し二色のエネルギーは互いに絡み合い螺旋を描き伸びていく。

 

禁機想連・苦Roス弩らiブ

 

目標はクラゲウルフだ。

 

「此処で俺を倒したところで、必ず蘇るぞ!!蘇って…クラァァァァゲェェェェェッ!!」

 

平行世界の調たちが出したエネルギーはクラゲウルフに直撃し断末魔と共に爆散してクラゲウルフは消滅した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

=クリスと子供マリアたち=

 

屋敷の門は門で激戦となっていた。

合流した大人セレナと子供マリアのお陰でゲルショッカー戦闘員との戦いも有利にはなったが、ワシカマギリには未だに苦戦を強いられている。

 

「そらそら、如何した!貴様ら程度で俺を止められると思うな、キィーーーーーラァーーーーーーッ!!」

 

ワシカマギリの左腕の鎌がまたもやブーメランとして投げられ屋敷の門をアッサリと切り裂かれてしまう。

最早、門として役割も果たせなくなるが、それを考える余裕はクリスたちには無い。

 

「ブーメランってこんなに避け難かった!?」

「知らねえよ!」

 

子供マリアがワシカマギリのブーメランをギリギリ回避して思わず言う。

アナザー翼が反応して剣で軌道を変えようとして圧し折られる。

 

その後も、ワシカマギリの羽ミサイルを撃ち込まれ防御に徹する一同。ワシカマギリの羽ミサイルが雨あられと撃ち込まれ大人セレナと子供マリアの体にも無数の擦り傷が出来てしまう。

 

「セレナに傷をつけて…!」

 

「傷つくのが怖いのなら死ねば楽になるぞ、シンフォギア装者ども!! キィーーーーーラァーーーーーーッ!!」

 

家族のセレナを傷つけた事に起こる子供マリア。

そんな子供マリアの反応にワシカマギリは「死ねば」と言い放つ。

敵とは言え、ワシカマギリの言葉に腹を立てる子供マリア。

とは言え、腹を立てれば怪人を倒せる訳では無い。冷静さを失えばワシカマギリには勝てないと考えるクリスたち。

 

しかし、ワシカマギリも鳥の能力を生かし縦横無尽に飛び回って羽ミサイルやブーメランを放つ。

飛ぶ能力ならシンフォギア装者をも圧倒しておりクリスたちを窮地に追いやりつつある。

 

「クソ…数はこっちが上なのに…」

「耐久力も機動力も違い過ぎる」

 

ワシカマギリ一体に対しクリス達は五人。

ゲルショッカー戦闘員が居るとはいえ、順当に考えれば数の勝るクリスたちの方が有利の筈だった。

しかし、ワシカマギリは鷲とカマキリの合成改造人間。その動きも攻撃力もショッカーの改造人間を上回る。

更には、

 

「アタシが狙い撃…」

「危ねえッ!!」

 

アームドギアを狙撃銃にしたクリスが羽ミサイルを撃つワシカマギリに標準を合わせてる最中にアナザー翼の叫びと共に金属音が聞こえる。

クリスが目を向けると、アナザー翼の剣が自分に迫る羽ミサイルを叩き落としている。

 

━━━あの鷲野郎の羽がアタシに!? でも奴の羽はアタシに向いていなかった筈…?

 

クリスとて、スコープでワシカマギリに狙いを付けてる時に羽ミサイルが此方を狙ってはいなかったと考えるが次の瞬間、ある物を目撃してその考えを改める。

アナザークリスが狙われたのか、撃たれた羽ミサイルの先に居たアナザークリスは移動して回避する。が、

幾つか羽ミサイルが着弾した地面だが、跳ね返った羽ミサイルが別の羽ミサイルに当たりその内の一本が逃げた先に居たアナザークリスの足を掠った。

 

「跳弾か!」

 

ワシカマギリが羽ミサイルで跳弾を使った。

クリスとしては、偶然か必然化は分からないがワシカマギリが跳弾を狙って出来るのなら長期戦はハッキリ言って不利でしかない。

 

「…あの怪人、器用な事を…」

「姉さん」

 

羽ミサイルを跳弾させた事は子供マリアも確認し、嫌な相手だと思っていると大人セレナが子供マリアに耳打ちする。

ワシカマギリが前に居る以上、短いながらもある提案をされた子供マリアは静かに頷く。

 

「何を相談したか知らんが、お前たちが死ぬのは変わらんぞ!!」

 

大人セレナが子供マリアに何か耳打ちしてるのを確認したワシカマギリだが敢えて放置した。

新手として現れた並行世界のシンフォギア装者だが、自分の攻撃の前に防戦一方になっている以上、其処まで脅威とは判断していなかった。

 

そして、シンフォギア装者にトドメを刺そうと、何度目かの左腕の鎌をブーメレンとして投げた。

 

「それを待っていました!」

 

「!?」

 

しかし、その攻撃を予想していた大人セレナが菱形の鞭をワシカマギリの放つブーメレンに絡まる。

そのままブーメレンを無効化するのかと思われたが、大人セレナの鞭が火花を上げると千切れブーメレンは回転を続ける。

 

「…脅かしやがって、お前程度の力で俺のブーメランを止められるか!」

 

「そうね、でも威力は弱まったわ」

 

大人セレナが一瞬だけブーメランを止めた事に肝を冷やしたワシカマギリ。

しかし、大人セレナの鞭が千切れブーメレンが飛び続けた事で安堵し、大人セレナに「俺のブーメランを止められん」と言う。

しかし、それに煩労したのはブーメレンと同じ高さで飛んだ子供マリアだった。

 

「…行けっ!」

 

ワシカマギリが「何をする!?」と言うよりも早く、ガングニールの槍を振りかぶった子供マリアはそのまま、野球のバットのように振りブーメレンに当てる。

当てられたブーメレンはそのまま子供マリアのガングニールの槍を叩きつけた場所に向かう。

向かう場所は…ワシカマギリだ。

 

「馬鹿か、俺のブーメランを返しただけだろ!」

 

尤も、ワシカマギリ自体慌てる事は無く自分に向かうブーメランを冷静に掴もうとし、ブーメランを叩き返した子供マリアのガングニールの槍はバラバラになってしまう。

このまま、ワシカマギリのブーメランがただ戻るだけに思うえた時。

 

「だったら、コイツも食らいな!!」

 

クリスが腰部のミサイルポッドを出し一斉斉射した。

ゲルショッカー戦闘員との戦闘で隙を見つけたクリスが子供マリアたちの援護をしたのだ。

クリスの放つ小型ミサイルがワシカマギリに次々と命中する。

 

「こんなショボいミサイルで俺を倒せると…しまった!」

 

ワシカマギリにとって、クリスの通常の小型ミサイルなど怖くも無い。

直撃しようがワシカマギリの体には傷一つ付かないが、ワシカマギリは一つ失念していた。

小型ミサイルが爆発すれば当然煙が出る。

その煙の所為でワシカマギリの視界は完全に閉ざされブーメレンがどの位近づいてるのか分からなかった。

 

そうこうしてる内に、ワシカマギリの目前の煙から鎌が飛び出し、見事にワシカマギリの頭に命中した。

 

「キィーーーーーラァーーーーーーッ!!」

 

自身の鎌のブーメランが命中し叫ぶワシカマギリ。

その声はクリス達の下にも届く。

 

「あのブーメランが直撃したみたいね」

「声からして相当な威力みたいです」

「じゃあ、何度か奴のブーメランを当てれば…倒せるな」

 

ワシカマギリの叫びで、あのブーメランの威力を改めて知ったクリスたちは、またワシカマギリがブーメランを投げる事に警戒しつつ打ち返す準備もする。

そして、煙が治まると仁王立ちしたワシカマギリが出てくる。

だが、クリス達を前しても動く気配が無い。

 

「…何だ?」

「こっちを警戒してる?」

「見て、ワシカマギリが」

 

アナザークリスの指摘に皆がワシカマギリに注目する。

瞬間、ワシカマギリの体は縦に真っ二つになって倒れる。

 

「え?」「は?」「ええ…」

 

予想外の事に目が点となるクリス達。ブーメランの威力が高い事は分かっていじゃいたが…。

そうしてる内に倒れたワシカマギリはそのまま爆発四散しクリスたちの勝利が決まった。

 

「…あの鎌、そんなにやべぇのかよ」

「私たちの体に直撃していたら危なかったわね…」

 

勝ちはしたが、ワシカマギリは鎌のブーメランの威力に改めて寒気がするクリスたちだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

=訃堂と護国を誓ったズッ友の戦士たち=

 

襖や畳の殆どがボロボロとなり、見る人間が見れば廃屋と間違えられるようになった室内。

そこまでボロボロになっても、未だに金属音や打撃音が響き戦いは続いていている事が伺える。

 

「これなら!」

「こっちも!」

 

二本の金属が光と共に振られ、またもや金属音が響く。

二人の翼の剣がクモライオンの両腕に止められたのだ。

 

「鈍程度でこの俺を切れるか!」

 

「ならば、風鳴家の宝刀は如何だ?」

 

二人の翼の剣を鈍と言い放つクモライオン。

しかし、二人の翼の剣を止め隙が出来た事で訃堂が愛刀である群蜘蛛でクモライオンに切りかかる為に空を飛ぶ。

そのまま訃堂の群蜘蛛がクモライオンの首に刃が当たるかとも割れた時、訃堂の動きが止まる。

 

「ガハッ!?」

 

それどころか、訃堂の口から鮮血が流れる。

その体には腹部をクモライオンの脚が減り込んでいた。

 

「おじい様!!」

「爺さん!」

 

翼と並行世界のクリスの声が響く。

クモライオンは訃堂が自身に到達する前に蹴りを訃堂の腹に喰らわせたのだ。

今までに無い衝撃が腹部を襲った訃堂は意識が持っていかれそうになるも風鳴家の宝刀である群蜘蛛は決して放さなかった。

 

「惜しかったな爺、後はお前が死ぬだけだ! クモォォォラァァァァイッ!!」

 

「させるかよ!」

「ワタシも手伝います!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『…戦争は日本の負けか』

『不甲斐ない! 俺が国の中枢に居れば…』

 

『いや…訃堂が国を動かしても如何しようも無かっただろ。アメリカは僕たちが思った以上に大きかったんだ』

『そんなことは分かっている!しかし、今後は外国(そとくに)の人間に日本が荒らされるのが我慢ならん』

 

『今は我慢だ、訃堂。日本が今後国際社会で役に立つと示せば少しは扱いも良くなる筈だ』

『流暢な、その間に外国文化の所為で日本人が堕落するぞ』

 

『…それも一つの歴史の流れだ』

『俺はそんな物を見るくらいなら…俺はアイツ等になんと詫びれば。 ……俺も特攻隊に入っていれば』

 

『仕方ないさ、風鳴家は昔から日本の護国を司る一族。そして、この戦争で風鳴の人間はもう君一人だけだ…』

『…親父も弟たちも皆、国の為に戦って死んだ。お袋は親父たちを立派だと言うが、夜は一人で泣いている』

 

『同時に、多くの日本兵と民間人が救われた。それは事実だ』

『………』

 

『僕は兵士よりも、科学者として期待されて徴兵されなかったからね』

『確かにお前は昔から頭が良かったからな、その頭脳で俺の家とも繋がりが出来た』

 

『外国の知識も学べば、日本をより発展させることも出来るかも知れない。特に海外の方が()()()は進んでるそうだ』

『…俺はもっと鍛錬しよう、俺の武とお前の頭脳で今度こそ日本を守るぞ。()()

『分かってるよ、訃堂』

 

 

 

 

 

 

 

 

「弘!!」

 

訃堂がカッと目を見開き起き上がる。

さっきまで話していた青年…緑川弘は何処にも居なく、少し離れた部屋で二人の翼と並行世界のクリスがクモライオンと戦っている。

 

「良かった、目が覚めたんですね」

 

その時、横から少女の声が聞こえ視線を向けると、オレンジかがった髪色のセミロングの少女…セレナが居る。

 

「娘、弘は? …痛っ!」

 

状況が一時的に分からなくなっていた訃堂だったが、直後に腹部の痛みを感じる。

見れば、着物を脱がした後に包帯を巻いた後を見てクモライオンとの戦闘を思い出す。

 

「儂のどの位、気を失っていた?」

「は…はい、2,3分ほど」

 

クモライオンとの蹴りで腹部にダメージを受けた訃堂は一時的に気を失った。

取り敢えず、クモライオンの相手を二人の翼が死に物狂いでしてる間にセレナと並行世界のクリスが負傷した訃堂を安全圏に退避させクリスが翼たちの援護に向かったのだ。

 

「不…甲斐な…し!」

 

年を取ったとはいえ、翼や源十郎にあれほど護国の事を言っていた自分自身がこの体たらくかと考える訃堂。

改めて、翼たちとクモライオンの戦闘を見る。

ハッキリ言って、訃堂の目からしても翼たちの疲弊は目に見えていた。並行世界の翼とクリスの纏っていたイグナイトも時間切れか、元のシンフォギアに戻っており、体中傷だらけだ。

 

「このままだと翼さんたちが…」

「負けるだろう」

 

セレナの言葉に続けて言う訃堂。

クモライオンの力自体、完全に翼たちを上回ってる上に耐久力も高い。

極めつけは、狭い屋内でクリスは愚か翼たちも実力を出し切れていない事だ。

 

「…娘、少し手を貸せ」

「え?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いい加減しつこいぞ、シンフォギア装者ども! クモラァァァイッ!!」

 

何度目かのクリスの銃撃に、嫌気がさしたクモライオンは翼の切りかかる剣を逆に掴み翼ごとクリスに投げつける。

投げつけられた翼とぶつかり一緒に倒れるクリス。

残った翼もクモライオンの猛攻に剣で身を守るのが精一杯だ。

 

「強い…」

「…並行世界で戦ったショッカーの怪人よりもな」

 

ガニコウモルやサソリトカゲスで分かってはいたが、クモライオンの強さに改めてゲルショッカーの手強さを感じていた。

場所が悪いのもあるが、クモライオンの力は翼たちの想像の上を言っている。

直ぐに体勢を立て直しこの世界の翼の援護に行きたいが、イグナイト使用の疲労の所為で体の動きが鈍くなっている二人。

 

「おい」

「…ああ」

 

こうなればもう一つの切り札であるアマルガムの仕様も考え互いに視線を合わす。

その時だ、ピンク色の蝶が彼女たちの目の前を横切った。

 

「「ん?」」

 

 

 

 

 

 

「ハアアッ!!」

 

「如何した? 剣を振るう威力も早さも落ちているぞ、風鳴翼!」

 

剣を振るうツバサの腕を難なく止めるクモライオン。

それどころか、翼の腕を捻ると共に腹部に膝蹴りを入れ翼の口から血が出る。

 

最早、翼の体力も限界だった。

生身の翼に比べ、ゲルショッカーの改造人間であるクモライオンとのスタミナの差など天と地ほど離れている。

これまで抵抗していた翼たちが異常と言えたが、此処に来て明暗が分かれた。

 

「トドメだ、死ねぃ!!」

 

捕らえた翼にトドメを刺そうと爪を伸ばし首に突き立てようとするクモライオン。

しかし、視界の外からピンク色の何かがクモライオンの顔面で爆発した事で腕が止まった。

 

「何だ!?」

 

突然で驚いたが大したダメージが無いが、誰の攻撃か確認するクモライオンは首を動かし辺りを見る。

一瞬、投げ飛ばした平行世界の翼たちの悪足掻きかとも思ったが、二人はこっちを攻撃どころかまだ立ち上がれていない。

そして、視線を部屋の奥に向けると何時の間にか魔法少女が使いそうなステッキ握るセレナと傍らに大量のピンクの蝶がある。

幾分かセレナの纏うシンフォギアが変わっているがクモライオンにとっては如何でもいい。

 

「心象変化…」

 

平行世界の翼が呟く。

 

「貴様か、セレナ・カデンツァヴナ・イヴ!」

 

「!」

 

クモライオンの怒鳴り声を合図かのように傍らのピンクの蝶の一羽がクモライオンに接近する。

しかし、クモライオンは翼を放すと両腕で迫るピンクの蝶を切り裂いた。

 

「蜘蛛に対して蝶とはな…舐めてるのか! クモラァァァイッ!!」

 

蜘蛛とライオンの合成怪人である自分に蝶を模したエネルギーで攻撃したセレナを自分を挑発してると判断した。

そう考えたクモライオンは爪を振りかぶりセレナに向かって飛び出す。

その間にも、セレナは幾つものピンク色の蝶をクモライオンにぶつけるが大したダメージを受けてる様にも見えない。

 

「終わりだ、小娘! 俺のツメで「今です、お爺さん!!」死ね…!」

 

翼にトドメを刺すのを邪魔されたクモライオンは今度こそと自慢のツメでセレナを串刺しにしようとした時、セレナは合図するように言うと、一塊で置いていたピンクの蝶たちが散っていく。

その蝶の中から刀を鞘に戻し構えた訃堂が居たのだ。

 

「なにっ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

セレナがクモライオンを攻撃する少し前。

 

「あの…手を貸せって?」

「今の翼たちでは、あの怪人は倒せん。小娘の力で儂の体を奴から見えんように出来んか?」

「え、それってどういう…」

「儂の居合であの怪人を倒す。儂が一点集中し渾身の力で群蜘蛛を振れば奴を切れる…問題は儂が集中してる時にあの怪人が近づかない可能性が高い」

 

訃堂には一点集中での居合で怪人を倒す自信があった。

しかし、居合の構えをしてる時に怪人がワザワザ近づくとも思えず、居合を狙ってると知れば最悪遠くで糸を吐かれてしまうのが目に見えた。

其処で、訃堂はセレナの力でクモライオンが訃堂を見えない様に出来ないか聞いたのだ。

 

「……出来ます」

 

訃堂の言う通り、今のままでは自分を入れても勝ち目が薄いと考えたセレナも訃堂の提案を呑む。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「隙を見つけたぞ、怪人!」

 

「訃堂、貴様っ!!」

 

セレナのピンクの蝶が拡散し、刀を鞘に納めていた訃堂が迫るクモライオンを睨みつける。

訃堂から殺気にクモライオンのツメはセレナから訃堂に目標を移す、それが更なる隙を生み出し訃堂の刀は鞘から抜かれた。

 

一閃

 

刀を振り切った訃堂とクモライオンの体は交差しお互いの背中を向け合い。

暫しの静寂が辺りを支配し、パキンィっという音がすると共に訃堂の前に金属片が落ちる。

訃堂の愛刀である群蜘蛛の刃渡り五センチ程が欠けたのだ。

 

「お爺様…!」

 

一瞬、訃堂がクモライオンに負けたのかと思った翼だが、直後にクモライオンの異変に気付く。

クモライオンの首周りの鬣の毛がパラパラと落ちると最後に首が畳の上に転がった。

そして、クモライオンの体が倒れた事で翼と並行世界の翼とクリスは安堵し、クモライオンの首が近くを転がったセレナは悲鳴を上げ戦いは終わった。

 

室内でクモライオンの体と頭が爆発したが…。

 

「群蜘蛛が欠けたか…儂も群蜘蛛も打ち直しが必要か」

 

風鳴の宝刀であり訃堂の命に等しい愛刀が欠けた事で訃堂はある決心をする。

 

その後、怪人たちを倒した響たちが合流し、新しく来たシンフォギア装者が挨拶をしたり傷の手当てや本部に戻り報告書の作成などがあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「まさか、本当にクモライオンたちが全滅したか…忌々しいシンフォギア装者どもめ!」

 

屋敷の屋根の上で部下の怪人たちが全滅したのを目にしたブラック将軍は忌々しそうにそう呟くと戦闘員と共に姿が消えた。

 

 

 

 

 

 

風鳴本家の戦いは響たちの辛勝で終わった。

作戦が失敗したブラック将軍は、次はどのような手で響たちを苦しめるのか?

 

 

 

 

 

 




ゲルショッカーの改造人間3体に苦戦しながらも勝利した響たち。
これが一体だけなら、訃堂の特訓を受けた響たちだけでも、もう少し楽に倒せたんですが。

それぞれの怪人の敗れ方、原作や怪人図鑑の設定を利用しました。
クラゲウルフの弱点は、電流のコントロールが不完全。とクモライオンの弱点は首。
ワシカマギリは劇中でも自分のブーメランをライダーキックで跳ね返され自分に当たって負けました。

訃堂が走馬灯で若かりし頃の緑川弘との話を思い出しました。
前にも言いましたが、訃堂のバックボーンが語られて無いので盛り放題です。

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