…嬉しいです!
予想通り、暑さの所為で投降ペースダウン。
39℃はアカン。
3万文字を優に超えた所為か、単純に自分のパソコンが古くなったのか…重い。
でも、重いの本文だけなんだよな…。
あまりの重さに前後編に…重くて萎えるんだ。
「何っ!特異災害共が並行世界のシンフォギア装者と仲違いしただと!」
「ギィーッ! 捕らえた特異災害の職員を尋問したところ、立花響が並行世界の立花響と揉めたようです!」
「その所為で平行世界のシンフォギア装者の小娘どもに不信感が芽生えてるようです!」
ブラック将軍が次なる作戦を考えてる途中、特異災害の職員を捕らえ尋問していた戦闘員の緊急報告が入る。
理由は分からないが、仲違いしてるのならチャンスと言える。
更に並行世界のシンフォギア装者たちが全員離れてると聞くと一考したブラック将軍が口を開く。
「ふん、これは好機か…例の作戦を前倒しで行う! 特異災害どもの立花響たちだけならば敵ではない!」
「「ギィーッ!!」
「…ンアギイイイイイイイイイイイィィィィィィィィッ!!!」
ブラック将軍が各戦闘員に指示を送った直後、アジトの奥から獣の悲鳴のような物が響き、一部の戦闘員が思わず立ち止まったり耳を塞いだりする。
枯れかけた声は、男か女かすら判別が難しい程で何も知らない戦闘員には不気味でもあった。
「くくく…向こうも順調のようだな」
ただ一人、ブラック将軍だけはその声を聞いてほくそ笑む。
全てはゲルショッカーの世界征服の為に。
=並行世界 S・O・N・G本部=
響たちとゾル大佐の死闘、或いは「ルナ・アタック」の記録映像を見終わって十数分。
トイレや軽食で休憩していた響たちの全員が戻り、それぞれが定位置に着く。
「エルフナインくん、続きを頼む」
「はい」
源十郎の声にエルフナインが堪えると、映像の続きが画面に映る。
映像は、冒頭で何度も見たウェル博士の顔面が映る。
どうやら、ゾル大佐との戦いを一区切りにして一旦スタジオに戻ったようだ。
ウェル博士の近くには源十郎と響も居る。…相変わらずすりガラス越しだが。
『はい、これがゾル大佐との決戦…俗に言う『ルナ・アタック』の全貌でした』
『…軽く言われると甚だ遺憾なんだが…』
『………』
ウェル博士の言葉に引っかかりを覚える源十郎。
自分たちや未成年の響が死に物狂いで解決した事件を軽く扱ってる風にも見えたのだろう。
反面、響は相変わらず口数が少ない。
「……こうしてると、指令とウェル博士がコンビのように見えるわね」
「…その内、漫才でもするんじゃねえか?」
「正直、止めて欲しんだが…」
最早、ウェル博士と源十郎のやり取りが板についてきた様に感じて来たマリアたち。
しかし、一緒に居た源十郎は「失礼な」といった反応で控えていた緒川も苦笑いする。
序に、S・O・N・Gの装者の響たちも苦笑い。
『ゾル大佐を撃破後、三か月の平和が訪れたという訳ですね』
『…ああ、ゾル大佐を倒した後はショッカーも完全に沈黙していたからな』
『そうして、特異災害はゾル大佐をショッカーの首領各だと誤認した』
『『………』』
ウェル博士の言葉に反論できない源十郎と響。
元々響は、口数が少なかったがショッカーへの警戒も薄まっていた事を恥じている。
「ん? ゾル大佐が首領各?」
「確か、ゾル大佐はショッカーの大幹部で他にも地獄大使とか居たような…」
「…! 待って、ルナ・アタックの騒動が終るまでゾル大佐が大幹部って聞いてない筈よ!」
「そう言えばっ!!」
響たちの知るショッカーは自己主張が激しく、地獄大使もわざわざ並行世界の特異災害に繋げる程だ。
そんなショッカーの中で、ゾル大佐は今まで「自分がショッカーの大幹部」だとは言っていない。
前情報で、ゾル大佐の事をある程度知っていた自分たちも失念していたのだ。
大幹部の情報も無い、向こうの世界の特異災害が誤認するのも仕方がないと言える。
「それにしても、本当に口数少ないな。 向こうの響」
「…しょうがないわよ、大事な青春の時期にショッカーに捕まって一年半も拉致されてたんだし」
「捕まってただけなら、まだマシでしょうね。 無理矢理改造手術されて戦闘の訓練までされて…」
「…たぶん、私も同じような目に合ったら今みたいに未来たちと一緒に居られる気がしません」
響とて向こうの世界の響の気持ちが全て分かる訳では無い。
それでも、自分も悪の組織にといった組織に拉致され大事な時期の一年半も皆と離されたらと考えるとゾッとする。響はそれだけ孤独が嫌いだった。
正直、考えたくもないと言うのが響の本音だろう。
響の言葉を聞いてしんみりする一同。
そうしてる内に、映像は切り替わり線路の上を走る列車が映し出される。
列車では、ソロモンの杖の入ったケースと研究者のウェル博士が乗り、護衛として特異災害の響とクリスも乗っている。
『事の始まりは、僕とソロモンの杖を在日米軍基地に移送する時ですかね? まあ、道中は静かでしたけど』
「アタシ等ん時は、ノイズがわんさか来てたぞ!」
「ああ、空を飛ぶ大型ノイズは面倒だったね…」
「やはり、あのノイズはウェル博士が仕掛けた物か?」
「あの野郎~~っ!!」
画面のウェル博士の語りで、自分たちの時は大量のノイズに襲われた事を思い出す響とクリス。
その時に、空を自由に飛ぶノイズに苦戦したクリスはノイズを操ってたと思われるこの世界のウェル博士へのヘイトが爆上がりする。
クリスがウェル博士にヘイトを向けようが、画面の響たちが乗る列車はトラブルもなく目的地に着き向こうの世界の響とウェル博士の最後の挨拶をする。
その過程に、ウェル博士の英雄論も流れ、映像を見る響たちはやっぱりウェル博士だな、っと思ってしまう。
そうして、響たちとウェル博士は分かれたが映像はソロモンの杖が入ってるケースを持つウェル博士が映し出される。
「あれ? 向こうの世界の私たちじゃなくてウェル博士?」
「何かウェルの語りが入ってるわね…」
「…内容は英雄になりたいとか、どうでもいい事ばっかりね」
「いえ、言葉の端々でマムの要請を受けてるようよ」
「こっちの世界だと普通にマリアたちの仲間だったしな」
「あんまり思い出したくはないけどね…」
「ん? ウェル博士が誰かに呼ばれた?」
「保管庫に持っていく筈のソロモンの杖ごと?」
「随分と強引だな」
部下に強引に連れられたウェル博士。その時、ウェル博士が見た者とは!?
「…何? 今の音…」
「サスペンスドラマで流れる音楽っぽかったけど…」
「本当にやりたい放題ね」
響たちが呆れてると、場面は変わり翼とマリアの居るステージが映る。
これから、翼とマリアのデュエットライブが始まるのだ。
「…懐かしいな」
「そうね…」
「「「いや、続きは!?」」」
まだ、S・O・N・Gが結成される前の前組織である特異災害の時代に後に敵対するシンフォギア装者のマリアとデュエットライブをした事を懐かしむ翼とマリアだが、何人かの装者がウェル博士を呼び寄せた者の正体に突っ込む。
まあ、ウェル博士だからと納得しつつも博士に対してヘイトが上がるが。
映像に戻って、響とクリスがウェル博士を米軍基地まで届けた夜。
参加してなかった翼がその日の夜に丁度ライブがあり参加出来なかったのだ。
会場は盛り上がりつつもVIP席では響のクラスメイトである創世たち三人と未来が会場を見守っていた。
そして、今か今かと言うところで響とクリスも合流する。
「あ、この世界の私たち間に合ってるんだ」
「…そう言えば、立花たちは間に合わなかったか」
「向こうの世界ははノイズが基地で暴れてないからな」
響とクリスも間に合いライブが始まる。
映像は、唄う翼たちを映したりVIP席に居る響たちを映したりし少し忙しない。
それでも、翼とマリアのライブは響たちは愚か並行世界のシンフォギア装者も見入っている。
そうしてる内に二人の歌は終わりトークショーに移行する。
「お、噂のアイドル大統領だな」
「アイドル大統領?」
「見てれば分かる」
「…出来れば直ぐに忘れて欲しいんだけど」
途中までは自分たちと同じ内容だと思い出す響たち。
反面、この時の事を知らない装者は画面とマリアの顔を何度も見る。
子供マリアは頭が痛そうにしていたが。
途中、ノイズが観客席に現れ観客がパニックになり、それをマリアが諫めたり堂々と聖詠を歌い響のとは違うガングニールのシンフォギアを纏う。
「懐かしいな、この時のマリア」
「私もクリスちゃんも見れてなかったから、なんだか新鮮」
「…マリア。カッコいい」
「デース!」
「…私はどういう感情で見れば良いの?」
「アンタなんて、まだ良いわよ。並行世界の私の身になってよ」
響たちの誉め言葉に複雑な心境のマリアと子供マリア。
どれもこれも、自分たちの世界と同じだがㇷと違和感を感じたのは未来だった。
「ねえ、観客席のスモークってこんなにあった?」
「? いや、あの時はマリアに注意がいっていたからな…」
「私も知らないわね」
「アタシもこの馬鹿も、まだ会場に着いてないから知らね」
未来は、観客席に炊かれるスモークが気になった。
演出でも観客席にスモークが炊かれる事はあるが、この時にこんなに炊かれるのも不自然と言えた。
ガングニールのシンフォギアを纏ったマリアも、観客席のスモークに気付き声を出す。
その時だった。
ノイズが現れた時とは違う別の悲鳴が響き、映像が回されると見ていた響たちは息を呑んだ。
「なっ! 喧嘩か!?」
「…違う、明確な殺意がある…っ!」
「会場のあっちこっちで殴り合いが起こってる!」
「一部は凶器も使ってるわ!」
「…ノイズにも殴りかかてる!?」
「!見てぇ、翼やマリアたちの背後にあった巨大モニターがループ映像になってる!」
響たちが見たのは、一人の男性が横にいた女性を無言で殴り始めたからだ。
それも、喧嘩の類ではなく本気で殺すような拳を振るっている。
其処だけではない、観客席のあちこちから悲鳴と何かを殴る音が聞こえ他でも同じことが起こっている。
更には、自分たちを取り囲むノイズにも殴りかかって共に灰となる者も居る。
そんな混乱する会場を他所にライブの為に用意された翼とマリアを映していた巨大モニターが何も起こってない会場の映像に差し替えられている。
それだけで。映像を見る響たちも正気だとは思っていない。
流石のマリアも突然の事に慌て翼も一瞬マリアを疑った。
その時、翼を名指しする声が聞こえた。
画面の翼たちが声のした方を見ると、映像もそれに続く。
そして、映ったのはステージで明るくなってるとはいえ夜の空を飛ぶ一羽のカラスだった。
「…カラス?」
「新手の九官鳥デスか?」
「…! 違う、怪人だ!」
「やっぱり、この混乱はショッカーが原因か!」
カラスがナギナタを持った人型になった事でカラスの正体が怪人だと気付く響たち。
その予想は正しく、カラス型の怪人が名乗ると共に、観客席の惨事の元凶だと語る。
「怪鳥人…ギルガラス…」
「おい、アイツ今なんて言った! デッドマンガスか?」
「私もそう聞こえました!」
「名前からして禄でもない物でしょうね!」
響たちが怪人ギルガラスを話していると、映像は響たちの居るVIP席が映る。
マリアの乱心だけでなく、ショッカーの出現に騒ぎ出す弓美たちと未来。
真っ先に動いたのは響だった、クリスに皆の避難を頼むと響はVIP席のガラスに突っ込み無理矢理外に出ると落下してる最中に聖詠を歌ってシンフォギアを纏う。
そのシンフォギアのブースターで飛んで翼たちの舞台に急いだ。
「…やっぱ馬鹿はバカだな」
「思いっきりがいいわね」
「エヘヘヘ…」
「響…たぶん褒めてない」
舞台の方では既にギルガラスがマリアへ切りかかろうとしてる所に響が到着する。
そんな響にマリアが反応して、マリアの呼び方に軽く職を受けるがそれ以上のショックが響を襲う。
「ループしていた大型モニターに何か映った!」
「巨大な鳥と地球のマーク?」
「……ショッカーのシンボルよ」
「「「!?」」」
モニターに映った物の正体を知った並行世界のシンフォギア装者たちは息を呑む。
よく見れば、鳥のマークはゲルショッカーの時に蛇に巻かれていたエンブレムだとも気付く。
それからは、画面の画面から響く声の主…俗に言うショッカーの首領の声が響く。
狼狽しつつも声に聞き覚えのあった響は、その声が首領の物だと判断し、ゾル大佐を首領各だと見ていた翼が疑問を口にするが、それをハッキリ否定する首領。
「そうかっ! 向こうの世界の特異災害はゾル大佐が大幹部だと知らなかったのか!?」
「確かに、ゾル大佐が首領だとは誰も言ってないわね…」
「この映像が始まる前にクソ眼鏡が言ったのはコレかよ!」
「…結果的に向こうの世界の私たちはショッカーに三か月の時間を与えたって事か…」
「ショッカー首領もそれが分かってて、ああ言ったようね」
たかが三か月、そう思うだろうが以前の世界ではショッカーは、一月足らずで島一つ要塞化していたのだ。
そんなショッカーに三か月の猶予を与えたのだとマリアとクリスは特に感じていた。
現に、モニターで喋るショッカーの首領も怪人たちが更に強くなったと言い切る。
そして、映像が切れるとモニター画面に「NO SIGNAL」と出る。
「…向こうの私…落ち込んでるね」
「ゾル大佐を倒して油断していたからね、あの娘の性格上会場の被害も自分の所為だと思ってるのかも…」
「! ギルガラスが動き出した!」
「口からとんでもねえ量の煙が!」
「アレがデッドマンガス!?」
「…! 浴びただけで一般人を殺人鬼に変える!?」
「む、無茶苦茶です!錬金術でもそんな物、造れません!!」
映像ではギルガラスが嘴から響たちに向けデッドマンガスを放つ。
しかし、響たちもボーっとはしておらずジャンプして回避し、マリアは身に着けていたマントを使い迫るガスを散らす。
デッドマンガスが無効にされたが、再び響たちにデッドマンガスを吐こうとした時、ミサイルが直撃し爆発する。
少し遅れてシンフォギアを纏ったクリスが響たちの下に行く。
其処で、マリアと一触即発となるが響が会場で殺し合う観客たちを止めるのが先だと訴える。
「確かに争ってる場合じゃないわね」
「さすが、私だね!」
「はあ? アタシのミサイルで怪人を倒したんだろ」
「響…」
「平行世界の雪音なんだが…」
「…!待って、ギルガラスはまだ倒れてない!」
アナザークリスの声に皆が画面を凝視する。
其処にには、ミサイルの爆発で発生した煙を翼で吹き飛ばしたギルガラスが堂々としている。
響たちから見ても、クリスの放ったミサイルは大型で巨大なノイズすら撃破できる程の威力があるとみた。
その大型ミサイルが直撃したにも関わらずギルガラスは無傷だったのだ。
「…ショッカー首領の言っていた事はハッタリじゃなかったか」
「アタシやマリアが相手した怪人並みの強度だな…」
「…ギルガラスがデッドマンガスの事を話してる…! 解毒剤!?」
「解毒剤が無い限り元に戻る事は無い…」
「…連中らしい手ね」
その後、ギルガラスが響たちが殺人鬼化した観客たちが気になる事に気付くと、外に出しより混乱を広げた。
そしてギルガラスは己の目的である作戦を話す。
「「「「人類皆殺し作戦!?」」」」
「最初から飛ばすわね…」
「………率直で分かりやすい作戦名だな」
「…お陰で、私のフィーネ発言や領土割譲の内容が薄れたわね…」
「でも…人間を殺人鬼にするデッドマンガスを世界中にばら撒けば、世界は大混乱になるのは確か…」
「放置出来ないのは確かデス」
ギルガラスの言う作戦名に唖然とする装者たち。
一見、ふざけた名前だが会場での参上やショッカーのやり方から加味すれば決して笑えるものではない。
映像の響たちも、ギルガラスの作戦を妨害しようと動く。
尤も、真っ先に妨害しようとしたのはマリアだった。
「マリアさんって、やっぱり良い人ですね」
「流石マリアね」
「止めて頂戴…」
「! ギルガラスがマリアに襲い掛かった!」
響や翼の誉め言葉に顔を赤らめつつ、そう反応するマリア。
その時、奏が映像のギルガラスが動いた事を伝える。
映像ではギルガラスが薙刀でマリアを攻撃するが、マリアがマイクを支えていた棒で応戦し火花を散らす。
その時、ギルガラスがマリアの纏うシンフォギアのマントを掴みデッドマンガスを放つ。
ギルガラスのデッドマンガスがマリアを包み込むかと思ったが、マリアは咄嗟にマントを伸ばしデッドマンガスから逃れる。
舌打ちをしつつマントを手放すギルガラスだが、背後から響と翼の声が聞こえると共にギルガラスに飛び掛かる。
二人が迫るが、ギルガラスが持っている薙刀を振り回し刃が響を襲い翼諸共叩き落す。
「薙刀の使い方が上手い!?」
「…向こうの世界の立花の体が生身だったら、立花諸共私の体も真っ二つにされていたぞ」
「!?」
翼の言葉を聞き身震いする響。
下手をすれば、自身と翼の下半身が泣き別れするところだったのだ。
戦闘はさらに続き、待機していたクリスが大型ミサイルでギルガラスを攻撃し、畳みかける様に翼が剣を回転させ炎を纏わせ床を滑るように移動する。
丁度、クリスのミサイルが作った煙から出て来たギルガラスに切り掛かる。
「よっしゃっ!!」
「今度こそ…」
「! ダメだ、無傷だ!!」
「ゾル大佐の時より、怪人のレベルが上がってる」
「あっ、何かギルガラスに飛んできた!」
「アレって調の…」
「おお、私たちがマリアたちの援護に来たデース!!」
「…私の丸鋸が握り潰された」
映像は、調と切歌が参戦しギルガラスを攻撃するが二人の攻撃も大したダメージはない。
その時、切歌がマリアに撤退を進言するがマリアは全員で戦えば勝てる可能性があると言う。
しかし調と切歌は何かを伝えようとした時、二人の来た方向から破壊音が聞こえると共に巨大モニター部分が爆散し何者かが出てくる。
「今度は何だ!?」
「モニターが破壊されたわ!」
「…中から何か出てくる」
「ゴーグルみたいな目をした怪人!?」
「ギルガラスがベアーコンガ―と言ったぞ」
「別の怪人か!?」
「まるで、調ちゃんと切歌ちゃんを追って来たように見えるけど…」
「…もしかして、向こうの私たち…」
「……マリアを助けに来た訳じゃなくて、追われてたデスか!?」
切歌が気付きたく無かった現実を口にしてる間に二体目の怪人、ベアーコンガ―は響に翼、クリスを襲いギルガラスは残ったマリアたちを襲う。
響や翼が接近戦をし、クリスが後ろで援護する何時もの戦闘を行うが、響の拳も翼の剣も大して効かずクリスの射撃も傷も付かず、逆にベアーコンガ―の爪が響と翼のシンフォギアを切り裂く。
マリアたちもギルガラスの薙刀に苦戦し柄の部分で殴られる切歌にギルガラスの拳を喰らい倒れる調。
調と切歌を助けに行こうとするマリアだが、ギルガラスに立ち塞がれアームドギアの槍を取り出しギルガラスに挑む。
「…頑張れ」
「頑張るデス、マリア!」
「…この二体の怪人もとんでもなく強いな」
「耐久力だけなら完全に大型ノイズも越えている」
「せめて、イグナイトは欲しいですね」
「…! 駄目だ、マリアの槍すら通用しない」
ギルガラスに槍を弾き飛ばされた向こうのマリアにギルガラスの薙刀が迫る。
誰もが、あわやと思った時、歌が聞こえると共に無数の丸鋸がギルガラスに迫り、それに気づいたギルガラスがマリアにトドメを刺すのを止め丸鋸を処理する。
逆に、ギルガラスの拳を受け地面に叩きつけられる調。
「調っ!?」
「調ちゃん!?」
「頭部のアームが粉砕した!?」
「…向こうの私の判断は正しいわね、ガードしてなかったら頭蓋ごといっていた…」
「「「!?」」」
アナザー調の言葉に何人かのシンフォギア装者はギョッとする。
それだけ、淡々と話すアナザー調もそうだが、少女とはいえ躊躇いもないギルガラスの殺意に恐ろしさを感じた。
映像では倒れた調の腹部を踏みつけるギルガラスの姿が。
「調…逃げるデス!調っ!」
「年端も行かない少女を何度も踏みつけるとは…」
「…命を奪う事を楽しんでいる」
「あっ、切歌が調を助けようとギルガラスの脚に…」
「…駄目だ、足にしがみ付いてるだけでギルガラスが一方的に攻撃してる」
「アイツ…」
一方的に切歌の顔や頭を攻撃していたギルガラスだが、とうとう持っている薙刀の刃を切歌に向ける。
薙刀の刃が切歌に突き刺さるかと思った時、黄色い光が一瞬映ると共に調と切歌の姿が消える。
黄色い光が通った場所を見ると、響が二人を抱えていた。
「よくやったよ、私っ!」
「…正直ギリギリだったな」
「あの時の戦いがショッカーが居るだけで、とんでもないわね」
「っとは言え、未だにギルガラスもベアーコンガ―も健在だ。このままでは…」
「待って!会場の中心が光って何か出てくる!」
「あの時って…増殖型だっ!!」
映像では、薄緑色のノイズが現れ体の一部を会場に振りまく。
そのばら撒かれた一部が独自に動き響たちやギルガラスを襲いだす。
マリアたちは、その間に撤退するが響たちの方を何度も振り返った。
「…マムが動いたようね」
「チッ、怪人だけ狙えばいいもんなのに…」
「あ、向こうの世界の私たちがS2CAを使うみたい」
「そこら辺は我々の世界と同じか」
画面の向こうの響たちが手を繋ぎ絶唱を歌う姿を見て皆が何をやるのか理解する。
嘗て、自分たちも使った響たちは確信しており予想通りS2CAを使う。
違うのは、襲い掛かるベアーコンガ―たちも巻き込んだ事だ。
響たちのS2CAをモロに受けたベアーコンガ―は粉砕され、空を飛んでいたギルガラスは竜巻となったエネルギーの渦に巻き込まれる。
「ヨッシっ!!」
「…勝負あったな」
「………巻き込まれたギルガラスが落下した。 響さんが近づいてる?」
「アッサリと解毒剤を渡したな」
「潔良いわね…!」
「解毒剤を使って元に戻っても記憶が残るだと!?」
「とんでもない悪辣ね!」
「…命乞いもせずに爆発したか」
「ああ言うのが一番厄介なのよね、目的の為に手段を選ばず自信の命すら顧みない奴は…」
戦いは終わり、映像は会場の惨劇から後日の響たちの居るリディアン音楽院の教室が映る。
其処では、響たちとクラスメイトの友達と会場での悲劇を話し合い一部の女生徒が遠巻きで見ている。
尚、響の友達である創世たちが映るシーンの下には、「友情出演」と書かれている。
「これ…たぶん別撮りもあるな」
「友情出演って…さっきから創世たちが映る度にドアップなのはその所為?」
「板場さんがおもいっきりドヤ顔してる…」
「どうやら、あの三人はクラスメイトにもショッカーの存在を喋ったようだな」
「で、当然誰も信じてない…だろ。アタシ等も最初は耳を疑ったからな」
「…あの惨劇の裏には秘密結社の悪の組織がいる。私もショッカーの事を知らなければ頭の病気を疑うな」
「…確か、この時のマリアたちはこっちだと一週間程は動かなかったな」
「ええ、こっちとしても準備とか色々あったから…」
「っとなると暫く平和になるデス」
「…だといいのだが」
「あれ?翼ってこの時、もう活動していたの?」
「携帯の情報で『衝撃!風鳴翼が話す衝撃の告白。あの時マリアはこうしていた!今夜の生トーク!』!?」
「わ、私は知らんぞ!マリアたちの事もあって、この時は休業中だった!」
「うん、私も翼さんからそう聞いてるけど…あ、本部に戻って向こうの翼さんに聞いてる」
「放送するラジオ局とも連絡が取れない…か」
「向こうの先輩も知らないみたいだな…なら…」
映像では、ラジオの放送が始まる少し前にラジオ局近くで様子を見る響たちと緒川。
十中八九ショッカーが関わってるだろうと見ている響たちも感じ取る。
しかし、放置する訳にも行かない向こうの世界の響たちはラジオ局に潜入する。
ラジオ局の中は明るかったが受付や通路には誰も居なく、響たちが警戒してると何処からともなく戦闘員が現れ響たちの前に立ち塞がる。
「やっぱり出たな、戦闘員!」
「…この戦闘員、私たちの知っている方の戦闘員ね」
「骨のマーク…間違いねえな」
「向こうの響くんたちは早々にシンフォギアを纏ったか」
「…誰か出て来た」
「地獄大使!」
ラジオ局現れたのは、こっちのクリスやマリアとも激しく戦った男、ショッカーの大幹部 地獄大使だ。
この時、向こうの響たちにとって地獄大使は初対面だったらしく響たちに名乗る地獄大使。
そして、先ずは戦闘員が響たちと戦う。
「…向こうの私たちが押された?」
「今まで戦った戦闘員の10倍の力だと!?」
「…随分と盛るわね、ハッタリじゃ無さそうだけど」
「それでも確実には倒せてるな」
「所詮、戦闘員は戦闘員デス!」
「地獄大使が誰かを呼んだわ」
「向こうの私たちの背後に何か落ちて来た」
「…やっぱり怪人」
「あのセミ野郎、私も何度か戦った奴だ」
「悪魔の歌計画?」
現れた新たなる怪人 セミミンガが殺人音波で響たちを攻撃する。
初見もあって響たちはセミミンガの殺人音波を壁に叩きつけられる。
ダメージを受けた響たちだが何とか立ち上がると地獄大使が感心したように口を開く。
「殺人音波だぁ?」
「随分と大層な名前ね」
「だが、向こうの響くんたち様子を見る限りハッタリでもないだろう」
「それより、また悪魔の歌計画って言ったわよ」
「向こうの私たちも反応しましたね」
「…地獄大使が教えてくれるらしいわよ」
「本当にお喋りだあ、秘密にする気あんのか? …!」
「なっ!?」
「ラジオでセミミンガの殺人音波を流して聞いた人間を皆殺しにする!?」
地獄大使から語られる悪魔の歌計画の全容を聞いた響たちは耳を疑った。
ショッカーは大規模なテロを起こし日本を大混乱に陥れようとしていたのだ。
「殺人音波は放送越しでも効果があるのか!」
「ほ…本当に滅茶苦茶です!」
「…多くの人間を殺す為に翼の名すら利用するか…」
「…マリアの件で諸外国もラジオを聞こうとするだろうし、そうなれば効果は絶大ね」
「更に、作戦が成功すれば多くの者を殺した風鳴翼だと糾弾し、私たち特異災害の動きも牽制できる」
「……そう考えると恐ろしい作戦ね」
「電波を止めてショッカーの殺人音波を止められないの?」
「そ、そうだよね…特異災害は日本の政府機関だから指令が言えば…」
「…難しいだろうな、日本の行政は兎に角、腰が重いのが多い。それにラジオ局をショッカータワーに改造したショッカーのことだ、万が一電気を止められた時用の策もあるだろう」
地獄大使の悪魔の歌計画を聞いた映像の響たちは当然、阻止しようとセミミンガと戦闘に入る。
響たちはチームワークで戦うが、セミミンガの殺人音波に苦戦を強いられ中々距離を縮める事が出来ない。
そうこうしてる内に地獄大使がセミミンガを呼び寄せ「時間だと」言う。
しかし、響たちもこのままセミミンガを見逃す程愚かではない。
それは地獄大使も読んでおり手駒を呼び寄せ相手をさせる。
「魚に…大きなヒトデ?」
「エイキングとヒトデンジャーか!」
「どっちも面倒な怪人だぞ!」
エイキングとヒトデンジャーを知らない並行世界のシンフォギア装者が「魚とヒトデ」と言う。
対して、二体の怪人と戦った奏が名前を呼びクリスが強敵だと話す。
クリスと奏の懸念は当たり、再生したエイキングとヒトデンジャーの能力は前より上がっており響たちを押す。
翼の斬撃もクリスの弾丸も弾くヒトデンジャーと稲妻を呼び寄せるエイキングの能力に響が苦戦する。
そんな響たちの援護をしようと銃の弾を怪人の影に撃ち動きを阻害しているが、あまり効果がない。
其処で、翼が緒川に近づき話と緒川は小さく頷き、怪人たちを響たちに任せ通路の奥に行った。
「あれ、緒川さん何処行くんだろ?」
「向こうの翼に何か言われたようだけど…」
「あっ、向こうの響さんがエイキングに突進して離れた!」
「二体の怪人を引き離して各個撃破を狙ったのかしら?」
「そこまで連携してたかアイツ等?」
響がエイキングを引き離し、ヒトデンジャーには翼とクリスが相手をする。
すると、場面は変わり先行していた緒川がある部屋まで辿り着く。
其処は、ショッカーが運び込んだ発電機が置かれている。
手際よく見張りの戦闘員を排除した緒川が破壊しようと試みるが発電機はビクともしない。
「随分丈夫な発電機ね」
「緒川さんが手も足も出ないなんて…」
「これ、シンフォギアでもチャージしないと壊せなくない?」
「そう考えるとかなり頑丈だな…!」
「うわ、馬鹿がエイキングと一緒に壁をぶち抜いて来たぞ!」
「立花の拳がエイキングに当たっているが腕のジャッキを引っ張ってる余裕がないな…」
「これじゃ、立花響の拳を活かせないわ」
「ならどうすれば…緒川さんがエイキングを挑発してる?」
「あ、エイキングの電撃が発電機に!」
「そうか、頑丈に造っても発電機は精密機械だ。 発電してる途中で高電圧を受ければ壊せる!」
「動揺してるエイキングに響さんが一気に突っ込みました!!」
「…今度は腕のジャッキも上げて一気に殴った」
今度こそ、響の拳をまともに受けたエイキングは、響の拳の威力により漏電し続ける発電機に接触し爆発する。
直後に、部屋内は愚か通路側すら非常灯に切り替わる。
響がエイキングを倒した事を見届けた映像は、次に翼とクリスの方に切り替わる。
「ん? …こっちの灯りは着きっぱなしだから発電機が壊れれる前か?」
「みたいね。 …それにしても相変わらず固いわねヒトデ」
「私の斬撃も雪音の弾丸も通らんとはな…」
「天羽奏、コイツをどうやって倒したの?」
「響のS2CAで纏めてぶっ飛ばした!」
奏がヒトデンジャーを倒した時の事が参考にならないと判断した並行世界のシンフォギア装者は改めて画面を見る。
映像では、未だに苦戦する翼とクリスだったが変化が起きた。
「…水滴?」
「さっきのミサイルが爆発した時に火災報知器が反応したみたいだな」
「うわ~…土砂降りデス」
「? …ヒトデンジャーが焦ってる?」
「あっ、クリスが小型ミサイルを撃った」
「!? 命中した腕が吹き飛んだ!」
「そうか、アイツは水が弱点なんだ! …ヒトデなのに?」
「翼とクリスが倒したわ」
ヒトデンジャーを倒した翼とクリスは急ぎ地獄大使の進んだ通路を行き、途中に響と緒川と合流し前方のスタジオと書かれたネームの扉にミサイルを放つクリス。
爆発すると共に戦闘員の悲鳴が響き、爆煙の中地獄大使の姿を見つけ部屋に入る。
「おお、派手にやるな」
「今度は地獄大使が面食らってるな!」
「あの様子からして、悪魔の歌計画は失敗したようね」
「計画が崩された事に怒り心頭ね…セミミンガがまた現れたわ」
「さっきより攻撃が当たってる!」
「やっと体が温まったんだろ」
「! セミミンガが殺人音波を出した!」
「向こうの私たちはガードしたけど、部屋内にあった周辺の機器が壊れた!?」
「戦闘員と地獄大使のやりとりで悪魔の歌計画は完全に失敗したようだ、責任転換した地獄大使がセミミンガに装者を倒さないと死刑だと言いだしたぞ」
「…でも、その所為でセミミンガが完全に動揺してるわね」
「お、あの馬鹿が一気に言って殴り倒したぞ!」
「残りは地獄大使だけだが……駄目だ、クリスのミサイルを全部叩き落しやがった!」
「ショッカータワーが爆発してる!?」
作戦の要でもあったセミミンガが倒された事で完全に見限った地獄大使は響たちの居るショッカータワーごと灰にしようと行動し、自身はアッサリと逃げ通す。
対して、響たちも何度もショッカーとの激闘に生き残っている以上、簡単には地獄大使の思惑通りにはならず緒川と共に脱出に成功し爆発し崩れるショッカータワー(ラジオ局)の最後を見届けた。
「結構危ない場面もあったけど、何とか勝利したわね」
「怪人の能力自体は強力と言えるが、地獄大使のポカが響いたようだな」
「明らかに配置ミスもあったな」
地獄大使のウッカリにも助けられた響たち、ショッカータワーの戦いが終わり響たちに束の間の平和な時間が流れる。
特異災害の本部ではフィーネと名乗ったマリアたちの警戒と共に新たに現れたショッカーの大幹部地獄大使の情報を探り、響たちは学院の授業に学院の催し物である「秋桜祭」の準備をしたりしてる。
「秋桜祭か…懐かしく感じるな」
「翼さんが卒業して色々ありましたね」
「この時に潜入した私たちが歌ったのデ~ス」
「…あれの所為で見つかった」
「そういや、そんな事もあったな…」
「「「秋桜祭?」」」
切歌が思い出すようにそう言って調が突っ込みクリスが懐かしく思う。
しかし、秋桜祭を知らない並行世界のシンフォギア装者には今一分からない単語だった。
そうこうしてる内に、映像は廃病院に移り響たちもシンフォギアを纏っていた。
「廃病院? またショッカー?」
「いや、この時はマリアたちFISが此処を根城にしている情報で来てるんだ」
「…まあ、クソ博士の策に嵌められたけどな」
クリスが若干、忌々しそうにそう言って映像を睨みつける。
尚、マリアたちは廃病院を見て少しだけ懐かしさを感じていた。
廃病院に忍び込む響たち。
暫く通路を歩いていると響が翼とクリスを呼び止める。
「…立花にはAnti LiNKERが見えてるのか?」
「あの暗闇でよく分かるな」
「…向こうの私って目が良いみたいですね」
「ノイズが出たわ」
響の言葉で一旦立ち止まった三人だが、奥から何体ものノイズが現れ戦闘が起こる。
何時も通りの戦闘…ショッカーの怪人に比べノイズは最早、響たちの敵とは言えないレベル。…その筈だった。
「駄目だ、やっぱり押され出した!」
「ギアの性能が目に見えるレベルで落ちている」
「噂には聞いていたけど…」
嘗て、自分たちも陥った不測の事態。
Anti LiNKERの性能を思い出したクリスは顔を顰め翼と響は額に汗が流れる。
響たちから、Anti LiNKERの情報を得ていた他のシンフォギア装者もその性能に目が離せない。
そうしてる内に、誰かが近づいてる事に気付いた向こうの響がその人物の名前を叫ぶ。
「…助手?」
「やっぱりウェル博士か」
「在日米軍基地でノイズが出ないから違うと思ったが…ソロモンの杖も握りやがって!」
「…トリックとか言い出したぞ」
『そう、特異災害のシンフォギア装者たちは稀代の英雄であるこの僕、ジョン・ウェイン・ウェルキンゲトリクスに会ったのです!!』
「…ナレーションで「稀代の英雄」って言ってる…」
「…ショッカーに負けない位の自己顕示ね」
「ソロモンの杖で世界征服って…ショッカーみたいな事を…」
「………」
映像では、ウェル博士が再びノイズを出しクリスがミサイルで迎撃するがAnti LiNKERによって適合値を落とされてた事でシンフォギアのバックファイヤーに悲鳴を上げる。
クリスのミサイルにより廃病院の一角が崩れ外が見える。
その時、響が空を飛ぶノイズが何か入っているゲージを持っている事に気付く。
そのゲージに入ってる物は、画面を見る響たちも知っていた。
「…ネフィリム」
「まだ小っちゃいけど間違いないね」
「ああ」
響としても、
その後、響たちの前に現れたウェル博士はアッサリと降伏し、ゲージを運ぶ飛行するノイズも翼が追い、途中で本部の通信をすると飛行するノイズの下の海面から特異災害の仮本部である潜水艦が現れ、翼が潜水艦を踏み台にして飛行するノイズを切り裂く。
「やったーっ!」
「…だが、この後は…」
「やっぱり、マリアだな…」
「ステージからの二戦目ってとこか…」
「此処で、ウェル博士がマリアさんが了子さんだと言うんですね」
「…櫻井了子に入ったフィーネだけどね…それにこの時はウェルを参加させる為に嘘だったから」
「なんか、ややっこしいな」
映像では翼の前に現れたマリアがゲージを確保し、二人は暫し睨み合い互いの持つアームドギアが火花を上げる。
マリアを捕らえようとする翼と翼たちを叩きのめしてウェル博士を奪還しこの場を離れようとするマリア。
一見、互角に見える戦いだは徐々に翼がマリアを押していた。
その時だった。
「海から何か飛び出してきたぞ!」
「あれって…サメっ!?」
「…手足のあるサメ…ショッカーの改造人間!」
「ノコギリザメの改造人間ギリザメス!?」
「つ…強そうデス…」
「! 先輩と響さんの方にも怪人と戦闘員が!」
「トカゲの顔が気持ち悪いデス…」
「毒トカゲ男…思い切った名前ね」
「何だってこんな時にショッカーが…」
「まるで、向こうの私たちの動きを読んでるような…」
『ちなみにですが、僕たちが拠点にしていた廃病院の地下深くにはショッカーのアジトがあります。 てへ』
「おい、今トンでもねえこと言いだしたぞコイツ!」
「…怪人がこんなに早く出てくる訳ね」
解説のウェル博士の爆弾発言に響たちを始めとしたシンフォギア装者たちから非難の声が上がり、源十郎と緒川も目が点となる。
そうしてる内でも映像は続く。
翼の方は乱入して来たギリザメスの吐く火炎を避け頭部付近にある突起部分も翼は避ける。
しかし、その突起が潜水艦の甲板に当たると爆発を起こし潜水艦も大いに揺れる。
「本部が…」
「あれって飾りじゃないのかよ!?」
「とんでもない威力ね…狙いを本部に移されたら危険ね」
響たちの方も並み居る戦闘員と毒トカゲ男の攻撃に苦戦。
クリスの背後に回った毒トカゲ男がクリスに向け赤い液体を吐き出す。
幸い、毒トカゲ男の動きに気付いていた響がクリスを引っ張り目標を失った赤い液体が戦闘員にかかる。
赤い液体をかぶった戦闘員は断末魔を上げ倒れるとそのまま溶けてしまう。
「うわ、グロッ!?」
「…自分の部下を巻き込もうが平然としてる…」
「仲間意識何て無さそうな連中ね」
「! 毒トカゲ男の舌が響さんの首に巻き付いた!?」
「あの馬鹿が悲鳴を上げている!? 体から煙も出てるし高圧電流か!」
「…心なしかウェル博士が焦ってる?」
映像では、毒トカゲ男の舌に囚われた響の体に高圧電流が流れ悲鳴を上げる響。
助けに行きたいが、戦闘員が邪魔をし助けられないクリス。
翼も翼で何時の間にかマリアと共闘しギリザメスと戦い響を助けに行く余裕はない。
助っ人は別の所から来た。
毒トカゲ男の伸びる下に赤い丸鋸が接触し響が介抱されクリスの方も緑色の巨釜が戦闘員を切り裂く。
調と切歌が響たちと共闘したのだ。
「おっ、向こうの私たちが助っ人に入ったデス!」
「…予想外な事で動揺した毒トカゲ男が響さんの拳を受けてる…」
「よし、そのままやっちまえっ!」
「響くんの拳を受けた毒トカゲ男が海に落ちて爆発した!」
「毒トカゲ男を倒したぞ!」
「後はギリザメスだけだけど…」
「翼もマリアも疲労が限界にきてるぞ…」
「実際にマリアも「時限式」って愚痴ってるしな」
「調と切歌が助っ人に来たと言え、立花響と雪音クリスが翼たちの援護に入れるかは微妙ね」
「…いや、どうやらギリザメスが撤退するようだ」
源十郎の言葉通り、ギリザメス消耗した翼とマリアを横目に海に飛び込み姿を消す。
ギリザメスの撤退により響が調たちに話しかけるが一言二言返答した後、ヘリのエアキャリアから伸びたフックを掴み自分たちも撤退する。
「…アンタたち大人しく見逃したのね」
「アタシ等の時はちびっ子共にしてやられて止める余裕が無かったからな。ショッカーの怪人で共闘して見逃したんだろな…」
「あ、キャリアの中も映ってる」
「マリアたちの様子か? そうか、この映像はウェル博士が編集してるからマリアたちの様子も分かるのか」
「! 切歌ちゃんがウェル博士を殴っちゃた!」
「…向こうの切ちゃん、凄いワイルドね」
「ワイルドって言うのか?」
「…あの時は、せっかくの拠点が博士の所為でバレて使えなくなったのが腹たったデス」
「気持ちは分かるわ」
「…たぶん、向こうの切ちゃんも同じ気持ちだと思う」
目的の為とはいえ世界に宣戦布告した自分たちの休める場所が博士の勝手な事で無くなったのだ。
イガリマで切り付けなかっただけ切歌は冷静と言えた。
これからの活動をどうするべきか悩む一同にウェル博士がある提案をする。
「ウェル博士の提案って何だろう?」
「どうせ禄でもない事デス」
「まあまあ、提案の中身が分からないと………って!?」
「マリアたちがショッカーのアジトに!?」
「本当に禄でも無かったデスッ!!!!」
「あの英雄狂い、何を考えてるの!?」
「…ウェル博士と妙な声を聞く限りウェル博士は
「死神博士って!」
「た…確か冒頭でウェル博士が説明したショッカーの中で出た名前だよね」
「あの不気味な老人ね」
死神博士の名を聞いて、数時間前にウェル博士が説明していたショッカー組織の内容を思い出す。
あの時の説明には死神博士は、ショッカーの大幹部。
そう考えると、ウェル博士と死神博士の関係が気になる響たち。
その答えは直ぐに出た。
「ウェル博士は死神博士の教え子?」
「生物改造学?」
「…聞いたことないわね」
「名前からして禄でも無さそうだな……映像じゃ薄暗い上に隠しカメラを使ってるみたいで顔が見えないわね」
「死神博士だけじゃねえな、怪人どもの声も聞こえてるが黒くてよく見えねえ」
「…それ以前に、画質自体も悪いですね。特殊な妨害電波でも出してるのか?」
「恐らく、万が一の事も考えてカメラで撮られないよう細工してるんだろ…その証拠に画像もドンドン乱れている」
源十郎の言う通り、ショッカーのアジト内部を映していた映像は乱れが酷くなり砂嵐が目立つ。
それでも、少しでもショッカーの情報を得ようと響たちは皆映像に集中し、あるワードを聞いた。
「映像が完全に途切れたわ」
「…なあ…今、結社って言ったか?」
「確かにそう言っていたわね」
「まさか…パヴァリア光明結社?」
パヴァリア光明結社
欧州にて活動する錬金術師の集団。
欧州を暗黒大陸の原因でもあり、響たちと交戦し壊滅しているが錬金術師の生き残りが偶に暴れ響たちが対処している。
「結社とショッカーが繋がってる?」
「
「……でもサンジェルマンさんがショッカーと関係あるとは思えません」
「アダムもわざわざショッカーと組むとは到底…ね」
「平行世界だから性格が違う可能性はあるけど…」
パヴァリア光明結社とショッカーが手を組んでいるのか?
平行世界の事であり、パヴァリア光明結社が壊滅したこの世界では分からないのが本音だ。
結局は、向こうの世界のパヴァリア光明結社の事である以上、響たちが考えても答えは出ないと映像に集中する。
ショッカーのアジトから出た所為か、映像は砂嵐から戻りエアキャリアでのマリアとウェルの会話や、特異災害本部での源十郎と斯波田事務次官が通信越しで会話していた。
そうして、響たちの居るリディアン音楽院も映り現在「秋桜祭」で外部から大勢の客が来ている。
「秋桜祭か…あの時もこの位客が来てたな」
「私たちの学院と変わらないね…一部以外…」
「学院の出入り口に何人もの特異災害職員が居るな…」
「その職員が悪目立ちしてるデース」
「仕方ないわ、「フィーネ」を名乗った私たちだけじゃなくショッカーも存在してる以上、警備に力を入れるのは当り前よ。 ……ショッカーにどこまで通用するかは分からないけど…」
響たちは自分たちの頃より厳重になった秋桜祭に苦笑いする。
マリアの言う通り、マリアたちだけでなく世界征服を狙うショッカーも存在する以上、警備は厳重にした方が良いだろう。
理由の分からない一般客が少し怯えるが…。
一方、踊り場で入場者を観察していた響は未来に呼ばれる。
「あ、未来が呼んだって事は…」
「板場さんの歌だね」
「それに雪音の歌もだな…」
「…この世界で歌ってるか分かんねえだろうが」
響の記憶通り、向こうの世界の響と未来は学院堂で開催されてるコンサートを見に来た。
丁度、其処で向こうの世界の板場弓美と創世と詩織がコスプレをして歌う。
「懐かしい~」
「…何で変な格好をしてるの?」
「あれはコスプレって言いうデ~ス」
「…私、この歌好きかも…」
響たちが懐かしがっているが、途中で終了し悔しがる弓美に翼が「此処も同じなのか」と思いつつクリスが壇上に上がる。
響たちが期待する中、クリスは顔を赤くして周囲の反応を気にする。
クリスの歌もまた、自分たちの世界で聞いた物で響や未来は温かい目で見入り、並行世界のシンフォギア装者も「良い歌だな」と聞き入る。
アナザークリスも途中から顔を赤くなったが…。
クリスが歌い切ると見ていた響たちも拍手し、クリスの顔がもっと赤くなった。
「いやぁ…雪音の歌は何時聞いても良いな」
「シンフォギアの時だけじゃなくてこの時の歌も良いですね!」
「初めて聞くけど良い歌ね」
「俺も初めて、この歌を聞いたが良い物だ」
「あっ、クリスが顔を赤くしてる」
「………うるへー」
褒められる事に慣れてないのか、皆から褒められると並行世界の自分とは言え恥ずかしくなるクリス。
映像では、次に飛び入り参加する者を呼び込む司会役の女生徒。
すると、二人の少女が飛び入り参加しマリアが「あっ!」と言った。
「向こうの世界の月読調と暁切歌か」
「やっぱり、私たちの時と同じだね」
「へえ~…アタシと翼のツヴァイウィングの歌か、粋だな」
「二人とも上手いわね」
調と切歌のデュエットを楽しく聞く一同。
マリアはマリアでこの時の二人の様子に複雑な表情をしているが、歌を聞いてる内に表情も柔らかくなる。
そして、歌が終えるとクリスの時の様に盛り上がる。
周囲の反応にクリスの様に赤くなる調と手を振って周りにアピールする切歌。
それを呆れた様子で見るアナザー調と苦笑いを浮かべるアナザー切歌。
響としても、このまま自分たちの様に二人と会話して終わるかと思った時だった。
突如、コートを着込んだ者が乱入し制止する司会の女性を殴り壇上に上がったのだ。
「何だこりゃ?」
「アナタたちの時も同じ事が?」
「知らない、私たちは直ぐに調ちゃんと切歌ちゃんを追ったから…」
「私は会場に残ってたけどこんな人居なかった」
調と切歌を追っていた響たちを見送った未来がそう証言する。
なら、コイツの正体はと考えた時、映像のコートを着た者は自身のコートを脱ぎ捨てる。
「! やはり怪人か!?」
「ショッカーが秋桜祭に紛れ込んだか!」
「見た目からして亀のようだけど!」
「亀野郎が腕を前にして指が光った!?」
「…学院堂の中に妙な光が…まるでオーロラみたいだ」
「…綺麗と思えないのが不思議ね」
「? 光を見た人たちが苦しんでる!?」
「響たちがカメの怪人を追っていった!」
「クリスが珍しく、まごまごしてるわね」
「皆が楽しんでる秋桜祭を…許せない!」
カメの怪人が出したオーロラを見た人々が突然光を感じなくなったばかりか、次々と痛みを訴え、その間に移動を開始したカメの怪人を響たちは追う。
そして、追い付いた響たちの目の前にはカメの怪人以外にも黒いマントを羽織った白いタキシードを着た不気味な老人に会う。
「あれが…」
「…死神…博士…」
「映像越しなのに、不気味な空気が此処まで漂ってくるなんて…」
「殺人…オーロラ…光線?」
「それが、あの光の正体…」
「「「『殺人オーロラ光線を見た者は先ず目が見えなくなり、そこから腐って最後に全身が溶けて死ぬ』!?」」」
「なんですか、それは!?」
「最早、呪いの類じゃない!」
「ショッカーの科学力はそんな事まで出来るのか!?」
「…このままだと、あの光を見た人達が皆死んじゃう!」
死神博士が主導した恐るべき計画。
平行世界の響たち諸共、講堂に来ていた生徒に一般人の虐殺が目的だと知った響たちは死神博士の冷酷さを恐れつつ倒すべき敵だと思った。
現に、映像の響たちも死神博士と戦う気でいる。
「死神博士…放置するには危険すぎるわね」
「! 不味い、怪人が正体を現した所為で周りに居た生徒や入場者が集まって来てる!」
「それだけじゃないわ、風鳴翼という有名人も居る所為で何かの撮影だろと誤解している」
「これだと、翼さんがシンフォギアを纏えない」
「死神博士もそれが分かっていて翼を挑発してるな!」
「コイツ等こそ身を隠さなくて良いのかよ? 秘密結社なんだろ!」
「いえ…さっき死神博士が「ある作戦で、もう直ぐ隠れて行動する必要がなくなる」って言ったわ」
死神博士の言葉をそのまま信用するのは危険だが、確かに引っかかる。
響たちも、死神博士の言う作戦が何なのか考える。
「まさか…フロンティア?」
その時、ふとマリアが呟く。
遥か昔、カストディアンが使ったとされる星間航空船。
マリアたちは愚か、響たちもフロンティアの事を知っており、あれがショッカーの手に落ちる等考えたくはない。しかし…
「確かにショッカーが狙いそうね」
「アレを手に入れれば、隠れる必要もない。か」
「ショッカーが手に入れれば間違いなく要塞化して使うな」
「ウェル博士がショッカーと何処まで関わってるかは分からないけど…」
自分たちの時だって、フロンティアでの戦いは苦労したのだ。
もし、ウェル博士がショッカーにフロンティアを渡しでもすれば目も当てられない。
ただでさえ、マリアたちとフロンティアで戦ったのだ。ショッカーがフロンティアを手にし其処で戦うなど響たちも想像できない。
そう言ってる内に、何時の間にか人が消えた学院で翼たちがシンフォギアを纏い戦闘が始まる。
それを、ノートパソコンを起動させ観察する死神博士。
「おい、今…死神博士がユニコルノスを聖遺物怪人2号って言ったか?」
「…言った、それも立花のデータを参考にした、とかも」
「ユニコルノスって何の怪人だ?」
「ショッカーは動植物の能力を与えて怪人を作るから見た目である程度は分かるのよね」
「カメストーンはそのまま亀の怪人だろうけど、ユニコルノスは何の怪人だろ?」
「白い角に一つ目…生物なのかしら?」
「白い角に一つ目…ユニコルノス…ユニコ…ルノス…ユニコ…まさか、ユニコルン!!??」
その時、ユニコルノスの正体に気付いたエルフナインは珍しく大声を出した。
いきなりの事で響たちも源十郎もビクッと反応してしまう。
「あの…エルフナインちゃん…何か分かったの?」
「はい! ユニコルンです!」
「ユニ…?」
「ユニコーンじゃねえのか?」
ユニコルノスの元となった物の正体を話すエルフナインだが響たちにはチンプンカンプンだ。
それどころか、仕事柄多くの情報を掴む緒川や平行世界の子供マリアやアナザー調すら聞いたことが無い。
「知らないのも仕方ないです。 嘗てカストディアンが造ったという生物、理由は知らないですが民間にはユニコーンとして伝えられたという事です」
ユニコルン。
それは知る人ぞ知る伝説の生物である。
カストディアンが何の為に造ったのかは、不明だが一説では生物兵器ではとも言われ一部の錬金術師や終わりの名を持つ者位しか知られていないと言われている。
某人形は聞かれると黙秘権を使うそうだ。
「…そんな物をショッカーが?」
「一体どうやって入手を…やはり結社?」
「待って、戦闘が始まったわ!」
ユニコルンをどうやってショッカーが手に入れたのか考えてるとマリアが戦闘が始まったと言う。
その声に、皆がまた映像に集中すると響とユニコルノス、翼とクリスがカメストーンと戦闘に入る。
「あの亀、背中の甲羅を取り外せるのか!?」
「どんなカメデス!?」
「其処は、ショッカーの改造手術の所為だろうが…」
「…雪音の動きが悪いな」
「運動音痴で悪かったな」
「いや…普段の雪音より動きが悪い…!」
「クリスが明後日の方向に銃口を向けた? まさか!?」
「雪音はカメストーンの殺人オーロラ光線を見たんだ!」
「…マジかよ」
翼の言葉に、自身が目から腐り全身が溶けて死ぬのを思わず想像し身震いするクリス。
目が見えないという事は、当然敵の姿が見えないという事だ。
クリスの戦力は半減したも同然と言える。
しかし、その過程で翼も片目が見えない事が判明し、響たちに嫌な汗が流れる。
そして、次にユニコルノスと戦う響の姿が映る。
「ユニコルノスは、肉弾戦か」
「拳の戦いで響が押されてる?」
「…動きが完全に読まれてる、響の戦闘データを徹底的に解析でもしたのかしら?」
「! ユニコルノスが口から何か噴き出した!」
「汚ねえ!」
「バッチいデス!」
「ユニコルノスの飛沫が付いた木が石になった!?」
「これユニコーンじゃなくてメデューサだろ!」
「あの怪人が言うには化石だそうだ」
「物体を化石にする能力?」
「ユニコーンにそんな能力あったっけ?」
響たちがユニコーンって一体…と考えてると、またもや映像が切り替わる。
次に映ったのは、少し離れた場所で怪人と戦う響たちを見ていた調と切歌だ。
「あの子たち…イライラしてるわね」
「よっぽどショッカーのやり方が気に入らねえんだろ」
「二人とも結構優しいからね」
「あっ、調が飛び出したデス!」
「切ちゃんも続いた」
「二人ともシンフォギアを纏ったわ」
「調が響に切歌が翼とクリスの援護に入った!」
「調の大きな丸鋸が化石になったデース!」
「でも直ぐに切り離して調には影響はないわ」
調と切歌が響たちの味方をし、共にショッカーの怪人と戦う。
しかし、動きのキレが悪い事に気付く。
「…随分と動きが悪いな…」
「そうか、LiNKERだ」
「切歌の方は何とか数で補てるけど…」
「調は響さんに庇ってもらってるデス」
「こんな時、適合値の低さが恨めしいな…」
「あっ、切歌ちゃんがカメストーンの視界を塞いだ!」
「カメストーンのヤツ、視界を塞がれて右往左往してやがる」
「…あの位置、切ちゃんの膨らみかけの場所が…カメ、許すまじ」
「今、そんな事を言ってる場合?」
「! 翼さんが上からカメストーンの背中を刺した!」
「そういや、途中でカメストーンは背中の甲羅を外してたな!」
「先輩はその隙を狙ったんだな」
「…でも、突き刺されてもまだ倒れない。それどころか、顔面の切歌を引き離しつつ突き刺さった翼の剣を引き抜こうとしてるわ」
「翼の剣が貫通してるのにか!?」
「とんでもない生命力だな」
「不味い! 暁の頭が掴まれた!」
「そのまま握り潰す気か!」
映像では、引き離すことを止めたカメストーンが切歌の掴み、切歌の短い悲鳴が上がる。
切歌の頭を握り潰し視界を確保しようとしたのだ。
その様子はカメストーンの背中に剣を突き立てる翼も気付き、切歌の心配をしつつ剣を突き立てる力を更に上げる翼。
そして、剣が背中から腹に貫通したカメストーンは断末魔を上げると翼が合図を送る。
待ってましたとばかりに草むらに隠れていたクリスがアームドギアをガトリングに変え腰部からは小型ミサイルのポッドが出ている。
「おっ、最後はアタシか!」
「でもクリスちゃんは目が見えないんじゃ!?」
「…いや…翼の剣でカメストーンが上げた断末魔を目印にすれば方向は問題無いだろう」
「翼と切歌がカメストーンから離れたわ!」
「クリスの一斉発射がカメストーンに直撃した!」
「どうだ!?」
「…煙からはカメストーンの姿が見えない、倒したようだな」
「カメストーンを倒して翼さんとクリスちゃんの目が治った!」
映像では視界の戻った翼とクリスがガッツポーズを取り、座り込んでいた切歌もホッとする。
その時、カメストーンが倒された事で動揺したユニコルノスに響が隙ありとばかりに拳を叩き込む。
「響も反撃に出た!」
「腕のジャッキを目一杯引っ張った立花の拳が直撃したぞ!」
「…倒せたの?」
「いや…映像の響くんが警戒している。恐らくは…」
「ユニコルノスが立ち上がった!?」
「…っとはいえ随分とダメージは受けてわ。…殺意も高くなってるけど」
「あんな奴、あの世界のアタシと先輩が揃えば…」
「死神博士が止めた?」
「カメストーンが敗れて尻に火が付いたのか?」
「空から、蝙蝠男とドクガンダーが!」
「増援?」
「違う、死神博士とユニコルノスの回収が目的のようだ」
「…去り際に戦闘員を配置していったわ」
「兎に角、これで戦闘も終わったな…」
源十郎の言う通り、死神博士には逃げられたが残った戦闘員を倒し戦闘は終了した。
その後、ショッカーを裏切った調と切歌がマリアたちと合流しに戻ったり未来から講堂の人達の目が治った事を教えられホッとする。
しかし、戦いの場となった周辺は酷い有様で幾つもの出店が文字通り潰れ一部の生徒が嘆いてる姿を見て申し訳なさそぅにしてる響。
「一般人にはノイズの所為だという事になってるのか?」
「みたいだけど…随分とまあ…」
「私たちの時はこんな事無かったのに…」
「…泣いている子たち…私たちが巻き込んで…」
「相手はショッカーだ、気にしてる余裕なんて無いだろう」
「そうだな…だから立花、責任を感じる必要はない…お前まで思い詰めるな」
「響…」
映像を見ていた響が画面の響同様、自己責任を感じている事を見抜いた翼が響に助言し響の片手を握って名前を呼ぶ未来。
平行世界の自分は自分ではない。
今までも、この場に居るシンフォギア装者以外の並行世界の人物と会ったことのある響だが、やはり他人事とは思えないし思いたくもない。
向こうの世界の響の逆鱗には触れてしまったが、許されるのなら向こうの世界の響とも手を繋ぎたいと考えてる。
そうしてる内に、映像は続き学院から本部の指令室に移る。
其処では、翼やクリスからの報告や被害状況の報告まで入る。
その世界の源十郎が翼たちとやり取りしてると、向こうの世界のオペレーターである藤尭朔也が強制通信を報告する。
「藤尭…」
「………」
「…こんな時に強制って事は」
「ええ、奴等ね」
源十郎は、今はもう亡き部下の名字を呼び緒川は沈黙している。
そして、前の世界で似た体験をしたマリアとクリスは強制通信をして来た者の正体に気付く。
向こうの世界の指令室のモニターに映ったのは死神博士だ。
「やっぱり」
「わざわざ特異災害の本部に通信だなんてね」
「それだけ、奴等には自信があるんだろう。特異災害に負けない自信が」
「それで? ショッカーの大幹部が何の様だ?」
「! 調と切歌を処刑!?」
「わざわざ、処刑場所まで教えるなんてね…」
「間違いなく罠だな」
「でも…放置も出来ない」
映像を見る響たちは、直ぐに死神博士の狙い気付く。
響たちを呼び出し襲撃する。シンプルであるが効果のある作戦ではある。
それに、
「…元学院跡地か」
「あの時は調ちゃんたちと決闘の話だったのに…」
「これも偶然か?」
偶然か必然か、奇しくも死神博士の示した場所は自分たちもウェル博士と戦った学院のあった破壊されたカ・ディンギルのあった場所。
特別指定封鎖区域の旧リディアン音楽院だった場所だ。
そして、あまりにも自分たちの世界で起きた事件が酷似してる事を気にする翼。
映像には、死神博士の指定した場所に向かう響たちの姿がある。
その姿は、嘗ての自分たちを想起させる。唯一違うのは
「オッサンがアタシを担いでるな…」
「クリスちゃん、体力無いから…」
「…あの時は、私たちだけだったな」
「敵はノイズだけじゃなくショッカー戦闘員や怪人だからな、俺が同じ状態だったらお前たちにだけ任せんよ」
「おっ、さすがダンナ」
響たちが話してる内に、画面の響たちは目的の場所に到着する。
其処には、通信を送った本人である死神博士とウェル博士の二人が居た。
「ウェルの野郎も居やがるか」
「…調ちゃんも切歌ちゃんの姿が何処にも居ないね」
「向こうの立花と雪音が二人の事を聞いたぞ」
「…やはり罠か」
「利用価値? 嫌な予感しかしないわね」
「ウェル博士が自分たちの目的を言ったわ。 …でも」
「…人類救済? こっちの世界のウェル以上に噓くさいわね」
ウェル博士や死神博士の語る目的に懐疑的な目をする響たち。
画面に映る響たちも当然信用せずに居る。
それでも、大筋は嘗て自分たちもウェル博士に聞いた内容のままと言えた。
つまり、このままでは月が地球に落ちて来るが気付いてる権力者が民衆に話す訳もなく、なら代わりに自分たちが何とかしようと言ったとこだ。
正直に言えば、映像に映る並行世界の響たちは愚か、映像で見る響たちすら信用しない。
寧ろ、ウェル博士が一人で喋っていた頃より信じられない。
映像でも響たちと話すのに飽きたのか死神博士が多数の戦闘員とノイズを出現させる。
そのまま、戦闘が始まろうとしたが向こうの世界の響が最後の質問と死神博士に言う。
「…最後の質問?」
「…コイツ…」
「『自分だけを襲えば』って…」
「秋桜祭の事を気にしてるのか」
「響…」
「………」
「! 死神博士め!」
「何が『ショッカーから逃げた』所為よ!それこそ責任を押し付けて!!」
「…? 何だ、立花の様子がおかしいぞ!」
死神博士の声を聞く向こうの世界の響。
その響の様子がおかしくなってる事に気付く翼。
「…目に力が入ってない?」
「まさか、ノーブルレッドが使った刻印か!?」
「…違う、死神博士が喋ると共に響くんに催眠術をかけている」
「「「「「催眠術!?」」」」」
「振り子とか持って無さそうだけど…」
「プロの催眠術師となれば、道具を使わずとも目線を合わせるだけで相手を催眠状態にして操れる。 そう前見た映画でやっていた」
「…映画かよ!」
「どうやら当たらずとも遠からずのようだ、向こうの私が立花を正気に戻した」
翼が指摘する通り、映像には目から光が消えた向こうの響の頬を向こうの翼が叩き正気に戻させる。
催眠が解けた事で舌打ちをする死神博士だが、すぐに切り替え用意していた戦闘員とノイズを響たちに襲わせる。
「戦闘員とノイズが同時に来たか」
「今更、こんな奴等に負けるかよ!」
「そうね、次々と倒してもう半分を切るわ」
「ん? 死神博士が怪人を呼び出したぞ」
「怪人はさっきのユニコルノスと…」
「もう一つ向こうの翼が倒したサイギャングね。…もう一体は…」
「死神博士が『ザンジオー』と呼んでたデス」
「一体何の怪人だ?」
そうしてる内に、新たに現れた怪人たちが響たちと戦闘に入る。
先ず、向こうの翼とクリスにはザンジオーが挨拶代わりに二人に火炎を吐く。
何とか避ける二人だが、ザンジオーと翼たちの間に居たノイズが火炎に飲み込まれ燃え尽きる。
「あのノイズが火で消滅?」
「どんな火力デスか!?」
「ノイズの位相差障壁が全く意味をなしてない…」
「日本アルプスに住む人食いサンショウウオ!?」
「向こうの日本、魔境過ぎだろ」
「エリート怪人?」
源十郎の方は、サイギャングが相手をし肉弾戦をするが拳も蹴りも大して通じない。
それどころか殴った手や足に痛みを感じている源十郎の姿に響たちも驚いた。
「オッサンの拳がまるで効いてない!?」
「あの世界の指令って、こっちの指令と同じジャンルの映画好きよね!?」
「…ああ、前に聞いた時そう言っていた」
「あのサイの怪人、どんだけ固いのよ!」
「…って、コイツも火炎を噴くの?」
そして、向こうの響の方はリベンジとばかりにユニコルノスが再戦する。
学院の時とは違い、ユニコルノスは新たに鉄の棒を持ち、響を攻撃する。
響の拳とユニコルノスの鉄の棒がぶつかり火花を上げる。
「今度は武器を持って戦うか」
「ひ、卑怯デス!」
「…とは言え、学院の時よりユニコルノスの動きに対応できているな」
「少しずつだが、響の拳の反撃も十分に出来てるぞ」
「これならユニコルノスにだって負けない」
「! 待って、ウェル博士が動き出した」
「確かあの時は…ネフィリムか!」
「今回も地面から飛び出しやがって!」
「ユニコルノスの背後に来たわね、二体で攻める…え?」
映像を見ていた子供マリアが思わず絶句する。
子供マリアだけではない、アナザー調やアナザー翼にセレナといった並行世界のシンフォギア装者は愚か、S・O・N・Gの響たちすら一瞬何が起こったのか分からなかった。
「な…な…なに?」
「事故?」
「…ネフィリムの暴走?」
「いや…死神博士の表情を見る限りトラブルじゃないぞ…死神博士が何か言ってる?」
「……!」
「! ネフィリムのエサはユニコルノス!?」
「味方じゃなかったのかよ!?」
「ウェルも混乱してる?」
死神博士の予想外の言葉に響たちは再び絶句する。
今まで、多くの並行世界の組織とも戦ってきたが、仮にも自分の部下をこうまで虐げる存在を響たちは知らない。
自然と、響は自身の拳を握りしめる。
「こんなアッサリ捨てるなんて…ショッカー、血の掟?」
「何それ!?」
「どうせ碌なもんじゃねえよ…」
「向こうの響が知ってる?」
「…敗者には死あるのみ!?」
「本当に禄でもねえ!」
「…だからって…こんなの…」
「響?」
その後は、抵抗すら許されないユニコルノスの断末魔が画面から響き渡る。
少しずつ食われる姿にシンフォギア装者は愚か、源十郎すら吐き気を覚える。
仲間である、他の怪人に助けを求めるも無視され敵対している向こうの響たちに助けを求める姿に呆然と見る響たちに嫌な汗が流れる。
「あの時の博士も道を踏み外してるって思ってたデスけど…」
「博士なんかとは比べ物にならない…これが本物の邪悪」
「ウェルの方も顔が引いてるわね」
「仲間すらどうでも良さそうだな」
「…
敵とは言え、ユニコルノスの断末魔を聞く響たちも良い気分とは到底言えない。
とは言え、映像で見るしかない響たちには何も出来ずユニコルノスの体はネフィリムに食い尽くされた。
直後、ユニコルノスを食い尽くしたネフィリムの体は、膨張し赤い光もより禍々しくなる。
「ネフィリムが!?」
「立花の腕を喰らった時以上に大きくなってる!?」
「響くんの時以上に喰らいでがあったって事だろう」
「あっ、響が死神博士に訴えてる」
「…この期に及んでも甘い事を言うわね」
「姉さん!」
「…部下の怪人を使い捨てにして…」
「アイツの言葉を下らない扱いか…」
「リサイクル…」
「死神博士…名前と見た目通り冷酷な爺さんね」
「ショッカーの大幹部なだけはあるわ」
「死神博士は立花を…」
「そう言えば、さっきそう言ってたけど」
「…何だ、響の体が黒く染まってる?」
「これって暴走…」
「あの時も立花は暴走したが、それは片腕を食いちぎられたからで…」
「自信を改造人間にした張本人が目の前に居るんだ、冷静ではいられんよ」
「…それとたぶん、向こうの私は味方に見捨てられたユニコルノスに同情したのかも…」
響のシンフォギアが黒くなった事に気付く死神博士だが、丁度いいとばかりに戦闘員とノイズに響を襲わせる。
数では圧倒的に不利であったが、暴走した響は次々と戦闘員もノイズも倒していく。
尤も、動きは人間と言うより動物的といえ四つん這いになったり腕のツメで切り裂いたり引き千切ったりする。
その様子は映像で見る響たちすら引く物だった。
ならばと、死神博士はサイギャングとザンジオーも相手にさせる。
「…豪快に戦うわね」
「一応、敵味方の区別は出来てるようね」
「あの時よりヒデェーじゃねえか」
「改造人間にされた力も合わさってるようだ」
「腕を槍みたいに変形させてサイギャングを倒した」
「ザンジオーも響の腕が貫通したぞ」
サイギャングとザンジオーの二体の怪人が敗れたが、入手したデータに満足したのか不気味な笑みを浮かべる死神博士。
その時、ネフィリムが響に反応し丁度いいとばかりに死神博士はネフィリムに響と戦うよう指示を出す。
死神博士の指示に慌てるウェル博士。
そして、ボコボコにされるネフィリムと絶叫するウェル博士。
「…ネフィリムの強さは変わってはいないわね」
「寧ろ、強くなった響にボコられてるわ」
「博士の顔芸がすげーデス」
「ネフィリムの心臓を取り出して捨てたぞ」
思わず、ネフィリムに同情してしまう程、響にボコボコにされる。
遂には、赤く点滅するネフィリムの心臓も取り出され、ネフィリムを完全に倒してしまう。
直後に、暴走した響の視線は死神博士とウェルを捕らえる。
情けない悲鳴を上げるウェル博士に対し、死神博士は堂々と佇む。
「…あの姿の立花を前にして立ちはだかるか」
「流石は大幹部ね」
「…博士が情けないだけ」
「デース」
「今回はアタシと先輩だけじゃなくオッサンも止めたか」
「死神博士が居るとはいえ、見てられんのだろう」
「…元に戻ったわ」
「死神博士が茶々を入れた」
「…立花響にシンフォギアを纏わせ続ければ死ぬ? 如何いう意味?」
「「………」」
「…死神博士は知っているのか」
奏を始めとした並行世界のシンフォギア装者にはチンプンカンプンと言えたが、何となく察してる物も居る。
アナザー調と大人セレナだ。
そして、映像の死神博士が高笑いしてウェル博士と共に姿を消し、響たちの勝利は決定した。
しかし、映像にはストレッチャーに乗せられた響が医務室に担ぎ込まれ、響の心臓付近を撮ったレントゲンも少し映し出される。
回復した響がリディアン音楽院で翼とクリスに謝罪し、暫く戦うなと説得され響も渋々頷く。
「あっちの私もこうなったか」
「雪音の態度からして、恐らく事情も知ってるんだろう」
「…みたいだな」
「それにしても、クリスちゃん可愛い♬」
「…お前、一発殴らせろ」
「仲いいな、お前ら」
響とクリスがじゃれる中、映像は旧学院の跡地に戻る。
其処には、何かを探すショッカー戦闘員たちと指示を送るウェル博士の姿が映る。
「…アイツ等、まだあんなとこに居たのかよ」
「死神博士は奥に居るわ」
「何か探してるようだが…」
「あれは!」
「ネフィリムの心臓…」
「「「!?」」」
マリアの言葉に響たちがハッとマリアの顔を見る。
映像には、響がネフィリムから引っこ抜いた赤く点滅する石の様な物を戦闘員が発見しウェル博士に渡される。
その赤く光る石こそネフィリムの心臓だったのだ。
知っていれば、クリスは無理してでも撃ち抜き、翼なら連続蒼ノ一閃で粉々にしていた物を。
「…だから、あの時ウェル博士はあそこに居たんだ」
響がそう呟いた。
この時、響は何故街中でウェル博士が護衛も付けずに単独行動をしていたのか分かった。
映像がまた切り替わり、今度は響と未来、そしてクラスメイトの創世達が会話をしつつ階段を下りていた。
会話の内容は、よく行く「ふらわー」の話だったり響の予定が空いた事で暇になった事で未来が一緒に遊びに行こうと誘う。
そして階段を降り切った所で目の前の道路を黒い車が猛スピードで過ぎ去った。
「あの車…」
「特異災害の車だ」
「あの時は…」
「! 車が向かった先で爆発が!」
「響さんが向かったデース!」
「…やっぱり、死神博士とウェルが」
映像には、特異災害の職員が向かった先に急いだ向こうの響に待っていたのは大事に何かを抱えたウェル博士とソロモンの杖を持つ死神博士だった。
響の姿を確認した死神博士だが、もう響に利用価値は無いと判断してノイズを出し抹殺を図る。
しかし、響は迫りくるノイズを殴り飛ばしてシンフォギアを纏った。
「おお、また戦闘員とノイズが叩きのめされてるな」
「…でも、大丈夫なの? これ以上シンフォギアを纏うのは…」
「少しずつだが、立花の動きも鈍くなっている」
「! ここに来て怪人かよ!?」
「大きな赤い目…」
「アンデスに住みデンキナマズのナマズギラー!?」
「デンキナマズの怪人!?」
映像では、ナマズギラーの鞭が向こうの響を襲う。
その時、響が避けた鞭が路上駐車していた車に当たると爆発炎上する。
「10万ボルトの電流だぁ!?」
「シンフォギアといえど、それだけの電流は危険です!」
「向こうの私もなんとか避けてるけど…」
「…死神博士が車の破壊を命令した!?」
「! 待てよ、その車の陰に未来達が隠れているぞ!」
「避難してないの!」
「…出来なかったようだな、死神博士が小日向くんたちの監視もしていたようだ」
「逃がす気はないって事か!」
「! 響が向こうの私たちを守る為に盾になって…!」
「クッ…響くんの性格をよく知っている」
「こんな時に向こうのアタシ等は如何したんだよ!?」
「…あの時と同じ状況なら、私たちが到着するまでもう少し掛かる」
「不味い、立花響の首に鞭か絡まった!」
子供マリアの言う通り、ナマズギラーの鞭が響の首に絡みつくと夥しい電流が響を襲う。
悲鳴を上げる響とヒビキの名を必死に呼ぶ未来。
目を覆いたいほどの向こうの響の姿に歯噛みし拳に力が入る。
更には、ナマズギラーや死神博士が残虐な計画を考えている。
当然、そんな事を響が許す筈がない。
響が歌い始め、首に絡まるナマズギラーの鞭を逆に引っ張りがえす。
「鞭を引っ張ってる!?」
「怪人が力負けして響の方に怪人ごと引っ張られた!?」
「その怪人を殴り飛ばして上に持って行ったぞ!」
「響くんも怪人を追って飛び上がった!」
「いけぇ!! もう一人の私!!」
響の腕はナマズギラーに到達する。
響の拳は完全にナマズギラーの胴体に突き刺さり、響の腕の中心からヒビが入っていきやがて爆発四散した。
爆煙の中、響が着地する。
「よっしゃー!」
「ナマズギラーを倒したデス!」
「しかし…」
「未だに体から煙が出ている?」
「ナマズギラーの電撃の影響だと思うけど…」
「死神博士が喋った…寿命を縮めた!?」
死神博士の発言に背筋から汗が流れる響たち。
映像では、戦闘の影響かフラつく響だが死神博士に向かってブーストを吹かし拳を突き出す。
そのまま、死神博士に拳が命中するかと思われた時、黒い物が響の拳に当たる。
「盾?」
「違う、調ちゃんの鋸だ」
「…っと言う事はチビたちも来たのか」
「「………」」
「…目的の為とはいえ、こんな外道を守らなきゃいけないなんてね」
「! 響が膝をついた! 随分と辛そうだ」
「このままでは逃げられるな…何、絶唱だと!?」
向こうの響の様子では、そのまま死神博士たちが撤退するかと思ったが何を思ったのか死神博士が調と切歌に絶唱を使えと言う。
当然反発する二人だが、死神博士が命令と言い取り付く島もない。
その時、ウェル博士が二人の手に緑色の液体の入った注射器を渡した。
「あれは…LiNKER?」
「ウェル博士がそのまま渡した」
「私たちの時は不意打ちで打ってきたデス」
「…どうやら、ウェル博士はあのLiNKERを使ってでも絶唱を使わせる気か?」
「…当然、あの娘たちも乗り気にはなれないわね。 …死神博士が何か渡した?」
「SHOCKER…だと…」
「自己顕示の塊…と言えばそれまでだが…」
「LiNKERの数十倍…」
「その分負荷も過ごそうね」
「…ウェル博士が断った?」
「マリアの事で暁に殴られた?」
「…本人も見積もりが甘かったって言ってるな」
映像では、殴られたウェル博士が血を拭い二人に話し続ける。
このままでは、マリアの身も危ういと言われ二人は絶唱を歌う事に納得しお互いの首筋にLiNKERを打ち込む。
そして、二人が絶唱を歌うと響の眼の色も変わった。
響は、調と切歌に絶唱を歌うのを止めるよう言うが、敵対している響の言葉を無視する二人。
ならばと、響も二人に続き絶唱を歌う。
「この時の立花響は、よく絶唱を歌ったわね」
「映像のままでないにしろ、この時の立花くんも相当に疲弊していたんだがな」
「…二人が絶唱を歌った時に、奏さん…ああ、この世界の奏さんを思い出しちゃって…」
「………」
「あの時、奏さんが命を賭けて絶唱を歌った時の姿を二人に重ねて、思わず」
「あの時は助かったデス」
「…LiNKERを打ってたとはいえ、オーバードーズになる可能性もあった」
「…映像の二人の絶唱のエネルギーも立花響が纏めて撃ちだした」
「! 響の腕が爆発した!」
「それどころか、体中から火花が上がってるぞ!」
響が調と切歌の絶唱のエネルギーを上空に向かって打ちだし宇宙に放出された。
その後の、響の体に異常が起こった事に誰もが目を疑う。
元々、こっちの世界の響も聖遺物ガングニールと融合しつつあったことで不調ではあったが、腕が爆発するなど起こらず、ましてや体中に火花が散るなどある訳が無かった。
しかし、現に映像に映る響の姿は嘗てのこっちの響に比べ明らかに重症と言えた。
「…どうして、響の体が…」
「こっちと向こうの立花響の違いは、ショッカーに体を改造された点ね」
「改造手術された立花の体はこれまで以上の負荷がかかってるのか!?」
「! 死神博士が響さんに近づいた」
「嘲笑いにでも来たのかよ!」
「…違うぞ、翼。 死神博士は響さんにショッカーに戻るよう言ってる」
「さっきのハーモニクスを見て興味が湧いたようですね」
「そんな言葉、私が聞くもんか!」
響の言うように、映像の響は死神博士の甘言を拒否する。
一瞬の躊躇いのない姿に子供マリアもアナザー翼も響を見直す。
しかし、響が断る事は想定済みだった死神博士は、響を見下し唇の端を吊り上げる。
「死神博士…不気味な老人だけど、あのニヤつきで更に不気味ね」
「一体何を考えて…誰の悲鳴だ!?」
「未来!?」
「私と安藤さんたちが戦闘員に囚われた!?」
「人質か」
「…確かに響に尤も有効な手だ」
「…外道ね」
「今更ね…」
「助けるか見捨てるかってアイツに選ばせれ気かよ!」
「…今の立花なら無理矢理にでも連れていく事も出来るというに」
「響くんの心を折りに来たか!」
向こうの響は既に虫の息に対し、死神博士は不気味な笑みを浮かべ未来達を捕らえた戦闘員を見せる。
そして、響にとって最悪の二択をつきつける。
選べるわけもない響は「戻る」と言うが、死神博士は聞こえんと言い、響の口から「戻らせて下さい」と言わせ高笑いする。
「悪趣味な!」
「博士も引いてるデース」
「邪悪すぎる」
「死神博士が新しい怪人を呼び出した!」
「一体何のために…響の熱を冷ました!」
「映像からでも、かなりの熱が出ていただが…立花の体が凍り付いている」
「怪人が向こうの私の体を担いだ…って、あれ?」
「ひ…響が浚われた!?」
「「………アッ!?」」
未来の言葉に映像に夢中になっていた翼とクリスも、やっと向こうの響がショッカーに再び拉致されていたことに気付く。
これには、並行世界のシンフォギア装者たちどころから響たちすらビックリだ。
本来なら、浚われるのは別の人物だった。
「確か、この時は未来がマリアたちに連れてかれたんじゃ…」
「いや、小日向がマリアに保護されるのはもう少し先だった筈だ」
「…ちょっと待って、っという事はこのままいくと立花響と小日向未来の二人はショッカーの下に?」
このまま、未来がこっちの世界通りマリアに保護され連れてかれるかは、分からないが並行世界では何が起こるかは分からない。
響たちが軽いパニックになってるが映像は続く。
映像では連れ去った響を確認した後、死神博士が未来達を捕らえていた戦闘員に始末するよう言う。
抗議する調と切歌だが、最初から響との約束など守る気も無い死神博士。
翼とクリスが近づきつつある事を聞いた死神博士はさっさとエアキャリアに乗り、調と切歌も渋々ウェル博士を連れ戻る。
死神博士の命令通り未来達を始末しようとする戦闘員だが、響が浚われた事で怒りが爆発した未来の反撃にあう。
戦闘員から解放された一同に翼とクリスがやっと到着するが、響のことを聞いたクリスは悔しそうにした。
「…まさか立花が浚われるとはな…」
「その言い方だと、こっちの世界の響さんが浚われた事は?」
「無いな…勝手に出撃する事は偶にあるが」
「気になるのは、立花響を浚ったショッカーの目的だけど…あら? 次の映像は私たちのエアキャリアのようね」
「次はショッカー側の視点か」
「何でも良いけど、あっちの世界のエアキャリアって小さいわね」
「…お前たちのと比べられてもな…」
「…待て、薄暗いがベッドらしき物に響くんが寝て…なっ!?」
次に映った映像は、エアキャリア内にある医務室だった。
その傍らには死神博士とウェル博士が立っており、目の前のベッド…というより台の上に響が乗せられている。
響の体は申し訳程度のシーツしかなく、服を完全に剥ぎ取られていた。
そして、死神博士は一本のメスを取り出しと響の体に差し込み皮膚を切り裂く。
鮮血が漏れる中、死神博士は手慣れた手つきで響の体を刻んで腕や足、首などを取り外す。
取り外した響の首を別の機器に取りつける姿にウェル博士の顔色も悪くなる。しかし、それを毛ほども気にしない死神博士は取り外した響の頭部から顔の皮膚、頭部の髪の毛を外してマネキンの様にする。
響の体から機械類が見えて居なければ猟奇殺人の現場にも見える。
その時、切り開いた響の人工筋肉が血のぬめりで光る。
「「「ウ…オエェ!」」」
流石の響たちも、この映像には耐えきれず何人ものシンフォギア装者たちが口元を押さえ出ていく。
行き先は恐らく、トイレあたりだろうと考える源十郎。
幸い、源十郎はスプラッター映画も嗜んでは居たので平気であり、緒川も仕事上流血の類は慣れている方だった。尤も、気分は最悪ではあったが。
その場に、残されたのは源十郎と緒川、それからアナザー調とアナザー切歌だけだった。
「君も無理をしない方が良いぞ」
「…私は科学者でもあるからある程度慣れてる」
「私もデース」
アナザー調も色々やって来たのだろう、響たちより血に慣れてはいたが、それでもあまり顔色が良いとは言えなかった。
正直、源十郎も少女が見るべき物ではないと思ったが後の祭りだ。
映像の方も、死神博士の響の解剖を見続けていたウェル博士がフラつきつつ口元を押さえ医務室を出る。
直後に向こうの世界の調たちが入り、台の上に居る響だった者を見て絶句し画面が切り替わる。
丁度響たちも吐くもの吐いて、やっと落ち着き戻ってくる。
その後、エアキャリアで向こうのマリアたちが色々言うが、それに反応する程響たちに余裕は無かった。
そして、場面はウェル博士がネフィリムの心臓をマリアたちに見せた所になる。
「…まだ…口の中が酸っぱい…」
「下手な…グロ系よりやばかった」
「それは…それとして…マリアのフィーネのフリ…」
「今見ると下手…デスね」
「…うるさい」
さっきの映像が余程ショックだったのか、響を始めとしたシンフォギア装者たちの疲労が目に見えている。
それでも、調と切歌が話題を変えようと喋りマリアもそれに反応する。
そして、向こうのマリアたちが話し合う中、ショッカー首領の声が響く。
「首領も本気だな」
「大幹部を二人も使ってるんだ、本気でフロンティアを取りにいってるんだろう」
「相も変わらず姿を見せないのも徹底してるわね」
「…また場面が変わったな」
「今度は森の中か? マリアとナスターシャ教授?」
「これって…」
天気がいい中、木漏れ日が刺す森の中、マリアがナスターシャ教授の乗る車椅子を押している。
遠くには戦闘員に監視されてる所為でお互い小声で話している。
内容は、マリアのフィーネのフリの話だった。そう、マリアの中にフィーネは居ない。
「…こうして見ると滑稽ね」
「そんな事無いデス、マリア」
「マリアは世界を救うために頑張っていた」
「…まあ、私たちも騙されたしな」
「あっ、ウェル博士が声を掛けて近づいてる」
「思いっきり聞かれてなかったか?」
「…聞いてたようだな」
「そのわりには、マムが慌ててない?」
「逆にマリアは慌ててるデース」
「ん? ウェル博士自身がマリアにフィーネを演じるよう言ってる?」
「…確かに、マリアがフィーネを名乗ってるからショッカーも協力してるのか」
「それが無かったら、ショッカーは間違いなくマリアだけじゃなく私と切ちゃんも改造して利用してくる」
「だが、ウェル博士はショッカーのやり方を知ってた筈だ。 一体、博士は何の目的で…」
「! ショッカーを表舞台に引きずり出して、死神博士を倒す?」
マリアやナスターシャ教授にウェル博士の本当の目的を話す。
ウェル博士の本当の目的はショッカーの存在を世間の目に晒し、先生でもあった死神博士の打倒だと言う。
一瞬の混乱が装者たちの間に走る。
マリアたちを事実上、ショッカーに売り渡したのはウェル博士といっていい。
ウェル博士は過去に死神博士の弟子的な立場に居り、その伝手で死神博士に連絡してマリア共々ショッカーに入ったのだと響たちは考えていた。
「信じられねえ…」
「あの英雄狂い、何考えてるデスか」
「…本人も信じて貰えなのを分かってるわね」
「懐から何か取り出したです!」
「携帯端末?」
「画面が人の写真みたいなのが出たぞ」
「あっ、画面隅に『携帯端末の内容』って書いてある。」
「ちょっと待て、俺の知ってる政治家までいるぞ!」
「この人たちが一体…ショッカーの協力者!?」
「博士はこれを探していた?」
ウェル博士が言うには、画面に映る人物たちはショッカーの協力者だという。
こっちの響たちには分からないが、政治家や官僚、研究者や軍人などといった人物たちのようだ。
ショッカーはこの人物たちを脅迫や賄賂、人質や洗脳で操っていると言う。
「…これだけの人間がショッカーに協力してるというのか」
「僕の記憶でも裏の世界で有名な人も居ますね」
「あれだけの大組織な訳ね」
「…あれで三分の一かよ」
ウェル博士が調べた情報も見た響たちも圧巻と言った感想だ。
何より、諜報を扱う緒川も無視できないような人物まで確認したのだ。
ウェル博士の目的も知り、ナスターシャ教授の言葉もあって向こうのマリアはもう少しフィーネを演じる事を決意する。
すると、場面はまた変わり向こうの翼とクリスの居る特異災害へと映像が移る。
その頃の特異災害対策起動部二課では、響を失った事で翼とクリスが源十郎に特訓していた。
「向こうでは、立花抜きでの特訓か」
「…あの馬鹿が居ないだけで、随分と空気が悪くなってるな」
「二人とも無茶をしてるようだな…向こうの俺では止められんか…」
仲間である響が浚われた事で特異災害内の空気も悪い。
そんな中、翼とクリスの無茶な訓練に付き合う源十郎の姿に響たちも少し悲しくなる。
そして、映像は等々スカイタワーに移る。
マリアとナスターシャ教授がスカイタワーの一室に入ると特異災害の職員ではない何人もの黒服たちがいる。
「マリア、この黒服たちが?」
「ええ、アメリカのエージェント達よ。 でも変ね、この時のマムは友人とか言ってない筈だけど…」
「…きっと、この世界だとマムが政府高官の友人に頼んだんじゃ?」
「優しい方のマムならありそうデース!」
「マリアさんたちはショッカーを裏切る決意が出来たんだ」
「あの英雄狂いの事が気になるけど、これでやっと反撃出来そう…え?」
「ナスターシャ教授が渡した情報チップを踏み潰した!?」
「まさか、あの時の様に謀られた!」
「…違う、あのエージェント達はマリアとナスターシャ教授を国家反逆罪で拘束する気だ!」
「命令も、ナスターシャ教授の古い友人のものだと?」
「一体何がどうなってる?」
向こうの世界のマリアとエージェント達の齟齬。
少なくとも、向こうの世界のアメリカのエージェント達が正義感があるのは理解したが、マリアたちの逮捕に納得のいかない響たち。
ナスターシャ教授の話してた内容の違いに画面の向こうのマリアたちも焦っている。
その時、ノイズが出現しアメリカのエージェント達とマリアを襲うと同時に映像が切り替わる。
新たに映し出された映像はスカイタワーを襲うノイズも見えるホテルの食堂であった。
食堂にはほぼ人影がなかったが、窓際の席に二人座っている。
「ウェル博士に…死神博士…」
「何故、この二人が…」
「まさか、ウェルが裏切った!?」
「やっぱりデスか!」
「…でも、博士が震えている?」
「…死神博士の言動からしても、二人の裏切りは予想されていたようだな」
「! ナスターシャ教授の友人も始末されて入れ替わってる!?」
「どんだけ手が広いんだよ、あいつ等!」
死神博士の策略にまんまと引っ掛かってしまったマリアとナスターシャ教授に響たちは何度目かの歯噛みする。
スカイタワー内の監視カメラの映像でマリアの奮闘を見るが、ナスターシャ教授は守りきれたがアメリカのエージェント達は全滅した。
だが、待機していたアメリカの別働隊が銃を持ってスカイタワー内に入りマリアと交戦する。
「完全に死神博士の掌の上だな…」
「マリアとアメリカの特殊部隊とノイズの三つ巴か」
「どっちが勝ってもショッカーにとって如何でもいいって所ね」
「…スカイタワーの入り口に怪人が居る」
「ダメ押しする気か!」
「カビと…蜘蛛の怪人か?」
死神博士の用意した怪人、カビビンガとドクモンドがスカイタワーに入ろうとした。
しかし、一体の戦闘員がぶちのめされ彼らの目前で緑色の液体になって消える。
「戦闘員が…って事は!」
「ああ、来たんだろうな」
「怪人や戦闘員たちが慌てて探してるデース!」
「…街灯の上」
「向こうの世界の翼と雪音クリスね」
「向こうのアタシ等と戦闘員が戦いだした」
「当初の苦戦が嘘の様に蹴散らしてるわね」
「それだけ、二人が強くなったんですよ。 戦闘員と一緒に怪人も動き出した」
「向こうの私の相手はカビの怪人か」
「触りたくねえ…」
「私も殴りたくない…」
「イガリマ越しでも触れたくないデス」
「…自分の体に付いたカビを投げた!?」
「向こうの翼が剣で防いだわ。 …アームドギアにカビが生えた!?」
「聖遺物にカビを生やした!?」
「……殺人カビ、名前の通り厄介そうね」
「でも、動き自体翼さんの方が上です」
「そうね、既に翼の脚部のブースターでカビを完全に避けてるわ」
「カビの怪人が手裏剣を投げた!」
「アイツ、忍者だったの!?」
「あっ、緒川さんに比べてしょぼい」
「簡単に避けた翼さんの剣に斬られて倒された…」
「次は、新しい蜘蛛の怪人か」
「確か、ドクモンドって名前じゃなかったか?」
「コンクリートだろうが平気で穴を掘ってクリスを囲んでる」
「下手すれば、穴の中に引きずり込まれるぞ」
「もぐら叩きでもする気か!」
「ん?待てよ、穴って…」
「そうか!」
「!? どうしたんです?」
「向こうの雪音も気付いたみたいだな」
「え、先輩が穴の中に大量のミサイルを!」
「そうか、穴を掘ったドクモンドは一人!」
「全ての穴は繋がってるか」
「爆発と一緒に断末魔も聞こえたぞ」
「………動きが無い、恐らく倒した筈だ」
カビビンガとドクモンドを倒した向こうの翼とクリス。
その戦いは、歴戦の響たちすら唸らせる。
ノイズや野良錬金術師とは違う多種多様な手段で殺しに来るショッカーの改造人間。
その恐ろしさを響たちは改めて思い出す。
映像の翼とクリスは、残った戦闘員に響の事を尋問しようとした。
その時だ
「死神博士からの通信!? 会わせる?」
「何か降って来たぞ!」
「…響!?」
「あの状態から戻った?」
「まさか、逃げれたんじゃ!?」
「いや、死神博士の発言と映像越しからでも伝わる立花の纏う空気…これは」
「あっ、アイツ聖詠も歌わずにまた変身って言いやがった!」
「アイツのシンフォギアにベルトなんてあったか?」
「無かった筈よ…それに、あのベルト…イヤと言う程見た記憶があるわ」
マリアがそう言った。
向こうの響がシンフォギアを纏うが腹部にはマリアとクリスがイヤと言う程見たベルト…ショッカーのシンボルが入っているベルトだった。
映像でじゃ無防備に近づくクリスに響が拳を繰り出すが、翼が間一髪でクリスに抱き着き響の拳を空振りさせる。
尤も、拳の直線状にあったビルが崩壊したが。
「あの拳……一瞬の躊躇いも無かったわね」
「これが、脳改造か」
「立花が敵に回るなど考えたくも無いがな」
「アタシもだ」
「翼さん…クリスちゃん…」
「っと言え、あの立花響は相当弄られてる…躊躇ってるとはいえ翼の斬撃も雪音クリスの弾幕を受けてもビクともしない」
「響さんのあんな動き…見た事がない」
「足技が多いデース」
「ボクシングと翼の動きもトレースしてるのか?」
何時もと違う響の戦い方を見て歯噛みしつつ目を背けず見続けるこの世界の響。
映像からは、死神博士の言葉も消え「私の最高傑作」と聞こえる。
響を物扱いする死神博士の言葉に怒りを覚える一同。
向こうの世界の翼とクリスも歌って響を止めようとする。
だが、
「響が…歌って…る…けど、響の歌じゃない」
「こんな歌…私…知らない」
「ショッカーを称える歌か」
「久しぶりに聞くな…」
向こうの世界の翼とクリスが歌った事で、死神博士が響も歌う事を命令する。
そして、響の口から出る歌は、今まで響が歌っていた物とは別物であり普段の響なら絶対に歌わないような物だった。
そんな歌を唄う向こうの響の姿を見て複雑な気分になる一同。
「戦いの方も押されてる…」
「先輩の剣を圧し折りやがった!」
「雪音君の腹にも蹴りが入ったぞ」
「…立花響が敵に回ると厄介ね」
「遂には戦闘員も歌いだしました!」
「戦闘員も歌う事でフォニックゲインを高めてる?」
「本当に滅茶苦茶ですぅ!?」
エルフナインがショッカーのフォニックゲインの扱い方に声を出す。
その間にも、翼の放つ天ノ逆鱗も拳に砕かれクリスの大型ミサイルも意味をなさず二人のシンフォギアが徐々にダメージが蓄積されていく。
「…アイツが敵だからって…ここまで圧倒されるのかよ」
「恐らくは、向こうの翼も雪音クリスも本気を出せず、代わりにショッカーに操られた立花響は躊躇いも無い状態ね」
「! 不味い、立花響の拳が翼の顔を掠った!?」
「翼の体勢が崩れた!? 今ので翼の脳が揺れたのか!」
響の拳の威力か、掠った翼が力なく地面に座り込む。
翼の状態に気付いたクリスが駆け寄るが、既に響が翼に向け左腕を上げている。
「不味い! 翼にトドメを刺す気だ!」
「翼さん、私から逃げて!」
「! 向こうの世界の未来がアイツを止めた!?」
「そうか、こっちの世界の小日向もスカイタワーに居たのか!」
「抱き着いた未来に戸惑ってるのか? このままアイツが元に戻るんじゃ…」
「…いや、死神博士が通信で未来を始末しろって言ってやがる」
「響さんが未来さんの首を掴んで持ち上げた!」
「向こうの先輩が必死に止めてるデスけど…あの響さんが未来さん相手に容赦ないデス!」
「このままじゃ未来が…なんだ、突然アイツが苦しみだしたぞ」
「もしかして、正気に戻った!?」
脳改造された響が正気に戻ったのかと淡い期待を抱くこの世界の響たち。
しかし、残った戦闘員が未来を響に近づけさせないよう動き、回復した翼の援護を受ける。
だがその間に、怪人が現れ頭を押さえる響を回収、追ってこれないよう空を飛んでいたノイズが未来達を襲う。
戦闘員を蹴散らしノイズを全滅させた翼たち、しかし響は再びショッカーの手に戻ってしまう。
スカイタワーでの戦いはこれで幕を閉じる。
「…助けられなかったか」
「向こうの小日向は目に見えて落ち込んでいるな」
「戦いは終わったが、向こうの翼たちには敗北感があるわね」
「仕方ないだろう、怪人を倒したとはいえ響くんが実質敵に回り実質いいようにされたんだ」
「…でも、向こうの私は頭を押さえて苦しそうにしてました」
「まだ響の心がショッカーに抗ってるんだ…きっと」
未来が一縷の望みを口にする。
これに答えたり反論する者は出ず、口には出さないが皆の気持ちも同じだった。
映像は続き、エアキャリアで死神博士がナスターシャ教授を電気椅子にかける罰を与え、響の体を再調査し邪悪な計画を立てる。
何より、響たちが反応したのは
「未来ッ!!」
「何で、ショッカーに捕まってんだよ!?」
「あれって、私も入れられてた檻?」
スカイタワーで帰った筈の小日向未来が檻に閉じ込められ死神博士と地獄大使が前に居る。
自分たちの世界の未来だったら、ある程度は納得出来た。ノイズとの戦闘でスカイタワーが崩壊し巻き込まれた未来がマリアに保護されたからだ。
しかし、あの世界の未来はスカイタワーが戦場になったが崩壊はせず、それどころか地上で脳改造された響を止めていたのだ。
その後も、未来はちゃんと返された筈だった。
「…地獄大使の言い方からして小日向くんが改造人間に志願!?」
「どうしてっ!?」
「…まさか、立花が怪人にされたから自分も怪人になれば一緒に居れると…」
「そんな、まさか」
「…如何しよう…自分でも…否定できない」
「未来さん……」
「未来ゥ~~~~!」
翼の言葉に皆が絶句する中、この世界の未来がそう呟く。
未来の言葉に皆が引いたり感動したりする中、源十郎が一度だけ咳をする。
「…皆の集中力が落ちているようだから少し休憩にしよう。 今回はゾル大佐の時より濃かったからな」
源十郎の声に一部の装者から「え~」と言う文句も出るが映像が一旦停止した事で体を伸ばしたり何か用があって部屋を出る者も居る。
源十郎自身も首をコキコキ鳴らし腕を回して肩も鳴らす。
これからの映像は自分たちの時と同じならフロンティアの戦いだと考える源十郎。
━━━俺たちの時だって大変だったんだ、あの世界にはショッカーがいる以上フロンティアの戦いはより激しくなるだろう。 響くんたちがそれを見る前に少し休ませるべきだ…
源十郎は一人そう考えた。
前書きでも書いた通り、今回は前編です。
出来れば、死神博士で起こった事を最後まで行きたかったんですが本当に重くて…。
ユニコルンで話を盛るの難しい。
原作でも説明らしい説明ないしな…。
そして、響たちの不仲がブラック将軍にも漏れる。
大幹部ならこのチャンスを逃さないだろう。
今回、48話の響の体の解体のもう少し詳しくといった内容。
あの時、何故響の様子ですね。
響たちにスプラッター耐性はあるのだろうか?
次回は後半の未来が絶唱を歌ったとこや、フロンティアの決戦を。