とある場所で二台の霊柩車がクラクションが鳴る。
残された遺族の要望で簡易的な式の後、棺を乗せた霊柩車が走る。
それを、感情のこもってない目で見る少女……響が眺めている。
戦いの後、特異災害に回収された響の母親と祖母は響の要望により家族葬で行われ葬式に出たのは響一人。
源十郎も見送りたいと言ったが響はこれを拒否し一人お坊さんのお経を聞き二人を見送った。
終始、響は能面のような表情を一切崩さず涙すら一滴も出なかった。
そして、葬式が終ると響は早々に特異災害の本部に戻った。
「……っで、アイツは?」
「……戻って来て部屋に閉じこもったままだ」
本部の司令部にて、並行世界のクリスが響の居場所を聞くとクリスが答える。
お葬式が終り本部に戻った響は部屋に閉じこもったまま出てこず、翼たちも対応に困った。
「……家族を皆殺しにされたんだ、何を話せば……」
「声かけづらいな……」
響以外のシンフォギア装者たちは、大体が親は既に亡くしてるか不明な者ばかりだ。
それでも、親を亡くしたばかりの響に無節操に話しかける程、彼女たちも空気が読めない訳では無い。
故に、歯がゆくも響の下へ突撃はしないでいた。
「……もう一人の私……翼さん、私が行っても駄目ですか?」
「こればかりはな……」
並行世界の響が響を心配し会いに行きたいと言うが並行世界の翼は良い顔をしない。
この世界の立花響は家族を喪ったが並行世界の響は健在だ、下手をすれば嫌味にしかならず、この世界の立花響の精神を追い込む可能性が高い。
並行世界の響にそんな気はないだろうと並行世界の翼も分かってはいるが、こればかりはどうしようもない。
響が自分で話に来てくれるよう祈るだけだ。
「そんで? 石屋の事情は分かったのか? おっさん」
響の事は一旦置いといて、クリスが源十郎に石屋の件を聞く。
去り際、石賀が言った「二年前」という情報で源十郎が詳しく調べていたからだ。
「……その事についてなんですが」
「待ってくれ、緒川。 俺が説明する……」
源十郎と共に調べたのだろう緒川が説明しようとするが、眉間を押さえた源十郎が遮り自分から語りだす。
何時もの源十郎と比べ目の下に出来た隈がある事に気付く翼たち。
それから源十郎が調べた石屋の過去。
それは、二年前のツヴァイウィングの悲劇に石屋の孫が見に来ていたそうだ。
ライブの最中にノイズに襲撃されたが、幸い石屋の孫は軽傷しつつも会場から脱出でき政府機関に保護された。
しかし、あの雑誌での記事で生き残った者たちの迫害が起こり、石屋の娘夫婦が巻き込まれる。
何とか生活はしていたが夫の仕事先が倒産し孫も虐められ、等々娘夫婦は無理心中した。
「……らしい」
「また、あのライブか……」
石屋もあのライブの被害者だった。
厳密には孫だが、きっかけはライブなのは変わらない。
「無理心中とは……」
「……娘さんの夫は酒浸りになったそうでな、孫は引き籠りになり精神的に追い詰められたそうだ。 最後は夫と孫を刺した後に家に火をつけたそうだ」
「……娘さんは嫁入りして名字が変わってた事で発覚が遅れたようです」
今まで、源十郎が石屋の事情に気付かなかった理由だ。
石屋とは名字が違い事件の被害者だと気付かず、石屋と結びつけることが出来なかった。
「つまり、この世界の石屋恭二は孫や娘夫婦を奪った世間に復讐?」
「その可能性が高いか」
「……俺には、未だ信じられん」
石屋がゲルショッカーに入った理由が何となく分かった一同。
恐らくは、世間に迫害された娘夫婦の復讐かと思われるが源十郎は納得してないようだ。
そんな空気の司令部に警報が鳴り、赤い光が点滅する。
「何ぃ!?」
「また強制通信か!?」
「……違います、街にゲルショッカーが出現したみたいです!」
鳴り響く警報に、またブラック将軍の強制通信かと思ったが、コンソールを弄る友里あおいが街にゲルショッカーが現れた事を知らせる。
「もう動いた」かと思ったシンフォギア装者たち、直ぐに現場に向かおうとするが
「え、響ちゃんが単独で飛び出していった!?」
「「「はぁ!?」」」
彼女たちの意表がつかれた。
東京のとある都市。
その中のとある施設に青いタイツの人間たち、ゲルショッカー戦闘員が中を進む。
そして、ある部屋の前まで行くと扉を蹴破るゲルショッカー戦闘員。
「! 何者です、あなた達!」
「大道寺珠美博士だな、我々と一緒に来てもらおう!」
部屋には白衣を着た初老のお婆さんが居り、いきなり入って来たゲルショッカー戦闘員に驚く。
ゲルショッカーの目的がこの老女の科学者だと直ぐに分かる。
何とか抵抗し逃げようとする大道寺博士だが、敢え無くゲルショッカー戦闘員に捕らえられる。
そのまま博士が連れたかれそうになった時だ。
「待てぇ!!」
「「ギッ!?」」
壁が蹴破られ黄色い光が光る。
其処には、シンフォギアを纏った立花響が居る。
想定より動きが速い事に驚くゲルショッカー戦闘員。
勿論、それを見逃す響では無く二体の戦闘員を殴り飛ばし老女の博士を掬う。
「大丈夫ですか!?」
「え……ええ……」
ゲルショッカー戦闘員にも驚いた博士だが響が戦闘員を殴り倒した事にも驚愕する博士。
戸惑いながらも博士を掬った響だが、突然の殺気に響は博士を抱えて飛ぶ。
突然の響の行動に声を荒げる博士だが、先程までに居た場所に緑色の液体が降り注ぐ。
瞬間、緑色の液体が降れた床が煙を上げ溶けだす。 恐らく人体が触れれば骨すら残らないだろう。
「ジィィィグゥゥゥ────ッ!! よく避けたな立花響!」
唖然とする響たちの耳に野太い声が響く。
周りを見渡しても自分と博士以外の人影が見えない。
「出て来い、私が相手だ!」
「俺のハエトリ液を受けて、母親たちの後を追え! ジィィィグゥゥゥ────ッ!!」
響の言動に触発されたのか、誰も居なかった部屋に突如人外の怪物が現れる。
ソイツは右手が巨大な針になっており、腹部と胸には黄色く左半身には植物のような物が覆い薄く血管のような物が這っている。
そして、一番の特徴が顔だが、左部分は虫の複眼に口元の飛び出た針状の口。
右部分には植物の葉が折れたような状態だった。
「出たな、ゲルショッカーの改造人間!」
「俺はハエトリソウと蜂の合成怪人、ハエトリバチ! あの世に行ったら母親たちに自慢しろ、ジィィィグゥゥゥ────ッ!!」
「あそこだ!」
「あの馬鹿、先走りやがって!」
街中、一般人は避難して誰も居なくなった街中をシンフォギアを纏った翼たちが急いでいた。
ゲルショッカーの出現と響が自分たちに何も言わず出撃した事にご立腹のクリス。
口には出さないが同じ考えの並行世界のクリスや奏。
そして、ゲルショッカーが襲撃したという建造物の前まで移動し中に入ろうとした。
瞬間、二階部分の壁が粉砕され誰かが出て来る。
「何だ!?」
「立花だ、もう戦闘は始まってるぞ!」
瓦礫の隙間から響とゲルショッカーの改造人間が見えた並行世界の翼が言う。
既に戦闘は始まっており響は一人で虫のような怪人と戦っている。
直ぐに援護に動こうとするシンフォギア装者たちだが。
「! 皆は来ないで!!」
『……はっ!?』
響が皆を制止する声に動きが止まる翼たち。
突然の響の拒否に皆がそれぞれの視線を合わし、改めて響に視線を向ける。
「……一体如何言う事? もう一人の私!」
「ええと……その……」
並行世界の響がこの世界の響のさっきの言葉の問いを聞く。
あれでは、まるで援護も必要ないと言ってるようなものだ。
並行世界の響の問いに響はしどろもどろになりかけるが、ハエトリバチは一気に複数のシンフォギア装者たちと戦うなど御免であった。
「ええい、邪魔者どもが! 出て来い、お前たちの相手はコイツ等だ!! ジィィィグゥゥゥ────ッ!!」
『ギーッ!!』
「またコイツ等か!?」
ハエトリバチがそう言い腕を上げた瞬間、四方八方からゲルショッカー戦闘員が現れ翼たちに襲い掛かる。
これでは翼たちは響の援護に行く事が出来ない。
「これで邪魔なシンフォギア装者どもも直ぐには来れんだろ、その間に貴様を片付けてやる!! ジィィィグゥゥゥ────ッ!!」
「……なら、私一人でお前を倒す!」
こうして響以外のシンフォギア装者たち対ゲルショッカー戦闘員部隊と響対ハエトリバチの戦闘が始まる。
翼たちはゲルショッカー戦闘員を次々と倒すが、倒した傍から空から赤や黄色の布が降って来て新たなゲルショッカー戦闘員が現れ鼬ごっこと化する。
大分、ゲルショッカー戦闘員を倒すのに苦戦しなくなった翼たちも次々と増援として来るゲルショッカー戦闘員には手を焼いている。
一方、響の方もハエトリバチとの肉弾戦に苦戦気味だった。
ハエトリバチの針を避けるのに必死で攻撃が出来ず、無数の傷が響の体に出来ては消えていく。
シンフォギアも一部が破壊され響自身にもダメージを喰らっている。
「どうだ、俺の性能はっ!? たった一人で俺を倒せると思うな、ジィィィグゥゥゥ────ッ!!」
「くっ……」
ハエトリバチの猛攻に響も攻め手をあぐねている。
近づけば右腕の毒針の猛攻に距離を取れば、人間を溶かすハエトリ液の雨。
お陰で、響の足元も一部の地面が解けた事で穴だらけにされ動き辛くなっている。
━━━分かっていたけど強い! これじゃあ私一人で倒すなんて……
響とて舐めていた訳では無い。
しかし、ゲルショッカーの改造人間の力や能力は響の想定を超えているは事実だ。
生半可な覚悟で戦っている訳では無いが、
━━━アイツを……ハエトリバチ倒すならガングニールのジャッキを目一杯引っ張った拳を喰らわせないと……ハエトリバチの頭が開いた? また、溶解液を出す気じゃ……! そうだ!
ハエトリバチの葉っぱのような頭が開き緑色の液体を響に飛ばす。
何時もの響なら咄嗟に移動して回避するが、今回は腕をクロスさえハエトリバチのハエトリ液を受けた。
瞬間、響の体から煙が上がり、何かが解ける音も響いて来る。
「立花っ!?」
「何してんだ、アイツ!?」
ゲルショッカー戦闘員を倒していた翼たちの響の姿を目撃し目を見開く。
確かに、ハエトリバチは強敵と言えるが響が避けもせず溶解液を受けた事が信じられなかった。
「ジィィィグゥゥゥ────ッ! まんまと俺のハエトリ液を被ったな、立花響もこれで始末出来た! 後は……!」
この時、ハエトリバチは勝利を確信し慢心していた。
響がハエトリバチの溶解液、ハエトリ液を浴びた事により発生した煙で響の姿を確認出来なかった。
結果、響は煙から腰のブースターを吹かしハエトリバチに接近していた事に気付くのが遅れた。
ハエトリバチが気付いた時には、もう響の拳が自身の腹を殴っている所だった。
「ジィィィグゥゥゥ────ッ!? 立花響……貴様、正気か!?」
ハエトリバチが信じられないという声で響に言う。
響の体はハエトリバチの放ったハエトリ液をもろに被った事で、シンフォギア所か体中が溶けかけている。
幾ら改造された体とは言え、響の体が完全に溶けるのは時間の問題だった。
「……お前と話す事なんて……無い!」
瞬間、響のガントレットのジャッキが閉じそのエネルギーがハエトリバチを貫く。
ハエトリバチは「ジィィィグゥゥゥ────ッ!!」と叫びながら吹き飛び止まっていた車に当たり爆発。
その車が給水車だった為、ハエトリバチの爆発で共に爆発し周りに水が飛び散る。
響の体にも水が飛び散りハエトリ液を流して響の体が溶けるのが止まっていく。
ハエトリバチが敗れた事で、残ったゲルショッカー戦闘員は撤退して行く。
追撃も考えた翼だが、今の響を放置できず皆が響の下に向かう。
「ハエトリバチめ、最後の最後で油断しおって」
響たちが戦った街のとあるビルの屋上。
そこで、響たちの戦いを見物していたブラック将軍がそう毒づく。
「それにしても立花響め、存外元気そうだな。 精神は未だに死なずか……精神が死んで生きる人形にでもなれば楽なものを」
ブラック将軍は思いのほか、響が精神が弱ていない事に不服であった。
わざわざ響に似たクローンを造り、そのクローンに母親たちを浚わらせ殺害し響の精神に多大なダメージを与えた。
にも拘らず、響は未だにゲルショッカーに敵対し戦っている。
響の予想外のタフさにはブラック将軍も思惑が外れた。
「怒りに身を焦がし復讐で戦うのならマシだったが、あれは……あれではシンフォギア装者同士の内紛も期待出来まい。
……仕方ない、例の計画を急がせるか」
響たちと翼たちのやり取りを見たブラック将軍は一計を案じ、次の瞬間ビルの屋上から消える。
残ったのは誰も居ない屋上と生温かい風邪ぐらいだった。
ハエトリバチとの戦いが終わり、少し時間が経ち特異災害対策起動部二課本部では出撃したシンフォギア装者たちが指令部に集まっている。
どうやら、司令官の源十郎に詰め寄ってるようだ、
「おい、オッサン! 如何言う事だ!」
「……立花に会うなとは……本気ですか?」
クリスが声を荒げ、翼が冷静ながらも怒気の混じった声を出す。
仕方ない、翼たちは戻って早々響にガツンと文句を言おうとしていたのに源十郎が響に「会わない」よう言い、更には暫く響だけで単独行動すると言われたのだ。
これには、翼とクリスだけでなく並行世界の響たちも納得できない。
「……皆の言う事も分かるが……そのだな……」
そして、翼たちに責められてる源十郎も歯切れの悪い言葉遣いだった。
まるで、「自分としても不服である」といった表情だった。
「響の願いですか?」
「小日向?」
「未来、もう良いのか?」
翼たち、シンフォギア装者たちが源十郎に詰め寄ってると司令部の扉が開き声が聞こえた。
クリス等が振り向くと検査入院していた未来が入って来たのだ。
小日向未来は、あの廃ビルの戦いの後、特異災害によって自分たちの協力者の居る病院に一時的入院していた。
ゲルショッカーが未来の体に何か仕掛けてないか検査し終わった未来は特異災害の本部に戻ったのだ。
クリスと一通り喋った後、未来は改めて源十郎の方を見て口を開く。
「響に頼まれたんですね?」
「…………」
未来の問いに源十郎は答えない。
しかし、頷く事だけはした。
その後、翼たちが響の居場所を聞くと友里あおいがシミュレーションルームで怪人のデータと戦ってると教えられ一同はシミュレーションルームへと向かう。
道中
「……なあ、未来」
「何だって、立花は私達と会いたくないと言ったんだ?」
皆が移動する中、クリスと翼は未来に先程の言葉の意味を聞く。
何故そんな事を聞くのかと言うと、響が自分たちと会いたくないと言っているようなものだ。
響の性格からしても考えられない。
「……響は、ショッカーやゲルショッカーの所為ではお母さんもお祖母ちゃん、お父さんも殺されてる。
どれも、響を殺そうと狙う組織で戦って響は生き残ったけど……自分が死んでいた方が家族も生き残ったんじゃないかって考えてると思う。
ツヴァイウィングのライブの後も一時期同じ感じだったし」
「はあ? 何だよそりゃ」
「……サバイバーズ・ギルトってやつか」
未来の響が内心「自分が生きてる事に負い目を感じてる」のではと考えてる事を述べる未来。
クリスには意味が分からなかったが、子供マリアが「サバイバーズ・ギルト」と呟く。
「サバ……ああ、あれですね。 人が集まる組織的な……」
「立花、それはたぶんギルドだ」
「……サバイバーズギルト、言うなれば生存嫌悪ってところね。 事故や災害で生き残った人が周りの被害を聞いて自分も死んでれば……っと考えること」
「おお、調は物知りデス!」
並行世界の響がボケて翼がツッコむ。
アナザー調が子供マリアの言った「サバイバーズ・ギルト」を開設しアナザー切歌が褒める。
つまり、未来は響が「自分の所為で両親と祖母が死んだ責任」を感じて鍔たちを遠ざけたと考えた。
未来の予想を聞いた翼とクリスは口には出さなかったが心に火がついてている。
心なしか、翼たちの歩く速度が上がった事を子供マリアは気付いていた。
シミュレーションルームの訓練室。
ウェル博士のもたらしたF・I・Sの技術によりデータを立体映像に出来、ノイズや戦闘員に今まで戦った怪人を相手に出来る。
其処でも、何体かの怪人が吹っ飛ぶと共に消えていく。
当然、吹っ飛ばしたのはこの世界の立花響だった。
「ハア……ハア……」
響が苦しそうに息をしている。
それはそうだ、本部に戻った後シミュレーションルームでずっと怪人と戦い続けているのだ。
本部に戻った早々、司令官である源十郎に少し話した後、籠り続けている。
響はデータとは言え、怪人たちを倒し続けている。 そしてまたもや響の前にガニコウモルが出現する。
━━━……もっとだ……もっと戦わないと……
響にとってこれは、トレーニングであり怪人との戦いの復習でもある。
しかし、響の心には別の考えが浮かぶ。
━━━戦うんだ、戦ってないと……あの時の記憶が……ウプッ……
響の脳内には、あの時廃ビルで見た母親とお祖母ちゃんの肉塊と赤い血の海に鉄臭い空気を思い出す。
あの時以来、響は一人になったり手持ち無沙汰になると思い出してしまう。
嘗ての家族の姿を、肉塊にされたあの部屋での出来事を。
心なしか響の喉奥から酸っぱい物が込み上げるが引き出そうとしようが我慢しようが無駄だ。改造された響の中には胃液など無い。
━━━……こうやって体を動かしてないと……嫌な事ばかり思い出す
響が頭を振って目の前のガニコウモルに集中する。
体を無理にでも動かさないと響の脳裏はあの時の光景を思い出す。何でも良いから体を動かさざる得ない響。
━━━強くなるんだ! 強くなって私が翼さんやクリスちゃんを…………!
集中してデータ状のガニコウモルと戦ってる時、突ガニコウモルの姿が消えると共に背後の扉が開く音が聞こえる。
響が振り向くと、翼を始めとした並行世界のシンフォギア装者たちがシミュレーションルームに入って来てる。
息を整えつつ皆を見る響。
Imyuteus amenohabakiri tron
Killiter Ichaival tron
すると翼とクリスが響の方に歩むと共に聖詠を歌いシンフォギアの姿になる。
そして、翼が響にアームドギアの剣を向ける。
響は意味が分からず目が点となる。
「立花」
「アタシ等と一戦やろうぜ」
「……へ?」
翼とクリスとのやり取りで響は二人と模擬戦をする事になった。(強制)
心なしか二人が怒って事に気付く響は戸惑う。
翼、クリスと響の模擬選はそれなりに激しかった。
翼とクリスが響を攻撃し、蒼い斬撃やガトリングの弾丸や小型ミサイルが降り注ぐ。
拳で弾いたり防御して受けたりする響、近くに来た翼に拳を振るおうとするが直前で止めてしまう。
逆に翼が逆立ち逆羅刹を喰らってしまう。
「うわ、痛そう」
「翼さんのアレ、結構痛いんだよな……」
「二人の動きに立花響も攻めあぐねてる?」
「攻めあぐねてる、って言うよりアイツの拳が中途半端で止まってるな」
「……完全に殴る事を躊躇しているぞ」
「これだと模擬戦になりませんね」
響の拳や蹴りは翼とクリスに届く前に停まる事に並行世界のシンフォギア装者たちは気付いている。
それは、響の相手をしている翼とクリスも感じており、より機嫌が悪くなる。
そして遂には、クリスのミサイルの爆風で響の視線が煙で塞がれ、煙が治まるとアームドギアの剣を握った翼と拳銃状態のアームドギアを持って響の目の前に向けて居る二人の姿があった。
チェックメイト。これが本当の戦いなら響の負けだ。
それは、響自身も分かって二人に笑顔を作って「まいった」と言おうとしたが。
「立花、これでも私たちは弱いか!?」
「これでもショッカーやゲルショッカーと戦って来たんだ、それはお前だって分かってるだろ!」
「!?」
二人の言葉に響の表情が凍りつく。
恐らくは、響の考えである「自分だけ突撃して翼たちが到着する前に決着」も読まれてるだろう。
それでも、響は笑顔を作り翼たちと喋る。
「……二人が強いのは知っています」
「知ってるなら!?」
「落ち着け、雪音。 ……立花、お前は私達抜きで一人で戦う気か?」
「…………」
「……やはり」
「お前一人でゲルショッカーと戦うなんて無茶だろ!」
「……無茶でも戦います。 じゃないと私は誰も守れない……」
「! お前に守ってもらう程、私たちが弱いと言うのか!?」
「アタシ等の実力はお前だって知ってるだろ、馬鹿!」
響の言葉に反発する翼とクリス。
その内容から、未来の予想は正しかったようで響は自分たち抜きでゲルショッカーと戦う気だと分かった。
当然、文句を言う翼とクリス。
今まで一緒にショッカーやゲルショッカーと戦ってきたと言うのに響の二人の評価がコレだと思ったからだ。
しかし、響は奥歯を噛んだ後に口を開き大声で言う。
「私は! ……私は翼さんやクリスちゃん達まで喪いたくは無いんです!!」
響の悲痛な叫び。
それは、とても歴戦の戦いを経験した戦士の姿ではない。年相応の少女の叫びだった。
「「!?」」
その言葉に翼とクリスは不満そうな顔からハッとした表情をする。
考えれば、響は父親、母親、祖母と短期間で喪っている。
そんな少女が仲間を喪いたくないと思うのは当然の反応だった。
家族を皆殺しにされた響には、もう自分たちしか居ないのだ。
気付けば、響の両目から涙があふれ子供のように泣き、そんな響を翼とクリスが黙って響を抱きしめる。
その後、三人は色々と話し少しずつだが纏う空気も軽くなっていく。
「……一件落着ってところかしら」
「うう……もう一人の私……良かったね」
「結局は、この世界の立花響が空回りしていただけ」
こうして、響の問題を解決した一同。
それぞれが、特異災害の用意した仏壇に手を合わせ、響は何か乗り越えたような気がした。
そして後日。
日本で行われた「世界平和会議」をゲルショッカーの怪人、エイドクガーが襲撃するが駆けつけた響たちの連携に倒された。
元の調子を取り戻した響は仲間たちと共にゲルショッカーと戦う。
更には、並行世界の組織「スクルド」からエージェントの「ユリウス」が源十郎に会い、共にゲルショッカーへ対応を約束した。
響の調子が元に戻る前日の深夜。
響の家の現場検証していた警察と特異災害の職員が引き上げようとしていた。
「ふう、やっと調査が終わった」
「……怪我人は出なかったとはいえ、此処まで時間が掛かるとは……」
「何処も人手不足だからな」
「給料が出ても使う暇も無いってか?」
二人の黒服……特異災害の職員が喋りながら歩いている。
本来なら、現場検証は警察の仕事だがどこもかしこも人手が無いという事で特異災害の職員が公務員という事で手伝ってたのだ。
幸い、特異災害の職員には警察官からの転属も多く現場検証はスムーズに終わったが気が付けば既に日が暮れ人通りも自分たちしか居ない。
とっとと、本部に戻って報告書を源十郎に渡そうと移動するが、
「安心しろ、その給料を使う事なぞ金輪際存在しない!」
「「!?」」
突如、背後から野太い声が聞こえ振り向く職員たち。
日が暮れていたとはいえ、完全に日が沈んだ訳では無いのでまだ明るく辺りもよく見えた。
その見えたのが家の焼け跡だけなら問題なかったが彼らの視線は明らかに異物が入り込んでいる。
「ギャギャギャギャッ! お前たちの姿を利用させてもらう」
「ゲルショッカーの改造人間!?」
黒服が見たのは、体の所々菌糸のような模様にカタツムリの目のような出っ張りの角、腕や背中にはキノコが生えている。
そして、腹部にはゲルショッカーのシンボルが入ったベルト。
ゲルショッカーの怪人だと直ぐに分かり黒服たちは拳銃を取り出し撃つが怪人には傷一つ付かない。
「安心しろ、直ぐに殺してやる!」
そう言うと怪人は黒服をアッサリと殺し二人の人間が地面へと転がる。
その時、何処からともなくゲルショッカー戦闘員が現れ怪人の殺した黒服の前に行く。
「ゲルショッカー、変身せよ!」
「「ギーッ!!」」
怪人の声にゲルショッカー戦闘員が腕をクロスさせ返事をすると死んで倒れてる黒服の上を覆いかぶさるように倒れる。
直後、妙な光は点滅するとゲルショッカー戦闘員の姿が消え死んだ筈の黒服が立ち上がる。
「よし、貴様らはそのまま特異災害の本部に潜り込め! 風鳴源十郎を始めシンフォギア装者たちの洗脳はヤツがやる!」
怪人の言葉に黒服たちはゲルショッカー戦闘員のような返事をするとその場を場を後にし怪人の即座に姿が消えた。
仲間たちの献身によりメンタルを回復した立花響。
しかし、既にゲルショッカーは新たなる計画が発動している!
ゲルショッカーは次なる計画は!?
坊さん。
お経を読みながら少女と二人っきり。
羨ましいやら気の毒やら。
そして、響の心情を正確に読み取るブラック将軍。
響の性格上、そうなっても仕方ないと思うがシンフォギア世界自体、命が軽いからな……。
響が再び情緒不安定になりましたが翼とクリスの説得で何とかしました。
結果、響とクリスが仏壇仲間に。(確かクリスも両親の仏壇を持ってた)
そして、アッサリ倒されたハエトリバチとナレ死したエイドクガーですが、作者の中でもあまり強い印象が無い。
トドメさそうとして足を掴まれ海に落ちて死んだハエトリバチ、終始アンチショッカーに捕らわれていた印象しかないエイドクガー。
……うん。
それにしても最後に現れた怪人は一体、なにキノコなんだ。
因みに、ハエトリバチが浚おうとした博士は映画版仮面ライダーの科学者の娘です。
劇中だと子供でしたが、シンフォギアの時代的に都市が言ってます。 …何の研究者だか。