改造人間 立花響のシンフォギア   作:一種の信者

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XD世界の響たちに色々見せようとしてたらアレもこれもとなり時間が掛かる上に文字が爆増した。

結果は、3万文字越え…読み応えあるといいね。


143話 今明かされる響の過去! ゾル大佐編

 

 

 

ウェル博士のショッカーの授業が終わり数分。

小休憩で落ち着きを取り戻したシンフォギア装者たちがそれぞれモニターを見える場所に戻る。

 

「響、落ち着いた?」

「うん、ありがとう未来」

 

響も未来とのやり取りで何時も通りになり、一息ついてモニターを見る。

皆がモニターに視線を向けた事でエルフナインが映像の続きを流す。

映像を再開させると、暗転していた画面が一気に明るくなり、またもウェル博士が映る。

 

『続いてのコーナーは特異災害の戦いを振り返ろうです』

 

「おい、コーナーって言いだしたぞ」

「楽しそうなのが腹立つわ…」

 

ウェル博士が楽しそうに喋る姿にクリスや子供マリアが文句を呟く。

特異災害とショッカーとの戦闘記録でなければ、今すぐメモリーチップを抜いて踏み砕きたい気分だ。

それ位、ウェル博士の英雄の話はムカついた。

 

『このコーナーは文字通り、特異災害とショッカーの戦闘を記録した「ルナアタック」と「ショッカー事変」で起きたフロンティア争奪戦の戦いを振り返るコーナーです』

 

「やっとね…」

「ショッカーとの激闘の記録ってこうして見るの?」

「もっと、バーっと見せるのかと思ったぜ」

 

ようやく、響たちの目的でありウェル博士の言っていた向こうの特異災害とショッカーの記録だったが、皆が想定していた物よりテレビのバラエティーみたいな扱いに、少しだけガッカリする。

彼女たちとしては、そのまま記録映像が垂れ流しになると思っていたのだ。

それでも、彼女たちは映像を見続ける。

 

『それでは僕と共に記録を見る脳筋とその仲間です』

 

そう言い終えるとウェル博士は手を動かし、カメラがその動きに釣られると二つの椅子と其処に座る人影が映し出される。

テレビとかでバラエティー番組で偶に見るゲスト的な人だと分かる響たちだが、おかしな点が一つあった。

二人の前にはすりガラスが置かれ二人の姿がハッキリ見えない。

尤も、片方は赤いシャツに赤みがかったライオンのような鬣の髪形で直ぐに正体が分かるが。

 

「あれ師匠だよね?」

「…やっぱり俺か?」

「分かりやすいわね」

「あんな髪型してる奴なんて早々居ねえよ」

 

幾ら、すりガラスで見えないと言っても何時もの服と特徴的な髪形までは隠せず正体が直ぐに分かった。

もう片方の人物も、見え難いがリディアン音楽院の制服だと気付くのにそんなに時間は掛からなかった。

 

「この制服ってリディアンだよね…誰だろ」

「…この髪の色…」

「オレンジっぽいし響だね」

 

響がもう一人が誰か考えているとクリスや翼がジッと響の髪を見て未来がもう一人の響だと言う。

その言葉にギョッとする響。

その時、画面の方から声がし皆の視線がモニターに移る。

 

『…なあ、ウェル博士。これは一体何だ?』

『今言った筈ですよ、「特異災害とショッカーの戦いを振り返ろう」人の話をちゃんと聞かないから。脳筋は人の話をちゃんと聞きましょうね』

 

「なんだかウェル博士、師匠に辛辣だね」

「普通逆だと思うけど…」

 

響たちは画面越しでのウェル博士の源十郎の扱いが不思議だった。

確かに頭脳はウェル博士が上かも知れないが、他全てが上回る源十郎がウェル博士に弄られてる事が腑に落ちない。

とは言え、敵対してる感じでも無いので響たちは画面を見守り続ける。

 

『街中にある監視カメラにサーチャーでの記録、更にシンフォギアに内蔵されている記録装置のデータを全て繋げ特異災害とショッカーの今までの戦闘を映画の様に見れます。因みに編集したのは僕と部下たちです』

『いつの間にそんな物を…』

『既にアナタの上司からは許可も貰っています。『いつの間に!?』では共にVTRを…』

『あの…』

 

ウェル博士の行動力に唖然とする源十郎。

そんな源十郎の反応を無視して進行しようとしたウェル博士だが、響が手を上げる。

 

「声、小さっ!?」

「何時もの響と違って弱い…感じ?」

「向こうの世界の指令や自分自身と話していて、向こうの立花と禄に話せて無かったがこれは…」

「…元気だけがこの馬鹿の取り柄だっつうのに」

「クリスちゃん、酷い!!」

 

小さめの声を出す向こうの世界の響の反応に翼たちは口々にそう言った。

ゲルショッカーの時、共闘はしていたが向こうの世界の立花響とは二人っきりにはならず、司令官である向こうの風鳴源十郎や翼やクリスといった向こうの装者と話してる事が多かったので、響のこの反応は初めて見る一同。

 

無論、響の性格を知る奏や子供マリアたちもこの響の反応は驚きの一言だった。

 

『どうしました?立花響くん』

『あ、名前言うんだ。 ……私も見ないといけないんですか?出来れば私抜きで…』

『残念ですがそれは許しません、この記録はあなた達の言葉と共に振り返るのですから』

『…要するに俺たちにナレーターになれと言うのか?』

『そう言う事です』

 

響の要望をアッサリ却下するウェル博士。

ウェル博士の強引さを一応知っていた響は思わず溜息を零す。

その様子に、響を知る者たちはまたも驚く。

 

「立花が溜息を漏らした…」

「…世界が違うと、こうも違うの?」

「翼さんもマリアさんも失礼過ぎるよ!」

 

画面での溜息を漏らす響の姿に翼とマリアが反応し、響がそれに文句を言う。

「私だって、乙女なんだから」とブツブツ文句を言う響を宥める未来。

 

『………』

『立花響くん、君の気持も分からなくはありませんが地獄大使が倒されたショッカーがどのような手を打つかが分からない以上、平行世界のシンフォギア装者とも共闘しなければなりません。この記録はその為です』

『並行世界…ねえ』

 

ウェル博士の言う並行世界と言う言葉に未だに懐疑的な源十郎。

証拠として、ウェル博士が見せた響の記録も一応見たが未だに現実感が無いのが現状だ。

逆にウェル博士が此処まで並行世界の存在を確信してるのが不思議に思えた。

 

『アナタの上の人間からも許可は貰いましたからね。手伝ってもらいますよ』

『…分かった』

 

ウェル博士の強引なやり方に等々折れた源十郎。

声は出さないが響も反論が出ない以上、ウェル博士のやり方に納得でもしたのだろうと判断する源十郎。

溜息をついた源十郎の姿を見た(すりガラス越しだが)ウェル博士が早速切り出す。

 

『それで?アナタ方特異災害とショッカーの因縁は何時頃で?』

『…あれはもう数か月近く前だ、

 

源十郎が語りだすと当時の映像が映り響たちはそれを見る。

特異災害とショッカーの因縁の話が始まったのだ。

 

『その日、偶々非番の日で俺が外出してる時だった。趣味に合う映画を探しに馴染の店に行く途中だった。突然、街中にノイズが出現し逃げ遅れた子供を抱えて逃げていた』

 

「あっ、この子!」

「立花が助けた子供じゃないか!」

「こ…子供を抱えて縦横無尽に飛び回ってる!?」

「…流石、旦那だな」

 

映像には、幼女を脇に抱えノイズから逃げ回る源十郎の姿が映る。

響はその幼女に見覚えがあり、シンフォギア装者になる前に共に逃げていた子供と瓜二つの姿だった。

恐らくは、並行世界とはいえ幼女は響では無く外を歩き回っていた源十郎が避難中に保護したのだろう。

 

『翼にも連絡をしたが随分と離れてしまい、来るのに時間が掛かってな。逃げ続けたが、あまりのノイズの数に俺の体力は落ち続け遂には森林公園に追い詰められた』

 

「その割には、震脚で追い払ってるわね」

「倒すことは出来なくても牽制を出来てるのよね」

「ふむ、さすが俺だな」

 

弱気な発言をする向こうの源十郎だが、映像にはビルの屋上から屋上に飛び移るのは当然として垂直の壁を走って昇る姿が監視カメラに映る。

一簿のシンフォギア装者は唖然とするが、源十郎の事を知っている装者は今更そんな反応も無い。

 

画面の方では、公園に着いた源十郎が迫るノイズを睨んでいる所だった。

 

『退路も塞がれ、もうダメかと諦めかけた時だ。一人の少女が俺たちの前に立ってノイズに突っ込んでいった』

 

「あっ!」

「響?」

「私…だよね」

 

映像からも分かる通り、源十郎を助けたのはも向こうの立花響だった。

尤も、シンフォギアを纏う事すらせずノイズを蹴散らす姿に並行世界シンフォギア装者どころか響の仲間である翼もクリスも目が点になっている。

響に至っては、「うわ、懐かしい…」と呟いた。

 

その後、向こうの響が聖詠を唄わずにシンフォギアを纏いノイズを全滅させた。

取り敢えず、これで一旦一区切りだろうと考えた一同さったが、

 

『イーッ!』

『戦闘員…貴方達は逃げて!こいつ等の目的は私だ!』

 

「え、これが戦闘員!?」

「アタシ等の知ってる戦闘員じゃねえな…」

「顔にペイントした奴等と目元だけマスクしてる黒タイツね。何も知らなきゃ変態扱いね」

「ショッカーは戦闘員自体もアップグレードしているようだな、コイツらはいわゆる旧戦闘員と呼ぶべきか?」

 

自分たちの知るショッカー戦闘員と微妙に違う姿に戸惑うが源十郎が「旧戦闘員」と言うとそれぞれが納得する。

ショッカーからゲルショッカーの際も戦闘員の姿が変わっていたのだ、あり得る話だろう。

 

画面では、響が源十郎たちを逃がす為に戦闘員に向かう中、幼女を隠した源十郎が響に助っ人に入り共に戦う。

戦闘員の集団が数が減った事で撤退する直後に翼が合流し、響と幼女は保護された。

 

特異災害の本部に連れてこられた響だが俯いたままソファーに座り、その間に響の情報を集める特異災害対策機動部二課。

其処で分かったのは、立花響は一年半前に行方不明になり家族や友人が駅前でビラ配りを延々とやっていた事だった。

 

「一年半…」

「随分とまあ…」

「その一年半の間に何が」

「おおかた予想はつくわね……最悪な方だけど」

 

あの世界の響が一年半も行方不明になっていた事に驚く翼たち。

未来も顔を青ざめ口元に手を当て、隣に座る響と交互に見て響はジッと画面を睨むように見ている。

その世界の響に何が起きたのか不安がる響たちだがマリアや奏といった一部の装者はある程度予想が出来た。

 

その後、源十郎と櫻井終了子が響に話しかけ響の方もやっと答える。

 

「あのペイント集団、やはりショッカーの戦闘員か」

「それに、あの世界の立花響の体は…」

「………」

 

モニターの響から語られた内容はショッカーに関する事と自分の体がもう人間じゃないという情報だ。

これには、響も奥歯を食いしばり、クリスも舌打ちしマリアは目を閉じる。

その後、本部に潜入していた蜘蛛男が暴れ何人もの黒服の職員を殺し櫻井了子を拉致しようとする。

 

「うわ…蜘蛛…」

「分かってはいたが、銃では傷一つもつかんのか…」

「なっ、櫻井女史がっ!!」

「了子さんが危ない!」

「奴等、ショッカーにとってフィーネの頭脳は魅力的ってか!」

「向こうにも櫻井理論があるようね」

 

向こうの世界の櫻井了子がショッカーに狙われてる事に一瞬驚くが、直ぐに納得する一同。

何より、この世界の了子もフィーネの可能性が高い以上、ショッカーが狙わない筈がない。

その後、響が蜘蛛男を本部にエレベーターに乗せ共に外に出ると近場の林付近で響が蜘蛛男を説得する。

しかし、そんな響を蜘蛛男は侮辱した。

 

「やっぱり、響は響だよ」

「世界は違っても立花は立花だ」

「ふへへ…照れるな」

 

敵であるショッカーの怪人、蜘蛛男を説得する姿に翼たちは響らしいと言う。

それを誉め言葉として受け取る響に他の装者はジト目で響を見る。

 

その後、響は蜘蛛男を撃破し追い付いた源十郎たちに再び特異災害の本部に戻る。

取り敢えずは、響の休息と被害状況の確認の為に一昼夜が過ぎ、響は再び本部のソファーに座る。

向こうの世界の響の体を調べた了子が源十郎に資料を手渡し、目を通した源十郎の眉間にシワが寄る。

直後、響たちの見る画面にも了子が作ったらしい資料が映し出される。

 

「…これが…アイツなのかよ…」

「想像より酷いわね」

「本当に…人間の体じゃないわね」

「…見たことない物ばかり」

 

画面には、人工で造られた棒や見たことない機械が主にあり科学に強いアナザー調ですら良く分からない装置ばかりだ。

肉体と言える部分がほぼない体にクリスは舌打ちをしマリアは目を伏せる。

ある意味想像通りであり想像以上の向こうの響の過去に絶句しているのだ。

 

更にその後も、響はショッカーに捕まってる間の事を語りだす。

それを聞いていた響を始めとしたシンフォギア装者たちと源十郎たちは吐き気を覚えた。

 

「有無を言わさず改造手術だと!」

「…酷い」

「聖遺物…怪人…」

「あのお父さんが…」

「脳改造? …洗脳よりたちが悪いわね!」

 

向こうの響から語られる一年半の地獄は響たちも同情する程酷い内容だった。

 

ツヴァイウィングのライブの時の心臓のガングニールの欠片の所為でショッカーに目を付けられた響は拉致され改造手術により人間では無くなり、一年半もの間監禁に近い生活だった。

そんな彼女を救ったのは失踪していたと思われた父の立花洸だった。

しかし、響を逃がす為、追っての怪人の足止めをし命を落としたと言う。

響たちの座るソファーは重苦しい空気が流れる。

 

その後、怪人の情報を提供して本部を去ろうとする向こうの響を源十郎たちが説得し共に戦う事になる。

直後、向こうの響の能力を知る為に訓練室でシンフォギアを纏おうとするが、

 

「嘘っ!」

「あの立花は歌まで…」

「胸糞悪い事を…」

 

聖詠を唄おうとした響が倒れ咳き込み、医療班に運ばれるのを見た源十郎たちが立花響は歌すらショッカーに奪われた事を知る。

シンフォギア装者にとって歌は力でありエネルギーだ、それが無くなると戦力の半減は確実と言える。

今後のノイズやショッカーの怪人との戦闘を不安視する響たち。

 

映像はその後、翼が一人でノイズの集団を殲滅し、遅れて来た響が到着し翼とのわだかまりの後に現れる戦闘員及びショッカーの怪人たち。

翼の暴走を止める為に出ていた源十郎と合流後、無事に怪人たちを撃退する。

 

「良かった」

「向こうの翼さんが敵対した時どうなるかと思ったデス」

「向こうは、元の相棒の天羽奏が亡くなったショックで立ち直れず歌えない立花響を仲間として見れず争いかけたのね」

「そ…そうだな…」

 

向こうの翼が遅れて来た響に剣を向けた理由を推測するマリア。

それを聞いた翼は煮え切らない態度でマリアへの視線を逸らす。

その翼の態度に苦笑いする響。

反面、源十郎は何か考え事をしている。

 

「如何した?オッサン」

「いや、さそり男の名乗った早瀬五郎の名がな。俺が公安時代の同僚と同じ名だったんだ」

「え、その人は今どうしてるんです!」

「普通に公安に残って仕事してる、この間出世したと聞いたが」

 

クリスの問いに答える源十郎。

画面でも映った、さそり男の正体である早瀬五郎の名で昔の同僚を思い出した。

尤も、向こうの世界とは違い源十郎が去った後も公安に残り出世もした。

 

そうしてる内に場面は次に移る。

今度は響たちも良く知る旧リディアン音楽院が映し出され響が皆の前で自己紹介をしている。

 

「あ、私って転校生なんだ」

「流石に一年半も捕まってたらそうだよ」

「…ってこの映像何処で撮ったんだよ?」

「知らんのか?旧も新もリディアンには安全上の都合で監視カメラがあるぞ」

 

自己紹介をする響を無効の世界の未来が驚いた表情をし、休み時間に連れ出して今まで何をしていたのか聞き出そうとする。

しかし、未来がショッカーに狙われることを恐れた響は未来にそっけない態度を取り離れてしまう。

 

「…向こうの世界の私も未来を巻き込みたくないんだ」

「響らしいね」

 

響としては、向こうの響の気持ちが分かる。

自分も嘗て、シンフォギア装者になった時も未来には隠してノイズを殲滅していた。

特異災害からの口止めもあったが、響自身未来を巻き込みたくない気持ちもある。

向こうの世界の響も同じだろう。違いがあるとすれば悪の組織ショッカーの存在だろう。

響たちとて、並行世界で様々な組織と戦ってきたが、ショッカーは響たちの知るどの組織よりも恐ろしく悪辣な事を平然とする。

未来の存在を知れば、利用しようとするのは火を見るよりも明らかだ。

 

その後も未来から話を聞いたのか創世や詩織、弓美といった何時ものメンバーが響に絡み、本部では緒川が調査したショッカーの情報を聞く。

日は進み、向こうの響は任務として地下鉄のホームでシンフォギアを纏いノイズと戦っている。

 

「あれ、これって…」

「未来との約束を破っちゃった時だね」

 

響としても、この時の事は覚えている。

世界は違えど、幼馴染の親友との約束より特異災害の仕事でノイズを殲滅優先した。

尤も、あの世界の響の敵はノイズだけではない。

 

『…サボテグロン』

 

『教官と言わんか。まぁ、貴様は出来損ないだったがな』

 

「感じ悪いデス!」

「顔見知り?」

「さっき言っていたサボテンの怪人だろう、立花の教官をしていたらしい」

「っと言うかどれも知ってる怪人っぽいぞ」

 

響がそれぞれの怪人の名を言ってる、恐らくは先程言っていた怪人たちの事だろうと言うアナザー翼。

その後も、四体の怪人と多数の戦闘員を相手にする響の姿にヤキモキするシンフォギア装者と源十郎。

戦い慣れてないのもあるだろうが、画面の響にはまだ本気を出してないように見える。

 

そうしてる内に、ブドウのようなノイズが現れ地下鉄のホームの天井を爆破する。

一時混乱するショッカーの怪人たちを横に響はノイズの開けた穴から脱出する。

即座に響を追いかける怪人たち、そして響はある公園に。

 

「ッ!」

「? 先輩の顔色が変わったデス」

「ああ…」

 

クリスの顔色に気付いた切歌がそう言うと翼が納得した声を出す。

映像では、逃げていたノイズを倒した翼に響が話しかける。

しかし、その間に入ったのは白い鎧「ネフシュタンの鎧」を着た少女…クリスだった。

 

「先輩デス!」

「…でも何か変?」

「そう言えば最初は敵対してたんだっけ?」

 

マリアたちの発言に並行世界のシンフォギア装者の視線がクリスに向かう。

クリスは反論せず、静かに俯いている。

もう過去の事とはいえ、クリスとしてはあまり触れたい過去ではない。響と翼も苦笑いをし映像に目をやる。

 

映像では、翼がクリスの身に着けている聖遺物をネフシュタンの鎧だと気付き、クリスの出所を聞く。

当たり前だが答える気のないクリスに翼が問答をするが途中で邪魔が入る。

響を追って来た怪人たちが現れたのだ。

それぞれが怪人の相手をする中、クリスがサボテグロンに幾つか質問をした後に攻撃をしだす。

 

「おお、先輩がサボテンと戦ってるデス」

「…今まで見た中でも、かなり怒ってるみたい」

「まあ、ショッカーのやり方はアタシの最も嫌いなヤツだからな…」

 

クリスは過去の出来事で戦争や内紛が大嫌いだ、当然戦争や内紛を操る組織であるショッカーなどいい顔をする筈がない。

もし、この世界にショッカーが居るのなら真っ先に行って潰すだろう。それ位、クリスはショッカーが嫌いだ。

向こうの世界のクリスも同じくショッカーを嫌い翼や響たちと戦っている。だが決して仲間ではない。

 

映像ではネフシュタンの鎧の能力を十分出してるクリスの猛攻が続くがサボテグロンの変幻自在な動きに翻弄され上手く攻撃を当てられずサボテグロンの持つサボテン棒で返り討ちにされたりする。

一方、翼たちも怪人たちの相手をしており響が真っ先に一体の怪人を倒す。

だが、その直後に二体の怪人の相手をしていた翼にコブラ男が毒液を掛けようとしてるのを見つけ響は動き、響の背中にコブラ男の毒液が降り注ぎ、悲鳴を上げる。

 

「響ッ!!」

「あの煙…背中が溶けてる!?」

「シンフォギアのバリアフィールドが貫通!?」

「ショッカーの技術力はどうなってるです!」

 

映像を見ていた響を始めとしたシンフォギア装者たちも思わず口元を押さえ見入ってしまう。

響の悲鳴と背中からの煙でコブラ男の毒液がただの毒液でない事に直ぐに気付く。更には初期の方とは言え、シンフォギアのバリアすら無効にする溶解液にショッカーの技術力に舌を巻くエルフナイン。

 

「立花め、無茶をする!」

「お前って本当に馬鹿だな!」

「酷いよ、クリスちゃん!!」

 

コブラ男の毒液に苦しむ向こうの響を見て翼とクリスがそう言い、横に座ってる響が抗議する。

 

そうしてる間にも苦しむ響を介抱する翼、その様子を見て響を罵倒するコブラ男と女の血をひたすら求めるゲバコンドル。

倒れた響を守りながら戦うか考える翼だが、其処に思わる乱入者が現れる。ノイズだ。

 

「この時のノイズって…」

「ああ」

「ソロモンの杖から出たノイズだ」

 

クリスの言う通り、映像のクリスがソロモンの杖でノイズを出し戦闘員を次々と炭化させていく。

そのソロモンの杖にサボテグロンが気付くと横取りしようとするが、クリスの出すノイズに邪魔される。

サボテグロンも何とかノイズを倒すことが出来たが、体の一部が炭化してしまう。

 

そのまま、ノイズでショッカーの改造人間を殲滅しようとするクリスだが、翼が横槍を入れ怪人諸共クリスに影縫いをする。

いきなりの事で戸惑うクリスと怪人たちだが、翼は構わずある歌を口にしていた。

 

「絶唱…」

「ここでもやるのか…」

 

シンフォギア装者にとって、諸刃の刃である絶唱。威力はあるが歌うシンフォギア装者すらダメージを負う切り札だ。

サボテグロンも翼の歌の危険性に気付いたのか無事だった戦闘員に翼を殺すよう命令するが、翼が絶唱を歌い切るのが早い。

翼の絶唱で飛び掛かる戦闘は消滅し怪人たちも散りも残さず消え去りクリスに途轍もないダメージを送りそのまま撤退させる。

勝った、しかし絶唱の反動が翼の体に現れ口や目から血が流れる。

未だ、コブラ男の毒液に苦しむ響だが悲鳴をあ減る体に鞭打って何とか翼を介抱しようと近づく。

 

「懐かしいな…」

「あの時は面食らった…」

 

翼とクリスが、あの時公園で戦った時の事を思い出し口にする。当初は敵対していたが今は仲間だ、何時かはこの戦いも笑い話に出来る時が来るだろうと考える二人。

今回の戦いも終わった、響たちもそう考えていたが次の瞬間、その考えが吹き飛ぶ。

 

映像からは一人が手を叩きながら何人もの人影が現れたのだ。

 

「ショッカーの増援!?」

「…コイツは!」

「ゾル大佐!?」

 

先程の映像で紹介されたショッカーの大幹部の一人、ゾル大佐が負傷した翼と響に近づいてきたのだ。

ゾル大佐は、倒れた翼と響をアジトに連れ去り改造する気でいる。

 

「響さんたちだけ連戦…」

「卑怯デス!」

「悪の組織に卑怯もへったくれもないわ。それに助けが来た」

 

ハラハラと映像を見る調と切歌を宥めつつマリアがそう言った。

丁度、映像には源十郎と了子が乗った車が到着し源十郎が構えつつ響たちの保護に行く。

 

その後、源十郎たちを殺そうと迫るさそり男を撃破した源十郎を見て大人しく撤退を決めるゾル大佐。

 

「良かった、退くみたい」

「旦那の人外っぷりは相変わらずの様だけどな」

「それをより、あのアイパッチ野郎の言っていた事が気になるな」

「…風鳴訃堂」

 

響たちはゾル大佐の去り際に訃堂に対して何か仄めかすような事を言ったのが気になった。

風鳴訃堂、響たちもよく知るガチガチの国粋主義に源十郎の父にして翼のお爺さん。

日本に住む国民より国が大事と豪語する姿に響たちとしても相いれない老人、それが響たちの評価だ。

 

聞いた話によれば、ゾル大佐は外国人だ。そんな人間が国粋主義の塊である訃堂とどう関係があるのか?

一応、源十郎はゾル大佐の出身国であるドイツは日本と元同盟国だという事は知っているが、それで訃堂と繋がるのかは分からない。

 

もやもやを胸に映像は続く。

次は、特異災害の後ろ盾だった広木防衛大臣が殺害された事で保管していた完全聖遺物「デュランダル」を移送する場面だ。

 

「この世界でも広木防衛大臣が…」

 

了子命名の天下の往来独り占め作戦が始まり、デュランダルを持つ了子と響の車を中心に護衛である特異災害の職員の黒服が乗る四台の車が護衛をしている。

 

「懐かしいな…」

「此処も、我々の世界と同じ展開だな…」

「この時はな…」

 

嘗ての自分たちも同じことをしていた事を思い出した響は呟き、翼は此処も自分たちの世界と同じだと少し驚いている。クリスに至っては遠い目で黄昏る。

 

車はそのまま永田町へと向かうが、響たちの予想通り邪魔が入る。

尤も、その邪魔者は、

 

「え、クリスちゃんじゃない!?」

「ショッカーが存在するなら当然か…」

 

響たちの車を襲ったのはショッカー戦闘員の乗るバイク部隊と軍用トラックだった。

空には源十郎の乗るヘリの他にショッカーの攻撃ヘリまで来ている。

 

「あ、護衛が次々と…」

「まるで映画みたいデス!」

「はしゃぎ過ぎよ、二人とも」

 

バイクのショッカー戦闘員や攻撃ヘリの攻撃を了子のドライビングテクニックで何とか躱しているが、屠龍でノイズの襲撃も起こり、護衛の黒服の車が次々と爆発炎上し、あっという間に了子の車だけが残る。

反面、追跡するショッカーバイク部隊にも少なくない被害が出ているが。

 

了子と響の乗る車はショッカーの軍用車に囲まれある場所に誘導される。

それは、響たちもよく知る薬品工場だった。

 

「此処って…」

「デュランダルが覚醒した場所だな」

 

追って来たショッカーの軍用トラックも減るが残ったトラックから戦闘員が何人も出てくる。

デュランダルの入ってる箱を片手で持つ響。それを見て了子は若干だが驚いた表情をする。

直後に、響たちに話しかける人物が。薬品工場のタンクに立つゾル大佐だ。

それからは戦闘員の戦いで響は次々と戦闘員を倒していく。

 

「そこだっ!!」

「やっちゃえっ!」

 

響が次々とショッカー戦闘員を千切っては投げ千切っては投げの戦闘に一部の装者から歓声が上がる。

見慣れたノイズとは、また違った戦い方で悪の戦闘員を殴り倒す姿が新鮮でもあった。

 

戦闘員では相手にならないと判断したゾル大佐は次の手を打つ。

配下の怪人たちを響に差し向けようとしたのだ。

しかし今度は、ゾル大佐の邪魔をする者が出た。

 

「此処で雪音か…」

「完全に味方ではないわね」

「この時はしょうがなかったんだよ」

 

その正体は、ネフシュタンの鎧を纏ったクリスだった。

クリスもクリスで目的はデュランダルであり、ショッカーと響たちの三つ巴が起こりかける。

クリスの持つソロモンの杖からノイズが出るが、ゾル大佐には秘策があり戦闘員を並べだす。

その様子にマリアたちが何をするのかと思った時、映像から聞いたことない歌が聞こえてくる。

 

「ショッカーが歌だと!?」

「シンフォギアのシステムを真似した!?」

「真似できる物なの!?」

 

響たちは信じられないと言った反応をする。

さっきまでノイズ相手に苦戦していた怪人たちが今では、赤子の手をひねる様にノイズを蹴散らしている。

ショッカーが短期間でシンフォギアのシステムを模倣に成功したのだ。

 

「なんと言う事だ…」

「こんな短期間でシンフォギアのシステムを真似るなんて…シンフォギアには最低限の聖遺物が必要な筈です」

 

これには、源十郎とエルフナインも驚きを隠せなかった。

更には、唄う者と戦う者を分け併用し、より戦闘に集中できるようにしていると見抜く源十郎。

だがそうなると、ショッカーは何かしらの聖遺物を利用してるか?と思う源十郎とエルフナイン。

 

「それにしても、聞けば聞くほどクソみたいな歌だな」

「…己の組織を称える歌みたいね、大抵こういう歌を好む組織なんて碌なもんじゃないでしょう」

 

ショッカーの歌にダメ出しするクリス。

己を称える歌は今までも聞いた事はあるが、ショッカーのは特に強烈な物だと言うマリア。

ショッカーの自己顕示欲にドン引きしつつクリス達は映像を見続ける。

 

怪人たちの猛攻に響は愚かクリスすら手を焼き苦戦し始める。

特にマリアを苦しめたムカデラスの頭脳破壊電波を喰らった響は一時的戦う事が出来ない状態になるが、了子が響の前に立つ。

アマゾニアのミサイル攻撃があったが、薄いピンク色をしたバリアで事なきを得る。

 

「櫻井女史が動いたか!?」

「私たちの世界でもそうだけど、やっぱり了子さんですよ」

「フィーネの奴、何をする気だ?」

 

次の瞬間、了子は響にデュランダルの入っているケースを上に投げるよう言い、響は了子の言う通り上にケースを投げた。

すると、投げられたケースは砕かれ一本の剣が宙を舞う。

 

「デュランダルが覚醒している!?」

「え、あんな歌で!?」

「うあ…複雑…」

 

デュランダルがショッカーの歌で覚醒した事に驚く一同。

響も響で複雑な心境になる。

 

その後、覚醒したデュランダルを確保しようとした怪人たちだが、響が一早くデュランダルを持つ事になる。

瞬間、デュランダルの力を響が受けて、迫る怪人たちにデュランダルのエネルギーを撃つ。

怪人たちの殆どは、デュランダルのエネルギーに呑まれ消滅し、決着はついた。

連れて来た怪人たちが全滅した事で、ゾル大佐は撤退し響たちが勝った。

尤も、この戦いは響たちの辛勝だったが。

 

この様子には響たちも固唾をのんでしまう程の緊張感を感じている。

しかし、映像は止まらず次の戦いに移行する。

 

次のシーンは広木防衛大臣の葬儀に参加した筈の源十郎が即帰って来た所だった。

 

「あれ?師匠って直ぐに戻ったんですか?」

「いや普通に参列したんだが…あの世界の特異災害は他の官僚も嫌ってるのか?」

 

政治家や官僚の派閥争いで袖にされたのかと考えて額に汗を流しつつ映像を見入る源十郎。

少しだけ時間が経ち、オペレーターと了子の会話が弾む。

 

「? さっきから師匠の様子がおかしくないですか?」

「おかしい?」

「オッサンがおかしいのは今に始まった事じゃないだろう」

「指令は人間という時点でおかしいと思うけど」

「お前ら…」

 

ふと、響が映像の源十郎に疑問に思い口にする。

何時もより口数が少なく、了子やオペレーターたち他の職員の動きや反応を窺っているように見えたのだ。

尤も、皆の反応を聞く限り気付いては無いようだった。

マリアに至っては、源十郎の能力自体おかしいと言い、聞いていた源十郎が呆れると共に拳を握りしめる。

その反応に、響も「気の所為か」と考えた時、画面の向こうの指令室の扉が開く。

 

「はっ?」

「えっ?」

「うん?」

 

映像を見ていた響たちも思わず声を出す。

扉が開き入って来たのは、喪服を着た源十郎だったのだ。

 

「俺が二人っ!?」

「まさか、立花と同じく平行世界の指令!?」

「別の世界の私みたいに!?」

「そんなややっこしい事あるか!?」

 

映像の了子やオペレーターたちも驚くが、見ていた源十郎たちも驚く。

翼が、クリスとマリアが前に行った平行世界に別の並行世界の響が流れついていた事からそれの可能性があると言い、クリスが「本当かよ」という反応をした。

 

そんな慌てる一同だったが、映像で先にいた源十郎が不敵な笑みを浮かべた事に気付く注視する。

そして、次の瞬間には首のあたりの皮をむきゾル大佐が現れたのだ。

 

「な、ゾル大佐!」

「変装だと…」

「化粧とかそんなレベルじゃねえだろ…」

「不味い、本部が!」

 

正体を現したゾル大佐の変装に驚く一同だが、翼がゾル大佐に本部を占領された事に気付く。

監視カメラに映る本部に戦闘員たちも侵入し職員たちを退かし目の前の機械を弄る。

その後、ゾル大佐は交渉と言いつつ完全聖遺物のデュランダルを要求する。

 

「ゾル大佐の狙いは、やはりデュランダルか」

「口ではああ言ってもフィーネの身柄も欲しい筈よ」

 

ゾル大佐の堂々とした行動に翼たちも脅威と思う。

当然だが、画面の向こうの源十郎はそれを拒否している。

しかし、源十郎が拒否しようがゾル大佐にとって如何でもいい。その気になれば強行してしまえばいいだけだ。

だがその時、特異災害本部の装置を調べていた戦闘員がこっちに飛ぶ雪音クリスの存在を掴み報告する。

 

「クリスちゃん」

「確か…この時のアタシは…」

 

クリスが近づいてると聞いたからか、それとも元々考えていたのかゾル大佐は源十郎を始めとした特異災害の職員たちをショッカーに勧誘した。

だが、それに首を振る源十郎ではない、ゾル大佐にハッキリと拒否をした。

アッサリと拒否されたゾル大佐だが、既定路線だったのか表情も変えない。

すると、ゾル大佐は意味深な発言の後に指を鳴らすと指令室の扉が開き誰かが入る。

 

「何だよ…コイツ…」

「コイツ…見た事あるわ」

「先輩に抱き着いていた怪人!」

「…プロレス技な」

 

出て来たのは見る限り怪人であり、源十郎も翼たちも過去の記録映像で見た事がる。クリスに至っては戦った記憶もある。

その怪人はニワトリの様なトサカに恐竜のような顔をした怪人ピラザウルスだった。

その後、ゾル大佐はピラザウルスの能力を見せると抱えていた黒服に頭部のトサカから白い煙を浴びさせる。

 

「うわっ!」

「きゃあっ!」

 

直後に響を始めとしたシンフォギア装者たちから悲鳴が上がる。

ピラザウルスの煙を浴びた黒服は倒れた直後に白骨だけ残して死んだのだ。

 

「一瞬にして白骨化させるなんて…毒ガスどころの話じゃないわ」

「ショッカーめ、ノイズみてぇな真似しやがって!」

「人間を瞬時に骨だけにするなんて…」

「ある意味、ノイズよりたちが悪い」

 

クリスが拳を握り奥歯を噛みしめ、エルフナインがショッカーの技術力に改めて驚く。

画面の方では、ゾル大佐はゲームと言い、向こうの源十郎とピラザウルスを殺し合わせる事を思いつく。

その姿に響たちは、ゾル大佐の恐ろしさを改めて感じた。

 

その後、源十郎とピラザウルスの戦いが起こり、ゾル大佐はそれを途中まで楽しく見ている。

 

「あの師匠が押されてる!?」

「あの世界の指令はこっちの指令と変わらない実力者だった筈よ」

「この動き…レスラーとして相当な実力がある」

 

ピラザウルスに押される源十郎の姿に響たちは信じられないといった反応をする。

その中、源十郎だけはピラザウルスが相当な腕のレスラーだったと見抜く。

丁度、画面のゾル大佐も素体は昔のプロレスラーだった事を話した。

そして、源十郎をピラザウルスに任せたゾル大佐は、了子を連れ指令室を後にする。

 

「了子さん!」

「櫻井女史が!」

「…いや、フィーネなら大丈夫じゃねえ?」

 

半ばゾル大佐に拉致された櫻井了子の名を言う響と翼だが、ふとクリスは「フィーネなら大丈夫じゃねえ?」と言う。

終わりの名を持つ女性の実力を知っている響と翼も少し考えて冷静になる。

その後、辛くもピラザウルスを倒すことに成功した源十郎は拘束されていた職員たちを解放し、ゾル大佐から逃げるのに成功した了子も合流し、何とか特異災害の本部を取り戻した。

 

その様子に響たちもホッと胸をなでおろすが、同時刻で響たちの方でもショッカーの襲撃があり、響の体の秘密を未来に知られた事を知る。

 

「今回の私の方、アッサリじゃない?」

「戦った場所がな……」

「あそこは木ばっかりで監視カメラなんて無いからな…」

 

響が翼の為に「ふらわー」に行った時、クラゲダールに奇襲を受けた情報が流れるが、基本語りだけで映像が出なかった。

林の中に監視カメラも置いて無く、シンフォギアの記録でもゴチャゴチャしていたのでウェル博士が泣く泣くカットした。

しかし、戦闘の記録は出なかったが響と未来のやり取りは流れた。

 

「あ、私死んだことになってる…」

「それで自分は偽物のフリをするのか」

「きっと、未来を巻き込みたくなかったんだな」

「うん、響らしいよ」

 

映像で響が自分を怪しむ未来に一芝居をうち自分は偽物のフリをした。

まんまと響の嘘に騙された未来は響を化け物と言ってしまいその場から離れてしまう。

慰める翼に大泣きする響の姿に切歌や他の装者も涙ぐむ。

 

「悲しい話デス~~!」

「もし、アタシが同じ立場だったら…響と同じことをするかもな…」

「響……」

「未来、私は此処だよ…此処に居るからね!」

 

シンフォギア装者たちにしんみりとした空気が流れる中、映像は続く。

 

ゾル大佐率いるショッカーから本部を取り戻した源十郎たちは、後始末をしつつ響の助っ人に行っていた翼からネフシュタンの鎧の正体、雪音クリスの事を聞いていた。

そして、響は了子のメディカルチェックを受け響のメンタルの回復を図る。

 

「凄い落ち込んでるな、あの馬鹿…」

「無理ないよ、危険から遠ざける為とは言え親友から罵倒されちゃったんだもん」

 

二人のクリスがそう話す。

ショッカーの所為で、二人の少女の心が離れた事に同情してると監視カメラだろう夜の公園が映し出されベンチに二人の子供が泣いておりその前にクリスと未来の姿が映し出される。

 

「このガキンチョ…」

 

クリスは、ベンチに座って泣いている子供の姿に見覚えがあった。

父親とはぐれ泣き虫の妹と妹を守る兄の兄妹だ、おそらくはあの世界でもはぐれててクリスと接触したのだろう。

ただ違うのは、

 

「未来も要るんだな」

 

あの時居なかった小日向未来も公園でクリスと接触している事だった。

クリスと子供たちの反応から街中でも父親を捜索していたようだが見つからず公園に戻って来た所、未来と遭遇したようだ。

クリスも未来の姿を確認したが敵対行動はせずにいるとクリスの横に座る未来。

少し会話をした後、妹がトイレに行きたがり兄が渋々連れて行き二人だけになると未来がショッカーの事を聞く。

少しためらったクリスだが、未来の真剣な顔を見ていると諦めたかのように自分の知るショッカーの情報を口にする。

 

「雪音は櫻井女史にショッカーの情報を教えられてるのか」

「クリスちゃんも未来を巻き込みたく無いんだね」

「…当たり前だろ」

 

映像のクリスと未来のやり取りをみてそう呟く響たち。

その時、トイレに行っていた兄妹の妹が泣きながらクリス達の下に行く。

突然の事に何事かと画面を見守る響たち、幼女とクリスが話していると画面端から人影が現れる。

暗い上に公園の監視カメラの画像も荒いし音声も途切れ途切れだが、響たちもその人影が何者か直ぐにわかった。

何人かのショッカー戦闘員に頭がキノコの怪人だった。

 

怪人は捕らえた兄の方を人質にしてクリスを無力化し、口から胞子を吐きクリス達に当てる。

胞子を吸い込んだクリスと未来は意識を失うと、捕らえていた兄をアッサリ捨ててクリスと未来を戦闘員が運び出す。

公園での監視カメラの映像はそこで終わった。

 

「え!? 未来とクリスちゃんが拐われた!?」

「マジかよ…」

 

突然、向こうの世界のクリスと未来がショッカー戦闘員に拉致された事に驚く響たち。

クリスも予想外の事に「マジ」と呟き未来は口元を押さえて驚愕している。

 

映像には、クリスと未来を捕らえたショッカーの大幹部、ゾル大佐が特異災害の本部に向け二人を捕らえた事と返して欲しければアジトまで来いと言う挑発だった。

 

「罠ね…」

「だろうな、ショッカーはとっくに未来の存在を掴んでる」

「わざわざアジトの場所まで教えるなんてね、よっぽどの自信があるのかしら」

「向こうの立花にとっても強敵だな、小日向と雪音を見捨てる選択など無いだろうに」

 

クリスと未来を浚った事を堂々と教えたショッカーの行動に響たちは改めてゾル大佐の絶対の自信を感じる。

響がクリスや未来を見捨てるならそれもよし、見捨てられずに来たのなら用意した罠で響を苦しめるだけ。そういう計画だろうと考える響たち。

 

当然、響が二人を見捨てられる訳もなくゾル大佐の教えた場所に向こうの世界の緒川と向かった。

場所は、ノイズの出現で打ち捨てられた廃墟地帯の廃墟地帯、その一角に何人もの戦闘員が警備をしている。

 

「廃墟地帯…隠れてアジトを造るのには最適な場所か」

「こそこそ隠れやがって」

 

ショッカーのアジトの出入り口を見つけた響たちだが、同時にアジトの通風孔も見つけており二手に分かれてアジトに潜入する事になる。

見張りのショッカー戦闘員の相手をするのは翼と援護の黒服が何人かいる。

響たちが通風孔に入ったのを確認した翼は聖詠を歌いシンフォギアを纏うと真っ直ぐショッカー戦闘員のいる方へ向かい一人、二人、と戦闘員を倒す。

対する、戦闘員も直ぐに翼の襲撃をゾル大佐に知らせ戦闘員の増援が出てくる。

 

「向こうの立花は無事に潜入できたのか?」

「分かんねえけど、失敗したって言ってないし上手くいってるんだろ」

「流石に、アジト内の映像は無いんだね」

「敵地だからな」

 

映像では、通風孔に潜入した響たちを最後に翼が戦闘員相手に無双してる画が映し出される。

内部に潜入した響と緒川の動向や囚われたクリスと未来が如何なっているか一切映し出されない。

その分、翼が戦闘員を薙ぎ倒す様子が映し出され黒服たちも後方で翼の援護をしている。

 

しかし、それも長くは続かない。

後方の黒服たちの援護が減っていき最後には完全に途切れると共に翼の足元の地面が抉れ何者かが出てくる。

黒い体に醜悪な顔をし、巨大なジャベルの様な左腕に大型ナイフのような右腕の怪人、モグラングが翼に襲い掛かる。

 

「また趣味の悪い怪人だな…」

「コイツ…体がとんでもなく固い奴だ」

「奏は廃工場で戦っていたか」

 

現れた怪人の感想を言う中、奏が前の世界の廃工場の時に戦った事を話す。

とにかく体が頑丈で攻撃が殆ど効かなかった事を思い出す。

映像の翼も攻撃を叩き込むがモグラングの体にはビクともしない。

やがてはスタミナ差から消耗した翼にモグラングの攻撃が受けきれなくなる。

 

「なんて耐久力だ」

「固い敵は今までも居たけど、コイツもかなりの物ね」

「私の拳でも駄目かな?」

「最低でもイグナイトかアマルガムは欲しいわね」

 

響たちもモグラングの耐久力にぐうの音も出ない、とにかく固い。それが響たちの感想だった。

翼の剣もほぼ効かず、一方的に翼を攻撃する姿は思わず皆が拳を握る。

やがて、モグラングの猛攻に片膝をついた翼だが、その様子にモグラングは戦闘員を呼び始末させようとする。

その時、近寄る戦闘員の足元が爆ぜると共に、響たちも見慣れた物が出てくる。

 

「あれは…」

「クリスちゃんのミサイルだ!」

「見ろ、ミサイルにクリスと緒川さんが乗っている!」

「…で、未来さんは?」

「…もう一人の響も居ない」

 

見慣れたクリスの大きなミサイルに浚われていたクリスが乗っている。

人質にされていた二人を救出し脱出したと思ったが、直ぐに響と未来の姿が無い事に気付く。

気付いたからといって、不安になりつつも映像を見続ける響たち。

翼がクリス達と合流するが、響と未来が居ない事に気付き、クリスに聞く。

クリスが言いよどんでいると、モグラングが響が死んだと思い大笑いする。

 

「…酷い」

「醜いわね」

「敵とは言え、未成年の少女にこの仕打ちか!」

 

更に、響を罵るモグラングの言葉に源十郎も青筋を浮かべ、そう言い放つ。

今までも色々な敵と戦って来た響たちだが、彼女たちのショッカーに対する怒りは鰻登りとなる。

画面でも、その言葉にキレたクリス達もモグラングとの戦いに入る。

 

人数が単純に増えた事で翼たちは次々と戦闘員を倒し残るはモグラングだけになる。

しかし、部下である戦闘員が全滅しようがモグラングの体の強度は変わらず、それどころか本調子といえないクリスの攻撃が加わってもモグラング相手に有利にはならなかった。

緒川も手助けしているが、影縫いで動きを抑制しても攻撃が効かなければ意味がない。

クリスも翼も消耗し、勝ちを確信していたモグラングだが、近くの瓦礫が崩れると共に何かがモグラングの体に当たると共に今までに無いほどの衝撃が走る。

 

「あれって!」

「私がバイクに乗ってる!?」

「あのバイク…かなりのじゃじゃ馬だな」

 

モグラングの体に当たった物の正体は、響と未来の乗ったバイクだった。それも普通のバイクではない、ショッカーが改造人間用に造ったバイクだ。

向こうの響が無事に未来と共に脱出したが、バイクに乗ってる事に印象がいく響たち。

それもそうだ、今まで響たちにとってバイクとは翼の代名詞のようなものだった。

現に、映像越しで見た翼も響の乗るバイクが並みのバイクではない事を直ぐに見抜く。

 

響たちのバイクに轢かれたモグラングは、完全な不意打ちになったのでかなりのダメージを受けていたらしく翼とクリスの合わせ技に敗北し決着がついた、

しかし、地下のアジト自体ゾル大佐が仕掛けた自爆装置により大爆発を起こし響たちが避難して終わる結果となった。クリスも何時の間にか消えていた。

 

「勝ったけど…」

「アジト内を調べる事は出来なかったか」

 

アジトが消滅した事で殆どの手掛かりが消えたも同然だが、緒川が抜け目なくアジトのゴミ箱から幾つかの資料を手に入れ源十郎に渡していた。

尤も、読んでいく源十郎自身も読んでいく内に頭が痛くなっていたようだが。

 

「世界中の金の延べ棒が強奪なんて凄いわね」

「ナチスの鉄箱?」

「あっちの政界はショッカーの所為でしっちゃかめっちゃかみたいだな」

「名のある科学者もショッカーにとっては欲しい人材のようね」

「…向こうの俺は大変そうだな」

 

一部の書類の内容を聞いた響たちも「大変そうだな…」という感想が出てくる。

上への報告や、翼たちの情報を纏める特異災害の司令官である源十郎も向こうの源十郎に同情する。

少なくとも、響たちが聞いたことも無いような事件が向こうの世界では起こり、首謀者はショッカーということだ。

そうして、緒川の渡した書類の確認を終えた源十郎だが、最後に緒川にある紙切れを渡される。

途中で燃やされ僅かに燃え残った部分からある言葉を読み解く。

 

「響計画?」

「…私の名前?」

「十中八九、関係ありだろう」

「でも、名前だけで内容までは読めないわね」

 

書類の中で唯一読める文字『響計画』。

それが何か話分からないが、ショッカーの計画だ、碌な物ではないだろうとは感じていた。

「響計画」は謎のまま映像はまだまだ続く。

 

アジトでの戦いを終えた響だったが、未来が電話で今日は学園を休むと響に伝える。

理由は、ショッカーに襲われていたクリスを助けふらわーのおばちゃんの家で休ませていたからだ。

 

「これって…」

「もうそんな時期なんだ…」

「………」

 

響と未来が語り、クリスは口を閉じ何かを思い出しているようだ。

未来としても、クリスとはこの時に仲良くなり響と仲直りした時期でもある。

反対にクリスは信じていた者に裏切られた苦い思い出がある。

 

映像では、学院の授業が終わった響はクリスを保護しているふらわーのおばちゃんの家に到着し未来と共にクリスとお喋りする。

 

「この世界だと私も居るんだ…」

「アジトの騒ぎで響と仲直り出来たんだね」

 

この時も、二人の関係は微妙な物になっており、ノイズが未来達を襲って響が助けた事で仲直りしていた。

そう二人で暢気に語っていると、サイレンが鳴り響く。

 

「このサイレン…」

「ノイズの警報だよ」

「久しぶりに聞くな」

 

この世界でも、『バビロニアの宝物庫』を閉じているのでノイズが出現した知らせのサイレンは響たちにとっても久しぶりに聞く音だった。

映像では、響が通信機で呼ばれクリスも自責の念に部屋を出ていく。

 

「…今更だが、コレ…どうやって撮ったんだ?」

「画面の端に再現映像って書かれてるけど…」

「ふらわーのおばちゃんは、そのまんまなんだよな~」

 

ふらわーのおばちゃんの家の中を如何やって記録したのかは不明だが、家から飛び出したクリスはノイズたちの前に出て聖詠を歌おうとする。

その時、悲鳴のような物が聞こえクリスが視線を向けるとノイズから逃げる老婆を発見する。

クリスは、咄嗟に走ると老婆の下まで行って手を掴んで一緒に逃げようとするが、既にノイズに囲まれ退路がない。

 

「逃げ遅れたお婆さん!?」

「避難し損ねたのか!?」

「アタシん時、居なかったぞ!」

 

逃げ遅れたお婆さんへの反応をしていると、画面外から源十郎が現れ地面を踏みしめてアスファルトを捲り盾にする。

直後、源十郎はお婆さんごとクリスを抱えてジャンプしノイズの居ないビルの屋上まで連れて行った。

 

「さすが、師匠!」

「…相変わらず人間とは思えないわね」

「でもこれで…ん?」

 

クリスとお婆さんが無事なのに一安心する響たち。

しかし、クリスにしがみつくお婆さんを不審に思った。

次の瞬間に、お婆さんはその姿を花の様な怪人になる。

 

「え!?」

「お婆さんが怪人になった!?」

「化けていたのか!?」

「罠か!」

 

しがみつかれていた事でアッサリ拘束されるクリス。

怪人はクリスを騙す為お婆さんに化けていたのだ、悪辣なショッカーらしいと言えばそれまでだが、この手は響たちにかなり有効だということだ。

クリスを助けようとする源十郎も、怪人がクリスを人質にしてる所為で動くことは出来ない。

更には、別の怪人が現れ源十郎を嬲りだす。

 

「コイツは…!」

「本部を襲った怪人!?」

「確か…ザンブロンゾ!」

 

映像に映る怪人に見覚えがある響たち。

クリスとマリアが並行世界に行っていた時に本部に送り込まれて襲って来た怪人だったのだ。

他の並行世界のシンフォギア装者もS・O・N・Gから送られたデータでも見ていたが、向こうの世界の源十郎を一方的嬲る姿に嫌悪感を覚える。

 

更には、源十郎を嬲っていたザンブロンゾはそのまま吸血を行ない源十郎の血を吸っていく。

このまま、二人が怪人に敗れるのかと心配した瞬間、別の場所でノイズを蹴散らしていた響が合流と共にクリスを拘束していた怪人をぶん殴ってクリスを解放させる。

 

「おおっ!!」

「ナイスタイミングだよ、わたしっ!!」

 

向こうの響がクリスを助けた姿に響たちは安堵すると同時に盛り上がる、知らない人間が見れば皆で映画を見て盛り上がってる様にも見えるだろう。

 

その後、クリスの変わりに響が怪人と戦いビルから落とす。

落ちた怪人は落下では爆発しなかったが、周囲を取り囲んでいたノイズに襲われ炭化する最後となる。

形勢が不利となったザンブロンゾも吸血した筈の源十郎に反撃を許し、化石の様な石を残し消滅する。

 

ショッカーの襲撃をノイズ諸共打ち倒した響たちに、画面前の響たちも一安心する。

そして、その戦いから時間が経ち、落ち着きを取り戻した特異災害の本部にて緒川に連れられた未来が本部を案内される。

すると、休憩スポットで響と未来を見つけた未来が声を掛け駆け寄る。

 

「あれ?これも…」

 

響は、未来が本部に来た事を驚きつつも翼も交えて話してると、途中で了子も参加し恋の話をする。

 

「…やっぱり、あの時の会話とほぼ同じですね」

「恋の話で立花が興奮してない事以外わね」

 

響と翼、未来は嘗て了子と語った恋の話を思い出す。了子曰く、「一途」と言う意味がほぼそのままだった事に今でも了子の事を思い出す響。

 

「差異はあるが、ほぼこの世界のやりとりと酷似し過ぎじゃない?」

「並行世界だから普通では?」

 

それから、了子が去ると未来が翼と響と共に遊びに行く話になる。

その時のやり取りは、響たちの世界の物とほぼ同じだったが、

 

「この時のデートの言い出しっぺって、響だったよね?」

「向こうの世界だと私が言い出したのか…」

「この世界の私って、本当になよなよしてるね」

「それだけ、ショッカーの事が後を引いてるのよ」

 

微妙に、自分たちの過去との違いに響たちも少し引っかかっているが映像は続く。

 

翼との約束当日、未来と翼が約束した場所に着くと既に響は其処に居た。

尤も、オシャレした二人に対し響は制服のままで着てひと悶着起こるが、響用の服も買うという事で落ち着く。

ショッピングモールや映画を見て楽しむ一同。

 

「…うん、あの時のデートとほぼ一緒のコースだな」

「これだけ見てると、私たちの過去の映像を見てる気分ですね」

「お、ソフトクリームを食べようとしてるよ」

 

翼と未来がソフトクリームを食べようという話の時、響は既に食べたと言い断ろうとした。

しかし、画面を見る響たちも気付く程の不自然さに翼と未来はちょっとしたイタズラを仕掛けた。

その結果は…

 

「………ダイエットじゃ…なかったんだ…」

「嘘…」

「なんてことを…」

「一人の少女をここまで…」

「ショッカーめっ!」

 

向こうの立花響は食べれるどころか、味を感じる事すら不可能だという事実が響たちに直撃する。

ショッカーに対する怒りが燃える中、響が語るショッカーの「究極の改造人間」という言葉が出る。

響が向こうの響の目の前で目一杯ご飯を食べていた事を後悔すると同時にクリスも向こうの響に対する暴言を後悔している。

 

映像では、気を取り直して未来が翼と響をカラオケに誘い、響が歌えず咳き込むシーンを見て響たちはまたも声を上げた。

 

そして、夕暮れも近く翼たちは丘の上の無人の公園へと立ち寄る。

そこからは街を一望出来、三人とも見入っていり自分たちの守る物を意識している。

 

「ここでも、街を一望してるわね」

「あの時、響と翼さんで見た光景ですね」

「懐かしいな…」

「…ん?誰か来たぞ」

 

翼たち三人で街を見入ってると、男が三人ほど近寄ってくる。

会話を聞く限る、翼たちをナンパしようとしてるのだろう。

 

「ナンパか…」

「こういう男ってウザいわね」

「そ…そうよね、男から声を掛けられるってうざいわよね」

「姉さんの場合、補導員が殆どだったような…」

「余計な事言わない!」

「…待てぇ、様子がおかしい!?」

 

最初は響たちも強引なナンパかと思い、翼が理続けるが「ショッカー本部」と言う言葉に突然牙が延びた男たちが襲い掛かる。

「ショッカー本部」と言う言葉に警戒した翼が腕を掴む男の腹部を蹴り、聖詠を歌って他の二人も剣で叩き伏せるが同時に違和感も感じていた。

気絶した男たちは消滅もせず再び立つ訳でもなく、そのままだったが顔や腕に紫の斑点が浮き出てくる。

 

「何だ、あの斑点は…」

「伝染病の表情にも見えるけど」

「…待って、誰かが喋っている」

 

戸惑う翼たちが喋る中、二人程別の声が聞こえて来た。

響と翼が視線を動かすと同時に映像も切り替わり、公園内にあった遊具の上に立つ二つの人影を見る。

其処には、以前襲い掛かって来た蝙蝠男と紫の髪に虫の複眼をした女性…蜂女がいる。

 

「今、ビールスって言った?」

「っという事は、ショッカーの生物兵器ね」

「! 奥から感染させられた人たちが!」

「何の罪もない一般人を利用するなんて…」

「相も変わらず外道デス!」

「…おい、今強い衝撃を受ければ死ぬって言ったぞ!」

「…流石、悪の組織ね」

「下手に逃げれば、街中に解き放つと言ったデスよ!」

 

迂闊に一般人を攻撃できないと知った向こうの響たちは、コウモリビールスの感染者を無視して響が蝙蝠男を、翼が蜂女を相手する。

未来は未来で上手く闘争し感染者の手から逃れている。

 

「こういう時は、操る物を倒せば操られた人は解放されるものだけど…」

「…そう上手くいけばね」

 

「そこだ、私!」

「パンチ、パンチデス!!」

 

映像の戦う響たちに興奮する響たち。

戦闘も剣で翼と互角に渡り合う蜂女だが、響の相手をする蝙蝠男はビールスに感染した一般人を使い響もビールスに感染させようとする。

しかし、逃げていた未来が感染した人間に体当たりして響を助け、響は油断していた蝙蝠男に接近し拳を叩きつける。

一気に形勢を逆転した響は腕のジャッキを広げ、その拳を蝙蝠男に叩きつける。

 

「いよっしゃーっ!」

「響さんの勝ちよ!」

「これで感染した人たちも…」

 

コウモリビールスで感染者を操っていた蝙蝠男を倒した事で、操られていた感染者が介抱されると思った響たち。

しかし、映像ではそれを嘲笑う蜂女の言葉が響く。

最初は、負け惜しみかと思った響たちも、蜂女の言葉を聞いて顔を青ざめる。

 

「血清…」

「目覚めの棘…だと?」

「蝙蝠男を倒した事で血清も消えた…」

「悪辣過ぎだろ!」

「! 響が気絶した!?」

「…なんとなく分かるよ、もし私も同じ状況になったら自分の所為だって押しつぶされると思うし」

 

映像では、蜂女の言葉にキレた翼が、蜂女を倒し事件は終わったがコウモリビールスに感染した人々は助からなかった。

そして、その中には翼のファンもいた。

 

映像を見ていた響たちも、先程の盛り上がりは何処にいったのかと言う程、暗い雰囲気が部屋に充満する。

そんな時、翼が復帰ライブをやると言う話になる。

 

「…そう言えば、この時期だな。私が歌手に復帰したのは」

「あの時は未来と一緒に翼さんの歌が聞けると喜んだんですけどね…」

「あの世界の翼は、殺されたファンの為にも歌うんだろうな」

「アーティストフェス…何も起こらないといいですね」

 

映像は流れ、向こうの世界の翼の参加するアーティストフェスの準部は着々と進む。

その途中、翼は記憶にない植物も見るが映像を続けて見る。

その間、ノイズが何度か出現したがショッカーが不気味な沈黙をとっている事に響たちも何となく嫌な予感を感じている。

 

そして、フェス当日、響がライブ会場に行こうとしてる途中本部から連絡を受ける。

 

「…私の時と同じでノイズが出現したみたいです」

「…そう言えば、あの時は立花は任務で来なかったか」

「この世界だと、まだ時間に余裕がありそうだけどショッカーが動く可能性があると見抜いてるのね」

「現場には、もう向こうのアタシが居るな」

 

映像には、クリスに襲い掛かるノイズの大軍と一人奮闘するクリスの姿が映る。

相も変わらず臨場感のある映像に「如何やって撮った?」と疑問に思う装者もチラホラ。

 

そんな事よりも、映像では響が合流しクリスと共闘しノイズの減る速度が上がる。

最早、並みのノイズでは二人の相手にもならないだろうと思ってると一際巨大なノイズが響たちの前に現れ、響は腕のジャッキに手を掛けた。

その時だ、その巨大なノイズが爆発を起こした。

 

「え!?まだ私が殴ってないよ!」

「なら今の爆発は…」

「誰か出てくる! …トカゲ人間?」

「トカゲロン! ショッカーは既にノイズに効く爆弾を開発したのか!?」

「歌や錬金術以外で位相差障壁を無視するなんて無茶苦茶です!」

 

映像に映るトカゲ男、ショッカーの改造人間とトカゲロンと体中に白い模様のある怪人トリカブトが現れる。

更にはクリスを持っていた別の怪人ムササビ―ドルも現れトカゲロン以外の二体が響たちの相手になる。

その最中、トリカブトが放った言葉に響が反応する。

 

「G作戦!?」

「やっぱり、ショッカーは何か企んでいたのね」

「翼の復帰コンサートを滅茶苦茶にしようなんてな!」

「毒ガスを出す殺人植物!?」

「さっきの植物か!」

「コイツ等…どんだけ地球が欲しいんだよ」

 

トリカブトの語るG作戦。その内容を聞いて映像を見る響たちも憤慨している。

何より、翼だけでなく観客たちも抹殺しようとするショッカーの残虐な行動に響たちも何度目かの怒りを感じる。

尤も、通信によりショッカーの作戦を聞いていた本部が緒川に連絡して対処している事で響たちも少しはホッとしているが。

 

戦闘の方は、響とクリスが押し出し不格好ながらも連携した動きを見せ二体に大ダメージを与えた。

響と戦っていたトリカブトは倒せたが、クリスと戦っていた方は負傷しながらもまだ戦意がある。

しかし、傍観していたトカゲロンが邪魔だとばかりに持っていた爆弾ボールを蹴り始末する。

 

「味方を!?」

「敵とは言え…これは…」

「…ショッカーは我々が今まで戦った者たちより外道かもな」

 

味方である仲間を始末したトカゲロンは、そのまま響とクリスとの戦闘に入る。

トカゲロンは、仲間を始末した爆弾ボールを蹴り上げるが、ボールの軌道は響たちの方とは別の方に飛ぶ。

これには、映像で見ていた響たちもミスかと思ったが、映像の響がクリスを庇って爆発する光景を見て違うと気付く。

 

「何だ、今の!?」

「凄い勢いで曲がったデスよ!」

「あの動き…サッカーか!?」

「トカゲロンも素体はサッカー選手だと言っている!?」

「む…無茶苦茶ですぅ!?」

 

トカゲロンの攻撃をモロに受けた響は大ダメージを受けながらも腕のジャッキを引っ張りトカゲロンに突っ込む。

今までも幾つものピンチを乗り切った響は自身の拳をトカゲロンに叩きつける。

しかし━━━

 

「うそ…」

「立花の拳が…」

「効かない?」

「…私が…負けた…?」

 

映像には、響の拳を敢えて受けたトカゲロンが反撃に爆弾ボールを響に蹴り爆発を起こし戦闘は終わった。

響を返り討ちにしたトカゲロンはその結果に満足して退散し、響やクリスにはトドメを刺さなかったが、源十郎が現場に着いた頃には響は敗北に打ちひしがれていた。

 

「…まだ、ガングニールを手に入れて間もないとはいえ、響くんの拳を肉体のみで跳ね返すとは…」

「とんでもなく強い怪人ね」

「響さんの拳も効かないんじゃ…」

「…大丈夫…きっと大丈夫だよ。だって、これは過去の映像なんだから…」

 

皆が動揺する中、響はそう言って皆を元気づける。

恐らくは、響も相当なショックを受けてるだろうに、それをおくびにも出さずにそう言うのだ。

 

映像では緊急搬送された向こうの響が源十郎と響の敗北を聞いて駆け付けた向こうの未来が居なくなると弱音を吐く。

それを外で聞く向こうの翼たちに響たちもシーンと静まり返り見守る。

 

その後、向こうの世界の未来が響の手助けの為にも源十郎に自分を鍛えて欲しいと直談判する。

同時に念のために入院していた響が一時行方不明になったが丸一日経つと戻りメンタルも大分持ち直していた。

 

「行方不明の間の映像は無いのかな?」

「無事だっただけマシだろ」

 

映像では、響が敗北を退け新たな日常へと戻りリディアン音楽院で未来と過ごしてる頃、源十郎から連絡が来てノイズの大軍が東京スカイツリーに集まりだしてる事を知る。

無論、響としても放置は出来ず本部のヘリに乗り込む。

 

「この時か…」

「櫻井女史に一杯食わされた時か」

 

響たちが現場に来ると早速シンフォギアを纏いノイズを倒していく。

途中、翼とクリスのいざこざがあったが響のお蔭で和解しクリスの歌で一気にノイズを殲滅していく。

 

「あの時と微妙に違うが、ほぼこっちの世界と同じだな」

「違うのは手を握ったのはこっちだって事か」

「うう…良い話デス」

 

クリスの活躍で、その場に集結していたノイズは全滅した。

しかし、向こうの響はショッカーの横槍が無い事を気にしていると響の通信機が鳴る。

通信機からは未来のSOSだった。

 

「アイツ等、リディアンの方に行ってるのか!?」

「ただでさえ、ノイズの所為で滅茶苦茶なのに!」

「だが、奴等はリディアンに何しに…」

 

ショッカーが響たちでなくリディアン音楽院に何しに行ってるのか考える翼。

もしや、学院の地下に特異災害の本部が目的かも知れないかもと考える。

 

映像には、本部のヘリが使えず徒歩で学院に向かう響たち。途中、クリスが何度も休憩を取ろうとし、その度に響が担いでいたが。

 

「クリスちゃん、相変わらず体力ないね」

「…うるへー」

「先輩…」

「デース…」

 

そして、やっと学院に着いた頃は日も沈みかけた夕刻。

辺りは闇に染まり始めた暗くなっている上にノイズとショッカーの所為でボロボロになった学び舎。

響が未来や皆を呼ぶ声が響き渡るが答える者はいない。 …いや、例外がいた。

学院の屋上にトカゲロンが響たちを舌なめずりしながら見下ろしている。

 

「また、この怪人!?」

「了子さんじゃない!?」

 

トカゲロンの存在を確認した響たちは直ぐにシンフォギアを纏い戦う準備を完了する。

しかし、トカゲロンは前座としてある者たちを呼び寄せる。

 

「…自衛隊に教員? 生き残りか?」

「まさか、また操って…」

「違う! 変身した!」

「変身って…この短時間で改造手術を!」

「…待って、トカゲロンが何か言ってるわ。…ウルフビールス?」

「またビールスかよ!?」

「…感染させるだけで、普通の人もショッカーの忠実な下僕にするって事!?」

「そんな物ばら撒かれたら世界が!」

 

トカゲロンから「ウルフビールス」の事を聞いた事でざわざわとした空気になる中、映像の響たちは量産された狼男たちと戦う。

更には、響たちに群がる狼男たちに向けトカゲロンが爆弾ボールを蹴り込み狼男諸共響たちの抹殺を図る。

しかし、響たちは辛うじて爆発から逃れるが別の狼男たちが立ち塞がる。

 

その時、画面の響が何か思いついたのか、翼とクリスと共に狼男たちに突っ込む。

翼とクリスが前を行き、響がそれに続く感じになる。そして、ある一定の距離まで行くと翼とクリスは止まり互いに手を組んで響の足が組んだ手の上に乗る。

そして、二人が一気に手を響ごと持ち上げると腰のブースターも使ってトカゲロンの方に飛ぶ。

 

「響の距離に入った!」

「「「行けぇーーー!!」」」

「打ち抜け!!」

 

響たちの声援と共に画面の響か腰のブースターを吹かし一気にトカゲロンに接近し、トカゲロンも爆弾ボールを飛んでくる響に向けて蹴り上げ爆発する。

しかし、爆発を受けようが響の突撃は止まらず拳がトカゲロンに突き刺さる。

だが、その拳もトカゲロンへの致命傷にはならず、以前の様に筋肉だけで響諸共拳を退けようとするが、響は此処でもう片方の腕でトカゲロンを殴りつける。

ご丁寧に、そっちの腕のジャッキも上げており二つの衝撃がトカゲロンを襲う。

 

「トカゲロンの体にヒビがはいった!」

「そのまま行けぇ!私」

 

響の二段構えの拳にトカゲロンが断末魔を上げ爆発四散する。

向こうの響がトカゲロンにリベンジを果たした事で、またもや盛り上がる響たち。

 

しかし、向こうの響たちは喜びをかみしめる暇もなく女性の声が聞こえる。

白衣姿の櫻井了子だ。

 

「ここでフィーネだと!?」

「口振りからしてトカゲロンが邪魔だったのか?」

「…あの時の了子さん、思い出すな…」

 

その後は、響たちの記憶とほぼ同じで了子の姿がネフシュタンの鎧を身に着けたフィーネになり学院の地下からカ・ディンギルを呼び出す。

そして、了子は、自身の目的である月を破壊する計画を話し、此方の世界とほど一緒だったが唯一の違いがある。

 

フィーネの話を遮りショッカーの大幹部、ゾル大佐が現れたのだ。

ご丁寧に二体の新しい怪人を引き連れて。

 

「ゾル大佐!?」

「フィーネを待ち伏せしていたのか!?」

「…月をも破壊出来るカ・ディンギル、ショッカーなら当然欲しがりそうね」

「あ、怪人が了子さんに襲い掛かった!」

「確か、あの時はフィーネはバリアも出せてたよな? ならそれで…」

「ダメだ、バリアが破られた!」

 

映像では、ゾル大佐にフィーネがネフシュタンの鎧の鞭で攻撃しようとするが、ゾル大佐がアッサリと防ぎ、ゾル大佐が連れていた二体の内の一体が体を丸めてフィーネに突撃する。

黙って見過ごすフィーネでもなく、バリアを張って防ごうとするが怪人の突撃がフィーネの想定以上だったのか、バリアが粉砕され、さらにもう一体の怪人の巨大な左腕で殴り飛ばされる。

 

とはいえ、フィーネも終わりの名を持つもの、投げ出された空中で態勢を整え地面に着地する。

その着地した場所が響たちの直ぐ傍だった。そして、響がフィーネに共闘を呼び掛ける。

 

「フィーネがアタシ等と一緒に戦う?」

「…魂消たな」

「ショッカーがそれだけ強力って言う事ね…」

「私たちと、了子さんが戦えれば百人力だよ!」

 

「? ショッカーはシェルターに避難した生徒たちも狙っている?」

「…当時のリディアン音楽院の生徒はシンフォギアの適合が見込まれた装者候補だったからな、ショッカーにとって改造するにはうってつけだったんだろう」

「…貴方たちも良い線言ってるわ」

 

ゾル大佐が、シェルターに逃げ込んだ生徒たちも狙ってる事を知り阻む響たち。

そこで、ゾル大佐は札の一つを切る。

 

「…はっ?」

「えっ!?」

「今まで倒した怪人が復活した!?」

「地獄大使の悪魔祭り!?」

「違う…改造人間は壊れた箇所を修理すれば復活する…っ!?」

「さしずめ、再生怪人と言ったとこか…」

「壊れた箇所って…最後は爆発か溶けてるじゃねえか!」

 

ゾル大佐の発言に納得がいかないクリスだが、映像にはハッキリと響たちが倒してきた怪人がいるのだ。

このまま、怪人軍団と集団戦に入るかと思った時、フィーネがゾル大佐にある質問をする。

 

「「「!?」」」

「え? 怪人たちからガングニールの反応?」

「そう言えば、響さんに比べて極小でしたけどありましたデス」

「ん? ゾル大佐が懐から紙を出したわ。 …写真かしら」

「写真を見た櫻井女史の顔色が一気に険しくなった?」

「私や翼さんも写真を見せてもらっれ驚愕してるね」

「この映像だと見えねえ…「衝撃のシーンまで〇秒?」」

「別撮りで映したものを見せるらしいな…なっ!?」

 

映像には、フィーネに渡された写真の正面が映し出される。

見ていた源十郎は愚か、響たちも並行世界のシンフォギア装者も絶句する。

 

「ひ…響がいっぱいっ!?」

「わ…私と同じ子が何人もガラス管に入ってる!?」

「まさか、響さんのホムンクルス!?」

「…いや、ショッカーは科学力で響のクローンを造ったんだ!」

 

映像には人間一人が優に入れるガラス管が幾つもあり、その中には液体に満ちた中で一人の少女…立花響が何人も居るのだ。

エルフナインは響のホムンクルスと勘違いするが、以前のショッカーとの戦いでクローンを目撃した奏がそう言い切る。

そして、嫌な予感の一つが当たったマリアは溜息をつく。

 

「私のクローン!? 何で!」

「…! 静かに、ゾル大佐が語りだす!」

 

混乱する響たちだが、子供マリアがゾル大佐は続きを話す事に気付き響たちを落ち着かせる。

そして、ゾル大佐から語られる響の体とある計画を知る。

 

「…響…計画…」

「さっきのヤツか!」

「クローンを造りだしてガングニールを量産する!? 無茶苦茶です!」

「どんな科学力だ!」

「響を加工する…」

 

ゾル大佐から聞かされた響計画。

映像の響たちだけでなく、画面越しの響たちも絶句しゾル大佐の正気を疑った。

 

ショッカーは一人の少女にあらん限りの恥辱と苦痛を与え利用しつくそうとしている。

その事実に、響たちも怒りよりも恐怖が上回りつつある。

 

しかし、映像の響たちはゾル大佐の言葉を聞こうが復活した怪人軍団との戦いに入る。

 

戦いはまさに乱戦と言えた。

響や翼、クリスにフィーネは一気に3~4体の怪人を相手にする。

それぞれミサイルや電撃、溶解液と様々な攻撃で響たちを攻撃する怪人たち。一見、数が圧倒的な怪人が押してるように見えるが、響たちとて今まで多くの怪人を倒してきた。

戦いの最中にも1体…2体…と次々と撃破していく。

 

「そこだぁ!そっちだぁ!後ろだ!」

「後ろから来るぞ、気を付けろデース!」

「…こうして見ると壮観ね…」

「多対一はノイズで慣れてるつもりだったけどな…」

 

クリス達とて、ノイズを始めとした数に勝る敵と戦った事など幾らでもある。

特に、並行世界の戦いも入れれば数え切れない位だが、画面に映る映像はクリスたちとしても今までの違いを感じる。

怪人の能力はまさに十人十色、多少被る攻撃法もあるが多彩に渡り響たちを苦しめている。

その証拠に響たちは愚か、別の世界のシンフォギア装者も画面に釘付けになっている。

 

蜘蛛男の毒針を腕でガードしたフィーネだが、蜘蛛男の毒により溶ける腕を切り落とし、ネフシュタンの鎧の能力で腕を生やす。

しかし、その後にピラザウルスに捕まり抱きつかれたフィーネの体が宙に浮く。

 

「あっ! クリス先輩を襲ったヤツデス!」

「フィーネの背骨が折れてるんじゃないの?」

「…怪人のベアハッグがここまで危険だとはな」

「下手をすれば、雪音がやられていたんだな」

 

翼の言葉にクリスの顔色が青くなる。

 

映像では、ピラザウルスに捕まったフィーネはベアハッグにより背骨や腰骨を折るがネフシュタンの鎧で回復する。が、その度にピラザウルスが繰り返しフィーネの背骨を粉砕する。

向こうの響たちもフィーネの救援に行きたいが他の怪人の妨害で近寄る事すら出来ずにいる。

これには、流石のフィーネも悲鳴を出す。

 

その時、カ・ディンギルのエネルギーが溜まり輝きが増す。

月を穿つ為のエネルギーの充填が完了したのだろう。

その事に気付く響たちの中で真っ先に動いたのはクリスだった。

 

「やっぱり、ここでもクリスちゃんが早く動くね」

「フィーネに利用されていた罪悪感もあったのね」

「…そんなんじゃねえよ」

 

クリスは自分で出した大型ミサイルに乗り、カ・ディンギルと月の間…カ・ディンギルの射線上に入り絶唱を歌い月への直撃を逸らした。

代わりに防いだクリスは流れ星のように落ちていく。

 

その光景にショックを受ける響たちだがゾル大佐はクリスの絶唱を絶賛する。

それに対し、響が激怒してゾル大佐にキレる。

 

「あの時はショックだったな…」

「流石にな…」

「…悪かったよ」

 

映像では激怒した響の体が黒い物に侵食され目の部分だけ赤くなる。

暴走。この世界の響も陥った禁句の力。

その力は絶大らしく暴走した響はアッという間に二体の怪人を屠る。

暴走した響の力に驚く翼だが、見物していたゾル大佐の言葉に怪人たちは直ぐに態勢を立て直す。

その時、暴走した響がゾル大佐に攻撃しようと飛び掛かった。

 

「あっ! 暴走した私がゾル大佐に!」

「よっしゃ、そのままぶっ潰しちまえ!!」

「…ダメだ! 暴走した立花の爪を受け止めた!」

「あの一撃を片手で止めるなんてね」

「流石は、ショッカーの大幹部だな!」

「あ、見てらなかった翼さんが声を掛けたら目標を変えたわ」

「…この時の私って無差別だな…」

 

翼が暴走した響に声を掛けた所為か、暴走した響は次の目標が翼とばかりに襲い掛かる。

シンフォギア装者の同士討ちという事で、手出しを禁じたゾル大佐は高みの見物をする。

 

翼のシンフォギアが暴走した響の攻撃で破損していき、翼自身も息も荒くなる。

その姿に、フィーネが翼を説得してる途中にカ・ディンギルの輝きが増す。

フィーネ曰く、カ・ディンギルのチャージが完了し月への発署が間もなくなと知る。

ならばと翼は覚悟を決め暴走した響に近づき、その影に小刀を刺す。

そうして響を止めた後に翼はアームドギアの剣を片手にカ・ディンギルの方に向かって歩く。

 

「…この時の翼、カッコいいわね」

「カ・ディンギルを手に入れたいショッカーは当然邪魔するか」

「おお、怪人たちの猛攻を避けて返り討ちにしてるわ」

「…上手く怪人たちを翻弄してカ・ディンギルに辿り着こうとしてるけど…」

「やっぱり、数の差は厳しいね。怪人の放つロケット弾が直撃してる」

「翼さんは、こんなんで倒れたりしませんよ!」

 

映像の翼は、逆羅刹や天ノ逆鱗を使い確実に怪人の数を減らしていくが体力も同時にすり減らしていく。

それでも、カ・ディンギルには近づきつつある中、翼はシンフォギアから炎を灯し燃え上がらせ宙を飛ぶ。

目標は、カ・ディンギルの天辺だ。

しかし、それを黙って見過ごす程、ショッカーも甘くない。

空を飛べる怪人が徹底的に翼へと攻撃し翼の体に幾つも傷が出来ていく。

満身創痍になりつつある翼にトドメを刺そうとする怪人が一気に接近する。

 

「見てられないわね…」

「不味いぞ、翼!」

「! フィーネが援護した!?」

「了子くん!?」

「信じられない…」

「きっと、了子さんも分かってくれたんですよ!」

 

フィーネの援護に翼が礼を言って、剣から炎を出し加速する。

怪人たちも止めようと必死だが、翼を阻める程ではない。

そして、翼がカ・ディンギルの天辺に到達すると膨大な光と衝撃波が辺りを襲い翼を追っていた怪人は文字通り消し飛んだ。

 

「す…凄い…」

「先輩の執念だな…」

「こうして見ると、無茶をしたな私は…」

 

自分の世界でも同じような行動をした翼も思わず呟く。

自分でやるのと、画面越しで見るのとは感じ方が違うのだろう。

 

翼の活躍でカ・ディンギルの破壊に成功した。

その傍らには、シンフォギアから学院の制服に戻った響が横たわる。

其処に近づくフィーネ、響と話し込む。

 

「…了子さんが落ち着いてる?」

「あの時、確かフィーネに八つ当たりされてたよな」

「恐らく、ショッカーと戦ってる時にでも心境の変化があったんだろ」

 

暫く話し込む二人。

これだけの騒動を起こしたフィーネは、逃げるついでに旅にでも出るかと話した時、邪魔が入る。

何時の間にかフィーネの背後を取ったゾル大佐が手に持っていた装置でフィーネの後頭部を掴むとフィーネの目から力が消え地面へとへたり込む。

 

「ゾル大佐!?」

「此処で来るのかよ!」

「フィーネが一瞬でやられた!?」

「…ゾル大佐は完全聖遺物を手に入れただと!?」

 

フィーネの隙をついたゾル大佐は自身が手に手に入れた完全聖遺物を響に見せつけると倒れているフィーネにも視線を移す。

更には、カ・ディンギルの破壊された時無事だった怪人たちも瓦礫から出てくる。尤も、あれだけ居た怪人たちも残り少なくなっている。

このままゾル大佐が全てを手に入れる事を危惧した響は変身と言い再びシンフォギアを纏う。

 

しかし、

 

「シンフォギアが!」

「アイツの持っている鞭のボタンを押したら解除されただと!」

「ゾル大佐の口ぶりだと、今まで立花響が踊らされただけ?」

「…! そうか、響くんのシンフォギアはショッカーが手を加えている!了子くんはあくまでも観察しか出来ていない!」

 

シンフォギアから再び制服に戻った響。

何度も「変身」と言うが心臓のガングニールは反応せず服装も変わらない。

ショッカーの技術で響はシンフォギアを纏う事が出来なくなった。

 

それからは、部下の再生怪人たちが今までのお返しとばかりに響を嬲り者にする。

これには、映像で見る響たちも今まで以上に眉を顰める。助けに行けるのもなら今すぐ助けたいとも思っているがこれは過去の映像だ。

自分たちと会ったもう一人の立花響は無事だ。即ち、響はこの戦いの乗り越えられる。

 

やがて、怪人たちも飽きたのかボロボロになった響にトドメを刺そうした。

その時、何処からともなく歌のような物が聞こえる。

 

「これって…」

「…リディアン音楽院の校歌だね」

「私の時もこれを聞いたな…未来達の歌で勇気が出たんだ」

 

響のその言葉通り、画面越しの響もその歌を聞いて再び立ち上がり口を開く。

 

「…さっきからコイツ、何してんだ?」

「聖詠を歌おうとしているんだ!」

「でもさっきから苦しそうに咳き込んでるけど…」

「このバカが、そんな事で止められるか!」

「少しずつだけど歌う聖詠が長くなってる」

「頑張れ!」

「…最後まで、歌い切った!!」

「シンフォギアの復活だな」

「アタシと先輩もな」

「しかも、エクスドライブの…ね」

 

映像でシンフォギアの復活と共にエクスドライブ状態となり、更に翼とクリスも復活して響と同じエクスドライブ状態で空からゾル大佐を睨みつける。

少しのやり取りの後、ゾル大佐の意味深な発言が出て来て。映像を見る響たちも少し反応する。

 

「ショッカーはノイズの正体を知っていた?」

「埃をかぶった兵器とも言っていた意味はコレね」

「フィーネぐらいしか知らない事実を何故ショッカーが…」

 

ショッカーがノイズの正体を知っていた事に引っかかりつつも映像を見続ける一同。

映像では、ソロモンの杖から大量のノイズを出したゾル大佐が各地にノイズを散らして人間を殺そうとしてる事に気付いた響が翼とクリスにノイズの相手を頼み自分はゾル大佐の前に降り立つ。

そして、怪人たちとの戦いに入るがその殆どが響の拳の前に敗れ去る。

 

「よっしゃーーっ!一撃だ!」

「やっちまえ、響!」

 

映像を見る響たちも大いに盛り上がる。

怪人の攻撃を物ともせず拳の一撃で次々と倒していくのだ、今までの鬱憤を晴らす勢いに盛り上がらない筈はない。

 

そうしてる内に残った怪人たちも全滅させた響はゾル大佐を睨みつけ降伏するよう言う。

尤も、ゾル大佐は響にショッカーに戻るよう言うが首を横に振って答える響。

無論、ゾル大佐も投降する気などサラサラない。

そして、ゾル大佐は洗脳したフィーネに合図を送る。

 

「なっ、フィーネ!?」

「出した、ノイズが取り込まれてる!?」

「…来たか」

「あの時の赤き竜…」

「竜…?」

 

嘗て、この世界の響たちも目撃し交戦したフィーネの赤き竜。

懐かしくも感じるが、映像の赤き竜を操ってるのはフィーネではなくゾル大佐だ。

レーザーのような衝撃波で街を焼き払い、世界を手にしようとする。

 

映像の響たちもゾル大佐の野望を阻止しようと動き、まるでこの世界の響たちがした行動をするように動きデュランダルを奪還し赤き竜を倒した。

 

「確かこれで完全聖遺物を対消滅させたのよね」

「…結構アッサリね」

「もっと盛り上げて欲しいわね」

「見てるだけで…」

「あんなんでも苦労したんだぞ」

「あははは…」

 

赤き竜も倒し瓦礫の中からフィーネに肩を貸し歩く響。

道中、二三会話する響とフィーネ。その過程でノイズが先史文明期の人間が作った事を改めて知る一同。

その時、何処からともなくゾル大佐が現れる。

 

「あの爆発で生きてるだと!?」

「しつこい悪党だ!」

「だけど、切り札だった怪人軍団も完全聖遺物を無いわ。これなら…」

「待て、今「俺もまた変身出来る」って…」

「ゾル大佐が怪人になった!?」

「地獄大使の時と同じね…」

 

ゾル大佐が杖を地面に向けると白い煙がゾル大佐の体を包み、煙が晴れると黄金のように見える体毛を生やした狼男の姿になる。

そして、エクスドライブ状態の響たちと交戦に入った。

 

「つ、強い!」

「私と立花に雪音だけだとはいえ、エクスドライブを押している!?」

「キャロルやアダムとも引けを取らない?」

 

黄金狼男の動きに翻弄される響たち、更には生身の未来や源十郎たちに向け指からロケット弾を撃ち出し響たちの集中力を削ぐ。

まだ、響たちがエクスドライブに慣れていないのもあるが、上級怪人を自称するゾル大佐の方が戦闘の経験もセンスも響たちを上回ってるのだろう。

しかし、そんな三人を見ていたフィーネが活を入れる事で三人は落ち着きを取り戻し黄金狼男と戦う。

「胸の歌を信じろ!」たったそれだけだったがその言葉だけで響たちはゾル大佐の黄金狼男を追い詰めていく。

 

「よし、逆転だ!」

「了子さんの助言のお蔭だよ」

「勝敗は決したな」

 

映像には最後の一撃として響の拳が黄金狼男を殴る抜き瓦礫の山に埋もれた。

少しの時間が経ち、瓦礫から出て来たのは黄金狼男ではなく、元の姿に戻ったゾル大佐だった。

響たちに敗れた事を認めたゾル大佐だが、最後に暗示をかけていたフィーネにネフシュタンの鎧の鞭で砕けた月の一部を引っ張らせる。

 

月の欠片が地球に落ちる。

その結果に満足したゾル大佐は倒れ大爆発を起こし消えた。

 

「まさか、フィーネに暗示が効くとは…」

「ゾル大佐め、最後の最後まで恐ろしい相手だ」

「月の欠片自体、私たちの世界と同じだけど…」

「此処も、酷似してるとはな…」

 

映像では、フィーネと最後の会話をした響。

その後、フィーネの体は砂のように崩れ響は月の欠片が迫る空を見上げ、エクスドライブ状態のシンフォギアで飛び上がり向かう。更にそれを追う様に青と赤い光が響の後を追う。

 

それから少しして、一瞬月の方で光ると欠片が粉々になり月に土星の輪の様な物が形成された。

こうして、ショッカーも絡んだ「ルナ・アタック」は幕を閉じる。

 

 

 

 

「…凄い記録映像ね」

「見ていて疲れた…」

「…思った以上に壮絶だったな」

「私、汗で手がグッショリ…」

「この後もフロンティアの騒動があるんだろ」

「少し休憩しようよ、用意していたジュースも無くなったし」

「そうするか…」

 

映像を見ているだけの響たちも着かれた事で一旦休憩をとる。

その為、記録映像は一時停止させた。

 

 

 

 




今更だけど、前後に分けりゃ良かったあああああああっ!!!!
でも、書いちまった以上は…ねぇ。

一部、響の様子をカットしてる部分がありますが、監視カメラが無かったり敵地での監視映像の入手が出来なかったという事で。

次回、死神博士編。
今回と同じ位、伸びそうだな…
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