改造人間 立花響のシンフォギア   作:一種の信者

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映像を見る限り、ペストと言うよりゾンビだな。

ペストってなんだっけ?

令和のテレビアニメで「悪魔のショッカー」が聞けるとは思わんかった。


146話 恐怖のペスト菌 特異災害S・O・S!

 

 

 

東京にあるとある小学校。

隕石の影響により登校する子供たちは減ってはいるが復興が進む内に何人かの生徒が登校を再開し授業を受けている。

その休み時間。

 

「あれ?うちのクラスってハツカネズミ飼ってた?」

「ええ、知らない」

「あ、可愛い」

 

一人の生徒が教室の後ろに小さいカゴが置いてあり、中には白いハツカネズミが居る事に気付き教室に居るクラスメイトに聞く。

しかし、クラスメイトの誰もが教室に置いたのか誰も知らないと言う。

そうしてクラスの生徒の殆どがハツカネズミを見に行く。

 

「触ってみようぜ」

 

その内の一人がカゴからネズミを取り出して手のひらに乗せた。

子供の手のひらと同じぐらいの大きさのハツカネズミ。

他の子どもも触らしてと言う中、「痛い!」と言う声が響く。

 

「どうしたの!?」

「ハツカネズミに引っかかれた!」

 

ハツカネズミを手に乗せて子供が声を上げる。

心配した友達が、「どうしたの」か聞くと手のひらに乗せていたハツカネズミ引っかかれ血がちょっと出ている。

同時に、手のひらに乗せていたハツカネズミが床にその辺を落ちて教室内を這いまわる。

その時、何人かの足元を潜るが、「あっ、いた!?」「キャア!」「いてっ」何人かの足を引っかいていった。

 

「あのネズミ、すれ違う時に引っかかれた!」

「私も!」

「情けねえな、ハツカネズミで」

 

「お前たち、授業の時間だぞ!」

 

ハツカネズミに引っかかれた事で、揶揄うクラスメイト。

その食後に、先生が教室に入り授業だと伝える。

殆どの子供が自分の席に座るがハツカネズミに引っかかれた子供たちはピクリとも動かない。

 

「ん? 如何した、お前たち」

「先生、アイツ等ハツカネズミに引っかかれたんです!」

「ハツカネズミ? 誰だ、動物を教室に持ってきたの?」

 

先生が誰がハツカネズミを持ってきたのか聞くが誰も知らないと言う。

その言葉に困った表情をする先生。

 

今の時代、衛生の問題から昔みたいに教室で動物を飼うのは難しくなっている。

もし動物を飼うと同時に生徒の一人が体調不良になれば、真っ先に動物が疑われ親が怒鳴り込んでくる事もある。

それでもし本当に動物の所為なら、それを黙認した教師の問題になってくる。

この先生もそうだが、今の教師で其処までの責任を終えない。

 

「お前たちも、何時まで座り込んでいるんだ? しょうがない、誰か保健室に連れて行くのを手伝ってくれ」

 

ハツカネズミに引っかかれたという生徒が何時までも立ち上がらず、その場に座り込んでるのを見て先生が生徒の近くまで行き、他の生徒にも手伝うよう言う。

昔なら、引っかかれた程度なら唾を付けとけば治ると言われてるが、現代でそれを言うのは虐待だと言われるので渋々保健室に連れて行く事にした。

それに万が一、引っかいたハツカネズミが菌を持っていた場合、最悪破傷風になってしまえばそれこそ責任問題だ。

そしてこれは、的中とも言えた。

 

「ほら、保健室行くぞ」

 

そう言って先生が抱き起こす。

この時、教師がちゃんと生徒の顔色を見ていれば気付いただろう。

顔に幾つもの紫色の斑点と口から飛び出た二本の鋭い犬歯。

 

抱き起こされた生徒は先生の首筋に牙を突き立てる。

 

「ぎゃあっ!」

 

短い悲鳴と共に倒れる先生。

他の倒れていた生徒たちも助けようとした他の生徒に牙を突き立てる。

 

「何だ?」

「どうしたの?」

 

席に座っていた生徒たちが気付いた時には、全員が倒れている。

そして、倒れていた生徒と先生が立ち上がり心配そうにしていた生徒に襲い掛かった。

教室内は阿鼻叫喚になる。

 

 

 

 

 

学校中から悲鳴が増えていく中、屋上にあの白いハツカネズミが進んでいく。

その先には黒い軍服と蛇が絡みつく鷲のシンボルが入った鉄の兜をした男…ブラック将軍がいる。

 

「良くやった、1号。もっと細菌をばら撒いて東京の人間たちを感染させろ!」

「チュイィィィイイイイイイイーーーーーーーッ!!」

 

ブラック将軍が、そう言い終えると共に小さなハツカネズミから煙が出ると人間大の大きさになり声を荒げる。

その姿は、両手首から鎌の様な鋭利な物が突き出し、赤い口から齧歯類の様な歯が出た灰色の毛むくじゃらの化け物に見える。

 

「ネズミとコンドルの合成怪人、ネズコンドルよ。 このままペスト菌をばら撒き、東京を死の街にしてゲルショッカーの物にするのだ!」

「お任せ下さい、ブラック将軍!チュイィィィイイイイイイイーーーーーーーッ!!」

 

ネズコンドルと呼ばれた怪人がそう言うと、両手を広げ脇の下から手に繋がった翼が現れる。

そして、ジャンプして飛び立つとそのまま空を滑空する。

その姿を見届けたブラック将軍の口の端が吊り上がると供に学校の屋上は無人となる。

後に、通報を受けた警察が何人か学校に入るが、出て来た時には顔に紫色の斑点と獣の様な牙が突き出ていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから少し時間が経ち。

 

誰も居ない森林公園奥地。

その一角が光ると共に10人以上の人影が現れる。

 

「今日はちょっと寒いくらいか」

「前見た時より太陽も見えて来たね」

「じゃあ、本部に行こうか」

 

並行世界の響たちと奏を始めとした他の平行世界のシンフォギア装者たちだった。尚、マリアたちは念のためにと並行世界に残っている。

ウェル博士が渡したメモリーチップの映像を全て見て体を休ませてこの世界にまた来たのだ。

しかし、そのメモリーチップの映像でだいぶ時間を食い、ヒビキたちの予定していた時間を過ぎている。

 

取り敢えず、皆シンフォギアの姿から普段着に変えて森林公園内を歩く。

流石にノイズや戦闘員が出てない以上、シンフォギアのままでは目立ち過ぎる。

少し距離があるが皆で話してる内に直ぐに本部に到着するだろうと考えていた。

 

「おい、アレ!」

 

森林公園の出入り口付近まで来た一同だが、先頭を歩いていたクリスが何かを見つけ指を刺す。

指の先には、電柱に衝突した扉の開いた車と傍らに倒れてる男性だ。

 

「え、事故!?」

「取り敢えず助けよう!」

「しっかりして下さい!…!」

 

響と翼が急いで倒れてる男性に駆け寄る。

急いで助け起こす響。しかし、その顔を見た瞬間固まってしまう。

倒れていた男の顔は紫の斑点が出、口から二本の牙が飛び出していた。

 

「キャア!?」

「立花!?」

 

響が助け起こそうとした時に、男の目が開き響に逆に襲い掛かる。

思わず悲鳴を上げる響と事故った車を見ていた翼が響が襲われてる事に気付く。

 

襲われたのがただの少女だったら、男の力の前に抵抗もむなしく首などを噛まれてただろうが、響は今までノイズと戦い平行世界とは言え源十郎に鍛えられた猛者だ。

簡単に噛まれるわけがない、しかし救助しようとした人の突然の行動で油断していた響は完全に引き剥がすことも出来なかった。

見かねた翼が、男を響から引き剥がす。

勢いあまって襲い掛かった男性が倒れるが、翼の意識は半泣き状態の響に集中する。

 

「翼さん~! 怖かったです、本当に!」

「お、落ち着け、立花!」

「前回から私、こんな役ばかりじゃないですか!?」

「立花、そう言うメタな発言は……!?」

 

珍しく響が喚く姿に翼がなんとか落ち着かせようとするが、先程引き剥がした男が何時の間にか立ち上がり既に自分たちの横に居る。

このまま、自分たちに襲い掛かるかと思われた時、男の頭に赤と白の棒のような物が叩き込まれる。

 

「お前ら、大丈夫か?」

 

其処にはシンフォギアを纏いアームドギアを棒代わりにしたクリスが居る。

男はそのまま倒れた。

 

「すまん、助かった雪音」

「良いって事よ」

「この人、何で襲って来たんだろ」

 

翼がクリスに礼を言い、落ち着きを取り戻した響が倒れた男に指でツンツンする。

その内、他のシンフォギア装者も合流し取り敢えず男を安全な場所に移動させ顔色を見てみる事にした。

 

「顔中に紫の斑点?」

「それに、口から異様に伸びた犬歯…普通じゃないわね」

「まさか、ゲルショッカーが!?」

「奴等、もう動いてるのか!」

「! 周り!」

 

子供マリアの声に響たちが咄嗟に周囲に視線を向ける。

周囲には、何時の間にか響たちを取り囲むように男と同じ斑点と犬歯をした人間たちが居る。

そのどれもが正常とはとても呼べそうにない。

 

「なんて数!」

「囲まれた!?」

「シンフォギアで逃げるぞ!」

 

Seilien coffin airget-lamh tron Various shul shagana tron Croitzal ronzell gungnir zizzl Imyuteus amenohabakiri tron Balwisyall nescell gungnir tron

 

響たちは一斉に聖詠を歌いシンフォギアを纏うと、特大のジャンプをして斑点の人間たちの頭上を飛ぶ。

ノイズでも怪人でもない一般市民との戦いを避けたのだ。

 

「…切ちゃんも行くよ!」

「はいデス!」

 

唯一、響たちの中でシンフォギアを纏ってない切歌も調の後に続きジャンプして人のいない屋上や路地を走る。

街中を飛び回り、特異災害の本部である潜水艦へと向かう一同。

その途中、街中も見る事になったが。

 

「なんだよ、こりゃ」

「せっかく復興していたのに」

 

響たちの視界には、先程見た紫の斑点と牙のある人間が街で暴れて練り歩いている。

各所では火の手が上がり、車もひっくり返されたりフロントガラスが割られたりと酷い物だった。

 

「……駄目だ、本部との連絡がつかない」

「また、妨害電波でも出されてるのか?」

「とにかく、今は本部に急ごう!」

 

街の様子を見た響たちは尚の事、本部に急ぐ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヒビキたちが、何時も本部が止まっている政府用の港に行くと 少し離れた沖に本部の潜水艦を見つけ何とか到着する。

 

「師匠!」

 

「ヒビキくん!? それにツバサに奏くん…もしや並行世界の!」

 

到着したヒビキたちが、いの一番に指令室に突撃する。

ヒビキたちや並行世界のシンフォギア装者たちの登場に驚く源十郎

最悪、見捨てられるのでは? と覚悟もしていたが心強い味方の登場に直ぐに微笑む。

 

 

 

 

 

 

「ペスト!?」

「アレがか!?」

 

源十郎から何があったのか聞いたヒビキたちの第一声がこれだった。

 

源十郎曰く、事の始まりは都内に小学校だった。

小学校で暴動が起きたと通報を受けた警察が警官を何人か派遣し調査しようとしたが、送った警官からの報告はなく不審には思ったが別の場所でも暴動が発生した事で有耶無耶になり気付いた時には手遅れになったどうだ。

 

「その暴動が…」

「ゲルショッカーの策だったんだろう、最初の封じ込めに失敗したがその後の動きでなんとか東京の一部だけの被害には出来てる」

「…っとは言え時間の問題でしょうね、感染する人間がドンドン増えていく」

 

警察も自衛隊も何とか止めようとしたが多くの者が感染してしまい、物理的にバリケードで何とか抑えているが、ただでさえ人手不足だった特異災害も更に人員を割らねばならず指令室でも空席が多い。

尤も、それだけではない。

 

「僕の部下にも感染者が居たらしくて、本部で感染を広げようとし拘束したんですが…その際に通信系の機器にダメージが入って一部通信も難しく…」

「だから、本部に繋がらなかったのね」

「そうだ、この世界の未来は!?」

 

指令室に居た緒川も説明する内に本部との通信が繋がらなくなった事情も改めて知るヒビキたち。

自分たちの居ない間に、ゲルショッカーが此処までの動いていたのだ。

そして、ヒビキがこの世界の未来の事も聞く。

 

「小日向くんは今のところ大丈夫な筈だ、リディアン音楽院の門を閉ざして感染者も入れなくなっている」

「立て籠もりか…」

「だけど、あんまり長く持たないぞ」

 

未来は、事態を重く見た源十郎がいち早くエージェントを派遣し、リディアン音楽院を封鎖し感染者の侵入を阻止し教員や生徒に被害はない。

しかし、クリスの言う通り生徒たちの体調や精神的にも何時までも封鎖は出来ない。

急いで、事態を解決する必要がある。

 

「良かった…そうだ、この世界の私たちは!?」

「アイツ等は如何したんだ!?」

 

当然、ヒビキたちはこの世界にいる響や翼たちはどうしたのか聞く。

その問いに、視線を外す源十郎の姿に嫌な予感を感じる一同。

 

「…響くんは、首謀者であるゲルショッカーの怪人の捜索に行っている。 翼たちは…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ネ…ネズミの化け物め! 雪音を…放せ!!』

『ち、近づくんじゃねえ! お前らの好きになって…っ!』

 

「これは、一体!?」

「二人とも如何したんですか!?」

 

指令室の映像を見たヒビキたちがそう声を荒げる。

映像の場所は医務室で映っていたのは翼とクリスのようだが、両手足を拘束されベッドに拘束され目元も包帯で覆われている。

更に、顔にはさっき見た紫の斑点と口元の牙が見える。

正直、ヒビキたちも信じられない表情だった。

 

「………」

「翼さんとクリスちゃんです」

「二人とも、調査で動いてたところを怪人に…」

 

源十郎が言い辛そうにしていると、オペレーター席に座る藤尭朔也と」友里あおいが代わりに答える。

翼とクリスは、ペストの出所を調べる為に最初に報告された小学校を調査していた。

感染者が出た事で閉鎖され、何人かの黒服も共に居たが、怪人の襲撃を受け二人はペストに感染し医務室へと運ばれ拘束されたのだ。

 

「これ、私たちが来なかったらこの世界の立花響しか怪人を相手できなかったんじゃ…」

「…でも、ペストが分かってるならワクチンがあるはず」

「! そうだ、ペストなんて昔の病気なら薬が…」

 

アナザー調の発言にツバサが反応する。

 

ペスト

嘗てヨーロッパを恐怖のどん底に堕とし、死人の山を築いた感染症。

一説には、2,000〜3,000万人の死人を生み出した黒死病とも言われる。

尤も、現在ではワクチンや薬物療法で十分治療も出来る。

 

これが、ペストなら翼やクリスたち感染者も治療が出来る筈だった。

 

「それは…」

「それが簡単にできれば苦労はありません」

「ウェル博士!」

 

アナザー調の言葉に源十郎が言い淀んでると指令室に別の人物の声が響く。

声の主は、何時も通り白衣を着て目の下にクマを作ったウェル博士だった。

 

「これを見てください、従来のペスト菌と今回の感染者から採取したペスト菌です」

 

ウェル博士が、オペレーター席の機械を弄るとモニターに二つの写真が写る。

よくある、菌の拡大写真のようだ。

 

「ええ…と…」

「…どれも同じでは?」

「…ハア」

「ムカつく反応しやがって!」

 

菌の拡大写真を見ても、違いが分からないヒビキたち。

その様子にウェル博士が鼻で笑うとクリスの額に血管が浮く。

このまま。ウェル博士の股間でも蹴ろうかと思っていた時。

 

「…従来のペストより鞭毛の数が多い…その分、線毛の数は少なめ」

「おや、気付きましたか」

 

アナザー調が淡々と左右のペスト菌の違いを語る。

その他、細かい部分も言っていくとウェル博士が感心したような表情をし、逆にヒビキたちは固まる事しか出来なかった。

 

「……それが、従来とのペストの違い」

「いや、素晴らしい! 視点もそうですが知識も素晴らしい、ただの暴力小娘では…いだあああああああああ!!」

 

褒めてはいたが最後に余計な事を言ってウェル博士の膝に蹴りを繰り出すアナザー調。

痛みと共に、ウェル博士は内心、やはり「暴力小娘だ」と心の底から思ったそうな。

そして、やっと痛みが引いてウェル博士は軽く咳をするとヒビキたちの前で口を開く。

 

 

「……このように、従来のペストと違い恐らくはゲルショッカーが弄った結果だと思われます。それによってワクチンの製作も難航はしてますが、僕の頭脳のお蔭であと少しで完成します。しかし、一つ厄介なのもあ…」

 

ウェル博士が其処まで言った時だった。

指令室に警報が鳴ると共に通信機から、こっちの響の声が響く。

 

『師匠! 怪人を…見つ…けました…現在…直ぐに…』

「響くん!? 待つんだ、一人で戦うのは!」

 

響の声に、ヒビキたちの表情にも緊張が走る。

何より、通信越しで怪人を見つけたというのだ。

しかし、通信機の不具合で響の声は断続的にしか聞こえない。

 

「響くんの位置は!?」

「…再開発地帯です」

「私たちが行きます!」

 

響の位置を聞いたヒビキたちも向かうと言う。

この世界の翼とクリスが倒れている以上、響だけでゲルショッカーの怪人と戦う事になる。

ヒビキたちもゲルショッカーの怪人との戦闘経験があるが、一人で怪人と戦うのは無茶だと思い響の加勢に行く。

 

「…私と切ちゃんは残ってワクチンの開発を手伝う」

「おや?」

「デス?」

 

アナザー調は、本部に残りウェル博士とワクチン開発に入ると言う。

予想外の言葉にウェル博士と切歌が驚くが、同時に研究者としての調の力もあればワクチンも完成に近づくと考えヒビキたちはアナザー調とアナザー切歌抜きで響の援護に向かう。

 

「…さあ、ワクチンの開発を急ごう」

「僕の話、終わってないんですけどね…」

 

ウェル博士の返事も待たずアナザー調は切歌を連れ、ウェル博士がワクチンの研究しているラボに向かう。

しかし、ウェル博士は途中で遮られた話をヒビキたちに伝えられなかった事を気にしていた。

 

その話の内容とは……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

再開発地区。

隕石により、大損害を被った住宅地であり現在家の立て直しや取り壊しで多くの業者が働く地帯。

その一角に、シンフォギアを纏った響が怪人と対峙する。

 

「ゲルショッカーの改造人間! この騒ぎはお前の所為か!?」

 

「立花響! 残るシンフォギア装者はお前一人だ、この俺ネズコンドルのペスト菌で死ぬがいい!!」

 

響の前には、小学校にペストをバラ撒いたネズミとコンドルの合成怪人ネズコンドルが挨拶もそこそこに響へと襲い掛かる。

更には、周囲からゲルショッカー戦闘員も現れ響と交戦する。

 

━━━翼さんもクリスちゃんもやられた、もう私しか…居ない!

 

仲間の翼もクリスもペストにやられ動けるのは自分一人、源十郎は指揮や政府とのやり取りで指令室を動く訳にはいかない。

 

自分の癇癪の所為で並行世界の自分…別の世界の立花響を傷つけた。

もしかすれば、その所為で並行世界のシンフォギア装者たちに見捨てられ助力は期待できないかも知れない。

今更になって後悔という言葉が響の脳裏を占める。

しかし、もうどうしようもない。

 

「私が…私がやるんだあああああぁぁぁぁ!!!」

 

自分一人だけでも、ゲルショッカーの怪人を倒そうと命を燃やす響。

その響の鬼気迫る気迫にゲルショッカー戦闘員も押され次々と薙ぎ倒されていく。

拳と蹴りでゲルショッカー戦闘員を千切っては投げる姿にネズコンドルも感心する程だった。

 

そして、最後のゲルショッカー戦闘員を殴り飛ばして響がネズコンドルを睨みつける。

 

「後はお前だけだ、ネズコンドル!」

 

「果たして本当にそうかな?」

 

響の発言にネズコンドルの大口の端が吊り上がったように見える。

何かあるとは響も感じてはいたが、これ以上ペストを広げられる訳にも行かないと考え腕のギアを引っ張り拳を繰り出そうとした。

 

………そして、響の動きが止まる……

 

「え?」

 

響も最初は理解出来なかった。

このまま拳をネズコンドルに打ち込む瞬間、誰かが自分の体を拘束した。翼のような影縫いではない、誰かに羽交い締めされ無理矢理拘束されたのだ。

特訓でゲルショッカー戦闘員単独では響を止めるのは難しい、即ち。

 

「怪人!? …!」

 

首を動かし自分を羽交い絞めにした怪人を見た瞬間、息を呑む響。

その訳は……

 

 

 

 

 

 

 

場所は戻り、特異災害対策起動部二課本部の潜水艦。

潜水艦内にあるウェル博士のラボにアナザー調とアナザー切歌が入りウェル博士のワクチン開発の手伝いをしようとしていた。

 

「…これは…一体どういう事?」

「調?」

 

幾つかの資料を見たアナザー調が額に汗を浮かせウェル博士にそう聞く。

アナザー調の反応にアナザー切歌が首を傾ける。

しかし、そんなアナザー切歌の反応を無視し眼鏡を光らせるウェル博士。

 

「どういう事と言われても見たまんまですよ」

「…でも、これじゃ」

 

アナザー調が視線をラボに置いてある実験台、厳密には実験台の上に置かれているシャーレを見る。

恐らくは患者から採取したペストが培養されているだろうシャーレが幾つかあるが、真ん中で不自然に区切られている。

 

「…これじゃ…ペストが()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ネズコンドルが二体?」

 

響は、自身を取り押さえた怪人がネズコンドルと瓜二つな怪人だという事が信じられなかった。

その怪人も、ネズコンドルと同じ灰色の体毛に鳥の様な腕に鋭いツメ、手首付近には太い鋭利のよう爪。

再生怪人にしても、ネズコンドルと戦うのは今回が初めてな筈だと考える響。

唯一の違いがあるとすれば、口元には目の前のネズコンドルには無い鉄で出来た鳥のような嘴。

 

「チュイィィィイイイイイイイーーーーーーーッ! まんまと引っ掛かったな、立花響!」

「最初から、俺は二体いたのだ!改めて名乗ってやる、俺はネズコンドル1号!」

「同じく、ネズコンドル2号!」

 

何てことは無い。

ゲルショッカーは、最初にネズコンドルを造り続けて、より強力なペストを造りそれももう一体のネズコンドルに内蔵させた。

最初のネズコンドルが1号と呼ばれ強力なペストを内蔵した嘴を付けたネズコンドルが2号だ。

 

響は、今までの怪人が基本一体だった為ネズコンドルが二体居るなど完全に予想外だった。

その結果、ヒビキはネズコンドル2号に捕縛され動けなくされる。

幾ら力を振り絞ろうとネズコンドル2号の羽交い絞めは解ける事が無かった。

響の脳裏にまたもや、ゲルショッカーに拉致され脳改造の文字が浮き上がるが、

 

「安心しろ、立花響!ゲルショッカーは貴様など要らん!」

「ただし、今まで我らゲルショッカーに逆らい続けた罰だ、立花響!お前の眼をくりぬいて二度と戦えなくしてやる!細菌で苦しみ悶えて死ね!」

 

そう言うと、ネズコンドル1号が両手の太いかぎ爪で響の両目を傷つける。

響の短い悲鳴が木霊すると、拘束していたネズコンドル2号が響を解放し、響は両手で顔を覆い膝を地面に付ける。

その様子を見たネズコンドル1号2号は空を飛び響を見下す。

 

「これでもう、立花響は戦えまい」

「残りは、風鳴源十郎と忍者だけだ…俺たちは日本中にペストをバラ…!」

 

響をほぼ無力化したネズコンドルたちが更なる行動に入ろうとした時、遠くの空から何かが自分たちに近づいてる事に気付く。

その正体がミサイルだという事に気付くのに時間はかからなかったが、ネズコンドルたちの脳裏に嫌な予感が通り過ぎる。

 

━━━痛い! …痛い…目が…!

 

一方、響は自身の眼の痛みに悶えつつ瞼を開こうとしたが、段々視界が曇り明るさすら感じ難くなってる事に気付く。

過ぎに響の脳裏に医務室に運ばれた翼とクリスの姿が思い浮かぶ。

このまま、ゲルショッカーに負けてしまうのかと悔しい気持ちになる響。

 

瞬間、飛んでいたミサイルの胴体部分が開き人影が其処から出ると、残ったミサイルがネズコンドルたちに迫り爆発する。

 

「このミサイル…まさか!」

「特異災害のか、だが特異災害に戦えるシンフォギア装者など!」

 

翼もクリスもネズコンドルのペストに苦しんでおり回復など出来る訳が無い。

無理を通して出撃したのならトドメを刺してやると考えたネズコンドルが着地した者を見て驚愕する。

 

そして、その人影は地面に居る響へと近づく。

 

「おい、大丈夫か?」

「一人でよく戦った、立花」

 

「え、その声…」

 

二人の声に響が振り返る。

最早、姿が見えずシルエットしか認識出来ないがその影が翼とクリスだという事は認識出来た。

響の脳裏に翼とクリスが回復したのかと期待するが、別の影もある事に気付く。

 

「…色々言いたいことはあるけど…助けに来たよ。 もう一人の私」

 

その声は、響が尤も聞きたく…そして聞きたくない声だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




響は響で自分の癇癪で並行世界の助力を断ち切ったと後悔はしてました。
そして、責任も感じこの世界の翼とクリスが先にやられ…余計自分がやらねばと思い詰めてました。

学校での動物うんうんは結構適当。
昔はグッピーや金魚、虫とか飼ってたけど世界的感染症が流行った今も飼えるんだろうか?

今回の敵は、寝起きの立花藤兵衛にも苦戦したネズコンドル。
立花藤兵衛が起きるまでひたすら鳴き声を上げ続けたネズコンドル。
流暢に仮面ライダーの視界を奪う暇があるなら倒せやと突っ込みを入れたいネズコンドル。

そんな、ネズコンドルが二体。

初代 仮面ライダーでは、同一人物だったネズコンドル1号2号。
劇中や、公式サイトによると2号は改造ネズコンドルらしいですが、自分の持つ怪人図鑑的な物には1号2号と書かれ、作者は当初ネズコンドルは二体居たと勘違いしてました。
そして、その時の勘違いを作品にしてみました。この作品ではネズコンドルは二体という事にしてください。

それから劇中だとネズコンドル2号の最近はペストじゃないらしいですが話の便宜上、ペストをより強力にしたペストという事にしといて下さい。

そして、カナリコブラもネズコンドル同様改造されているのに、改造カナリコブラの項目ははなし。

次回、ヒビキと並行世界のクリスは響に謝罪できるのか?
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